明 細 書 パターン微細化用被覆形成剤およびそれを用いた微細パターンの形成方法 技術分野
本発明はホトリソグラフィ技術分野におけるパターン微細化用被覆形成剤およ びそれを用いた微細パターンの形成方法に関する。 さらに詳しくは、 近年の半導 体デバイスの集積化、 微小化に対応し得るパターン微細化用被覆形成剤およびそ れを用いた微細パターンの形成方法に関する。 背景技術
半導体デバイス、 液晶デバイス等の電子部品の製造においては、 基板にエッチ ングなどの処理を施すに際し、 活性放射線に感応するいわゆる感放射線ホトレジ ストを用いて基板上に被膜 (ホトレジスト層) を設け、 次いでこれを活性放射線 で選択的に照射して露光し、 現像処理を行って、 ホトレジスト層を選択的に溶解 除去して基板上に画像パターン (ホトレジストパターン) を形成し、 これを保護 層 (マスクパターン) として基板にホールパターン、 トレンチパターン等のコン タクト用パターンなどの各種パターンを形成するホトリソグラフィー技術が用い られている。
近年、 半導体デバイスの集積化、 微小化の傾向が高まり、 これらパターンの形 成についても微細化が進み、 現在パターン幅 0 . 2 0 以下の超微細加工が要 求されており、 マスクパターン形成に用いられる活性光線も、 K r F、 A r F、 F 2エキシマレーザ一光や、 電子線などの短波長の照射光が利用され、'マスクパ ターン形成材料としてのホトレジスト材料についても、 これらの照射光に対応し た物性をもつものの研究 ·開発が行われている。
このようなホトレジスト材料の面からの超微細化対応策に加え、 パターン形成 方法の面からも、 ホトレジスト材料のもつ解像度の限界を超えるパターン微細化 用技術の研究 ·開発が行われている。
例えば、 特開平 5— 1 6 6 7 1 7号公報では、 基板上に塗布したパターン形成 用レジストに抜きパターンを形成した後、 該パターン形成用レジストとミキシン グするミキシング生成用レジストを基板全面に塗布した後、 ベ一クして、 ミキシ ング層をパ夕一ン形成用レジスト側壁〜表面に形成し、 前記ミキシング生成用レ ジストの非ミキシング部分を除去して、 上記ミキシング層寸法分の微細化を図つ た抜きパターン形成方法が開示されている。 また特開平 5— 2 4 1 3 4 8号公報 では、 酸発生剤を含有するレジストパ夕一ンを形成した基板上に、 酸の存在下で 不溶化する樹脂を被着した後、 熱処理し、 前記樹脂にレジストから酸を拡散させ て樹脂とレジストパターン界面付近に一定厚さのレジストを形成した後、 現像し て、 酸の拡散がされていない樹脂部分を除去することにより、 上記一定の厚さ寸 法分の微細化を図ったパターン形成方法が開示されている。
しかしながらこれらの方法は、 レジストパターン側壁に形成される層の厚さの コントロールが難しく、 ゥェ一ハ面内の熱依存性が十数 nmZ°C程度と大きく、 現在の半導体デバイスの製造で用いられる加熱装置ではゥェ一ハ面内を均一に保 つことが非常に困難であり、 パターン寸法のバラツキが顕著にみられるという問 題がある。
一方、 レジストパターンを熱処理等で流動化させパターン寸法を微細化する方 法も知られている。 例えば特開平 1 _ 3 0 7 2 2 8号公報では、 基板上にレジス トパターンを形成した後、 熱処理を行って、 レジストパターンの断面形状を変形 させることにより、 微細なパターンを形成する方法が開示されている。 また特開 平 4一 3 6 4 0 2 1号公報では、 レジストパターンを形成した後、'加熱し、 レジ ス卜の流動化によりそのパターン寸法を変化させて微細なパターンを形成する方 法が開示されている。 - これらの方法は、 ゥエー八面内の熱依存性が数 nmZ°C程度であり、 この点で の問題点は少ないものの、 熱処理によるレジストの変形 ·流動のコントロールが 困難なため、 ゥェ一ハ面内で均一なレジストパターンを設けることが難しいとい う問題がある。
上記方法をさらに発展させた方法として、 例えば特開平 7— 4 5 5 1 0号公報
では、 基板上にレジストパターンを形成した後、 基板上に前記レジストパターン の流動しすぎを防止するためのストッパとしての樹脂を形成し、次いで熱処理し、 レジストを流動化させてパターン寸法を変化させた後、 樹脂を除去して微細なパ ターンを形成する方法が開示されている。 そして上記樹脂として、 具体的にはポ リビニルアルコールを用いているが、 ポリビニルアルコールは、 水に対する溶解 性が不十分なため、 水洗で完全に除去することが難しく、 良好なプロフィルのパ ターンの形成が難しく、 また経時安定性の面でも必ずしも満足し得るものとはい えないことに加え、塗布性が良好でない等の問題があり、実用化に至っていない。 さらに現在、 ホトレジストパターンを有する基板上に被覆材料を塗布する際、 気泡 (マイクロフォーム) 発生という問題があり、 これが最終的にはディフエク トと呼ばれるパ夕―ン欠陥の発生に関係しているといわれることから、 このよう な問題点も併せて解決し得る被覆用材料が要求されている。
