WO2004016510A1

WO2004016510A1 - ブロー成形品

Info

Publication number: WO2004016510A1
Application number: PCT/JP2003/009955
Authority: WO
Inventors: Yoshio Akiyama; Hiroaki Tokuda; Kazuhisa Innami; Shuichi Koshio; Masaaki Sasaki
Original assignee: Yoshino Kogyosho Co., Ltd.
Priority date: 2002-08-06
Filing date: 2003-08-05
Publication date: 2004-02-26
Also published as: CA2494178A1; JP2004067171A; TW200404711A; EP1541475A4; AU2003252406A1; CN100402383C; CN1675105A; US20060105127A1; EP1541475A1; KR20050032599A; KR100708830B1; TWI268894B

Abstract

ダイレクトブロー成形法により得られ，底部（4）の上側に筒状の胴部（3）が配置され，胴部（3）の上側に円筒状の口部（2）が配置されたブロー成形品。本発明では，成形品における底面（5）の中心から放射状に，ブロー成形用の底部割金型（15）による少なくとも3本の喰い切り線（7）が形成されている。

Description

明細書ブロー成形品背景技術

技術分野

[0001] 本発明は，ブロー成形された成形品，特にダイレクトブロー法により成形された成形品に関するものである。

従来技術

[0002] ダイレクトブロー成形法は，押出機により溶融樹脂を押し出して中空円筒状のノ、。リソンを成形し，これをブロー成形用の二分割された割金型の間に挟み込んで型締めを行い，割金型のキヤビティー底部に配設されている刃部を含む底部ピンチオフ部で溶融樹脂の下部を切断して熱溶着シールすると共に，金型の上部ではノリソンカツターにより円筒状の溶融樹脂の上部を切断することで，有底筒体のパリソンを形成し，次に，金型の頂部より挿入されたエアーノズル力ブローエアーをパリソンに吹き込むことにより成形品を製造するものである。

[0003] 上述した一連の工程により成形品を製造するダイレクトブロー成形法は，射出成形法に比較して，又は射出成形されたプリフォームを使用する二軸延伸ブロー成形方法に比較して安価に成形品を提供でき，また，ノリソンを多層成形することにより積層構造を容易に達成することができるので，単層では困難な多様な要求に対応することが可能である。

[0004] 特開 2001— 170994号公報には，ダイレクトブロー成形品をプリフォームとして使用して，二軸延伸ブロー成形する技術が開示されている。この場合には，プリフォームの成形に際し，コア一金型を使用せず，アンダーカット性を考慮することなくプリフォームの形状を成形できるので，底部等の肉厚，延伸斑の小さい容器を得ることができ，さらにはノ、 °リソンを多層に成形することにより，積層タイプの二軸延伸ブロー成形品を容易に製造することが可能であり，例えばガスバリア層を中間層に有する二軸延伸ポリェチレンテレフタレート樹脂（以下，「PET」と略記する。）容器を容易に得ることができる。

[0005] しかしながら，ダイレクトブロー成形では上記したピンチオフ部により，ブロー成形前のパリソンの底部が割金型のパーテイングライン方向に対して直角方向に扁平に押し潰された異方性の強い形状となる傾向を呈する。その結果，ブロー成形後の容器の特に底部において，パーテイングライン方向では肉厚で延伸倍率が低く，直角方向では薄肉で延伸倍率が高くなるという不均一性が顕在化し，容器全体の薄肉化 (軽量ィ匕)が困難であったり，あるいは底部の接地面が歪んで，良好な自立性力 S確保できなくなる，等の問題が生じることがある。

[0006] また，ピンチオフ部には喰い切り線が形成され，この喰い切り線の形成幅は，通常円筒状のパリソンを扁平に押し潰した幅であり，ノリソンの外径 D_Pの π/2倍 (ここで _πは円周率を表す。），すなわち約 1.6D_Pとなる。そのため，例えばマスカラ，アイライナ一等に使用する小型容器，胴部に比較して口部の口径を大きくした広口の容器，あるいは延伸性の小さな材料から形成される容器等，ブロー比を大きく取れない容器においては，ピンチオフ部に限らず，胴部の，割金型の合わせ目であるパーテイングライン部分力も樹脂がはみ出てバリを形成し，その結果として，ブロー成形した容器の胴部にも喰レ、切り線が延長 '露出して，外観上の問題となる場合がある。

