JP5751572B2 - α線量が少ないインジウム又はインジウムを含有する合金 - Google Patents
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Description
最近の半導体装置は、高密度化及び動作電圧やセルの容量が低下しているので、半導体チップ近傍の材料からのα線の影響により、ソフトエラーが発生する危険が多くなってきた。このようなことから、前記はんだ材料及びインジウムの高純度化の要求があり、またα線の少ない材料が求められている。
さらに問題となるのは、添加する材料としてアルカリ金属元素、遷移金属元素、重金属元素など、半導体に混入しては好ましくない元素が用いられていることである。したがって、半導体装置組立て用材料としてはレベルが低い材料と言わざるを得ない。
この技術には半導体グレードの金属インジウムを得るのに極めて有力な方法であると述べているが、放射性元素及び放射線α粒子のカウント数の制限については、特に言及されておらず、これらについては関心が低いレベルのものと言える。
具体的には、インジウム含有物を塩酸で溶解し、この溶解液にアルカリを加えてpHが0.5〜4の範囲内の所定の値になるように中和し、溶解液中の所定の金属イオンを水酸化物として析出させて除去し、次いで、これに硫化水素ガスを吹き込み、次工程の電解に有害な金属イオンを硫化物として析出除去した後、この溶解液を電解元液としてインジウムメタルを電解採取する。従来の方法よりも簡単な工程でかつ安価に99.999%以上の高純度のインジウムを回収でき、ITOターゲット屑等のリサイクル法として極めて有用であるというインジウムの製造方法が記載されている。
しかし、放射性元素及び放射線α粒子のカウント数の制限については、特に言及されておらず、これらについては関心が低いレベルのものと言える。
具体的には、金属インジウムの電解精製において、第一電解とこの第一電解によって得た電解インジウムを用いた第二電解を行い、第一電解と第二電解との電流密度の合計を100〜500A/m2の範囲に制御した電解を経て、錫およびカドミウムの含有量がおのおの0.05ppm以下、鉛およびアンチモンの含有量がおのおの0.01ppm以下の高純度金属インジウムとし、好ましくは、この電解インジウムを溶融し、この溶融インジウムにフラックスとして水酸化ナトリウム、または水酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムの混合物を添加して不活性ガスを吹き込むことによって塩素量を0.03ppm以下、イオウ量を0.01ppm以下に低減する。蒸留処理を必要とせずに、純度6 N 水準の高純度金属インジウムを得ることができると記載されている。
しかし、放射性元素及び放射線α粒子のカウント数の制限については、特に言及されておらず、これらについては関心が低いレベルのものと言える。
この特許文献7の中に鉛が少量混入するという記載はあるが、放射性元素及び放射線α粒子のカウント数の制限については、特に言及されておらず、これらについては関心が低いレベルのものと言える。
この特許文献8の実施例ではPbを<0.05とする記載があるが、その他の不純物が高く、また特許文献8の発明自体には、放射性元素及び放射線α粒子のカウント数に関する記述は一切なく、これらについては関心が低いレベルのものと言える。
2)U、Thの含有量が1ppb未満であることを特徴とする上記1)に記載のインジウム。
3)Pb含有量が0.001ppm以下であることを特徴とする上記1)又は2)のいずれか一項に記載のインジウム。
4)試料の第1回目に測定したα線量が0.002cph/cm2以下であって、そのα線量と、それから5ヶ月経過した後に測定したα線量との差が0.001cph/cm2以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載のインジウム。
5)上記1)〜4)のいずれか一項に記載のインジウムを1〜10%含有する合金であって、該合金が、上記1)〜4のいずれか一項に記載するインジウムと同等のα線量を示すことを特徴とするインジウム含有合金。
半導体用Pbフリーはんだ材料はSn−In−Cu、Sn−In、Sn−Ag−In、Sn−Ag−Cu−In、Sn−Ag−In−Bi等が開発されており、低αのインジウム材料が求められているが、インジウム中の微量の鉛を完全に除去することは非常に困難であり、通常半導体用のインジウム材料には10ppmレベル以上の鉛が含有されている。
しかし、ポロニウムの同位体210Poが殆どない状態において、210Pb→210Bi→210Po→206Pbの崩壊が起こる。そして、この崩壊チェーンが平衡状態になるには約27ヶ月(2年強)を要することが分かった(図2参照)。
従って、製品製造直後はα線量が低くても問題は解決せず、時間の経過とともに徐々にα線量が高くなり、ソフトエラーが起こる危険性が高まるという問題が生ずるのである。前記約27ヶ月(2年強)は、決して短い期間ではない。
この図3に示す直線は、鉛の同位体214Pb、210Pb、209Pb、208Pb、207Pb、206Pb、204Pbの割合によって上下にシフトし、鉛の同位体210Pbの割合が大きいほど上にシフトすることが分かった。
すなわち、鉛の同位体206Pbの存在比を少なくするだけでなく、図1に示すU崩壊チェーンに示す鉛の同位体210Pbも同時に少なくすることが重要である。
具体的には、溶解・鋳造から1週間後、3週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、6ヵ月後及び鉛の同位体206Pbへの壊変によるα線を発生させるポロニウムの同位体210Poがない状態において、210Pb→210Bi→210Po→206Pbの崩壊チェーンが平衡状態になる27ヶ月を過ぎた30ヵ月後の、それぞれのα線量が0.002cph/cm2以下であるインジウムを提供する。
すなわち、この期間(5ヶ月間)でポロニウムの同位体210Poから鉛の同位体206Pbへの改変によるα線量が少ないことは、同位体210Pb自体が十分に低減されていることを意味する。したがって、α線量の変化が0.001cph/cm2以下を達成できる。