.なお、 特開 2 0 0 1 _ 2 8 1 8 8 6号公報には、 水溶性樹脂を含有するレジス トパターン縮小化材料からなる酸性被膜をレジストパタ一ン表面に被覆した後、 レジストパターン表面層をアル力リ可溶性に転換し、 次いで該表面層と酸性被膜 をアルカリ性溶液で除去して、 レジストパターンを縮小させる方法が開示され、 また、 特開 2 0 0 2 _ 1 8 4 6 7 3号公報には、 基板上にレジストパターンと、 該レジストパターン上に水溶性膜形成成分を含む塗膜を形成し、 これらレジスト パターンと塗膜を熱処理した後、 テトラメチルアンモニゥムヒドロキシド水溶液 に浸水させて、 ドライエッチング工程を経ることなく微細化レジストパ夕一ンを 形成する方法が開示されているが、 これらはいずれもレジストパターン自体を微 細化する方法であり、 本願発明とその目的が全く異なる。 発明の開示
本発明は、 特に被覆形成剤を用いたパターンの微細化において、 パターン寸法 の制御性に優れるとともに、 良好なプロフィルおよび半導体デバィスにおける要 求特性を備えた微細パターンを得ることができるパターン微細化用被覆形成剤お よびこれを用いた微細パターン形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、 ホトレジストパターンを有する基板上に 被覆され、 その熱収縮作用によりホトレジストパターン間の間隔を狭小せしめて 微細パ夕一ンを形成するために使用されるパターン微細化用被覆形成剤であつて、 水溶性ポリマ一と界面活性剤を含有することを特徴とするパターン微細化用被覆 形成剤を提供する。
上記において、 界面活性剤として、 N—アルキルピロリドン系界面活性剤、 第 4級アンモニゥム塩系界面活性剤、 およびポリオキシエチレンのリン酸エステル 系界面活性剤の中から選ばれる少なくとも 1種を用いるのが好ましい。
また本発明は、 ホトレジストパターンを有する基板上に、 上記パターン微細化 用被覆形成剤を被覆した後、 熱処理により該パターン微細化用被覆形成剤を熱収 縮させ、 この熱収縮作用によりホトレジストパターン間の間隔を狭小せしめ、 次 いで上記パターン微細化用被覆形成剤を除去する工程を含む、 微細パターンの形 成方法を提供する。
上記において、 熱処理を、 基板上のホトレジストパターンに熱流動を起させな い温度で行うのが好ましい。 発明を実施するための最良の形態
本発明のパターン微細化用被覆形成剤は、 ホトレジストパターンを有する基板 上を被覆するためのものであって、 加熱による該被覆形成剤の熱収縮作用によつ てホトレジストパターンを幅広 ·広大ならしめ、 これにより上記ホトレジストパ ターン間の間隔、 すなわちホトレジストパターンにより画定されるホ一ルパ夕一 ン、 トレンチパターンなどのパターンの広さや幅、 を狭小ならしめた後、 当該被 覆を完全に除去して、 微小なパターンを形成するのに用いられるものである。 かかる本発明のパターン微細化用被覆形成剤は、 水溶性ポリマーと界面活性剤 を含有する。
上記水溶性ポリマーは、 室温で水に溶解し得るポリマーであればよく、 特に制 限されるものでないが、 アクリル系重合体、 ビニル系重合体、 セルロース系誘導 体、 アルキレングリコール系重合体、 尿素系重合体、 メラミン系重合体、 ェポキ
シ系重合体、 アミド系重合体などが好ましく用いられる。
アクリル系重合体としては、 例えば、 アクリル酸、 アクリル酸メチル、 メタク リル酸、 メタクリル酸メチル、 N, N—ジメチルアクリルアミド、 N, N—ジメ チルァミノプロピルメ夕クリルアミド、 N, N—ジメチルァミノプロピルァクリ ルアミド、 N—メチルアクリルアミド、 ジアセトンアクリルアミド、 N, N—ジ メチルァミノェチルメタクリレート、 N, N -ジェチルァミノェチルメタクリレ —卜、 N, N—ジメチルアミノエチルァクリレ一卜、 ァクリロイルモルホリン等 の単量体を構成成分とする重合体または共重合体が挙げられる。
ビニル系重合体としては、 例えば、 N—ビニルピロリドン、 ビニルイミダゾリ ジノン、 酢酸ビニル等の単量体を構成成分とする重合体または共重合体が挙げら れる。 .
