JP4173949B2 - 三層構造を有する繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法 - Google Patents

三層構造を有する繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、両表面層に多軸組布を、中間層に補強繊維マットを使用してRTM成形した三層構造を有する繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法に関するものであって、該成形品は、建築用パネル、浄化槽等の大型成形品に広く使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
三層構成の補強繊維基材からなるFRPパネルとして、芯部が補強繊維を含まず、発泡プラスチックあるいはガラスバルーンなどの軽量部材を含有する熱硬化性樹脂であり、表面部がFRPであるものは広く知られている。一方、芯部がFRPであって、両表面にサーフェイスマットを使用したFRPパネルも知られている。しかしながら、芯部に発泡プラスチック等を使用したものは、成形品の強度向上は期待できない。また、両表面にサーフェイスマットを使用したFRPパネルでは、FRPパネルに要求される十分な強度は得られない。更に、ガラスクロスがFRP積層板および大型成形品の基材として用いられている。しかしながら、ガラスクロスの使用には、織工程が必要であり、コストが高くなり、生産性に劣る。更に、このものを使用して成形を行うと、クロスでは、縦糸と緯糸との交点における樹脂の含浸、成形時における脱泡性にも問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、新しいガラス繊維基材として、連続繊維を多方向に積層配列し、各繊維群の交点を接着してなる多軸組布に着目した。多軸組布は、強化のための繊維を多方向にほぼ均等に配列する場合は異方性が少なく、面内の強度・剛性にバランスがとれたものとすることが出来、必要に応じ繊維の配列を変えることによって異方性を持たせることも可能である。しかも、クロスのように織工程を必要としないため、安価に得られるばかりでなく、繊維の交点が接着されていないので、成形時の樹脂の含浸が良く、脱泡性に優れている。そこで、本発明は、この多軸組布を使用して経済的・強度的に優れた特性を有する、高強度FRP成形品を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、繊維強化プラスチック成形品を三層の補強繊維基材から構成したものであり、該三層の補強繊維基材の両表面層が多軸組布、中間層が補強繊維マットからなる繊維強化プラスチック成形品である。三層の補強繊維基材の両表面層は多軸組布、中間層は多軸組布の嵩密度よりも小さい嵩密度を有する補強繊維マットから構成され、補強繊維マットの嵩密度は、0.001g/cm3〜0.005g/cm3であることが好ましい。該多軸組布は、三軸組布及び四軸組布のいずれかであり、補強繊維マットは、コンティニュアスストランドマット又はチョップドストランドマットのいずれであっても良い。該繊維強化プラスチック成形品は、上型と下型との間に上記三層の補強繊維基材を載置した後、未硬化の熱硬化性樹脂を注入して硬化成形するレジントランスファー・モールディング成形法によって製造する。
【0005】
【発明の実施の形態】
上記したように、この出願の発明は、繊維強化プラスチック成形品を三層の補強繊維基材から構成した繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法に係る。三層の補強繊維基材の両表面層は三軸組布または四軸組布が使用される。三軸組布は、例えば特開平10−18146号公報に記載されているものを使用することが出来る。この三軸組布1は、図1に示すように、交差する斜交糸群2a,2bと経糸群3からなり、交点4がバインダーで接着されている。四軸組布5は、基本的には、補強繊維が0°/±45°/90°にストレートに配向され、交点が接着されている。図2にその一例を示す。このような多軸組布の補強繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維のいずれをも使用することが出来る。交点の接着に用いるバインダーとしては特に限定はされないが、アクリル酸エステルや酢酸ビニル等の重合体や共重合体をエマルジョンにしたものを使用する。また、多軸組布における補強繊維の積層配列は任意であって、三軸組布は三層以上の配列が、四軸組布は四層以上の配列が可能であり、多軸組布の仕様を変更し、各配列方向の嵩密度を調整することによって多軸組布の強度を所望の方向において高めることが出来る。
【0006】
次いで、三軸組布または四軸組布の間に中間層として補強繊維マットを挿入する。この補強繊維マットは、ガラス繊維または炭素繊維のマット、コンティニュアスストランドマット、フィラメントマット、長繊維チョップドストランドマットのいずれでもよい。本発明においては、この補強繊維マットと多軸組布との嵩密度に差があり、この差を利用することによって得られる成形品の物性を向上させることが出来る。
【0007】
この発明においては、図3に示すように、多軸組布6の間に補強繊維マット7を積層してRTM成形用のオス型8、メス型9の密閉した空間に配置し、型を閉じてクランプした後、適切な位置に設けた注入口から不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等の未硬化の熱硬化性樹脂を比較的低い圧力で注入し、一体硬化させる。すると密閉された型内での比較的嵩密度の小さい補強繊維マットに含まれる繊維の反撥力により、嵩密度の大きな多軸組布が矢印10方向に型8,9に向かって押し付けられる。このため、補強繊維の密度が、板厚方向で変化し、板の表面付近に補強繊維が大きな密度で配置され、表面が平滑な成形材料が成形される。
【0008】