さらに、電解法では、塩酸または塩酸と硫酸の混酸に溶解し、密閉容器内で、この溶解液に不活性ガス雰囲気下で金属インジウムを投入して液中の不純物イオンを置換析出させて除去し、次いで、この溶解液を電解液としてインジウムメタルを電解採取する。これによって得られる金属インジウムの純度は99.99%程度であり、不純物として含有されるSi、Fe、Cu、Ga、Pb等はいずれも0.5ppm以上含まれており、一方、化合物半導体廃棄物からの精製には大掛かりな装置と時間をかけて分離、回収しなければならないという問題があった。
次に、ここで得られたインジウムを含む残留物を加熱し融解した後、インジウムを蒸発させる一方で、インジウムより蒸気圧の低いアルミニウム、珪素、鉄、ニッケル、銅、ガリウム等の不純物を残留させ、高純度インジウムを得る。
鉛中の同位体210Pbの低減化は、α線量を測定することにより、確認することができる。鉛を低減させたことが、必ずしもα線量を低減させたことにはならない。重要なのは鉛中の同位体210Pbの低減化であり、α線量を測定することによってこれを確認できる。特に、一定時間経過後のα線量を測定することが好ましい。
このようにして得た本願発明の高純度インジウムは、半導体装置のα線の影響によるソフトエラーの発生を著しく減少できるという優れた効果を有する。
また、2回目の蒸留は1000°C以上、好ましくは1100°C〜1500°Cの温度範囲とするのが望ましい。1000°C未満であるとインジウムの回収率が低下し、高くし過ぎると不純物の濃度が高くなるので、上記の範囲とするのが望ましい。
また、半導体用配線材等に使用されるインジウムは高純度であることが必要であり、不純物を極力低減することが必要である。インジウム中の不純物を低減させた例として(以下、全てwtppm)、P<0.01、Al<0.01、Si<0.01、S<0.01、Cl<0.01、K<0.01、Ca<0.01、Fe<0.01、Ni<0.01、Cu<0.01、Zn<0.01、As<0.01、Cd<0.01、Ga<0.01、Th<0.001、U<0.001を挙げることができる。本願発明は、これらを達成することができる。
さらに、本願発明においては、上記に例示した以外の不純物についても、同様に<0.01、さらには<0.001に低減化が可能である。
純度4Nレベルの原料インジウムを1000°C以上に加熱し、一旦室温まで冷却した。次に、インジウムを含む残留物を1200°Cに加熱し、残留物を融解・蒸発させて、凝縮することで、高純度インジウムを鋳型に回収し、インジウムインゴットとした。
このインジウムインゴットを圧延し、約1.5mmの厚さとし、310mm×310mmに切り出した。この表面積は961cm2である。これをα線測定試料とした。この試料中のPb含有量0.05ppm、U含有量<1ppb、Th含有量<1ppbとなった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、測定試料のα線量の双方の差は0.0001cph/cm2であり、本願発明の条件を満たしていた。上記の通り、この測定したα線量は、α線測定装置から出るα線を除去した実質のα線量である。以下の実施例においても同様である。
純度4Nレベルの原料インジウムを1000°C以上に加熱し、一旦室温まで冷却した。次に、インジウムを含む残留物を1400°Cに加熱し、残留物を融解・蒸発させて、凝縮することで、高純度インジウムを鋳型に回収し、インジウムインゴットとした。
(0.5%Cu−3%In−残部Snからなる合金)
実施例1で作製したインジウムを準備した。また、市販の錫及び銅を電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Cuとした。添加元素であるインジウム及び銅を錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、0.5%Cu−3%In−残部SnからなるSn−Cu−In合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量0.05ppm、U含有量<1ppb、Th含有量<1ppbとなった。
(3.5%In−残部Snからなる合金)
実施例1で作製したインジウムを準備した。また、市販のSnを電解により高純度化し、5N−Snとした。添加元素であるインジウムを錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%In−残部SnからなるSn−In合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量0.05ppm、U含有量<1ppb、Th含有量<1ppbとなった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.0001cph/cm2であり、本願発明の条件を満たしていた。このように、鉛中の同位体210Pbの低減化は、α線量を測定することにより、確認することができる。
(3.5%Ag−0.5%Cu−7%In−残部Snからなる合金)
実施例1で作製したインジウムを準備した。また、市販の錫及び銅及び銀を電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Cu及び6N−Agとした。添加元素であるインジウムと銀と銅を錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%Ag−0.5%Cu−7%In−残部SnからなるSn−Ag−Cu−In合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量0.05ppm、U含有量<1ppb、Th含有量<1ppbとなった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.0001cph/cm2であり、本願発明の条件を満たしていた。このように、鉛中の同位体210Pbの低減化は、α線量を測定することにより、確認することができる。
(3.5%Ag−4%In−0.5%Bi−残部Snからなる合金)
実施例1で作製したインジウムを準備した。また、市販の錫及び銀及びビスマスを電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Ag及び5N−Biとした。添加元素であるインジウムと銀とビスマスを錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%Ag−4%In−0.5%Bi−残部SnからなるSn−Ag−In−Bi合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量0.05ppm、U含有量<1ppb、Th含有量<1ppbとなった。