セルロース系誘導体としては、 例えばヒドロキシプロピルメチルセル口一スフ タレ一卜、 ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレ一卜、 ヒドロ キシプロピルメチルセル口ースへキサヒドロフタレート、 ヒドロキシプロピルメ チルセルロースァセテ一トサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロール、 セルロールァセ テートへキサヒドロフタレート、 カルボキシメチルセルロース、 ェチルセルロー ス、 メチルセルロース等が挙げられる。
アルキレングリコ一ル系重合体としては、 例えば、 エチレングリコール、 プロ ピレングダリコ一ル等の付加重合体または付加共重合体などが挙げられる。
尿素系重合体としては、 例えば、 メチロール化尿素、 ジメチロール化尿素、 ェ チレン尿素等を構成成分とするものが挙げられる。
メラミン系重合体としては、 例えば、 メ卜キシメチル化メラミン、 メトキシメ チル化ィソブトキシメチル化メラミン、 メ卜キシェチル化メラミン等を構成成分 とするものが挙げられる。
さらに、 エポキシ系重合体、 アミド系重合体などの中で水溶性のものも用いる ことができる。
中でも、 アルキレングリコール系重合体、 セルロース系重合体、 ビニル系重合
体、 アクリル系重合体の中から選ばれる少なくとも 1種を含む構成とするのが好 ましく、 特には、 p H調整が容易であるという点からアクリル系重合体が最も好 ましい。 さらには、 アクリル系重合体と、 アクリル系重合体以外の水溶性ポリマ 一との共重合体とすることが、 加熱処理時にホトレジストパタ一ンの形状を維持 しつつ、 ホ卜レジストパターン間隔の収縮効率を高くすることができるという点 から好ましい。 水溶性ポリマ一は 1種または 2種以上を用いることができる。 水溶性ポリマ一は、 共重合体として用いた場合、 構成成分の配合比は特に限定 されるものでないが、 特に経時安定性を重視するなら、 アクリル系重合体の配合 比を、 それ以外の他の構成重合体よりも多くすることが好ましい。 なお、 経時安 定性の向上は、 アクリル系重合体を上記のように過多に配合する以外に、 p—卜 ルエンスルホン酸、 ドデシルベンゼンスルホン酸等の酸性化合物を添加すること により解決することも可能である。
上記界面活性剤としては、 特に限定されるものでないが、 上記水溶性ポリマー に添加した際、 溶解性が高く、 懸濁を発生せず、 ポリマー成分に対する相溶性が ある、 等の特性が必要である。 このような特性を満たす界面活性剤を用いること により、 従来問題となっていた、 特に被覆用材料を塗布する際の気泡 (マイクロ フォーム) 発生と関係があるとされる、 ディフエクトの発生をより効果的に防止 することができる。
上記の点から、 本発明に用いられる界面活性剤としては、 N—アルキルピロリ ドン系界面活性剤、 第 4級アンモニゥム塩系界面活性剤、 およびポリオキシェチ レンのリン酸エステル系界面活性剤の中から選ばれる少なくとも 1種が好ましく 用いられる。
N—アルキルピロリドン系界面活性剤としては、 下記一般式 (I) ( I )
(式中、 は炭素原子数 6以上のアルキル基を示す)
で表されるものが好ましい。
かかる N—アルキルピロリドン系界面活性剤として、 具体的には、 N—へキシ ル一 2—ピロリドン、 N—へプチルー 2—ピロリドン、 N—ォクチルー 2—ピロ リドン、 N—ノニル— 2—ピロリドン、 N—デシルー 2—ピロリドン、 N—デシ ルー 2—ピロリドン、 N—ゥンデシル— 2—ピロリドン、 N—ドデシル— 2—ピ' 口リドン、 N—トリデシル _ 2—ピロリドン、 N—テトラデシルー 2—ピロリド ン、 N—ペン夕デシルー 2 _ピロリドン、 N—へキサデシルー 2—ピロリドン、 N—ヘプ夕デシルー 2—ピロリドン、 N—ォクタデシルー 2—ピロリドン等が挙 げられる。 中でも N—ォクチルー 2—ピロリドン (「SURFADONE LP100J ; I S P 社製) が好ましく用いられる。
第 4級アンモニゥム系界面活性剤としては、 下記一般式 (Π)
R3— N-R5 X ( Π )
R4
〔式中、 R 2、 R 3、 R 4、 R 5はそれぞれ独立にアルキル基またはヒドロキシァ ルキル基を示し (ただし、 そのうちの少なくとも 1つは炭素原子数 6以上のアル キル基またはヒドロキシアルキル基を示す) ; X—は水酸化物イオンまたはハロ ゲンイオンを示す〕
で表されるものが好ましい。
