JP3666613B2 - テーパ付き中空シャフト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テーパ付き中空シャフトに関し、特にゴルフクラブシャフトに適する中空シャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフのスイング挙動に関しては、フレックスがより大きいシャフト、すなわち曲げ剛性がより低くより柔らかいシャフトであるほどスイング中におけるシャフトのしなりが大きくなるため、しなり解放時におけるヘッドスピードは向上する。
【0003】
フレックスの大きいシャフトの中でも先調子のシャフトすなわちシャフト細径部においてより小さな曲げ剛性を有するシャフトは、一般ゴルファー、特にヘッドスピードが遅くあまり力のない女性および中高年ゴルファーに適する。しかし、従来このような先調子の軽量シャフトはほとんど得られていなかった。
【0004】
さらに近年のゴルフクラブシャフトにおける軽量化の流れのなかではピッチ系炭素繊維を用いた軽量シャフトはねじり強度を維持するのが益々難しくなっている。
【0005】
ゴルフクラブシャフトとして用いられるには、ねじり強度が大きいだけでなく、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットを外して打った際に生じるシャフトのねじれがより小さいこと、すなわちより高いねじり剛性を有していること、および先調子であることなどが求められる。
【0006】
このような軽量でかつ優れたねじり強度、ねじり剛性を有しさらにシャフト細径部における曲げ剛性を小さくすることを同時に満たすゴルフシャフトはほとんど得られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれら従来の課題を解消しスイング中における優れたしなりを有する軽量で先調子のシャフトを提供するものである。
【0008】
また、本発明は軽量でかつ優れたねじり剛性、ねじり強度が有り、さらに細径部の曲げ剛性を小さくしたシャフトを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のテーパ付き中空シャフトは、繊維強化複合材料より製造されるテーパ付き中空シャフトにおいて、前記繊維強化複合材料は斜交層として引張弾性率が40〜80tonf/mm 2 の炭素繊維を使用し、前記シャフトの軸に対する強化繊維の配向角が+35〜+60°である一方向プリプレグからなる正の斜交層と、−35〜−60°である一方向プリプレグからなる負の斜交層と、ストレート層として引張弾性率が20〜40tonf/mm 2 のPAN系炭素繊維を使用し、−5〜5°である一方向プリプレグからなるストレート層及び補強層として引張弾性率が20〜60tonf/mm 2 のPAN系炭素繊維を使用し、前記シャフト細径部分に強化繊維の配向角が10°以上28°以下である一方向プリプレグからなる正の補強層と−28°以上−10°以下の一方向プリプレグからなる負の補強層からなり、かつ該シャフトの細径側に向ってストレート層の巻回数が徐々に減少していることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の好ましい実施の形態においては、前記シャフト細径側部分に強化繊維の配向角が10°以上35°未満および−35°を越えて−10°以下の正負の補強層を配置したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、斜交層に用いるプリプレグとしてはクロスプリプレグおよび一方向プリプレグを使用することができるが、配向角を制御しやすいため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
【0012】
該プリプレグに使用される強化繊維としては引張弾性率が20〜100tonf/mm2 、好ましくは40〜80tonf/mm2 の強化繊維が用いられる。
【0013】
このような強化繊維としては金属繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維および炭素繊維が用いられ、その中でも軽量でかつ高引張弾性率であることから好ましくは炭素繊維、さらに好ましくはピッチ系炭素繊維が用いられる。
【0014】
斜交層用のプリプレグに使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が用いられる。
【0015】
該プリプレグの目付は通常50〜180g/m2 、好ましくは75〜150g/m2 の範囲のものを用いることができる。強化繊維目付がこの範囲より大きいとシャフト重量設計における自由度が制限される上、ゴルフクラブシャフト製造時におけるプリプレグのマンドレルへの巻き付き性も劣るなどの弊害が生じやすい。
【0016】
