JP4538663B2 - 高純度金属の高度精製方法およびその精製装置 - Google Patents

高純度金属の高度精製方法およびその精製装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は純度99.99%(4N)程度の高純度金属インジウムを原料として純度99.9999%(6N)程度またはこれ以上のさらに高純度の金属インジウムを得ることができるインジウムの、さらには同様に、アンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマス、銀(以下これらの金属を同種金属という)の高度精製方法とこれに使用する精製装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にインジウムは亜鉛精鉱中に微量含有されて産出するので亜鉛製錬において煙灰としてあるいは亜鉛電解などの中間工程で濃縮されて回収される。さらに近年、化合物半導体廃棄物から精製インジウムとして回収されるようにもなった。これらの原料インジウムの精製方法には電解精製の他、真空下で蒸留する減圧精製あるいはゾーン精製法等が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記電解精製あるいは減圧精製によって得られる金属インジウムの純度は99.99%程度であり、不純物として含有されるSi、Fe、Ni、Cu、Ga、Pb等はいずれも0.5ppm以上含まれており、一方、化合物半導体廃棄物からの精製には大掛かりな装置と時間をかけてインジウムを分離、回収しなければならないという問題があった。
【0004】
更にゾーン精製法の場合においても、精製後の切断加工の必要性と汚染の危険があることから精製時の処理量の制約や精製収率の低下が避けられない上、また得られた精製インジウムをインゴットにする場合には鋳造時に不純物混入による汚染の問題があった。
これらの問題を解決すべく本発明者等は先に99.9999%以上の高純度インジウムを得られるすぐれた減圧精製技術を開発し特願平8―294430号として出願したが、目的金属と不純物元素との蒸気圧差が少ない程精製が難しいため、より高純度、高生産性で、前記の同種金属にも適用できる精製技術の開発が期待されていた。
【0005】
本発明の目的は、多種の不純物元素が含有されるインジウムであっても安定してかつ高い精製速度で99.9999%またはこれ以上の純度の高純度インジウムを、さらにはインジウムのみならず前記の同種金属の高純度品を得ることを可能とする高度精製方法およびその精製装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、第1加熱精製工程で原料インジウム中のインジウムを蒸発させ次いで凝縮させて回収して蒸気圧の低い不純物元素と分離し、次にこの回収されたインジウムを第2加熱精製工程で加熱して蒸気圧の高い不純物元素を蒸発・除去することにより、インジウムよりも蒸気圧の低い不純物元素も、蒸気圧の高い不純物元素もいずれも安定して効率的に分離し、純度99.9999%程度またはそれ以上の高純度インジウムが得られることを見出した。また、精製工程においてインジウムが接触する箇所、特に内筒等を黒鉛製とすることと、第2加熱精製工程における蒸留経路に拡散板を配設することにより、再汚染を防止し、かつ、精製速度を大幅に向上できることを見出し、さらに、この技術がインジウムだけではなく、蒸気圧差を利用して精製できる金属、特に、前記の同種金属にも適用できることを見出したものである。
【0007】
