JP2002120315A - 三層構造を有する繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法 - Google Patents

三層構造を有する繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法

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JP2002120315A JP2000317047A JP2000317047A JP2002120315A JP 2002120315 A JP2002120315 A JP 2002120315A JP 2000317047 A JP2000317047 A JP 2000317047A JP 2000317047 A JP2000317047 A JP 2000317047A JP 2002120315 A JP2002120315 A JP 2002120315A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多軸組布を使用して経済的・強度的に優れた
特性を有する、高強度FRP成形品を得る。 【解決手段】 繊維強化プラスチック成形品を三層の補
強繊維基材から構成したものであり、該三層の補強繊維
基材の両表面層が多軸組布、中間層が補強繊維マットか
らなる繊維強化プラスチック成形品である。3層の補強
繊維基材の両表面層は多軸組布、中間層は、多軸組布の
嵩密度より小さい嵩密度を有する補強繊維マットから構
成され、該三層の補強繊維基材がレジントランスファー
・モールディングにより成形される。該多軸組布は、三
軸組布及び四軸組布のいずれかであり、補強繊維マット
は、コンティニュアスストランドマット又はチョップド
ストランドマットのいずれであっても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、両表面層
に多軸組布を、中間層に補強繊維マットを使用してRT
M成形した三層構造を有する繊維強化プラスチック成形
品及びその製造方法に関するものであって、該成形品
は、建築用パネル、浄化槽等の大型成形品に広く使用で
きるものである。
【0002】
【従来の技術】三層構成の補強繊維基材からなるFRP
パネルとして、芯部が補強繊維を含まず、発泡プラスチ
ックあるいはガラスバルーンなどの軽量部材を含有する
熱硬化性樹脂であり、表面部がFRPであるものは広く
知られている。一方、芯部がFRPであって、両表面に
サーフェイスマットを使用したFRPパネルも知られて
いる。しかしながら、芯部に発泡プラスチック等を使用
したものは、成形品の強度向上は期待できない。また、
両表面にサーフェイスマットを使用したFRPパネルで
は、FRPパネルに要求される十分な強度は得られな
い。更に、ガラスクロスがFRP積層板および大型成形
品の基材として用いられている。しかしながら、ガラス
クロスの使用には、織工程が必要であり、コストが高く
なり、生産性に劣る。更に、このものを使用して成形を
行うと、クロスでは、縦糸と緯糸との交点における樹脂
の含浸、成形時における脱泡性にも問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、新しい
ガラス繊維基材として、連続繊維を多方向に積層配列
し、各繊維群の交点を接着してなる多軸組布に着目し
た。多軸組布は、強化のための繊維を多方向にほぼ均等
に配列する場合は異方性が少なく、面内の強度・剛性に
バランスがとれたものとすることが出来、必要に応じ繊
維の配列を変えることによって異方性を持たせることも
可能である。しかも、クロスのように織工程を必要とし
ないため、安価に得られるばかりでなく、繊維の交点が
接着されていないので、成形時の樹脂の含浸が良く、脱
泡性に優れている。そこで、本発明は、この多軸組布を
使用して経済的・強度的に優れた特性を有する、高強度
FRP成形品を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、繊維
強化プラスチック成形品を三層の補強繊維基材から構成
したものであり、該三層の補強繊維基材の両表面層が多
軸組布、中間層が補強繊維マットからなる繊維強化プラ
スチック成形品である。三層の補強繊維基材の両表面層
は多軸組布、中間層は多軸組布の嵩密度よりも小さい嵩
密度を有する補強繊維マットから構成され、補強繊維マ
ットの嵩密度は、0.001g/cm3〜0.005g
/cm3であることが好ましい。該多軸組布は、三軸組
布及び四軸組布のいずれかであり、補強繊維マットは、
コンティニュアスストランドマット又はチョップドスト
ランドマットのいずれであっても良い。該繊維強化プラ
スチック成形品は、上型と下型との間に上記三層の補強
繊維基材を載置した後、未硬化の熱硬化性樹脂を注入し
て硬化成形するレジントランスファー・モールディング
成形法によって製造する。
【0005】
【発明の実施の形態】上記したように、この出願の発明
は、繊維強化プラスチック成形品を三層の補強繊維基材
から構成した繊維強化プラスチック成形品及びその製造
方法に係る。三層の補強繊維基材の両表面層は三軸組布
または四軸組布が使用される。三軸組布は、例えば特開
平10−18146号公報に記載されているものを使用
することが出来る。この三軸組布1は、図1に示すよう
に、交差する斜交糸群2a,2bと経糸群3からなり、
交点4がバインダーで接着されている。四軸組布5は、
基本的には、補強繊維が0°/±45°/90°にスト
レートに配向され、交点が接着されている。図2にその
一例を示す。このような多軸組布の補強繊維としては、
ガラス繊維、炭素繊維のいずれをも使用することが出来
る。交点の接着に用いるバインダーとしては特に限定は
されないが、アクリル酸エステルや酢酸ビニル等の重合
体や共重合体をエマルジョンにしたものを使用する。ま
た、多軸組布における補強繊維の積層配列は任意であっ