かかる第 4級アンモニゥム系界面活性剤として、 具体的には、 ドデシルトリメ チルアンモニゥムヒドロキシド、 トリデシルトリメチルァンモニゥムヒドロキシ ド、 テトラデシルトリメチルアンモニゥムヒドロキシド、 ペン夕デシルトリメチ ルアンモニゥムヒドロキシド、 へキサデシルトリメチルアンモニゥムヒドロキシ ド、 ヘプ夕デシルトリメチルアンモニゥムヒドロキシド、 ォクタデシルトリメチ ルアンモニゥムヒドロキシド等が挙げられる。 中でも、 へキサデシルトリメチル アンモニゥムヒドロキシドが好ましく用いられる。
ポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、 下記一般式
(式中、 R 6は炭素原子数 1〜1 0のアルキル基またはアルキルァリル基を示 し; R 7は水素原子または (C H 2 C H 20) R 6 (ここで R 6は上記で定義したと おり) を示し; nは 1〜2 0の整数を示す)
で示されるものが好ましい。
かかるポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、 具体的に は 「プライサ一フ A 2 1 2 E」、 「プライサーフ A 2 1 0 G」 (以上、 いずれも第 一工業製薬(株)製)等として市販されているものを好適に用いることができる。 これら界面活性剤の中でも、 特にディフエクト低減の点からは、 ポリオキシェ チレンのリン酸エステル系界面活性剤が好ましく用いられる。
界面活'性剤の配合量は、 被覆形成剤 (固形分) に対して 1〜1 0質量%程 度とするのが好ましく、 特には 0 . 2〜2質量%程度である。 上記配合量範囲を 外れた場合、 塗布性の悪化に起因する、 面内均一性の低下に伴うパターンの収縮 率のバラツキ、 あるいはマイクロフォームと呼ばれる塗布時に発生する気泡に因 果関係が深いと考えられるディフエクトの発生といった問題が生じるおそれがあ る。
本発明のパターン微細化用被覆形成剤には、 不純物発生防止、 p H調整等の点 から、 所望により、 さらに水溶性アミンを配合してもよい。
かかる水溶性ァミンとしては、 2 51:の水溶液における p K a (酸解離定数) が 7 . 5〜1 3のァミン類が挙げられる。 具体的には、 例えば、 モノエタノール ァミン、 ジエタノールァミン、 トリエタノールァミン、 2 - ( 2—アミノエトキ シ) エタノール、 N, N—ジメチルエタノールァミン、 N, N—ジェチルェタノ ールァミン、 N, N—ジブチルエタノ一ルァミン、 N—メチルエタノールァミン、 N—ェチルエタノールァミン、 N—ブチルエタノールァミン、 N—メチルジェ夕 ノールァミン、 モノイソプロパノ一ルァミン、 ジイソプロパノールァミン、 トリ イソプロパノールァミン等のアルカノールァミン類;ジエチレン卜リアミン、 ト
リエチレンテトラミン、 プロピレンジァミン、 N, N—ジェチルエチレンジアミ ン、 1 , 4—ブタンジァミン、 N—ェチルーエチレンジァミン、 1, 2 _プロパ ンジァミン、 1, 3—プロパンジァミン、 1 , 6—へキサンジァミン等のポリア ルキレンポリアミン類; トリェチルァミン、 2—ェチルーへキシルァミン、 ジォ クチルァミン、 トリプチルァミン、 トリプロピルァミン、 トリアリルアミン、 へ プチルァミン、 シクロへキシルァミン等の脂肪族ァミン;ベンジルァミン、 ジフ ェニルァミン等の芳香族ァミン類; ピぺラジン、 N—メチルーピペラジン、 メチ ルーピペラジン、ヒドロキシェチルピペラジン等の環状アミン類等が挙げられる。 中でも、 沸点 1 4 0 °C以上 (7 6 0 mmH g ) のものが好ましく、 例えばモノエ タノ一ルァミン、 トリエタノ一ルァミン等が好ましく用いられる。
水溶性アミンを配合する場合、 パターン微細化用被覆形成剤 (固形分) に対し て 0 . 1〜3 0質量%程度の割合で配合するのが好ましく、特には 2〜1 5質量% 程度である。 0 . 1質量%未満では経時による液の劣化が生じるおそれがあり、 一方、 3 0質量%超ではホトレジストパターンの形状悪化を生じるおそれがある。 また本発明のパターン微細化用被覆形成剤には、 ホトレジストパターン寸法の 微細化、 ディフエクトの発生抑制などの点から、 所望により、 さらに非ァミン系 水溶性有機溶媒を配合してもよい。