発明の開示

[0007] 本発明は，上述した従来技術の問題点を解消すべく創案されたものであり，ダィレクトブロー成形法による，底部近傍における肉厚斑及び延伸斑が小さく，また割金型による喰い切り線の形成が底面の中心部近傍に限定された容器を提案することを主要な目的とするものである。また，本発明の副次的な目的は，肉厚の均一性，自立性，外観性に優れた新規なブロー成形品を提供することである。

[0008] 上述した目的を達成するため，本発明は，ダイレクトブロー成形法により得られ, 底部の上側に筒状の胴部を配置し，この胴部の上側に円筒状の口部を配置したプロ一成形品において，底部における底面中心から放射状に，プロ一成形用の底部割金型による少なくとも 3本の喰い切り線を形成したことを特徴とするものである。

[0009] ブロー成形容器が底面中心力も放射状に，底部割金型による少なくとも 3本の喰い切り線を有する本発明において，例えば 3本の喰い切り線を形成する場合には，金型を，胴部及び口部を形成するための二分割した本体割金型と，底部を形成するための 3分割した底部割金型力構成し，この 3分割した底部割金型を 3方向からパリソンの中心軸に向力つて移動させながら，最終的に隣接する底部割金型における 3組の対向面の相互間でパリソンをピンチオフすることにより喰い切り線を形成する。

[0010〗本発明において，底部割金型の分割数を増やすことにより 4本以上の喰い切り線を形成することも可能であるが，喰い切り線を，放射状に少なくとも 3本形成することにより，従来のように直線状に 2方向のみに形成した場合に比較して，ブロー前におけるパリソンの底部形状を，周方向で見て，飛躍的に等方的な形状とすることが可能となり，ブロー成形された成形品の底部における，特に周方向における肉厚及び延伸倍率の均一性を高いものとすることができる。

[0011] 本発明によるブロー成形品は，上記のとおり，底部近傍の特に周方向における肉厚が均一であるので，より薄肉化が可能であり，また同様に延伸倍率が均一であるので，容器等の接地部における成形後の経時的な変形が小さく，自立性の良好なものとなる。

[0012] 次に，喰い切り線の形成範囲をみると，従来の割金型は二分割であり，これによりパリソンは底部ピンチオフ部でパーテイングライン方向に直角な方向から挟むようにして扁平化され，その結果として，ブロー成形後容器の底面にはその中心を通ってパ一ティングライン方向に喰い切り線が πϋ_Ρ/2(ここに， πは円周率， D_Pはパリソンの外径である。）の幅で形成される。これに対して，本発明におけるように，放射状に少なくとも 3 本形成する場合における喰い切り線の形成範囲は，例えば 3本の場合には直径が πϋ_Ρ/3の円内に限定されるために従来の形成幅の 2/3となり，同様に 4本の場合には直径が πϋ_Ρ/4の円内に限定されるために従来の 1/2となり，何れの場合にも喰い切り線の形成範囲を底面の中心部近傍に限定することが可能となる。したがって，本発明によるブロー成形品は，従来の二分割の割金型では胴部に喰レ、切り線が露出してしまうような，ブロー比を大きく取れない成形品の場合でも，外観の良好なものとすることができる。

[0013] なお，喰い切り線の本数は，容器の形状，達成可能な底部肉厚等の均一性及び喰い切り線の形成の小範囲化等における改良効果と，割金型の製造コスト，この割金型を使っての成形性等のバランスを考慮にいれ，目的に応じて適宜に選択することができる。

[0014] 本発明を実施するにあたり，喰い切り線を略等中心角に配置するのが好適である。この場合には，より等方的なパリソンの底部形状が得られ，ピンチオフをよりスムーズに達成でき，底部の均一性がより高!/、成形品となる。 [0015] 上記の構成において， 4本の喰い切り線を十字状，すなわち等中心角 90° に配置するのが好適である。この場合には，特に，型締め時における本体割金型と底部割金型との連動を容易に達成できると共に，少なくとも胴部が円筒状の容器では，十分な底部の均一性を有する成形品となり，喰い切り線の形成範囲を，直径が πϋ_Ρ/4 (約 0.8D_P)の円内に限定し，ノリソンの直径よりも十分小さくすることができる。