すなわち本発明は、第1に、原料金属を真空雰囲気中で蒸留精製して高純度の目的金属を得る高度精製方法であって、該真空雰囲気を維持する内筒の内部上方に配置された原料るつぼ内の該原料金属を加熱して発生する該目的金属の蒸気を該内筒の内壁面に接触させ該目的金属を凝縮させて回収し、該目的金属よりも蒸気圧の低い不純物元素を該原料るつぼ内に残留させて分離する第1加熱精製工程と、回収された該目的金属を該内筒の内部下方に配置された筒体内下部の貯液部に受入れて加熱し発生蒸気を該筒体内上部に設けた拡散板を通過させ吸引誘導して該筒体の下方に配置された冷却トラップにおいて該目的金属よりも蒸気圧の高い不純物元素の蒸気を固化させて分離するとともに該目的金属の蒸気を該拡散板に接触させて凝縮させ該貯液部に戻す第2加熱精製工程と、からなることを特徴とする高純度金属の高度精製方法;第2に、前記拡散板が炭素材質である、第1記載の高純度金属の高度精製方法;第3に、前記貯液部が高度精製後の高純度の前記目的金属を鋳造する回収鋳型である、第1または2に記載の高純度金属の高度精製方法;第4に、前記目的金属がインジウムであり、第1加熱精製工程における前記原料金属の加熱温度が1100〜1300℃であり、第2加熱精製工程における前記回収された目的金属の加熱温度が900〜1200℃である、第1〜3のいずれかに記載の高純度金属の高度精製方法;第5に、前記目的金属がアンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀からなる群より選ばれるいずれか一種の金属である、第1〜3のいずれかに記載の高純度金属の高度精製方法;第6に、真空雰囲気が形成される内筒の内部において、上方に第1加熱室、下方に第2加熱室が設けられ、該第1加熱室内には原料金属が装入され該原料金属中の目的金属を蒸発させて回収するとともに該目的金属よりも蒸気圧の低い不純物元素を残留分離させる上面開放の原料るつぼが、該第2加熱室内には回収された該目的金属の受入れ口と加熱して該目的金属よりも蒸気圧の高い不純物元素を蒸発分離させる排出口とを上面に有する筒体がそれぞれ配設され、さらに該目的金属が加熱される貯液部が該筒体内の下部に形成され、蒸発した該目的金属を凝縮させる拡散板が該筒体内の上部を横断して取付けられてなることを特徴とする高純度金属の高度精製装置;第7に、前記内筒が、これと前記真空雰囲気が連通し略同一中心線を有するより大径の外筒で包囲され、該外筒の内壁面と該内筒の外壁面との間の空間において上方に前記原料るつぼを加熱する上部ヒーター、下方に前記貯液部を加熱する下部ヒーターが配設された、第6記載の高純度金属の高度精製装置;第8に、前記拡散板は、複数の貫通孔が穿設された板体が相互に略平行に複数枚配設されたものである、第6または7記載の高純度金属の高度精製装置;第9に、前記内筒の天井部分の少なくとも内面がドーム状または円錐状に構成された、第6〜8のいずれかに記載の高純度金属の高度精製装置;第10に、前記目的金属がインジウム、アンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀からなる群より選ばれるいずれか一種の金属である、第6〜9のいずれかに記載の高純度金属の高度精製装置、である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の高度精製装置は、一例として図1の概略断面図に示す構造とすることができる。すなわち、ステンレス製フレーム・水冷部分・アルミナシート等の断熱材からなり内面がカーボン断熱材である外筒1の内面空間は真空ポンプ2により真空雰囲気下に維持され、また外筒1の内部にはほぼ同一中心線を有する小径の黒鉛製内筒3が内挿され、両筒の内部空間はそれらの下部において連通して黒鉛製内筒3の内面空間もまた同様に真空雰囲気となる。内筒3の天井部分は少なくともその内面の形状をドーム状または円錐状に構成することが好ましい。これにより原料るつぼ8からいったん蒸発して内筒3の天井部分の内面に接触して凝縮し付着した目的金属の液滴は表面張力により引っ張られて天井部分の内面から速やかに側壁面を伝わって流下するので、内筒3の天井部分の内面から真下の原料るつぼ8内に落下して戻ってしまうことを防止することができるからである。内筒3内には上方に第1加熱室4、その下方にはこれと連通して第2加熱室5があり、外筒1内壁面と内筒3外壁面との間の空間には第1加熱室4を加熱する上部カーボンヒーター6と、第2加熱室5を加熱する下部カーボンヒーター7が設置されている。また、第1加熱室4内には黒鉛製原料るつぼ8が配置され、第2加熱室5内には下部が貯液部9であって上面中央部と上面周辺部が開口し内部に向けて漏斗状に絞られた受入れ口10が設けられた筒体11が設置されている。
【0009】
