JP2020184002A - 光学素子の製造方法、光学素子、撮像装置、および光学機器 - Google Patents

光学素子の製造方法、光学素子、撮像装置、および光学機器 Download PDF

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【課題】 良好な反射防止特性を有する光学素子を簡便に作製可能な製造方法を提供する。【解決手段】 アルミニウムを含む膜を形成する工程と、前記アルミニウムを含む膜をファインバブルを含む温水に接触させる工程と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、レンズ等の光学素子の製造方法および光学素子、撮像装置、および光学機器に関する。
可視光領域の波長以下の微細凹凸構造を用いた反射防止構造体は、適切なピッチ、高さの微細構造を形成することにより、広い波長領域ですぐれた反射防止性能を示すことが知られている。
微細凹凸構造を形成する方法としては、アルミニウムを主成分とした膜を形成した後に膜を水蒸気あるいは温水に接触させる処理(温水処理)により、酸化アルミニウムの結晶を基材上に成長させて反射防止効果を得ることも知られている。アルミニウムを主成分とした膜の形成方法としては、ゾルゲル膜を液層成膜や金属アルミニウムやアルミナを気相成膜する方法が提案されている。温水処理することにより表層をベーマイト化して微細構造を形成する方法では、表面から酸化アルミニウムが溶出し微細構造が形成される(特許文献1)。
このように作製された微細構造を有する反射防止膜は、構造やサイズの制御に限界がある。そのため、より反射防止性能を高めるためには様々な工夫がなされてきた。たとえば高い反射防止性能を得るための手法として、酸化アルミニウムの屈折率および酸化アルミニウム含有量を規定する、などの手法が知られている(特許文献2)。
特開平9−202649号公報 特開2017−151200号公報
近年、デジタル性能の高度化に伴い、より厳しい製品性能が求められる。一方、製品の多様化、低価格化の波に対応するためには、製造工程の簡略化も求められるが、温水処理時の基材の投入スピード、基材と温水との温度差などにより生じる温水接触面の温度ムラにより、良好な反射防止性能が得られない場合があった。本発明は、この様な従来の問題点に鑑みてなされたものであり、いかなる条件であっても良好な反射防止特性を有する光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光学素子の製造方法は、最表面に多数の突起による凹凸構造を有する反射防止膜を含む光学素子の製造方法であって、アルミニウムを含む膜を形成する工程と、前記アルミニウムを含む膜をファインバブルを含む温水に接触させる工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の光学素子は、最表面に多数の突起による凹凸構造を有する光学素子であって、前記多数の突起の中の一部は、空隙部を囲むように基材と並行方向に曲がる曲線部を有することを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、上記の光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備えることを特徴とする。
また、本発明の光学機器は、上記の光学素子を通過した光によって画像を生成することを特徴とする。
本発明によれば、良好な反射防止特性を有する光学素子を簡便に作製可能な製造方法を提供することができる。
本発明の光学素子の一実施形態を示す概略図。 泡がベーマイト成長に作用する想定メカニズムを説明する図 泡が水玉部を形成する想定メカニズムを説明する図 反射率グラフ 実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部周辺の光学顕微鏡観察像 比較例1で作成した反射防止膜の温水により発生したムラの光学顕微鏡像を画像処理によりコントラストを強調した図 実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部のS−TEM断面観察像(20万倍) 実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部外の周辺領域のS−TEM断面観察像(20万倍) 実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部のS−TEM断面観察像(10万倍)および得られた画像をImage−Jにて画像処理することにより得られた画像 実施例1から3に用いたファインバブル水の泡個数計測結果のグラフ 本発明の撮像装置の一例を示した概略図 本発明の撮像装置の一例を示した概略図