上記のような反撥力を生じせしめるには、両表面層を多軸組布、中間層を補強繊維マットとすればよいが、中間層の補強繊維の嵩密度(単位体積あたりの重量)を多軸組布の嵩密度よりも小さくすることが好ましく、更に補強繊維マットの嵩密度は0.001g/cm3〜0.005g/cm3とすることが特に好ましい。嵩密度がこの範囲内である場合は、補強繊維マット中の繊維の反撥力を最大に発揮させ、表面の平滑性を得ることが出来るとともに、サンドイッチ構造による成形品の強度の著しい向上を達成することができる。また、本発明の繊維強化プラスチック成形品の成形には、RTM成形におけるように密閉した空間であることが必要であり、密閉した空間内で使用した樹脂材料の嵩密度の差と補強繊維マット中の繊維の反撥力を利用するには、基材の配置を崩さないように樹脂をゆっくりと含浸させ賦形させることが好ましい。
【0009】
本発明によって得られる繊維強化プラスチック成形品は、平面状のパネルのみでなく、曲面シェル、パイプ、更に別に用意した補強材を一体化した製品等とすることができる。嵩密度に差がある多軸組布と補強繊維マットを使用することで、単板構造のRTM成形品の面内剛性と面外剛性を変えることができ、更に、上記のように多軸組布の仕様を変更することで、異方性を有する成形材の設計も自由に行うことが出来る。
【0010】
【実施例】
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。なお、以下に記載の実施例における材料の試験方法は、JIS K 7054(ガラス繊維強化プラスチックの引張試験方法)およびJIS K 7055(ガラス繊維強化プラスチックの曲げ試験方法)に準じた。尚、本発明による成形品は、異方性のある材料を使用しているので、材料試験は0度,45度,90度の3方向で試験を行った。
【0011】
(実施例1)
RTM成形品のガラス繊維基材として、四軸組布(日東紡績製)と、コンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用した。この四軸組布は、縦方向:横方向:45度方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横方向に強度の異方性がある四軸組布である。これらのガラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、四軸組布は約0.01g/cm3、コンティニュアスストランドマットは約0.003g/cm3の嵩密度を有する。
【0012】
この嵩密度の差を利用し、成型用型内へのチャージの順序を両外層に四軸組布,中間層としてコンティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、密閉された型内でコンティニュアスストランドマットの反撥力により、嵩密度の大きな四軸組布が、型表面に押し付けられる。
【0013】
その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入してRTM成形し、樹脂が硬化した後に成型品を型より脱型した。その後、成型品を試験型形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約37wt%であった。この試験片について材料試験を行った。
【0014】
本実施例の材料試験の結果を表1に示す。この試験結果から明らかなように、実施例1の方法によって得られたRTM成形品は、本発明によるガラス繊維基材によるサンドイッチ構造により非常に高い弾性率と強度がある。また、材料の嵩密度に大きな差がある4軸組布とコンティニュアスストランドマットを使用することで、単板構造のRTM成形品の面内剛性と面外剛性を可変できることが明らかである。さらに0度方向と90度方向の強度・弾性率が、四軸組布の嵩密度と相関があることから、この四軸組布の仕様を変更することで、異方性を有する成形品の設計が柔軟に行えることが示された。
【0015】
【表1】
Figure 0004173949
【0016】
(実施例2)
実施例2として、RTM成型品のガラス繊維基材として、四軸組布(日東紡績製)と、コンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用した。この4軸組布は、縦方向:横方向:45方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:1に調整されており、面内で等方性の四軸組布である。これらのガラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、四軸組布の嵩密度は約0.009g/cm3、コンティニュアスストランドマットの嵩密度は約0.003g/cm3である。
【0017】
この嵩密度の差を利用し、成型用型内へのチャージの順序を両外層に四軸組布,中間層としてコンティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、密閉された型内でのコンティニュアスストランドマットの反撥力により、嵩密度の大きな四軸組布が、型表面に押し付けられる。
【0018】
その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約29wt%であった。この試験片について材料試験を行った。
【0019】
本実施例の材料試験の結果を表2に示す。この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形品は、非常に高い弾性率と強度がある。また、材料のカサ密度に大きな差がある四軸組布とコンティニュアスストランドマットを使用することで、単板構造のRTM成形品の面内剛性と面外剛性を可変できることが明らかである。さらに、面内で等方性の四軸組布を使用することで、0度方向,45度方向と90度方向のそれぞれの方向で強度・弾性率が等しい、等方性の成形品を得ることができることが判る。
