JP2023065898A - 複合部材 - Google Patents

複合部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2023065898A
JP2023065898A JP2021176309A JP2021176309A JP2023065898A JP 2023065898 A JP2023065898 A JP 2023065898A JP 2021176309 A JP2021176309 A JP 2021176309A JP 2021176309 A JP2021176309 A JP 2021176309A JP 2023065898 A JP2023065898 A JP 2023065898A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing member
adhesive layer
reinforcing
resin
reinforced
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021176309A
Other languages
English (en)
Inventor
惟史 渡辺
Tadashi Watanabe
雅弘 橋本
Masahiro Hashimoto
亘 長谷川
Wataru Hasegawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2021176309A priority Critical patent/JP2023065898A/ja
Publication of JP2023065898A publication Critical patent/JP2023065898A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、被補強部材に対し、補強部材が接着層を介して接合された複合部材において、前記被補強部材または補強部材の接着層と接する最表層が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグから構成されるとき、上記のような接合部の剥離に対する耐性の不安定性が抜本的に改善されることにより、設計が容易で信頼性の高い複合部材を提供することである。【解決手段】式[アスペクト比=補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)]によるアスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さい補強部材が、接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接着層と接する補強部材の最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角αが30°≦α<90°である複合部材である。【選択図】図1

Description

本発明は、補強部材が接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接合に係る補強部材または被補強部材の最表層の一部または全部が一方向プリプレグによって構成される複合部材に関する。
強化繊維に熱硬化性樹脂を含ませたプリプレグから製造された部材は、軽量性と強度が高いとの特徴から、特に航空機での利用に適している。この種の材料で、航空機の胴体バレルや翼、尾部等を製造するとき、それ単体では曲げ負荷への剛性が低いパネル状の面部材(被補強部材)にストリンガー等の補強部材が接合一体化された複合部材の構成が好ましく用いられる。部材の複合化により、機体としての構造に所望の剛性が提供されるようになる。この種の用途で、如何に部材間の接合の強度を安定させ、信頼性を制御するかとの点は、航空機の運用時のみならず航空機の設計と製造において格別の注意が払われてきた技術分野である。
特許文献1には、パネル状の部材にストリンガー状の補強部材がファスナーにて締結され一体化された複合部材が開示されている。この機械的な締結方法は、部材を構成する素材の種類に問わず適用できることに加え、締結の信頼性も高い。製造においては、締結する別個の部材それぞれに対して穿孔の加工を施し、部材同士を位置決めしてからファスナーを締結加工する。その際、間隔を空けて多数本のファスナーで部材同士を締結するのが一般的であり、上述の工程を所望のファスナー本数の回数繰り返すため、一連の工程は長時間を要しかつ効率性を高めるのも難しい。さらには、金属製であるファスナー自体の重量によって複合部材の軽量性が損なわれてしまうとの側面がある。
また別に、特許文献2には、強化繊維と熱硬化性樹脂のプリプレグからパネル状の部材を製造し、次いで補強部材であるストリンガーを接着剤で接着接合した態様の開示がある。接着剤は軽量な樹脂材料であり、ファスナーで見られるような複合部材の重量増を招くことは無い。また、接着接合の工程も、部材に穿孔する必要が無いため、ファスナーに対して比較的簡易との利点が認められる。
特許文献3には、強化繊維を含む複合材料からなる部材間を接着接合する態様において、接合部の強度を高めた構成が開示されている。複合部材の接合部の断面において、接着剤が接着剤と接する各々の部材の領域に対し、凹凸状に接する接合面を形成することによって接合部の強度が高まるとしている。類似の態様は特許文献4にも開示がある。
:国際公開第2010/046684号 :国際公開第2018/170330号 :国際公開第2006/089534号 :国際公開第2004/060658号
特許文献2~4に記載されたように、これらの接着剤にて部材間を接合する手段は、強化繊維を含む複合材料に対し、従来のファスナー締結に見られる課題に対して改良の方針を与えるものである。しかしながら、強化繊維と熱硬化性樹脂を含むプリプレグを補強部材または被補強部材とする場合、この種の材料に特有の、繊維の向く方向に応じて異なる剛性や強度を示すとの特性から、部材間の接合面の剥離する荷重が安定しないとの問題が見られる。この接合強度のバラツキは部材の接合部の設計を困難にするものであって、複合材料からなる部材間の接合で解決されるべき課題として残っている。
