JP2007083388A - ロボットハンド用フォークおよびロボットハンド - Google Patents

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Abstract

【課題】高剛性かつ軽量なロボットハンド用フォークを提供する。
【解決手段】繊維強化プラスチック(FRP)層を含み、断面が中空矩形であるロボットハンド用フォークにおいて、前記断面を構成する4面のうち、載荷面に対し略直角をなす2面の厚みが、載荷面と載荷面に対向する面の2面の厚みよりも小さく、かつ、載荷面に対し略直角をなす2面には、前記フォークの長手方向に対して斜めに繊維配向させたFRP層を含むことを特徴とするロボットハンド用フォーク。
【選択図】図1

Description

本発明は、物品を搬送するために用いられるロボットハンド用フォークに関するものである。さらに詳細には、例えば液晶表示装置やカラーフィルタ等の製造工程においてガラス基板等の薄板を搬送するために好適に用いられるロボットハンド用フォークに関するものである。
液晶表示装置やカラーフィルタ等の製造工程においては、ガラス基板等の基板を加工する際に、ロボットハンドを用いて基板を搬送することが行われている。近年、液晶表示装置の大型化に伴い、製造時に大きなガラス基板を搬送することが要求されており、ロボットハンド用フォークの長尺化が必要となっている。
しかしながら、長尺化されたロボットハンド用フォークに大きなガラス基板が載荷されると、必然的にロボットハンド用フォーク自由端のたわみ量が増加してしまう。さらには長尺化によりロボットハンド用フォーク自身の重量も増加するため、自重によるたわみ量も増加する。ロボットハンド用フォーク自由端のたわみ量が増加すると、ガラス基盤を支持または搬送する際に振動が増大したり、ガラス基盤が落下したり、ガラス基盤収納棚の支持部材と干渉したりするなど、搬送性に支障を与えてしまう。
そこで、ロボットハンド用フォークを高剛性化しつつ軽量化するべく、FRPが使われるようになってきた。特に、高剛性かつ軽量である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が用いられており、曲げ剛性を高めるためにロボットハンド用フォークの長手方向に炭素繊維を配向させる方法が一般的である(特許文献1)。また、成形性の観点からロボットハンド用フォークの長手方向に対して略直交方向に炭素繊維を配向させたり、捻れ剛性の観点からロボットハンド用フォークの長手方向に対して斜めに繊維配向させたりする方法が行われている。
しかしながら、たとえば特許文献1に示されるようにロボットハンド用フォークの長手方向に炭素繊維を配向させる方法は、曲げ剛性の一成分である弾性率を向上させる最大限の方法であるものの、今後さらに大型化するガラス基盤を搬送可能とするため曲げ剛性に対する要求がより厳しくなってきていることや、軽量化や使用環境のスペースの問題からロボットハンド用フォークの高さを大きくすることができない状況に鑑みれば、十分とはいえない。また、より高弾性なCFRPを用いることもできるがこの場合はコスト高となってしまう。
特開2002−292592号公報
本発明は、このような問題に対処し、高剛性かつ軽量なロボットハンド用フォークを提供することをその課題とする。
上記課題を達成するための本発明は、下記(1)〜(5)の構成を特徴とするものである。
(1)断面が中空矩形であるロボットハンド用フォークであって、該中空矩形を構成する4面はそれぞれ一方向性の繊維強化プラスチック(FRP)層を備え、該一方向性のFRP層のうち使用時における載荷面および該載荷面に対向する面を構成する一方向性のFRP層(A)は、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層であり、前記載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成する一方向性のFRP層(B)は、フォークの長手方向に対して斜めに強化繊維を配向させた層を含み、かつ、前記載荷面および該載荷面に対向する面の厚みが、前記載荷面に対し略直角をなす2つの面の厚みよりも大きいことを特徴とするロボットハンド用フォーク。
(2)前記中空矩形を構成する4面の外周および/または内周に織物形態のFRP層が配置されていることを特徴とする上記(1)に記載のロボットハンド用フォーク。
(3)前記中空矩形を構成する4面の少なくとも1面が、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層を6層以上有し、かつ、該フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層の間に織物形態のFRP層を有していることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のロボットハンド用フォーク。
(4)前記一方向性のFRP層および/または前記織物形態のFRP層を構成する強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のロボットハンド用フォーク。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のロボットハンド用フォークと、該ロボットハンド用フォークが取り付けられるフレームとを備えていることを特徴とするロボットハンド。
本発明によれば、FRP層のうち使用時における載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)の厚みを、載荷面および該載荷面に対向する面を構成するFRP層(A)の厚みよりも小さくするため、軽量となるうえに、余裕重量の一部を用いてFRP層(A)の厚みを大きくすることができ、その結果、効率的に曲げ剛性を高めることができる。さらに、FRP層(A)はフォークの長手方向に強化繊維を配向させた層で構成する一方、FRP層(B)はフォークの長手方向に対して斜めに強化繊維を配向させた層を含むものとするので、曲げ剛性を高めながらフォーク固定端におけるせん断変形を低減させることができる。すなわち、フォーク自身の重量を増加することもなく、かつ、高価で高剛性なCFRPを使用することもなく、例えばガラス基板を搭載した際の自由端におけるたわみ量を効率的に低減することができる。
したがって、本発明によるロボットハンド用フォークは、例えば液晶表示装置やカラーフィルタ等の製造工程において、ガラス基板の大型化にともないロボットハンド用フォークが長尺化されても、周辺機器との干渉を回避し、ガラス基板を安全に搬送できるように、ガラス基板を搭載した際の自由端におけるたわみ量を0.1mm単位で制御することが要求されるようなロボットハンド用フォークに好適である。
本発明のロボットハンド用フォークは、断面が中空矩形であって、この中空矩形を構成する4面がそれぞれ一方向性のFRP層を備えている。そして、使用時における載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)は、載荷面および載荷面に対向する面を構成するFRP層(A)よりも厚みが小さい。また、FRP層のうち使用時における載荷面および載荷面に対向する面を構成するFRP層(A)は、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層で構成されており、一方、載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)は、フォークの長手方向に対して斜めに強化繊維を配向させた層を含んでいる。なお、使用時における載荷面とは、ロボットハンド用フォークにガラス基盤等を搭載した際にガラス基盤等を受ける面のことをいう。
