JP3632841B2 - ロボットハンド部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用ロボットのアーム部に取り付けられる軽量で、平面性に優れ、曲げ剛性、耐熱性等に優れたロボットハンド部材を製造する方法に関し、詳しくは、芯材の外周面に炭素繊維を含むプリプレグシートを巻き付け熱硬化させて繊維強化複合材料とすることによって、製造工程数を低減しようとするロボットハンド部材の製造方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレー(LCD)の普及と共に、ガラス基板のサイズが大きくなってきている。それに伴い、LCD、プラズマディスプレーパネル(PDP)、シリコンウェハ等の精密品の製造工程で使用される基板搬送用ロボットハンドのサイズも大きくする必要がある。また、大型のプラズマディスプレーパネル(PDP)の搬送用ロボットハンドのサイズは、上記LCDの搬送用ロボットハンドよりも大きい。
【0003】
そして、これまでのロボットハンドの素材としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属が使われていた。そして、近年のロボットハンドの大型化に伴って軽量化が求められ、繊維強化複合材料(Fiber Reinforced Plastic : 以下、「FRP」と略称する。)が使われれるようになってきた。特に、炭素繊維強化複合材料(Carbon Fiber Reinforced Plastic : 以下、「CFRP」と略称する。)の無垢材から成るロボットハンド部材が普及している。しかしながら、さらに大型化が進んでいる現状では、これまでに使用しているCFRPの無垢材ではロボットハンドそのものが重くなり、その自重による撓みが大きくなってしまう。また、ロボットハンドが重くなると、ロボット駆動系への負荷も大きくなり、ロボットそのものの設計やコストにも影響することがある。
【0004】
このような状況において、ロボットハンド部材の厚みを薄くしたり、ワーク支持面の幅を狭くしたりして軽量化することで、自重撓みはある程度解消できるが、このような対策では、ロボットハンドの曲げ剛性が低下するので、ワークを支持した際の撓み(荷重撓み)が大きくなってしまう。特に、長尺のロボットハンド部材を片持ちに取り付けた場合は、先端部における撓みが大きくなり、ワークを支持した際の振動等が大きくなり易いので、ワーク支持性或いは搬送性に支障を来す虞があった。
【0005】
従来、CFRPを用いたロボットハンド部材の製造については、特開2000−343476号公報に記載されているように、炭素繊維を含むプリプレグシートを複数枚積層して加熱し熱硬化させた板状の炭素繊維強化複合材料(CFRP)から成るスキン層と、同じくCFRPから成るコア層とを別々に成形し、上記コア層を芯材としてその上面及び下面にスキン層を積層し、該コア層とスキン層とを接着剤により貼り合せて製造する技術が提案されている。
【0006】
この場合、上記スキン層としては、炭素繊維の配向方向を異ならせたプリプレグシートを複数枚積層して曲げ剛性、振動減衰特性、耐熱性等を向上させている。また、上記コア層としては、アルミニウム等の金属や繊維集合体から成るハニカム状の芯材とCFRP材とを組み合わせて、軽量化を図ると共に、曲げ剛性、振動減衰特性、耐熱性等を向上させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のロボットハンド部材の製造においては、材料として一旦、所定の厚さと面積を有するCFRPから成るスキン層を成形し、同じくCFRP等から成るコア層を成形し、上記コア層を芯材としてその上面及び下面にスキン層を積層して接着剤により接合し、この積層体を所定の長さと幅に切断して所定の形状に加工しているので、上記スキン層及びコア層の成形毎にプリプレグシートを加熱硬化させる工程と、これらスキン層及びコア層を接着剤で接着する工程と、さらにこれらの積層体を所定の形状に切断加工する工程とが必要となるものであった。したがって、製造の工程数が多くなって、ロボットハンド部材の製造に要する時間が多く掛かり、製造効率が悪いと共に、製造コストが高くなるものであった。
【0008】
また、上記CFRPの貼り合わせ法では、予め所定の厚みに成形した(熱硬化させた)4面分のCFRP板を接着剤を用いて貼り合わせる方法も考えられる。しかし、この方法では、プリプレグの積層工程、CFRP成形工程、貼り合わせ工程が必要であると共に、接着して貼り合わせた部分の荷重に対する強度が低いという問題がある。
【0009】