て、三軸組布は三層以上の配列が、四軸組布は四層以上
の配列が可能であり、多軸組布の仕様を変更し、各配列
方向の嵩密度を調整することによって多軸組布の強度を
所望の方向において高めることが出来る。
【0006】次いで、三軸組布または四軸組布の間に中
間層として補強繊維マットを挿入する。この補強繊維マ
ットは、ガラス繊維または炭素繊維のマット、コンティ
ニュアスストランドマット、フィラメントマット、長繊
維チョップドストランドマットのいずれでもよい。本発
明においては、この補強繊維マットと多軸組布との嵩密
度に差があり、この差を利用することによって得られる
成形品の物性を向上させることが出来る。
【0007】この発明においては、図3に示すように、
多軸組布6の間に補強繊維マット7を積層してRTM成
形用のオス型8、メス型9の密閉した空間に配置し、型
を閉じてクランプした後、適切な位置に設けた注入口か
ら不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエス
テル樹脂等の未硬化の熱硬化性樹脂を比較的低い圧力で
注入し、一体硬化させる。すると密閉された型内での比
較的嵩密度の小さい補強繊維マットに含まれる繊維の反
撥力により、嵩密度の大きな多軸組布が矢印10方向に
型8,9に向かって押し付けられる。このため、補強繊
維の密度が、板厚方向で変化し、板の表面付近に補強繊
維が大きな密度で配置され、表面が平滑な成形材料が成
形される。
【0008】上記のような反撥力を生じせしめるには、
両表面層を多軸組布、中間層を補強繊維マットとすれば
よいが、中間層の補強繊維の嵩密度(単位体積あたりの
重量)を多軸組布の嵩密度よりも小さくすることが好ま
しく、更に補強繊維マットの嵩密度は0.001g/c
3〜0.005g/cm3とすることが特に好ましい。
嵩密度がこの範囲内である場合は、補強繊維マット中の
繊維の反撥力を最大に発揮させ、表面の平滑性を得るこ
とが出来るとともに、サンドイッチ構造による成形品の
強度の著しい向上を達成することができる。また、本発
明の繊維強化プラスチック成形品の成形には、RTM成
形におけるように密閉した空間であることが必要であ
り、密閉した空間内で使用した樹脂材料の嵩密度の差と
補強繊維マット中の繊維の反撥力を利用するには、基材
の配置を崩さないように樹脂をゆっくりと含浸させ賦形
させることが好ましい。
【0009】本発明によって得られる繊維強化プラスチ
ック成形品は、平面状のパネルのみでなく、曲面シェ
ル、パイプ、更に別に用意した補強材を一体化した製品
等とすることができる。嵩密度に差がある多軸組布と補
強繊維マットを使用することで、単板構造のRTM成形
品の面内剛性と面外剛性を変えることができ、更に、上
記のように多軸組布の仕様を変更することで、異方性を
有する成形材の設計も自由に行うことが出来る。
【0010】
【実施例】以下、本発明について、実施例により具体的
に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものでは
ない。なお、以下に記載の実施例における材料の試験方
法は、JIS K 7054(ガラス繊維強化プラスチ
ックの引張試験方法)およびJIS K 7055(ガ
ラス繊維強化プラスチックの曲げ試験方法)に準じた。
尚、本発明による成形品は、異方性のある材料を使用し
ているので、材料試験は0度,45度,90度の3方向
で試験を行った。
【0011】(実施例1)RTM成形品のガラス繊維基
材として、四軸組布(日東紡績製)と、コンティニュア
スストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用し
た。この四軸組布は、縦方向:横方向:45度方向の嵩
密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横
方向に強度の異方性がある四軸組布である。これらのガ
ラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、四軸
組布は約0.01g/cm3、コンティニュアスストラ
ンドマットは約0.003g/cm3の嵩密度を有す
る。
【0012】この嵩密度の差を利用し、成型用型内への
チャージの順序を両外層に四軸組布,中間層としてコン
ティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの
型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、
密閉された型内でコンティニュアスストランドマットの
反撥力により、嵩密度の大きな四軸組布が、型表面に押
し付けられる。
【0013】その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入
機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学
製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入してRT
M成形し、樹脂が硬化した後に成型品を型より脱型し
た。その後、成型品を試験型形状に切り出した後に60
℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚
みは5mmで、ガラス繊維含有率は約37wt%であっ
た。この試験片について材料試験を行った。
【0014】本実施例の材料試験の結果を表1に示す。
この試験結果から明らかなように、実施例1の方法によ
って得られたRTM成形品は、本発明によるガラス繊維
基材によるサンドイッチ構造により非常に高い弾性率と
強度がある。また、材料の嵩密度に大きな差がある4軸
組布とコンティニュアスストランドマットを使用するこ
とで、単板構造のRTM成形品の面内剛性と面外剛性を
可変できることが明らかである。さらに0度方向と90
度方向の強度・弾性率が、四軸組布の嵩密度と相関があ
