JPWO2011111669A1 - 離型処理方法、型、反射防止膜の製造方法、離型処理装置および型の洗浄乾燥装置 - Google Patents

離型処理方法、型、反射防止膜の製造方法、離型処理装置および型の洗浄乾燥装置 Download PDF

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Abstract

本発明の離型処理方法は、離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤と、表面にポーラスアルミナ層(14)を有する型(100)とを用意する工程と、型(100)の表面に、フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を付与する工程と、その後に、型(100)の表面に離型剤をスプレーコート法によって付与する工程とを包含する。本発明によると、表面にポーラスアルミナ層(14)を有する型の表面をむら無く離型処理することができる。

Description

本発明は、離型処理方法、型、反射防止膜の製造方法、離型処理装置および型の洗浄乾燥装置に関する。ここでいう「型」は、種々の加工方法(スタンピングやキャスティング)に用いられる型を包含し、スタンパということもある。また、印刷(ナノプリントを含む)にも用いられ得る。
テレビや携帯電話などに用いられる表示装置やカメラレンズなどの光学素子には、通常、表面反射を低減して光の透過量を高めるために反射防止技術が施されている。例えば、空気とガラスとの界面に光が入射する場合のように屈折率が異なる媒体の界面を光が通過する場合、フレネル反射などによって光の透過量が低減し、視認性が低下するからである。
近年、反射防止技術として、凹凸の周期が可視光の波長(λ=380nm〜780nm)以下に制御された微細な凹凸パターンを基板表面に形成する方法が注目されている(特許文献1から4を参照)。反射防止機能を発現する凹凸パターンを構成する凸部の2次元的な大きさは10nm以上500nm未満である。
この方法は、いわゆるモスアイ(Motheye、蛾の目)構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を凹凸の深さ方向に沿って入射媒体の屈折率から基板の屈折率まで連続的に変化させることによって反射を防止したい波長域の反射を抑えている。
モスアイ構造は、広い波長域にわたって入射角依存性の小さい反射防止作用を発揮できるほか、多くの材料に適用でき、凹凸パターンを基板に直接形成できるなどの利点を有している。その結果、低コストで高性能の反射防止膜(または反射防止表面)を提供できる。
モスアイ構造の製造方法として、アルミニウムを陽極酸化することによって得られる陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いる方法が注目されている(特許文献2から4)。
ここで、アルミニウムを陽極酸化することによって得られる陽極酸化ポーラスアルミナ層について簡単に説明する。従来から、陽極酸化を利用した多孔質構造体の製造方法は、規則正しく配列されたナノオーダーの円柱状の細孔(微細な凹部)を形成できる簡易な方法として注目されてきた。硫酸、蓚酸、または燐酸等の酸性電解液またはアルカリ性電解液中に基材を浸漬し、これを陽極として電圧を印加すると、基材の表面で酸化と溶解が同時に進行し、その表面に細孔を有する酸化膜を形成することができる。この円柱状の細孔は、酸化膜に対して垂直に配向し、一定の条件下(電圧、電解液の種類、温度等)では自己組織的な規則性を示すため、各種機能材料への応用が期待されている。
特定の条件下で形成されたポーラスアルミナ層は、膜面に垂直な方向から見たときに、ほぼ正六角形のセルが二次元的に最も高密度で充填された配列をとっている。それぞれのセルはその中央に細孔を有しており、細孔の配列は周期性を有している。セルは局所的な皮膜の溶解および成長の結果形成されるものであり、バリア層と呼ばれる細孔底部で、皮膜の溶解と成長とが同時に進行する。このとき、セルのサイズすなわち、隣接する細孔の間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。また、細孔の直径は、電解液の種類、濃度、温度等に依存するものの、通常、セルのサイズ(膜面に垂直な方向からみたときのセルの最長対角線の長さ)の1/3程度であることが知られている。このようなポーラスアルミナの細孔は、特定の条件下では高い規則性を有する(周期性を有する)配列、また、条件によってはある程度規則性の乱れた配列、あるいは不規則(周期性を有しない)な配列を形成する。
特許文献2は、陽極酸化ポーラスアルミナ膜を表面に有するスタンパを用いて、反射防止膜(反射防止表面)を形成する方法を開示している。
また、特許文献3に、アルミニウムの陽極酸化と孔径拡大処理を繰り返すことによって、連続的に細孔径が変化するテーパー形状の凹部を形成する技術が開示されている。
本出願人は、特許文献4に、微細な凹部が階段状の側面を有するアルミナ層を用いて反射防止膜を形成する技術を開示している。
また、特許文献1、2および4に記載されているように、モスアイ構造(ミクロ構造)に加えて、モスアイ構造よりも大きな凹凸構造(マクロ構造)を設けることによって、反射防止膜(反射防止表面)にアンチグレア(防眩)機能を付与することができる。アンチグレア機能を発揮する凹凸を構成する凸部の2次元的な大きさは1μm以上100μm未満である。特許文献1、2および4の開示内容の全てを参考のために本明細書に援用する。
陽極酸化ポーラスアルミナ膜を利用することによって、モスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」という。)を容易に製造することができる。特に、特許文献2および4に記載されているように、アルミニウムの陽極酸化膜の表面をそのまま型として利用すると、製造コストを低減する効果が大きい。モスアイ構造を形成することができるモスアイ用型の表面の構造を「反転されたモスアイ構造」ということにする。
モスアイ用型を用いた反射防止膜の製造方法としては、光硬化性樹脂を用いる方法が知られている。まず、基板上に光硬化性樹脂を付与する。続いて、離型処理を施したモスアイ用型の凹凸表面を真空中で光硬化性樹脂に押圧することにより、モスアイ用型の表面の凹凸構造中に光硬化性樹脂が充填される。続いて、凹凸構造中の光硬化性樹脂に紫外線を照射し、光硬化性樹脂を硬化する。その後、基板からモスアイ用型を分離することによって、モスアイ用型の凹凸構造が転写された光硬化性樹脂の硬化物層が基板の表面に形成される。光硬化性樹脂を用いた反射防止膜の製造方法は、例えば特許文献4に記載されている。
反射防止膜の製造に用いられるポーラスアルミナ層を有する型の離型処理として、例えば、特許文献5には、スプレーコート法によりフッ素系の離型剤を付与することにより離型処理を行うことが記載されている。
特表2001−517319号公報 特表2003−531962号公報 特開2005−156695号公報 国際公開第2006/059686号 国際公開第2008/001847号
しかしながら、本発明者が、スプレーコート法によりモスアイ用型に離型剤を付与することを試みたところ、離型剤の塗布むらが発生するなど、均一に離型処理を施すことが困難であった。
この問題は、モスアイ用型に限らず、サブミクロンオーダーの微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を表面に有する型に共通の問題である。
本発明の主な目的は、表面にポーラスアルミナ層を有する型の表面に、スプレーコート法により離型剤を付与することによっても、むらの無いように離型処理する方法を提供することにある。
本発明の離型処理方法は、(a)離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤と、表面にポーラスアルミナ層を有する型とを用意する工程と、(b)前記型の前記表面に、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を付与する工程と、(c)前記工程(b)の後に、前記型の前記表面に前記離型剤をスプレーコート法によって付与する工程と、を包含する。
ある実施形態において、前記工程(b)で用いられる前記溶剤は、前記離型剤に含まれる前記溶剤と同じ溶剤である。
ある実施形態において、前記離型剤に含まれる前記溶剤はフッ素系溶剤である。
ある実施形態において、前記工程(c)は、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤の雰囲気中で行われる。
ある実施形態において、(d)前記工程(c)の後に、前記型の前記表面をリンスする工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(e)前記工程(c)と前記工程(d)との間に、前記型の前記表面をベークする工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(f)前記工程(a)と(b)との間に、前記型の前記表面を洗浄する工程を包含する。
ある実施形態において、前記工程(f)は、2流体ノズルを用いて行う。
ある実施形態において、前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する。
本発明の型は、表面にポーラスアルミナ層を有し、上記のいずれかに記載の離型処理方法によって離型処理されている。
本発明の反射防止膜の製造方法は、上記の型と、被加工物とを用意する工程と、前記型と前記被加工物の表面との間に紫外線硬化樹脂を付与した状態で、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することによって前記紫外線硬化樹脂を硬化する工程と、を包含する。
本発明の離型処理装置は、型の表面を離型処理する装置であって、離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤を、型の表面に付与する離型剤ノズルと、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を、型の表面に付与する溶剤ノズルと、前記離型剤ノズルと前記溶剤ノズルとが配置された付与室と、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤が貯留された溶剤槽とを備え、前記溶剤槽内の溶剤が気化することにより、前記付与室内に前記溶剤の雰囲気が形成され、前記型の前記表面に前記溶剤ノズルにより前記溶剤が付与された後に、前記溶剤の前記付与室内において、前記離型剤ノズルは、前記型の前記表面に前記離型剤をスプレーする。
本発明の洗浄乾燥装置は、型の表面の洗浄乾燥装置であって、型の表面に洗浄液を付与する洗浄ノズルと、前記型の前記表面に気体を吹き付ける複数の噴出し孔を有し、前記型の前記表面のうち、前記洗浄ノズルにより付与された洗浄液により洗浄された部分に気体を吹き付けることにより、前記部分を乾燥させる気体吹き付け部とを備え、前記複数の噴出し孔は、段違いに配置されている。
ある実施形態において、前記洗浄ノズルと前記気体吹き付け部との間に設けられ、前記気体吹き付け部の、前記複数の噴出し孔が形成されている面から、前記型の前記表面に向かう方向に突出するように形成された突出部とをさらに備え、前記突出部には、浮遊ミストを吸引する孔が設けられている。