かかる非ァミン系水溶性有機溶媒としては、 水と混和性のある非ァミン系有機 溶媒であればよく、 例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチル スルホン、 ジェチルスルホン、 ビス (2—ヒドロキシェチル) スルホン、 テトラ メチレンスルホン等のスルホン類; N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチル ホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルァセトアミド、 N, N—ジェチルァセトアミド等のアミド類; N—メチル _ 2 _ピロリドン、 N—ェ チルー 2—ピロリドン、 N—プロピル _ 2—ピロリドン、 N—ヒドロキシメチル —2—ピロリドン、 N—ヒドロキシェチル一 2—ピロリドン等のラクタム類; 1, 3—ジメチル—2—イミダゾリジノン、 1 , 3—ジェチルー 2—イミダゾリジノ ン、 1 , 3—ジィソプロピル一 2—イミダゾリジノン等のィミダゾリジノン類; エチレングリコール、 エチレングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコ
—ルモノェチルエーテル、 エチレングリコールモノブチルエーテル、 エチレング リコールモノメチルエーテルァセテ一ト、 エチレングリコールモノェチルエーテ ルアセテート、 ジエチレングリコール、 ジエチレングリコールモノメチルエーテ ル、 ジェチレングリコ一ルモノェチルエーテル、 ジエチレンダリコールモノブチ ルエーテル、 プロピレングリコ一ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、 グリセリン、 1, 2—ブチレングリコール、 1 , 3—ブチレングリコール、 2 , 3ーブチレンダリコール等の多価アルコール類およびその誘導体が挙げられる。 中でも、 ホトレジストパターン寸法の微細化、 ディフエクト発生抑制の点から多 価アルコール類およびその誘導体が好ましく、 特にはグリセリンが好ましく用い られる。非ァミン系水溶性有機溶媒は 1種または 2種以上を用いることができる。 非ァミン系水溶性有機溶媒を配合する場合、 水溶性ポリマーに対して 0 . 1〜 3 0質量%程度の割合で配合するのが好ましく、 特には 0 . 5〜1 5質量%程度 である。 上記配合量が 0 . 1質量%未満ではディフエクト低減効果が低くなりが ちであり、 一方、 3 0質量%超ではホトレジストパターンとの間でミキシング層 を形成しがちとなり、 好ましくない。
本発明のパターン微細化用被覆形成剤は、 3〜 5 0質量%濃度の水溶液として 用いるのが好ましく、 5〜 3 0質量%濃度の水溶液として用いるのが特に好まし レ^ 濃度が 3質量%未満では基板への被覆不良となるおそれがあり、 一方、 5 0 質量%超では、 濃度を高めたことに見合う効果の向上が認められず、 取扱い性の 点からも好ましくない。
なお、 本発明のパターン微細化用被覆形成剤は、 上記したように溶媒として水 を用いた水溶液として通常用いられるが、冰とアルコール系溶媒との混合溶媒を 用いることもできる。 アルコール系溶媒としては、 例えばメチルアルコール、 ェ チルアルコール、 プロピルアルコール、 イソプロピルアルコール等の 1価アルコ ール等が挙げられる。 これらのアルコール系溶媒は、 水に対して 3 0質量%程度 を上限として混合して用いられる。
本発明のパターン微細化用被覆形成剤は、 ホトレジスト材料のもつ解像度の限 界を超えるほどに解像性を向上させる効果を奏し、 また基板面内におけるパター
ンのバラツキを是正して面内均一性を得ることができ、 さらに、 蛍光光の基板か らの反射光等に起因するパターン形状の乱れ (ラフネス) を是正してプロフィル の良好なパターンを形成することができる。 さらに、 ディフエクト発生を抑制す ることができる効果を奏する。
本発明に係る微細パターン形成方法は、 ホトレジストパターンを有する基板上 に、 上記のパターン微細化用被覆形成剤を被覆した後、 熱処理により該被覆形成 剤を熱収縮させ、 この熱収縮作用によりホトレジストパターン間の間隔を狭小せ しめ、 次いで上記被覆形成剤を除去する工程を含む。
ホトレジストパターンを有する基板の作製は、 特に限定されるものでなく、 半 導体デバイス、 液晶表示素子、 磁気ヘッドあるいはマイクロレンズなどの製造に おいて用いられる常法により行うことができる。 例えば、 シリコンゥエーハ等の 基板上に、 化学増幅型等のホトレジスト用組成物を、 スピンナーなどで塗布、 乾 燥してホトレジスト層を形成した後、 縮小投影露光装置などにより、 紫外線、 d e e p— UV、 エキシマレ一ザ一光などの活性光線を、 所望のマスクパ夕一ンを 介して照射するか、 あるいは電子線により描画した後、 加熱し、 次いでこれを現 像液、例えば 1〜 1 0質量%テトラメチルアンモニゥムヒドロキシド(TMAH) 水溶液等のアル力リ性水溶液などを用いて現像処理することによって、 基板上に ホトレジストパターンを形成することができる。