ることから、この四軸組布の仕様を変更することで、異
方性を有する成形品の設計が柔軟に行えることが示され
た。
【0015】
【表1】
【0016】(実施例2)実施例2として、RTM成型
品のガラス繊維基材として、四軸組布(日東紡績製)
と、コンティニュアスストランドマット(ヴェトロテッ
クス社製)を使用した。この4軸組布は、縦方向:横方
向:45方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:1に調整さ
れており、面内で等方性の四軸組布である。これらのガ
ラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差があり、四軸
組布の嵩密度は約0.009g/cm 3、コンティニュ
アスストランドマットの嵩密度は約0.003g/cm
3である。
【0017】この嵩密度の差を利用し、成型用型内への
チャージの順序を両外層に四軸組布,中間層としてコン
ティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの
型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、
密閉された型内でのコンティニュアスストランドマット
の反撥力により、嵩密度の大きな四軸組布が、型表面に
押し付けられる。
【0018】その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入
機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学
製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RT
M成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型し
た。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60
℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚
みは5mmで、ガラス繊維含有率は約29wt%であっ
た。この試験片について材料試験を行った。
【0019】本実施例の材料試験の結果を表2に示す。
この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形
品は、非常に高い弾性率と強度がある。また、材料のカ
サ密度に大きな差がある四軸組布とコンティニュアスス
トランドマットを使用することで、単板構造のRTM成
形品の面内剛性と面外剛性を可変できることが明らかで
ある。さらに、面内で等方性の四軸組布を使用すること
で、0度方向,45度方向と90度方向のそれぞれの方
向で強度・弾性率が等しい、等方性の成形品を得ること
ができることが判る。
【0020】
【表2】
【0021】(実施例3)RTM成形品のガラス繊維基
材として、三軸組布(日東紡績製)と、コンティニュア
スストランドマット(ヴェトロテックス社製)を使用し
た。この三軸組布は、縦方向:+60方向:−60方向
の目付けがそれぞれ、1:1:1に調整されており、面
内で等方性の三軸組布である。これらのガラス繊維基材
は、材料の嵩密度に大きな差があり、三軸組布は約0.
009g/cm3、コンティニュアスストランドマット
は約0.003g/cm3の嵩密度を有する。
【0022】この嵩密度の差を利用し、成型用型内への
チャージの順序を両外層に三軸組布,中間層としてコン
ティニュアスストランドマットを配置し、オス、メスの
型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行うと、
密閉された型内でのコンティニュアスストランドマット
の反撥力により、嵩密度の大きな三軸組布が、型表面に
押し付けられる。
【0023】その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入
機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学
製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RT
M成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型し
た。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60
℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚
みは5mmで、ガラス繊維含有率は約28wt%であっ
た。この試験片について材料試験を行った。
【0024】本実施例の材料試験の結果を表3に示す。
この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形
品は、非常に高い弾性率と強度がある。また、材料の嵩
密度に差がある三軸組布とコンティニュアスストランド
マットを使用することで、単板構造のRTM成形品の面
内剛性と面外剛性を可変できることが明らかである。さ
らに、面内で等方性の三軸組布を使用することで、0度
方向,45度方向と90度方向のそれぞれの方向で強度
・弾性率がほぼ等しい、等方性の成形品を得ることがで
きる。
【0025】
【表3】
【0026】(実施例4)RMT成形品のガラス基材と
して、四軸組布(日東紡績製)と、チョップドストラン
ドマット(日東紡績製)を使用した。この四軸組布は、
縦方向:横方向:45方向の目付けがそれぞれ、1:
1:2.4に調整されており、横方向に強度の異方性が
ある4軸組布である。これらのガラス繊維基材の嵩密度
は、四軸組布は約0.01g/cm3、チョップドスト
ランドマットは約0.006g/cm3程度である。
【0027】チャージの順序を両外層に4軸組布,中間
層としてチョップドストランドマットを配置したが、オ
