JP2000279558A - ゴルフクラブセット及びそのシャフトセット - Google Patents

ゴルフクラブセット及びそのシャフトセット

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JP2000279558A
JP2000279558A JP11087259A JP8725999A JP2000279558A JP 2000279558 A JP2000279558 A JP 2000279558A JP 11087259 A JP11087259 A JP 11087259A JP 8725999 A JP8725999 A JP 8725999A JP 2000279558 A JP2000279558 A JP 2000279558A
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shaft
club
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clubs
gpa
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JP11087259A
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Hironori Ashida
蘆田  浩規
Yasushi Matsui
泰志 松井
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Mizuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】番手の小さいクラブにおいてはシャフトのしな
りの復元によるヘッドスピードへの寄与の割合を比較的
高くすることで、「飛距離性能」を重視し、番手の大き
いクラブにおいてはシャフト先端部とグリップ部の曲げ
剛性のバランスを考慮することで、「飛距離性能」と
「コントロール性」との両立を重視するとともに、さら
にボールの飛び出し角度を大きくして飛距離を増大させ
る。 【解決手段】シャフトの先端部からヘッドのホーゼル内
に挿入される長さを含む180mm近傍の曲げ剛性の最
低値の範囲は10〜15N・m2で、グリップ端部から
400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値の範囲は
50〜60N・m 2とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、番手が大きくなる
に従がってシャフトが順次短くなるゴルフクラブセット
及びそのシャフトセットの、前記シャフトの曲げ剛性の
分布をセット中において最適値に設定することで各クラ
ブの特性を最大限に発揮させようとするものである。
【0002】
【従来の技術】ゴルフクラブはセットとして見ると、ク
ラブの番手の増加に伴ってヘッドのロフトが暫増し、シ
ャフトの長さが暫減するように形成されている。そし
て、ウッドクラブにおける一般的なセットとしては、1
番のドライバーと3番から5番までのフェアウェイウッ
ドが基本的であり、アイアンクラブにおける一般的なセ
ットとしては、1番から4番までからなるロングアイア
ン(1番、2番は、ドライビングアイアンとも呼ばれ
る)、5番から7番までからなるミドルアイアン、8番
から9番までと、サンドウエッジやピッチングウエッジ
などからなる特殊アイアンからなるものを含むショート
アイアンが基本的なセット内容となっている。
【0003】また、ゴルフクラブセットにおいて、ヘッ
ドのロフト角は、通常、ウッドクラブヘッドでは1番の
11°前後から5番の21°前後に至るまで順次大きく
なるように設定されている。アイアンクラブヘッドのロ
フト角では、通常、3番の21°から9番の41°に至
るまでほぼ4°刻みの設定、及び、サンドウエッジやピ
ッチングウエッジなどは46°、51°、56°等々の
角度の設定がなされている。そのため、セット中のクラ
ブの飛距離に関係する要素は、クラブヘッドのロフト角
とシャフトの長さが主な要因であった。
【0004】従って、ゴルフクラブセットの各クラブに
は、前記要素を組み合わせて、すなわち、ロフト角が小
さいほど打球の打ち出し角度が小さくなるとともに、打
球に加わるスピンが減少してボールが転がりやすくな
り、また、シャフトが長いほどヘッドスピードが増加す
るという現象があるので、番手が小さいクラブには、ボ
ールを打撃した時に狙った方向に特に大きい飛距離が得
られるという飛距離性能を満たすためにヘッドのロフト
角が小さくシャフトが長いクラブとなっており、番手が
大きいクラブになるに従い、ボールを打撃した時に特に
狙った位置にボールを置くことが出来るなどのコントロ
ール性を良くするためにヘッドのロフト角を順次大き
く、シャフトの長さを順次短くするなどして、番手ごと
の特性を持たせてある。
【0005】従来、ゴルフクラブセットを構成するため
のシャフトのセットとしての設計は、同一構成のシャフ
トを複数本用意し、そのシャフトの先端部を、例えば番
手が大きくなるに従がい、0.5インチずつ切断し短く
することで構成されたものが周知である。従って、前記
クラブセットのシャフトの曲げ剛性分布は、図5に示す
ようになっている。また、これらシャフトは、シャフト
長さの中での最大たわみ点であるキックポイントの位置
が、番手が異なるクラブであっても、手元からの距離が
同じ距離になるため、クラブとしてはボールを打った
時、その番手のロフト角、シャフト長さから実現される
飛距離以上には飛ばず、セットとしてのシャフトには、
前記したクラブの特性をより効果的に具現化するための
工夫はあまりされていなかった。
【0006】そこで、これらの特性をシャフトにおいて
効果的に具現化する構成としては、実開昭61−185
460号公報に見られるように、FRPシャフトを製造
するにあたって、キックポイント調整用部材の長さを変
えることにより、番手が小さいものから大きいものにな
るに従い、シャフトの調子が先調子から手元調子に推移
するようにキックポイントの位置をセット中の長いクラ
ブから短いクラブに行くに従がい、移動させるように形
成したものが開示され、公知となっている。前記キック
ポイントは、シャフトの長さの中での最大たわみ点を示
すものであり、前記したセットでは、図6に示すよう
に、このキックポイントが番手の小さいクラブでは比較