さらに、筒体11内の上部において内壁と漏斗状の受入れ口10との間を横断して拡散板12が設置される。ここで拡散板12は貫通孔を有する板体のほか、貫通空隙の大きい充填層としてもよい。要するに筒体11内で加熱されて発生し対流する蒸気のうち、インジウムよりも蒸気圧の高い不純物元素の蒸気が拡散板12中を通過して第2加熱室外へ排出され、一方インジウム蒸気は拡散板12で凝縮して貯液部9へ再滴下することによってインジウムより蒸気圧の高い不純物元素が除去される。拡散板12は、金属と反応し難い材質であるのが好ましく、全体が黒鉛製であるのがさらに好ましい。拡散板12の必要段数(枚数)、貫通孔径および孔数、設置間隔等は、精製処理速度、不純物濃度、加熱温度等に応じて増減して設定する。該貫通孔は、小さすぎてもまた数が少なすぎても金属蒸気から凝固した金属により閉口されるため貫通孔径は2mm以上が望ましい。また内筒3の下方において真空ポンプの吸引口近傍には、インジウムより蒸気圧の高い不純物元素の蒸気、すなわち、第1加熱室で発生した蒸気のうち凝縮しなかった蒸気、および第2加熱室から排出された蒸気、を含む真空吸気を冷却しその中の残留蒸気を分離捕集する冷却トラップ13が設けられている。
【0010】
本発明において真空雰囲気とは高度な真空状態をいうものであり、好ましくは圧力1×10―3Torr(1.3×10―1Pa)以下の真空度、さらに好ましくは圧力1×10―3〜1×10―6Torr(1.3×10―1〜1.3×10―4Pa)の真空度である。原料インジウム(純度99.99%程度)を第1加熱室4内の原料るつぼ8に適量入れ、真空雰囲気中で、上部カーボンヒーター6により1100〜1300℃、好ましくは1200〜1280℃の範囲に加熱すると、原料るつぼ8内の原料インジウムが蒸発し、内筒3の内面等で凝縮して第1加熱室4の下部に連通する第2加熱室5内の筒体11下部の貯液部9へ、漏斗状の受入れ口10を通って滴下する。第1加熱室4において、圧力が1×10―3Torr(1.3×10―1Pa)より大きい場合、また、加熱温度が1100℃未満の場合はインジウムの蒸発速度が低下して精製速度が低下してしまう。また加熱温度が1300℃を超えるとインジウムよりも蒸気圧の低い不純物元素の蒸発量が増加し貯液部9に蒸気圧の低い不純物元素がインジウムとともに到達し精製困難となる。
【0011】
原料インジウムに含有される不純物元素のうち、インジウムよりも蒸気圧の低いアルミニウム、珪素、鉄、ニッケル、銅、ガリウムは原料るつぼ8内に残留する。逆に、インジウムよりも蒸気圧の高いリン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、亜鉛、砒素、カドミウム、鉛は原料るつぼから蒸発し、インジウムとともに第1加熱室4内で凝縮し、受入れ口10を通って貯液部9に至る。従来技術では実質上これ以上の精製が困難であったが、本発明では、凝縮して貯液部9に回収されたインジウムに関し、第2加熱室5において、下部カーボンヒーター7により貯液部9を900〜1200℃、好ましくは1050〜1150℃の範囲に維持することにより、貯液部9内で発生して対流する蒸気のうちインジウムより蒸気圧の高い不純物元素は拡散板12を通過して系外に排出され、一方、インジウム蒸気は拡散板12に接触して凝縮し貯液部9へ再滴下する。ここで、第2加熱室の加熱温度を900℃未満にすると除去対象不純物の蒸発速度が低下し、1200℃を超えるとインジウムの蒸発量が急増してしまう。なお、比較例1にみられるように、筒体11内において拡散板12がない場合でもインジウムよりも蒸気圧の高い不純物元素が貯液部9内の回収インジウムから蒸発してある程度は除去される。しかし、筒体11内の上部を横断して拡散板12を設置することによりインジウムの蒸発、対流、凝縮が行われて、貯液部9内の回収インジウムの表面層のみならず全体が循環されて回収インジウム全体から蒸気圧の高い不純物元素を蒸発させて精製率を向上させることが可能となり、何よりも、蒸気圧の高い不純物元素と同伴して蒸発するインジウムを拡散板12で再凝縮することができるので精製に伴う貯液部9からの回収インジウムの損失を最低限に抑制することができ、産業上利用可能となった。
【0012】