ス,メスの型をクランプし、所定の型締め圧力で型締め
を行うと、密閉された型内でのチョップドストランドマ
ットは反撥力が小さく、型と表面の強化材である四軸組
布の間に隙間ができた。
【0028】この状態で、エア圧駆動の樹脂注入機によ
り、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常
温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RTM成形
し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。脱型
した成形品の表面を観察すると、成形品の表面に気泡が
存在し、実施例1のような美麗な表面を得ることができ
なかった。この理由は、チョップドストランドマットの
嵩密度が実施例1に比較して大きく、型内での反撥力が
小さいために、型と表面の強化材である4軸組布の間に
隙間ができているためである。この対策として、注入樹
脂の粘度を上げることも考えられるが、注入圧力が上が
り、強化材が流される可能性が大きい。
【0029】その後、成形品を試験片形状に切り出した
後に60℃×120minの後硬化を施した。また、試
験片の厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約36wt
%であった。
【0030】上記試験片についての材料試験の結果を表
4に示す。この試験結果から明らかなように、本実施例
におけるRTM成形品は、曲げの強度と弾性率が実施例
1に比べると低い。これは、チョップドストランドマッ
トの嵩密度が大きく、マット内繊維の型内での反撥が少
ないために、四軸組布が表面に十分に配置されず、高い
曲げ特性が得られなかったものと思われる。この結果か
ら、中間層のガラス基材の嵩密度が、RTM成形品の曲
げ特性に大きく影響していることが判明した。
【0031】
【表4】
【0032】(比較例1)比較例1として嵩密度0.0
03g/cm3のコンティニュアスストランドマット
(ヴェトロテックス社製)を5Ply使用した。このコ
ンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社
製)5PlyをRTM型内に配置し、オス,メスの型を
クランプし、所定の型締め圧力で型締めをし、その後、
この状態でエア圧駆動の樹脂注入機により、汎用の不飽
和ポリエステル樹脂(三井化学製)を常温、注入圧力
0.3(MPa)で注入し、RTM成形した。その後、
樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型した。その後、
成形品を試験片形状に切り出した後に60℃×120m
inの後硬化を施した。また、試験片の厚みは5mm
で、ガラス繊維含有率は約32wt%であった。
【0033】本比較例の材料試験の結果を表5に示す。
この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形
品は、引張強度と曲げ強度がほぼ同じ程度であり、本発
明におけるようなサンドイッチ構造による効果が得られ
ていない。
【0034】
【表5】
【0035】(比較例2)比較例2として、RMT成形
品のガラス基材として、四軸組布(日東紡績製)を使用
した。この四軸組布は、縦方向:横方向:45方向の嵩
密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整されており、横
方向に強度の異方性がある4軸組布である。
【0036】中間層として四軸組布を2Ply、RTM
型内に配置し、オス,メスの型をクランプし、所定の型
締め圧力で型締めを行った。
【0037】その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入
機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学
製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RT
M成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型し
た。脱型した成形品の表面を観察すると、成形品の表面
に気泡が数多く存在し、表面状態は非常に悪く実施例1
のような美麗な表面を得ることができなかった。この理
由は、コンティニュアスストランドマットのような嵩密
度が小さい材料を配置しなかったために、全体として嵩
密度が大きく、型内で補強繊維の有する反撥力により四
軸組布が型表面に配置しないために、型と表面の強化材
である四軸組布の間に隙間ができているためである。こ
の対策として、注入樹脂の粘度を上げることも考えられ
るが、注入圧力が上がり、強化材が流される可能性が大
きい。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に6
0℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の
厚みは5mmで、ガラス繊維含有率は約32wt%であ
った。この試験片について材料試験を行った。
【0038】本比較例の材料試験の結果を表6に示す。
この試験結果から明らかなように、試作したRTM成形
品は、引張強度と曲げ強度がほぼ同じ程度であり、サン
ドイッチ構造による効果が得られていない。
【0039】
【表6】
【0040】(比較例3)比較例3として、RTM成形
品のガラス基材として、四軸組布(日東紡績製)と、コ
ンティニュアスストランドマット(ヴェトロテックス社
製)を使用した。この四軸組布は、縦方向:横方向:4
5方向の嵩密度がそれぞれ、1:1:2.4に調整され
ており、横方向に強度の異方性がある四軸組布である。
これらのガラス繊維基材は、材料の嵩密度に大きな差が
あり、四軸組布の嵩密度は約0.01g/cm3、コン
ティニュアスストランドマットの嵩密度は約0.003
