JP2005270515A - 繊維強化複合材料製管状体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴルフクラブシャフト等に好適に使用出来る、ねじり剛性などの設計選択幅が広く、高いねじり強さを有する繊維強化複合材料製管状体を提供すること。
【解決手段】複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管状体であって、巻き回数が非整数{n+(1/m)}であるバイアス層を複数層m有する管状体において、
各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回した構成を有する(ただし、mは2または3の整数、nは1以上4以下の整数)。これにより、強化繊維の巻き角度が管状体の軸線に対し正逆両方向に傾斜した±α°の組み合わせのバイアス構成を管状体周方向で効率的に確保し、優れたねじり強さを得ることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管状体であって、巻き回数が非整数{n+(1/m)}であるバイアス層を複数層m有する管状体において、
各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回した構成を有する(ただし、mは2または3の整数、nは1以上4以下の整数)。これにより、強化繊維の巻き角度が管状体の軸線に対し正逆両方向に傾斜した±α°の組み合わせのバイアス構成を管状体周方向で効率的に確保し、優れたねじり強さを得ることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、繊維強化複合材料で構成された管状体に関し、特に、軽量でかつねじり力に対する耐性に優れ、ゴルフクラブシャフト、釣り竿,バドミントンラケット用シャフトその他のスポーツ用具などに用いられるのに適した管状体に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料を使用した管状体は、軽量で力学特性に優れるために、ゴルフクラブシャフト、釣り竿その他のスポーツ用具や、ドライブシャフト、ロールその他の一般産業用途などに広く用いられている。このような繊維強化複合材料製管状体の成形方法としては、プリプレグを所定の形状に切り出し、芯金に巻き付けて成形するシートワインド法が広く用いられている。
昨今のゴルフクラブシャフトや釣り竿などの高性能化に伴い、その材料である管状体への要求も多様化し、求められる性能も厳しくなりつつある。軽量性や強さと共に、所望のフィーリングや固有振動数を示すよう特定の剛性を実現させることが求められる。
これらの繊維強化複合材料製管状体には、ねじりに対する耐性、すなわちねじり剛性やねじり強さを具備させる目的で、強化繊維の配向角度が管状体の主軸に対し25°〜65°の角度に傾斜したアングル層と−25°〜−65°に傾斜したアングル層からなるバイアス層が配される。
ねじり剛性を向上させるためには、バイアス層やバイアス層の強化繊維量を増やしたり、管状体の径を大きくする方法が考えられるが、この場合には管状体の重量が重くなる。また、バイアス層の強化繊維を増やした分だけ、実質的に管状体軸方向に配向したストレート層の強化繊維を減らせば、管状体の重量は増加しないが、この場合には、曲げ力に対する耐性が低下するという問題がある。
ねじり剛性を低くするためには、バイアス層やバイアス層の強化繊維量を減らしたり、管状体の径を小さくする方法が考えられるが、この場合には、ねじり強さが低下する。バイアス層の強化繊維の傾斜角度を変えることにより、ねじり剛性を調整する方法が考えられるが、この場合も、曲げ力に対する耐性を変えてしまうという問題がある。
さらに、ねじり剛性を調整する他の方法として、バイアス層の強化繊維の弾性率が異なるものを選ぶことが考えられるが、その強化繊維の選択の幅は限られ、ねじり剛性の微妙な調整は困難である。そこで、弾性率が異なる強化繊維からなる複数のバイアス層を設けて、その間のねじり剛性を調整することが考えられる。この場合、軽量性の維持や、ねじり剛性の選択の関係から、各々のバイアス層における巻回数を非整数にする必要が出てくる。非整数回巻回の複数バイアス層については、N+0.5回巻回分のアングル層(プリプレグ)を+α°、−α°、+α°、−α°と順次巻き始めの位置をシャフト周方向で180°ずらせて巻くことにより異方性ゴルフシャフトを得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このように非整数回巻回バイアス層を複数配する場合は、ねじり強さが低くなるという問題があった。