本発明において、貯液部9の内面形状を、第1加熱精製工程および第2加熱精製工程を行った後(本発明では、高度精製後、という)の次工程で用いる形状の回収鋳型にすることによって、従来のように精製されたインジウムを再度溶解鋳造する必要はなく、鋳造による再汚染を防止して精製されたインジウムを得ることができる。さらに、従来は内筒3の耐火物としては石英等を使用することが多かったが、内筒3と拡散板12は黒鉛材質であるのが好ましく、さらに好ましくは、真空雰囲気中でインジウムの気体、液体が接触する表面を実質的に全部、特に、内筒3の少なくとも内面、上部ヒーター6、下部ヒーター7、拡散板12等を高純度黒鉛材質にすることによって、インジウムが汚染されることを防止できる。また、内筒3を従来の石英製から黒鉛製に変更することにより耐熱温度が上昇するので、加熱温度も上昇でき精製速度を向上させることができ、さらに熱伝導率も向上するので、実施例2にみられるように、同一加熱温度でも凝縮速度、ひいては精製速度を向上させることができる。内筒3を黒鉛製と石英製とで比較試験を行って精製速度を求めたところ、表2(実施例2、比較例2)に示すとおり、それぞれ、1150℃では黒鉛の場合2.95 g/分、石英の場合0.8 g/分であり、1250℃では黒鉛の場合10.4 g/分、石英の場合8.7 g/分であり、1300℃では黒鉛の場合15.2 g/分、石英の場合13.3 g/分であった。
【0013】
このようにして得られた高度精製インジウムをグロー放電質量分析機で分析したところ、各不純物の合計量が1ppm以下を示していた。本発明においては測定対象不純物元素をグロー放電質量分析装置により定量分析を行い、得られた不純物含量の総和を100%から差し引くことによってインジウムの純度を求める。
【0014】
なお、本発明に係る高度精製方法およびその精製装置は蒸気圧差により精製可能な金属、すなわち具体的には、インジウムをはじめ、アンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀等の金属を対象として精製することができる。
以下、インジウムに関して実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0015】
【実施例1】
図1にインジウム高度精製装置の概略断面図を示す。黒鉛製内筒3内において上方に黒鉛製原料るつぼ8、下方に黒鉛製筒体11を配置した。筒体11の上面開口部には第1加熱室4において凝縮して第2加熱室5に滴下してくるインジウムを筒体11内に受入れるための漏斗状の受入れ口10があり、筒体11内の下部は貯液部9であり、さらに貯液部9内の回収インジウムから蒸発した蒸気圧の高い不純物元素の蒸気の排出口として筒体11の上面周辺部は開口されている。また、筒体11内の上部において筒体11内壁と漏斗状受入れ口10外面との間に黒鉛製拡散板12を設置した。拡散板12は脱着可能とし、使用後に付着物の分離、取り替えが容易な構造である。さらに内筒3には略同一中心線を有する外筒1を重ねて外挿し、両筒間の空間内において上方に上部カーボンヒーター6、下方に下部カーボンヒーター7を配置した。
【0016】
先ず、表1に示す原料金属インジウム7kgを原料るつぼ8内に入れたのち、真空ポンプ2によって外筒1内および内筒3内から内部気体を吸引して圧力1×10−4Torr(1.3×10―2Pa)の真空度とするとともに上部カーボンヒーター6により原料金属インジウムを1250℃に加熱し、インジウムとこれより蒸気圧の大きな不純物元素とを蒸発させる第1加熱精製工程を行ったところ、いったん蒸発したインジウムは内筒3の内壁面に接触して凝縮し、滴下して漏斗状受入れ口10を通って筒体11下部の貯液部9内に回収された。
【0017】
一方、インジウムより蒸気圧の高い不純物元素の一部は凝縮することなく蒸気のまま真空ポンプ2によって吸引され、吸気口14を通って内筒3の下方の真空ポンプ2の吸引口近傍に設けられた冷却トラップ13において固化分離された。固化物の主成分はインジウムで、このほかに、リン、硫黄、塩素、鉛などいずれもインジウムよりも蒸気圧の高い不純物元素が含まれていた。また、原料るつぼ8内に残留した元素を分析したところその主成分はインジウムで、このほかに、珪素、鉄、ニッケル、銅、ガリウムなどインジウムよりも蒸気圧の低い不純物元素が濃縮されて含まれていた。