[0016] 本発明を実施するにあたり，喰い切り線は，底面と同心で直径が πϋ_Ρ/2未満の円内に配置するのが好適である。従来のダイレクトブロー成形容器では，喰い切り線の形成幅がその形成機構から， JtD_P/2(sl.6D_P)となり，この値よりも幅を狭くすることができない。これに対して，上記構成を有する本発明の容器は今までにない新規なブロー成形品であり，喰い切り線を例えば 3本形成すればその範囲は πΕ)_Ρ/3 (_≤1.0Dp)とすることができ， 4本の喰い切り線を形成すれば，直径を rtD_P/4(s0.8D_P)することができ，特に月同部に比較して底部の径を小さくした低ブロー比でかつ外観の良好な小型容器も提供することが可能となる。ちなみに，従来の 2つ割りの割金型において，底部ピンチオフ部の喰い切りを πϋ_Ρ/2以下にしてピンチオフしたとしても，余った樹脂が割金型の側部からバリとしてはみ出す結果，成形品の底部近傍の胴部に喰い切り線が露出して外観を劣化させる場合がある。

[0017] 本発明によるブロー成形容器は，二軸延伸ブロー成形されたものであることが好適である。この場合には，ダイレクトブロー成形品をプリフォームとする二軸延伸プロ一成形による容器を得ることができるが，コア金型を使用せず，アンダーカット性を考慮することもなく，射出成形プリフォームでは得られない形状のプリフォームを成形できるので，様々な形状を有し，かつ肉厚，延伸の均一な二軸延伸ブロー容器を提供できると共に，ノ、。リソンを多層成形することにより，積層タイプの二軸延伸ブロー容器を容易に製造することが可能となる。

[0018] 本発明を実施するにあたり，ブロー成形品の壁を積層構造とするのが好適である。壁を積層構造とすることにより，所望の物性及び特性を有効に発揮することができる容器を確実に得ることができると共に，ダイレクトブロー成形品であるので，射出成形に比べ積層構造を簡単に実現することができる。壁を積層構造としたブロー成形品の実施例としては，以下に列記する種々の構成を提案することが可能である。

[0019] すなわち，一実施例では，少なくとも，ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した層と，ポリエチレンナフタレート (PEN)系樹脂を使用した層とから積層構造を構成する。この場合には， PET系樹脂の層に PEN系樹脂の層を組み合わせることにより，耐熱性，耐薬品性，紫外線カット性等の， PET系樹脂に不足していると思われる物性を効果的に補強することが可能である。

[0020] 他の実施例では，少なくとも，ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した外側層及び内側層と，ガスバリア性樹脂を使用した中間層とから積層構造を構成する。この場合には，ガスノリア性樹脂として例えば，ナイロン 6，ナイロン 66,キシリレン基含有ポリアミド等のナイロン系樹脂，エチレンビニルアルコール重合体，ポリアクリロニトリル系樹脂等公知の任意のものを用レ、ることができ， PET系樹月旨単体では不足してレ、る酸素，炭酸ガス等に対するバリア性を高めた壜体が得られる。

[0021] 他の実施例では，少なくとも，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層と，エチレンビニルアルコール共重合体又はポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した内側層とから積層構造を構成する。この場合には，壜体内に収納される内容物の有効成分の内，リモネン，ビタミン類等の吸着されるのが防止される。

[0022] 他の実施例では，少なくとも，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層と，ガスバリア性樹脂を使用した中間層と，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した内側層とから積層構造を構成する。この場合には，酸素バリア性の優れた壜体を得ることが可能となる。

[0023] 他の実施例では，少なくとも，バージン樹脂材を使用した外側層及ぴ内側層と，再生樹脂材を使用した中間層とから積層構造を構成する，この場合には，再生樹脂材を安心して使用することが可能となる。