本発明においてストレート層に用いるプリプレグとしては配向を制御し易いため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
該プリプレグに使用される強化繊維としては、斜交層の強化繊維よりもしなり易い繊維が好ましく、引張弾性率20〜40tonf/mm2 、より好ましくは20〜30tonf/mm2 のものが用いられる。
また、該強化繊維は通常圧縮強度50〜250kgf/mm2 、好ましくは70〜250kgf/mm2 、より好ましくは100〜250kgf/mm2 のものが用いられる。
このような強化繊維としては金属繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維および炭素繊維が用いられ、その中でも軽量なことから好ましくは炭素繊維、さらに好ましくは圧縮強度に優れるPAN系炭素繊維が用いられる。
【0017】
ストレート層用プリプレグに使用される樹脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が用いられる。
該プリプレグの目付は通常50〜180g/m2 、好ましくは75〜150g/m2 の範囲のものを用いることができる。炭素繊維目付がこの範囲より大きいとシャフト裁断形状や重量設計における自由度が制限されやすい。
【0018】
本発明において補強層に用いるプリプレグとしては配向を制御し易いため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
該プリプレグに使用される強化繊維としては、斜交層の強化繊維よりもしなりやすい繊維が好ましく引張弾性率20〜60tonf/mm2 、より好ましくは20〜50tonf/mm2 のものが用いられる。
また、該強化繊維は通常圧縮強度50〜250kgf/mm2 、好ましくは70〜250kgf/mm2 、より好ましくは100〜250kgf/mm2 のものが用いられる。
このような強化繊維としては金属繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維および炭素繊維が用いられ、中でも軽量なことから好ましくは炭素繊維、さらに好ましくは圧縮強度に優れるPAN系炭素繊維が用いられる。
【0019】
補強層用プリプレグに使用される樹脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が用いられる。
【0020】
該プリプレグの目付は通常50〜180g/m2 、好ましくは75〜150g/m2 の範囲のものを用いることができる。炭素繊維目付がこの範囲より大きいとシャフト裁断形状や重量設計における自由度が制限されやすい。
【0021】
本発明における成形後のシャフトの積層構造は少なくとも斜交層およびストレート層から構成されており、好ましくは斜交層、補強層およびストレート層から構成されている。
補強層が存在すれば軽量かつ先調子、すなわちシャフト細径部での曲げ剛性を小さく保ったままねじり強度を向上させることができる。
【0022】
前記斜交層は正の斜交層と負の斜交層を一組として用いられ、正負の斜交層用プリプレグを2枚重ね合わせてマンドレルなどに巻回、あるいは正の斜交層をマンドレルなどに巻回した後その上から負の斜交層を巻回することができる。
正の斜交層は強化繊維の配向が軸方向に対して35°〜60°、好ましくは35°〜55°、より好ましくは40°〜50°になるように巻回することができる。
負の斜交層は強化繊維が正の斜交層と交差するように配向しており、シャフト軸方向に対して−35°〜−60°、好ましくは−35°〜−55°、より好ましくは−40°〜−50°になるように巻回することができる。
正負一組の斜交層の巻回数は通常1〜10層、好ましくは4〜8層である。
斜交層の積層厚さは太径部と細径部で異なってもよいが一定であることが好ましい。
【0023】
前記補強層はストレート層の外周部あるいは斜交層とストレート層の間に構成することができる。
補強層を配置することでねじり強度を向上させることができる。
なお、補強層をストレート層の外側に配置した場合は補強層を斜交層とストレート層の間に配置した場合に比べシャフト細径部の曲げ剛性を小さくしかつねじり強度およびねじり剛性を向上することができるため好ましい。
【0024】
補強層はシャフトの細径側先端部に位置しており、補強層の占有範囲の下限が通常シャフト全長の1/10以上、好ましくは1/3以上であり、上限が通常シャフト全長の2/3以下、好ましくは1/2以下の部分を占めている。
補強層の占有範囲が該範囲を超えるとシャフト全体の曲げ剛性が小さくなり、いわゆる手元調子のシャフトとなってしまい、該範囲に満たない場合はシャフトの細径部のねじり強度が不足するため好ましくない。
【0025】
補強層は正の補強層と負の補強層を一組としており、正負の補強層用プリプレグを2枚重ね合わせてマンドレルなどに巻回し、あるいは正の補強層をマンドレルなどに巻回した後その上から負の補強層を巻回することができる。