【0018】
筒体11内の回収インジウムにはインジウムよりも蒸気圧の高い不純物元素の一部も含有されるため、これを除去すべく、第2加熱精製工程を行った。すなわち、貯液部9内の回収インジウムを下部カーボンヒーター7で1100℃に加熱し、発生して対流する蒸気のうちインジウムよりも蒸気圧の高い不純物元素の蒸気を黒鉛製拡散板12を通過させて系外に排出し、一方、インジウム蒸気は黒鉛製拡散板12との接触により再凝縮させて回収し精製インジウムを得た。7時間精製して得られた精製インジウム6kgの分析結果を実施例1として、次の比較例1の分析結果とともに表1に示す。
【0019】
【表1】
インジウム中の不純物の分析結果(グロー放電質量分析装置による、単位:ppm)
Figure 0004538663
Figure 0004538663
【0020】
【比較例1】
実施例1との比較のため、拡散板12を取り除いたこと以外は実施例1と同様に行って得られた精製インジウムの分析結果を表1に比較例1として示す。拡散板12がなくても一応精製はできることがわかるが、貯液部9の回収インジウムのうち主に表層部が精製されるだけであり、貯液部9の回収インジウム全体を精製した実施例1に比較して不純物除去能力が劣り、特に鉛等蒸気圧がインジウムに近い不純物元素においてその差が認められた。さらに、比較例1においては筒体11下部の貯液部9の回収インジウムから蒸発したインジウム蒸気を再凝縮させて回収することができないため、インジウムの損失が大きく、産業上利用することが困難であった。
【0021】
【実施例2】
純度99.99%の原料金属インジウム20kgを原料るつぼ8内に入れて、真空度を1×10−4Torr(1.3×10―2Pa)で、第1加熱精製工程での加熱温度をそれぞれ1150℃、1250℃、1300℃とし、第2加熱精製工程での加熱温度を1100℃として15時間、実施例1と同様に3回の精製試験を行い、いずれの場合も純度99.9999%以上の精製インジウムを得た。その精製速度を実施例2として、つぎの比較例2とともに、表2に示す。
【0022】
【表2】
インジウム精製速度
Figure 0004538663
【0023】
【比較例2】
実施例2との比較のため、上記実施例2と同様の条件で、特願平8―294430号実施例1に示された方法による精製試験を行い、精製速度を表2に比較例2として示した。比較例2では、実施例1よりも不純物、とくにインジウムより蒸気圧の高い不純物の含有量が多いものの一応99.9999%以上のインジウムが得られた。しかし、比較例2では石英製内筒を使用しているため珪素による汚染があるほかに、熱伝導率が劣るためインジウム蒸気の凝縮速度が低く、これが律速となって精製速度が低いものとなった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、インジウムよりも蒸気圧の低い不純物元素も、蒸気圧の高い不純物元素も確実に分離することができるので安定して99.9999%程度、またはそれ以上の高純度インジウムを得ることができ、さらに精製に伴うインジウムの損失を防止することができる。
また、精製装置内においてインジウムが接触する表面の一部、好ましくは全部を実質的に高純度黒鉛製とすることにより、装置材質からの汚染を防止できる。また、貯液部9をインジウムの回収鋳型とすることによってインジウムの精製工程、鋳造工程における再汚染を防止できる。特に、従来内筒としては石英製のものが使用されていたが、これは軟化温度が低く、また高温ではインジウムと反応するため、内筒を黒鉛製にすることにより、汚染の問題が解消され、また耐熱性・熱伝導性が増加し、精製温度・精製速度を上昇させて生産性を格段に向上させることができる。
さらに、上記のインジウムのみならず、蒸気圧差によって精製できる本発明の精製対象金属となる、アンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀等の同種金属のいずれの金属においても上記と同様の効果を得ることができる。