[0024] 他の実施例では，少なくとも，外側層と，この外側層を形成する合成樹脂に対して相溶性の低い合成樹脂から形成される内側層とから積層構造を構成する。この場合には，定形の外殻を形成する合成樹脂製の外側層と，この外側層と剥離自在に積層され，内袋を形成する合成樹脂製の内側層からなる容器を形成し，該容器をいわゆる「積層剥離容器」として使用することができる。

図面の簡単な説明

[0025] 以下，本発明を添付図面に示す好適な実施形態について更に詳述する。

[0026] 図 1は，本発明のブロー成形品の第 1実施形態を示す半縦断面図である。 [0027] 図 2は，図 1に示した容器の底面図である。

[0028] 図 3a, 3b及び 3cは，図 1に示した容器の成形の割り金型によるピンチォフエ程を示す説明図である。

[0029] 図 4は，本発明のブロー成形品の第 2実施形態を示す底面図である。

[0030] 図 5a及び 5bは，図 4に示した容器の成形の割り金型によるピンチオフ工程を示す説明図である。

[0031] 図 6は，従来のダイレクトブロー成形法の型締め工程を示す説明図である。

[0032] 図 7は，ブロー成形品の従来例である比較例 1を示す底面図である。

[0033] 図 8a及び 8bは，図 7に示した容器の成形に際しての，割り金型によるピンチオフ工程を示す説明図である。

[0034] 図 9a及び 9bは，本発明のブロー成形品の第 3実施形態を示す側面図及び底面図である。

[0035] 図 10a及ぴ 10bは，従来のブロー成形品である比較例 2を示す側面図及び底面図である。

[0036] 図 11は，第 3実施形態及び比較例 2の容器の肉厚分布を比較して示すダラフである。

[0037] 図 12a及び 12bは，本発明のブロー成形品の第 4実施形態を示す正面図及び底面図である。

[0038] 図 13a及ぴ 13bは，従来のブロー成形品である比較例 3を示す正面図及び底面図である。

[0039] 図 14a及び 14bは，本発明のブロー成形品の第 5実施形態を示す正面図及び底面図である。

[0040] 図 15は，本発明の第 6実施形態の一部を破断，拡大して示す正面図である。

[0041] 図 16は，図 15の成形品から二軸延伸ブロー成形で得られた容器の一部を破断，拡大して示す半縦断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0042] 図 1及び図 2は本発明によるブロー成形品の第 1実施形態を示す。このプロ一成形品は，ダイレクトブロー成形により得られた，底部 4の上側に円筒状の胴部 3が，その上側に円筒状の口部 2が，それぞれ配置された形状の容器 1であり，底部 4の底面 5は中心部が凹み，自立姿勢における接地部となる脚部 6を形成している。容器 1 は，口部 2の最小外径が 24 mm,胴部 3の径が 65 mm,高さが 210 mmである。また底面 5には底部割金型による喰レ、切り線 7が十字状に形成されており，その形成範囲は底面 5の中心から直径約 18 mmの円内に収められている。

[0043] 容器 1はダイレクトブロー成形法により得られたものである。ここに，図 6はダイレクトブロー成形法において，従来の二分割の割金型による型締め工程を示す説明図である。ずなわち，ダイレクトブロー成形法では，ノリソン 11を押出機 21よりダイスを介して押し出し，このパリソン 11を二分割の割金型 12間に型締めにより挟み込み，当該割金型 12のキヤビティーの底辺に配設されている刃部力なるピンチオフ部 13で溶融樹脂の下部を切断すると共に熱溶着シールし，金型の上部ではパリソンカッター 14で筒状の溶融樹脂の上部を切断することで，有底筒体のパリソン 11を形成する。次に，割金型 12の頂部より揷入したエアーノズルによりブローエアーをパリソン 11に吹き込んで，ブロー成形を行う。

[0044〗ここで，ブロー成形金型のうち，容器 1の底部 4を形成する部分を 4分割した，底部割金型を使用することにより，第 1実施形態における十字状の喰い切り線 7を形成することができる。なお，容器 1の底部 4以外の部分，すなわち胴部 3及ぴロ部 2に相当する部分を形成する本体割金型は，従来どおり二分割したものを使用する。