【0020】
【表2】
Figure 0004173949
【0021】
(実施例3)
RTM成形品のガラス繊維基材として、三軸組布(日東紡績製)と、コンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用した。この三軸組布は、縦方向:+60方向:−60方向の目付けがそれぞれ、1:1:1に調整されており、面内で等方性の三軸組布である。これらのガラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、三軸組布は約0.009g/cm3、コンティニュアスストランドマットは約0.003g/cm3の嵩密度を有する。
【0022】
この嵩密度の差を利用し、成型用型内へのチャージの順序を両外層に三軸組布,中間層としてコンティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、密閉された型内でのコンティニュアスストランドマットの反撥力により、嵩密度の大きな三軸組布が、型表面に押し付けられる。
【0023】
その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約28wt%であった。この試験片について材料試験を行った。
【0024】
本実施例の材料試験の結果を表3に示す。この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形品は、非常に高い弾性率と強度がある。また、材料の嵩密度に差がある三軸組布とコンティニュアスストランドマットを使用することで、単板構造のRTM成形品の面内剛性と面外剛性を可変できることが明らかである。さらに、面内で等方性の三軸組布を使用することで、0度方向,45度方向と90度方向のそれぞれの方向で強度・弾性率がほぼ等しい、等方性の成形品を得ることができる。
【0025】
【表3】
Figure 0004173949
【0026】
(実施例4)
RMT成形品のガラス基材として、四軸組布(日東紡績製)と、チョップドストランドマット(日東紡績製)を使用した。この四軸組布は、縦方向:横方向:45方向の目付けがそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横方向に強度の異方性がある4軸組布である。これらのガラス繊維基材の嵩密度は、四軸組布は約0.01g/cm3、チョップドストランドマットは約0.006g/cm3程度である。
【0027】
チャージの順序を両外層に4軸組布,中間層としてチョップドストランドマットを配置したが、オス,メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、密閉された型内でのチョップドストランドマットは反撥力が小さく、型と表面の強化材である四軸組布の間に隙間ができた。
【0028】
この状態で、エア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。脱型した成形品の表面を観察すると、成形品の表面に気泡が存在し、実施例1のような美麗な表面を得ることができなかった。この理由は、チョップドストランドマットの嵩密度が実施例1に比較して大きく、型内での反撥力が小さいために、型と表面の強化材である4軸組布の間に隙間ができているためである。この対策として、注入樹脂の粘度を上げることも考えられるが、注入圧力が上がり、強化材が流される可能性が大きい。
【0029】
その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約36wt%であった。
【0030】
上記試験片についての材料試験の結果を表4に示す。この試験結果から明らかなように、本実施例におけるRTM成形品は、曲げの強度と弾性率が実施例1に比べると低い。これは、チョップドストランドマットの嵩密度が大きく、マット内繊維の型内での反撥が少ないために、四軸組布が表面に十分に配置されず、高い曲げ特性が得られなかったものと思われる。この結果から、中間層のガラス基材の嵩密度が、RTM成形品の曲げ特性に大きく影響していることが判明した。
【0031】
【表4】
Figure 0004173949
【0032】
(比較例1)
比較例1として嵩密度0.003g/cm3のコンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)を5Ply使用した。このコンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)5PlyをRTM型内に配置し、オス,メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めをし、その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形した。その後、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約32wt%であった。
【0033】
本比較例の材料試験の結果を表5に示す。この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形品は、引張強度と曲げ強度がほぼ同じ程度であり、本発明におけるようなサンドイッチ構造による効果が得られていない。
【0034】
【表5】
Figure 0004173949
【0035】
(比較例2)
比較例2として、RMT成形品のガラス基材として、四軸組布(日東紡績製)を使用した。この四軸組布は、縦方向:横方向:45方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横方向に強度の異方性がある4軸組布である。
【0036】
中間層として四軸組布を2Ply、RTM型内に配置し、オス,メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行った。