本発明の目的は、被補強部材に対し、補強部材が接着層を介して接合された複合部材において、前記被補強部材または補強部材の接着層と接する最表層が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグから構成されるとき、上記のような接合部の剥離に対する耐性の不安定性が抜本的に改善されることにより、設計が容易で信頼性の高い複合部材を提供することである。
本発明は、下記式(1)によるアスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さい補強部材が、接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接着層と接する補強部材の最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角αが30°≦α<90°である複合部材である。
アスペクト比=補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)・・・(1)
また、本発明の他の態様としては、下記式(1)によるアスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さい補強部材が、接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接着層と接する被補強部材の最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角βが30°≦β<90°である複合部材である。
アスペクト比=補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)・・・(1)
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記なす角αが30°≦α<90°である前記補強部材が接合される前記被補強部材において、前記なす角βが30°≦β<90°を満たすことである。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記接着層が熱硬化性樹脂から構成される。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも一種である。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記接着層が熱可塑性樹脂から構成される。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂から選択される少なくとも一種である。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記接着層が、少なくとも補強部材または被補強部材のいずれか一方または両方を構成する強化繊維を内包してなる。
本発明の複合部材の好ましい態様によれば、前記接着層の厚みが10μm以上500μm未満である。
補強部材が接着層を介して被補強部材と接合された複合部材において、補強部材が受ける主たる荷重の方向に対し、補強部材または被補強部材の最表層を構成する一方向プリプレグの強化繊維の配向方向が特定の範囲内にあることで、補強部材または被補強部材における破壊を誘引し、接合強度のバラツキが低減された複合部材を提供できる。
図1(a)は、本発明の複合部材の一例を示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)の補強部材を透視し、補強部材の接着層と接する最表層と被補強部材を表示した斜視図である。この例では、補強部材の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図1(c)は、図1(b)の上面視図である。 図2(a)は、本発明の複合部材の一例を示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)の補強部材を透視し、補強部材の接着層に接する最表層と被補強部材を表示した斜視図である。この例では、被補強部材の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図2(c)は、図2(b)の上面視図である。 図3(a)は、図2(a)と類似した複合部材の補強部材を透視し、補強部材の接着層と接する最表層と被補強部材を表示した斜視図である。この例では、補強部材と被補強部材の両方の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図3(b)は、図3(a)の上面視図である。 図4(a)は、補強部材が面内で曲げの形状を持つようなときの補強部材の例である。図4(b)は、補強部材が面外方向に曲げの形状を持つようなときの補強部材の例である。 図5(a)は、図4(a)の補強部材の接着層に接する最表層の上面視図である。図5(b)は、図4(b)の補強部材の接着層に接する最表層の斜視図であり、面外に曲げを持つ部分に定義される座標系x’y’を説明する図である。図5(c)は、図5(b)の上面視図である。
次に、本発明の成形品の実施形態の詳細を説明する。
本発明の複合部材は、長物形状の補強部材と、被補強部材と接着層とから成り、前記補強部材と前記被補強部材は前記接着層を介して接合され、前記補強部材または被補強部材の接着層と接する最表層の一部または全部が強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向が特定の範囲内にあることを特徴とする。
接着層に接する最表層の一部または全部が一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向が特定の範囲内にあるのは、前記補強部材だけでもよく、前記被補強部材だけでもよく、前記補強部材と前記被補強部材の両方であってもよい。
すなわち、前記補強部材の接着層に接する最表層の一部または全部の一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、前記補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角をαとすると、本発明の複合部材は30°≦α<90°である。