さらに、ロボットハンド部材としては、液晶ディスプレー、プラズマディスプレーパネル、シリコンウェハ等の精密品をワークとして搬送するため、該ロボットハンド部材がワークを傷付けたりしないような十分な平面性が必要であるが、中空構造のロボットハンド部材にすると中央部分が窪み易いという問題がある。したがって、中空構造のロボットハンド部材を平面にする後加工を不要とし或いは軽減し、製造コストの軽減可能な製造方法を開発することが必要とされる。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、製造工程数を低減しようとするロボットハンド部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるロボットハンド部材の製造方法は、炭素繊維を含むプリプレグシートを積層して矩形状断面とされたものを熱硬化させた繊維強化複合材料から成り、産業用ロボットのアーム部に取り付けられるロボットハンド部材を製造する方法において、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付けるステップと、上記複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形するステップと、上記成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて繊維強化複合材料とするステップと、上記繊維強化複合材料とされた部材から上記芯材を抜き取り中空構造とするステップと、を行うものである。
上記芯材は、加熱硬化工程における所定温度以下では加熱非変形性を有し、且つ加熱硬化後の繊維強化複合材料から容易に抜き取れる材質のものを用いる。上記所定温度とは、例えば、プリプレグシートの加熱硬化処理における加熱温度である。
また、上記炭素繊維を含むプリプレグシートとは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等の強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化状態のシートをいう。
【0012】
このような構成により、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付け、この複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形し、この成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて繊維強化複合材料とし、この部材から上記芯材を抜き取り中空構造としてロボットハンド部材を製造する。これにより、製造工程数の低減が図られる。
【0013】
また、他の手段によるロボットハンド部材の製造方法は、炭素繊維を含むプリプレグシートを積層して矩形状断面とされたものを熱硬化させた繊維強化複合材料から成り、産業用ロボットのアーム部に取り付けられるロボットハンド部材を製造する方法において、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付けるステップと、上記複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形するステップと、上記成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて上記芯材と一体化した繊維強化複合材料とするステップと、を行うものである。
上記芯材は、加熱硬化工程における所定温度以下では加熱非変形性を有し、プリプレグシートとの密着性の優れた材料を用い、プリプレグシートと熱硬化後に一体化させる。なお、上記芯材としては、繊維強化複合材料よりも軽量な例えば合成樹脂から成る軽量部材を用いる。
【0014】
このような構成により、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付け、この複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形し、この成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて上記芯材と一体化した繊維強化複合材料として、中実構造のロボットハンド部材を製造する。これにより、芯材を有する中実構造のものにおいても、芯材として繊維強化複合材料よりも軽量な合成樹脂等の軽量部材を用いることにより軽量化を図ると共に、製造工程数の低減が図られる。
【0017】