的ヘッド側にあり、番手の大きいクラブになるに従がい
グリップ側にあるように設定したものである。
【0007】更に、特開平10−225537号公報に
開示され図7に示すように、シャフトのヘッドが装着さ
れる先端領域Aとグリップが装着される後端領域Cを除
く中間領域Bの長さを、シャフトが長くなるに従がい長
くし、更に、シャフトの中間領域Bにおける所定位置の
シャフト先端からの距離とその位置におけるシャフトの
曲げ剛性との関係を示す勾配の傾斜を、シャフトが長く
なるに従がい小さくなるように形成して短いクラブから
長いクラブに向かってキックポイントを手元調子から先
調子に変化させたものが開示されている。
【0008】一方、繊維強化樹脂製シャフトの積層構造
については、通常、引張り弾性率が240〜800GP
aの補強繊維からなる繊維強化樹脂プリプレグをマンド
レルに複数層巻回積層して形成される。前記プリプレグ
は補強繊維の配向角度がシャフト長さ方向に対して±2
0°〜±60°の角度となるよう配置された正負の斜交
層とシャフト長さ方向とほぼ同じとなるストレート層の
少なくとも2層から形成されている。そして、部分的に
は、一番径が細くて打球時の負荷が大きいため他の部分
より折れやすい先端領域にはあまり重量の増加を招かな
い程度に、例えば70GPa〜300GPaの折損防止
のための補強層を配設したり、また、シャフトのいずれ
かの部分(例えば、先端領域や中間領域、後端領域)で
はシャフトの重量調整用としてや、シャフト本体の研磨
による切削を防止するための捨て巻き用として全長や部
分的に、例えば、ガラス繊維等の引張り弾性率が70G
Pa〜300GPaの繊維強化樹脂層が用いられている
ことがある。
【0009】FRPシャフトに要求される特性として
は、軽量であって耐久性に優れていること、軽量化によ
り打球の速度を向上させたり、ボールの打ち出し角度を
大きくして飛距離を増大させることやフィーリングの改
善であり、前記打球速度につながるヘッドスピードやフ
ィーリングにはシャフトの曲げ剛性分布が大きく影響を
及ぼし、それゆえシャフトの性能を左右する大きな要因
である。しかし、これら従来のシャフトの曲げ剛性は、
前記した積層構成等により、先端領域では前記補強層な
どにより20〜40N・m2若しくはそれ以上で、グリ
ップ側に行くに従い、外径の増大等により70〜100
N・m2若しくはそれ以上となるのが一般的であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記の実開昭61−1
85460号公報に開示されているゴルフクラブセット
のように、調子をセット中の番手の小さいクラブから番
手の大きいクラブになるに従い先調子から手元調子に推
移するようにしたものでは、通常、キックポイントの位
置はシャフトのヘッド側から全長に対して30%〜45
%程度の範囲内で番手の小さいクラブから番手の大きい
クラブになるに従がい先端側からグリップ側になるよう
に形成されていた。
【0011】前記キックポイントは、そのシャフトのた
わみの中心となる位置であるから、それら従来のシャフ
トは、前記キックポイントを中心にして、その硬さのシ
ャフトに設計されたたわみ量を呈するものであり、従が
って、番手の小さいクラブは先調子になるので、インパ
クト時のヘッドのロフト角に与える影響が大きくなり、
それゆえに、先調子でないクラブよりも飛出しが高く、
初速の速い打球が得られ、「飛距離性能」を多少満足さ
せている。また、番手の大きいクラブは手元調子になる
ので、それゆえに、手元調子でないクラブよりも、比較
的しっかりした力強い弾道の打球が得られて、「コント
ロール性能」を多少満足させている。
【0012】その反面、スイング中のシャフトのしなり
に着目すると、このようなシャフトが装着されているク
ラブは、一概に、シャフト全体として滑らかなしなりを
呈しているとは言えず、前記したシャフトのある部分
(キックポイント)で比較的極端に曲がっていることが
多い。この場合、アドレスからインパクトまでのシャフ
トのしなりによるヘッドの遅れをゴルファーはスイング
で補う補正を行ないがちであり、それゆえに、インパク
ト時のヘッドの位置のスイング毎のばらつきが大きくな
り、弾道も安定しないことが多いという問題点がある。
さらに、番手の小さいクラブにおいては、キックポイン
トが比較的ヘッド側に存在するが、グリップの部分は剛
性が比較的大きくたわみが少ないので、シャフトのしな
りの復元によるヘッドスピードへの寄与の割合も低く、
「飛距離性能」を満たすのには不十分である。
【0013】また、前記特開平10−225537号公
報に開示されているシャフトセットでは、結果的に、番
手の小さいクラブは先調子になり、番手が大きいクラブ
は手元調子になっており、それゆえに、番手の小さいク
ラブは「飛距離性能」を多少満足させていて、番手の大
きいクラブは「コントロール性能」を多少満足させてい
る。また、この発明のシャフトセットでは、シャフトの
中間領域において、中間領域の長さ(α)に対する中間
領域の先端からの距離(β)の割合が等しい箇所、即ち
β/αが等しい箇所におけるシャフトの曲げ剛性を各シ
ャフトを通じて実質的に等しくすることで、番手間のス
イングのタイミングを揃え、打感を揃えられること、シ
ャフトの先端領域及び後端領域の長さを各シャフトを通
じて実質的に等しくすることで、スイングの切り返し時
における感度も極力揃えられると述べている。
【0014】しかしながら、この発明のクラブセットで
は、そのシャフトの剛性分布のグラフを見てみると、シ
ャフトのAおよびCの部分の曲げ剛性値が大きく、した
がって、シャフトのしなりの復元によるヘッドスピード
への寄与の割合も低くなり「飛距離性能」を満たすのに
は不十分である。
【0015】そこで、本発明は、これら従来の問題点を
解決して、そのシャフトに設計された硬さにおいて、シ
ャフト先端からグリップ部にいたるシャフト全体にわた
り滑らかに撓るような剛性分布、特に曲げ剛性分布を有
するシャフトを装着したゴルフクラブとし、インパクト
時のヘッドの位置のスイング毎のばらつきを小さくし、
弾道を安定させると同時に、番手の小さいクラブにおい
てはシャフトのしなりの復元によるヘッドスピードへの
寄与の割合を比較的高くすることで、「飛距離性能」を
重視し、番手の大きいクラブにおいてはシャフト先端部
とグリップ部の曲げ剛性のバランスを考慮することで、