なお、斜交層および補強層として一方向プリプレグを使用した場合は正負2枚を一組として巻回するが、クロスプリプレグを使用した場合は1枚単位で巻回してもよい。
【0026】
補強層の巻回方法は、図1に示すような所定の巻回数となるように台形あるいは台形の1つの角をカットした五角形のプリプレグをマンドレルに巻回することにより行うことができる。図1において、1,1’はマンドレル、2,2’は斜交層用プリプレグ、3,3’はストレート層用プリプレグ、4,4’は補強層用プリプレグであり、(e)はマンドレル1に各プリプレグ2〜3を巻いた状態を示す積層構成図である。
【0027】
プリプレグ2〜4を巻回するに際して、上記のようにカットした正負の補強層用プリプレグ各1枚はマンドレルの軸方向と垂直な方向に1/2周ずつずらして巻回することができる。
なお、正負の補強層用プリプレグが各2枚ずつになるときは同様に1/4周ずつずらして巻回することもできる。
【0028】
補強層の巻回数はシャフト細径側部分においては通常2〜8層、好ましくは2〜6層であり、太径側部分に向かって巻回数は0層になるまで徐々に減少することができる。
ここでいう巻回数は正負の補強層を一つにつなげた場合のシャフト巻回数と対応しており、シャフト細径側と太径側で巻回数が異なるようにプリプレグをカットした場合はシャフト軸に垂直な任意の断面において該巻回数は連続的に変化する。
【0029】
正の補強層は強化繊維の配向の範囲が軸方向に対して通常10°以上35°未満、好ましくは10°以上28°以下、最も好ましくは15°以上25°以下になるように巻回されている。
負の補強層は強化繊維が正の補強層と交差するように配向しておりその範囲はシャフト軸方向に対して通常−35を越えて−10°以下、好ましくは−28°以上−10°以下、最も好ましくは−25°以上−15°以下になるように巻回されている。
【0030】
ストレート層は強化繊維の配向方向がシャフト軸方向に対して−5°〜5°、より好ましくは−3°〜3°でありかつ、補強層の外周部あるいは斜交層と補強層の間に構成することができる。
ストレート層の巻回方法は、図1(b)(c)に示すような台形あるいは台形の一つの角をカットした五角形のプリプレグを所定の巻回数となるようにマンドレルに巻回することにより行うことができる。
巻回するに際して、上記のようにカットしたストレート層用プリプレグを2枚巻回する場合はマンドレルの軸方向と垂直な方向に1/2周ずつずらして巻回することができる。なお、ストレート層用プリプレグが各3枚になるときは同様に1/3周ずつずらして巻回することもできる。
なお、ストレート層2枚を1/2周ずつずらした場合は、軸に垂直な断面に関して積層数が多い部分同志と少ない部分同志がシャフト軸を中心に相互に向き合った配置、即ちストレート層が異方的に配置することになる。この様子を模式的に図2のB断面に示した。
ストレート層3枚を1/3周ずつずらした場合は、軸に垂直な断面に関して積層数が多い部分がシャフト軸を中心に3方向に分散した配置、即ちストレート層が擬似等方的に配置することになる。
【0031】
ストレート層はシャフト細径側部分にある補強層部分では1〜3層とし、該補強層部分以外では該補強層部分よりも1〜10層、好ましくは1〜8層多くすることができ、2〜11層、好ましくは2〜9層で構成することができる。
このときストレート層の巻回数は太径部分から細径部分にかけて徐々に巻回数を減らすことができる。
ここでいう巻回数は異方的あるいは疑似等方的に配置したストレート層を一つにつなげた場合のシャフト巻回数と対応しており、各断面において該巻回数は整数だけでなく小数も含まれることになる。
【0032】
ストレート層は補強層に比べてシャフトのしなりに与える影響が大きいことに特徴がある。
特にストレート層の積層が異方的な配置の場合はシャフトの曲げ剛性も巻回数に比例して異方的に増加する。
この効果は補強層のシャフトの軸方向に対する配向角が本発明の範囲の場合、補強層がストレート層の配置を打ち消すように異方的に配置していてもほとんど失われることがない。
【0033】
このような異方的配置は例えばゴルフシャフトのスイング挙動に対して有用であり、スイング方向と垂直な方向のストレート層の積層数を増加すればインパクト直前のトウダウンを抑制することができる。
【0034】
補強層とストレート層は細径部側においてそれぞれ巻回数の増減を補うように巻回し、シャフト各部の各層合わせた巻回数あるいは厚みが全体においてほぼ均一になるようにすることが好ましい。
【0035】
なお、シャフトのねじり剛性を表す指標としてトルク値(ゴルフクラブシャフト太径側を固定し、シャフト細径側部分付近に1ft・lbのモーメントを負荷したときのシャフトのねじり角度)で表すことができる。
【0036】
本発明のシャフトは通常8deg/ft・lb以下、好ましくは6deg/ft・lb以下のものを得ることができる。
【0037】
