JPH07124277A

JPH07124277A - ゴルフクラブシャフト

Info

Publication number: JPH07124277A
Application number: JP5301189A
Authority: JP
Inventors: Naohiro Ohori; 尚宏大堀; Tetsuya Sugiyama; 哲也杉山
Original assignee: Tonen Corp
Current assignee: Tonen General Sekiyu KK
Priority date: 1993-11-05
Filing date: 1993-11-05
Publication date: 1995-05-16

Abstract

(57)【要約】【目的】キックポイントが高く、スピードが速い打撃
者に対しても飛距離を増大することを可能としたゴルフ
クラブシャフトを提供することである。【構成】繊維強化複合材料のパイプからなるゴルフク
ラブシャフトにおいて、シャフトのティップ側からグリ
ップ側にかけての内径のテーパー率αをα≦０とし、且
つキックポイントを４６％以上とした。【効果】キックポイントが高く、ヘッドスピードの速
い打撃者に対して打球が上方にふけることなく大きな飛
距離を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維等の繊維強化
複合材料のパイプからなるゴルフクラブシャフトに関
し、特にヘッドスピードの速いゴルファーに対して打球
の飛距離を増大することを可能としたゴルフクラブシャ
フトに関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブシャフトとして、繊維強化
複合材料製のパイプからなるシャフトが知られており、
近年、軽量で且つ機械的強度が高く、又振動減衰特性が
良好であるという理由から多く利用されている。特にそ
の軽量性のために、繊維強化複合材料製ゴルフシャフト
クラブは、スチール製シャフトに比較して操作性が高
く、市場で確固たる地位を占めるに至りつつある。

【０００３】このようなゴルフクラブシャフトは、複数
層の炭素繊維強化複合材料層等から構成されるが、図６
に示すように、所定の形状寸法に裁断した炭素繊維強化
プリプレグ１０１を所定枚数だけ、型となるテーパー付
きのマンドレル１００の周囲に巻き付け、プリプレグ１
０１のマトリクス樹脂を硬化してプリプレグ１０１を炭
素繊維強化複合材料とすることによって形成される。

【０００４】このとき、捩り及び曲げ性能を向上させる
ために、炭素繊維強化プリプレグとしては、図６に示す
ように、炭素繊維がマンドレル１００の軸線（ゴルフク
ラブシャフトの軸線でもある）に対して互に反対方向に
角度（θ）、即ち時計方向に角度（±θ）（通常、θ＝
３５°〜４５°）だけ傾斜するように配列されたプリプ
レグ１０１（アングル層１０１′）と、図７に示される
ように、炭素繊維がゴルフクラブシャフトの軸線に対し
て平行（θ＝０°）に配列されたプリプレグ１０２（ス
トレート層１０２′）とが使用され、通常、図５に示さ
れるように、ゴルフクラブシャフトの内側層にプリプレ
グ１０１（アングル層１０１′）が、外側層にプリプレ
グ１０２（ストレート層１０２′）が使用されることが
多い。

【０００５】通常、内側層のプリプレグ１０１（アング
ル層１０１′）は約４〜１０層、外側層のプリプレグ１
０２（ストレート層１０２′）は約２〜５層積層され、
ゴルフクラブシャフト２０は、基本的に、内側の炭素繊
維強化複合材料層４〜１０層程度のアングル層１０１′
と、外側の炭素繊維強化複合材料層２〜５層程度のスト
レート層１０２′とで構成される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
繊維強化複合材料製のゴルフクラブシャフト２０は、先
端のティップ側（ヘッド側）から基端のグリップ側にか
けての内径のテーパー率（傾斜率）αが、０＜α（多く
の場合、α＝０．００５〜０．００８）であるため、通
常、キックポイント（Ｋ．Ｐ．）は４０％前後、高くて
も４５％程度が限度であった。そのため、打撃によるク
ラブフェース面の回転角が大となり、シャフトのしなり
の復元時に、クラブフェース面の回転戻り角も大となる
ので、特にヘッドスピードが速い場合、球の飛び出し角
が過大となって所謂”ふけ”が発生し、飛距離が増大し
ない問題があった。

【０００７】尚、上記のテーパー率αは、図８に示すよ
うに、ゴルフクラブシャフト２０の先端ティップ側（ヘ
ッド側）の内径をＤ_T 、基端グリップ側の内径をＤ_G と
し、シャフト２０の長さをＬとすると、 α＝（Ｄ_G −Ｄ_T ）／Ｌで表される。従来のゴルフクラブシャフトは、先端ティ
ップ側が先細りであるため、Ｏ＜αである。