ある程度のヘッドスピードの増加による「飛距離性能」
と「コントロール性」との両立を重視するとともに、さ
らにボールの飛び出し角度を大きくして飛距離を増大さ
せ、かつ、番手が大きいクラブになるに従がい、クラブ
をスイングした時に番手が小さいクラブのスイング感覚
と違和感無く、しかも方向性及びフィーリングを重視し
た構成のゴルフクラブセットおよびそのシャフトセット
を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の発明は番手が大きくなるに従がってシャ
フトが順次短くなるように形成した複数本のクラブから
成るゴルフクラブセットにおいて、セットを構成するす
べてのクラブのシャフトのヘッド取付け端部から100
mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が20N・m2
以下であり、かつ、前記セット中のシャフトのグリップ
端部から400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値
が、番手の小さいクラブから番手の大きいクラブになる
に従がい、40N・m2から70N・m2の範囲内で、順
次大きく形成したことを特徴とするゴルフクラブセット
である。
【0017】請求項2の発明は、 番手が大きくなるに
従がってシャフトが順次短くなるように形成した複数本
のクラブから成るゴルフクラブセットを構成するシャフ
トセットにおいて、すべてのシャフトのヘッド取付け端
部から100mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が
20N・m2以下であり、かつ、前記シャフトのグリッ
プ端部から400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低
値が、番手の小さいクラブのシャフトから番手の大きい
クラブのシャフトになるに従がい、40N・m 2から7
0N・m2の範囲内で、順次大きく形成したことを特徴
とするシャフトセットである。
【0018】請求項3の発明は、番手が大きくなるに従
がってシャフトが順次短くなるように形成した複数本の
クラブから成るゴルフクラブセットにおいて、セットを
構成するクラブのシャフトの先端部から全長の20〜4
0%までの範囲内に引張り弾性率150GPa以下の補
強繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手の小さいクラブ
から番手の大きいクラブになるに従がい、順次長い範囲
に配設され、かつ、前記シャフトのグリップ端部から全
長の20〜45%の範囲内で、前記引張り弾性率150
GPa以下の補強繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手
が小さいクラブから番手が大きいクラブになるに従が
い、順次短かい範囲に配設されたことを特徴とするゴル
フクラブセットである。
【0019】請求項4の発明は、番手が大きくなるに従
がってシャフトが順次短くなるように形成した複数本の
クラブから成るゴルフクラブセットを構成するシャフト
セットにおいて、前記シャフトの先端部から全長の20
〜40%までの範囲内に引張り弾性率150GPa以下
の補強繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手の小さいク
ラブのシャフトから番手の大きいクラブのシャフトにな
るに従がい、順次長い範囲に配設され、かつ、前記シャ
フトのグリップ端部から全長の20〜45%の範囲内
で、前記引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用
いた繊維強化樹脂層が、番手が小さいクラブのシャフト
から番手が大きいクラブのシャフトになるに従がい、順
次短かい範囲に配設されたことを特徴とするシャフトセ
ットである。
【0020】請求項5の発明は、番手が大きくなるに従
がってシャフトが順次短くなるように形成した複数本の
クラブから成るゴルフクラブセットにおいて、セットを
構成するクラブのシャフトの先端部から全長の20〜4
0%までの範囲に引張り弾性率150GPa以下の補強
繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手の小さいクラブか
ら番手の大きいクラブになるに従がい、順次長い範囲に
配設されることにより、前記シャフトのヘッド取付け端
から100mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が2
0N・m2以下で、かつ、引張り弾性率150GPa以
下の補強繊維を用いた繊維強化樹脂層を、前記シャフト
のグリップ端部から全長の20〜45%の範囲内で、番
手の小さいクラブから番手の大きいクラブになるに従が
い、順次短かい範囲に配設することにより、前記シャフ
トのグリップ端部から400mm近傍までの範囲の曲げ
剛性の最低値が40N・m2から70N・m2の範囲で順
次大きく形成したことを特徴とするゴルフクラブセット
である。
【0021】請求項6の発明は、番手が大きくなるに従
がってシャフトが順次短くなるように形成した複数本の
クラブから成るゴルフクラブセットを構成するシャフト
セットにおいて、前記シャフトの先端部から全長の20
〜40%までの範囲に引張り弾性率150GPa以下の
補強繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手の小さいクラ
ブのシャフトから番手の大きいクラブのシャフトになる
に従がい、順次長い範囲に配設されることにより、前記
シャフトのヘッド取付け端から100mm近傍までの範
囲の曲げ剛性の最低値が20N・m2以下で、かつ、引
張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用いた繊維強
化樹脂層を、前記シャフトのグリップ端部から全長の2
0〜45%の範囲内で、番手の小さいクラブのシャフト
から番手の大きいクラブのシャフトになるに従がい、順
次短かい範囲に配設することにより、前記シャフトのグ
リップ端部から400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の
最低値が40N・m2から70N・m2の範囲で、順次大
きく形成したことを特徴とするシャフトセットである。