ある実施形態において、(g)前記工程(f)の後に、前記型の前記表面を乾燥する工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(h)前記工程(g)の後に、前記型の前記表面をベークする工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(i)前記工程(d)の後に、前記型の前記表面を乾燥する工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(j)前記工程(i)の後に、前記型の前記表面をベークする工程をさらに包含する。
ある実施形態において、(k)前記工程(j)の後に、前記型の前記表面を外観検査する工程をさらに包含する。
本発明によると、表面にポーラスアルミナ層を有する型の表面に、スプレーコート方式により離型剤を付与することによっても、むらの無いように離型処理する方法が提供される。
(a)〜(h)は、本発明による実施形態の離型処理方法を説明するための模式的な図である。 (a)〜(c)は、本発明による実施形態の離型処理方法を説明するための模式的な図である。 (a)は、実施例1の離型処理方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の表面の光学顕微鏡像を示す図であり、(b)は、比較例1の離型処理方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の表面の光学顕微鏡像を示す図である。 (a)は離型処理装置80の模式的な図であり、(b)は、ロール状のモスアイ用型100の長軸方向の、鉛直方向からのずれを説明するための模式的な図である。 (a)〜(d)は、モスアイ用型の表面に付着した異物の光学顕微鏡像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、洗浄前および洗浄後におけるモスアイ用型の表面の光学顕微鏡像を示す図である。 (a)〜(c)は、オゾンナノバブル水を用いて異物を除去する作用を説明するための模式的な図である。 離型処理装置300の模式的な図である。 (a)は、前洗浄部320の模式的な図であり、(b)は、コーティング処理部330の模式的な図であり、(c)は、検査部340の模式的な図である。 (a)は、洗浄乾燥装置90の模式的な図であり、(b)は、気体吹き付け部94および突出部96の内周面を模式的に示す図である。 (a)〜(e)は、モスアイ用型100の製造方法を説明するための図である。 モスアイ用型100を用いて反射防止膜を作製する工程を説明するための模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明による実施形態の離型処理方法を説明するが、本発明は例示する実施形態に限定されない。以下では、モスアイ用型に離型処理をする場合を例に説明する。なお、「モスアイ用型」には、例えば、平板状のモスアイ用型およびロール状のモスアイ用型が含まれる。
以下、図1(a)〜(h)を参照して、本発明による実施形態のモスアイ用型の離型処理方法を説明する。図1(a)〜(h)は、本発明による実施形態の離型処理方法を説明するための模式的な図である。
まず、図1(a)に示すように、ロール状のモスアイ用型100を用意する。ロール状のモスアイ用型100を用いると、例えば、ロール・ツー・ロール方式により反射防止膜を効率良く量産することができるという利点がある。モスアイ用型100は、表面に、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有するポーラスアルミナ層を有する。モスアイ用型100は、例えば、上記特許文献3および4に記載されている方法を用いて、アルミニウムの陽極酸化とエッチングとを繰り返すことによって得られる。モスアイ用型100の製造方法は、後に詳述する。
ロール状のモスアイ用型100は、図1(a)に示すように、例えば、長軸方向が鉛直方向とほぼ平行となるように立てて配置されることが好ましい。ロール状のモスアイ用型100を立てて配置すると、モスアイ用型100の外周面に離型剤を付与したときに、離型剤が流れやすくなる。すなわち、離型剤を広がりやすくすることができる。
次に、モスアイ用型100を洗浄する。モスアイ用型100を洗浄することにより、例えば、残留異物が除去される。また、後に詳述するように、モスアイ用型100を洗浄することにより、洗浄しない場合に比べ、離型処理の効果を高めることができる。
本発明者の検討によると、モスアイ用型を作製した後長時間大気中に放置した後に離型処理を施すと、十分な離型性を得られないことがあった。十分な離型性を得られなかったのは、以下のように、モスアイ用型のポーラスアルミナ層の表面に水和物が形成されたことに起因すると考えられる。以下、陽極酸化の電解液としてシュウ酸水溶液を用いた場合を例に説明する。陽極酸化直後のポーラスアルミナ層の表面には、含水アルミナ、アルミニウム−シュウ酸キレート、およびシュウ酸塩が存在する(http://www.alumite.co.jp/CAT/syusan.htm参照)。モスアイ用型を大気中に放置しておくと、これらが大気中の水分と反応して、アルミナの水和物やシュウ酸塩に起因するカルボン酸が形成される。また、陽極酸化皮膜の表面にアルミナの水和物(例えばベーマイト)が形成されると、表面の密着性が低くなる(例えば、「アルミ建材における表面処理技術の現状について」、技術情報パンフレット、株式会社日本電気化学工業所、2009年11月、p.14参照)。従って、上記のように、モスアイ用型の表面の水和物が形成された部分では、後述する離型剤に含まれる離型性を有するフッ素系化合物の密着性が低くなったと考えられる。その結果、水和物が形成されている部分に離型剤を付与しても、十分な離型性が得られなかったと考えられる。
モスアイ用型を作製した後長時間大気中に放置した場合でも、モスアイ用型の表面を洗浄して水和物を除去することにより、表面に対するフッ素系化合物の密着性を高めることができる。従って、洗浄せずに離型処理を施した場合に比べ、離型処理の効果を高めることができる。後述するように、モスアイ用型を作製した後、例えば48時間超大気中に放置してから離型処理を施すときは、離型剤を付与する前に洗浄を行うことが好ましい。
洗浄工程では、例えば、図1(b)に示すように、モスアイ用型100の長軸方向(図1(b)の矢印で示す方向)に移動するシャワーノズル62aからモスアイ用型100の外周面に洗浄液を噴射して洗浄する。このとき、モスアイ用型100を周方向に回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体に洗浄液が付与される。洗浄液としては、例えば、純水、還元性電解イオン水、洗剤、有機溶剤(例えばアセトン)、またはリン酸を用いることができる。洗浄方法としては、シャワー洗浄以外に、例えば、流水洗浄や浸漬洗浄、静電霧化法を用いることができる。浸漬洗浄を行うときは、洗浄液に浸漬させたモスアイ用型100に超音波を照射してもよい(超音波洗浄)。
また、ドライ洗浄を行ってもよい。ドライ洗浄としては、例えば、エキシマUV光を照射する方法、大気圧下で発生させたプラズマやO2プラズマを照射する方法を用いることができる。
また、上記で例示した洗浄方法のうちの複数の方法を用いて洗浄してもよい。例えば、リン酸に浸漬した後、純水で流水洗浄してもよい。なお、後述するように、離型処理の効果を高めるためには、還元性電解イオン水を用いた洗浄またはリン酸を用いた洗浄が特に好ましい。
次に、必要に応じて、モスアイ用型100の表面を乾燥する。図1(c)に示すように、例えば、エアーナイフ64aを用いて、圧縮空気を吹き付けることにより、乾燥する。N2ブローにより乾燥してもよい。また、真空乾燥機を用いてモスアイ用型100の表面を乾燥してもよい。
モスアイ用型100の表面を乾燥した後、ベーク(加熱処理)を行ってもよい。ベークを行うことにより、モスアイ用型100の表面に付着したミクロンオーダーの液滴や、ポーラスアルミナ層の表面の複数の凹部に侵入した数百ナノオーダーの液滴を除去することができる。例えば、モスアイ用型100をクリーンオーブン内に入れて加熱する(例えば、150℃、30分)。また、加熱したドライエアーを吹き付けてもよい。また、遠赤外ヒータを用いてもよい。
次に、溶剤の付与、および離型剤の付与を行う。離型剤としては、離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含むフッ素系離型剤を用いる。フッ素系離型剤としては、例えば、フロロテクノロジー社製のフロロサーフを用いることができる。フロロサーフとしては、例えばフロロサーフFG−5010Z130−0.1を用いることができる。フロロサーフFG−5010Z130−0.1には、フッ素系化合物としてパーフルオロオクチルエチルアクリレートの単独重合物が含まれ、溶剤として希釈剤ZV(ハイドロフルオロエーテル)が含まれている。例えば、フロロサーフFG−5010Z130−0.1のパーフルオロオクチルエチルアクリレートの単独重合物の濃度は、0.1%である。
溶剤の付与は、例えば、図1(d)に示すように、モスアイ用型100の長軸方向に移動するスプレーノズル52を用いて、スプレーコート方式により行う。このとき、モスアイ用型100を回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体に溶剤が付与される。ここで付与する溶剤は、例えば、上記の希釈剤ZVである。希釈剤ZVは、例えば、フロロテクノロジー社から入手できる。なお、溶剤は、離型剤に含まれる溶剤でなくても、三井デュポンフロロケミカル社製のバートレルXFなどの離型剤に含まれる離型性を有するフッ素系化合物を溶解することができる溶剤であればよい。
離型剤は、溶剤が付与されたモスアイ用型100の表面に、スプレーコート法により付与する。例えば、図1(d)に示すように、モスアイ用型100の長軸方向に移動するスプレーノズル54を用いて離型剤を付与する。このとき、溶剤を付与するときと同様に、モスアイ用型100を回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体に離型剤が付与される。モスアイ用型100の上端から下端へと処理を行うとき、スプレーノズル52から溶剤をスプレーしながら、スプレーノズル54から離型剤をスプレーしてもよい。このとき、スプレーノズル52とスプレーノズル54とは、一定の間隔を保って、長軸に平行に移動する。なお、スプレーノズル52およびスプレーノズル54を、それぞれ独立に移動させて、溶剤を付与した後、離型剤を付与してもよい。
モスアイ用型のポーラスアルミナ層の表面にスプレーコート法により離型剤を付与すると、後に詳述するように、離型剤の塗布むらが発生するなど、均一に離型処理を施すことができないことがある。スプレーコート法を用いると、スプレーノズルから噴出された離型剤の液滴がモスアイ用型の表面に到達するまでに、離型剤の液滴中の溶剤の一部が気化し、離型剤に含まれるフッ素系化合物が偏析しやすくなることが一因となっていると考えられる。本発明による実施形態の離型処理方法では、離型剤を付与する前にモスアイ用型のポーラスアルミナ層の表面に溶剤が付与されているので、表面に到達した離型剤の液滴中のフッ素系化合物は希釈され、溶剤が蒸発するまでに表面上を拡散することができる。従って、むらのないように離型処理を施すことができる。溶剤を付与する工程および離型剤を付与する工程は、後に詳述する。
後述するように、離型剤の付与は、溶剤の雰囲気中で行うことが好ましい。離型剤の付与を溶剤の雰囲気中で行うことにより、溶剤の蒸発が抑制され、離型性を有するフッ素系化合物をさらに広がりやすくすることができる。