[0045] 図 3a, 3b及び 3cは，それぞれが刃部からなるピンチオフ部 13を有する 4分割の底部割金型 15によるパリソン 11のピンチオフ工程を底面図で示した説明図である。この場合， 4分割された底部割金型 15のそれぞれのコーナー部力 Sパリソン 11に接触し (図 3a) ,さらにパリソン 11の中心軸方向に移動し（図 3b) ,パリソン 11が十字状にピンチオフされ（図 3c)，その結果としてパリソン 11の底部 4の底面 5に十字状の喰い切り線 7が形成される。第 1実施形態におけるパリソン 11の外径は 22mmであり，十字状の喰い切り線 7はパリソン 11の外径よりも小さい円内に形成されている。なお，図 3b及ぴ 3c中，二点鎖線で示すパーテイングライン方向 8は，以降の図面でも同様であるが，前述した本体割金型のパーテイングライン方向を示すものである。

[0046] 図 4は本願発明によるブロー成形品の第 2実施形態の底面図であり，容器 1 全体の形状は第 1実施形態におけると同様であるが，底面 5には等中心角に放射状に 3本の喰い切り線つが形成されおり，その形成範囲は底面 5の中心から約直径 24mm の円内である。図 5a及ぴ 5bは，三分割した底部割金型 15によるパリソン 11のピンチオフ工程を底面側から示す説明図である。

[0047] 後述する従来の二分割タイプの割金型 12による，ノリソン 11のピンチオフ工程における挟み込みに際しては，パーテイングライン方向 8の高精度の芯出しができず，このことも不均一性の主要な原因となっている。これに対して，図 3a, 3b, 3c,並びに図 5a, 5bで示すように，底部割金型 15が三分割以上であれば，それぞれの金型がダイス力も鉛直線状に垂下するように設定されたノ、。リソン 11の中心軸に向力つて移動するので，ノリソン 11の中心軸の高精度での芯出しも併せて可能となる。

[0048] なお，第 1及び第 2実施形態は喰レ、切り線 7を等中心角に形成したものである本明細書における「放射状」とは，中央の一点から半径方向に延在する形状を示し，上記実施例での等中心角に限定されるものではない。例えば，扁平度の大きい楕円状の容器を形成するためには，同じく底部割金型 15を 4分割するにしても，中心角を変えることにより肉厚分布をより均一化させることが可能となる場合もある。すなわち，中心角は，目的に応じて適宜に選択しえるものである。しかし，ノリソン 11の底部形状を可能な限り等方的にするためにも，底部割金型 15によるピンチオフをスムーズに達成するためにも，更には，上記した底割金型 15による芯出し機能を発揮させる観点からも，隣接する喰い切り線 7のなす中心角は 180° 未満とすることが好ましい。

[0049] 図 7はブロー成形品の従来例である比較例 1に係る容器 1の底面を示す。比較例 1の容器 1は，全体形状が第 1実施形態におけると同様であるが，その底面 5にパーテイングライン方向 8に延在する喰い切り線 7力底面 5の中心力直径約 35 mm の円内の範囲内に形成されてレ、る。

[0050] 図 8a及ぴ 8bは，二分割した割金型 12によるパリソン 11のピンチオフ工程を底面側力、ら示す説明図である。この場合には，パリソン 11は割金型 12の相互間で D_p/2(D_pはノ、 °リソンの外径を示す。 )，すなわちノ、。リソン 11の外径の約 1.6倍に相当する幅に折り畳まれる。

[0051] 図 9a及び 9bは，本発明によるブロー成形品の第 3実施形態を示す。この場合，ブロー成形品はネックリング 10を付設した形状を有する試験管状の成形品 9であり，口部 2の最小外径が 24 mm,胴部 3の径が上端の 24 mmから略中央高さ位置の 22 mmまで縮径し，高さは 105 mmである。成形品 9の底部 4は半球殻状であり，その底面 5には十字状の喰い切り線 7が底部 4の範囲内で形成されている。この成形品 9は，外径 18 mmのパリソンより形成されたものである。

[0052] 図 10a及ぴ 10bは，上述した第 3実施形態と従来方法で得られた同形状の成形品を比較するための比較例 2を示す。比較例 2では，喰レ、切り線 7がパーティングライン方向 8に形成されているが，樹脂がピンチオフ部から大きくはみ出るため，喰い切り線 7が底部 4の範囲を超えて胴部 3にまで至っている。