さらに、前記被補強部材の接着層に接する最表層の一部または全部の一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、前記補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角をβとすると、本発明の複合部材は30°≦β<90°である。
加えて、30°≦α<90°かつ30°≦β<90°であることが本発明の複合部材の好ましい態様として例示できる。
上面視においてなす角αを図1に例示する。図1(a)に、本発明の複合部材の一例が斜視図で示され、図1(b)に、図1(a)の補強部材を透視し、補強部材の接着層と接する最表層と被補強部材を表示する斜視図が示される。この例では、補強部材の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図1(b)を上面視した図が図1(c)であり、なす角αは図1(c)の5と15に例示される。また、上面視においてなす角βを図2に例示する。図2(a)に、本発明の複合部材の一例が斜視図で示され、図2(b)に、図2(a)の補強部材を透視し、補強部材の接着層と接する最表層と被補強部材を表示する斜視図が示される。この例では、被補強部材の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図2(b)を上面視した図が図2(c)であり、なす角βは図2(c)の6と16に例示される。また、なす角αとなす角β両方が同時に定義できる構造を図3に例示する。図3(a)に、図2(a)と類似した複合部材の補強部材を透視し、補強部材の接着層と接する最表層と被補強部材を表示する斜視図が示される。この例では、補強部材と被補強部材の両方の最表面に一方向プリプレグが配置されている。図3(a)を上面視した図が図3(b)であり、αとβはそれぞれ図3(b)の5、15と6、16に例示される。
前記補強部材または被補強部材において、なす角αまたはなす角βが前記のように規定されるのは、前記接着層に接する最表層の全部であることが好ましい。さらに、長物形状の補強部材では、その長手方向の端部において大きな荷重が負荷されるとの観点から、補強部材の長手方向の両端部のそれぞれにおいて、端部から補強部材の投影長さの10%までの範囲において規定されることが、特に好ましい。
炭素繊維を用いたプリプレグに代表される繊維強化材は、その破壊において脆性であり、ある荷重を超えると急激に破壊が進んで荷重を失ってしまうとの特性を示すことが多い。また、その荷重もバラツキを持つものである。この種の材料で接合構造を成す時、なす角αまたはなす角βが前記角度の範囲内にあれば、接合面で母材である補強部材または被補強部材の破壊を誘引しやすい。さらに、αまたはβが前記角度の範囲内にあるとき、母材の強度のバラツキが小さい。このことは、所望の強度近傍において接合構造の破壊を誘引できることを意味し、これにより接合強度の安定した複合部材が得られる。
なす角αまたはなす角βの範囲としては、45°<α<85°または45°<β<85°がより好ましく、60°<α<85°または60°<β<85°がさらに好ましい。なす角αまたはなす角βが、45°ないし60°より大きいことで、補強部材または被補強部材の強度のバラツキがさらに小さくなり、複合部材の強度を安定させることができる。また、なす角αまたはなす角βが85°より小さいことで、複雑形状への賦形性が向上する。その結果、接合面の形状が安定して得られるため、複合部材の強度を安定させることができる。
[補強部材]
本発明の補強部材は、アスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さいことを特徴とする。ここで、補強部材のアスペクト比とは、補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)として定義される。ここで、投影長さとは、補強部材の上面視による投影形状の、形状に沿った寸法の内最も大きいものとして定義され、投影幅は、前記上面視による投影形状において、前記投影長さ方向に略垂直な方向の寸法の平均値として定義される。
補強部材のアスペクト比は、10よりも大きく10,000,000よりも小さいことがより好ましく、100より大きく10,000より小さいことが一層好ましい。アスペクト比を大きくすることで、荷重方向に対する補強効果効率を高めることができる。また、補強部材の投影長さをそのままに補強部材の投影幅を大きくするときアスペクト比は小さくなるが、補強部材の投影幅を大きくすることで、補強部材の断面二次モーメントを高め、耐座屈性能を向上し、補強効果を高めることができる。
補強部材は、それ自体の剛性によって、補強部材と接合される被補強部材と一体化された複合構造において、補強部材の投影長さの長手方向の変形を拘束するものである。
この補強部材の効果は、複合構造に曲げあるいは捩じりの負荷が生じたときに最も効果的に発現する。効果の発現を高めるために、断面二次モーメントの高い補強部材の断面形状を選択するのが好ましい。断面二次モーメントを高めつつ、補強部材の軽量性を高めるために、中空断面の補強部材とすることができる。ここでの中空とは、補強部材が被補強部材との接合部の断面において、補強部材と被補強部材の間に閉じた空間ができることを指す。いわゆるハットストリンガーやオメガストリンガーと呼ばれる補強部材の形態で実現できる。
補強部材は、被補強部材の形状に沿うように、補強部材の長手方向に捩れあるいは曲げを持つ形状とすることもできる。補強部材には、被補強部材と接合されるための部位があり、その部位は平面あるいは曲面状となっていてもよい。この補強部材の接合面の形状は、被補強部材側の接合面の形状と一致しており、補強部材と被補強部材とを合わせた際に、接合面に亘って接している、または凡そ均一なクリアランスを持っていることが、接合強度の安定性を高める上で好ましい。
補強部材が捩れあるいは曲げの形状を持つようなときの補強部材の投影長さと投影幅を模式的に図4に例示する。図4(a)には、補強部材が面内で曲げの形状を持つ場合の補強部材が例示され、図4(b)には、補強部材が面外方向に曲げの形状を持つ場合の補強部材が例示される。