すなわち、高いねじり強さを有し、かつ目的に応じたねじり剛性を設計することは困難であるのが現状であった。
特開平11−299944号公報(第5頁)
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、ゴルフクラブシャフト等に好適に使用出来る、ねじり剛性の選択幅が広く、高いねじり強さを有する繊維強化複合材料製管状体を提供することにある。
本発明は、複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管状体であって、巻き回数が非整数{n+(1/m)}であるバイアス層をm層有する管状体において、各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回してなる繊維強化複合材料製管状体である(ただし、mは2または3の整数、nは各バイアス層によって同じ、または異なる1以上4以下の整数)。
また、かかる繊維強化複合材料製管状体を有するゴルフクラブシャフトである。
さらには、かかる繊維強化複合材料製管状体を有する釣り竿である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、非整数巻回複数バイアス層の正逆両方向の巻き角度の組み合わせを周方向に過不足なく確保することで、ゴルフクラブシャフトなどに好適に使用できる、ねじり剛性設計自由度が高く、ねじり強さに優れた繊維強化複合材料製管状体を得ることができる。
上記目的を達成するために本発明によれば、複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管状体であって、巻き回数が非整数{n+(1/m)}であるバイアス層をm層有する管状体において、各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回してなる繊維強化複合材料製管状体(ただし、mは2または3の整数、nは各バイアス層によって同じ、または異なる1以上4以下の整数)が提供される。
各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回することにより、管状体主軸に対し強化繊維が正逆両方向に傾斜したバイアス構成が管状体周方向各部分で過不足無く形成され、効果的に高いねじり強さが得られる。
本発明において、複合材料に用いる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、各種有機繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維等を用いることができる。これらの繊維を単独で用ることも、2種以上混在させることもできるが、より軽量で高強度の成形品を得るためには、炭素繊維を用いるのが良い。
一方、樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、又はポリアミド等の熱可塑性樹脂が使用できるが、成形性や力学物性等の面からエポキシ樹脂が好ましい。
また、管状体全体を繊維強化複合材料層のみで形成しても良いが、繊維強化複合材料層以外のゴム層、熱硬化性樹脂層、熱可能塑性樹脂層、金属層、セラミック層、および/又はこれらの混合物からなる材料層を組み合わせても良い。また、繊維を含有しない他の材料を管状体の一部に組み合わせても良い。
本発明による管状体は、いわゆるプリプレグを介して製造することが出来る。この場合、強化繊維の形態は、長繊維を一方向に引き揃えたもの、織物、トウ,マット,ニット等を用いることができる。中でも,積層構成によって容易に強度や剛性を設計可能であることから、一方向に引き揃えられたものを採用するのが好ましい。
バイアス構成が管状体周方向各部分で過不足無く形成されるのが好ましいが、現実にはプリプレグシートの切断誤差、アングル層の貼り合わせ誤差、巻き始めの巻き付け誤差などで、厳密に設定どおりにすることは難しく、0.1周分程度過不足が出たりする可能性がある。強度安全性の面からは、過剰気味の方が望ましく、バイアス層を形成するプリプレグシートの切断幅は{n+(1/m)}〜{n+(1/m)+0.1}巻回分にしておく方がより好ましい。
本発明の繊維強化複合材料製管状体は、ねじり剛性、ねじり強さに優れることからゴルフクラブシャフト等のスポーツ用具に好適に使用出来る。
管状体全体は内径を一定にしても良いが、主軸方向で内径を変えても良い。即ち、芯金が主軸方向にテーパを有しても良く、また、該テーパは主軸方向で変化しても良い。繊維強化複合材料層の巻回において皺の発生や強化繊維の巻角度のずれを防ぐためには、芯金の各部分のテーパは、主軸方向1000mm当たり直径変化30mm以下が好ましい。また、管状体には、バイアス層、ストレート層以外に、強化繊維が管状体周方向に配向したフープ層を配しても良く、さらにバイアス層間にストレート層やフープ層を配しても良い。