[0053] 図 11は，図 9a及び 9b示した本発明の第 3実施形態と，図 10a及ぴ 10bに示した比較例 2に係る成形品 9の，高さ 12 mmの位置における底部 4の周縁部の肉厚分布を示したグラフである。比較例 2では，肉厚がパーテイングライン方向 8で比較的厚ぐその直角方向で薄い傾向が明確に示されおり，最大 1.82 mmの偏肉が認められる。さらにパーテイングライン方向 8の左右でも大きな肉厚差がみられ，ピンチオフに際してのパリソンの芯出し精度が低レ、ことを示している。一方，第 3実施形態の成形品の肉厚分布は，実用的にはほぼ等方的であり，最大の偏肉は 033 mmであり，第 2比較例の 1/5以下の値である。

[0054] 第 3実施形態の成形品 9は，ブロー比の小さい，小型の容器としてそのまま使用することも可能であるが，肉厚で，偏肉が極めて小さいので，この成形品 9をニ軸延伸ブロー成形品のプリフォームとして使用することもできる。

[0055] 図 12a及び 12bは，本発明のブロー成形品の第 4実施形態を示す。このブロ一成形品はダイレクトブロー成形により得られた小型の容器 1であり，底部 4の上側に円筒状の胴部 3が，その上側には円筒状の口部 2が配置された形状を有し，例えば口部 2に軸付きブラシを有したキャップがねじ締結され，マスカラ用又はアイライナー用の容器本体として使用されるものである。容器 1は，口部 2の最小外径が 10.5 mm,胴部 3の径が 15 mm,高さは 75 mmである。底面 5には喰い切り線が十字状に形成される力その形成範囲は直径約 9 mmの円内である。なお，後述する比較例 3との対比を明確にするため，図 12a及び 12bと後述する図 13a及び 13bは，ピンチオフ部近傍で余った樹脂のはみ出し部分であるバリ発生部 17を切り離す前の状態を示す。

[0056] 第 4実施形態の容器 1は，外径が口部 2の最小外径よりわずかに小さい 10 mmのノリソンを用いてブロー成形したものであるが， 4分割された底部割金型 15によりピンチオフすることにより，その喰い切り線の範囲が上記のように約 9 mmの範囲となり，直径 15 mm底面内に十分限定されている。胴部 3力底部 4にかけてのブロー比は 1.5 (15 mm/10 mm)と小さいが，バリ発生部 17の形状からも示されるように，喰い切り線は胴部 3に露出するものではない。すなわち，第 4実施形態の容器 1は，ダイレクトブロー成形法では今までにない，外観性に優れこ小型で，ブロー比の小さな容器である。

[005η 図 13a及び 13bは，上述した第 4実施形態と従来の二分割の割金型 12で得られた容器 1を比較するための比較例 3を示す。比較例 3は容器形状において第 4 実施形態と同様であるが，従来の割金型 12で第 3比較例のようにブロー比が 1.5と小さい容器 1を成形すると，バリ発生部 17の形状に示されるように，バリがピンチオフ部だけでなく胴部 3のパーテイングラインからも発生して，その結果喰い切り線力 S胴部 3にも形成されてしまう。ブロー比がさらに小さくなれば，その傾向はさらに顕著となる。

[0058] 図 14a及び 14bは，本発明のブロー成形品の第 5実施形態を示すものであり，第 4実施形態の容器と同様に円筒状であるが，胴部 3の上端力も底部 4にカて緩やかに縮径した形状であり，口部 2の最小外径は 10 mm,底部 4の直径はこの最小外径よりわずかに小さい 9.5 mm,胴部 3の最大径は 15 mm，高さは 60 mmであり，底面 5 には喰い切り線 7が十字状に形成されているが，その形成範囲は直径約 7 mmの円内である。

[0059] この容器 1をブロー成形するためのノ、。リソンの外径は 8 mmであり，底部 4近傍のブロー比は約 1.2 (9.5 mm/8 mm)と極めて小さなものである力 S，喰レ、切り線つの形成は底面に限定されており，このように全体のブロー比が小さくかつ底部 4が先細状の形状の容器においても外観の良好な容器を提供することができ，従来にない，ダイレクトブロー成形の容器である。