【0022】請求項7の発明は、請求項3または5の発
明において、前記補強繊維は引張り弾性率60GPa以
下の炭素繊維を使用したことを特徴とする繊維強化樹脂
製のゴルフクラブセットである。
【0023】請求項8の発明は、 請求項4または6の
発明において、前記補強繊維は引張り弾性率60GPa
以下の炭素繊維を使用したことを特徴とする繊維強化樹
脂製のシャフトセットである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基き、本発明の
好適な実施形態をゴルフクラブセット及びそれらを構成
しているシャフトセットとして説明することにより、本
発明について詳細に説明する。図1は本発明をアイアン
クラブに実施した場合のアイアンクラブセット1の概念
図を示す図であり、図2は本実施例のアイアンクラブセ
ット中の一本を示す図である。図3は本実施例のアイア
ンクラブセットの内、3番から9番までの各々のゴルフ
クラブ及びそれらを構成しているシャフトの曲げ剛性分
布と、破線で示す従来技術による最も一般的で、同一シ
ャフト硬さの番手の小さいクラおよびそのシャフトの曲
げ剛性分布を説明する概略説明図である。この従来例
は、図5、図6、図7とほぼ同レベルの曲げ剛性分布を
示す。図4は本発明のシャフトの積層構成の一例を説明
する説明図である。
【0025】ゴルフクラブをスイングした時、テークバ
ックからインパクトまでのシャフトのしなり方がヘッド
スピードや打球の飛び出し角度に影響を与えていること
は周知である。また、セット中の各クラブには、それぞ
れのシャフトに要求される特性に応じたシャフトの硬さ
(たわみ量)が設定されている。本発明は、前記シャフ
トのたわみ量を、従来のキックポイントを中心に設計さ
れた剛性分布によるしなりとしてではなく、シャフトが
全体として滑らかにしなるような剛性分布に設定するこ
とにより、各クラブに設定された特性をより効果的に発
揮することができるようにしたものである。すなわち、
前記ヘッドスピードを上昇させることや打球の飛び出し
角度を大きくするには、シャフトのたわみ量がある程度
までは大きい(曲げ剛性が小さい)ほどより大きな効果
が期待できるが、単にたわみ量が大きいシャフトがよい
というわけではない。
【0026】本発明のシャフトは、その設定されたたわ
み量のシャフトの曲げ剛性の分布を、そのシャフト全長
にわたり滑らかにしなるように分布させて、ヘッドスピ
ードの向上やボールの打ち出し角度を大きくすることが
出来る様にしたシャフトである。
【0027】具体的には、シャフト2のグリップ側cの
曲げ剛性の値は、インパクト時のシャフト2のしなりの
復元によるヘッドスピードへ与える影響が比較的大き
く、且つ、インパクト直前のシャフトの先端側aのスイ
ング軌道方向への傾斜角度、言い換えると、インパクト
直前のヘッドのフェース部のロフト角を始め、打球の飛
び出し角度にも若干の影響を及ぼす。すなわち、シャフ
ト2のグリップ側cの曲げ剛性の値が小さい時、ヘッド
スピードの向上の効果は大きく、若干の飛び出し角度の
向上の効果が見られる。
【0028】また、シャフト2の先端側aの曲げ剛性の
値は、インパクト直前のシャフトの先端側aのスイング
軌道方向への傾斜角度、言い換えると、インパクト直前
のヘッドのフェース部のロフト角を始め、打球の飛び出
し角度に及ぼす影響が比較的大きく、且つ、インパクト
時のシャフトのしなりの復元によるヘッドスピードへも
若干影響を及ぼす。すなわち、シャフトの先端側aの曲
げ剛性の値が小さい時、飛び出し角度の向上の効果が大
きく、若干のヘッドスピードの向上の効果が見られる。
そのために、本発明のシャフト2は、アイアンクラブセ
ット1中のすべてのクラブのシャフト2のヘッド取付端
部3から100mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値
が20N・ m2以下としてたわみやすくしてボールの打
ち出し角度を大きくし、かつ、そのようなボールの打感
をセット中の殆どのクラブで違和感のないようにした。
【0029】また、アイアンクラブセット1中のシャフ
ト2のグリップ端部2cから400mm近傍までの範囲
の曲げ剛性の最低値を番手の小さいクラブから番手の大
きいクラブに行くに従がい、40N・m2から70N・
2の範囲で順次大きくなるよう形成した。シャフト2
を、グリップ4を装着するグリップ側c、ヘッドを装着
する先端側a、両者をつなぐ中間部bとしてみた時、ス
イング中の各時刻におけるゴルファーがグリップ4に与
える力とそれに伴い運動するクラブの慣性力により、イ
ンパクト直前でのシャフト2の先端側aのしなりの変化
量がほぼ最大となるが、スイング中の各時刻におけるシ
ャフト2のしなりの変化量の累積の結果によりインパク
ト時のボールの飛び出し角度への影響の大小が決定す
る。
【0030】このように、インパクト時にシャフト2の
先端側aのしなりを最大限利用してボールの飛び出し角
度を大きくするためには、セット中のすべてのシャフト
2の前記ヘッド取付端部3から100mmまでの曲げ剛
性の最低値が20N・m2以下であることが好ましい。
打球のタイミングや打球位置はセット中で一定であるこ
とが好ましいことから、前記ヘッド取付端部3から10
0mmまでの曲げ剛性の分布は、セット中で概略同じ範
囲となるようにした。前記ヘッド取付端部3から100
mmまでの曲げ剛性が小さいほど先端側aのしなりの変
化量が多くなり、そのしなりの変化量の累積の結果を、
インパクト時に利用できるため好ましいが、あまりに低
すぎるとシャフト2の他の部分の剛性とのバランスが悪
くなりヘッドが走らず、シャフト全体として滑らかにた
わまないので、フィーリングも悪くなり、さらにトウダ
ウン方向のたわみも大きくなり打球位置も不安定になる
ので、強度面を考慮しても、10N・m2以上であるこ
とが好ましい。
【0031】また、グリップ側cについて見てみると、
スイング中にシャフト2に与えられる曲げモーメント
は、スイングする人の力量やスイングのタイプにより異
なる。特にスイングのトップ部(スイングの切り返し
点)及びコック解放時においてグリップ4付近に与える
曲げモーメントの大きさに差が大きく見られる。すなわ
ち、グリップ4に与える曲げモーメントが小さいとシャ
フト2の中央部からグリップ端部2cにかけて殆どしな
らず、結果的に滑らかなしなりが得られ難く、また、シ
ャフト2のしなりの復元の効果を利用できないので、ヘ