本発明の繊維強化複合材料製管状体は、ゴルフクラブシャフトや釣り竿の全体に適用しても良く、主軸方向の特定部分に適用しても良い。
本発明において、アングル層とは、強化繊維の配向角度が管状体の主軸に対し25°〜65°、または−25°〜−65°の角度で一方向に傾斜した層をいう。
また、バイアス層とは、強化繊維の配向角度が管状体の主軸に対し正逆両方向にα°と−α°の角度に傾斜したアングル層用に切り出した一対のプリプレグシートからなる層をいう。また、バイアス層用に切り出したプリプレグシートが2組(アングル層用に切り出したプリプレグシートでは4枚)以上になる場合、即ち、バイアス層の巻き付けが2回以上になる場合は、そのバイアス層を複数層といい、かかるバイアス層の数をmとする。例えば、プリプレグシートが2組(アングル層用に切り出したプリプレグシートでは4枚)の場合、m=2である。
また、ストレート層とは、強化繊維の配向角度が管状体の主軸に対して実質的に平行な層をいい、フープ層とは、強化繊維の配向角度が管状体の主軸に対し実質的に直交した層をいう。
以下、本発明の最良の実施形態の例を、図面を参照しながら説明する。図1は、繊維強化複合材料製管状体を構成するプリプレグの展開図である。管状体主軸方向に対して強化繊維方向が+α°であるプリプレグ1aと強化繊維方向が−α°であるプリプレグ1bとが1組のバイアス層を構成し、同様にプリプレグ1cとプリプレグ1dとが別の1組のバイアス層を構成する。図1では、各バイアス層の巻回数{n+(1/m)}が{1+(1/2)}に該当する例を示すが、mは2または3の整数、nは各バイアス層によって同じ、または異なる1以上4以下の整数であれば、これに限定されるものではない。また、ストレート層1eが巻回数、3回に該当する場合を示すがこれに限定されるものでもない。
図2は、図1に示すバイアス層を構成するプリプレグ1aと1b、1cと1dをそれぞれ管状体の1/2周分ずらし貼り合わせた状態を示す模式図である。プリプレグ1a巻始め側の重なりのない部分1Aと、プリプレグ1b巻終わり側の重なりのない部分1Bが、いずれも管状体の1/2周に該当する。また、プリプレグ1c巻始め側の重なりのない部分1Cと、プリプレグ1d巻終わり側の重なりのない部分1Dがいずれも管状体の1/2周に該当する。
図3は、図2の2組の貼り合わせたバイアス層のプリプレグを管状体に巻回し、最外層にプリプレグ1e(ストレート層)を巻回した、本発明の繊維強化複合材料製管状体の1実施形態を示す断面模式図である。プリプレグ1aと1bを貼り合わせたバイアス層(以下、第1バイアス層ともいう)の巻始め3と、プリプレグ1cと1dを貼り合わせたバイアス層(以下、第2バイアス層ともいう)の巻始め4とは、管状体の1/2周分ずれた位置に存する。
図4は、図3の中で、図2に示すバイアス層を構成するプリプレグの重なり合っていない1/2周分(非整数巻回部分)1A、1B、1C、1Dの管状体周方向での巻回位置を示す模式図である。図から明らかなように、+α°と−α°が1組となり、管状体の周方向にみた場合に、−α°のアングル層(1B、1Dのいずれか)が存在しない部分および+α°のアングル層(1A、1Cのいずれか)が存在しない部分がない。つまり、全周に渡って±α°の層が存在することなる。かかる構成をとることにより、本発明の管状体は、これまでにない優れたねじり強さと剛性を発揮するものである。
図5は、従来の繊維強化複合材料製管状体を構成するプリプレグの巻回状態を示す断面模式図である。プリプレグとしては、図1に示すものを用い、バイアス層は図2に示すように重ね合わせて用いた。プリプレグ1aと1bを重ね合わせた第1バイアス層の巻始め3と、プリプレグ1cと1dとを重ね合わせた第2バイアス層の巻始め4とは、管状体の周長の1/4周ずれた位置に存する。
図6は、図5に示した繊維強化複合材料製管状体の層の中で、図2に示すバイアス層を構成するプリプレグの重なり合っていない1/2周分(非整数巻回部分)1A、1B、1C、1Dの管状体周方向での巻回位置を示す模式図である。図から明らかなように+α°のアングル層しか存在しない部分(1Aと1Cとの重なり部分)や、−α°のアングル層しか存在しない部分(1Bと1Dとの重なり部分)が存在する。このように+α°、−α°のどちらかしか存在しない箇所がある従来の管状体は、力を受ける方向によって、ねじり強さやねじり剛性の十分発揮されない場合や、フィーリングの違いなどを生じてしまう。
図7は、従来の別の繊維強化複合材料製管状体を構成するプリプレグの巻回状態を示す断面模式図である。プリプレグとしては図1に示すものを用い、バイアス層は図2に示すように重ね合わせて用いた。第1バイアス層の巻始め3と第2バイアス層の巻始め4とは、管状体周方向の同位置に存する。