[0060] 図 15は，本発明の成形品の第 6実施形態を示すものであり，図 9に示した第 3実施形態の成形品 9と同様の形状であり，その壁が積層構造となっている。また図 16 に示した容器 1は第 1実施形態と同様の形状であるが，ダイレクトブロー成形による第 3 実施形態の成形品 9をプリフォームとして二軸延伸ブロー成形して得られたものである。

[0061] ダイレクトブロー成形品はノリソンを多層成形することにより，積層構造の形成が簡単であると共に，肉厚比等の積層構造を精度良く達成することができるので，この成形品をプリフォームとして使用することにより積層タイプの二軸延伸ブロー容器を容易に製造することが可能となる。

[0062] また，ダイレクトブロー成形ではエアーブロー時，パリソンの上側からエアーノズルを有するコアガイドを挿入するが，この際内層で口部上端面をシールすることが可能となるので，ダイレクトブロー成形のプリフォームを使用することにより，例えば中間層にエチレンビュルアルコール共重合体，ナイロン等の吸水性の樹脂を使用した場合にも，口部上端面からの水分の進入を防ぐことができ，二軸延伸ブロー成形前のプリフォームの保存管理が容易となる。以下に具体的な積層構造の実施例を示す。

[0063] 積層成形品 9の実施例 1は， PETを使用した層と PENを使用した層との組合せで構成したものである。実施例 1には， [A] PET製外側層 laと PEN製内側層 lcとの組合せ， [B] PET製外側層 laと PEN製中間層 lbと PET製内側層 lcとの組合せ， [C] PEN製外側層 laと PET製内側層 lcとの組合せ， [D] PEN製外側層 laと PET製中間層 lbと PEN製内側層 lcとの組合せが含まれる。何れの組合せでも，層間に接着層 1Dを設けても良い。実施例 1の [A]及ぴ [D]の構成は，内側層 lcに PENを使用していることから，耐薬品性 (耐アルカリ性)の高い容器を得ることができるようにしたものである。実施例 1の何れの組合せも， PENの厚みを：!〜 20%とすることにより 370nm以下の紫外線をカットすることのできる紫外線遮断機能を発揮するものである。

[0064] 積層成形品 9の実施例 2は， PETを使用した外側層 la及び内側層 lcと，ガスノリア性樹脂を使用した中間層 lbとの組合せで構成したものであり， [E]中間層 lb をエチレンビュルアルコール共重合体製とした組合せ， [F] 中間層 lbをキシリレン基含有ポリアミド製とした組合せ， [G]中間層 lbをポリアクリロニトリル製とした組合せが含まれる。各層間には接着層 Idが設けられているため，層間剥離のない容器 1を確実に得ることができる。特に， [F] の組合せの場合， PET単体では不足する酸素，炭酸ガス等のバリア性を付与した容器 1を得ることができる。

[0065] 積層成形品 9の実施例 3は，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層 laと，エチレンビュルアルコール共重合体又は PET系樹脂を使用した内側層 lcとを，接着層 Idで接合して構成したもので，容器 1に収納保持した内容物のリモネン，ビタミン類等の有効成分を，容器 1が吸収することがないようにしてレ、る。

[0066] 積層成形品 9の実施例 4は，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層 laと，ガスノリア性樹脂としてキシリレン基含有ポリアミドを使用した中間層 lbと，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した内側層 lcとを，接着層 Idで接合して構成したもので，高い酸素バリア性を発揮する容器 1となる。

[0067] 積層成形品 9の実施例 5は，ナイロン 6を使用した外側層 laと，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した内側層 lcとを，接着層 Idで接合して構成したもので，高い突き刺し強度と，高い表面光沢性を有した薄肉容器 1を提供することができる。

[0068] 積層成形品 9の実施例 6は， PETのバージン樹脂材を使用した外側層 la及ぴ内側層 lcと， PETの再生樹脂材を使用した中間層 lbとから積層構造を構成したもので，層厚をコントロールし易い状態で，再生樹脂材を安全に利用することができる。また，分別回収時に PET単体物として，取り扱うことができる。