ッドスピードの上昇が期待できず、逆に、グリップ4に
与える曲げモーメントが大きいと、シャフト2の中央部
からグリップ端部2cの間に意図的に曲がり易い部分を
設けたシャフトの場合、その部分でしなりすぎてしま
い、シャフトのしなりが復元しない状態で、インパクト
を迎えてしまうため、効果的なヘッドスピードの上昇が
得られない場合がある。
【0032】したがって、インパクト時にこのグリップ
4のしなりによるエネルギーを最大限利用してヘッドス
ピードを上昇させるには、前記グリップ端部2cから4
00mm近傍までの曲げ剛性の最低値を40N・m2
ら70N・m2の範囲内で、番手の小さいクラブから番
手の大きいクラブになるに従がい順次大きくなるように
形成した。
【0033】このように設定することで、番手が小さい
クラブほど飛距離性能の効果を大きくし、番手が大きい
クラブになるに従いその効果を比較的抑え、方向性を重
視したクラブとなる。すなわち、従来のシャフトは、前
記グリップ端部2cから400mm近傍までの曲げ剛性
の最低値の範囲が通常、小さくても60N・m2前後か
ら70N・m2を超え、大きいものでは100N・m2
大幅に超えるようになっており、方向性にのみ重きを置
かれ、飛距離を増大させることは工夫されていなかっ
た。番手の大きいクラブにおいても、ある程度飛べば、
さらに番手の大きいクラブを使用できることでターゲッ
トをポイントで狙うことができ、次のショットを容易に
することが可能であることから、ある程度の「飛距離性
能」も必要であるが、本発明のように、基本的にグリッ
プ端部2cから400mm近傍までの曲げ剛性の最小値
を40N・m2から70N・m2の範囲内で設定すること
で、全番手の飛距離性能の効果は大きくなる。
【0034】番手間によるグリップ端部2cから400
mm近傍までの曲げ剛性の設定の仕方は、番手の小さい
クラブから番手の大きいクラブにかけての曲げ剛性変化
分の値を番手間で一定にさせることが望ましい。また、
番手の小さいクラブ群(例えばロングアイアインクラブ
と称されるグループ)では番手間の曲げ剛性変化分を大
きく、番手の大きいクラブ群(例えばショートアイアン
クラブと称されるグループ)では番手間の曲げ剛性変化
分を小さくさせるように、曲げ剛性変化分を番手間で変
化させ、比較的番手の大きいクラブに、コントロール性
重視の効果を発揮させることも望ましい。
【0035】さらに、この設定とは反対で、番手の小さ
いクラブ群では番手間の曲げ剛性変化分を小さく、番手
の大きいクラブ群では番手間の曲げ剛性変化分を大きく
させるように、曲げ剛性変化分を番手間で変化させ、比
較的番手の小さいクラブに、飛距離性能重視の効果を発
揮させることも望ましい。以上より、番手間の曲げ剛性
の変化分には、ある規則性を持たせた上で、前記グリッ
プ端部2cから400mm近傍までの曲げ剛性の最低値
を40N・m2から70N・m2の範囲内で、番手の小さ
いクラブから番手の大きいクラブになるに従がい順次大
きくなるように形成することが好ましい。
【0036】しかし、曲げ剛性の値があまりに低すぎる
と、シャフトの他の部分の剛性とのバランスが悪くな
り、シャフトのグリップ側cが極端に曲がってしまいシ
ャフト全体として滑らかにたわまないので、フィーリン
グも悪くなり、インパクト直前のヘッドの位置の不安定
になり、ゆえに打球位置も不安定になるので、強度面を
考慮しても、40N・m2以上であることが好ましい。
【0037】従がって、セット中のクラブの打感をセッ
ト中のクラブで違和感無くすると同時に、グリップ側を
効果的にしならせることで、クラブ全体として滑らかに
たわませてヘッドスピードを向上させることで、各クラ
ブの要求される特性を維持しつつ、さらに飛距離を大き
くしている。
【0038】また、本発明は、図4に示すようにクラブ
セットを形成するFRPシャフトの、前記補強繊維の一
部に引張り弾性率が150GPa以下で引張り強度が1
〜6GPaの補強繊維を用いたFRP層を設けて形成し
たシャフトセットである。本発明のゴルフクラブセット
を形成するシャフトセットは、前記引張り弾性率が15
0GPa以下で引張り強度が1〜6GPaの補強繊維を
用いたFRP層8をシャフトの先端側aにおいては、前
記シャフトの先端部2aから全長の20〜40%程度ま
での範囲内で、番手の小さいクラブから番手の大きいク
ラブになるに従い長い範囲となるように推移させて配設
積層した。前記構成とすることで、シャフト2の先端側
aには補強層を設けることが一般的であることから、従
来からの、前記補強層を設けることによる前記先端側a
の曲げ剛性の不必要な増加を防ぎ、セット中のクラブの
目的に応じて滑らかにしなるように先端側aの曲げ剛性
を効率的に低減している。前記補強層は、シャフトの先
端部2aから所定の長さまでは肉厚が一定で、それ以上
の長さではなめらかに肉厚が薄くなっていくようになっ
ている。
【0039】本発明において、シャフトの先端側aの引
張り弾性率が150GPa以下の補強繊維より成るFR
P層8の配設範囲は、前記範囲を超えるとシャフト重量
の増加や、シャフト全体の曲げ剛性が上昇することにな
るので、滑らかなしなりを呈するシャフトとならないた
め好ましくない。
【0040】また、グリップ側cにおいては、グリップ
端部2cから全長の45%程度までの範囲内の構成層
に、引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用いた
FRP層8を、番手の小さいクラブから番手の大きいク
ラブになるに従い、短い範囲となるように推移させて配
設積層した。このようにすることにより、前記グリップ
側cの曲げ剛性をセット中のクラブの目的に応じて効率
的に低減して、シャフトの中間部bからグリップ端部2
cにかけてのしなりが滑らかになっている。
【0041】前記構成とすることにより、セット中の各
クラブのヘッド取付端部3から100mm近傍までの曲
げ剛性の最低値が20N・m2以下に形成する事ができ
る。また、グリップ端部2cから400mm近傍までの
範囲の曲げ剛性の最低値が、番手の小さいクラブから番
手の大きいクラブに行くに従がい40N・m2から70
N・m2の範囲で順次大きくなるよう形成されている。
従って、実施例のアイアンクラブセットはセット中のク
ラブの長さ・たわみ量等から導かれるクラブの特性に応
じて、かつ、クラブの先端側aからグリップ側cまで滑
らかなしなりを呈するゴルフクラブセットとなる。
