JP4578068B2 - シェル用積層体及びこれを用いた圧力容器 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、シェル用積層体、圧力容器、燃料タンク及び圧力容器製造方法に係り、更に詳細には、軽量・高性能及び低コスト化を同時に推進できる保護層、バリア層及び圧力・強度保持層を有するシェル用積層体、圧力容器、燃料タンク及び圧力容器製造方法に関するものである。
また、本発明の燃料タンクは、液体及び気体燃料をロケットなどに搭載するための宇宙産業用燃料用タンクとして好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来のロケットの液体燃料用のタンクは、燃料(液体酸素、液体水素)の気密性、強度、使用条件等の要求からアルミ材(アルミ合金)又は鋼材が主流であった。
しかしながら、近年では宇宙ステーションの建設などの計画でロケットの軽量化が最重要課題とされ、とりわけロケット単位で一番重量比の高いタンクについての軽量化が求められている。その課題を克服すべく、最近アルミ−FRPのハイブリッドタンクが研究されているが、アルミの比重やハイブリッド化の製造技術などで未だ問題が多く、技術的には確立されていないのが現状である。
【0003】
一方、自動車用の天然ガス燃料用タンクとして熱可塑性プラスチックをライナー材としたタンクが提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−332085号公報
【0005】
この燃料タンクはライナー材としてポリエチレンを使用しており、単体ではそのバリア性機能が十分ではなく、ライナー材の厚さを厚くして使用したり、また他の材料とハイブリッド化して使用しなければならず、ロケット用の液体燃料タンクとしては、軽量化に欠けるものとなっている。
また、ライナー材が薄膜で内側に露出している場合、製造時・燃料収納時・輸送時等にライナー材に傷等の欠陥が発生する恐れがあり、ロケット用の液体燃料タンクとしては、信頼性に欠けるものとなっている。
更に、ライナー材を別成形とした場合、ライナー材の取扱い(特に薄膜の場合など)が難しく信頼性に欠けるものとなるばかりか、別成形用の型及び別工程が必要となるため高価なものとなっている。
【0006】
また、ガスバリア機能に優れる液晶ポリマーをライナー材に用いた液体燃料用タンクも提案されているが、ライナー材の成形方法がブロー成形であり、その製法上厚さを微妙に制御することが困難である。従って、ロケット用の液体燃料タンクとしては信頼性に欠けるものである。また、成形時にブロー成形用の別型が必要であることから、高価なものになってしまっている(例えば非特許文献1)。
【0007】
【非特許文献1】
AIAA 95−2355
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量であるにも拘らず耐圧性及びガスバリア性に優れ、製造工程が簡単であるとともに製造コストが低く、宇宙産業用としての信頼性が高い、シェル用積層体、圧力容器、燃料タンク及び圧力容器製造方法を提供することにある。勿論、一般産業用途に使用することが適切であることは言うまでもない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フィラメントワインディング法により形成する所定の3層構造を採用することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明のシェル用積層体は、保護層、バリア層及び圧力・強度保持層をこの順に積層したシェル用積層体であって、
上記保護層は厚さが5μm〜5mmで平均厚さに対するバラツキが±20%以内であり、上記バリア層は厚さが30μm〜3mmであり且つ平均厚さに対するバラツキが±20%以内である熱可塑性プラスチックより成り、上記圧力・強度保持層は樹脂を含浸させた補強繊維糸を該バリア層上に編成して成り、
上記バリア層の軟化温度が、上記圧力・強度保持層の軟化温度より高いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の圧力容器は、上記シェル用積層体を用いたシェル部と、少なくとも1つの開口に設けた口金部と、を有する圧力容器であって、
上記シェル部は最外層が圧力・強度保持層となるように配置され、上記口金部とバリア層及び/又は保護層とがシェアプライ層を介して接合されていることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の燃料タンクは、上記圧力容器を用いた燃料タンクであって、 口金部を介して燃料を貯留及び放出できることを特徴とする。
