JP2019178354A - 脱銅電解処理方法、脱銅電解処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
Cu2++2e−→Cu0 ・・・(1)
カソード側:Cu++e−→Cu0 ・・・(2)
アノード側:2Cl−→Cl2+2e− ・・・(3)
本発明に係る脱銅電解処理方法は、銅を含有する塩化ニッケル溶液(含銅塩化ニッケル溶液)から銅を電解採取して除去する方法である。より具体的には、この方法は、ニッケル硫化物を塩素浸出して得られる含銅塩化ニッケル溶液から電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造プロセスの脱銅電解工程における脱銅電解処理方法である。
(脱銅電解処理の工程)
図1は、含銅塩化ニッケル溶液から電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造プロセスの流れを示す工程図である。電気ニッケルの製造プロセスにおいては、ニッケル硫化物やニッケルマット等の原料に含有される銅やニッケルが塩素浸出処理(塩素浸出工程S1)にて浸出された後、含銅塩化ニッケル溶液となり、この含銅塩化ニッケル溶液が各処理工程を経て、電解採取(電解工程S5)して電気ニッケルを製造するための電解液となる。そして、この製造プロセスの過程においては、含銅塩化ニッケルに含まれる銅が硫化物として固定され(セメンテーション工程S2,S3)、含銅塩化ニッケル溶液中のニッケルと銅を分離する処理が行われる。
図2は、電気ニッケルの製造プロセス系内における脱銅電解処理の流れを示す概略工程図である。図2に示すように、本実施の形態では、電気ニッケルの製造プロセスにおいて、含銅塩化ニッケル溶液中の銅を硫化物として固定化するセメンテーション処理を2段階で行うようにし(図1の工程図参照)、1段階目のセメンテーション処理(第1のセメンテーション工程S2)での反応を経て得られた反応終液の一部を、銅を電解採取して除去する脱銅電解処理の始液として用いる。このような方法によれば、設備コスト等をかけることなく、脱銅電解処理の能力を向上させ、脱銅量を有効に増やすことができる。
4NiS+2Cu2+→Ni2++Ni3S4+2Cu+ ・・・(4)
NiS+2Cu2+→Ni2++2Cu++S0 ・・・(5)
電流効率(%)=実電着量(kg/日)÷理論電着量(kg/日)×100
脱銅電解処理に際しては、第1のセメンテーション工程S2を経て得られた反応終液に対して固液分離処理を施し、溶液中に含まれるニッケル硫化物等の固形分を除去し、固形分が除去された溶液を始液として用いることが好ましい。
(脱銅電解処理方法)
脱銅電解工程における脱銅電解処理では、上述したように、2段階のセメンテーション処理を行うセメンテーション工程における第1のセメンテーション処理を経て得られる反応終液の一部を、電解処理始液として用いて脱銅電解処理を行う。この脱銅電解処理は、正極と負極とからなる電極対を備える電解槽が給液に対して複数並列して設けられた電解処理装置にて行われる。したがって、第1のセメンテーション処理を経て得られる反応終液の一部は、電解処理装置を構成する各電解槽のそれぞれに並列に給液され、各電解槽にて脱銅電解処理が行われる。
Cu0+Cu2+→2Cu+ ・・・(6)
上述のような方法により脱銅電解処理を行うことで、高い電流効率を維持しながら溶液中の銅を銅粉として回収することができるとともに、負極での銅粒の異常成長を抑制して、ショート等の不具合の発生を防ぐことができる。
次に、上述した脱銅電解処理を行う脱銅電解処理装置について説明する。
図4は、脱銅電解処理装置を含む処理設備の構成を模式的に示す図である。なお、当該処理設備(全体)を符号1として示す。処理設備1においては、脱銅電解処理が行われる脱銅電解処理装置2と、脱銅電解処理装置2に給液する脱銅電解処理始液を収容する始液収容槽群3と、電解処理装置2を構成する電解槽21に必要に応じて添加する塩素浸出液(含銅塩化ニッケル溶液)を収容する浸出液収容槽4と、を備えている。
脱銅電解処理装置2は、脱銅電解処理を行うための電解槽21により構成されている。具体的に、脱銅電解処理装置2は、複数の電解槽21(21a〜21d)が給液に対して並列して設けられている。各電解槽21には、図示しないが、その内部に正極と負極とからなる電極対が1つ又は複数設けられている。なお、並列して複数設けられている電解槽21の槽数は、特に限定されず、図4では一例として4槽の電解槽が設けられている態様を示している。