【０００８】又キックポイントとは、図９に示すよう
に、ゴルフクラブシャフト２０に軸方向の圧縮荷重を加
えたときに、最大たわみηが発生する点の相対的な長さ
として定義される。ティップ側からの距離をＬ_K とする
と、キックポイント（Ｋ．Ｐ．）は、Ｋ．Ｐ．（％）＝Ｌ_K ／Ｌ×１００で表される。

【０００９】フレックスとは、ゴルフクラブシャフトが
やわらかく、しなり易いかどうかの指標になるもので、
図１０に示すように、ゴルフクラブシャフト２０の基端
グリップ側を固定して、自由長Ｌ₀ の片持ちバリの状態
でティップ側先端に或る荷重Ｗを負荷させたときの先端
のたわみ量δ（ｍｍ）で表される。シャフトが軟らかい
ときはフレックスδが大きくなり、硬いときはδが小さ
くなる。

【００１０】本発明の目的は、キックポイントが高く、
ヘッドスピードが速い打撃者に対しても、打球が上方に
失速することなく、スピードに応じた飛距離が得られる
ことを可能としたゴルフクラブシャフトを提供すること
である。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
ゴルフクラブシャフトにて達成される。要約すれば本発
明は、繊維強化複合材料のパイプからなるゴルフクラブ
シャフトにおいて、前記シャフトのティップ側からグリ
ップ側にかけての内径のテーパー率αがα≦０であっ
て、且つキックポイントが４６％以上であることを特徴
とするゴルフクラブシャフトである。

【００１２】

【実施例】図１は、本発明のゴルフクラブシャフトの一
実施例を示す縦断面図、図２は、同じく横断面図であ
る。本発明のゴルフクラブシャフト１０は、先端のティ
ップ側から基端のグリップ側にかけての内径のテーパー
率αがα≦０で、且つキックポイント（Ｋ．Ｐ．）が４
６％以上であることが大きな特徴である。

【００１３】即ち、ゴルフクラブシャフト１０の先端テ
ィップ側の内径をＤ_T 、基端グリップ側の内径をＤ_G と
し、シャフト１０の長さをＬとして、 α＝（Ｄ_G −Ｄ_T ）／Ｌ≦０であり、又ゴルフクラブシャフト１０に軸方向の圧縮荷
重を加えたときに、最大たわみが発生する点のティップ
側からの距離をＬ_K として、Ｋ．Ｐ．（％）＝Ｌ_K ／Ｌ×１００≧４６である。

【００１４】本発明のゴルフクラブシャフト１０は、従
来のシャフトと同様、先の図６に示したように、マンド
レル１００（但し、マンドレル１００は先太又はストレ
ート）の軸線（シャフトの軸線）に対して、炭素繊維が
角度（θ）（通常、θ＝３５°〜４５°）だけ傾斜する
ように配列された炭素繊維強化プリプレグ１０１（アン
グル層１０１′）と、炭素繊維がシャフトの軸線に対し
て平行に配列された炭素繊維強化プリプレグ１０２（ス
トレート層１０２′）とを積層し、硬化して、炭素繊維
強化複合材料とすることによって製造され、基本的に、
炭素繊維強化複合材料層からなるアングル層１０１′と
ストレート層１０２′とから構成される。

【００１５】図１では、アングル層１０１′が内層とさ
れているが、ストレ−ト層１０２′を内層とすることも
可能である。通常、アングル層１０１′は全体で４〜１
０層程度、ストレ−ト層１０２′は２〜５層程度とされ
るが、その層数を適宜増減することができる。その際、
本発明では、後述するように、フレックスを調整するた
めに、外層となるアングル層１０１′或いはストレ−ト
層１０２′のうちの最外層１〜６層程度を、シャフトの
長手方向の所望の範囲にだけ設けるようにされる。又ゴ
ルフクラブシャフトの例えば先後端の強度不足を補うた
めに、その箇所に図示しない補強層を加えることができ
る。

【００１６】アングル層１０１′及びストレート層１０
２′を形成するための繊維強化プリプレグ１０１及び１
０２には、通常の炭素繊維強化プリプレグを使用するこ
とができる。つまり、炭素繊維強化プリプレグ１０１、
１０２は、強化繊維としては炭素繊維（黒鉛繊維をも含
む）を使用し、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジア
リルフタレ−ト樹脂、フェノ−ル樹脂などの熱硬化性マ
トリクス樹脂が使用可能である。又、更に、硬化温度が
５０〜２００℃となるように硬化剤その他の付与剤、例
えば可撓性付与剤などが適当に添加される。