以下、本発明の光学素子の一例である実施形態について図1に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の光学素子を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の光学素子は、基材1の表面に反射防止膜10が形成されている。
(反射防止膜)
図1において、1は、基材である。10は、反射防止膜である。反射防止膜10の最表層は微細な凹凸構造からなっている。2は、酸化アルミニウムの結晶を含む微細な凹凸構造を有する層である。この層を、本実施形態においては、結晶層と称することとする。
本実施形態の凹凸構造は、多数の突起6を有し、多数の突起6の中の一部(凹凸構造の凸部の一部)が、基材と並行方向に向かって曲がる曲線部4を有している。また、曲線部4の下部に直径50nm以上120nm以下の空隙部5を有している。つまり、凹凸構造を形成する多数の突起6(凸部)の中の一部は、直径50nm以上120nm以下の空隙部5を囲むように、基材と並行方向に向かって曲がる曲線部4を有している。この曲線部4および空隙部5は、S−TEMによる断面観察から確認可能である。暗視野観察により曲線部、明視野観察により空隙部を確認することができる。さらには画像処理ソフトにより、コントラスト調整、周波数フィルタなどの機能を用いることにより、より確認を容易にすることができる。
(基材)
本実施形態の光学素子で用いられる基材1は、ガラス、プラスチック基材、ガラスミラー、プラスチックミラー等が挙げられる。
ガラス材料としては、アルカリ含有ガラス、無アルカリガラス、アルミナケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウム系ガラス、ランタン系ガラス、チタン系ガラス、フッ素系ガラスなどがあげられる。
プラスチック基材の代表的なものとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂のフィルムや成形品があげられる。また、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂のフィルムや成形品があげられる。さらに、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂など各種の熱硬化性樹脂から得られる架橋フィルムや架橋した成形品等が挙げられる。
基材1として、図1においては平面レンズの場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、自由曲面レンズなどの形状の光学部材でも良い。
また、基材1は、結晶層2との間に、単層、または複数層の膜による中間層を有していてもよい。これにより、さらなる反射防止性能の向上を可能にする。本実施形態における反射防止特性とは、例えば、2つの意味を有する。1つ目は反射防止膜の全体において微細凹凸構造の成長差により生じる面内バラツキが少ないこと、2つ目は反射率が低いことである。
また、本実施形態の光学素子10は、以上説明した膜の他に、各種機能を付与するための膜をさらに設けることができる。
(凹凸構造の反射防止膜を有する光学素子の形成方法)
本実施形態に係る光学素子の製造方法は、基材表面に反射防止膜が形成された光学素子の製造方法であって、以下の2工程を含むことを特徴としている。
(a)基材上にアルミニウムを含む層を形成する工程。
(b)前記アルミニウムを含む層を、ファインバブルを含む水を用いた温水に浸漬処理する工程。
前記アルミニウムを含む膜の表面を、ファインバブルを含む温水に接触させることにより、酸化アルミニウムの結晶を形成する。温水は、60℃以上100℃以下の範囲とし、温水中に5分乃至24時間接触させた後、乾燥させる。より好ましくは5分乃至60分接触させた後、乾燥させる。
本実施形態の光学素子1は、以上説明した工程の他に、各種機能を付与するための膜をさらに設ける工程を含むことができる。例えば、基材には、反射防止膜との間に、さらに単層、または複数層の膜を中間層として設けることもできる。これにより、さらなる反射防止性能の向上を可能にする。
このような中間層としては、反射防止膜の見かけの屈折率と基体の屈折率の中間の屈折率を有する固体膜が好ましく用いられる。具体的には金属化合物のような無機物、或いは、ポリイミドに代表される樹脂のような有機物であり得る。
無機材料からなる中間層を形成する方法は蒸着やスパッタなどの真空製膜法、金属酸化物前駆体ゾルの塗布によるゾル−ゲル法などが挙げられる。
有機材料からなる中間層を形成する方法は、主にその溶液を塗布により形成するウェットコート法などが挙げられる。また、中間層をウエット工程で作製する場合、適宜乾燥工程を入れてもよい。