【0013】
更にまた、本発明の圧力容器製造方法は、上記圧力容器を製造するに当たり、マンドレルに保護層を設置し、該保護層上にバリア層及び圧力・強度保持層をこの順にフィラメントワインディング法により積層することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシェル用積層体について、詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0015】
上述の如く、本発明のシェル用積層体は、保護層、バリア層及び圧力・強度保持層をこの順に積層して成る。
ここで、上記バリア層により、燃料タンクに燃料を収納したときに、タンクからの燃料の漏出が防止される。バリア層は、ガス透過性が10cc・mm/m2・day・atm at O2gas以下の熱可塑性プラスチック(液晶ポリマー,エチレン酢酸ビニル共重合体等)が好ましく、これにより、燃料の漏出が極力防止可能となる。また、極低温(−100〜−270℃)でも柔軟性に優れ、伸縮性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることも好ましく、これによりタンク加圧/減圧時の繰返し変形に対応可能となる。
【0016】
また、上記バリア層の平均厚さに対するバラツキは±20%以内とする。±20%を超えると、積層体及びこれを用いた燃料タンクの信頼性が低下してしまう。厚さの精度を±20%以内に確保できる製造方法としては、後述するフィラメントワインディング法(FW法)やハンドレイアップ法などの従来からある公知の成形技術を採用できる。
【0017】
更に、上記バリア層の厚さは、30μm〜3mmであることが好適である。なお、30μm未満では、燃料漏洩の原因となり、品質の低下を招くことがあり、3mmを超えると重量増加、過剰性能となることがある。
【0018】
また、上記圧力・強度保持層は、樹脂を含浸させた補強繊維糸を上記バリア層上に編成して成る。このような圧力・強度保持層であれば、積層体やこれを用いて成る燃料タンクの耐圧性能及び剛性が向上するので有効である。
更に、上記圧力・強度保持層は、上記「樹脂を含浸させた補強繊維糸」をFW法などで上記バリア層上に編成した後に、加熱し溶融又は硬化させて成形した繊維強化プラスチック(FRP)より成る層であることが好ましい。
【0019】
上記補強繊維糸としては、高強度・高弾性率繊維が好適であり、具体的には、炭素繊維糸、ガラス繊維糸及び有機高弾性糸(例えば、ポリアラミドや液晶ポリマーなど)が例示でき、これらは単独での使用に限定されず、2種以上を併用して用いることもできる。また、無機繊維糸を用いることもでき、この場合は屈曲による応力集中を小さくし、ボイドの発生を減少させることができる。但し、糸の継ぎ目や毛羽の混入による強度特性の低下防止、耐衝撃性能の低下防止などの観点からは、炭素繊維を用いることが特に好ましく、このときは比強度及び比弾性率が優れ、ワインディング時の糸切れや毛羽の発生が殆どなく、生産性が向上し得る。
また、上記補強繊維糸に含浸させる樹脂としては、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂が例示できる。特に、上記バリア層の軟化温度が、上記圧力・強度保持層の軟化温度より高くなるような樹脂を用いることが好ましく、この場合は精度良く成形したバリア層の厚さに影響を与えにくいので有効である。
【0020】
また、上記保護層は、厚さが5μm〜5mmで平均厚さに対するバラツキが±20%以内である。このような保護層であれば、積層体やこれを用いた燃料タンクの製造時、燃料貯留・輸送時などに、上記バリア層が保護され得る。言い換えれば、軽量化のために極薄としたバリア層の破損が防止される。
上記保護層としては、代表的には、伸縮性のある熱可塑性プラスチック、シリコンゴム、ポリブタジエンゴムなどのクッション作用を有するものを材料とすることが望ましい。また、上記保護層は容器内に貯蔵する物質によっては、その物質との化学的な適合性を確保する材質とする場合もある。
なお、上記保護層の厚さが5μm未満ではバリア層に傷がつきやすく、燃料漏洩の原因となることがあり、5mmを超えると重量増加、過剰反応となることがある。また、上記保護層の製造方法は上述のバリア層とほぼ同様である。
【0021】