また、ゴルフクラブシャフトの細径部の曲げ剛性(先調子)を表す指標として、逆式フレックス(ゴルフクラブシャフトの細径側を固定し、シャフト太径側の所定の位置に曲げ荷重を負荷したときに生じる、曲げ荷重が生じていない状態からの垂直方向におけるたわみ量)から順式フレックス(ゴルフクラブシャフトの太径側を固定し、シャフト細径側の所定の位置に曲げ荷重を負荷したときに生じる、曲げ荷重が生じていない状態からの垂直方向におけるたわみ量)を引いた値、すなわちフレックスの差で表すことができる。
(逆式フレックス)−(順式フレックス)の値、すなわちフレックスの差が大きければ先調子のシャフトとなり、小さければ手元調子のシャフトとなる。
本発明のシャフトは好ましいフレックスの差の範囲として通常10〜70mm、より好ましくは20〜60mmのものを得ることができる。
【0038】
シャフトのねじり強度は破断トルクで表すことができる。
本発明のシャフトの破断トルクの好ましい範囲は下限が10N・m以上、好ましくは15N・m以上、より好ましくは18N・m以上、最も好ましくは20N・m以上であり、上限が35N・m以下、好ましくは33N・m以下、より好ましくは30N・m以下である。
該範囲以下ではシャフトを捻ったときに破壊されやすく例えばゴルフシャフトとしての用途には使用できない。また該範囲以上に補強してもシャフト自体の重量が増加することになるため好ましくない。
【0039】
本発明のシャフトの曲げ剛性の異方性は、0°、45°、90°の各フレックス値に5mm以上のばらつきがあれば異方性があるとした。
【0040】
本発明によるシャフトのトウダウンは通常500με以下、好ましくは470με以下である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を示すが本発明はこれにより限定されるものではないことはいうまでもない。
本発明におけるフレックスの測定方法は社団法人日本ゴルフ用品協会のフレックス測定標準機を使用し、シャフトを水平にして荷重点から25mm支点側に寄ったところの荷重前後の変位を測定した。
【0042】
順式フレックス測定の設定方法の場合、荷重は2.7kg、荷重位置は細径側先端から20mmの位置であり、シャフトの固定方法はシャフト太径端側から57mmの位置を上から、シャフト太径端側から197mmの位置を下から支持した。
【0043】
逆式フレックス測定の設定方法の場合、荷重は1.5kg、荷重位置は太径側先端から57mmの位置であり、シャフトの固定方法はシャフト細径端側から20mmの位置を上から、シャフト細径端側から160mmの位置を下から支持した。
【0044】
(実施例1)
斜交層として日本グラファイトファイバー(株)製E5026E−12(炭素繊維XN−50、炭素繊維目付125g/m2 、樹脂含有量27.5wt%)、補強層およびストレート層として東レ(株)製P8055S−12(炭素繊維M30S、炭素繊維目付125g/m2 、樹脂含有量25wt%)のプリプレグを使用した。
正負の斜行層1組はそれぞれシャフト軸方向に対して±45°に配向しかつマンドレル上を均一に2.5層ずつ巻回するようにプリプレグを裁断して使用した。
斜交層をマンドレルに巻回するときは図1に示すように正負の斜交層をシャフト軸方向に対して垂直な方向に互いに半周ずつずらして巻回した。
【0045】
ストレート層は細径端が1層、太径端が2層巻回するように図1(c)のように五角形に切り出したプリプレグを2枚使用した。
ストレート層をマンドレルに巻回するときは図1(e)に示すように2枚のストレート層を互いに半周ずつずらして斜交層を巻回した後に重ねて巻回した。
このように巻回することで図2(B)に示すようにストレート層の積層に異方性(図ではストレート層に切れ目がある)をもたせることができた。
なお、図2(A)〜(C)はできあがったシャフトの図1(e)におけるA断面、B断面およびC断面の断面図であるが、シャフト細径端にいくに従いストレート層の巻回数が減っていることが分かる。
【0046】
補強層のプリプレグの長さは補強層部分がシャフト細径端から300mmまで配置するようにし、細径部分のそれぞれの巻回数が2層になるように、かつシャフト軸に対する配向角が25°となるように三角形に切り出したプリプレグを2枚使用した。
補強層をマンドレルに巻回するときは図1(e)に示すように2枚の補強層を互いに半周ずつずらしてストレート層を巻回した後に重ねて巻回した。なお、補強層はストレート層の巻回数の少ない部分を補うように配置した。
【0047】
できあがったシャフトの全長は1145mm、細径端の内径は6mm、外径は8.5mmであり、太径端の内径は13.0mm、外径は15.0mmとなった。
【0048】
上述した方法でフレックスを測定した。また、インパクト直前近傍においてシャフトに生じる曲げ歪みよりトウダウンを測定した。曲げ歪みが大きいほど、大きなトウダウンが生じていることになる。トウダウンおよびフレックス値を表1に示す。 表1にはさらに以下の実施例2〜3および比較例1の測定結果も示した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1のフレックス値が示すように実施例1のゴルフクラブシャフトはシャフトに生じる曲げ応力の方向に異方性があった。また、実施例1のシャフトはトウダウンが小さいことが分かった。