(ファインバブル)
ファインバブル(以下FB)とは、直径100μm以下程度の泡のことであり、そのうち、1μm以上100μm未満をマイクロバブル、1μm未満をウルトラファインバブル(UFB)と定義される。
FB技術は、まだ新しい技術領域であるが、国際標準化を推進し認証を担うための機関として一般社団法人ファインバブル産業会が設立されている。また、2013年には、国際標準化機構(ISO)に日本を幹事国とした専門委員会TC281(ファインバブル技術)が新設されている。
本発明においては、FBの中でも特にUFB領域を用いるのが好適である。UFBの泡は浮き上がることなく、水の動きに漂っており、マイナスに帯電していると言われている。泡の寿命は数日、保管状況が良いと、数カ月〜1年は存在可能と言われている。加温したのちでも泡は消失しない。
本発明において用いるファインバブルを含んだ水は、平均気泡径50nm以上20μmの気泡であることが望ましい。これは、凹凸構造の成長過程、あるいは最終的に形成される構造高さに近しい範囲であることから、成長阻害となりにくい領域であることから好適である。
ファインバブルを含んだ水1ml中の泡の個数は、0.01×10個/ml以上100×10個/ml以下であることが望ましい。これは、少なすぎると泡の存在確率が得られず、凹凸構造の成長を抑制するだけの衝突頻度が得られない。また、多すぎると衝突頻度が多すぎ、あるいは泡の集結により、全体的あるいは局所的に微細凹凸構造の成長が進まず、望ましい反射防止性能が得られなくなる。
気泡に含まれる気体は水のpHに影響を及ぼすものでなければ特に限定されないが、一例としては空気、窒素、アルゴン等を好ましく用いることができる。これは、pH変化による酸化アルミニウムの溶解、析出によるベーマイト化のバランスが崩れてしまい、凹凸構造の形成に悪影響を及ぼすことを防ぐためである。
ファインバブルを含む水の生成には、所定の気泡が生成できるものであればどのような装置、手段を利用しても良く、特に限定されない。例えば高圧で気体を水に溶解させた後、ノズルからタンクに貯留した水中に噴射して圧力を開放することで微細な気泡を生成する加圧溶解方式や、気泡径数μm程度の気泡を含む水を高速撹拌し気泡を細かくせん断方式などが知られている。また、これらを装置化した各種の微細気泡水発生装置が市販されている。本発明においてもこれらの市販の装置を利用することができる。
(ファインバブルの作用)
図2は本実施形態における凹凸構造形成過程において、泡が酸化アルミニウムの結晶(ベーマイト)の成長に作用すると想定するメカニズムを説明する図である。
図3は本実施形態における凹凸構造形成過程において、水玉部を形成するメカニズムを説明する図である。
図4は本実施形態における良好な反射防止特性を示すメカニズムを説明するための図である。
本実施形態における酸化アルミニウムの結晶を含む微細な凹凸構造を有する層を有する反射防止膜は、ベーマイトを主成分とした板状の結晶膜により表面が凹凸形状となっている。このベーマイトを主成分とした板状の結晶は、アルミニウムを含む膜を温水と接触させる事により、酸化アルミニウムの溶出とアルミニウムの水酸化酸化物であるベーマイト結晶の析出を繰り返して形成される。温水に接触させ始めてすぐ(温水処理の初期)はベーマイト結晶の空間密度が低く、溶出アルミナが高さ方向にも移動しやすいため、ベーマイト結晶の成長スピードが面内でバラつきやすい。この初期の成長差が最終的な凹凸構造の高さのばらつきになってしまうことがわかった。
そこで、このベーマイト結晶の成長スピードのばらつきを抑制するためにファインバブルを用いることを見出したものである。具体的に、図2を用いて説明する。図2は、本発明の泡がベーマイト成長に作用する想定メカニズムを説明する図である。図2において、7は泡である。1は基材である。3はアルミニウムを含む膜である。2は酸化アルミニウムの結晶(ベーマイトを主成分とした板状の結晶)である。図2(a)は、基材1上に形成したアルミニウムを含む膜3をファインバブル7を含む温水8との接触を開始した時のアルミニウムを含む膜3の状態を示す概略図である。図2(b)は、接触をさせ始めてすぐ(温水処理の初期)のアルミニウムを含む膜3の変化(ベーマイトの成長)を示す概略図である。図2(c)は、接触をさせ始めてしばらくたってから(温水処理の中期)のアルミニウムを含む膜3の変化(ベーマイトの成長)を示す概略図である。図2(d)は、温水処理が終了し、酸化アルミニウムの結晶を含む微細な凹凸構造を有する層が形成された状態を示す概略図である。
泡7は、酸化アルミニウムの結晶ベーマイトの成長途中、アルミニウムを含む膜3の表面に泡が接近離脱を繰り返すことで、酸化アルミニウムの溶解と析出の阻害因子として働き、ベーマイトの成長を抑制する作用として働くと考えられる。つまり、アルミニウムを含む膜と温水との接触を泡が阻害するためであると考えられる。
