JP2008032088A - タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】バースト強度の向上と薄肉化とを図ることができるタンク
【解決手段】ドーム部(11)と、ドーム部(11)に連続する胴部(10)と、を有するタンク(1)であって、胴部(10)の位置で巻かれてなるフープ層(21)と、ドーム部(11)及び胴部(10)の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層(31)と、を有する補強繊維層(4)を備える。ヘリカル層(31)のうち少なくとも胴部(10)における樹脂は、フープ層(21)の樹脂よりも弾性を有する。フープ層(21)の樹脂は、ガラス転移温度がタンク(1)の使用温度帯域よりも高い一方、ヘリカル層(31)の樹脂は、ガラス転移温度がタンクの使用温度帯域よりも低い樹脂を含むことが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】ドーム部(11)と、ドーム部(11)に連続する胴部(10)と、を有するタンク(1)であって、胴部(10)の位置で巻かれてなるフープ層(21)と、ドーム部(11)及び胴部(10)の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層(31)と、を有する補強繊維層(4)を備える。ヘリカル層(31)のうち少なくとも胴部(10)における樹脂は、フープ層(21)の樹脂よりも弾性を有する。フープ層(21)の樹脂は、ガラス転移温度がタンク(1)の使用温度帯域よりも高い一方、ヘリカル層(31)の樹脂は、ガラス転移温度がタンクの使用温度帯域よりも低い樹脂を含むことが好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば燃料電池システムの高圧水素タンクに適用可能な、補強繊維層を有するタンクに関するものである。
近年、燃料電池システムに用いられる高圧水素タンクの開発が進んでいる。高圧水素タンクでの水素ガスの充填圧は、当初は20MPaや35MPaであったが、最近では70MPaも可能になってきた。充填圧が高くなるほど、高圧水素タンクを搭載した燃料電池自動車の走行可能距離が長くなるが、高圧水素タンクとしては、高い充填圧に耐える強度(バースト強度)が必要となる。
従来の高圧水素タンクとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このタンクの全体形状は、胴部と、胴部の両端に連続するドーム部と、からなる。この胴部及びドーム部では、フィラメントワインディング法を用いて、ライナーの外周に補強繊維層が設けられている。
補強繊維層は、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をフープ巻きしてなる第1のフープ層と、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をヘリカル巻きしてなるヘリカル層と、第1のフープ層の繊維よりもヤング率の小さい繊維をフープ巻きしてなる第2のフープ層と、出構成されている。第1及び第2のフープ層は胴部の位置にのみあり、第1のフープ層は胴部の周方向の強度を向上させ、第2のフープ層は胴部の耐衝撃性を向上させる。一方、ヘリカル層は、胴部及びドーム部の両者の位置にあり、タンクの長手方向の強度を向上させる。
特開2005−36918号公報(図1)
特許文献1に記載のタンクでは、第1のフープ層よりも弾性が高い第2のフープ層を積層しているので、第2のフープ層がないタンクに比べると、胴部に作用する応力が第2のフープ層で分散され、必要なバースト強度が得られる。しかしながら、第2のフープ層を積層するがゆえに胴部の肉厚が厚くなり、その結果、タンクが大型化し、積載重量及び体積が増加するといった問題があった。
本発明は、バースト強度の向上と薄肉化とを図ることができるタンクを提供することをその目的としている。
上記目的を達成するべく、本発明のタンクは、ドーム部と、ドーム部に連続する胴部と、を有するタンクであって、胴部の位置で巻かれてなるフープ層と、ドーム部及び胴部の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層と、を有する補強繊維層を備える。そして、ヘリカル層のうち少なくとも胴部における樹脂は、フープ層の樹脂よりも弾性を有するものである。