さらに、上記中間層にプリプレグシートを積層するのは、該プリプレグシートの炭素繊維の配向方向が芯材の長手方向に対して0度と90度に配向されたものを含むものである。これにより、熱硬化により繊維強化複合材料とされた矩形状断面の部材の長手方向の撓み防止や、振動減衰特性を向上すると共に、部材全体の曲げ剛性や、曲げ振動の振動減衰特性を向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明によるロボットハンド部材の製造方法が適用されるロボットハンド1を示す斜視図である。このロボットハンド1は、産業用ロボットのアーム部に取り付けられるもので、図示省略のロボットのアーム部に取り付けるための例えば平板状の取付部材2と、この取付部材2に固定されワーク3を支持する部材となるロボットハンド部材4とから成る。なお、図1において、符号5は上記ロボットのアーム部に取り付けるため取付部材2に穿設された取付孔を示している。
【0019】
上記ロボットハンド部材4は、例えば液晶ディスプレー(LCD)、プラズマディスプレーパネル(PDP)、半導体ウェハ等のガラス基板などのワーク3を支持して搬送するもので、軽量で、平面性に優れ、曲げ剛性、耐熱性等に優れたものとするために繊維強化複合材料(FRP)で製造され、例えば中空構造の角形パイプ状に形成されており、上記取付部材2にネジ止め等により2本平行に取り付けられている。そのサイズは、例えば幅約50mm、長さ約1500mm程度とされている。なお、上記取付部材2とロボットハンド部材4とは、一体的に形成してもよい。
【0020】
まず、中空構造のロボットハンド部材4の製造方法について、図2を参照して説明する。まず、図2(a)に示すように、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材6の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材6の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材6の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシート7を複数層に巻き付ける。上記芯材6は、プリプレグシート7を巻き付けるための台部材となるもので、後述の成形されたプリプレグシート積層体9を所定温度(樹脂により異なるが、通常約100〜190℃)に加熱し熱硬化させる工程の温度よりやや高い温度以下では加熱により殆ど変形しない性質を有し、且つ加熱硬化後のFRPから容易に抜き取れる材料で例えば断面矩形状の角棒状に形成されている。ここで、芯材6が加熱により殆ど変形しないとは、プリプレグシート積層体9の加熱硬化の工程において、芯材6の材料が溶融したり、芯材6の部材に反り、曲がり、撓み、捩れや皺、褶曲等の変形が生じないことをいう。上記芯材6の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属や、MCナイロン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂がある。上記金属や樹脂等は、FRPより熱膨張率が大きいため、加熱後の冷却により収縮し、抜き取り容易となる。また、必要に応じ、芯材の表面に離型材を施してもよい。離型材としては、スプレー等による薬剤(例えば、界面活性剤等)の塗布、或いはテフロン(登録商標)シート等の離型シートの使用などいずれでもよい。
【0021】
上記プリプレグシート7は、強化繊維を一方向に配向させた一方向平織物、一方向不織シート等のいわゆる一方向材や、強化繊維を二方向に配向させた平織物、綾織物、朱子織物等の二方向材や、強化繊維を三方向に配向させた三軸織物等の三方向材などをシート化したものに、予めマトリックス樹脂を含浸させ、少し粘着性を有した未硬化状態にしたものである。この場合、上記強化繊維には、剛性及び軽量性の観点から一般的には炭素繊維を用いる。しかし、炭素繊維以外にも、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等も使用可能である。例えば、積層される複数のプリプレグシート7は、炭素繊維プリプレグシートを主体として使用し、ロボットハンド部材としての支持性能或いは搬送性能を損なわない限りで、上記ガラス繊維等、或いはその他の繊維を含むプリプレグシートを一部に加えてもよい。なお、上記炭素繊維には、原料の違いによってポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維と、ピッチ系炭素繊維の2種類がある。
【0022】