【００１７】勿論、アングル層１０１′及びストレート
層１０２′は、強化繊維として、炭素繊維以外のガラス
繊維などの他の繊維を使用した、当業者には周知の種々
のプリプレグを使用して形成することも可能である。

【００１８】さて、本発明では、ゴルフクラブシャフト
内径のテーパー率αをα≦０としたので、キックポイン
トを容易に高くでき、従来なかった４６％以上の高いキ
ックポイントを実現することができた。又高いキックポ
イントを保ったまま、フレックスを調整できる利点もあ
る。

【００１９】キックポイントは、好ましくは４８〜６０
％がよい。キックポイントが４６％未満では、ヘッドス
ピードが速いときに、打球が”ふける”という欠点があ
り、逆に６０％を超えると、打球が上がらず、かえって
飛距離が伸びない問題が起こり、いずれも好ましくな
い。

【００２０】ゴルフクラブシャフト１０のキックポイン
トＫ．Ｐ．の値が大であると、図３の模式図に示すよう
に、打撃時のシャフト１０のしなりがシャフト中央付近
からグリップ側にかけて最大（たわみηの点）となるた
め、同じ量のたわみηに対しキックポイントＫ．Ｐ．が
大きいほど、打撃によるクラブフェース面の回転角ψが
小となる。これによりシャフトのしなりの復元時、クラ
ブフェース面の回転戻り角も小となるために、図４に示
すように、球の飛び出し角φが小さくなり、φが過大と
なる”ふけ”を抑えることができる。このプロセスによ
り球の飛距離に対する運動エネルギー効率、即ち”球の
飛距離に寄与するエネルギー”／”球に対する全入力エ
ネルギー”の割合を高めることができ、結果として飛距
離を増大させることができる。

【００２１】以上のように、本発明によれば、ゴルフク
ラブシャフト１０のティップ側からグリップ側にかけて
の内径のテーパー率をα≦０とすることにより、キック
ポイントが４６％以上に大きなシャフトを実現すること
ができ、これによりスピードが速いゴルファーの球の飛
距離に対する運動エネルギー効率を向上させて、その結
果、飛距離を増大させることができる。

【００２２】本発明の具体例を述べる。

【００２３】実施例１図１１及び下記表１の積層構成に示すように、外径６ｍ
ｍ、テーパ率０（ストレート）のマンドレル１００に、
ストレート層の第１層、アングル層の第２層、スト
レート層の第３層、ストレート層の第４層、及びグ
リップ側曲げ剛性調整層の第５層（グリップ側のみ）
用にそれぞれプリプレグを巻き付け、その後、厚さ３０
μｍ、幅２０ｍｍのポリプロピレン製テープを巻き付け
てから、硬化炉にて１３０℃で２時間硬化した後、所定
の後処理、即ち脱芯機によるマンドレルの引抜き、テー
プの除去を行ない、更にテープ跡の表面研磨を施して、
内径のテーパ率α＝０、外径のテーパ率β＝０である内
外が共にストレートのシャフトを得た。

【００２４】このシャフトの全長Ｌは１１４３ｍｍ、グ
リップ側の外径は１０．５ｍｍであった。又シャフトの
先端部（ティップ側）は、上記の表面研磨によって８．
５ｍｍに外径合わせを行なった。

【００２５】

【表１】

【００２６】実施例２各層〜を下記表２の積層構成にした。表２におい
て、第３層のプリプレグには、図１２のような直角台
形状にカットしたプリプレグを用い、プリプレグが先端
部で５周、グリップ側で２周巻き付けられるようにし
た。

【００２７】それ以外は実施例１と基本的に同様にし
て、内径のテーパ率α＝０、外径のテーパ率β＝−０．
６／１０００である内径がストレート、外径が逆テーパ
のゴルフクラブシャフトを得た。

【００２８】このシャフトの全長は１１４３ｍｍ、グリ
ップ側の外径は１０．５ｍｍであった。シャフトの先端
部の外径は、表面研磨による外径合わせで８．５ｍｍと
した。

【００２９】

【表２】

【００３０】実施例３図１１のマンドレル１００として、グリップ側の外径
４．０ｍｍ、先端部の外径６．０ｍｍのテーパ率が−
１．７５／１０００の逆テーパのマンドレルを用いた。
これに表３に示す積層構成でプリプレグを巻き付け、内
径のテーパ率α＝−１．７５／１０００、外径のテーパ
率β＝−１．７５／１０００である、内外が共に逆テー
パのゴルフクラブシャフトを得た。