図2(b)に示すように、温水に接触させ始めてすぐ(温水処理の初期)においては、ベーマイの成長スピードが速い部分21が、アルミニウムを含む膜3の表面から突き出てくる。この突き出した部分は、泡7と接触する回数が他の部分と比べ多くなる。すると、泡7が接触した部分は温水との接触が抑制されるため、ベーマイトの成長が遅くなり、その間に、それ以外の部分の成長がなされるため、ベーマイトの成長が均一(面方向における凹凸構造の存在密度が均一)になると想定される。
一方、酸化アルミニウム表面への泡の停滞がある。表面に停滞した泡の外周部に沿って、泡を抱き込むような形でベーマイトの一部が成長すること、その領域へのさらなる泡の集合により、一部の微細凹凸構造の高さ方向の形状が変化することが起こる。その結果、周辺よりも明度が高い円形水玉部として、光学顕微鏡での表面観察により確認可能な構造として現れる。さらには、STEM断面観察により確認できる凹凸構造の凸部(突起)の一部が、基材と並行方向に曲線部を有し、曲線部下部に直径50〜120nmの空隙部を有する構造として現れる。つまり、直径50nm以上120nm以下の空隙部5を囲むように多数の突起6からなる凹凸構造の一部(多数の突起6の中の一部)が、基材と並行方向に向かって曲がる曲線部4を有している。泡の停滞の影響を考えると、泡の大きさは目視限界以下(20μm)であり、微細凹凸構造の構造高さ以下(図1内のhで示す部分)であることが望ましい。
(他の実施形態)
図11は、本発明の光学素子を含む光学系を備える機器、あるいは本発明の光学素子を通過した光によって画像を生成する機器である撮像装置の好適な実施形態の一例を示した図である。具体的には、本発明の光学機器の一例であるレンズ鏡筒(交換レンズ)が結合された一眼レフデジタルカメラの構成を示している。
図12は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である、ネットワークカメラの構成を示した図である。
本発明の光学機器とは、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置、交換レンズ等、本発明の光学素子を含む光学系を備える機器のことをいう。あるいは本発明の光学素子を通過した光によって画像を生成する機器のことをいう。
また、本発明の撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の本発明の光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備える電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、例えばカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
図11において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を通過し、撮像素子に受光される。本発明の光学素子は例えば、レンズ603に用いることができる。
ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610にレンズ鏡筒601から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
図12(a)は、本発明の撮像装置の一例であるネットワークカメラの外観図、図12(b)は図12(a)に示すネットワークカメラの分解斜視図である。なお、本実施形態では、ネットワークカメラの一例として、外部の画像監視センター等のサーバ(監視装置)と無線又は有線により通信可能に接続されてサーバ側で撮像画像を監視する画像監視システムを構成するネットワークカメラを例示する。しかし、本発明の適用先はこれに限定されない。
本実施形態のネットワークカメラは、図12に示すように、上カバー103、下カバー102、及びドーム状のカバー101(以下、ドームカバー101という)によって形成される外装カバーの内部に撮像ユニット200が設けられている。撮像ユニット200は、複数のレンズからなる光学系(不図示)と該光学系を通過した光を受光する撮像素子(不図示)を有している。ドームカバー101は、撮像ユニット200の撮影可能範囲の正面側(被写体側)に配置されて撮像ユニット200に含まれる光学系(不図示)を保護する略半球状の透明部材である。本発明の反射防止膜は、ドーム状のカバー101に設けられていてもよいし、撮像ユニット200に含まれる光学系(不図示)を構成するレンズの少なくとも一つに設けられていてもよい。光学系(不図示)を構成するレンズの少なくとも一つに設けられている場合は、もっとも外側(撮像素子からもっとも遠いレンズ)に設けられていると、より本発明の効果を得ることができる。