また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使われる。又は、耐衝撃性や靭性を付与する目的で、熱硬化性樹脂にゴムや樹脂から成る微粒子を添加したもの或いは熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させたものが使われる。ここで、上記微粒子としてのゴムは、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム等がある。また、上記微粒子としての樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ボリエステル樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂等がある。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ボリアクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ボリアミド樹脂、ボリアラミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等がある。さらに、熱硬化性樹脂に溶解させる熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ボリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ボリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等がある。
【0023】
ここで、上記プリプレグシート7を複数層に巻き付ける工程は、図3に示すように、該プリプレグシート7の炭素繊維から成る強化繊維の配向方向を異ならせて積層する。すなわち、或る層のプリプレグシート7aの強化繊維8aの配向方向は0度とし、他の層のプリプレグシート7bの強化繊維8bの配向方向は90度とし、更に上記のプリプレグシートに加えて、他の層のプリプレグシート7cを積層してもよく、そのプリプレグシート7cの強化繊維8cは二方向の強化繊維が配向角度90度で交わったクロスプリプレグシート或いは一方向材プリプレグシートを長手方向に対して±45度の一対で配向して積層してもよい。このような状態で、上記各層のプリプレグシート7a,7b,7cを適宜の厚さで順次積層し、最終的に例えば厚さ1〜7mm程度に積層する。なお、この場合の積層厚さは、プリプレグシートが加熱硬化する際の体積減少分を見越して、ロボットハンド部材のFRP板の要求板厚よりも僅かに厚い程度が好ましい。
【0024】
なお、上記プリプレグシート7を複数に積層する例について、以下に更に詳述する。図2(a)において、芯材6に接して積層される最内層のプリプレグシート7は、強化繊維の配向方向が長手方向に対して例えば0度又は90度とされる。上記最内層の上に積層される2番目のプリプレグシート7は、強化繊維の配向方向が長手方向に対して例えば0度とされ、長手方向の撓み防止や、振動減衰特性を向上する目的を有する。上記2番目のプリプレグシート7の上に積層される3番目のプリプレグシート7は、強化繊維の配向方向が長手方向に対して例えば90度とされ、上記積層された二つのプリプレグシート7と合わせた全体部材の曲げ剛性や、曲げ振動の振動減衰特性を向上し、且つ反り、撓みを防止する目的を有する。なお、上記の他に、強化繊維の配向方向が長手方向に対して例えば±45度とされたプリプレグシート7の層を追加してもよい。この場合は、部材全体としての捻れ剛性、捻れ振動減衰特性を向上することができる。さらに、これらプリプレグシート7の他にクロスプリプレグシートを最外層に積層することができる。このクロスプリプレグシートは、強化繊維の織物で構成されたプリプレグシートであり、強化繊維としては炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維或いは炭化珪素繊維等が好ましく、織り構造は平織り、綾織り、朱子織り、三軸織り等が適宜使用できる。クロスプリプレグシートを積層することは、後加工としての切削や研磨加工したときに毛羽立ちが少なく部材としての加工性を向上し、また製品の美観を良くする目的を有する。
【0025】
上記プリプレグシート7を複数に積層する積層順としては、90度配向シートを最下層(最内層)とするのが、芯材6の抜き取りやすさの観点から好ましい。なぜならば、炭素繊維はマトリックス樹脂よりも熱収縮率が低いので、シートとしての収縮率は、繊維配向方向への収縮率の方が繊維配列方向への収縮率よりも低くなるので、パイプ状のFRP板の内側面を90度配向シートによって構成することで、芯材6の外周を囲むように炭素繊維が配向することとなるので、熱硬化した際に、パイプ状のFRP板がそれほど縮径しなくて済むからである。
【0026】
また、上層に積層されるプリプレグシート(外側のシート)ほど、ロボットハンド部材の特性(曲げ剛性等)への寄与率が高いので、0度配向シートを90度配向シートよりも上層に積層するのが、撓み防止の観点から好ましい。したがって、以上のような点を考慮しつつ、使用すべきプリプレグシートの組み合わせ及び積層順序を決定すればよい。