ここで、載荷面に対し略直角をなす2つの面はロボットハンド用フォークの曲げ剛性に対する寄与が小さいためその厚みを減らす一方で、載荷面と載荷面に対向する面の厚みについては載荷面に対し略直角をなす2つの面において減らした厚みと同じ重量分だけ増やすことで、ロボットハンド用フォークの重量を増大させることなく、効率的にロボットハンド用フォークの自由端におけるたわみ量を低減することが可能となる。したがって、本発明においては、上述したとおり、載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)を、載荷面および載荷面に対向する面を構成するFRP層(A)よりも薄くする。
また、厚みを減らした2つの面は、曲げ剛性に対する寄与がさらに小さくなる。そのため、ロボットハンド用フォークの長手方向に繊維配向させるよりも、斜め方向に繊維配向させ、ロボットハンド用フォークの固定端におけるせん断変形を低減させる方が、ロボットハンド用フォークの自由端におけるたわみ量の低減に効果が大きい。したがって、本発明においては、載荷面および載荷面に対向する面を構成するFRP層(A)は、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層で構成する一方、載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)は、フォークの長手方向に対して斜めに強化繊維を配向させた層を含ませる構成とする。
長手方向に対して斜めに繊維配向させた層としては、せん断剛性の観点から、ロボットハンド用フォークの長手方向に対して略10〜60°、より好ましくは略45°をなす方向に繊維配向させた層と、略−10〜−60°、より好ましくは略−45°をなす方向に繊維を配向させた層とを含むことが好ましい。
また、ロボットハンド用フォークの載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成するFRP層(B)には、強化繊維を長手方向に配向させたFRP層も少なくとも1層含ませることが好ましい。なぜならば、FRP層(B)のすべてを斜めに繊維配向させた層で構成した場合、せん断剛性は向上するものの曲げ剛性が低下するため、ロボットハンド用フォークの自由端のたわみ量がかえって増大しやすいためである。
一方、FRP層(A)においては、長手方向に強化繊維を配向させた層が合計6層以上積層されるとき、連続した層間での剥離を防止するために、該層間に織物形態のFRP層を少なくとも1層配置することが好ましい。なお、上述したように強化繊維を長手方向に配向させたFRP層をFRP層(B)に設ける場合も同様で、その積層数が合計6層以上となるのであれば、層間に織物形態のFRP層を少なくとも1層配置し層間での剥離を防止することが好ましい。
さらに、本発明のロボットハンド用フォークにおいては、穴開け等の後加工時に毛羽立ちを少なくし、かつ、外観の意匠性を高めるため、中空矩形を構成する4面の外周に強化繊維からなる織物形態のFRP層を配置してもよい。織物としては、後述する強化繊維を平織、朱子織、綾織したものなどが用いられる。
そして、本発明における繊維強化プラスチック(FRP)とは、強化繊維とマトリクス樹脂とを含むものである。
強化繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、高強度ポリエチレン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の少なくとも1種を用いることができるが、高剛性化および軽量化の観点から炭素繊維であるのが最も好ましい。
マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリオフィレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらのなかでも、炭素繊維との接着性に優れるエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂およびビニルエステル樹脂の組み合わせが好ましい。
上述の本発明のロボットハンド用フォークは、例えば次のようにして製造される。まず、断面が矩形である金属製の芯材に強化繊維のプリプレグを巻き付け、もしくは貼り付けて、その外周面に所定の形状を有する外型を押し付けて加熱加圧したのち、芯材を抜き取ることによって製作することができる。
ここで、芯材を抜き取る際にFRP層が収縮して抜きにくくなることを防ぐために、中空矩形を構成する4面の内周には強化繊維からなる織物形態のFRP層を配置してもよい。
図1〜3に示すロボットハンド用フォークに関し有限要素法を用いて本発明の効果を確認した。
なお、図1は、ロボットハンド1の概略斜視図である。また、図2は、該ロボットハンド1に用いるロボットハンド用フォーク2の概略正面図および概略側面図であり、図3は、該ロボットハンド用フォーク2の断面図を示す。
ロボットハンド用フォーク2の長さは、第7世代の大きさのガラス基盤3を搬送できるように3000mmとし、幅は90mm、高さは25mmとした。
ロボットハンド用フォーク2の固定端には、ロボットハンド1に取り付けるためのアルミニウム合金4を挿入した。
ロボットハンド用フォーク2の載荷面5には、ガラス基盤3を支持するための吸着パッドを取り付ける穴6(30mm×30mm)を520mm間隔で5つ設けた。
ロボットハンド用フォーク2の各面は複数のCFRP層で構成した。表1に、用いたCFRPの品番等を示し、表2に、それらCFRPの物性値を示す。織物CFRPは、強化繊維として弾性率230GPaであるPAN系炭素繊維を平織形態としたものを使用し、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を使用したものであった。強化繊維の体積含有率は47%であった。また、一方向性CFRPは、強化繊維として弾性率640GPaであるピッチ系炭素繊維を使用し、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を使用したものであった。強化繊維の体積含有率は55%であった。
Figure 2007083388
Figure 2007083388
なお、表2で、0゜方向とは一方向性CFRPの繊維配向方向のことを、90゜方向とは一方向性CFRPの繊維配向方向に略直交する方向のことを表している。
また、ロボットハンド用フォーク2の載荷面5に設けた5つの穴6に、先端から順に0.4kg、0.5kg、0.5kg、0.5kg、0.4kgを負荷し、ロボットハンド用フォーク2に挿入したアルミニウム合金4の変形を拘束した。
(1)比較例:重量の制約上、ロボットハンド用フォーク2の4面の厚みを各々2.9mmとし、曲げ剛性を向上させるため、各面に含まれるすべての一方向性CFRP層の繊維配向方向をロボットハンド用フォーク2の長手方向に揃えた。積層構成を表3に示す。このとき、ロボットハンド用フォーク2の重量は3.7kg、自由端におけるたわみ量は4.4mmであった。
(2)実施例:比較例と同重量になるように、載荷面5と載荷面5に対向する面7の厚みを3.2mmに増やし、載荷面5に対し略直角をなす2面8の厚みは1.3mmに減らした。さらに、載荷面5に対し略直角をなす2つの面8の厚み1.3mmのうち、0.6mmを長手方向に対して略±45度となるように繊維配向させた。積層構成を表3に示す。このとき、自由端におけるたわみ量は4.1mmとなり、比較例に比べると、重量増加させることなく0.3mm低減させることができた。
Figure 2007083388
本発明の一実施形態を示すロボットハンドの概略斜視図である。 本発明の一実施形態を示すロボットハンド用フォークの概略正面図および概略側面図である。 本発明の一実施形態を示すロボットハンド用フォークの概略断面図である。
符号の説明
1 ロボットハンド
2 ロボットハンド用フォーク
3 基板
4 アルミニウム合金
5 載荷面
6 吸着パッド取り付け穴
7 載荷面に対向する面
8 載荷面に対し略直角をなす面