そして、内筒内のみならず外筒内までも真空雰囲気の構成とすることにより、(1)断熱効果によりエネルギー費用を節減できる、(2)ヒーター周囲の熱容量および対流の問題が解消されて加熱室の温度コントロールが容易となる、(3)ヒーターの酸化腐食が大幅に減少される、等の多くの効果もあげられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインジウム精製装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 外筒
2 真空ポンプ
3 内筒
4 第1加熱室
5 第2加熱室
6 上部ヒーター
7 下部ヒーター
8 原料るつぼ
9 貯液部
10 受入れ口
11 筒体
12 拡散板
13 冷却トラップ
14 吸気口

Claims (10)

  1. 原料金属を真空雰囲気中で蒸留精製して高純度の目的金属を得る高度精製方法であって、該真空雰囲気を維持する内筒の内部上方に配置された原料るつぼ内の該原料金属を加熱して発生する該目的金属の蒸気を該内筒の内壁面に接触させ該目的金属を凝縮させて回収し、該目的金属よりも蒸気圧の低い不純物元素を該原料るつぼ内に残留させて分離する第1加熱精製工程と、回収された該目的金属を該内筒の内部下方に配置された筒体内下部の貯液部に受入れて加熱し発生蒸気を該筒体内上部に設けた拡散板を通過させ吸引誘導して該筒体の下方に配置された冷却トラップにおいて該目的金属よりも蒸気圧の高い不純物元素の蒸気を固化させて分離するとともに該目的金属の蒸気を該拡散板に接触させて凝縮させ該貯液部に戻す第2加熱精製工程と、からなることを特徴とする高純度金属の高度精製方法。
  2. 前記拡散板が炭素材質である、請求項1記載の高純度金属の高度精製方法。
  3. 前記貯液部が高度精製後の高純度の前記目的金属を鋳造する回収鋳型である、請求項1または2に記載の高純度金属の高度精製方法。
  4. 前記目的金属がインジウムであり、第1加熱精製工程における前記原料金属の加熱温度が1100〜1300℃であり、第2加熱精製工程における前記回収された目的金属の加熱温度が900〜1200℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の高純度金属の高度精製方法。
  5. 前記目的金属がアンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀からなる群より選ばれるいずれか一種の金属である、請求項1〜3のいずれかに記載の高純度金属の高度精製方法。
  6. 真空雰囲気が形成される内筒の内部において、上方に第1加熱室、下方に第2加熱室が設けられ、該第1加熱室内には原料金属が装入され該原料金属中の目的金属を蒸発させて回収するとともに該目的金属よりも蒸気圧の低い不純物元素を残留分離させる上面開放の原料るつぼが、該第2加熱室内には回収された該目的金属の受入れ口と加熱して該目的金属よりも蒸気圧の高い不純物元素を蒸発分離させる排出口とを上面に有する筒体がそれぞれ配設され、さらに該目的金属が加熱される貯液部が該筒体内の下部に形成され、蒸発した該目的金属を凝縮させる拡散板が該筒体内の上部を横断して取付けられてなることを特徴とする高純度金属の高度精製装置。
  7. 前記内筒が、これと前記真空雰囲気が連通し略同一中心線を有するより大径の外筒で包囲され、該外筒の内壁面と該内筒の外壁面との間の空間において上方に前記原料るつぼを加熱する上部ヒーター、下方に前記貯液部を加熱する下部ヒーターが配設された、請求項6記載の高純度金属の高度精製装置。
  8. 前記拡散板は、複数の貫通孔が穿設された板体が相互に略平行に複数枚配設されたものである、請求項6または7記載の高純度金属の高度精製装置。
  9. 前記内筒の天井部分の少なくとも内面がドーム状または円錐状に構成された、請求項6〜8のいずれかに記載の高純度金属の高度精製装置。
  10. 前記目的金属がインジウム、アンチモン、亜鉛、テルル、マグネシウム、カドミウム、ビスマスおよび銀からなる群より選ばれるいずれか一種の金属である、請求項6〜9のいずれかに記載の高純度金属の高度精製装置。
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