【0027】
次に、図2(b)に示すように、上記複数層に巻き付けられたプリプレグシート積層体9の外周面に、所定の内面形状を有する外型10a,10bを押し付けて上記プリプレグシート積層体9の外面形状を所定寸法に成形する。これは、図2(a)に示す芯材6に対してプリプレグシート7を巻き付ける積層数が多くなると、各角部が外側に膨らんだ状態となり、該角部の形状が不均一となるので、略直角の形状となるように成形するものである。そのために、例えば内周面の形状がコ字形に形成されたチャンネル状の二つの外型10a,10bを上記プリプレグシート積層体9の上下に対向配置して、プレス加工と同様に矢印A,Bのように押し付ける。これにより、上記外型10a,10bのコ字形の内面形状でプリプレグシート積層体9の各角部が押圧されて略直角状に成形される。
【0028】
次に、図2(c)に示すように、上記成形されたプリプレグシート積層体9を所定温度に加熱し熱硬化させて繊維強化複合材料(FRP)とする。このとき、上記プリプレグシート積層体9の全体を例えば真空バッグに入れて加熱する。その加熱温度条件は、例えば室温から2〜10℃/minの割合で加熱昇温させ、約100〜190℃に60分間程度保持し、その後加熱を停止して自然冷却により降温させて室温に戻す。これにより、上記プリプレグシート積層体9の全体が熱硬化されて、FRPとなる。なお、この場合、前記芯材6は、所定温度以下では加熱非変形性を有する材料でできているので、上記の加熱工程により殆ど変形せず、芯材6としての断面形状を正しく保つことができる。なお、プリプレグシート積層体9を真空バッグに入れるのは、積層工程で生じたシート間等の気泡を吸引するという目的と、プリプレグシート積層体9に対して外圧(大気圧)を略均等に加える目的とがある。
【0029】
次に、図2(d)に示すように、上記FRPとされた部材11から芯材6を抜き取り中空構造とする。これにより、図4に示すように、角形パイプ状に形成されたロボットハンド部材4が製造される。なお、上記角形パイプ状の中空部分は、ワーク3を支持して搬送するための空気吹き出し又は空気吸引等を行うチューブなどを配置するために、また、上記ワーク3の存在或いは保持を検出するセンサー用の電気配線などにも利用することができる。
【0030】
なお、上記ロボットハンド部材4の断面形状は、上述の角形パイプ状に限られず、例えば、図5に示すように、上面が平らで下面側が円弧状に形成されたパイプ状であってもよい。この場合は、図2(a)に示す芯材6の断面形状も、上面が平らで下面側が円弧状に形成すればよい。
【0031】
次に、他の実施形態による中実構造のロボットハンド部材4の製造方法について説明する。この実施形態の場合は、図2(a)において、矩形状断面の芯材6として、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いたものである。上記芯材6としては、FRPよりも軽量な例えば合成樹脂から成る軽量部材を用いるとよい。上記軽量部材としては、成形されたプリプレグシート積層体9を所定温度(樹脂により異なるが、通常約100〜190℃)に加熱し熱硬化させる工程の温度よりやや高い温度以下では、加熱によって成形後にFRPとの隙間が生じない材料で形成されており、プリプレグシートとの密着性の優れた材料が用いられる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びこれらの発泡材等のプラスチックを用いることができる。なお、芯材6は、プリプレグシート7との密着性を向上するために表面をサンドブラスト、サンドペーパー等による粗面化処理を行ってもよい。また、必要に応じて、接着剤の塗布を行ってもよい。
【0032】
そして、製造工程は、図2(a),(b),(c)に示すと全く同様に進み、図2(d)に示すFRPとされた部材11から芯材6を抜き取り中空構造とする工程は行わない。すなわち、図2(c)に示すプリプレグシート積層体9を所定温度に加熱し熱硬化させてFRPとする工程で完了する。この場合も、上記芯材6は、所定温度以下では加熱非変形性を有する材料でできているので、図2(c)に示す加熱工程により殆ど変形せず、芯材6としての断面形状を正しく保つことができる。
【0033】
これにより、図6に示すように、FRPとされた部材11の内部に軽量部材から成る芯材6が残った状態の中実構造のロボットハンド部材4が製造される。その後、ワーク3を支持して搬送するための空気吹き出し路又は空気吸引路、或いは上記ワーク3の存在又は保持を検出するセンサー用の電気配線路等の穴あけや、取付け用のネジ孔を、機械加工により施す。この実施形態では、芯材6を有する中実構造のものにおいても軽量化を図ると共に、製造工程数の低減が図られる。
【0034】