【００３１】このシャフトの全長は１１４３ｍｍ、グリ
ップ側の外径は１０．５ｍｍ、先端部の外径は８．５ｍ
ｍ（表面研磨の外径合わせによる）であった。

【００３２】

【表３】

【００３３】比較例図１３及び表４の積層構成に示すように、グリップ側の
外径１２．７ｍｍ、先端の外径４．０ｍｍの順テーパ
（テーパ率＋７．５４／１０００）のマンドレル１００
に、アングル層の第１層、ストレート層の第２層、
研磨層の第３層及び先端補強層の第４層用にそれぞ
れプリプレグを巻き付けた。それ以外は、実施例１と基
本的に同様にして、内径のテーパ率α＝外径のテーパ率
β＝＋７．５４／１０００の内外が共に順テーパのゴル
フクラブシャフトを得た。

【００３４】このシャフトの全長は１１４３ｍｍ、グリ
ップ側の外径は１０．５ｍｍ、先端部の外径は８．５ｍ
ｍ（表面研磨の外径合わせによる）であった。

【００３５】

【表４】

【００３６】以上、４種類のゴルフクラブシャフトのフ
レックスδ、キックポイントＫ．Ｐ．のそれぞれを、先
の図１０及び図９に示すようにして測定した。フレック
スδは、図９のシャフト先端から９２０ｍｍの部分を自
由長Ｌ₀ とし、それ以外のグリップ側の部分を固定して
測定した。荷重Ｗは、先端から１０ｍｍの位置（固定端
から９１０ｍｍの位置）に３ｋｇの重りを吊下げて負荷
した。それらの結果を表５に示す。

【００３７】

【表５】

【００３８】上記表５に示されるように、本発明によれ
ば、シャフトのティップ側からグリップ側にかけての内
径のテーパー率αをα≦０、即ち内径をストレート若し
くは逆テーパにすることにより、５０％前後のキックポ
イントを有するゴルフクラブシャフトが成形可能である
ことが分る。

【００３９】又これらゴルフクラブシャフトをゴルフク
ラブに仕上げて使用したところ、実施例１〜３のシャフ
トでは、打球が上方にふけることなく大きな飛距離を得
ることができた。比較例のシャフトでは、ヘッドスピー
ドが大きい場合に、打球が上り過ぎ（上方にふけてしま
い）、ヘッドスピードに応じた飛距離を得ることができ
なかった。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のゴルフク
ラブシャフトは、繊維強化複合材料のパイプからなり、
そのシャフトのティップ側からグリップ側にかけての内
径のテーパー率αがα≦０で、且つキックポイントが４
６％以上と高く、ヘッドスピードの速い打撃者に対し
て、打球が上方にふけることなく大きな飛距離を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフクラブシャフトの一実施例を示
す縦断面図である。

【図２】図１のゴルフクラブシャフトの横断面図であ
る。

【図３】本発明のゴルフクラブシャフトによれば打撃時
のクラブフェース面の回転角が小になることを模式的に
示す説明図である。

【図４】本発明のゴルフクラブシャフトによれば打撃時
の球の飛び出し角が抑えられることを示す説明図であ
る。

【図５】従来のゴルフクラブシャフトを示す横断面図で
ある。

【図６】図５のゴルフクラブシャフトの製造方法を示す
説明図である。

【図７】図５のゴルフクラブシャフトのストレート層に
使用するプリプレグを示す平面図である。

【図８】従来のゴルフクラブシャフトを示す縦断面図で
ある。

【図９】ゴルフクラブシャフトのキックポイントを示す
説明図である。

【図１０】ゴルフクラブシャフトのフレックスを示す説
明図である。

【図１１】実施例１のゴルフクラブシャフトの積層構成
を模式的に示す断面図である。

【図１２】実施例２のゴルフクラブシャフトの第４層に
使用するプリプレグを示す平面図である。

【図１３】比較例のゴルフクラブシャフトの積層構成を
模式的に示す断面図である。

【符号の説明】

１０ゴルフクラブシャフト１００マンドレル１０１プリプレグ１０１′ アングル層１０２プリプレグ１０２′ ストレート層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】繊維強化複合材料のパイプからなるゴル
フクラブシャフトにおいて、前記シャフトのティップ側
からグリップ側にかけての内径のテーパー率αがα≦０
であって、且つキックポイントが４６％以上であること
を特徴とするゴルフクラブシャフト。