図8は、図7に示した繊維強化複合材料製管状体の層の中で、図2に示すバイアス層を構成するプリプレグの重なり合っていない1/2周分(非整数巻回部分)1A、1B、1C、1Dの管状体周方向での巻回位置を示す模式図である。図から明らかなように、管状体周方向全体に渡って同一方向の組み合わせ、すなわち、+α°と+α°(1Aと1C)、−α°と−α°(1Bと1D)の組合せになる。このようなアングル層の組合せになると、図4に示した本発明の管状体とは異なり、力を受ける方向によって、ねじり強さ、ねじり剛性に差異が生じたり、フィーリングの違いが生じることとなる。
図9は、本発明のまた別の実施態様の繊維強化複合材料製管状体の各バイアス層を構成するプリプレグの巻回状態において重なっていない部分の管状体周方向での巻回位置状態を示す模式図である。各バイアス層は図2に示すのと同様アングル層を1/2周ずらし貼り合わせたものを巻回した。図9の本発明の繊維強化複合材料製管状体は、かかるバイアス層を3層(m=3)有するものである。そして、かかる3層のバイアス層の巻き始め3、4、5は、管状体周方向において1/3周分ずれた位置に存する。かかる本発明の繊維強化複合材料製管状体は、バイアス層を構成するプリプレグの巻回状態において重なり合っていない1/3周分(非整数巻回部分)についてみた場合、管状体の全周に渡って±α°の層が存在する。
図10は、本発明のさらに別の実施態様の繊維強化複合材料製管状体であって、各バイアス層を構成するプリプレグの重なっていない部分の管状体周方向での巻回位置状態を示す模式図である。かかる管状体は、{n+(1/m)}が{1+(1/3)}に該当する例である。図示しないプリプレグ(アングル層)2枚1組を1/3周ずらし貼り合わせて、3組のバイアス層を用意し、かかるバイアス層の巻き始め3、4、5を1/3周分ずらし、巻回したものである。かかる本発明の繊維強化複合材料製管状体は、バイアス層を構成するプリプレグの重なり合っていない1/3周分(非整数巻回部分)についてみた場合、管状体の全周に渡って±α°の層が存在する。
以下、本発明の繊維強化複合材料製管状体の実施例、比較例について詳述する。以下、単に °と記載する繊維方向は常に管状体の主軸方向に対して測定した角度を示す。各物性値の測定は、次の方法によった。なお、物性測定は、断りのない限り温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で行った。
(強化繊維のストランド引張り弾性率)
束状の炭素繊維に下記組成物を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、JIS R7601に基づいて引張試験を行った。試料長200mm、引張り速度60mm/分の条件で測定した。
*樹脂組成物
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(ERL−4221、ダウ・ケミカル日本(株)製)
100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ株式会社製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業株式会社製) 4重量部
(繊維強化複合材料製管状体のねじり試験)
内径10mmの管状体から長さ400mmの試験片を切り出し,製品安全協会の「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(通商産業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)記載の方法に準じて行った。試験片ゲージ長は300mmとし、試験片両端の50mmを固定ジグで把持した。ねじり強さは、次式により計算した。
ねじり強さ(N・m・度)=破壊トルク(N・m)×破壊時のねじれ角(度)
また、ねじり剛性は、次式により計算した。
ねじり剛性(N・m2)=180×ねじりモーメント(N・m)×試験片ゲージ長(m)/{π×ねじれ角(度)}
(実施例1)
次の操作により、管状体の主軸に対して〔(±45°)1.5/(±45°)1.5/0°3〕の積層構成を有し、内径が10mmの管状体を作製した。芯金には、直径10mm、長さ1000mmのステンレス製丸棒を用いた。
束状の炭素繊維に下記組成物を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、JIS R7601に基づいて引張試験を行った。試料長200mm、引張り速度60mm/分の条件で測定した。
*樹脂組成物