なお、特に溶剤が有害であるときは、図1(d)に示すように、局所排気装置63をモスアイ用型100の上方に配置し、排気しながら行うことが好ましい。
次に、モスアイ用型100の表面のベークを行う。ベークにより、モスアイ用型100のポーラスアルミナ層の表面とフッ素系化合物との反応を促進させることができる。例えば、図1(e)に示すように、ヒータ66を用いて、ベークを行う。なお、ここで行うベーク工程は、上述したベーク方法と同様の方法により行うことができる。
次に、リンスを行うことにより、過剰な離型剤を除去する。リンス工程は、例えば、図1(f)に示すように、モスアイ用型100の長軸方向に移動するスプレーノズル62bを用いて、シャワー方式で行うことができる。このとき、モスアイ用型100を回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体にリンス液が付与される。スプレーノズル62bとしては、例えば、2流体ノズルを用いる。2流体ノズルは、液体と圧縮気体とを混合して噴出することにより、液体を霧状に噴出させることができる。2流体ノズルを用いることにより、液滴を微細化できるので、モスアイ用型100に馴染みよくリンス剤を塗布できるという利点がある。また、2流体ノズルを用いると、圧縮気体の噴出圧力を制御できるので、高圧塗布が可能である。従って、過剰な離型剤を効率よく除去できる。また、浮遊異物の付着を防止できるという利点もある。シャワー方式以外に、例えばディップ方式によりリンスしてもよい。
リンス液としては、例えば、上記離型剤に含まれる溶剤を用いることができる。溶剤を用いてリンスを行うことによって、余分なフッ素系化合物が除去され、フッ素系化合物の膜が薄膜化および/または均一化される。離型剤の膜が薄く均一であるほど、モスアイ用型100の表面の凹凸構造の寸法精度に対する、離型剤の影響を小さくすることができる。なお、表面にフッ素系化合物の単分子膜が形成されることが好ましい。単分子膜の膜厚は、1〜4nm程度である。
離型剤の膜厚は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)などの走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて求めることができる。走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて、断面構造から膜厚を求めることもできる。また、X線電子分光法(ESCA)を用いることによっても、膜厚を求めることができる。
リンス工程を行う装置には、一度使用したリンス液を再度使用できるように、使用したリンス液を溜める槽やリンス液を循環させる配管を設けてもよい。リンス液を溜める槽またはリンス液を循環させる配管には、リンス液をろ過できるようにフィルタを設けておいてもよい。
次に、モスアイ用型100の表面のリンス液を除去する。すなわち、モスアイ用型100の表面を乾燥する。例えば、図1(g)に示すように、エアーナイフ64bを用いて乾燥する。上述した他の乾燥方法を用いて乾燥してもよい。
この後、必要に応じてモスアイ用型100をベーク(加熱処理)してもよい。ベークを行うことにより、モスアイ用型100の表面に付着したリンス液の残渣を除去することができる。ベーク方法は、上述したベーク方法と同じ方法を用いることができる。
こうして、ポーラスアルミナ層の表面に離型処理が施されたモスアイ用型が得られる。
なお、続いて、モスアイ用型100の外観検査を行ってもよい。外観検査では、例えば、図1(h)に示すように、照明装置68によりモスアイ用型100の外周面に光を照射し、カメラ79により、付着異物の検査を行う。その後、モスアイ用型100は、例えば反射防止膜の製造に用いられる。
本発明による実施形態の離型処理方法は、モスアイ用型の表面に、スプレーコート法で離型剤を付与する前に、離型性を有するフッ素系化合物を溶解することができる溶剤を付与しておくことにより、むらなく離型処理を施すことができる。なお、図1を参照して説明した離型処理方法の各工程のうち、溶剤を付与する工程および離型剤を付与する工程以外の、洗浄工程、乾燥工程等は、省略してもよい。
以下、図2を参照して、本発明による実施形態の離型処理方法における、溶剤付与工程および離型剤付与工程を詳細に説明する。
まず、図2(a)に示すように、表面にポーラスアルミナ層を有するモスアイ用型100と離型剤(不図示)とを用意する。モスアイ用型100は、例えば、ロール状の支持体12(例えばステンレス鋼製の管)と、ロール状の支持体12の表面上に形成されたアルミニウム膜18と、アルミニウム膜18の上に形成されたポーラスアルミナ層14とを有する。なお、図2(a)では、簡単のため、モスアイ用型100について、ロール状の支持体12の一部、アルミニウム膜18の一部、およびポーラスアルミナ層14の一部のみを示す。図2(b)および(c)についても同様に、モスアイ用型100については、一部のみを示す。ポーラスアルミナ層14は、複数の微細な凹部(細孔)14pを有する。複数の微細な凹部14pの、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさは50nm以上500nm未満である。モスアイ用型100は、後に詳述するように、ロール状の支持体12上に形成されたアルミニウム膜18の陽極酸化およびエッチングを繰り返すことにより作製できる。
離型剤として、離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含むフッ素系離型剤を用いる。フッ素系離型剤としては、公知のものを広く用いることができる。例えば、フロロテクノロジー社製のフロロサーフを用いることができる。フロロサーフとしては、例えば、上記のように、フロロサーフFG−5010Z130−0.1を用いることができる。フロロサーフFG−5010Z130−0.1は、フッ素系化合物としてパーフルオロオクチルエチルアクリレートの単独重合物が含まれ、溶剤として希釈剤ZV(ハイドロフルオロエーテル)が含まれている。フロロサーフには、溶剤として、上記以外に、例えば、不燃性フッ素系溶剤または石油系溶剤が含まれているものがある。不燃性フッ素系溶剤は、ハイドロフルオロエーテル以外に、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。これらの不燃性フッ素系溶剤は、一種単独で、又は二種以上を混合して使用される。石油系溶剤としては、例えば、n−ヘプタン、アセトン、またはn−ヘプタンとアセトンとを混合させた溶剤が使用される。
フッ素系離型剤としては、上記以外に、例えば、ダイキン社製のオプツールDSXを用いることができる。また、三井デュポンフロロケミカル社製のクリアコートを用いることもできる。また、フッ素系離型剤の溶剤としては、フッ素系の溶剤を用いることが好ましい。ただし、水系の溶剤、または公知の有機溶剤を適宜選択して用いることもできる。なお、溶剤は、フッ素系化合物を溶解するものだけでなく、溶剤中にフッ素系化合物を分散させるものであってもよい。
フッ素系離型剤は、フッ素系離型剤以外の、例えばシリコーン系の離型剤等の離型剤に比べ、反射防止膜の製造に用いられる紫外線硬化性樹脂に対する離型性が高いという利点がある。また、フッ素系の離型剤は、紫外線に対する耐性が高いという利点がある。また、フッ素系の離型剤の層は、薄膜化しやすい。
本発明者の検討によると、フッ素系の離型剤以外の、例えばシリコーン系の離型剤を用いて離型処理を施したモスアイ用型は、反射防止膜の製造に用いることができなかった。本発明者は、フッ素系の離型剤以外の離型剤を用いることを検討したが、反射防止膜の製造工程において、モスアイ用型と被転写物との間に付与された紫外線硬化性樹脂の硬化物層の一部が被加工物から剥離し、モスアイ用型の表面に残ってしまうことがあった。このことは、用いた離型剤に対する紫外線硬化性樹脂の離型性が低いことや、用いた離型剤の紫外線に対する耐性が低いことに起因すると考えられる。また、モスアイ用型を用いて反射防止膜を作製する場合のように、サブミクロンオーダーの凹凸構造を転写するときは、上記のように、離型剤の層を薄膜化することが好ましいが、フッ素系の離型剤以外の離型剤を用いた場合には、離型剤の層を薄膜化するのが困難であった。
なお、離型性を有するフッ素系化合物の濃度は、0.1wt%以上であることが好ましい。濃度を0.05%、0.10%、および0.20%の離型剤を用いてモスアイ用型に離型処理を施し、離型処理後の撥水性を調べた。濃度0.05%の離型剤を付与したところ、モスアイ用型の表面において、フッ素系化合物が少なく十分に離型処理が施されていない部分が存在し、モスアイ用型の表面の撥水性にむらが生じた。一方、濃度0.10%および0.20%の離型剤を用いて離型処理を施したモスアイ用型は全面に亘って十分な撥水性を示した。
次に、モスアイ用型100の表面に、溶剤を付与する。このとき、図2(b)に示すように、例えば、スプレーノズル52を用いて、スプレーコート方式により溶剤を付与する。ここで付与する溶剤は、典型的には、離型剤に含まれる溶剤であるが、これに限られず離型剤に含まれる離型性を有するフッ素系化合物を溶解することができる溶剤であればよい。
スプレーノズル52としては、1流体ノズルを用いる。1流体ノズルとしては、例えば、溶剤を噴出すると同時に、霧化エアおよびパターンエアを噴出する1流体ノズルを用いる。ノズルから噴出された溶剤の液滴は、霧化エアによりミスト化される。霧化エアの圧力を制御することにより、ミスト化した液滴の大きさを制御することができる。また、パターンエアの圧力を制御することにより、ミスト化した液滴の運動エネルギーを制御することができる。また、スプレーパターンの大きさや形状を制御することができる。なお、溶剤の液滴は、型に到達するまでに揮発しない程度にミスト化することが好ましい。また、溶剤の液滴がモスアイ用型100の表面に到達した際の衝撃が小さくなるように、液滴の運動エネルギーを制御することが好ましい。
続いて、モスアイ用型100の表面に離型剤をスプレーコート方式により付与する。このとき、図2(c)に示すように、例えば、スプレーノズル54を用いる。スプレーノズル54としては、例えば2流体ノズルを用いる。離型剤の付与に2流体ノズルを用いることにより、例えば、噴出する離型剤の液滴を微細化することができるという利点がある。
モスアイ用型100のポーラスアルミナ層14の表面には、複数の微細な凹部14pが形成されている。表面に付与された離型剤の液滴は、凹部14p内に保持されるので、フッ素系化合物の濃度が凹部14pごとに異なることになり易い。従って、溶剤が蒸発して表面に残るフッ素系化合物の量(フッ素系化合物層の厚さ)も凹部14pごとに異なることになり易い。さらに、スプレーコート法を用いると、離型剤の液滴がモスアイ用型100の表面に到達するまでに、離型剤の液滴中の溶剤の一部が気化し、フッ素系化合物が偏析しやすい。従って、ポーラスアルミナ層の表面にスプレーコート法で離型剤を付与すると、均一に離型処理を施すことができないことがある。
本発明による実施形態の離型処理方法によれば、図2(b)を参照して説明したように、離型剤を付与する前にポーラスアルミナ層の表面に溶剤が付与されているので、表面に到達した離型剤の液滴中のフッ素系化合物は希釈され、溶剤が蒸発するまでに表面上を拡散することができる。従って、むらのないように離型処理を施すことができる。