(0.5%Cu−3%In−残部Snからなる合金)
市販のインジウム(4Nレベル)を準備した。また、市販の錫及び銅を電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Cuとした。添加元素であるインジウムと銅を錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、0.5%Cu−3%In−残部SnからなるSn−Cu−In合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量7.1ppm、U含有量10ppb、Th含有量10ppbとなった。合金中のPbの含有は、主としてIn中に含有される不純物由来のものであった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.005cph/cm2であり、これも本願発明の条件を満たしていなかった。
これは溶解・鋳造工程でPoが昇華したため一時的にα線量が低くなったものの、Pbを多く含有し、結果として210Pbも多く含有しているために再び崩壊チェーン(210Pb→210Bi→210Po→206Pb)が構築されてα線量が増加したためと考えられる。
(3.5%In−残部Snからなる合金)
市販のインジウム(4Nレベル)を準備した。また、市販のSnを電解により高純度化し、5N−Snとした。添加元素であるインジウムを錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%In−残部SnからなるSn−In合金インゴットを製造した。この試料中のPb含有量5.3ppm、U含有量7ppb、Th含有量6ppbとなった。合金中のPbの含有は、主としてIn中に含有される不純物由来のものであった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.002cph/cm2であり、これも本願発明の条件を満たしていなかった。
これは、溶解・鋳造工程でPoが昇華したため一時的にα線量が低くなったものの、Pbを多く含有し、結果として210Pbも多く含有しているために再び崩壊チェーン(210Pb→210Bi→210Po→206Pb)が構築されてα線量が増加したためと考えられる。
(3.5%Ag−0.5%Cu−7%In−残部Snからなる合金)
市販のインジウム(4Nレベル)を準備した。また、市販の錫及び銅及び銀を電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Cu及び6N−Agとした。添加元素であるインジウムと銀と銅を錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%Ag−0.5%Cu−7%In−残部SnからなるSn−Ag−Cu−In合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量6.2ppm、U含有量8ppb、Th含有量6ppbとなった。合金中のPbの含有は、主としてIn中に含有される不純物由来のものであった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.003cph/cm2であり、これも本願発明の条件を満たしていなかった。
これは溶解・鋳造工程でPoが昇華したため一時的にα線量が低くなったものの、Pbを多く含有し、結果として210Pbも多く含有しているために再び崩壊チェーン(210Pb→210Bi→210Po→206Pb)が構築されてα線量が増加したためと考えられる。
(3.5%Ag−4%In−0.5%Bi−残部Snからなる合金)
市販のインジウム(4Nレベル)を準備した。また、市販の錫及び銀及びビスマスを電解により高純度化し、5N−Sn及び6N−Ag及び5N−Biとした。添加元素であるインジウムと銀とビスマスを錫に添加し、260°Cで溶解・鋳造し、3.5%Ag−4%In−0.5%Bi−残部SnからなるSn−Ag−In−Bi合金インゴットを製造した。
この試料中のPb含有量8.5ppm、U含有量12ppb、Th含有量10ppbとなった。合金中のPbの含有は、主としてIn中に含有される不純物由来のものであった。
また、同一試料について、1ヶ月後と6ヶ月後の5ヶ月間の、経時変化を見た場合、α線量の差は0.007cph/cm2であり、これも本願発明の条件を満たしていなかった。
これは溶解・鋳造工程でPoが昇華したため一時的にα線量が低くなったものの、Pbを多く含有し、結果として210Pbも多く含有しているために再び崩壊チェーン(210Pb→210Bi→210Po→206Pb)が構築されてα線量が増加したためと考えられる。
Claims (5)
- 溶解・鋳造した後の鉛中の同位体210Pbを低減したインジウムであって、Pb含有量が0.01ppm以下であり、溶解・鋳造から1週間後、3週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、6ヵ月後及び30ヵ月後の、それぞれのα線量が0.002cph/cm 2 以下であることを特徴とするインジウム。
- U、Thの含有量が1ppb未満であることを特徴とする請求項1に記載のインジウム。
- Pb含有量が0.001ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のインジウム。
- 試料の第1回目に測定したα線量が0.002cph/cm2以下であって、そのα線量と、それから5ヶ月経過した後に測定したα線量との差が0.001cph/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインジウム。
- 前記請求項1〜4のいずれか一項に記載のインジウムを1〜10%含有する合金であって、該合金が、請求項1〜4のいずれか一項に記載するインジウムと同等のα線量を示すことを特徴とするインジウム含有合金。
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