なお、補強部材が捩れあるいは曲げの形状を持つようなとき、補強部材の投影長さの長手方向は、長手形状の位置それぞれにおいて、形状に沿った上面視における投影長さの長手方向として定義される。形状に沿って定義される投影長さの長手方向と上面視方向を模式的に図5に例示する。図5(a)には、図4(a)の補強部材を透視し、接着層に接する最表層を上面視にて表示する。この例では、最表層の強化繊維の配向角度は、空間に対して一定であるが、補強部材の投影長さの長手方向が、補強部材の投影長さの長手方向の位置に従って変化するため、なす角αの大きさが、補強部材の投影長さの長手方向の位置に応じて異なる。補強部材の投影長さの長手方向の位置に応じて大きさの異なるなす角αが37に例示される。図5(b)には、図4(b)の補強部材を透視し、接着層に接する最表層を斜視にて表示する。この例では、補強部材が面外に曲げ形状を持つため、上面視方向が、補強部材の投影長さの長手方向の位置に従って異なる。補強部材の両端では、上面視方向に略垂直な平面がxy平面であり、補強部材の中央の傾斜部では、上面視方向に略垂直な平面がx’y’平面であることが例示される。図5(c)はxy平面とx’y’平面それぞれで定義されるなす角αを説明するものであり、図5(b)が上面視で表示される。補強部材の両端では上面視方向がxy平面に略垂直であるので、なす角αはxy平面で定義され、補強部材の中央の傾斜部では、上面視方向がx’y’平面に略垂直であるので、なす角αはx’y’平面で定義される。この時のなす角αは47に例示される。また、上述の例では、なす角αを説明の題材としたが、なす角βについても、なす角αと同様に定義される。
本発明に係る補強部材の構成要素であるプリプレグとは、強化繊維に熱硬化性樹脂を含ませたシート状の成形材料である。
強化繊維の種類としてはとくに限定されず、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などを使用でき、これらを組み合わせたハイブリッド構成とすることも可能である。成形品の製造の強度を高めるために炭素繊維を含む形態が好ましい。
本発明のプリプレグに含まれる熱硬化性樹脂は、各種の熱硬化性樹脂を使用可能である。エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂およびそれらの変性樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、エポキシ樹脂は機械的特性に優れることから好ましい。耐熱性が必要な用途には、シアネートエステル樹脂もしくはビスマレイミド樹脂を選択すると良い。
本発明の補強部材は、補強部材の一部または全部が、熱硬化性の一方向プリプレグから構成されることが好ましい。連続状の繊維を一方向に引き揃えた繊維シートに樹脂を含浸させた一方向プリプレグは、強化繊維の強度特性が効率よく発揮される態様である。強化繊維の配向方向に対して高い弾性率や強度を発現することから、補強部材に所望の厚さや剛性、強度を与えるために、一方向のプリプレグの積層体であっても良い。等方的な性質を持たせる目的で、繊維角度を変えながら一方向プリプレグを積層したものを焼き固めることで得られる積層複合板の形態は、被補強部材に好適に用いることができる。
生産性に優れる被補強部材の態様としては、金属材料からなる成形物が挙げられる。この場合、軽量性と強度のバランスから、アルミ合金の利用が好ましく、とりわけアルミ-リチウム合金が好ましい。
本発明に係る補強部材を製造するには、オートクレーブ成形法、プレス成形法、紫外線照射法を好ましく利用できる。中でもオートクレーブ成形法は、プリプレグの積層体に対して、熱量と圧力を精度よく与えることができるため、補強部材の品質を高めることができることから航空機用途に適している。さらには、積層体が繊維基材を含む場合には、いわゆるレジントランスファーモールディング(RTM)法を好ましく用いることができる。繊維基材の中の空隙に対し、真空圧または加圧の手段により、マトリックス樹脂を積層体の外部から注入して前記空隙を樹脂で満たしつつ、積層体を所望の温度環境に保持することによりマトリックス樹脂とプリプレグに含まれる樹脂の硬化を誘起して焼き固めた積層複合板を得ることができる。上記マトリックス樹脂の種類に制限は無いが、プリプレグと同種の樹脂を用いることができる。また、所望の耐熱性や機械物性、繊維基材への含浸性を適正化するためにマトリックス樹脂の組成は適宜調節される。
[被補強部材]
本発明の被補強部材は、パネル状の部材である。航空機の翼や胴体等のいわゆる外殻を為すものとして例示できる。特に航空機を始めとする飛行体では、被補強部材には軽量性が要求される。パネル状の部材は、構造としての剛性を高めようと板厚を増すと、軽量性を損なうようになる。そのため、上述の補強部材と一体化した複合部材の構成として使用するのが好ましい。
被補強部材を構成する材料としては、補強部材に用いた材料と同種のものを用いることができる。
引き揃えられた強化繊維に熱硬化性樹脂を含ませた一方向プリプレグは、自動積層機(Automated Tape Layup(ATL)システム)との親和性が高く、とくに被補強部材が大面積のパネル形状である場合、生産性を飛躍的に高めることができるので好ましい。
生産性に優れる被補強部材の態様としては、金属材料からなる板金された面状成形物が挙げられる。この場合、軽量性と強度のバランスから、アルミ合金の利用が好ましく、とりわけアルミ-リチウム合金が好ましい。
本発明の被補強部材は、接着層を介して補強部材と接合されるので、補強部材が主たる荷重を受ける状況においては、荷重が伝達される被補強部材の最表層は、運動の第3法則に従って前記荷重と逆方向であって同等の規模の荷重を受ける。したがって、被補強部材の接着層に接する最表層は、補強部材の接着層に接する最表層と同等の接合強度のバラツキを有することが好ましい。
[接着層]
本発明に係る接着層は、補強部材と被補強部材との間に介在することにで、複合部材に与えられた外力を補強部材と被補強部材とに分配する機能を持つ。これにより、複合化された部材は設計上の剛性と耐力を獲得しうる。
接合が強固であることに加えて、複合部材の軽量性を損なわないために、接着層の構成要素は、樹脂材料から選択することが好ましい。
接着層に用いる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも一種から選択することが好ましい。