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(ERL−4221、ダウ・ケミカル日本(株)製)
100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ株式会社製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業株式会社製) 4重量部
(繊維強化複合材料製管状体のねじり試験)
内径10mmの管状体から長さ400mmの試験片を切り出し,製品安全協会の「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(通商産業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)記載の方法に準じて行った。試験片ゲージ長は300mmとし、試験片両端の50mmを固定ジグで把持した。ねじり強さは、次式により計算した。
ねじり強さ(N・m・度)=破壊トルク(N・m)×破壊時のねじれ角(度)
また、ねじり剛性は、次式により計算した。
ねじり剛性(N・m2)=180×ねじりモーメント(N・m)×試験片ゲージ長(m)/{π×ねじれ角(度)}
(実施例1)
次の操作により、管状体の主軸に対して〔(±45°)1.5/(±45°)1.5/0°3〕の積層構成を有し、内径が10mmの管状体を作製した。芯金には、直径10mm、長さ1000mmのステンレス製丸棒を用いた。
第1のバイアス層として炭素繊維とエポキシ樹脂からなる一方向プリプレグA(プリプレグ目付:132g/m2、繊維含有率:76重量%、繊維ストランド引張弾性率:375GPa)を、繊維の方向が長手方向に対して45°になるように、縦800mm×横50mm(巻回数1.5に対応)の長方形に2枚切り出した(1a、1b)。この2枚を、繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向に16mm(芯金1/2周分に対応)ずらして貼り合わせた(図2)。次に貼り合わせたプリプレグを、離型処理した外径10mmφの芯金に、プリプレグの縦方向と芯金主軸方向が一致するように巻き付けた。次に、第2のバイアス層として炭素繊維とエポキシ樹脂からなる一方向プリプレグAを、繊維の方向が長手方向に対して45°になるように、縦800mm×横52mm(巻回数1.5に対応)の長方形に2枚切り出した(1c、1d)。この2枚を、繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向に16.5mm(半周分に対応)ずらして貼り合わせた(図2)。該貼り合わせたプリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向に半周分ずらし巻き付けた(図3、4)。さらにその上にストレート層として炭素繊維とエポキシ樹脂からなる一方向プリプレグB(プリプレグ目付:143g/m2、繊維含有率:70重量%、繊維ストランド引張弾性率:295GPa)をプリプレグの繊維方向が縦方向になるように、縦800mm×横109mm(巻回数3に対応)の長方形に切り出したシート(1e)をプリプレグの縦方向と芯金主軸方向が一致するように巻き付けた(図3)。次に、シートワインド成形用のラッピングテープ(熱収縮フィルムテープ)を所定の方法で巻き付けた後、硬化炉中で温度130℃、2時間加熱成形した。その後、芯金を脱芯(抜き取り)し、ラッピングテープを除去して管状体を得た。
(比較例1)
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向にずらす分を1/4周分に変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図5、図6)。
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向にずらす分を1/4周分に変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図5、図6)。
(比較例2)
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向で一致するように変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図7、図8)。
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向で一致するように変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図7、図8)。
(実施例2)