始液収容槽群3は、脱銅電解処理装置2における電解槽21にて電解処理を行う対象、すなわち脱銅電解処理始液を収容する収容槽群である。例えば、図4に示すように、始液収容槽群3は、中継槽31と、受入槽32と、から構成される。
浸出液収容槽4は、塩素浸出工程S1における塩素浸出処理により得られた塩素浸出液(含銅塩化ニッケル溶液)を収容する槽である。
上述した構成を有する処理設備1においては、例えば以下のような流れで脱銅電解処理が行われる。
実施例1では、図4に構成を模式的に示した処理設備1を用いて、電気ニッケルの製造プロセスにおける脱銅電解処理を行った。
比較例1では、電解槽21における負極表面の銅粒の析出成長の度合いを確認し、急速な成長が確認されたとき、脱銅電解処理装置2に給液する脱銅電解処理始液を、反応終液(第1のセメンテーション工程S2を経て得られる反応終液)から、塩素浸出処理から得られる塩素浸出液に切り替えるようにした。なお、電解条件は、実施例1と同様とした。
実施例1、比較例1に示した脱銅電解処理の操業をそれぞれ1カ月に亘って実行し、1カ月間における電解処理の電流効率を算出した。なお、電流効率は、「電流効率(%)=銅の実電着量(kg/月)÷理論電着量(kg/月)×100」で算出した。
2 脱銅電解処理装置
3 始液収容槽群
4 浸出液収容槽
11 給液配管
12 添加配管
21,21a,21b,21c,21d 電解槽
31 中継槽
32 受入槽
Claims (3)
- ニッケル硫化物に対して塩素浸出処理を施して得られる含銅塩化ニッケル溶液から電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造プロセスにおける脱銅電解処理の方法であって、
前記電気ニッケルの製造プロセスは、
前記含銅塩化ニッケル溶液にニッケル硫化物を添加し、少なくとも、該含銅塩化ニッケル溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程と、
前記第1のセメンテーション工程を経て得られたスラリーに、ニッケルマット及び前記塩素浸出処理により得られた塩素浸出残渣を添加し、該スラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程と、を有するセメンテーション工程を含み、
前記脱銅電解処理では、正極と負極とからなる電極対を備える電解槽が給液に対して複数並列して設けられた電解処理装置を使用し、前記セメンテーション工程における前記第1のセメンテーション工程を経て得られた反応終液の一部を、電解処理始液として各電解槽に給液して電解処理を施すとともに、該各電解槽での電解処理による負極表面の銅粒の析出成長に応じて、電解槽ごとに、前記塩素浸出処理により得られる含銅塩化ニッケル溶液の一部を添加する
脱銅電解処理方法。 - ニッケル硫化物に対して塩素浸出処理を施して得られる含銅塩化ニッケル溶液から電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造プロセスにおける脱銅電解処理を実行する脱銅電解処理装置であって、
正極と負極とからなる電極対を備える電解槽が給液に対して複数並列して設けられ、
各電解槽には、電解処理始液を給液する給液配管と、前記塩素浸出処理により得られる含銅塩化ニッケル溶液の一部を添加する添加配管と、が接続されており、
前記電解槽ごとに、該電解槽での電解処理による負極表面の銅粒の析出成長に応じて、前記添加配管を介して前記含銅塩化ニッケル溶液が添加される
脱銅電解処理装置。 - 前記電気ニッケルの製造プロセスでは、
前記含銅塩化ニッケル溶液にニッケル硫化物を添加し、少なくとも、該含銅塩化ニッケル溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション処理と、
前記第1のセメンテーション処理を経て得られたスラリーに、ニッケルマット及び前記塩素浸出処理により得られた塩素浸出残渣を添加し、該スラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション処理と、からなる2段階のセメンテーション処理が実行され、
前記給液配管から給液される電解処理始液は、前記セメンテーション処理における前記第1のセメンテーション処理を経て得られる反応終液の一部である
請求項2に記載の脱銅電解処理装置。
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