なお、 ホトレジストパターンの材料となるホトレジスト用組成物としては、 特 に限定されるものではなく、 i、 g線用ホトレジスト組成物、 K r F、 A r F、 F 2等のエキシマレーザー用ホトレジスト組成物、 さらには E B (電子線) 用ホ トレジスト組成物等、 広く一般的に用いられるホトレジスト組成物を用いること ができる。
次いで、 このようなホトレジストパターンを有する基板上に、 パターン微細化 用被覆形成剤を塗布し被覆する。 なお、 被覆形成剤を塗布した後に、 8 0〜 1 0 0 °Cの温度で 3 0〜9 0秒間、 基板にプリべ一クを施してもよい。
被覆方法は従来の熱フロープロセスにおいて通常行われていた方法に従って行 うことができる。 すなわち、 例えばバーコ一夕一法、 ロールコ一夕一法、 スリツ
トコ一夕一法、 スピンナ一を用いた回転塗布等の公知の塗布手段により、 上記パ 夕一ン微細化用被覆形成剤の水溶液を基板上に塗布する。
次いで熱処理を行って、 被覆形成剤からなる塗膜を熱収縮させる。 この塗膜の 熱収縮作用により、 該塗膜に接するホトレジストパターンが塗膜の熱収縮相当分 幅広 ·広大となり、 ホトレジストパターンどうしが互いに近接した状態となって ホトレジストパターン間の間隔が狭められる。 このホトレジストパターン間の間 隔は、 すなわち、 最終的に得られるパターンの径ゃ幅を規定することから、 上記 したパターン微細化用被覆形成剤からなる塗膜の熱収縮によりホールパタ一ンの 径ゃトレンチパターンの幅を狭小化させることができ、 パターンの微小化を行う ことができる。
加熱温度は、 パターン微細化用被覆形成剤からなる塗膜の収縮を起し得る温度 であって、 パターンの微細化を行うに十分な温度であれば、 特に限定されるもの でないが、 ホトレジストパターンに熱流動を起させない温度で加熱するのが好ま しい。 ホトレジストパターンに熱流動を起させない温度とは、 パターン微細化用 被覆形成剤からなる塗膜が形成されてなく、 ホトレジストパターンだけを形成し た基板を加熱した場合、 該ホトレジストパターンに寸法変化 (例えば、 自発的流 動による寸法変化等) を生じさせない温度をいう。 このような温度での加熱処理 により、 プロフィルの良好な微細パターンの形成をより一層効果的に行うことが でき、 また特にゥェ一八面内におけるデューティ比 (Duty) 比、 すなわちゥェ一 八面内におけるパターン間隔に対する依存性を小さくすることができる等の点に おいて極めて効果的である。 現在のホトリソグラフィ一技術において用いられる 種々のホトレジスト組成物の軟化点等を考慮すると、 好ましい加熱処理は通常、
8 0〜 1 6 0 程度の温度範囲で、 ただしホトレジストに熱流動を起さない温度 で、 3 0〜 9 0秒間程度行われる。
また、 パターン微細化用被覆形成剤からなる塗膜の厚さとしては、 ホ卜レジス トパターンの高さと同程度あるいはそれを覆う程度の高さが好ましい。
この後、 パターン上に残留するパターン微細化用被覆形成剤からなる塗膜は、 水系溶剤、 好ましくは純水により 1 0〜6 0秒間洗浄することにより除去する。
なお、 水除去に先立ち、 所望によりアルカリ水溶液 (例えば、 テトラメチルアン モニゥムヒドロキシド (TMAH)、 コリンなど) でリンス処理をしてもよい。 本発明に係るパターン微細化用被覆形成剤は、 水での洗浄除去が容易で、 かつ、 基板およびホトレジストパターンから完全に除去することができる。
そして基板上に、幅広 ·広大となったホトレジストパターンの間に画定された、 微小化されたパターンを有する基板が得られる。
本発明により得られる微細パターンは、 これまでの方法によって得られる解像 限界よりもより微細なパターンサイズを有するとともに、 良好なプロフィルを有 し、 所要の要求特性を十分に満足し得る物性を備えたものである。
本発明が適用される技術分野としては、 半導体分野に限られず、 広く液晶表示 素子、 磁気ヘッド製造、 さらにはマイクロレンズ製造等に用いることが可能であ る。 実施例
次に、 実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらの例に よってなんら限定されるものではない。 なお、 配合量は特記しない限り質量%で ある。
実施例 1
基板上にポジ型ホトレジストである 「T D UR— P 0 3 6 P M」 (東京応化工 業 (株) 製) を回転塗布し、 8 0 °Cで 9 0秒間べ一ク処理し、 膜厚 0 . 4 8 m のホトレジスト層を形成した。