更に、上記バリア層と上記保護層、及び上記バリア層と上記圧力・強度保持層は、接着されていることが構造安定性等の面から望ましい。この場合の接着方法としては、各層間にプライマー(例えば、アミノシラン系やエポキシシラン系など)を塗布するなどの化学的な処理方法、プラズマ処理などを施して各層間を物理的に処理する方法が例示できる。これらの接着方法は単独で行ってもよいが、両者を組合せて採用するとより接着力を向上できる。
【0022】
次に、本発明の圧力容器及び燃料タンクについて、詳細に説明する。
本発明の圧力容器は、上述のシェル用積層体を用いたシェル部と、少なくとも1つの開口に設けた口金部と、を有する。かかる圧力容器は、上記シェル用積層体を用いて成るため、十分なガスバリア性を有し、内部層としての十分な強度を有するので、製造時や燃料を貯留・放出したときの信頼性が高い。例えば、図1に示すように、ほぼ球状であって中心軸上の両端に口金部を有する圧力容器(燃料タンク)を挙げることができる。
また、上記シェル部は、図2に例示するように、最外層が圧力・強度保持層となるように配置され、上記口金部とバリア層及び/又は保護層とがシェアプライ層を介して接合されている。
【0023】
ここで、上記口金部は、金属、樹脂及び繊維強化プラスチック(FRP)のいずれをも材料とすることができる。例えば、金属としては、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル又はチタン、及びこれらを任意に組合わせた合金材料、並びにステンレス鋼などを挙げることができる。また、樹脂としては、ナイロン6などのポリアミド類、液晶ポリマーなどのポリエステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどを挙げることができる。更に、圧力容器の軽量化の面からは、アルミニウム、チタン及び炭素繊維/エポキシなどのFRPを用いることがよい。
【0024】
また、上記口金部の強度や厚さ等は、圧力容器の形状・大きさ、充填する媒体(ガスや液体など)の種類・圧力などに応じて適宜設定することが望ましい。口金部の強度は、シェル用積層体を構成する補強繊維糸の種類、糸の直径、糸の形態、積層体の形状・厚さなどを組合せることで、目的に合致した好適範囲に調整できる。
【0025】
以上説明した圧力容器は、代表的には、口金部を介して燃料の貯留(充填)及び放出(供給)が可能な燃料タンクとして使用される。充填できる燃料の種類は特に限定されず、例えば、液化天然ガス(LNG)、液体酸素(LOX)、液体水素(LH2)及びヘリウムガスなどが挙げられる。
【0026】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の燃料タンクの一例を詳細に説明する。
図1に燃料タンク1の縦断面図及び全体図(側面図)を示す。この燃料タンク1のシェル部は、ガスバリア性を有するバリア層5に、外側から圧力・強度保持層2を被覆し、内側から保護層5’を被覆して成る。また、燃料タンク1は、円筒状の円胴部3’と、この円胴部3’の両端に接合されたほぼ半球状の肩部3とより成る。更に2つの肩部3の先端(極部)には口金部4が取り付けられている。
【0027】
図2に肩部3の口金部近傍の拡大図を示す。口金部4とバリア層5はシェアプライ層6を介して接合されており、このシェアプライ層6は、燃料タンクに圧力をかけた際に発生する口金部4とバリア層5のせん断応力を緩和するものである。 また、シェアプライ層6の材質や厚さなどは、耐圧容器の形状・大きさ、充填するガスの種類・圧力に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリブタジエン、NBR、EPDM、シリコンゴム、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂及び液晶ポリマーなどを用い、厚さが5μm〜10mm程度のものが例示できるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0028】
更に、シェアプライ層6は、口金部4との接着と成形を兼ねた一体成形、即ち、シェアプライ層6を予め口金部4に接着させておき、その後マンドレルに組付け、バリア層5を成形することができる。かかる一体成形を行うときは、プライマーや接着剤を使用する化学的処理、口金部4の表面にプラズマ処理やサンドブラスト処理を施す物理的処理、を単独又は組合せて採用して、口金部4とシェアプライ層6の接着力を強固なものとすることができる。