上記の離型剤を付与する工程(図2(c))は、離型剤のフッ素系化合物を溶解することができる溶剤の雰囲気中で行うことが好ましい。離型剤を溶剤の雰囲気中で付与することにより、スプレーノズルから噴出された離型剤の液滴中の溶剤や、モスアイ用型100の表面に存在する溶剤の気化を抑制することができる。従って、離型剤に含まれるフッ素系化合物を広がりやすくすることができる。
次に、実施例および比較例を示す。実施例1では、図1を参照して説明した方法により離型処理を施した。比較例1では、溶剤を付与する工程を行わなかったこと以外は実施例1と同じ方法により離型処理を施した。
実施例1では、まず、以下のように作製したモスアイ用型を用意した。ここで用いたモスアイ用型は、例えば上記特許文献3および4に記載されている方法を用いて、アルミニウム基材の陽極酸化とエッチングとを繰り返すことにより作製した。基材として、基板(ガラス基板、10cm×10cm、厚さ3cm)上にスパッタ法により、厚さが1μmのアルミニウム膜18を成膜して作製した基材を用いた。
この基材を用いて、まず、陽極酸化を行うことにより、アルミニウム膜18の表面にポーラスアルミナ層を形成した。陽極酸化工程は、シュウ酸水溶液(濃度0.05mol/L、液温3℃)を用いて、80V印加して60秒間行った。電極としては、Ptプレートを用いた。電極と基材との距離は150mmとした。
次に、エッチングを行うことにより、ポーラスアルミナ層を完全に除去した。エッチング工程は、リン酸水溶液(濃度8mol/L、液温30℃)を用いて90分間行った。
次に、陽極酸化工程とエッチング工程とを交互に5回(陽極酸化を5回、エッチングを4回)行った。陽極酸化工程は、上記と同様に、シュウ酸水溶液(濃度0.05mol/L、液温3℃)を用いて、80V印加して60秒間行った。エッチング工程は、リン酸水溶液(濃度8mol/L、液温30℃)を用いて20分間行った。
こうして得られたモスアイ用型は、深さ400nm程度、細孔間隔180nm程度の複数の細孔が形成されていた。
次に、以下に示すように、図1を参照して説明した方法により、モスアイ用型の離型処理を行った。なお、上記のように陽極酸化工程およびエッチング工程を行った後、温度22℃、湿度30%のクリーンルーム内に7日間放置した後に離型処理を施した。以下の工程は、清浄度クラス1000のクリーンルーム内で行った。
まず、2流体ノズルを用いてモスアイ用型の表面に純水を吹き付けることにより洗浄を行った。洗浄後、N2ブローを用いてモスアイ用型の表面を乾燥した。モスアイ用型の表面を乾燥した後、クリーンオーブンを用いてベークを行った。ベーク条件は、150℃、30minとした。
次に、溶剤(希釈剤ZV)を付与した後に、スプレーコート法により、離型性を有するフッ素系化合物としてパーフルオロオクチルアクリレートの単独重合物を含む離型剤フロロサーフFG5010Z130−0.1を付与した。溶剤の付与は、1流体ノズルを用いて行った。離型剤の付与には、2流体ノズルを用いた。
離型剤を付与した後に、ベーク工程、リンス工程、乾燥工程を行った後、さらにベーク工程を行った。ベーク工程は、上記と同様に、クリーンオーブンを用いて、150℃、30minの条件で行った。リンス工程は、2流体ノズルを用いてシャワー方式で行った。リンス液として、離型剤に含まれる溶剤を用いた。
比較例1では、実施例1と同じ方法で作製したモスアイ用型を用いて、溶剤を付与する工程を行わずにスプレーコート法により実施例1と同じ離型剤を付与することにより離型処理を施した。すなわち、溶剤を付与する工程を行わなかったこと以外は実施例1と同じ方法により、離型処理を施した。
実施例1および比較例1の離型処理後のモスアイ用型の表面について、蛍光灯直下で、目視により、塗りむらの有無を調べた。比較例1の離型処理後のモスアイ用型の表面には、目視で確認できる大きさ(ミリメートルオーダー)のむらが存在した。一方、実施例1の離型処理後のモスアイ用型の表面には、塗りむらが視認されなかった。離型剤を付与する前に溶剤を付与することにより、均一に離型処理を施すことができた。
実施例1において均一に離型処理を施すことができたことにより、以下に説明するように、モスアイ用型を用いて作製した反射防止膜の表面に均一にモスアイ構造を形成することができた。
反射防止膜は、上記特許文献4に記載されているように、光硬化性樹脂を用いる方法により以下のように作製した。まず、被転写物(PETフィルム(厚さ100μm))上に注射器を用いて、光硬化性樹脂(アクリル樹脂)を付与した。続いて、上記実施例1の方法により離型処理を施したモスアイ用型の表面を真空中で光硬化性樹脂に押圧し、光硬化性樹脂をモスアイ用型の凹凸構造中に充填した。その後、凹凸構造中の光硬化性樹脂に紫外線(365nm、1000mW/cm2)を2分間照射することによって、光硬化性樹脂を硬化した。その後、基板からモスアイ用型を分離することによって、反射防止膜を作製した。同様に、上記比較例1の方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて反射防止膜を作製した。
図3(a)に、実施例1の方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて作製した反射防止膜の表面の光学顕微鏡像を示し、図3(b)に、比較例1の方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて作製した反射防止膜の表面の光学顕微鏡像を示す。なお、図3(a)および(b)に示す光学顕微鏡像は、反射防止膜の裏面に黒い樹脂板(アクリル板)を貼り付けた後に撮影したものである。
図3(b)に示すように、比較例1の方法により離型処理が施されたモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の表面には、白く見える部分が存在した。表面の法線方向から見たときの、白い部分の2次元的な大きさは、200〜300μm程度であった。走査型電子顕微鏡(SEM)で調べたところ、白く見える部分には高さが200nm程度の複数の突起が形成されていた。一方、黒く見える部分には、高さが400nm程度の複数の突起が形成されていた。高さが200nm程度の複数の突起が形成された部分は、複数の突起が比較的低いことにより、十分に反射防止ができないので、反射率が高く白く見えると考えられる。反射防止膜の表面に比較的低い突起が形成された部分が存在したのは、モスアイ用型の表面において、フッ素系化合物がモスアイ用型の表面の一部の細孔に偏析してしまい、細孔が浅くなってしまったことが一因となり、転写を行うと、被転写物の表面の一部に低い突起が形成されたと考えられる。また、比較例1の離型処理方法により離型処理を施すと、フッ素系化合物が十分に広がらなかったことにより、フッ素系化合物が十分に存在しない部分が存在したと考えられる。フッ素系化合物が十分に存在せず離型性が低い部分において、光硬化性樹脂が剥離しなかったことにより、所望のモスアイ構造が形成されない部分が存在したと考えられる。
一方、図3(a)に示すように、実施例1のモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の表面には、比較例1のモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜(図3(b))のような白い部分が見られない。このことから、実施例1のモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の表面は、全体にわたって、反射率が低かったことがわかる。表面全体にわたって反射率を低くすることができたのは、実施例1の離型処理方法によりむらの無いように離型処理を施すことができたため、所望のモスアイ構造を反射防止膜の表面全体に形成することができたからであると考えられる。
このように、本発明による実施形態の離型処理方法によれば、スプレーコート法により離型剤を付与することによっても、むらのないように離型処理を施すことができることが確かめられた。
実施例1のモスアイ用型について、離型剤の塗着効率を調べた。塗着効率として、離型剤の投入量に対する、モスアイ用型の表面への離型剤の付着量の比を百分率で求めたところ、60%以上であった。一方、比較例1の塗着効率は40%以下であった。
比較例1と同様に溶剤を付与する工程を行わずにスプレーコート法により離型剤を付与することによって離型処理を施す際に、液滴サイズを大きくし、上記の塗りむらが改善されるか調べた。溶剤を付与する工程を行わずに離型剤を付与した比較例1では、離型剤の液滴がモスアイ用型に到達する前に溶剤が揮発し、フッ素系化合物を拡散させることができなかった。従って、液滴サイズを大きくし、液滴がモスアイ用型に到達した際に溶剤が多く残るようにする方法により、離型剤の液滴を拡散させやすくすることを試みた。しかしながら、この方法によれば、離型剤の液滴が流れ、モスアイ用型の下部に偏ってしまい、塗りむらが生じた。また、塗布回数を増やして離型剤の膜を厚くする方法によって、塗りむらの改善を試みたが、効果は低かった。また、液滴サイズを大きくした場合にも、塗布回数を増やした場合にも、離型剤の塗着効率が低下してしまった。
また、実施例1のモスアイ用型について、離型処理後の表面の、2次元的な大きさが100μm超の異物の有無を調べた。光学顕微鏡(倍率100倍)を用いて観察したところ、2次元的な大きさが100μm超の異物は見られなかった。なお、上記のように実施例1では前洗浄において、2流体ノズルを用いたが、2流体ノズルに代えてシャワーノズルを用いて前洗浄を行ったところ、離型処理後の表面には多くの異物が存在した。すなわち、シャワーノズルによる異物の除去効果は低かった。また、比較例1のモスアイ用型についても調べたところ、離型処理後のモスアイ用型の表面には異物が存在した。
次に、図4(a)を参照して、本発明による実施形態の離型処理装置を説明する。図4(a)は、離型処理装置80の模式的な図である。ここでは、ロール状のモスアイ用型100に離型処理をする場合を例示する。図4(a)に示すように、離型処理装置80は、溶剤ノズル82と、離型剤ノズル84と、付与室86と、溶剤槽88とを有している。溶剤ノズル82および離型剤ノズル84は、付与室86内に配置されている。溶剤ノズル82は、離型剤ノズル84より下側に、一定の間隔を空けて配置されている。溶剤ノズル82および離型剤ノズル84は、例えば図示しない昇降機構により、図4(a)に示す実線矢印の方向に、一定の間隔を保って同じ速度で移動する。溶剤ノズル82は、例えば、スプレーノズルであり、離型性を有するフッ素系化合物を溶解することができる溶剤を噴射する。離型剤ノズル84は、離型剤を噴射するスプレーノズルである。
溶剤槽88には、離型性を有するフッ素系化合物を溶解することができる溶剤が貯留されている。溶剤槽88は、付与室86の下部に配置されている。溶剤槽88内の溶剤が気化することにより、付与室86内に溶剤の雰囲気が形成される。
モスアイ用型100は、長軸方向が、溶剤ノズル82および離型剤ノズル84の移動方向にほぼ平行となるように、付与室86内に配置される。溶剤ノズル82および離型剤ノズル84は、例えば鉛直方向に移動し、モスアイ用型100は、長軸方向が鉛直方向とほぼ平行となるように立てて配置される。モスアイ用型100には、モスアイ用型100の長軸方向に移動する溶剤ノズル82により、溶剤が付与される。このとき、モスアイ用型100は、図示しない回転機構によりモスアイ用型100の周方向に回転される。こうして、モスアイ用型100の外周面全体に溶剤が付与される。モスアイ用型100の外周面の、溶剤が付与された部分には、離型剤ノズル84により、離型剤が付与される。離型剤ノズル84は、溶剤ノズル82と同様に、モスアイ用型100の長軸に平行に移動する。このとき、モスアイ用型100が回転されることにより、外周面全体に離型剤が付与される。