接着による複合化においては、硬化して固化状態にある補強部材および被補強部材の間に、未硬化状態にあるこれら樹脂材料を接着層として配し、熱および圧力を加えることにより接着層を固化して接合された複合部材を得ることができる。補強部材または被補強部材が未硬化の状態にあっても、その間に接着層となる樹脂材料を塗布または配置し、補強部材または被補強部材に含まれる熱硬化性樹脂を固化せしめつつ、接着層を硬化させて複合部材を得ることもできる。
接着層の固化は、オートクレーブもしくは類似の加熱または/および加圧の機構を有する成形装置で実施することができる。
さらには、熱可塑性樹脂からなる接着成分が表面に固定された補強部材および被補強部材を製造し、各々の部材の表層にある熱可塑性樹脂を接着層として利用することで接合することも可能である。
補強部材および被補強部材の製造は、熱硬化性樹脂を含んだプリプレグの最表層に、接着成分となる熱可塑性樹脂からなるシート状物を積層したものを、熱可塑性樹脂の融点以上で保持しつつ、加圧によりプリプレグを所望の形状に賦形するとともに、プリプレグと熱可塑性樹脂とを一体化する方法を例示できる。
前記補強部材と前記被補強部材とを、熱溶着により接合したことを特徴とする複合部材であることが好ましい。赤外線やレーザー等の手段により、接合部となる部位を加熱せしめた後、補強部材と被補強部材とを押し付けて溶着する方法を例示できる。また別に、超音波溶着法や誘導溶着法の手段も利用可能である。
熱可塑性樹脂からなるシート状物の形態はとくに限定されないが、不織布、フィルム、マット、織物、編物、引き揃えられた連続状の樹脂繊維が目止めされて形態が固定された布巾(いわゆるNCF:Non-crimp fabric)の形態であることが取り扱い性の観点から好ましい。目付の均一性に優れる不織布の形態は、成形品の表面に均一な熱可塑性樹脂の層を与えることができることから好ましい。
プリプレグに含まれる熱硬化性樹脂の溶融粘度が低い構成においては、フィルムの形態を好ましく選択できる。無孔状のフィルムであると、プリプレグから熱硬化性樹脂の成形品表面への流出が効果的に防止され、成形品表面に熱可塑性樹脂の純度が高い熱可塑性樹脂層を形成できるとの利点を有する。
接着層に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂(PI樹脂)及びポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)を含む熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)及びポリエーテルケトンケトン樹脂(PEKK樹脂)を含むポリアリールエーテルケトン系樹脂、ポリサルホン樹脂(PSU樹脂)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES樹脂)及びポリフェニレンサルホン樹脂(PPSU樹脂)を含む芳香族ポリエーテルサルホン系樹脂、およびそれらの変性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。成形品の成形性と耐熱性を両立する観点では、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂から選択される少なくとも一種を好ましく利用できる。
前記接着層が、少なくとも補強部材または被補強部材のいずれか一方または両方を構成する強化繊維を内包してなることが好ましい。補強部材の強化繊維と、被補強部材の強化繊維とが接着層内にともに存在することで、接着層内部の応力の乱れが小さくなる。結果として、接着層で高応力の部位が小さくなることを意味し、接合界面の強度が高められた構成として例示できる。接合界面での破壊を抑止することで、接合強度のバラツキを低減することができる。
本発明の複合部材において、接着層の厚みが10μm以上500μm未満であることが好ましい。接着層の厚みが薄ければ、接着層が補強部材と被補強部材の形状差(いわゆる部材間の寸法誤差)を吸収できないことがあり、接着不良を招きやすい。厚みが厚い場合においても、接着層に気泡を含みやすくなり、接合強度のバラツキを増加させる一因である。接合強度の安定性を高める点では、接着層の厚みは、より好ましくは12μm以上150μm未満、さらに好ましくは15μm以上50μm未満を例示できる。
接着層の強度や厚みを制御するために、接着層には充填材を含ませても良い。かかる充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械特性を得る意味において好ましい。
強度および寸法安定性等を向上させるため、かかる充填剤を用いる場合、その配合量に特に制限はないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して50~400重量部配合することが好ましい。
接着層の機械的特性を高め、接合強度を高めるために、接着層には繊維基材を含ませても良い、かかる繊維基材の形態としては、織物、編物、不織布といった形態が好ましい。この種の繊維材料は賦形性が高いため、形状に沿わせるときに皺を作りにくく、補強材と被補強材のクリアランスへの適合性が高いとの利点がある。繊維基材の繊維の種類としてはとくに限定されず、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などを使用でき、これらを組み合わせたハイブリッド構成とすることも可能である。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[原料]
強化繊維:炭素繊維“トレカ”(登録商標)T800S。東レ株式会社製。
熱硬化性樹脂:エポキシ樹脂3900-2。東レ株式会社製。
熱可塑性樹脂:ポリアミド6樹脂(融点225℃、重量平均分子量30,000)。東レ株式会社製
[成形材料]
プリプレグ:一方向に引き揃えられた炭素繊維T800Sからなる繊維基材の上下面に、エポキシ樹脂3900-2からなる樹脂フィルムを配し、ホットメルト法で樹脂を繊維束内に含浸させ、一方向プリプレグを製造した。プリプレグの厚みは0.20mm、炭素繊維の体積含有率は52%であった。