かかる構成によれば、フープ層により胴部の周方向の強度を高めつつ、ヘリカル層の少なくとも胴部における樹脂により、胴部に作用する応力を分散することができる。これにより、バースト強度への寄与率が本来的に低い胴部におけるヘリカル層を有効に利用して、胴部のバースト強度を向上できる。それゆえ、補強繊維層に弾性層を別個設けなくて済み、必要なバースト強度を得るのに、肉厚を厚くしなくて済む。
好ましくは、フープ層の樹脂は、ガラス転移温度がタンクの使用温度帯域よりも高い一方、ヘリカル層の樹脂は、ガラス転移温度がタンクの使用温度帯域よりも低い樹脂を含む。
かかる構成によれば、タンクの使用温度帯域では、フープ層の樹脂がガラス状の樹脂となって胴部の強度を高めることができる。また、この使用温度帯域では、ヘリカル層の胴部における樹脂がゴム状となって胴部における応力の分散機能を向上できる。
好ましくは、フープ層とヘリカル層とは、胴部の位置で隣接する。
好ましくは、フープ層とヘリカル層とは、胴部の位置で交互に複数が積層される。
かかる構成によれば、より一層、バースト強度を高めることができる。
本発明の他のタンクは、ドーム部と、ドーム部に連続する胴部と、を有するタンクであって、胴部の位置で巻かれてなるフープ層と、ドーム部及び胴部の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層と、を複数積層した補強繊維層を備える。そして、複数のヘリカル層の少なくとも一つは、ドーム部及び胴部のうち少なくとも胴部における弾性がフープ層よりも高いものである。
かかる構成によれば、複数のヘリカル層の少なくとも一つにより、胴部に作用する応力を分散することができる。これにより、バースト強度への寄与率が本来的に低い胴部におけるヘリカル層を有効に利用して、胴部のバースト強度を向上できる。それゆえ、必要なバースト強度を得るのに、肉厚を厚くしなくて済む。
本発明のタンクによれば、バースト強度を高めると共に肉厚を薄くできる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るタンクについて説明する。ここでは、燃料電池システムに適用した高圧タンクを例に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るタンクを搭載した燃料電池自動車を示す図である。
燃料電池自動車100は、燃料電池2を有する燃料電池システム200を搭載している。燃料電池システム200は、例えば3つの高圧タンク1を車体のリア部に搭載している。各高圧タンク1内の流体は、水素ガスや圧縮天然ガスなどの可燃性の燃料ガスであり、ガス供給ライン102を通じて燃料電池104に供給される。以下では、高圧タンク1が貯留する燃料ガスとして水素ガスを例に説明する。
図1は、本実施形態に係るタンクを搭載した燃料電池自動車を示す図である。
燃料電池自動車100は、燃料電池2を有する燃料電池システム200を搭載している。燃料電池システム200は、例えば3つの高圧タンク1を車体のリア部に搭載している。各高圧タンク1内の流体は、水素ガスや圧縮天然ガスなどの可燃性の燃料ガスであり、ガス供給ライン102を通じて燃料電池104に供給される。以下では、高圧タンク1が貯留する燃料ガスとして水素ガスを例に説明する。
なお、高圧タンク1は、燃料電池自動車のみならず、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両のほか、各種移動体(例えば、船舶や飛行機、ロボットなど)や定置型にも適用できる。
図2は、高圧タンク1の断面図である。
高圧タンク1は、内部に貯留空間2が画成されるように中空状に形成されたライナー3と、ライナー3の外面を覆う複数層からなる補強繊維層4と、からなる構造を有している。
高圧タンク1は、内部に貯留空間2が画成されるように中空状に形成されたライナー3と、ライナー3の外面を覆う複数層からなる補強繊維層4と、からなる構造を有している。
貯留空間2は、常圧の流体を貯留することもできるし、燃料ガスを常圧よりも高い圧力(すなわち高圧)で貯留することもできるように構成されている。例えば35MPaあるいは70MPaの水素ガスが、貯留空間2に貯留される。高圧タンク1の温度は、水素ガスの充填及び放出に伴い変動するが、その変動幅は、水素ガスの充填圧によっても異なり、充填圧が高くなるほど、水素ガス放出時の高圧タンク1の温度はより低温となる。例えば、70MPaの高圧タンク1の使用温度帯域(変動幅)は、およそ−70℃〜100℃である。
