JPWO2015045754A1 - 高純度In及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下記特許文献1には、1250℃で蒸留することが、特許文献2には、ベーキング後にゾーンメルトすることが、特許文献3には、塩素ガスと反応させて蒸留し、塩化Inを蒸留水と不均化反応させることが、特殊な例として特許文献4に蒸留したInを連続して鋳造する方法が記載されている。
尚、本発明で使用する「ppm」の単位表記は、以下、「wtppm」を意味する。
Cdを10ppm未満、かつTlを1ppm未満含有する粗Inを原料として、これをアノードとして塩酸浴でIn濃度:100〜300g/L、pH:0.5〜2、電流密度:0.5〜2A/dm2で電解精製を行っている。
隔膜によって陽極室と陰極室を分けて電解精製を行い、電解後は陽極室の電解液を抜き取って濾過後、陰イオン交換樹脂と接触させることにより浄液を行っている。更に電流密度 0.3〜2.5A/dm2での電解により電解液中のInより貴な不純物を除去し、これを陰極室に供給して電解精製を行っている。
フィルターについては、濾過ができれば良いという程度で、実施例ではカートリッジフィルターを使用している。
しかし、この特許文献5は、高価な陰イオン交換樹脂を使用しなければならないという問題及び電解液の浄液のため、不純物を除去する電解を行う必要があるという問題がある。
濾過については必要に応じて行うこともできるという程度で、実施例ではカートリッジフィルターを使用している。
しかし、この特許文献6は、特許文献5と同様に、高価な陰イオン交換樹脂を使用しなければならないという問題及び電解液の浄液のため不純物を除去する電解を行う必要があるという問題がある。
2段階の電解精製を行い、2段目の電解精製で得られた電析Inを鋳造する際に不活性ガスを吹き込むことで残留揮発分を除去することにより精製を行っている。この特許文献7の達成純度は「6N水準」であるとしている。
尚、本発明において、ガス成分元素であるC(炭素)、N(窒素)、O(酸素)を除き、各元素濃度の分析値は、GDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法によって分析した値である。
(1)Pb:0.05ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.02ppm以下であり、7N(99.99999%)以上の純度を有する高純度In。
(2)Fe:0.001ppm以下、Sn:0.01ppm未満、Si:0.005ppm未満である上記1)に記載の高純度In。
(3)電解により高純度Inを製造する方法であって、5N(99.999%)のInを原料とし、この原料を用いて電解精製する際に、電解液にSrCO3を添加して電解液中のPbの含有量を低減させ、さらに、電着Inを陰極板から剥離し、大気中もしくは酸素含有ガス雰囲気下で鋳造し、7N(99.99999%)以上の純度とすることを特徴とする高純度Inの製造方法。
(4)アノード液(アノライト)とカソード液(カソライト)を5cm3/cm2sec以下の通気性をもつ隔膜で仕切り、カソードに接する電解液を予め0.5μm以下の細孔を持つフィルターで濾過し、精製することを特徴とする上記3)に記載の高純度Inの製造方法。
(5)電解精製による高純度Inの製造方法であって、アノード液(アノライト)とカソード液(カソライト)を、5cm3/cm2sec以下の通気性を持つ隔膜で仕切り、さらに、カソライトの一部を電解槽とは異なるカソライトタンクに取り出し、カソライトタンク中のカソライトにSrCO3を添加することにより、カソライト中のPbを除去し、該Pbを除去したカソライトを細孔0.5μm以下のフィルターに通液して濾過した後、電解槽中のカソードボックスに再び戻すように循環供給しながら電解精製することを特徴とする高純度Inの製造方法。
(6)電解液を硫酸とし、pH:0.5〜1.5で電解することを特徴とする上記3)〜5)のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
(7)電流密度:1〜5A/dm2で電解することを特徴とする上記3)〜6)のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
(8)電解液中のIn濃度:65〜120g/L、Cl濃度:6〜10g/Lとして電解することを特徴とする上記3)〜7)のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
(9)SrCO3を0.1〜2.0g/Lを添加して精製することを特徴とする上記3)〜8)のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
(10)上記3)〜9)のいずれか一項に記載の高純度Inの電解精製方法で製造された高純度Inを陰極板から剥離し、大気中もしくは酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する際、170〜190℃で鋳造することを特徴とする高純度Inの製造方法。