モスアイ用型100の上端から下端へと処理を行うとき、溶剤ノズル82から溶剤をスプレーしながら、離型剤ノズル84から離型剤をスプレーしてもよい。溶剤ノズル82と離型剤ノズル84とは、一定の間隔を保って、長軸に平行に移動する。なお、例えば、溶剤ノズル82および離型剤ノズル84を、それぞれ独立に移動させて、溶剤を付与した後、離型剤を付与してもよい。
例えば、直径が65mm、長さ370mmのロール状のモスアイ用型100に溶剤の付与および離型剤の付与を行うときは、溶剤ノズル82と離型剤ノズル84との間隔は、70mmである。また、溶剤は、流量0.06L/sec、噴射角度30°、噴射圧力0.2〜0.4MPaで、1回あたり180秒間付与される。離型剤は、流量0.008L/sec、噴射角度30°、霧化エアの噴射圧力0.4MPa、パターンエアの噴射圧力0.3MPaで付与される。離型剤の付与時間は、例えば、離型剤を3回付与するときは、1回あたり37秒間、合計111秒間である。モスアイ用型100に溶剤が付与された後、離型剤が付与されるまでの時間は、60secである。また、溶剤ノズル82と離型剤ノズル84とを、一定の間隔を保って長軸方向に移動させ、モスアイ用型100の上端から下端へと処理を行うときは、溶剤ノズル82および離型剤ノズル84を、一定の間隔を保ったまま10cm/sで下向きに移動させる。モスアイ用型100は60rpmで回転させる。
離型処理装置80において、モスアイ用型100は、付与室86内で離型剤が付与されるので、溶剤の雰囲気中で離型剤が付与される。従って、上述したように、離型剤が広がりやすい。なお、例えば、付与室86内に、図4(a)に破線矢印で示すようにアップフローを発生させることにより、付与室86内に溶剤の雰囲気を効率的に形成することができる。
離型剤を付与するスプレーノズルとしては、例えば、1流体ノズルや2流体ノズルを用いることができる。2流体ノズルを用いることにより、噴出する離型剤の液滴を微細化することができる。また、スワールノズルを用いることもできる。スワールノズルを用いると、螺旋状の気流を発生させることができるので、離型剤の液滴を旋回させながら、モスアイ用型100の表面に付与することができる。このとき、離型剤の液滴がモスアイ用型100に到達する際の衝撃を小さくすることができるので、モスアイ用型100の表面で跳ねる液滴を低減することができる。なお、2流体ノズルおよびスワールノズルを用いて離型剤を付与して塗着効率を比較したところ、2流体ノズルでは40〜60%であったのに対し、スワールノズルでは20〜40%であった。従って、塗着効率の観点からは、2流体ノズルが好ましい。なお、本発明者の検討によると、スワールノズルの塗着効率は、周囲環境の調整(例えば、高気密設計とする)や、静電塗装の利用により、60〜80%にすることができた。離型剤の付与は、静電スプレー方式により行ってもよい。2流体ノズルおよびスワールノズルのいずれを用いる場合にも、ノズルの先端にフィルタを設けて離型剤中の異物を噴出させないようにしてもよい。なお、溶剤を付与するスプレーノズルには、離型剤の付与に用いるスプレーノズルと同様のスプレーノズルを用いることができる。
図4(a)に示す離型処理装置80では、ロール状のモスアイ用型100を、長軸方向が鉛直方向と平行となるように立てて配置する場合を例示したが、ロール状のモスアイ用型100の長軸方向が鉛直方向から傾いていてもよい。図4(b)を参照して、ロール状のモスアイ用型100の長軸方向の鉛直方向からのずれについて説明する。
直径65mm、長さ345mmのロール状のモスアイ用型100を用いてモスアイ用型100の回転速度を60rpmとし、ノズルの移動速度を10mm/secとして鉛直方向からのずれを検討した。ノズル84とモスアイ用型100との距離(図4(b)に示すWD)を70mmとした。なお、ここで、WDは、図4(b)に示すように、モスアイ用型100の底面の中心を通り鉛直方向に延びる軸J2とノズル84の先端との距離である。モスアイ用型100の中心軸J1と、モスアイ用型100の底面の中心を通り鉛直方向に延びる軸J2との距離X(モスアイ用型100の上面の中心と軸J2との距離)の大きさを検討したところ、X>10mmで離型剤の付与むらが生じた。また、WDの大きさも検討したところ、WD<20mm、およびWD>130mmで離型剤の付与むらが生じた。従って、この場合には、X≦10mmであることが好ましく、また、20mm≦WD≦130mmであることが好ましい。
以下に説明するように、溶剤を付与する前にモスアイ用型の洗浄工程(図1(b))を行うことにより、洗浄しない場合に比べ、離型処理の効果を高めることができる。
陽極酸化およびエッチングを行った後に長時間大気中に放置した後に離型処理を施すと、十分な離型性を得られないことがあった。陽極酸化後のポーラスアルミナ層の表面には、含水アルミナ、アルミニウム−シュウ酸キレート、およびシュウ酸塩が存在する。モスアイ用型を大気中に放置しておくと、これらが空気中の水分と反応してアルミナの水和物やシュウ酸塩に起因するカルボン酸が形成される。陽極酸化皮膜の表面に水和物が形成されると、表面に対する、フッ素系化合物の密着性が低くなる。従って、離型処理を施した後、十分な離型性が得られなくなると考えられる。
以下に示すように、離型処理後のモスアイ用型の表面の水に対する接触角の大きさから離型性を調べた。陽極酸化およびエッチングを行った後に長時間(48時間超)大気中に放置した後に離型処理を施すと、離型処理後の表面の接触角は、陽極酸化およびエッチングを行った後48時間以内に離型処理を施したモスアイ用型に比べ低かった。陽極酸化およびエッチング後、1日以内に離型処理を施した後、水に対する接触角を測定したところ、140°以上であった。一方、陽極酸化およびエッチング後、3日間大気中に放置し、離型処理を施したところ、水に対する接触角は135°以下であった。すなわち、3日間大気中に放置した後に離型処理を施したモスアイ用型の表面の、離型処理後の水に対する接触角は、陽極酸化およびエッチング後、1日以内に離型処理を施したモスアイ用型の表面の、離型処理後の水に対する接触角に比べ低かった。上記のように、モスアイ用型を大気中に放置しておくと、表面に多くの水和物が形成されると考えられる。水和物が形成された表面は、フッ素系化合物の密着性が低いので、水和物が形成されると、離型処理後の表面の水に対する接触角が低くなると考えられる。離型処理後の表面の接触角が低いことは、離型性が低いことを意味する。すなわち、離型処理後の表面の接触角が低いと、十分な離型性が得られない。従って、離型処理後の接触角が低いモスアイ用型を反射防止膜の製造に用いると、所望のモスアイ構造を形成できないことがある。
以下に示すように、陽極酸化およびエッチングを行った後、2日間〜23日間大気中に放置した場合でも、溶剤および離型剤を付与する前にモスアイ用型の表面を洗浄することにより、洗浄しない場合に比べ、離型処理後のモスアイ用型の表面の水に対する接触角を高くすることができる。
以下、異なる洗浄方法により洗浄したモスアイ用型の、離型処理後の表面の水に対する接触角を調べた実験結果を示す。ここでは、洗浄方法として、エキシマUV光の照射、超純水を用いた流水洗浄、還元性電解イオン水を用いた浸漬洗浄、アセトンを用いた浸漬洗浄、リン酸を用いた浸漬洗浄を検討した。
以下に示すように、モスアイ用型を、陽極酸化およびエッチングを行って作製した後に2日間または23〜24日間大気中に放置した。その後、モスアイ用型を洗浄した後、離型処理を施し、離型処理後の表面の水に対する接触角を調べた。本発明者の検討によると、ポーラスアルミナ層を1週間以上放置すると、表面に存在する含水アルミナ、アルミニウム−シュウ酸キレート、シュウ酸塩のうちのほとんどが大気中の水分と反応して水和物が形成されることがわかった。放置する日数を23〜24日間とし、上記の含水アルミナ等のほとんどを反応させた。
まず、上記実施例1と同様の陽極酸化条件およびエッチング条件でモスアイ用型を作製した。
得られたモスアイ用型を2日間大気中に放置した後、上記いずれかの洗浄方法により洗浄した。その後、上記実施例1と同様の方法により、乾燥、ベーク、溶剤付与、離型剤付与、ベーク、リンス、乾燥、およびベークをこの順に行った。なお、エキシマUV光を照射することにより洗浄したモスアイ用型については、洗浄後にモスアイ用型の表面を乾燥する工程およびベーク工程は行わなかった。
その後、モスアイ用型の表面の水に対する接触角を測定した。接触角は協和界面科学社製のポータブル接触角計を用いて測定した。
表1に、2日間大気中に放置した後、上記いずれかの洗浄工程を行った後に離型処理を行ったモスアイ用型12e、12j、12k、12rの接触角、および洗浄工程を行うことなく離型処理を行ったモスアイ用型12nの接触角を示す。モスアイ用型12eには、エキシマUV(波長172nm、100W、150sec)を照射することにより洗浄を行った。エキシマUV洗浄は、ウシオ電機株式会社製のエキシマ光照射ユニットを用いて行った。モスアイ用型12jには、超純水を用いて流水洗浄(60sec)を行った。モスアイ用型12kには、還元性電解イオン水に浸漬後に純水を用いて洗浄(30sec)を行った。モスアイ用型12rには、リン酸(1mol/L)に浸漬後に純水で洗浄(30sec)を行った。
Figure 2011111669
表1に示すように、2日間大気中に放置した後、洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型12nの離型処理後の表面の、水に対する接触角は134.7°であった。一方、洗浄工程を行った後に離型処理を行うことにより、モスアイ用型12e、12j、12k、12rの、離型処理後の接触角を140°以上とすることができた。このように、洗浄工程を行うことにより、離型処理後の接触角を、洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型12nに比べ高くすることができた。上記のように、モスアイ用型を大気中に放置することにより、モスアイ用型の表面に水和物が形成されたと考えられるが、洗浄工程を行うことにより、水和物を除去でき、離型処理後の接触角を高くすることができたと考えられる。
また、表1から、特に、還元性電解イオン水を用いた洗浄を行ったモスアイ用型12kおよびリン酸を用いた洗浄を行ったモスアイ用型12rは離型処理後の接触角が高かったことがわかる。従って、特に、還元性電解イオン水を用いた洗浄およびリン酸を用いた洗浄を行うことにより、離型処理後の接触角を高くする効果が得られることがわかる。
表2に、23日間大気中に放置し、エキシマUV洗浄(100W、300sec)を行った後、離型処理を行った5つのモスアイ用型13e1〜13e5の接触角を示す。なお、プロセスの安定性を調べるため、モスアイ用型13e1〜13e5については、同じ条件で洗浄および離型処理を施した。
Figure 2011111669
また、表3に、23日間大気中に放置した後、アセトンによる超音波洗浄(160kHz、300sec)および離型処理を行った7つのモスアイ用型13a1〜13a7の接触角を示す。なお、プロセスの安定性を調べるため、モスアイ用型13a1〜13a7については、同じ条件で洗浄および離型処理を施した。表3には、23日間放置した後、超純水による流水洗浄および離型処理を施したモスアイ用型13jの接触角、および洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型13nの接触角も併せて示す。
Figure 2011111669