【0042】本発明は、セット中の各番手に設計された
硬さは従来と同じでありながら、曲げ剛性をセット中で
前記のように推移させることで、クラブとしてスイング
した時のヘッドスピードの上昇とボールの飛び出し角度
を大きくすることで飛距離を増大させることができるも
のである。特に番手の小さいクラブでは、グリップ側c
の曲げ剛性を小さくして飛距離の増大に重点を置き、番
手の大きいクラブになるに従い、従来のシャフトよりは
小さいが、前記番手の小さいクラブの曲げ剛性よりも大
きくすることで、方向性をも重視しながら、従来の番手
の大きいクラブよりも飛距離の増大を図る。また、先端
側aの曲げ剛性が従来のクラブシャフトよりも小さいこ
とにより、従来のクラブよりも打ち出し角度が大きくな
り、スピンをかけやすく、ねらったところに落としやす
いクラブとしたセットとしたものである。
【0043】本発明で用いる、前記引張り弾性率が70
〜800GPaの補強繊維からなるゴルフクラブシャフ
ト材料としては、補強繊維に樹脂を含浸させたプリプレ
グを用いる。前記補強繊維としては、通常、炭素繊維が
用いられるが、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊
維、チタン繊維であってもよく、また、前記炭素繊維は
前記した繊維やその他の繊維と組み合わせて用いる事も
できる。
【0044】前記引張り弾性率が150GPa以下の補
強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維
などが使用できるが、同時に、前記シャフト2の先端部
2aとグリップ端部2cの曲げ剛性を従来のシャフトよ
りも低く設計してあるが、前記両部分、特に先端部2a
の曲げ強さは、前記先端部2aの折損につながる重要な
要因であるため、前記した曲げ剛性分布を有しながら、
曲げ強さは従来と同様に、例えばヘッドスピード60m
/sでネック部にボールがあたっても、あるいはダフっ
ても問題がない強度であることが好ましい。そのため前
記引張り弾性率150GPa以下の補強繊維は、引張り
強度は1〜6GPaであることが好まししい。
【0045】本発明の曲げ剛性を有するシャフトを効率
的に形成するためには、好ましくは引張り弾性率が60
GPa以下であって、かつ、曲げ強度を低下させないた
めに、引張り強度が1〜6GPaであるものが好ましく
用いられる。更に好ましくは、引張り弾性率が30〜6
0GPa以下の炭素繊維であれば、本発明の効果がより
顕著となる。本発明に用いられるマトリックス樹脂とし
ては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア
樹脂等から選ばれる熱硬化樹脂が用いられ、通常、エポ
キシ樹脂が好ましく用いられる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。実施例と
してアイアンクラブセットのためのシャフト成形用マン
ドレルとして、以下のものを用意した。 先端外径 グリップ端外径 テーパー 全長 ロングアイアン用 φ4.5 φ13.28 8.2/1000 1200mm ミドルアイアン用 φ4.0 φ13.23 8.7/1000 1200mm ショートアイアン用 φ3.5 φ13.18 9.2/1000 1200mm
【0047】本実施例において、ロングアイアン用シャ
フトを成形するには、前記ロングクラブ用のマンドレル
5に、まず、補強繊維がシャフトの長さ方向に対して±
30°〜±60°の角度に配向された正負の斜交層6を
構成するバイヤスプリプレグ60、61として引張り弾
性率400GPaの炭素繊維からなるプリプレグを巻き
付け、次に補強繊維がシャフトの長さ方向に配設された
ストレート層7を構成するストレートプリプレグ70の
1層に、引張り弾性率が400GPaの炭素繊維からな
るプリプレグ71と引張り弾性率が60GPa以下の炭
素繊維からなるプリプレグ80を継ぎ合わせて一枚のス
トレートプリプレグ70として巻き付けた。前記継ぎ合
わせには、引張り弾性率が60GPa以下のプリプレグ
80をグリップ端部2cから全長の45%〜40%の範
囲で長いシャフトから短いシャフトになるに従い短い範
囲となるようにカットし、残りの部分に引張り弾性率が
400GPaのプリプレグ71を、前記プリプレグ8
0、との境界が斜めとなるようにカットして配置し、1
枚のストレートプリプレグ70とした。
【0048】その後、ヘッドを取付ける側に配設される
補強層として引張り弾性率が60GPa以下の炭素繊維
からなるプリプレグ80を用い、前記繊維の配向角度が
0°となるよう巻き付けた。前記プリプレグ80は、先
端から全長の25%〜30%の範囲で長いシャフトから
短いシャフトになるに従い長い範囲となるようにカット
してあり、また前記プリプレグ80のグリップ側の端部
は斜めにカットして、前記プリプレグ80の配設による
曲げ剛性の分布が滑らかになるようにしてある。前記の
如く所定のプリプレグを巻回した後、ラッピングテープ
を巻き付け加熱硬化後、ラッピングテープを取り除き、
研磨を行いゴルフクラブ用シャフトを得た。
【0049】次に、ミドルアイアン用シャフトを成形す
るには、バイヤスプリプレグ60、61として引張り弾
性率300GPaの炭素繊維からなるプリプレグを用
い、ストレートプリプレグ70の1層に、引張り弾性率
が300GPaの炭素繊維からなるプリプレグ72と引
張り弾性率が60GPa以下の炭素繊維からなるプリプ
レグ80を前記引張り弾性率が60GPa以下のプリプ
レグ80をグリップ端部2cから全長の40%〜30%
の範囲で番手の小さいシャフトから番手の大きいシャフ
トになるに従い短い範囲となるようにカットして継ぎ合
わせて一枚のストレートプリプレグ70とした。また、
ヘッドを取り付ける側に補強層として引張り弾性率が6
0GPa以下の炭素繊維からなるプリプレグ80を先端
から全長の30%〜35%の範囲で番手の小さいシャフ
トから番手の大きいシャフトになるに従い長い範囲とな
るようにカットした他は、前記ロングアイアン用シャフ
トとほぼ同様の積層構成とした。
【0050】また、ショートアイアン用シャフトを成形
するには、バイヤスプリプレグ60、61として引張り
弾性率240GPaの炭素繊維からなる繊維強化樹脂プ
リプレグを用い、ストレートプリプレグ70は引張り弾
性率が240GPaの炭素繊維からなるプリプレグ73
と引張り弾性率が60GPa以下の炭素繊維からなるプ