ライナー3及び補強繊維層4からなるタンク本体5は、長手方向の両端部の中心に水素ガスが供給/排出される開口部6,7を有している。開口部6,7には、図示省略したバルブアッセンブリや栓体がねじ込み接続等により直接的に接続される。あるいは、開口部6,7には図示省略した口金がインサート成形等により設けられ、この口金を介してバルブアッセンブリ等がねじ込み接続される。そして、バルブアッセンブリと外部のガス供給ライン102とが接続され、貯留空間2との間で水素ガスの給排がなされるようになっている。なお、開口部6,7の一方は省略しても良い。
タンク本体5の全体形状に着目すると、タンク本体5は、胴部10と、一対のドーム部11,12と、で構成されている。胴部10は、タンク本体5の軸線方向、すなわち長手方向に所定の長さ延在する略円筒状の部分であり、ほぼ一定の径を有している。一対のドーム部11,12は、胴部10の長手方向の両端部にそれぞれ連続した半球面状の曲壁部である。一対のドーム部11,12は、胴部10から遠ざかるにつれて縮径されており、最も縮径した部分の中心に上記の開口部6,7を有している。一対のドーム部11,12は、胴部10の両端を閉塞するように絞り状に形成されており、タンク本体5の長手方向の端壁部を構成している。
ライナー3は、タンク1の内殻又は内容器とも換言される部分であり、胴部10及び一対のドーム部11,12の内壁を構成する。ライナー3は、ガスバリア性を有し、水素ガスの外部への透過を抑制する。ライナー3の材質は、特に制限されるものではなく、例えば、金属のほか、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂その他の硬質樹脂を挙げることができる。また、これらの樹脂を二層以上に組み合わせて、複数層から成る積層体としてライナー3を構成しても良い。ライナー3の厚さは、その材質、高圧タンク1の寸法形状、要求される耐圧等に依存するものの、特に限定されず、好ましくは0.5mm〜数十mm程度、より好ましくは1mm〜10mm程度である。
補強繊維層4は、タンク1の外殻、シェル又は外容器とも換言される部分であり、胴部10及び一対のドーム部11,12の外壁を構成する。補強繊維層4は、ライナー3の外表面を被覆するように、ライナー3に巻きつけられることで形成されている。
補強繊維層4は、マトリックス樹脂(プラスチック)が繊維で補強されたFRP層である。
マトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、等が挙げられ、これらのなかでは、エポキシ樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂がより好ましい。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
強化繊維としては、金属繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、といった無機繊維、或いは、アラミド繊維等の合成有機繊維、或いは綿等の天然有機繊維を例示できる。これらの繊維は、単独で又は混合して(混繊として)使用することができ、これらの中では、カーボン繊維、アラミド繊維が特に好ましい。本実施形態の補強繊維層4では、カーボン繊維を用いている。
補強繊維層4におけるマトリックス樹脂と繊維との含有割合としては、樹脂及び繊維の種類、繊維強化方向、厚さ等に依存するが、通常、好ましくはマトリックス樹脂:繊維=10〜80体積%:90〜20体積%、より好ましくはその比が25〜50体積%:75〜50体積%とされる。なお、補強繊維層4は、これらの構成材料の他に適宜の添加剤を含んでいてもよい。
また、補強繊維層4の厚さは、その材質、タンク1の寸法形状、要求される耐圧等に依存するものの、特に限定されず、好ましくは数mm程度、より好ましくは数mm〜50mm程度とされ、胴部10の外径が300mmφ程度であるときに20mm程度とされる場合が多い。後述するように、本発明の高圧タンク1では、肉厚を厚くすることなく、バースト強度を確保できるように、補強繊維層4が工夫されている。