上記中実構造のロボットハンド部材4においては、芯材6の抜取工程が不要なので、製造所要時間を大幅に短縮できる。また、軽量部材から成る芯材6を残存させたので、中空構造のロボットハンド部材と無垢材のロボットハンド部材の双方の不利な点が解消される。すなわち、中空構造のロボットハンド部材の場合は、使用に伴って中央部分に窪み等の経時的変形が生ずるという不利や、従来型の無垢材のロボットハンド部材からの切り換えの際に、溝や孔の加工部位の設計変更を余儀なくされるといった不利な点があったが、この実施形態の中実構造のロボットハンド部材4では、そのような不利な点は生じない。更に、無垢材のロボットハンド部材と同等の体積を維持した状態で、ロボットハンド部材全体の重量を軽くできるので、自重撓みに加えて荷重撓みも抑制できる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明によるロボットハンド部材の製造方法を適用して製造したロボットハンド部材の具体的な実施例について説明する。
【0037】
(1)比較例:図7に示す表1…CFRPの無垢材の積層例
この比較例は、従来技術の項で説明したCFRPの無垢材でロボットハンド部材を製造したものを説明しており、表1はその製造数値例を示している。この例では、炭素繊維の配向方向を長手方向に対して0度と90度で交わらせたクロスプリプレグと、引張弾性率800GPaのピッチ系炭素繊維を配向方向0度で配向したプリプレグ−Aと、引張弾性率240GPaのPAN系炭素繊維を配向方向90度又は0度で配向したプリプレグ−Bとを用いて、以下の手順によりロボットハンド部材を製造した。まず0度配向のプリプレグ−Bを11枚使用したことからなる層を中心とし、その上下両面に90度配向のプリプレグ−Bをそれぞれ8枚ずつ使用したことからなる層を1層ずつ、計2層を配置し、さらにこの上下両面にプリプレグ−Aをそれぞれ12枚ずつ使用したことからなる層を1層ずつ、計2層を配置し、最後に上下の両最外層にクロスプリプレグをそれぞれ1枚ずつ使用したことからなる層を1層ずつ、計2層積層して、合計7層構造としたものである。製造した結果のCFRP板厚は12mm、自重撓みは1.6mm、重量は1.53kgである。
【0038】
(2)実施例1:図8に示す表2…CFRPの中空構造の積層例
この実施例1は、図2に示す製造方法で中空構造のロボットハンド部材を製造したものを説明しており、表2はその製造数値例を示している。この例では、炭素繊維の配向方向を長手方向に対して0度と90度で交わらせたクロスプリプレグと、引張弾性率800GPaのピッチ系炭素繊維を配向方向0度で配向したプリプレグ−Aと、引張弾性率240GPaのPAN系炭素繊維を配向方向90度で配向したプリプレグ−Bと、アルミニウムで製造された芯材を用いて、以下の手順によりロボットハンド部材を製造した。まず、アルミニウム製芯材の外周にプリプレグ−Bを6枚巻きつけることによりプリプレグ−Bからなる第1の層を形成し、この外周にプリプレグ−Aを5枚巻きつけることによりプリプレグ−Aからなる第2の層を形成し、最後に、この外周にクロスプリプレグ1枚を巻きつけることによりクロスプリプレグからなる最外層を形成して、合計6層構造とした。そして、このプリプレグの積層体を熱硬化させた後、上記芯材を抜き取り中空構造としたものである。製造した結果のCFRP板厚は2.55mm、角形パイプ厚は12mm、自重撓みは0.47mm、重量は0.75kgである。なお、ロボットハンド部材の中央部における厚みが11.8mmであり、端部における厚み(12.0mm,12.1mm)よりも若干窪んではいるが、ワークの支持性能及び搬送性能上の問題はなく、平面性に優れていた。
このことから、実施例1の場合は、比較例に比して自重撓みが1.6mmから0.47mmに小さくなっており、重量が1.53kgから0.75kgに小さくなっていることがわかる。
【0039】
(3)実施例2:図9に示す表3…CFRPの中実構造の積層例
この実施例2は、図6に示す中実構造のロボットハンド部材を製造したものを説明しており、表3はその製造数値例を示している。この例では、炭素繊維の配向方向を長手方向に対して0度と90度で交わらせたクロスプリプレグと、引張弾性率800GPaのピッチ系炭素繊維を配向方向0度で配向したプリプレグ−Aと、引張弾性率240GPaのPAN系炭素繊維を配向方向90度で配向したプリプレグ−Bと、発泡ウレタンの軽量部材で製造された芯材を用いて、以下の手順によりロボットハンド部材を製造した。まず、発泡ウレタン製芯材の外周にプリプレグ−Bを6枚巻きつけることによりプリプレグ−Bからなる第1の層を形成し、この外周にプリプレグ−Aを5枚巻きつけることによりプリプレグ−Aからなる第2の層を形成し、最後に、この外周にクロスプリプレグ1枚を巻きつけることによりクロスプリプレグからなる最外層を形成して、合計6層構造とした。そして、上記芯材を入れたままプリプレグの積層体を熱硬化させたものである。製造した結果のCFRP板厚は2.55mm、角形パイプ厚は12mm、自重撓みは0.57mm、重量は1.06kgである。なお、ロボットハンド部材の厚みは、端部においても中央部においても同一(12.0mm)であり、上記実施例1の中空構造のロボットハンド部材よりも平面性に優れていることが理解できる。