Claims (5)

  1. 断面が中空矩形であるロボットハンド用フォークであって、該中空矩形を構成する4面はそれぞれ一方向性の繊維強化プラスチック(FRP)層を備え、該一方向性のFRP層のうち使用時における載荷面および該載荷面に対向する面を構成する一方向性のFRP層(A)は、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層であり、前記載荷面に対し略直角をなす2つの面を構成する一方向性のFRP層(B)は、フォークの長手方向に対して斜めに強化繊維を配向させた層を含み、かつ、前記載荷面および該載荷面に対向する面の厚みが、前記載荷面に対し略直角をなす2つの面の厚みよりも大きいことを特徴とするロボットハンド用フォーク。
  2. 前記中空矩形を構成する4面の外周および/または内周に織物形態のFRP層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド用フォーク。
  3. 前記中空矩形を構成する4面の少なくとも1面が、フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層を6層以上有し、かつ、該フォークの長手方向に強化繊維を配向させた層の間に織物形態のFRP層を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットハンド用フォーク。
  4. 前記一方向性のFRP層および/または前記織物形態のFRP層を構成する強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロボットハンド用フォーク。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のロボットハンド用フォークと、該ロボットハンド用フォークが取り付けられるフレームとを備えていることを特徴とするロボットハンド。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009295682A (ja) * 2008-06-03 2009-12-17 Mitsubishi Materials Techno Corp ガラス板のハンドリング装置
WO2010086955A1 (ja) * 2009-01-27 2010-08-05 新日本石油株式会社 Cfrp製搬送用部材及びそれを用いたロボットハンド
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CN103434842A (zh) * 2013-09-04 2013-12-11 深圳市华星光电技术有限公司 机械手臂叉子以及机械手臂

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