【0037】
その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。脱型した成形品の表面を観察すると、成形品の表面に気泡が数多く存在し、表面状態は非常に悪く実施例1のような美麗な表面を得ることができなかった。この理由は、コンティニュアスストランドマットのような嵩密度が小さい材料を配置しなかったために、全体として嵩密度が大きく、型内で補強繊維の有する反撥力により四軸組布が型表面に配置しないために、型と表面の強化材である四軸組布の間に隙間ができているためである。この対策として、注入樹脂の粘度を上げることも考えられるが、注入圧力が上がり、強化材が流される可能性が大きい。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約32wt%であった。この試験片について材料試験を行った。
【0038】
本比較例の材料試験の結果を表6に示す。この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形品は、引張強度と曲げ強度がほぼ同じ程度であり、サンドイッチ構造による効果が得られていない。
【0039】
【表6】
Figure 0004173949
【0040】
(比較例3)
比較例3として、RTM成形品のガラス基材として、四軸組布(日東紡績製)と、コンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用した。この四軸組布は、縦方向:横方向:45方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横方向に強度の異方性がある四軸組布である。これらのガラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、四軸組布の嵩密度は約0.01g/cm3、コンティニュアスストランドマットの嵩密度は約0.003g/cm3である。
【0041】
チャージの順序を実施例1とは逆にし、両外層にコンティニュアスストランドマットを配置し、中間層として四軸組布をRTM型内に配置し、オス,メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行った。
【0042】
その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約42wt%であった。
【0043】
本比較例における材料試験の結果を表7に示す。この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形品は、実施例1とは対照的に、曲げのサンドイッチ構造による効果が現れていず、曲げ弾性率、特に曲げ強度において著しく劣るものである。
【0044】
【表7】
Figure 0004173949
【0045】
【発明の効果】
この出願の発明は、繊維強化プラスチック成形品を三層の補強繊維基材から構成したものであり、該三層の補強繊維基材の両表面層が多軸組布、中間層が補強繊維マットからなる繊維強化プラスチック成形品である。多軸組布は、ガラス繊維等のクロスに比べると製織の工程を省略することが出来るため単価が低く、更に、嵩密度に大きな差のある補強繊維基材を中間層としてRTM成形を行うことにより、補強繊維の密度が製品の厚み方向において変化し、高い曲げ特性が実現でき、高強度、高弾性の成形品が得られる。この製品は、建築用パネル、浄化槽等の大型で強度の要求される製品に好適である。また、多軸組布の選択により、製品面内の強度・剛性に優れるばかりでなく、必要に応じ異方性を持たせることも可能である。更に、繊維の交点が接着されていないので、成形時の樹脂の含浸が良く、脱泡性に優れていて、成形性においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】三軸組布の一例を示す平面図である。
【図2】四軸組布の一例を示す平面図である。
【図3】本発明成形品のRTMによる成形状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 三軸組布
2a、2b 斜交糸群
3 経糸群
4 交点
5 四軸組布
6 多軸組布
7 補強繊維マット
8 オス型
9 メス型
10 反撥力作用方向

Claims (4)

  1. 両表面層が多軸組布、中間層が補強繊維のコンティニュアスストランドマットであり、前記中間層が前記多軸組布の嵩密度よりも小さい嵩密度の補強繊維のコンティニュアスストランドマットからなる三層の補強繊維基材にレジントランスファー・モールディング成形法により熱硬化性樹脂を含浸させ硬化成形してなる繊維強化プラスチック成形品。
  2. 前記多軸組布が、三軸組布または四軸組布のいずれかである請求項1記載の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 上型と下型との間に補強繊維基材を載置した後、未硬化の熱硬化性樹脂を注入して硬化成形するレジントランスファー ・モールディング成形法による繊維強化プラスチック成形品の製造方法において、該補強繊維基材が少なくとも三層の補強繊維基材であって、両表面層が多軸組布、中間層が補強繊維のコンティニュアスストランドマットであり、前記中間層が前記多軸組み布の嵩密度よりも小さい嵩密度の補強繊維のコンティニュアスストランドマットからなることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  4. 前記中間層が、嵩密度0.001g/cm3 〜0.005g/cm3の補強繊維のコンティニュアスストランドマットである請求項3記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
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