次に、実施例により本発明について詳細を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例と比較例で得られた凹凸構造を有する反射防止膜について、下記の方法で性能評価および最表面の状態確認、断面形状確認を行った。
(性能評価)
反射防止膜を形成したモニターガラスについて、反射率評価(絶対反射率測定装置(USPM−RU、オリンパス製)を用い、波長400nmから700nmの範囲の光の入射角0°時の反射率を測定する)を行った。
波長領域400〜700nmにおいて目標反射率を0.5%と設定した。そして、全領域(光学有効域全面)で目標反射率をクリアしたものについて○、クリアしなかったものを×とした。また、反射率の面内バラツキについては、目視観察により明度が高い領域と低い領域の反射率を測定し、550nmにおける反射率の差が0.2%以下のものを○、0.2%より高いものを×とした。
(円形水玉部およびその断面形状の確認方法)
反射防止膜の最表面に形成される円形水玉部の有無は、光学素子の反射防止膜が形成されている面の側の光学顕微鏡の明視野観察により確認することができる。円形水玉部とは周辺領域と比べ、明度が高い領域である。
円形水玉部には、直径50nm以上120nm以下の空隙部5を囲むように、多数の突起による凹凸構造の多数の突起(凸部)のうちの一部が、基材と並行方向に曲がる曲線部を有している。これは、S−TEMによる断面観察から確認可能である。暗視野観察により曲線部、明視野観察により空隙部を確認することができる。さらには画像処理ソフトにより、コントラスト調整、周波数フィルタなどの機能を用いることにより、より確認を容易にすることができる。
<実施例1>
(ファインバブル水の準備、泡径計測)
ファインバブル水の製造にはIDEC社製ウルトラファインバブル発生装置FZ1Nを用いた。気体には大気を用い、タンク内の純水5Lに対し処理量8L/分で1時間循環させることにより作製した。
計測は温水処理前に、常温で、島津製作所社製のナノ粒子径分布測定装置SALD7500nanoを用いて行った。
ファインバブル水における泡発生個数の調整は、ファインバブル水の製造側では難しいため、作製したファインバブル水を純水で薄めることにより行った。作製した時点でのファインバブル水の泡存在個数は3.5億個/mLである。
このように調整した結果、ファインバブル泡個数は0.5億個/mLであった。
(凹凸構造の反射防止膜の製造)
評価用のモニターガラスとして、石英ガラス、形状は直径が30mm、厚さが1mmのものを用いた。
このモニターガラスをアルカリ洗剤中で超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した後、スパッタ法によりモニターガラス表面に酸化アルミニウムを70nm設けた。
その後、ファインバブル泡個数0.5億個/mLの水を加温することにより得られた75℃の温水に15分浸漬することで、凹凸構造を有する反射防止膜が形成されたサンプルを得た。
<実施例2>
実施例1におけるファインバブル個数を1.5億個/mLとし、温水処理を行った。
<実施例3>
実施例1におけるファインバブル個数を3.5億個/mLとし、温水処理を行った。
<比較例1>
評価用のモニターガラスとして、石英ガラス、形状は直径が30mm、厚さが1mmのものを用いた。
このモニターガラスをアルカリ洗剤中で超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した後、スパッタ法によりモニターガラス表面に酸化アルミニウムを70nm設けた。
その後、75℃の温水に15分浸漬することで、凹凸構造を有する反射防止膜が形成されたサンプルを得た。
<比較例2>
比較例1における温水処理時に、エアーバブリングと撹拌を行いながら温水処理を行った。泡径の計測は行っていないが、視認可能なことから数mm程度の泡と推測できる。
(結果)
実施例1から3、比較例1から2で製造した光学膜(光学部材)の性能を評価した。
評価結果を、表1に示す。
反射率測定結果を図4に示す。ただし、比較例2については、グラフ領域内を超える高い反射率となったため省略する。
実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部周辺の光学顕微鏡観察像を図5に、比較例1で作成した反射防止膜の温水処理により発生したムラの光学顕微鏡観察像を元に画像処理してコントラストを強調したものを図6に示す。