このことから、実施例2の場合は、比較例に比して自重撓みが1.6mmから0.57mmに小さくなっており、重量が1.53kgから1.06kgに小さくなっていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る発明によれば、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付け、この複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形し、この成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて繊維強化複合材料とし、この部材から上記芯材を抜き取り中空構造としてロボットハンド部材を製造することができる。
この場合、上記芯材は、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされているので、加熱硬化後には収縮して繊維強化複合材料から容易に抜き取ることができる。また、上記芯材の外周面に複数層に巻き付けられる最内層のプリプレグシートは、PAN系炭素繊維の配向方向が該芯材の長手方向に対して90度とされているので、加熱硬化した際に繊維強化複合材料があまり縮径せず、芯材の抜き取りが容易である。したがって、中空構造のロボットハンド部材を容易に製造することができる。さらに、中間層のプリプレグシートは、引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度とされているので、熱硬化により繊維強化複合材料とされた部材の長手方向の撓み防止や、振動減衰特性を向上することができる。さらにまた、最外層のプリプレグシートは、二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートとされているので、ロボットハンド部材の後加工として切削や研磨加工をしたときに毛羽立ちが少なく部材としての加工性を向上し、製品としての美観を向上することができる。これらのことから、熱硬化により繊維強化複合材料とされた部材全体の曲げ剛性を向上することができ、ロボットハンド部材の寸法精度を向上することができる。また、繊維強化複合材料を用いて、アルミニウム材のロボットハンドよりも軽量で、平面性に優れ、曲げ剛性、振動減衰特性、耐熱性等に優れたロボットハンド部材を製造することができる。
【0041】
また、請求項2に係る発明によれば、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付け、この複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形し、この成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて上記芯材と一体化した繊維強化複合材料として、中実構造のロボットハンド部材を製造することができる。
この場合、上記芯材は、所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いて矩形状断面とされているので、該芯材の外周面に積層されたプリプレグシートとの密着性を向上することができる。したがって、上記芯材に対して熱硬化された繊維強化複合材料を強固に一体化して、中実構造の部材を製造することができる。また、上記芯材の外周面に複数層に巻き付けられる最内層のプリプレグシートは、PAN系炭素繊維の配向方向が該芯材の長手方向に対して90度とされており、さらに、中間層のプリプレグシートは、引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度とされているので、熱硬化により繊維強化複合材料とされた部材の長手方向の撓み防止や、振動減衰特性を向上することができる。さらにまた、最外層のプリプレグシートは、二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートとされているので、ロボットハンド部材の後加工として切削や研磨加工をしたときに毛羽立ちが少なく部材としての加工性を向上し、製品としての美観を向上することができる。これらのことから、熱硬化により繊維強化複合材料とされた部材全体の曲げ剛性を向上することができ、ロボットハンド部材の寸法精度を向上することができる。また、芯材を有する中実構造のものにおいても、芯材として繊維強化複合材料よりも軽量な樹脂を用いることにより軽量化を図ることができる。