23日間放置した後、洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型13n(表3)の、離型処理後の接触角は134.4°であった。表2および3からわかるように、エキシマUV洗浄を行った後に離型処理を施したモスアイ用型13e1〜13e5、アセトンによる脱脂洗浄を行った後に離型処理を施したモスアイ用型13a1〜13a7、超純水を用いた流水洗浄を行った後に離型処理を施したモスアイ用型13jのうち、モスアイ用型13a6は、洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型13nより、離型処理後の表面の水に対する接触角が低かったが、モスアイ用型13a6以外は、モスアイ用型13nより離型処理後の表面の水に対する接触角が高かった。また、23日間放置した後、超純水を用いた流水洗浄を行ったモスアイ用型13jの、離型処理後の接触角を最も高くすることができた。エキシマUV洗浄やアセトンを用いた洗浄においては、主に有機物が除去される。超純水を用いた流水洗浄では、有機物以外の異物も効果的に除去することができたことにより、離型処理後の接触角を高くすることができたと考えられる。
なお、表2からわかるように、23日間放置したモスアイ用型に対し、エキシマUV洗浄を行ったモスアイ用型13e1〜13e5は、離型処理後の水に対する接触角を、洗浄工程を行わずに離型処理を施したモスアイ用型13nに比べ3°以上高くすることができた。一方、上記のようにアセトンを用いた洗浄を行った後に離型処理を施したモスアイ用型13a1〜13a7(表3)のうち、モスアイ用型13a1、13a2、13a3、13a4、13a5、13a7はモスアイ用型13nより接触角を高くすることができたが、モスアイ用型13a6の接触角は、洗浄を行わずに離型処理を施したモスアイ用型13nより低かった。アセトンを用いた洗浄と、エキシマUV洗浄とを比較すると、エキシマUV洗浄を行ったモスアイ用型13e1〜13e5のうち、13e2以外は、アセトンを用いた洗浄を行ったモスアイ用型13a1〜13a7の離型処理後の接触角より接触角が高かった。従って、エキシマUV洗浄を行うことにより、アセトンを用いた洗浄を行う場合に比べ離型処理後の接触角を高くすることができる。また、アセトンを用いた洗浄は、エキシマUV洗浄に比べ、離型処理後の接触角のばらつきが大きかった。従って、アセトンを用いた洗浄とエキシマUV洗浄とを比較すると、エキシマUV洗浄のほうが、プロセスの安定性が高い。これらのことから、エキシマUV洗浄は、アセトンを用いた洗浄に比べ有利であることがわかる。
表4に、24日間放置した後、エキシマUV洗浄を150sec行ったモスアイ用型14e、超純水を用いて流水洗浄を60sec行ったモスアイ用型14j、還元性電解イオン水を用いて洗浄を30sec行ったモスアイ用型14k、リン酸を用いて30sec洗浄を行ったモスアイ用型14rの、離型処理後の水に対する接触角を示す。
Figure 2011111669
24日間大気中に放置した後にエキシマUV洗浄を行ったモスアイ用型14eの離型処理後の接触角(表4)は、2日間放置した後にエキシマUV洗浄を行ったモスアイ用型12e(表1)、および23日間放置した後にエキシマUV洗浄を行ったモスアイ用型13e1〜13e5(表2)より低かった。24日間放置した後に超純水を用いた洗浄を行ったモスアイ用型14j、還元性電解イオン水を用いた洗浄を行ったモスアイ用型14k、リン酸洗浄を行ったモスアイ用型14rについても同様に、2日間放置したモスアイ用型、または23日間放置したモスアイ用型より接触角が低かった(表1、3および4)。すなわち、24日間放置した場合は、2日間放置した場合(表1)や23日間放置した場合(表2および3)に比べ、洗浄することによる離型処理後の接触角を高くする効果は小さかった(表4)。なお、エキシマUV洗浄(14e)、超純水を用いた洗浄(14j)、還元性電解イオン水を用いた洗浄(14k)、およびリン酸を用いた洗浄(14r)を比較すると、還元性電解イオン水を用いた洗浄を行うことにより、離型処理後の接触角を最も高くすることができた。
このように、表1の結果から、離型処理後の接触角を高くする、すなわち離型処理の効果を高めるという観点からは、還元性電解イオン水を用いた洗浄およびリン酸を用いた洗浄が特に好ましいことがわかった。また、表2および表3の結果から、23日間放置した場合、エキシマUV洗浄、アセトンを用いた脱脂洗浄、および超純水による流水洗浄を比較すると、超純水による流水洗浄を行うことにより、離型処理の効果を最も高めることができることがわかった。なお、エキシマUV洗浄とアセトンを用いた洗浄とを比較すると、エキシマUV洗浄のほうが接触角を高くする効果が安定して得られるので有利であることがわかった。
上記のことから、陽極酸化およびエッチングを行った後、例えば48時間以内に離型処理を施さなかった場合でも、溶剤および離型剤を付与する前にモスアイ用型を洗浄することにより、離型処理後のモスアイ用型の表面の接触角を高くすることができる。すなわち、溶剤および離型剤を付与する前にモスアイ用型を洗浄することにより、離型処理の効果を高めることができる。なお、特に、放置する日数が23日以内のときは、洗浄することにより、離型処理の効果を高めることができる。
なお、還元性電解イオン水は、例えば、pH12以上のアルカリイオン水に、1〜3価のアルコールを、60重量%未満混合したものである。還元性電解イオン水としては、例えば、淀川ヒューテック社製の安全還元性高機能イオン洗浄水SKクリーナーを用いることができる。還元性電解イオン水は、アルカリイオン水が有する剥離能力と、アルコールが有する脱脂能力とを兼ね備えるので、洗浄力が高い。アルカリイオン水は、マイナスイオンを多く含んでおり、基質(ここではモスアイ用型)の表面の汚れをプラスイオン化するとともに、汚れの表面および基質の表面をマイナスイオンで覆うことにより、汚れと基質の表面とを電気力による反発作用で引き離し、汚れを除去することができる。上記アルカリイオン水は、例えば、食塩水および他のミネラル成分の電解質水溶液を電気分解することにより製造される。
次に、モスアイ用型100に付着した異物を除去する効果を検討した結果を説明する。ここで、モスアイ用型100の表面に付着した異物の光学顕微鏡像を図5(a)〜(d)に示す。図5(a)〜(d)に示す異物は、上記実施例1と同様の条件で作製したモスアイ用型の表面に見られたものである。図5(a)に示す異物は、例えばガラスのような無機物であると考えられる。このような異物は、モスアイ用型の10cm×10cmの範囲に、23個見られた。なお、異物の量としては、日本エレクトロセンサリデバイス社製のラインセンサカメラSuFi74により、100μm2以上の大きさのものの量を測定した。また、図5(b)に示す異物は、浮遊ダスト等の有機系の上乗り異物であると考えられる。このような異物は、10cm×10cmの範囲に18個見られた。図5(c)に示す異物は、着衣の繊維や毛髪、カビ等に起因する繊維状の異物であると考えられる。このような異物のうち、長さが200μm以上のものが、10cm×10cmの範囲に5個見られた。また、図5(d)に示す異物は、唾液、指の油分、浮遊ミスト等の有機系の固着物であると考えられる。このような異物は、10cm×10cmの範囲に19個見られた。
エアと純水とを噴出するスリットを有する2流体ノズルを用いて、10cm×10cmのモスアイ用型のシャワー洗浄を行うことにより、異物の除去効果を調べた。10cm×10cmの基板上にアルミニウム膜を堆積した基材を用いて、上記実施例1と同様の方法によりモスアイ用型を作製した。エア圧および水圧は、いずれも0.4MPaとした。2流体ノズルの搬送速度は3.6m/minとした。日本エレクトロセンサリデバイス社製のラインセンサカメラSuFi74を用いて、洗浄前後の異物の個数を求めた。なお、ラインセンサの分解能は30μmとし、搬送速度は11m/minとした。結果を表5に示す。表5に示すように、無機系異物および有機系異物のそれぞれについて、4つの範囲の大きさの個数を調べた。
Figure 2011111669
表5に示すように、2次元的な大きさが30μm以上である異物の量を115個から58個に減少させることができた。特に、2次元的な大きさが30μm以上100μm未満の無機系異物および2次元的な大きさが100μm以上150μm未満の有機系異物を、半分以下に除去することができた。
また、図5に例示したような異物の除去効果を調べた。無機系の異物(例えば、図5(a))はほぼ除去できた。一方、有機系の異物については、除去が不十分なものもあった。繊維状の異物(例えば、図5(c))はほぼ除去することができた。一方、浮遊ダスト等の有機系上乗り異物、唾液や指の油分、浮遊ミスト等の有機系の固着物は、完全には除去できないものがあった。
図6に、モスアイ用型の表面の、指の油分に起因する異物が存在する部分の光学顕微鏡像を示す。図6(a)は、洗浄前の状態を示し、図6(b)は、図6(a)と同じ部分について、洗浄後の状態を示す。図6(a)および(b)において、白く見える部分が付着した油分である。図6(a)に比べ、図6(b)では、全体的に白く見える部分は薄くなっていることがわかる。図6に示すように、洗浄することにより、油分は、部分的には除去できたが、完全に除去することはできないものもあった。浮遊ダスト等の異物(例えば図5(b))についても同様に、除去できたものもあったが、除去できず薄くなっただけのものもあった。
有機系の異物は、例えば、オゾンナノバブル水に浸漬した状態で、UVを照射することにより、除去することができる。オゾンナノバブル水は、例えば、直径が1μm以下のオゾンの気泡を含む水溶液であり、有機物を除去する作用がある(例えば特許第4080440号参照)。オゾンナノバブル水は、例えば昭和薬品工業株式会社から入手できる。図7を参照して、オゾンナノバブル水を用いて異物を除去する作用を説明する。モスアイ用型100をオゾンナノバブル水に浸漬させると、図7(a)に示すように、オゾンナノバブル24が異物22とモスアイ用型100との間に侵入する。続いて、UV(例えば365nm)を照射すると、オゾンナノバブル24が破裂する(図7(b))。オゾンナノバブルが破裂した際の衝撃により、異物22がモスアイ用型100から剥離する(図7(c))。
2流体ノズルを用いたシャワー洗浄以外の洗浄方法による、無機系異物および有機系異物の除去効果を調べた。洗浄方法として、純水を用いた超音波洗浄、還元性電解イオン水を用いた超音波洗浄、リン酸洗浄、超純水を用いた1流体シャワー洗浄を行った。異物を除去する効果は、上記と同様のラインセンサカメラを用いて、洗浄前後の付着量を測定することにより調べた。図5(a)に例示したような無機系の異物は、還元性電解イオン水を用いた超音波洗浄、リン酸洗浄、および超純水を用いた1流体シャワー洗浄により除去することができた。これら3つの方法の異物を除去する効果は同程度であった。有機系の異物については、いずれの洗浄方法によっても、除去が困難な異物があった。上記の2流体ノズルを用いたシャワー洗浄と同様に、有機系の異物のうち、繊維状の異物はほぼ除去することができた。なお、上記と同様に、オゾンナノバブル水に浸漬した状態でUVを照射することにより、上記の有機系の異物を効果的に除去することができる。
次に、図8および図9を参照して、本発明による実施形態の離型処理装置の例を説明する。なお、ここでも、ロール状のモスアイ用型100に離型処理を施す装置を例に説明する。