(11)上記3)〜10)のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法により、Pb:0.05ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.02ppm以下とし、7N(99.99999%)以上の純度とすることを特徴とする高純度Inの製造方法。
これまで、InP化合物半導体の原料であるInは、例えば4NのInをベーキング(1000℃)及び蒸留(1050℃)で6Nとする乾式法により精製されていた。しかし、乾式法は設備コスト及び製造コストがかかり、7N以上の高純度Inを増産するには、ベーキング工程と蒸留工程を複数回繰り返す必要もあり、多額の設備投資が必要である。そこで、湿式精製でInPに使用可能な高純度Inが得られるかを検討した。
また、従来技術では、6N以上という記載はあっても、実際は6NレベルのInしか達成しておらず、さらに高純度化が必要であった。本願発明は、目標純度は7N以上とし、硫酸浴での電解精製による試験を行った。
ここで、該濾布の細孔の規格は通気性というJIS L 1096で規格化されており、本発明では、124.5Paにおいて、5cm3/cm2sec以下の通気性を有する濾布を使用して、アノライト中の浮遊物等の不純物がカソライト中に混入されることを防いでいる。
この処理を行うことによって、カソライト中に含有される鉛(Pb)をPbCO2−O−CO2Srとしてカソライトタンクの底部に沈殿させ、Pbを除去したカソライトを電槽内のカソードボックス内に戻すことで、Pb除去されたカソライトが循環して使用される。
ここで、カソライトタンク内でPb除去されたカソライトは、0.5μm以下の細孔を持つフィルターで濾過され、精製されることで、カソードボックス内へのPbの混入を防いでいる。フィルターの細孔は、0.2μmであることが、より好ましい。
原料となるInは、5N(99.999%)のInをアノードとして使用する。5NレベルのInは蒸留法を単独で用いることにより容易に製造でき、市販品の材料を使用できる。
また、本願発明では、電解精製工程において硫酸溶液を使用しており、前記蒸留法によって製造された5NのIn原料中のS(硫黄)は、0.005ppmであるが、電解精製後に0.05ppmに増加し、7NのInを製造するためには、電解精製後のS分の低減が必要となる。
さらに、Znについても、前記蒸留法で製造された5NのIn原料中にはZnが0.1ppm含有されており、電解精製後0.05ppmに低減できているが、7NのInを製造するためには、さらに低減しなければならない。
この濾布は、上記の通り、通気性5cm3/cm2sec以下、さらに好ましくは1cm3/cm2sec以下のものを使用した。電解槽内にあり、カソードボックスの外側に、5NのInを配置する。電解槽の外側には、カソライトタンクを配置し、カソードボックス内のカソライトの一部をカソライトタンクに導入し、この中にSrCO3を添加する。
さらに、電流密度:1〜5A/dm2で電解する。これは、1A/dm2未満では生産性が悪く、5A/dm2を超えると電解電圧が高くなるためである。またデンドライトが発生しやすく、電解精製においてはInよりも貴な不純物がカソードに析出しやすいためである。
カソード反応は、次の通りである。
In3++3e → In
濾布膜
(アノード室)
In3+ → In3+(カソード室)
アノード反応は、次の通りである。
In → In3++3e
(微量)Pb → Pb2++2e
(カソライト室(タンク))
Pb2++SrCO2−O−CO2Sr→PbCO2−O−CO2Sr+Sr2+
さらには、上記において、Fe:0.001ppm以下、Sn:0.01ppm未満、Si:0.005ppm未満である高純度Inを得ることができる。
(実施例1)
実施例1として硫酸浴を用いた電解精製(図1に示す装置を使用)について説明する。カソードボックスで仕切られたアノライトとカソライトの間には、通気性5cm3/cm2sec以下の濾布が配置され、アノライト中に存在する浮遊物等の不純物がカソライト側へ混入することを防止した。なお、電解精製の条件については、カソライト中In濃度:80g/L、pH:1.2、SrCO3:0.5g/L、電流密度:3A/dm2、カソライト中Cl濃度を8g/Lした。
このSrCO3を使用して、カソライトタンク中のカソライトへSrCO3を0.5g/Lの濃度となるように添加し、Pbを除去したカソライトを、細孔0.5μm以下のフィルターを通して、再びカソードボックスへ戻すように循環供給しながら、電解精製を実施した。電解精製後の電析したInをカソードのTi電極板から剥離し、不純物を分析した結果を表1に示す。
次に、比較例1として、上記実施例1において、カソライトタンク内の電解液中へSrCO3を添加する工程を無くしたこと以外は、全て実施例1と同様の条件でInの電解精製を行い、さらに170℃の溶湯温度で鋳造した。