リプレグ80を前記引張り弾性率が60GPa以下のプ
リプレグ80をグリップ端部2cから全長の30%〜2
5%の範囲で番手の小さいシャフトから番手の大きいシ
ャフトになるに従い短い範囲となるようにカットして継
ぎ合わせて一枚のストレートプリプレグ70とし、か
つ、ヘッドを取り付ける側に配設される補強層として引
張り弾性率が60GPa以下の炭素繊維からなるプリプ
レグ80を先端部2aから全長の35%〜40%の範囲
で番手の小さいシャフトから番手の大きいシャフトにな
るに従い長い範囲となるようにカットした他は、前記ロ
ングアイアン用シャフトとほぼ同様の積層構成とした。
【0051】前記の構成のクラブセット用シャフトにつ
いて、シャフトの先端部2aからヘッドのホーゼル内に
挿入される長さを含むヘッド取付端部3から100mm
近傍の曲げ剛性の最低値は、 3番アイアン 10N・m2 6番アイアン 12N・m2 9番アイアン 13N・m2 で、クラブセット用シャフトとしては、 セット間の中間値 12N・m2 セット間の範囲 10〜15N・m2 であった。前記のように形成したシャフトにヘッド及び
グリップを取付けゴルフクラブとした。
【0052】また、グリップ端部2cから400mm近
傍までの範囲の曲げ剛性の範囲は、 3番アイアン 50N・m2〜65N・m2 6番アイアン 55N・m2〜70N・m2 9番アイアン 60N・m2〜80N・m2 で、その範囲の最低値の範囲は、 50N・m2から60N・m2 で、本発明の1つである、グリップ端部から400mm
近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が40N・m2から
70N・m2の範囲で、番手の小さいクラブから番手の
大きいクラブになるに従がい前記曲げ剛性の最低値を順
次大きくなるよう推移させた構成となっていた。
【0053】さらに、シャフトの硬さが1ランク硬いシ
ャフトにおいては、グリップ端部から400mm近傍ま
での範囲の曲げ剛性の範囲は、 3番アイアン 60N・m2〜100N・m2 6番アイアン 65N・m2〜110N・m2 9番アイアン 68N・m2〜120N・m2 で、その範囲の最低値の範囲は、 60N・m2から68N・m2 で、本発明の1つである、グリップ端部から400mm
近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が40N・m2から
70N・m2の範囲で、番手の小さいクラブから番手の
大きいクラブになるに従がい前記曲げ剛性の最低値を順
次大きくなるよう推移させた構成となっていた。
【0054】一方、シャフトの硬さに関する本発明の実
施例の効果については、シャフト硬さが硬くなれば、グ
リップ側の番手間の曲げ剛性の変化分も小さく設定する
ことで、シャフトの硬さが硬いほど、シャフトの今回の
実施例のように、ヘッドスピードが上昇し、かつ、ブロ
ー角を大きくして打球時のボールの飛び出し角度を大き
くできる効果を小さくして、よりコントロール性を重視
し、方向性の良いクラブセット及びそのシャフトセット
とした。
【0055】なお、以上の説明では、3番,6番,9番
アイアンの実施例から、3番〜9番アイアンセットのF
RP製シャフトセットについて言及したが、本発明のシ
ャフトセットが他のアイアンクラブ、例えば、1番アイ
アン、2番アイアン、ピッチングウェッジ、サンドウェ
ッジの特殊アイアン等を含むアイアンセット用シャフト
に適用できること、1番〜5番ウッド等のウッドクラブ
用シャフトに適用できること、さらには、金属製シャフ
トに適用できることは勿論であり、それらのシャフトセ
ットを装着したクラブセットをも包含している。
【0056】
【発明の効果】本発明のゴルフクラブ用シャフトは前記
したような構成とすることにより、シャフト先端側とグ
リップ側近傍の曲げ剛性を、前記シャフトが滑らかにし
なるように、すなわち、セット中において、ヘッド取付
け端部から100mm近傍の曲げ剛性の最低値がセット
中で20N・m2以下とほぼ同じ範囲とし、グリップ端
部から400mm近傍の曲げ剛性の最低値をセット中で
40N・m2から70N・m2の範囲内で番手の小さいク
ラブから番手の大きいクラブになるに従い大きくなるよ
うに設定したから、ヘッドスピードが上昇し、かつ、ブ
ロー角を大きくして打球時のボールの飛び出し角度を大
きく出来るので、番手の小さいクラブではより大きい飛
距離が得られ、番手の大きいクラブになるに従い、従来
よりも飛距離が増大すると同時に、曲げ剛性を上昇させ
ていることから方向性をも良いゴルフクラブのセットが
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をアイアンクラブに実施した場合のアイ
アンクラブセット1の概念図を示す図。
【図2】本実施例のアイアンクラブセットを構成するク
ラブを説明する図。
【図3】本実施例のアイアンクラブセットの内、3番か
ら9番までの各々のクラブ及びそのシャフトの曲げ剛性
分布と、破線で示す従来技術による最も一般的で、同一
シャフト硬さの番手の小さいクラブ用シャフトの曲げ剛
性分布を説明する概略説明図。
【図4】本発明のシャフトの積層構成の一例を説明する
説明図。
【図5】従来のアイアンクラブセットの3番から9番ま
での各々のクラブおよびそのシャフトの曲げ剛性分布を
説明する概略説明図。
【図6】従来のアイアンクラブセットの3番から9番ま
での各々のクラブおよびそのシャフトの曲げ剛性分布を
説明する概略説明図。
【図7】従来のアイアンクラブセットの3番から9番ま
での各々のクラブおよびそのシャフトの曲げ剛性分布を
説明する概略説明図。
【符号の説明】
1 アイアンクラブセット 2 シャフト 2a 先端部 2c グリップ端部 3 ヘッド取付端部 4 グリップ 5 マンドレル 6 斜交層 60 バイヤスプリプレグ 61 バイヤスプリプレグ 7 ストレート層 70 ストレートプリプレグ 71 プリプレグ 72 プリプレグ 73 プリプレグ 8 FRP層 80 プリプレグ A 先端領域 B 中間領域 C 後端領域 a 先端側 b 中間部 c グリップ側

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットにおいて、セットを構成するすべての
    クラブのシャフトのヘッド取付け端部から100mm近
    傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が20N・m2以下で