また、シェアプライ層6とバリア層5は、バリア層5の成形時に接着又は熱融着させることができ、上記シェアプライ層6と口金部4の接着方法と同様の方法を採用できる。
なお、シェアプライ層6を単独で成形し、接着剤を介して口金部4やバリア層5と接着する方法も採用できるが、より簡略である上記一体成形を採用することが望ましい。
【0029】
次に、本発明の圧力容器の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の圧力容器の製造方法では、マンドレル(芯型)を使用し、各層をフィラメントワインディング法(FW法)により積層する。
具体的には、まず、所望容積及び所望形状のマンドレルに保護層を設置する。
次いで、この保護層上に熱可塑性プラスチックのフィルム又は連続フィラメントをFW法により所望の厚さまで巻装し、バリア層を形成する。更に、このバリア層上に、所定の補強繊維糸より成るフィルム又は連続フィラメントをFW法により所望の厚さまで巻装し、圧力・強度保持層を形成する。その後、マンドレルを取り除き、本発明の圧力容器を得る。
【0030】
なお、上記製造方法においては、マンドレルと保護層との間に離型用フィルムや耐熱性フィルムなどを被覆して、マンドレルの取り除きを容易化できる。
また、FW法による保護層や圧力・強度保持層の成形では、フィルムや連続フィラメントは、張り詰めた状態を保持しながら巻装することが良い。
更に、シェル部の強度や厚みなどは、フィラメント等の巻き付け角度を変更するなどして調整でき、例えば、ヘリカル巻きやインプレーン巻きなどを適宜採用できる。
更にまた、FW法により、積層構造を形成した後に所定の熱処理や化学的処理などを施して更に強度を上げることもできる。また、上記マンドレルとしては、金属製や石膏製のものが例示でき、FW機のシャフトに固定して使用できる。更に、上記マンドレルは、FW法による積層後に分解又は破壊して取り除けることが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
1)口元径100mm、長さ300mm、中央部径300mmのアルミ製のマンドレルに、予めライナー材となるシェアプライ層を成形したボス(タンク成形後の配管等を取り付けるインターフェイス)を組付けた。
2)その上にクッション性のある熱可塑性ポリイミドフィルム(鐘ヶ淵化学工業社製:TP−D)を厚さ1mmで均一に貼付け、外面を離型用フィルムで覆い、耐熱性フィルムでバッキングし内部を真空にして、オートクレーブにて250℃×5Kgf/cm2で約20分間成形し、離型用フィルム及び耐熱性フィルムを除去した。
3)成形後の熱可塑性ポリイミドフィルムの表面にアミノシラン系のプライマー(住友3M社製:EC3901)を薄く均一に塗布し風乾させた。
4)更に、その上に厚さ0.165mm(55μm×3層)の液晶ポリマーフィルム(クラレ社製:ベクトラFA)を均一に貼り付けた。
5)その外面を離型用フィルムで覆い、耐熱性のフィルムでバッキングし内部を真空にして、オートクレーブにて250℃×5Kgf/cm2で約20分間成形し、離型用フィルム及び耐熱性フィルムを除去した。
6)成形後の液晶ポリマーフィルムの表面にアミノシラン系のプライマー(住友3M社製:EC3901)薄く均一に塗布し風乾させた。
7)成形物をマンドレルごとFWマシンにセットし、ヤーンプリプレグ(東邦レーヨン社製:高強度炭素繊維フィラメント/エポキシ樹脂)をインプレーン層とフープ層を交互にワインディングし、それぞれ2層にした。
8)表面を離型フィルム及び耐熱性フィルムでバッキングし、内部を真空にした後オートクレーブにて150℃×6Kgf/cm2で約120分間成形し、離型用フィルム及び耐熱性フィルムを除去した。
9)内部のマンドレルを除去し、本例の燃料タンクを得た。なお、このときの保護層の重量は420gであった。また、ライナー材の重量は65gであった。燃料タンクが図1に示すような両極に口金部を有する構造で、且つ容量15リットルのものを製造した。
【0033】
[性能評価及び結果]
この燃料タンクに内圧2MPaになるように酸素ガスを充填し、その燃料タンクを窒素置換した密閉容器に入れて2時間放置後、ガスクロマトグラフィーによって密閉容器内の酸素ガスの量を測定した。その結果、特に酸素ガスは検知されなかった。
【0034】
(比較例1)
保護層を有しない構成とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の燃料タンクを得た。
【0035】
[性能評価及び結果]