[0069] 積層成形品 9の実施例 7は， PETに帯電防止剤を入れた外側層 laと， PET に紫外線吸収剤を入れた中間層 lbと， PETのバージン樹脂材を使用した内側層 lcと力も積層構造を構成したもので，効果的な帯電防止効果と，中間層に添加したため，紫外線吸収剤のブリードアウトによる損失も無く，かつ添加剤の添加に係わりなく内容物の安全な収納を得ることができる。なお本例で使用することのできる榭月旨は PETに限定されるものでなく，他の樹脂についても同様な効果が発揮される。

[0070] 積層成形品 9の実施例 8は，ポリエチレン,ポリプロピレン， PET等の合成榭月旨材料で，必要とする自己形状保持能力を持たせた外殻体として成形される外側層 laと，ナイロン，エチレンビニルアルコール共重合体，ポリエチレンテレフタレート等の外側層 laに対して相溶性の低い合成樹脂材料で，撓み変形が自在な袋状に成形される内側層 lcとから積層構造を構成したもので，積層剥離容器を提供することができる。

[0071] 積層成形品 9の実施例 9は，外側層 laに艷出し，あるいは艷消ししたポリプロピレンあるいはポリエチレンを使用するものであり，容易に製品の外観を艷出し状ある Vヽは艷消し状にすることができる。

[0072] 積層成形品 9の実施例 10は，エチレンビニルアルール共重合体あるいは PET力なる外側層 laとポリオレフイン樹脂からなる内側層 lcで積層構造を構成したものであり，表面を艷出し状にすることができる。

[0073] 以上詳述したところから明らかなとおり，本発明によれば，ダイレクトブロー成形法による，底部近傍における肉厚斑及び延伸斑が小さく，また割金型による喰い切り線の形成が底面の中心部近傍に限定された容器を実現することが可能である。本発明によるブロー成形品は，肉厚の均一性，自立性，外観性に優れた新規な製品である。

[0074] なお，本発明を好適な実施形態について説明したが，その範囲を逸脱することなく上記以外の種々の態様をもって実施し得ることは言うまでもない。

Claims

請求の範囲

1. ダイレクトブロー成形法により得られ,底部 (4)の上側に筒状の胴部 (3)を配置し，該胴部（3)の上側に円筒状の口部（2)を配置した成形品において，底部 (4)における底面 (5)の中心力も放射状に，ブロー成形用の底部割金型 (15)による少なくとも 3本の喰レ、切り線 (7)を有することを特徴とするブロー成形品。

2. 喰レ、切り線 (7)を略等中心角に配置したことを特徴とする，請求項 1記載のブロー成形品。

3. 喰い切り線 (7)を十字状に 4本配置したことを特徴とする，請求項 2記載のブロー成形品。

4. 喰い切り線 (7)が，底面 (5)と同心で，直径が πϋ_Ρ/2未満である円内に形成されており，ここに πは円周率， D_Pはパリソンの外径であることを特徴とする，請求項 1, 2又は 3 記載のブロー成形品。

5. 二軸延伸ブロー成形により容器に成形されることを特徴とする，請求項 1, 2, 3又は 4記載のブロー成形品。

6. 積層構造の壁を有することを特徴とする，請求項 1, 2, 3， 4又は 5記載のブロー成形品

7. 少なくとも，ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した層と，ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用した層とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形品。

8. 少なくとも，ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した外側層（la)及び内側層 (lc)と，ガスパリア性樹脂を使用した中間層（lb)とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形口

クロ口

9. 少なくとも，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層（la)と，エチレンビニルアルコール共重合体又はポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用した内側層

(lc)とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形品。

10. 少なくとも，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した外側層（la)と，ガスバリア性樹脂を使用した中間層（lb)と，ポリエチレン又はポリプロピレンを使用した内側層 (lc)とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形品。

11. 少なくとも，バージン樹脂材を使用した外側層（la)及び内側層（lc)と，再生樹脂材を使用した中間層（lb)とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形品。

12. 少なくとも，外側層（la)と，該外側層（la)を形成する合成樹脂に対して相溶性の低い合成樹脂から形成される内側層（lc)とから前記積層構造を構成したことを特徴とする請求項 6記載のブロー成形品。