該ホトレジスト層に対して、 K r Fエキシマレーザ一露光装置 (「キャノン F P A - 3 0 0 0 E X 3」;キャノン (株) 製) を用いて露光処理し、 1' 2 0 °Cに て 9 0秒間加熱処理を施し、 2 . 3 8質量%TMAH (テトラメチルアンモニゥ ムヒドロキシド)水溶液を用いて現像処理してホトレジストパターンを形成した。 このホトレジストパターンの形成により、 直径 1 8 0 nm (すなわち、 ホトレジ ストパターンがなす間隔が 1 8 0 nm) のホールパターンを形成した。
次に、 このホールパターン上に、 アクリル酸とビニルピロリドンのコポリマ一
(アクリル酸: ビニルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 10 g、 および N-アルキ ルピロリドン系界面活性剤として 「SURFADONE LP100」 (I S P社製) 0. 02 g を純水に溶解し、 全体の固形分濃度を 8. 0質量%としたパターン微細化用被覆 形成剤を塗布し、 116°Cで 60秒間加熱処理を行った。 続いて 23°Cで純水を 用いて該被覆形成剤を除去した。 このときホールパターンの直径は約 160 nm であった。 また、 塗膜の面内均一性も良好で、 フロ一レートのバラツキも少なく 抑えることができ、 マイクロフォームの発生に起因するディフエクトの発生を低 減することができた。 得られたパターンのプロフィルも良好であった。
実施例 2
実施例 1と同様の方法でホトレジストパ夕一ンを形成した。 このホ卜レジス卜 パターンの形成により、 直径 180nm (すなわち、 ホトレジストパターンがな す間隔が 180 nm) のホールパターンを形成した。
次に、 このホールパターン上に、 アクリル酸とビニルピロリドンのコポリマー (アクリル酸: ビニルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 10 g、 トリエタノール ァミン 0. 9 g、 および N-アルキルピロリドン系界面活性剤として 「SURFADONE LP100J (I SP社製) 0. 02 gを純水に溶解し、 全体の固形分濃度を 8. 0質 量%としたパターン微細化用被覆形成剤を塗布し、 116°Cで 60秒間加熱処理 を行った。 続いて 23 °Cで純水を用いて該被覆形成剤を除去した。 このときホー ルパターンの直径は約 160 nmであった。 また、 塗膜の面内均一性も良好で、 フローレ一卜のバラツキも少なく抑えることができ、 マイクロフォームの発生に 起因するディフエクトの発生を低減することができた。 得られたパターンのプロ フィルも良好であった。
実施例 3
実施例 1と同様の方法でホトレジストパターンを形成した。 このホトレジスト パターンの形成により、 パターン幅 180nm (すなわち、 ホトレジストパター ンがなす間隔が 180 nm) のトレンチパタ一ンを形成した。
次に、 このトレンチパターン上に、 ァクリル酸とビニルピロリドンのコポリマ 一 (アクリル酸: ビエルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 10 g、 トリエタノ一
ルァミン 0. 9 g、 および第 4級アンモニゥム系界面活性剤として HDTMAH (へキサデシルトリメチルアンモニゥムヒドロキシド;和光純薬 (株) 製) 0. 02 gを純水に溶解し、 全体の固形分濃度を 8. 0質量%としたパターン微細化 用被覆形成剤を塗布し、 116°Cで 60秒間加熱処理を行った。 続いて 23 °Cで 純水を用いて該被覆形成剤を除去した。 このときトレンチパターンのパターン幅 は約 160 nmであった。 また、 塗膜の面内均一性も良好で、 フローレートのバ ラツキも少なく抑えることができ、 マイクロフォームの発生に起因するディフエ ク卜の発生を低減することができた。 得られたパターンのプロフィルも良好であ つた。
実施例 4
実施例 1と同様の方法でホトレジストパターンを形成した。 このホ卜レジスト パターンの形成により、 直径 181. 5 nm (すなわち、 ホトレジストパターン がなす間隔が 181. 5 nm) のホールパターンを形成した。