その結果を表2に示す。比較例2の条件で精製されたIn中には、Pbが0.5ppm、S:0.03ppm、Zn:0.02ppm含有しており、7Nの純度を達成することはできなかった。その他の不純物については、実施例1と同等の含有量に低減できていた。(Na:0.001ppm、Si:0.005ppm未満(検出限界未満)、Ca:0.004ppm、Fe:0.001ppm、Ni:0.001ppm、Sn:0.01ppm未満(検出限界未満))。
実施例2として、カソライトタンク中へのSrCO3の添加濃度を0.1g/Lとし、カソライト中In濃度:65g/L、pH:0.5、電流密度:1A/dm2、カソライト中Cl濃度を6g/Lした。実施例1との大きな相違点は、カソライト中のSrCO3の添加濃度を実施例1よりも低濃度にしたことである。
上記の条件で電解精製を行い、その後、電析したInを170℃で鋳造した後のIn中の不純物濃度の結果を表3に示す。
実施例3として、カソライトタンク中へのSrCO3の添加濃度を2.0g/Lとし、カソライト中In濃度:120g/L、pH:1.5、電流密度:5A/dm2、カソライト中Cl濃度を10g/Lした。実施例1、2との大きな相違点は、カソライト中のSrCO3の添加濃度を実施例1よりも高い濃度にしたことである。
上記の条件で電解精製を行い、その後、電析したInを190℃で鋳造した後のIn中の不純物濃度の結果を表4に示す。その結果、Pb:0.01ppmであり、また、Zn:0.005ppm、S:0.01ppmとなり、さらに、その他の不純物も、Na:0.001ppm、Si:0.005ppm未満(検出限界未満)、Ca:0.005ppm、Fe0.001ppm未満(検出限界未満)、Ni:0.002ppm、Sn:0.01ppm未満(検出限界未満)となり、また、上記以外の不純物についてもGDMSで分析したが、実施例1、2と同様に検出下限値未満であり、定量評価できなかった。以上により、7Nの純度を有するInが製造できた。
さらに、乾式精製法に比べて、効果な設備費を必要とせず、またランニングコストも低減できるので、コスト低減を図ることができるという効果を有する。
Claims (11)
- Pb:0.05ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.02ppm以下であり、7N(99.99999%)以上の純度を有する高純度In。
- Fe:0.001ppm以下、Sn:0.01ppm未満、Si:0.005ppm未満である請求項1に記載の高純度In。
- 電解により高純度Inを製造する方法であって、5N(99.999%)のInを原料とし、この原料を用いて電解精製する際に、電解液にSrCO3を添加して電解液中のPbの含有量を低減させ、さらに、電着Inを陰極板から剥離し、大気中もしくは酸素含有ガス雰囲気下で鋳造し、7N(99.99999%)以上の純度とすることを特徴とする高純度Inの製造方法。
- アノード液(アノライト)とカソード液(カソライト)を5cm3/cm2sec以下の通気性をもつ隔膜で仕切り、カソードに接する電解液を予め0.5μm以下の細孔を持つフィルターで濾過し、精製することを特徴とする請求項3に記載の高純度Inの製造方法。
- 電解精製による高純度Inの製造方法であって、アノード液(アノライト)とカソード液(カソライト)を、5cm3/cm2sec以下の通気性を持つ隔膜で仕切り、さらに、カソライトの一部を電解槽とは異なるカソライトタンクに取り出し、カソライトタンク中のカソライトにSrCO3を添加することにより、カソライト中のPbを除去し、該Pbを除去したカソライトを細孔0.5μm以下のフィルターに通液して濾過した後、電解槽中のカソードボックスに再び戻すように循環供給しながら電解精製することを特徴とする高純度Inの製造方法。
- 電解液を硫酸とし、pH:0.5〜1.5で電解することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
- 電流密度:1〜5A/dm2で電解することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
- 電解液中のIn濃度:65〜120g/L、Cl濃度:6〜10g/Lとして電解することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
- SrCO3を0.1〜2.0g/Lを添加して精製することを特徴とする上記請求項3〜8のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法。
- 上記請求項3〜9のいずれか一項に記載の高純度Inの電解精製方法で製造された高純度Inを陰極板から剥離し、大気中もしくは酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する際、170〜190℃で鋳造することを特徴とする高純度Inの製造方法。
- 上記請求項3〜10のいずれか一項に記載の高純度Inの製造方法により、Pb:0.05ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.02ppm以下とし、7N(99.99999%)以上の純度とすることを特徴とする高純度Inの製造方法。
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