フィルム接着剤:熱硬化性エポキシ系接着剤FM-300。SOLVAY S.A.社製。
シート状物:ポリアミド6樹脂を、樹脂温度300℃にてプレス成形して薄膜状とした後、冷却速度は50℃/分で室温まで冷却することでフィルムを得た。フィルムの目付は102g/mであった。
〔実施例1〕
30cm角としたプリプレグを[75/-15]2sの順に平面形状に積層し積層体とした。この積層体をシール材内に配置し、真空引きを実施しつつ、最高到達温度T=180℃、加圧0.4MPa、保持時間3時間の条件でオートクレーブ成形を行い、被補強部材を得た。
また、30cm×25cm角としたプリプレグを[75/-15]2sの順にハット形状の賦形型に積層し、投影長さ方向の寸法が30cmであり、投影幅方向の寸法が150mmであって、アスペクト比が2であるハット形状の積層体とした。積層体においては、積層体の投影幅方向両端部に、接着層と接する部分を設けてあり、接着層と接する部分の投影幅方向寸法は、両端部それぞれにおいて5cmとした。この積層体をシール材内に配置し、真空引きを実施しつつ、最高到達温度T=180℃、加圧0.4MPa、保持時間3時間の条件でオートクレーブ成形することにより補強部材を得た。
補強部材と、被補強部材を重ね合わせ、その間にフィルム接着剤を配置し、成形材料とした。この成形材料をシール材内に配置し、真空引きを実施しつつ、最高到達温度T=180℃、加圧0.3MPa、保持時間1時間にて両部材間を接合することにより複合成形品を得た。補強部材と被補強部材を重ね合わせる際に、補強部材の投影長さ方向と、被補強部材の接着層に接する最表層の強化繊維の配向角度が一致するように、補強部材と被補強部材を配置した。このとき、なす角α=75°であり、なす角β=75°であった。
得られた複合成形品に対し、補強部材の投影長さ方向に曲げ変形が生じるように、接合部に破壊が生じるまで、試験機を用いて4点曲げによる荷重を加えた。破壊後の複合成形品の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。
さらに、得られた複合成形品より、補強部材の投影長さ方向を負荷方向とする接手形状の試験片を切り出し、ISO4587-2003に準じてシングルラップシア試験を実施した。接合強度は22MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。
〔実施例2〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[30/-60]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[30/-60]2sとし、その他は実施例1と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例1と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=30°であり、なす角β=30°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、20MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。
〔実施例3〕
30cm角としたプリプレグを[75/-15]2sの順に平面形状に積層し、同様に30cm角としたシート状物をその最上面に配すことにより積層体とした。この積層体を金型内に配置し、初期金型温度Ti=240℃、加圧力2.2MPa、圧力保持時間15分の条件で成形したのち、金型温度を保持したまま、脱型時における最終金型温度Te=90℃にて成形金型より取り出し、シート状物を接着層とした被補強部材を得た。
また、30cm×25cm角としたシート状物をハット形状の賦形型に配置し、同様に30cm×25cm角としたプリプレグを[75/-15]2sの順にシート状物の上に積層し、投影長さ方向の寸法が30cmであり、投影幅方向の寸法が150mmであって、アスペクト比が2であるハット形状の積層体とした。積層体においては、積層体の投影幅方向両端部に、接着層と接する部分を設けてあり、接着層と接する部分の投影幅方向寸法は、両端部それぞれにおいて5cmとした。この積層体を金型内に配置し、初期金型温度Ti=240℃、加圧力2.2MPa、圧力保持時間15分の条件で成形したのち、金型温度を保持したまま、脱型時における最終金型温度Te=90℃にて成形金型より取り出し、補強部材を得た。
補強部材と、被補強部材の熱可塑性樹脂層を配した側の面同士を互いに接するように重ね合わせ、金型温度250℃、加圧力1.0MPa、圧力保持時間4分にて両部材間を接合することにより複合成形品を得た。重ね合わせる際に、補強部材の投影長さ方向と、被補強部材の接着層に接する最表層の強化繊維の配向角度が一致するように、補強部材と被補強部材を配置した。このとき、なす角α=75°であり、なす角β=75°であった。
得られた複合成形品に対し、実施例1と同様に4点曲げによる荷重を加えた。破壊後の複合成形品の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。さらに、得られた複合成形品より、実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、22MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。
〔実施例4〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[30/-60]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[30/-60]2sとし、その他は実施例3と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例3と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=30°であり、なす角β=30°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、20MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で補強部材の母材破壊により破壊していた。