【0051】
【表2】
表2には各種ゴルフシャフトの物性を示した。実施例1のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり強度とねじり剛性を有することが分かった。
【0052】
(実施例2)
細径端が0.67層、太径端が1.33層巻くように五角形に切り出したプリプレグを3枚使用した以外は実施例1と同様にシャフトを製造した。
表1に示すように実施例2のゴルフクラブシャフトはシャフトに生じる曲げ応力の方向に異方性はなかった。
表2から実施例2のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり強度とねじり剛性を有することが分かった。
【0053】
(実施例3)
実施例3は補強層を巻回しなかった以外は実施例1と同様にシャフトを製造した。
表1に示すように実施例2のゴルフクラブシャフトはシャフトに生じる曲げ応力の方向に異方性がありかつ、トウダウンが小さいことが分かった。
表2から実施例2のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり剛性を有することが分かった。
【0054】
(実施例4)
補強層の配向角が15°となる以外は実施例1と同様に製造した。
表2から実施例4のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり剛性およびねじり強度を有することが分かった。
【0055】
(実施例5)
補強層のプリプレグの長さは補強層部分がシャフト細径端から500mmまで配置するようにした以外は実施例1と同様に製造した。
表2から実施例5のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり剛性およびねじり強度を有することが分かった。
【0056】
(実施例6)
補強層の配向角が30°となる以外は実施例1と同様に製造した。
表2から実施例6のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり剛性およびねじり強度を有することが分かった。
【0057】
(実施例7)
補強層を斜交層とストレート層の層間に配置した以外は実施例1と同様に製造した。
表2から実施例8のゴルフクラブシャフトは軽量で先調子でありかつ優れたねじり強度を有することが分かった。
【0058】
(比較例1)
比較例1は補強層を巻回せずかつストレート層の巻回数は細径端から太径端にかけて均一にそれぞれ2層巻回するように裁断したプリプレグを2枚使用した以外は実施例1と同様に製造した。
表1に示すように比較例1はシャフトのフレックスに異方性がなく、トウダウン大きかった。
表2から比較例1のゴルフクラブシャフトは軽量であるものの先調子の程度が低くかつねじり剛性およびねじり強度が劣ることが分かった。
【0059】
【発明の効果】
本発明により製造されたテーパ付き中空シャフトは軽量で良好な先調子のシャフト、特にゴルフクラブシャフトとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 補強層をストレート層外側に巻回した場合のプリプレグ裁断形状および積層構成を示す図である。
【図2】 ストレート層の巻回数を4層(2層+2層)から2.6層(1.3層+1.3層)、さらに2層(1層+1層)へと減少させた場合のシャフト軸に垂直な断面の積層構成を示す図である。ただし補強層の積層変化を省略している。
【符号の説明】
1,1’:マンドレル、2,2’:斜交層用プリプレグ、3,3’:ストレート層用プリプレグ、4,4’:補強層用プリプレグ。
Claims (1)
- 繊維強化複合材料より製造されるテーパ付き中空シャフトにおいて、前記繊維強化複合材料は斜交層として引張弾性率が40〜80tonf/mm 2 の炭素繊維を使用し、前記シャフトの軸に対する強化繊維の配向角が+35〜+60°である一方向プリプレグからなる正の斜交層と、−35〜−60°である一方向プリプレグからなる負の斜交層と、ストレート層として引張弾性率が20〜40tonf/mm 2 のPAN系炭素繊維を使用し、−5〜5°である一方向プリプレグからなるストレート層及び補強層として引張弾性率が20〜60tonf/mm 2 のPAN系炭素繊維を使用し、前記シャフト細径部分に強化繊維の配向角が10°以上28°以下である一方向プリプレグからなる正の補強層と−28°以上−10°以下の一方向プリプレグからなる負の補強層からなり、かつ該シャフトの細径側に向ってストレート層の巻回数が徐々に減少していることを特徴とするテーパ付き中空シャフト。
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