g/cm3である。
【0041】チャージの順序を実施例1とは逆にし、両
外層にコンティニュアスストランドマットを配置し、中
間層として四軸組布をRTM型内に配置し、オス,メス
の型をクランプし、所定の型締め圧力で型締めを行っ
た。
【0042】その後、この状態でエア圧駆動の樹脂注入
機により、汎用の不飽和ポリエステル樹脂(三井化学
製)を常温、注入圧力0.3(MPa)で注入し、RT
M成形し、樹脂が硬化した後に成形品を型より脱型し
た。その後、成形品を試験片形状に切り出した後に60
℃×120minの後硬化を施した。また、試験片の厚
みは5mmで、ガラス繊維含有率は約42wt%であっ
た。
【0043】本比較例における材料試験の結果を表7に
示す。この試験結果から明らかなように、試作したRT
M成形品は、実施例1とは対照的に、曲げのサンドイッ
チ構造による効果が現れていず、曲げ弾性率、特に曲げ
強度において著しく劣るものである。
【0044】
【表7】
【0045】
【発明の効果】この出願の発明は、繊維強化プラスチッ
ク成形品を三層の補強繊維基材から構成したものであ
り、該三層の補強繊維基材の両表面層が多軸組布、中間
層が補強繊維マットからなる繊維強化プラスチック成形
品である。多軸組布は、ガラス繊維等のクロスに比べる
と製織の工程を省略することが出来るため単価が低く、
更に、嵩密度に大きな差のある補強繊維基材を中間層と
してRTM成形を行うことにより、補強繊維の密度が製
品の厚み方向において変化し、高い曲げ特性が実現で
き、高強度、高弾性の成形品が得られる。この製品は、
建築用パネル、浄化槽等の大型で強度の要求される製品
に好適である。また、多軸組布の選択により、製品面内
の強度・剛性に優れるばかりでなく、必要に応じ異方性
を持たせることも可能である。更に、繊維の交点が接着
されていないので、成形時の樹脂の含浸が良く、脱泡性
に優れていて、成形性においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】三軸組布の一例を示す平面図である。
【図2】四軸組布の一例を示す平面図である。
【図3】本発明成形品のRTMによる成形状態を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 三軸組布 2a、2b 斜交糸群 3 経糸群 4 交点 5 四軸組布 6 多軸組布 7 補強繊維マット 8 オス型 9 メス型 10 反撥力作用方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:08 B29C 67/14 L (72)発明者 友光 直樹 福島県郡山市長者2−16−19 栄光寮110 号 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA04 AB09 AB10 AB29 AD08 AD23 AD38 AL07 AL17 4F100 AG00A AG00B AG00C AK01A AK01B AK01C AK44 BA03 BA06 BA10B BA10C DG11A DG11B DG11C DH02A DH02B DH02C EH36 GB07 GB90 JA15A JK01 YY00A 4F205 AA41 AD16 AG03 HA06 HA25 HA33 HA47 HB01 HC05 HC06 HF01 4F206 AA36 AD16 AD20 AH48 JA02 JB12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三層の補強繊維基材から構成され、該三
    層の補強繊維基材の両表面層が多軸組布、中間層が補強
    繊維マットからなることを特徴とする繊維強化プラスチ
    ック成形品。
  2. 【請求項2】 前記中間層が前記多軸組布の嵩密度より
    も小さい嵩密度の補強繊維マットからなる請求項1記載
    の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 【請求項3】 前記多軸組布が、三軸組布又は四軸組布
    のいずれかである請求項1又は2記載の繊維強化プラス
    チック成形品。
  4. 【請求項4】 前記補強繊維マットが、コンティニュア
    スストランドマット又はチョップドストランドマットの
    いずれかである請求項1、2又は3記載の繊維強化プラ
    スチック成形品。
  5. 【請求項5】 上型と下型との間に補強繊維基材を載置
    した後、未硬化の熱硬化性樹脂を注入して硬化成形する
    レジントランスファー・モールディング成形法による繊
    維強化プラスチック成形品の製造方法において、該補強
    繊維基材が少なくとも三層の補強繊維基材であって、両
    表面層が多軸組布、中間層が補強繊維マットであること
    を特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記中間層が前記多軸組布の嵩密度より
    も小さい嵩密度の補強繊維マットからなる請求項5記載
    の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記中間層が、嵩密度0.001g/c
    3〜0.005g/cm3の補強繊維マットである請求
    項6記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
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US7358202B2 (en) 2004-10-22 2008-04-15 Ocv Intellectual Capital, Llc Infusion fabric for molding large composite structures
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