図8は、本発明による実施形態の離型処理装置300の模式的な上面図である。図8に示すように、離型処理装置300は、受入/排出部310と、前洗浄部320と、コーティング処理部330と、検査部340とを有している。前洗浄部320では、モスアイ用型100の洗浄、乾燥が行われる。コーティング処理部330では、モスアイ用型100への溶剤の付与、離型剤の付与、ベーク、リンス、リンス後の乾燥およびベークが順次行われる。検査部340ではモスアイ用型100の検査が行われる。モスアイ用型100は、受入/排出部310に搬入された後、離型処理装置300内で、前洗浄部320、コーティング処理部330、検査部340、受入/排出部310の順に、搬送される。離型処理装置300は、例えば、スライダをさらに有し、モスアイ用型100をスライダにより搬送する。モスアイ用型100は、その後、受入/排出部310から排出され、例えば反射防止膜の製造に用いられる。
以下、図9(a)〜(c)を参照して、前洗浄部320、コーティング処理部330、および検査部340の具体的な構成例を説明する。図9(a)、(b)および(c)は、それぞれ、前洗浄部320、コーティング処理部330、および検査部340を模式的に示す図である。
図9(a)に示すように、前洗浄部320には、洗浄液を付与するシャワーノズル62a、エアーナイフ64a、シャワーノズル62aおよびエアーナイフ64aを昇降させる昇降機構72が設けられている。まず、モスアイ用型100は、スライダ70に設けられた吊り下げ機構74により吊り下げられて、受入/排出部310から前洗浄部320内に搬入される。吊り下げ機構74の下部には、回転機構71が設けられている。モスアイ用型100は、昇降機構72によりモスアイ用型100の長軸方向に移動するシャワーノズル62aから洗浄液を付与されることにより洗浄される。このとき、モスアイ用型100は、回転機構71により回転されることにより、モスアイ用型100の外周面全体に洗浄液が付与される。続いて、モスアイ用型100の長軸方向に移動するエアーナイフ64aにより、モスアイ用型100の表面に圧縮空気が吹きつけられ、モスアイ用型100の表面が乾燥される。このとき、モスアイ用型100を、回転機構71により回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体に圧縮空気が吹き付けられる。
例えば、直径が65mm、長さが370mmのロール状のモスアイ用型100の洗浄および乾燥を行うときは、シャワーノズル62aとエアーナイフ64aとの間隔は、100mmである。また、モスアイ用型100に洗浄液を付与した後、エアーナイフ64aにより圧縮空気を付与するまでの時間は、10secである。また、モスアイ用型100の上端から下端へと処理を行うとき、シャワーノズル62aから洗浄液を付与しながら、エアーナイフ64aから圧縮空気を吹き付けてもよい。シャワーノズル62aとエアーナイフ64aとは、一定の間隔を保って、モスアイ用型100の長軸に平行に移動する。例えば、シャワーノズル62aおよびエアーナイフ64aを、一定の間隔を保ったまま1.0cm/secで下向きに移動させる。このとき、モスアイ用型100は10rpmで回転させる。
図9(b)に示すように、コーティング処理部330には、モスアイ用型100の表面に溶剤を付与するスプレーノズル52、離型剤を付与するスプレーノズル54、シャワーノズル62b、エアーナイフ64b、これらを昇降させる昇降機構72、ヒータ66、リンス液槽76が設けられている。リンス液槽76には、シャワーノズル62bに供給されるリンス液が貯留されている。まず、モスアイ用型100は、スライダ70によりコーティング処理部330内に搬入される。コーティング処理部330は、モスアイ用型100を回転させながらスプレーノズル52、スプレーノズル54をモスアイ用型100の長軸方向に移動させ、上述した溶剤付与、離型剤付与を行う。続いて、ヒータ66により、ベークを行う。なお、上述した離型処理装置80(図4(a))では、溶剤ノズル82と離型剤ノズル84とを平行に移動させる場合を例示したが、コーティング処理部330においては、スプレーノズル52とスプレーノズル54とは、別の昇降機構により独立に移動させる。次に、シャワーノズル62bにより、モスアイ用型100の表面にリンス液を付与することによって、リンスを行う。その後、エアーナイフ64bにより例えば圧縮空気を吹き付けることによって、モスアイ用型100を乾燥する。その後、ヒータ66により、ベークを行う。コーティング処理部330では、リンス液槽76内にフィルタを設けることにより、上記のように、リンス液をろ過し、循環させてリンス液を再使用することができる。
例えば、上記と同様に、直径が65mm程度、長さ370mm程度のロール状のモスアイ用型100のコーティング処理を行う場合には、スプレーノズル52によりモスアイ用型100の外周面全体に溶剤を付与した後、60秒間経過した後にスプレーノズル54により離型剤を付与する。溶剤は、流量0.06L/sec、噴射角度30°、噴射圧力0.2〜0.4MPa、1回あたり180秒間付与される。離型剤は、流量0.008L/sec、噴射角度30°、霧化エアの噴射圧力0.4MPa、パターンエアの噴射圧力0.3MPaで付与される。離型剤の付与時間は、例えば、離型剤を3回付与するときは、1回あたり37秒間、合計111秒間である。
ここでは、スプレーノズル52とスプレーノズル54とを独立に移動させる場合を例示したが、スプレーノズル52およびスプレーノズル54を、一定の間隔を保ったまま移動させてもよい。このとき、スプレーノズル52およびスプレーノズル54は、例えば、10cm/sで移動させる。
また、シャワーノズル62bとエアーナイフ64bとの間隔は、例えば100mmである。また、モスアイ用型100にリンス液を付与した後、エアーナイフ64bにより圧縮空気を付与するまでの時間は、10secである。また、シャワーノズル62bおよびエアーナイフ64bを、一定の間隔を保ったまま1.0cm/sで下向きに移動させる。
図9(c)に示すように、検査部340は、照明装置68と、カメラ79と、照明装置68およびカメラ79を昇降させる昇降機構78とを有している。検査部340では、スライダ70により検査部340に搬入されたモスアイ用型100を回転させながら、照明装置68およびカメラ79をモスアイ用型100の長軸方向に移動させて、モスアイ用型100の外周面全体を検査する。検査部340では、例えば、照明装置68によりモスアイ用型100の外周面に光を照射し、カメラ79により付着異物の検査を行う。
例えば、上記と同様に、直径が65mm程度、長さ370mm程度のロール状のモスアイ用型100の検査を行うときは、照明装置68およびカメラ79は、1.0cm/sで下向きに移動させ、モスアイ用型100は10rpmで回転させる。
次に、図10を参照して、離型剤を付与する前の洗浄および乾燥を行う洗浄乾燥装置を説明する。図10(a)は、洗浄乾燥装置90の模式的な図である。また、図10(b)は、洗浄乾燥装置90の気体吹き付け部94および突出部96の内周面を模式的に示す図である。
図10(a)に示すように、洗浄乾燥装置90は、洗浄ノズル92と、気体吹き付け部94とを有している。洗浄ノズル92は、例えば、洗浄液を噴出するスプレーノズルである。気体吹き付け部94は、複数の噴出し孔98を有している。気体吹き付け部94は、例えばリング状であり、内周面の直径が、ロール状のモスアイ用型100の外周面の直径より大きい。洗浄乾燥装置90は、図10(a)に示すように、さらに突出部96を有していることが好ましい。突出部96は、洗浄ノズル92と、気体吹き付け部94との間に設けられている。突出部96は、気体吹き付け部94の噴出し孔98が形成されている面から、モスアイ用型100の外周面に向かう方向に突出するように形成されている。例えば、図10(a)に示すように、気体吹き付け部94と突出部96とは一体に形成されており、突出部96はリング状であり、気体吹き付け部94の内周面より内側に突出する形状を有している。突出部96には、図10(b)に示すように、浮遊ミストを吸引する孔97が設けられていることが好ましい。浮遊ミストを吸引する孔97は、例えば、図10(b)に示すように、突出部96の内周面に設けられたスリット状の孔である。
洗浄ノズル92は、モスアイ用型100の長軸方向に下降しながら、洗浄液を付与する。同時に、モスアイ用型100を図示しない回転機構により回転させることにより、モスアイ用型100の外周面全体を洗浄することができる。気体吹き付け部94は、例えば複数の噴出し孔98から窒素ガスを噴出し、洗浄液が付与された部分を、下降しながら乾燥する。洗浄乾燥装置90では、気体吹き付け部94の内周面より内側に突出する突出部96が設けられていることにより、洗浄ノズル92から出た洗浄液の液滴の、気体吹き付け部94側への浮遊を防止できる。
また、図10(b)に示すように、突出部96の内周面に浮遊ミストを吸引する孔97を設けておくことにより、例えば気体吹き付け部94による気体の吹き付けにより発生する浮遊ミストの、モスアイ用型100への付着を防止できる。突出部96内には、例えば図示しない吸引ファンが設けられており、浮遊ミストを吸引する孔97に浮遊ミストが吸引される。なお、気体吹き付け部94および突出部96は、リング状であり、ロール状のモスアイ用型100の外周面を周回するように配置されているので、モスアイ用型100の乾燥および浮遊ミストの付着の防止を効率的に行うことができる。また、洗浄乾燥装置90では、図10(a)に破線矢印で示すように、ダウンフローを発生させることにより、ミストの浮遊を効果的に抑制できる。
洗浄乾燥装置90では、モスアイ用型100を回転させながら、気体吹き付け部94を鉛直方向下方に移動させることにより、モスアイ用型100の外周面に対し、鉛直方向下方に進む螺旋状に気体を吹き付ける。その結果、洗浄液の液滴を鉛直方向下方に吹き飛ばすことができる。
気体吹き付け部94の複数の噴出し孔98は、段違いに配置されている。すなわち、図10(b)に示すように、複数の噴出し孔98は、互いに高さの異なる第1噴出し孔98aおよび第2噴出し孔98bを有している。第1噴出し孔98aは、第2噴出し孔98bに比べ、鉛直方向上方に配置されている。また、第1噴出し孔98aおよび第2噴出し孔98bは、図10(b)に示すように、気体吹き付け部94の内周面に、交互に配置されている。例えば、気体吹き付け部94に、複数の噴出し孔98に代えて、ロール状のモスアイ用型を周回するように設けられたエアーナイフを設けたときは、エアーナイフから吹き付けられた気体により鉛直方向上方に吹き上げられる液滴が型に再付着しやすい。上方に吹き上げられた液滴は、エアーナイフから噴き出される気体により形成される、シート状の気体のカーテンが障壁となり、鉛直方向下方に移動することができず、型に再付着することがある。特に、気体吹き付け部の移動速度が比較的速いときは、液滴の再付着が発生しやすい。図10(a)および(b)に示す気体吹き付け部94のように、高さの異なる第1噴出し孔98aおよび第2噴出し孔98bが交互に配置されていると、洗浄液の液滴が吹き上げられたときでも、第1噴出し孔98aと第2噴出し孔98bとの間から、液滴を落下させることができる。従って、効率的に液滴を除去することができる。
例えば、直径が65mm程度、長さ370mm程度のモスアイ用型100の洗浄および乾燥を行う洗浄乾燥装置90の、気体吹き付け部94の内周面の直径は79mm程度である。このとき、洗浄ノズル92は、気体吹き付け部94から100mm程度離れていることが好ましく、突出部96は、気体吹き付け部94の内周面から、1mm程度突出していることが好ましい。洗浄ノズル92により洗浄液が付与された後、気体吹き付け部94により窒素ガスが吹き付けられるまでの時間は、例えば10secである。また、洗浄ノズル92、気体吹き付け部94、突出部96は、1.0cm/sで下向きに移動させる。このとき、モスアイ用型100は10rpmで回転させる。第1噴出し孔98aと第2噴出し孔98bとの高さの差は、例えば50mm程度である。また、第1噴出し孔98aおよび第2噴出し孔98bは、気体吹き付け部94の内周面に、例えばいずれも14個配置される。