第2のバイアス層として用いるプリプレグシート(1c、1d)を、一方向プリプレグC(プリプレグ目付:132g/m2、繊維含有率:76重量%、繊維ストランド引張弾性率:475GPa)に変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図1、図3)。
第2のバイアス層として用いるプリプレグシート(1c、1d)を、一方向プリプレグC(プリプレグ目付:132g/m2、繊維含有率:76重量%、繊維ストランド引張弾性率:475GPa)に変更した以外は、実施例1と同様にして管状体を得た(図1、図3)。
(比較例3)
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向にずらす分を1/4周分に変更した以外は、実施例2と同様にして管状体を得た(図5、図6)。
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向にずらす分を1/4周分に変更した以外は、実施例2と同様にして管状体を得た(図5、図6)。
(比較例4)
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向で一致するように変更した以外は、実施例2と同様にして管状体を得た(図7、図8)。
第2のバイアス層プリプレグの巻き始め位置を第1のバイアス層の巻き始め位置から周方向で一致するように変更した以外は、実施例2と同様にして管状体を得た(図7、図8)。
以上の実施例1〜2、比較例1〜4で得られた繊維強化複合材料製管状体のねじり強さ及びねじりせん断弾性率を測定した結果を表1に示す。実施例1は比較例1、2に対して、実施例2は比較例3、4に対し、同じプリプレグ材料、切り出し形状、量であるが、巻き付け方法により高いねじり強さが発現した。また、ねじり剛性も高くなった。
本発明は、ゴルフクラブシャフトや釣り竿等のスポーツ用具に限らず、ドライブシャフト、ロール、ロボットアームなど一般産業用途にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
1a〜1e: プリプレグ
3: 第1のバイアス層プリプレグ巻き始め
4: 第2のバイアス層プリプレグ巻き始め
5: 第3のバイアス層プリプレグ巻き始め
1A: 1aプリプレグ巻き始めの1bと重なっていない1/2周分
1B: 1bプリプレグ巻き終わりの1aと重なっていない1/2周分
1C: 1cプリプレグ巻き始めの1dと重なっていない1/2周分
1D: 1dプリプレグ巻き終わりの1cと重なっていない1/2周分
3: 第1のバイアス層プリプレグ巻き始め
4: 第2のバイアス層プリプレグ巻き始め
5: 第3のバイアス層プリプレグ巻き始め
1A: 1aプリプレグ巻き始めの1bと重なっていない1/2周分
1B: 1bプリプレグ巻き終わりの1aと重なっていない1/2周分
1C: 1cプリプレグ巻き始めの1dと重なっていない1/2周分
1D: 1dプリプレグ巻き終わりの1cと重なっていない1/2周分
Claims (5)
- 複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管状体であって、巻き回数が非整数{n+(1/m)}であるバイアス層をm層有する管状体において、各バイアス層を構成するアングル層の巻き始めの位置を互いに管状体の1/2周または1/m周ずらした位置とし、各バイアス層の巻き始めの位置を順に1/m周ずつずらして巻回してなる繊維強化複合材料製管状体。
(ただし、mは2または3の整数、nは各バイアス層によって同じ、または異なる1以上4以下の整数) - 強化繊維が炭素繊維である請求項1記載の繊維強化複合材料製管状体。
- 繊維強化複合材料が一方向プリプレグシートにより形成されてなるものである請求項1又は2記載の繊維強化複合材料製管状体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載する繊維強化複合材料製管状体を有するゴルフクラブシャフト。
- 請求項1〜3のいずれかに記載する繊維強化複合材料製管状体を有する釣り竿。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004091318A JP2005270515A (ja) | 2004-03-26 | 2004-03-26 | 繊維強化複合材料製管状体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004091318A JP2005270515A (ja) | 2004-03-26 | 2004-03-26 | 繊維強化複合材料製管状体 |
Publications (1)
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