この燃料タンクに内圧2MPaになるように酸素ガスを充填する際に、薄膜であるライナー材(シェアプライ層)の一部が充填衝撃により破損し、測定不可能であった。
【0036】
(比較例2)
ライナー材(シェアプライ層)の材料を同じ厚さの超高分子ポリエチレンに変えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の燃料タンクを得た。
【0037】
[性能評価及び結果]
この燃料タンクに内圧2MPaになるように酸素ガスを充填し、その燃料タンクを窒素置換した密閉容器に入れて2時間放置後、ガスクロマトグラフィーによって密閉容器内の酸素ガスの量を測定した。その結果、酸素ガス量は520ccでありガス漏れを完全に防止することはできなかった。
【0038】
(比較例3)
ライナー材を厚さ約10mmの超高分子ポリエチレン製とした以外は、実施例1とほぼ同様な操作を繰り返して、本例の燃料タンクを得た。なお、このときのライナー材の重量は2200gであり実施例1に比べて約30倍の重量であった。
【0039】
[性能評価及び結果]
この燃料タンクに内圧2MPaになるように酸素ガスを充填し、その燃料タンクを窒素置換した密閉容器に入れて2時間放置後、ガスクロマトグラフィーによって密閉容器内の酸素ガスの量を測定した。その結果、酸素ガス量は10ccでありガス漏れを完全に防止することはできなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、フィラメントワインディング法により形成する所定の3層構造を採用することとしたため、軽量であるにも拘らず耐圧性及びガスバリア性に優れ、製造工程が簡単であるとともに製造コストが低く、宇宙産業用としての信頼性が高い、シェル用積層体、圧力容器、燃料タンク及び圧力容器製造方法を提供することができる。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料タンクの一例を示す側面図及び断面図である。
【図2】図1の燃料タンクの口金部近傍を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 圧力・強度保持層
3 肩部
3’円胴部
4 口金部
5 バリア層
5’保護層
6 シェアプライ層
Claims (9)
- 保護層、バリア層及び圧力・強度保持層をこの順に積層したシェル用積層体であって、
上記保護層は厚さが5μm〜5mmで平均厚さに対するバラツキが±20%以内であり、上記バリア層は厚さが30μm〜3mmであり且つ平均厚さに対するバラツキが±20%以内である熱可塑性プラスチックより成り、上記圧力・強度保持層は樹脂を含浸させた補強繊維糸を該バリア層上に編成して成り、
上記バリア層の軟化温度が、上記圧力・強度保持層の軟化温度より高いことを特徴とするシェル用積層体。 - 上記バリア層がポリイミド樹脂を含んで成ることを特徴とする請求項1に記載のシェル用積層体。
- 上記バリア層を構成する熱可塑性プラスチックが液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシェル用積層体。
- 上記圧力・強度保持層が繊維強化プラスチックより成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のシェル用積層体。
- 上記圧力・強度保持層がフィラメントワインディング法で形成されて成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のシェル用積層体。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のシェル用積層体を用いたシェル部と、少なくとも1つの開口に設けた口金部と、を有する圧力容器であって、
上記シェル部は最外層が圧力・強度保持層となるように配置され、上記口金部とバリア層及び/又は保護層とがシェアプライ層を介して接合されていることを特徴とする圧力容器。 - 請求項6に記載の圧力容器を用いた燃料タンクであって、口金部を介して燃料を貯留及び放出できることを特徴とする燃料タンク。
- 請求項6に記載の圧力容器を製造するに当たり、
マンドレルに保護層を設置し、該保護層上にバリア層及び圧力・強度保持層をこの順にフィラメントワインディング法により積層することを特徴とする圧力容器製造方法。 - 上記圧力・強度保持層の製造後、上記マンドレルを分解又は破壊して取り除くことを特徴とする請求項8に記載の圧力容器製造方法。
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