【0044】
また、請求項3に係る発明によれば、上記中間層にプリプレグシートを積層するのは、該プリプレグシートの炭素繊維の配向方向が芯材の長手方向に対して0度と90度に配向されたものを含むことにより、熱硬化により繊維強化複合材料とされた矩形状断面の部材の長手方向の撓み防止や、振動減衰特性を向上すると共に、部材全体の曲げ剛性や、曲げ振動の振動減衰特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロボットハンド部材の製造方法が適用されるロボットハンドを示す斜視図である。
【図2】本発明のロボットハンド部材の製造方法の工程を示す断面説明図である。
【図3】プリプレグシートを複数層に巻き付ける工程において、該プリプレグシートの強化繊維の配向方向を異ならせて積層する状態を示す説明図である。
【図4】角形パイプ状に製造されたロボットハンド部材を示す斜視図である。
【図5】上記ロボットハンド部材の断面形状の変形例を示す断面図である。
【図6】他の実施形態によるロボットハンド部材の製造方法により製造されたロボットハンド部材を示す断面図である。
【図7】ロボットハンド部材の比較例としてCFRPの無垢材の積層体を製造した具体的な製造数値例を示す表1である。
【図8】ロボットハンド部材の実施例1としてCFRPの中空構造の積層体を製造した具体的な製造数値例を示す表2である。
【図9】ロボットハンド部材の実施例2としてCFRPの忠実構造の積層体を製造した具体的な製造数値例を示す表3である。
【符号の説明】
1…ロボットハンド
2…取付部材
3…ワーク
4…ロボットハンド部材
6…芯材
7,7a,7b,7c…プリプレグシート
8a,8b,8c…強化繊維
9…プリプレグシート積層体
10a,10b…外型
11…FRP部材
Claims (3)
- 炭素繊維を含むプリプレグシートを積層して矩形状断面とされたものを熱硬化させた繊維強化複合材料から成り、産業用ロボットのアーム部に取り付けられるロボットハンド部材を製造する方法において、
所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料より熱膨張率が大きい金属又は樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付けるステップと、
上記複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形するステップと、
上記成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて繊維強化複合材料とするステップと、
上記繊維強化複合材料とされた部材から上記芯材を抜き取り中空構造とするステップと、
を行うことを特徴とするロボットハンド部材の製造方法。 - 炭素繊維を含むプリプレグシートを積層して矩形状断面とされたものを熱硬化させた繊維強化複合材料から成り、産業用ロボットのアーム部に取り付けられるロボットハンド部材を製造する方法において、
所定温度以下では加熱非変形性を有し且つ上記繊維強化複合材料を熱硬化させた後に該繊維強化複合材料と隙間が生じない樹脂を用いて矩形状断面とされた芯材の外周面に、最内層にはPAN系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して90度に配向されたプリプレグシートを積層し、中間層には引張弾性率が上記PAN系炭素繊維よりも高いピッチ系炭素繊維をその配向方向が芯材の長手方向に対して0度に配向されたプリプレグシートを積層し、最外層には二方向の炭素繊維が90度で交わるように配向されたクロスプリプレグシートを積層してプリプレグシートを複数層に巻き付けるステップと、
上記複数層に巻き付けられたプリプレグシートの外周面に所定の内面形状を有する外型を押し付けて上記プリプレグシートの外面形状を所定寸法に成形するステップと、
上記成形されたプリプレグシートを所定温度に加熱し熱硬化させて上記芯材と一体化した繊維強化複合材料とするステップと、
を行うことを特徴とするロボットハンド部材の製造方法。 - 上記中間層にプリプレグシートを積層するのは、該プリプレグシートの炭素繊維の配向方向が芯材の長手方向に対して0度と90度に配向されたものを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のロボットハンド部材の製造方法。
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