    あり、かつ、前記セット中のシャフトのグリップ端部か
    ら400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が、番
    手の小さいクラブから番手の大きいクラブになるに従が
    い、40N・m2から70N・m2の範囲内で、順次大き
    く形成したことを特徴とするゴルフクラブセット。
  2. 【請求項2】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットを構成するシャフトセットにおいて、
    すべてのシャフトのヘッド取付け端部から100mm近
    傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が20N・m2以下で
    あり、かつ、前記シャフトのグリップ端部から400m
    m近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が、番手の小さい
    クラブのシャフトから番手の大きいクラブのシャフトに
    なるに従がい、40N・m2から70N・m2の範囲内
    で、順次大きく形成したことを特徴とするシャフトセッ
    ト。
  3. 【請求項3】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットにおいて、セットを構成するクラブの
    シャフトの先端部から全長の20〜40%までの範囲内
    に引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用いた繊
    維強化樹脂層が、番手の小さいクラブから番手の大きい
    クラブになるに従がい、順次長い範囲に配設され、か
    つ、前記シャフトのグリップ端部から全長の20〜45
    %の範囲内で、前記引張り弾性率150GPa以下の補
    強繊維を用いた繊維強化樹脂層が、番手が小さいクラブ
    から番手が大きいクラブになるに従がい、順次短かい範
    囲に配設されたことを特徴とするゴルフクラブセット。
  4. 【請求項4】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットを構成するシャフトセットにおいて、
    前記シャフトの先端部から全長の20〜40%までの範
    囲内に引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用い
    た繊維強化樹脂層が、番手の小さいクラブのシャフトか
    ら番手の大きいクラブのシャフトになるに従がい、順次
    長い範囲に配設され、かつ、前記シャフトのグリップ端
    部から全長の20〜45%の範囲内で、前記引張り弾性
    率150GPa以下の補強繊維を用いた繊維強化樹脂層
    が、番手が小さいクラブのシャフトから番手が大きいク
    ラブのシャフトになるに従がい、順次短かい範囲に配設
    されたことを特徴とするシャフトセット。
  5. 【請求項5】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットにおいて、セットを構成するクラブの
    シャフトの先端部から全長の20〜40%までの範囲に
    引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用いた繊維
    強化樹脂層が、番手の小さいクラブから番手の大きいク
    ラブになるに従がい、順次長い範囲に配設されることに
    より、前記シャフトのヘッド取付け端から100mm近
    傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が20N・m2以下
    で、かつ、引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を
    用いた繊維強化樹脂層を、前記シャフトのグリップ端部
    から全長の20〜45%の範囲内で、番手の小さいクラ
    ブから番手の大きいクラブになるに従がい、順次短かい
    範囲に配設することにより、前記シャフトのグリップ端
    部から400mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が
    40N・m2から70N・m2の範囲で順次大きく形成し
    たことを特徴とするゴルフクラブセット。
  6. 【請求項6】 番手が大きくなるに従がってシャフトが
    順次短くなるように形成した複数本のクラブから成るゴ
    ルフクラブセットを構成するシャフトセットにおいて、
    前記シャフトの先端部から全長の20〜40%までの範
    囲に引張り弾性率150GPa以下の補強繊維を用いた
    繊維強化樹脂層が、番手の小さいクラブのシャフトから
    番手の大きいクラブのシャフトになるに従がい、順次長
    い範囲に配設されることにより、前記シャフトのヘッド
    取付け端から100mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最
    低値が20N・m2以下で、かつ、引張り弾性率150
    GPa以下の補強繊維を用いた繊維強化樹脂層を、前記
    シャフトのグリップ端部から全長の20〜45%の範囲
    内で、番手の小さいクラブのシャフトから番手の大きい
    クラブのシャフトになるに従がい、順次短かい範囲に配
    設することにより、前記シャフトのグリップ端部から4
    00mm近傍までの範囲の曲げ剛性の最低値が40N・
    2から70N・m2の範囲で、順次大きく形成したこと
    を特徴とするシャフトセット。
  7. 【請求項7】 前記補強繊維は引張り弾性率60GPa
    以下の炭素繊維であることを特徴とする請求項3または
    5に記載の繊維強化樹脂製のゴルフクラブセット。
  8. 【請求項8】 前記補強繊維は引張り弾性率60GPa
    以下の炭素繊維であることを特徴とする請求項4または
    6に記載の繊維強化樹脂製のシャフトセット。
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