〔比較例1〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[20/-70]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[20/-70]2sとし、その他は実施例1と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例1と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=20°であり、なす角β=20°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、24MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で接着層の凝集破壊により破壊していた。
〔比較例2〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[5/-85]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[5/-85]2sとし、その他は実施例1と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例1と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=5°であり、なす角β=5°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、28MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で接着層の凝集破壊により破壊していた。
〔比較例3〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[20/-70]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[20/-70]2sとし、その他は実施例3と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例3と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=20°であり、なす角β=20°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、30MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で接着層の凝集破壊により破壊していた。
〔比較例4〕
被補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[5/-85]2sとし、補強部材を得るためにプリプレグを積層する際の積層順を[5/-85]2sとし、その他は実施例3と同様の手順で補強部材、被補強部材を作成し、実施例3と同様の手順で両者を接合して複合成形品を得た。このとき、なす角α=5°であり、なす角β=5°であった。
得られた複合成形品から実施例1と同様に接手形状の試験片を切り出し、接合強度を評価したところ、44MPaであった。破壊後の試験片の接合面の近傍を顕微鏡で拡大観察した結果、接合面で接着層の凝集破壊により破壊していた。
1:補強部材1
2:補強部材1の投影長さの長手方向
3:補強部材1の接着層に接する最表層
4:補強部材1の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向
5:補強部材1の投影長さの長手方向と補強部材1の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向がなす角α
6:補強部材1の投影長さの長手方向と被補強部材の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向がなす角β
11:補強部材2
12:補強部材2の投影長さの長手方向
13:補強部材2の接着層に接する最表層
14:補強部材2の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向
15:補強部材2の投影長さの長手方向と補強部材2の接着層に接する最表層の強化繊維方向がなす角α
16:補強部材2の投影長さの長手方向と被補強部材の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向がなす角β
21:被補強部材
22:被補強部材の強化繊維の配向方向
31:面内で曲げ形状を持つ補強部材3
32:補強部材3の上面視による投影形状
33:補強部材3の投影長さの概略寸法
34:補強部材3の投影幅の概略寸法
35:補強部材3の投影長さの長手方向
36:補強部材3の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向
37:補強部材3の投影長さの長手方向と補強部材3の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向がなす角α
41:面外に曲げ形状を持つ補強部材4
42:補強部材4の上面視による投影形状
43:補強部材4の投影長さの概略寸法
44:補強部材4の投影幅の概略寸法
45:補強部材4の投影長さの長手方向
46:補強部材4の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向
47:補強部材4の投影長さの長手方向と補強部材3の接着層に接する最表層の強化繊維の配向方向がなす角α
48:補強部材4の接着層に接する最表層の内xy平面と平行な部分
49:補強部材4の接着層に接する最表層の内x‘y’平面と平行な部分
本発明の複合部材は、高い耐荷重性能接合強度の安定性を有することから、信頼性が要求される航空機材を含む移動体、スポーツ用途および電子機器筐体に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記式(1)によるアスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さい補強部材が、接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接着層と接する補強部材の最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角αが30°≦α<90°である複合部材。