図5に示すように、光学顕微鏡の明視野観察において、明度の高い円形水玉部の他に、円形水玉部外周の境界領域が周辺領域より明度が低い領域があること、また、円形水玉部外の領域にも、円形状の明度が低い領域があることが確認できた。また、円形水玉部の大きさは、円形水玉部を円形あるいは楕円形に近似させた時、近似させた円形の直径あるいは楕円形の長軸の長さが、30μm以上100μm以下であることが確認された。本明細書においては、円形水玉部を円形あるいは楕円形に近似させた時、近似させた円形の直径あるいは楕円形の長軸の長さを単に円形水玉部の直径と称することとする。このような明度が低い領域が面内に多数存在することが、中間層等の工夫なく反射率が低くなった要因であると考えられる。これは、泡の作用により、凹凸構造の面内密度、あるいは、高さ方向の屈折率構造に影響を与えたことによるものと考えられる。
一方、図6に示すように、比較例1においては、反射率が高い部分(コントラストが高い部分)が連続的につながっていることがわかった。これは、凹凸構造の成長が不十分な領域であり、視認できる程度のサイズとして連続的に広がってしまうことにより、十分な反射率が得られなかった原因となっている。
実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部および円形水玉部外の周辺領域のS−TEM断面観察像(20万倍)を図7、8に示す。その結果、円形水玉部には、凹凸構造の凸部の一部が基板平行方向に曲線部を有し、連続的につながっている領域があることが確認できた。
また、実施例1で作成した反射防止膜の円形水玉部のS−TEM断面観察像(10万倍)および得られた画像をImage−Jにて画像処理することにより得られた画像を図9に示す。前記曲線部下部には周辺より密度が低い領域(空隙)が複数あった。つまり、円形水玉部には、曲線部と空隙部が複数含まれていた。その空隙に近似する正円(点線で示す円)としてとらえると、直径が50nm以上120nmであることがわかった。
図10に実施例1から3に用いたファインバブル水の泡個数計測結果を示す。
中心泡径100nmをピークとした急峻なデータとなっており、装置の計測限界により80nm以下は計測できてないが、正規分布とすると最小径が約50nmと推測できうる。また、最大気泡径は約20μmであったが、泡個数の90%以上が泡径1μm以下であると言える。
本発明の光学素子は、カメラ、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置の如き光学機器に用いることが可能である。
1 基材
2 ベーマイト結晶層
3 酸化アルミニウム層
4 曲線部
5 空隙部
7 ファインバブル
10 反射防止膜
12 水玉部(明部)
13 水玉部(暗部)

Claims (10)

  1. 最表面に多数の突起による凹凸構造を有する反射防止膜を含む光学素子の製造方法であって、
    アルミニウムを含む膜を形成する工程と、
    前記アルミニウムを含む膜をファインバブルを含む温水に接触させる工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記ファインバブルの平均気泡径が50nm以上20μmであることを特徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記ファインバブルの泡個数が0.01×10個/ml以上100×10個/ml以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光学素子の製造方法。
  4. 最表面に多数の突起による凹凸構造を有する光学素子であって、
    前記多数の突起の中の一部は、空隙部を囲むように基材と平行方向に曲がる曲線部を有することを特徴とする光学素子。
  5. 前記空隙部は、直径が50nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項4記載の光学素子。
  6. 前記曲線部と前記空隙部が複数含まれる円形水玉部を有することを特徴とする請求項4または5記載の光学素子。
  7. 前記円形水玉部は、直径が、30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項4乃至6いずれか一項記載の光学素子。
  8. 請求項4乃至7いずれか一項記載の光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備えることを特徴とする撮像装置。
  9. 請求項4乃至7いずれか一項記載の光学素子を通過した光によって画像を生成することを特徴とする光学機器。
  10. 前記光学機器は、カメラであることを特徴とする請求項9記載の光学機器。
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