補強繊維層4(CFRP層)は、複数層からなる。補強繊維層4を構成する層の数は、一実施態様では16個であり、本実施形態では4個である。ただし、この層の数は、タンク1の寸法形状、要求される耐圧等に依存するものであるものの、少なくとも二個である。そして、その少なくとも二個の層としては、フープ層及びヘリカル層が含まれる。フープ層及びヘリカル層の積層順は任意であるが、本実施形態のように、ライナー3から順に、フープ層21、ヘリカル層31、フープ層22及びヘリカル層32と、交互に互いに隣接するように積層することが好ましい(図3参照)。
フープ層21,22は、胴部10の位置でその全体に巻かれてなるものである。詳細には、フープ層21は、ライナー3の胴部外表面にカーボン繊維をフープ巻きし、カーボン繊維に含浸された樹脂を硬化させることで構成される。また、フープ層22は、胴部10に相当する位置において、ヘリカル層31の外表面にカーボン繊維をフープ巻きし、カーボン繊維に含浸された樹脂を硬化させることで構成される。このように構成されたフープ層21,22は、胴部10の周方向の強度を確保する。
ヘリカル層31,32は、胴部10及びドーム部11,12の位置で、これらのほぼ全体に巻かれてなるものである。詳細には、ヘリカル層31は、ライナー3のドーム部の外表面及びフープ層21の外表面にカーボン繊維をヘリカル巻きし、カーボン繊維に含浸された樹脂を硬化させることで構成される。また、ヘリカル層32は、胴部10に相当する位置ではフープ層22の外表面に、またドーム部11,12に相当する位置ではヘリカル層31の外表面に、カーボン繊維をヘリカル巻きし、カーボン繊維に含浸された樹脂を硬化させることで構成される。このように構成されたヘリカル層31,32は、主としてドーム部11,12の強度を確保し、タンク1の長手方向の強度を確保する。
ここで、フープ層21,22におけるフープ巻きとは、図4(A)に示すように、樹脂を含むカーボン繊維を胴部10の周方向に巻回することをいう。このフープ巻きは、例えば、供給ユニット50をライナー3の長手方向に往復動移動させながらライナー3を回転させ、樹脂を含むカーボン繊維を供給ユニット50から供給することで行うことができる。
また、ヘリカル層31,32におけるヘリカル巻きとは、図4(B)に示すように、樹脂を含むカーボン繊維をらせん状に巻回することをいう。このヘリカル巻きは、例えば、ライナー3の長手方向及びこれに直交するに供給ユニット50をラ往復動移動させながらライナー3を回転させ、樹脂を含むカーボン繊維を供給ユニット50から供給することで行うことができる。
また、ヘリカル層31,32におけるヘリカル巻きとは、図4(B)に示すように、樹脂を含むカーボン繊維をらせん状に巻回することをいう。このヘリカル巻きは、例えば、ライナー3の長手方向及びこれに直交するに供給ユニット50をラ往復動移動させながらライナー3を回転させ、樹脂を含むカーボン繊維を供給ユニット50から供給することで行うことができる。
フープ巻き及びヘリカル巻きのいずれも、例えば、フィラメントワインディング法、ハンドレイアップ法、テープワインディング法等を用いればよい。また、供給ユニット50から供給されるカーボン繊維は、例えば、ボビン等に巻回されているときから樹脂を含浸されたもの(すなわち、プリプレグ状態のもの)であるか、あるいは、ボビン等から繰り出されて樹脂槽で樹脂を含浸されたものである。
フープ層21,22のマトリックス樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)がタンク1の使用温度帯域よりも高い樹脂が用いられる。上記のとおり、70MPaの充填圧では、タンク1の使用温度帯域はおよそ−70℃〜100℃である。したがって、70MPaの充填圧を目標とするなら、フープ層21,22のマトリックス樹脂としては、Tgが100℃を超えるものが用いられ、上記の樹脂のうち、好ましくはエポキシ樹脂が用いられる。このように、フープ層21,22のマトリックス樹脂には、タンク1の使用温度帯域においてガラス状の樹脂が用いられる。
ヘリカル層31,32のうちの少なくとも一つのマトリックス樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)がタンク1の使用温度帯域よりも低い樹脂が用いられる。70MPaの充填圧を目標とするなら、ヘリカル層31,32のうちの少なくとも一つのマトリックス樹脂としては、Tgが−70℃未満のものが用いられ、好ましくは変成シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が用いられる。