次に、 このホールパターン上に、 アクリル酸とビニルピロリドンのコポリマー (アクリル酸: ビニルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 6. 93 g、 およびポリ ォキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤として 「プライサーフ A210 G」 (第一工業製薬 (株) 製) 0. 07 gを純水 93 gに溶解して調製したパ夕 —ン微細化用被覆形成剤を塗布し、 120°Cで 60秒間加熱処理した。 続いて 2 3 °Cで純水を用レ ^て該被覆形成剤を除去した。 このときホールパ夕一ンの直径は 161. 4nmであった。 また、 塗膜の面内均一性も良好で、 フローレ一トのバ ラツキも少なく抑えることができ、 マイクロフォームの発生に起因するディフエ ク卜のカウント数は、 実施例 1〜 3でのディフエクトのカウント数の 15%程度 で、 極めて有効にディフエクトが低減できた。 得られたパターンのプロフィルも 良好であった。
実施例 5
実施例 1と同様の方法でホトレジストパターンを形成した。 このホトレジス卜 パターンの形成により、 直径 181. 5 nm (すなわち、 ホトレジストパターン がなす間隔が 181. 5 nm) のホールパターンを形成した。
次に、 このホールパターン上に、 ァクリル酸とビニルピロリドンのコポリマー (アクリル酸: ビニルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 6. 73 g、 ポリオキシ エチレンのリン酸エステル系界面活性剤として 「プライサ一フ A210G」 (第 一工業製薬 (株) 製) 0. 07 g、 およびグリセリン 0. 20 gを純水 93 gに 溶解して調製したパターン微細化用被覆形成剤を塗布し、 120°Cで 60秒間加 熱処理した。 続いて 23 °Cで純水を用いて該被覆形成剤を除去した。 このときホ —ルパターンの直径は 160. 2nmであった。 また、 塗膜の面内均一性も良好 で、 フローレートのバラツキも少なく抑えることができ、 マイクロフォームの発 生に起因するディフエクトのカウント数は 0に近かった。 得られたパターンのプ 口フィルも良好であった。
実施例 6
実施例 1と同様の方法でホ卜レジストパターンを形成した。 このホトレジスト パターンの形成により、 直径 181. 5 nm (すなわち、 ホトレジストパターン がなす間隔が 181. 5 nm) のホールパターンを形成した。
次に、 このホールパターン上に、 アクリル酸とビニルピロリドンのコポリマ一 (アクリル酸: ビニルピロリドン =2 : 1 (質量比)) 6. 73'g、 ポリオキシ エチレンのリン酸エステル系界面活性剤として 「プライサーフ A210G」 (第 一工業製薬 (株) 製) 0. 07 g、 およびプロピレングリコールモノメチルエー テル 20 gを純水 93 gに溶解して調製したパターン微細化用被覆形成剤を 塗布し、 120°Cで 60秒間加熱処理した。 続いて 23 °Cで純水を用いて該被覆 形成剤を除去した。 このときホールパターンの直径は 160. 2nmであった。 また、 塗 J3莫の面内均一性も良好で、 フローレートのバラツキも少なく抑えること ができ、 マイクロフォームの発生に起因するディフエクトのカウント数は 0に近 かった。 得られたパターンのプロフィルも良好であった。
比較例 1
実施例 1と同様の方法でホトレジス卜パターンを形成した。 このホトレジスト パターンの形成により、 パターン幅 180nm (すなわち、 ホトレジストパター ンがなす間隔が 180 nm) のトレンチパターンを形成した。
次に、 このトレンチパターン上に、 アクリル酸とビエルピロリドンのコポリマ ― (アクリル酸:ビニルピロリドン = 2 : 1 (質量比)) 1 0 gを純水に溶解し、 全体の固形分濃度を 8 . 0質量%とした被覆形成剤を塗布し、 1 1 6 °Cで 6 0秒 間加熱処理を行った。 続いて 2 3 °Cで純水を用いて被覆形成剤を除去した。 この ときトレンチパターンのパターン幅は約 1 6 0 n mで、 トレンチパターンの微細 化という目的は達成し得たものの、 ディフエクトの発生状況を同様に観察したと ころ、 塗布性の悪化に起因する、 塗膜の面内均一性の低下に伴うレジストパター ン間のフローレ一トバラツキが発生し、 さらにはマイクロフォームの発生に伴う ディフエクトが発生していた。 産業上の利用可能性
以上のように、 本発明のパターン微細化用被覆形成剤および微細パターンの形 成方法は、 パターン寸法の制御性に優れるとともに、 パターン微細化用被覆形成 剤 (塗 J3莫) の除去性に優れ、 かつ、 良好なプロフィルおよび半導体デバイスにお ける要求特性を備えた微細パターンの形成に有用である。