    アスペクト比=補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)・・・(1)
  2. 下記式(1)によるアスペクト比が1よりも大きく1,000,000,000よりも小さい補強部材が、接着層を介して被補強部材と接合された複合部材であって、接着層と接する被補強部材の最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角βが30°≦β<90°である複合部材。
    アスペクト比=補強部材の投影長さ(m)/補強部材の投影幅(m)・・・(1)
  3. 前記補強部材が接合される前記被補強部材の接着層と接する最表層の一部または全部が、強化繊維と熱硬化性樹脂を含む一方向プリプレグにより構成され、前記一方向プリプレグの強化繊維の配向方向と、補強部材の投影長さの長手方向とにおける、上面視においてなす角βが30°≦β<90°を満たす請求項1に記載の複合部材。
  4. 前記接着層が熱硬化性樹脂から構成される請求項1~3のいずれかに記載の複合部材。
  5. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載の複合部材。
  6. 前記接着層が熱可塑性樹脂から構成される請求項1~3のいずれかに記載の複合部材。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂から選択される少なくとも一種である請求項6に記載の複合部材。
  8. 前記接着層が、少なくとも補強部材または被補強部材のいずれか一方または両方を構成する強化繊維を内包してなる請求項1~7のいずれかに記載の複合部材。
  9. 前記接着層の厚みが10μm以上500μm未満である請求項1~8のいずれかに記載の複合部材。
JP2021176309A 2021-10-28 2021-10-28 複合部材 Pending JP2023065898A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021176309A JP2023065898A (ja) 2021-10-28 2021-10-28 複合部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021176309A JP2023065898A (ja) 2021-10-28 2021-10-28 複合部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023065898A true JP2023065898A (ja) 2023-05-15

Family

ID=86322392

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021176309A Pending JP2023065898A (ja) 2021-10-28 2021-10-28 複合部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023065898A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3894035B2 (ja) 炭素繊維強化基材、それからなるプリフォームおよび複合材料
US10427330B2 (en) Hybrid lay-up mold
AU2005289392B2 (en) Thin ply laminates
US20140144568A1 (en) Bonding of composite materials
US11926111B2 (en) Manufacturing method for fiber-reinforced plastic composite
JP4899692B2 (ja) 強化繊維織物とその製造方法
WO2007013204A1 (ja) 強化繊維織物とその製造方法
JP6932926B2 (ja) 筐体
JP6273804B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形体の製造方法
US10913223B2 (en) Fibre reinforced composites
WO2013008720A1 (ja) 熱可塑性樹脂プリプレグ、それを用いた予備成形体および複合成形体、ならびにそれらの製造方法
JPH04312237A (ja) 積層型制振材料および該制振材料を内層に有する繊維            強化複合材料ならびにその作製方法
JP2009235182A (ja) プリフォーム用基材とその製造方法
JP2010214704A (ja) 極細繊維からなるバインダーを用いたプリフォーム用基材とその製造方法
JP2006347134A (ja) 繊維強化樹脂積層体及び繊維強化樹脂積層体の製造方法
JP2006103305A (ja) プリフォーム用基材
US20220212426A1 (en) Fiber-reinforced resin substrate, integrated molded article, and method for manufacturing fiber-reinforced resin substrate
JP2023065898A (ja) 複合部材
JP3127947B2 (ja) 複合成形物
JP2023065897A (ja) 複合部材
JP2005213469A (ja) 強化繊維基材、プリフォーム、複合材料および強化繊維基材の製造方法
WO2021131347A1 (ja) プリプレグ、成形体および一体化成形体
JP2004035604A (ja) セミ含浸プリプレグ
JP2009235175A (ja) プリフォーム用基材とその製造方法及び熱硬化性バインダー樹脂粉末
JP7088433B1 (ja) プリプレグ、成形体および一体化成形体