このように、ヘリカル層31,32の一方又は両方のマトリックス樹脂は、タンク1の使用温度帯域においてゴム状の樹脂を用いられ、フープ層21,22のマトリックス樹脂よりも弾性を有することになる。このことは、ヘリカル層31,32の一方又は両方は、フープ層21,22よりも縦弾性率(ヤング率)が小さいと換言することもできる。こうすることで、タンク1に作用する径方向及び周方向の応力が分散されるように、タンク1のバースト(破裂)を引き起こす応力集中を抑制できる。
ここで、ヘリカル層31,32の両方とも、フープ層21,22のマトリックス樹脂よりも弾性が高いマトリックス樹脂を用いても良いが、タンク1の長手方向の強度並びにドーム部11,12の強度を確保する観点からすれば、ヘリカル層31,32の一方にのみ比較的弾性が高いマトリックス樹脂を用いることが好ましい。ヘリカル層31,32のどちらをそのようにするかであるが、外側へ応力を逃がすことができるという観点からすれば、最も内側のヘリカル層であるヘリカル層31について、比較的弾性が高いマトリックス樹脂を用いることが好ましい。
この場合、ヘリカル層31のマトリック樹脂としては、ヘリカル層31の全ての領域において、ゴム状(Tgが上記の使用温度帯域よりも低い性質。以下同じ。)の樹脂を用いることもできる。しかし、一般にヘリカル層は、ドーム部11,12の強度の確保するためには必要であるものの、胴部10の位置ではバースト強度への寄与率が低いものである。したがって、ヘリカル層31のうち、胴部10におけるマトリック樹脂はゴム状とし、ドーム部11,12におけるマトリックス樹脂はガラス状とすることが、より好ましい。
以上説明したように、本実施形態の高圧タンク1によれば、胴部10の位置ではバースト強度への寄与率が低いヘリカル層31を利用して、ヘリカル層31の少なくとも胴部10におけるマトリックス樹脂をゴム状にしている。これにより、胴部10に作用する応力を分散できるので、胴部10の応力集中を抑制できる。
したがって、本実施形態によれば、応力を分散するために補強繊維層4に弾性層を別個設けたり、フープ層の厚みを大きくして強度を高めたりしなくて済む。つまり、本実施形態によれば、ヘリカル層31を有効に利用することで、補強繊維層4の肉厚を厚くすることなく、胴部10のバースト強度を向上できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、二以上のヘリカル層31,32における厚み、繊維、マトリックス樹脂などの要素は、要求されるバースト強度を考慮して、適宜設計すればよい。
1:高圧タンク、2:貯留空間、3:ライナー、4:補強繊維層、5:タンク本体、10:胴部、11:ドーム部、12:ドーム部、21:フープ層、22:フープ層、31:ヘリカル層、32:ヘリカル層
Claims (5)
- ドーム部と、当該ドーム部に連続する胴部と、を有するタンクであって、
前記胴部の位置で巻かれてなるフープ層と、前記ドーム部及び前記胴部の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層と、を有する補強繊維層を備え、
前記ヘリカル層のうち少なくとも前記胴部における樹脂は、前記フープ層の樹脂よりも弾性を有する、タンク。 - 前記フープ層の樹脂は、ガラス転移温度が当該タンクの使用温度帯域よりも高い一方、
前記ヘリカル層の樹脂は、ガラス転移温度が当該タンクの使用温度帯域よりも低い樹脂を含む、請求項1に記載のタンク。 - 前記フープ層と前記ヘリカル層とは、前記胴部の位置で隣接する、請求項1又は2に記載のタンク。
- 前記フープ層と前記ヘリカル層とは、前記胴部の位置で交互に複数が積層されている、1ないし3のいずれか一項に記載のタンク。
- ドーム部と、当該ドーム部に連続する胴部と、を有するタンクであって、
前記胴部の位置で巻かれてなるフープ層と、前記ドーム部及び前記胴部の両者の位置で巻かれてなるヘリカル層と、を複数積層した補強繊維層を備え、
前記複数のヘリカル層の少なくとも一つは、前記ドーム部及び前記胴部のうち少なくとも胴部における弾性が前記フープ層よりも高い、タンク。
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