次に、図11を参照して、モスアイ用型の製造工程を説明する。図11(a)〜(e)は、モスアイ用型の製造方法を説明するための模式的な断面図である。なお、以下では、基板16と、基板16上に堆積されたアルミニウム膜18とを有するアルミニウム基材10を用いて陽極酸化およびエッチングを行うことにより平板状のモスアイ用型を作製する場合を例示する。
まず、図11(a)に示すように、アルミニウム基材10を用意する。アルミニウム基材10は、基板16と、基板16上に堆積されたアルミニウム膜18とを有する。
次に、図11(b)に示すように、基材10の表面(アルミニウム膜18の表面18s)を陽極酸化することによって複数の細孔14p(微細な凹部)を有するポーラスアルミナ層14を形成する。ポーラスアルミナ層14は、細孔14pを有するポーラス層と、バリア層とを有している。ポーラスアルミナ層14は、例えば、酸性の電解液中で表面18sを陽極酸化することによって形成される。ポーラスアルミナ層14を形成する工程で用いられる電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、アルミニウム膜18の表面18sを、蓚酸水溶液(濃度0.06wt%、液温5℃)を用いて、印加電圧80Vで30秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層14を形成する。陽極酸化条件(例えば、電解液の種類、印加電圧)を調整することにより、細孔間隔、細孔の深さ、細孔の形状等を調節できる。なお、ポーラスアルミナ層の厚さは適宜変更され得る。アルミニウム膜18を完全に陽極酸化してもよい。
次に、図11(c)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより細孔14pの孔径を拡大する。ここで、ウェットエッチングを採用することによって、細孔壁およびバリア層をほぼ等方的にエッチングすることができる。エッチング液の種類・濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、細孔14pの大きさおよび深さ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10質量%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸の水溶液やクロム燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、燐酸(濃度1mol/L、液温30℃)を用いて25分間エッチングを行うことにより、細孔14pを拡大する。
次に、図11(d)に示すように、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、細孔14pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くする。ここで細孔14pの成長は、既に形成されている細孔14pの底部から始まるので、細孔14pの側面は階段状になる。
さらにこの後、必要に応じて、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによってさらにエッチングすることにより細孔14pの孔径をさらに拡大する。エッチング液としては、ここでも上述したエッチング液を用いることが好ましく、現実的には、同じエッチング液を用いればよい。
このように、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を繰り返すことによって、図11(e)に示すように、所望の凹凸形状を有するポーラスアルミナ層14を有するモスアイ用型100が得られる。この後、モスアイ用型100は、例えば図1を参照して説明した方法により離型処理が施された後に、反射防止膜の製造に用いられる。
なお、上記では、基板16と、基板16上に堆積されたアルミニウム膜18とを有するアルミニウム基材10を用いて、平板状のモスアイ用型を作製する場合を例に説明したが、ロール状のモスアイ用型は、例えばロール状の支持体(例えばステンレス鋼製の管)と、ロール状の支持体上に形成されたアルミニウム膜とを有するアルミニウム基材を用いて陽極酸化およびエッチングを行うことにより、作製することができる。また、ロール状のモスアイ用型は、基板16として可撓性を有する高分子フィルムを用いて、高分子フィルム上にアルミニウム膜を形成し、アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによりポーラスアルミナ層を形成した後、高分子フィルムを、ロール状の支持体の外周面に固定することによっても作製することができる。
次に、図12を参照して、本発明による実施形態の反射防止膜の製造方法を説明する。図12は、ロール・ツー・ロール方式により反射防止膜を製造する方法を説明するための模式的な断面図である。
まず、ロール状のモスアイ用型100を用意する。例えば図1を参照して説明した方法により離型処理が施されたモスアイ用型100を用意する。
次に、図12に示すように、紫外線硬化樹脂32’が表面に付与された被加工物42を、モスアイ用型100に押し付けた状態で、紫外線硬化樹脂32’に紫外線(UV)を照射することによって紫外線硬化樹脂32’を硬化する。紫外線硬化樹脂32’としては、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。被加工物42は、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムである。被加工物42は、図示しない巻き出しローラから巻き出され、その後、表面に、例えばスリットコータ等により紫外線硬化樹脂32’が付与される。被加工物42は、図12に示すように、支持ローラ46および48によって支持されている。支持ローラ46および48は、回転機構を有し、被加工物42を搬送する。また、ロール状のモスアイ用型100は、被加工物42の搬送速度に対応する回転速度で、図12に矢印で示す方向に回転される。
その後、被加工物42からモスアイ用型100を分離することによって、モスアイ用型100の凹凸構造(反転されたモスアイ構造)が転写された硬化物層32が被加工物42の表面に形成される。表面に硬化物層32が形成された被加工物42は、図示しない巻き取りローラにより巻き取られる。
なお、反射防止性能の優れた反射防止膜を形成するためには、モスアイ用型100の細孔14pは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが10nm以上500nm未満であることが好ましく(上記特許文献1、2および4)、50nm以上500nm未満であることがさらに好ましい。
以上、モスアイ用型に離型処理をする場合を例に説明したが、本発明による実施形態の離型処理方法は、モスアイ用型以外の、表面にポーラスアルミナ層を有する型の離型処理にも用いることができる。例えば、フォトニック液晶を形成する型の離型処理に用いることができる。
本発明による離型処理方法は、反射防止膜、フォトニック結晶などの形成のための型の離型処理方法として用いることができる。
12 支持体
14 ポーラスアルミナ層
14p 細孔
18 アルミニウム膜
52、54 スプレーノズル
80 離型処理装置
82 溶剤ノズル
84 離型剤ノズル
86 付与室
88 溶剤槽
90 洗浄乾燥装置
92 洗浄ノズル
94 気体吹き付け部
98 噴出し孔
100 モスアイ用型

Claims (12)

  1. (a)離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤と、表面にポーラスアルミナ層を有する型とを用意する工程と、
    (b)前記型の前記表面に、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を付与する工程と、
    (c)前記工程(b)の後に、前記型の前記表面に前記離型剤をスプレーコート法によって付与する工程と、
    を包含する、離型処理方法。
  2. 前記工程(b)で用いられる前記溶剤は、前記離型剤に含まれる前記溶剤と同じ溶剤である、請求項1に記載の離型処理方法。
  3. 前記離型剤に含まれる前記溶剤はフッ素系溶剤である、請求項1または2に記載の離型処理方法。
  4. 前記工程(c)は、前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤の雰囲気中で行われる、請求項1から3のいずれかに記載の離型処理方法。
  5. (d)前記工程(c)の後に、前記型の前記表面をリンスする工程をさらに包含する、請求項1から4のいずれかに記載の離型処理方法。
  6. (e)前記工程(c)と前記工程(d)との間に、前記型の前記表面をベークする工程をさらに包含する、請求項1から5のいずれかに記載の離型処理方法。
  7. (f)前記工程(a)と(b)との間に、前記型の前記表面を洗浄する工程を包含する、請求項1から6のいずれかに記載の離型処理方法。
  8. 前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する、請求項1から7のいずれかに記載の離型処理方法。
  9. 表面にポーラスアルミナ層を有し、
    請求項1から8のいずれかに記載の離型処理方法によって離型処理されている型。
  10. 請求項9に記載の型と、被加工物とを用意する工程と、
    前記型と前記被加工物の表面との間に紫外線硬化樹脂を付与した状態で、前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することによって前記紫外線硬化樹脂を硬化する工程と、
    を包含する、反射防止膜の製造方法。
  11. 型の表面を離型処理する装置であって、
    離型性を有するフッ素系化合物と溶剤とを含む離型剤を、型の表面に付与する離型剤ノズルと、
    前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤を、型の表面に付与する溶剤ノズルと、
    前記離型剤ノズルと前記溶剤ノズルとが配置された付与室と、
    前記フッ素系化合物を溶解することができる溶剤が貯留された溶剤槽とを備え、
    前記溶剤槽内の溶剤が気化することにより、前記付与室内に前記溶剤の雰囲気が形成され、
    前記型の前記表面に前記溶剤ノズルにより前記溶剤が付与された後に、前記付与室内において、前記離型剤ノズルは、前記型の前記表面に前記離型剤をスプレーする、離型処理装置。
  12. 型の表面の洗浄乾燥装置であって、
    型の表面に洗浄液を付与する洗浄ノズルと、
    前記型の前記表面に気体を吹き付ける複数の噴出し孔を有し、前記型の前記表面のうち、前記洗浄ノズルにより付与された洗浄液により洗浄された部分に気体を吹き付けることによって、前記部分を乾燥させる気体吹き付け部とを備え、
    前記複数の噴出し孔は、段違いに配置されている、洗浄乾燥装置。
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