JP2015068944A - 反射防止物品 - Google Patents

反射防止物品 Download PDF

Info

Publication number
JP2015068944A
JP2015068944A JP2013202077A JP2013202077A JP2015068944A JP 2015068944 A JP2015068944 A JP 2015068944A JP 2013202077 A JP2013202077 A JP 2013202077A JP 2013202077 A JP2013202077 A JP 2013202077A JP 2015068944 A JP2015068944 A JP 2015068944A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microprojection
microprojections
fine
micro
average
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013202077A
Other languages
English (en)
Inventor
基央 水野
Motoo Mizuno
基央 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013202077A priority Critical patent/JP2015068944A/ja
Publication of JP2015068944A publication Critical patent/JP2015068944A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】耐擦傷性に優れる反射防止物品を提供する。
【解決手段】150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする、反射防止物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止物品に関するものである。
近年、フィルム形状の反射防止物品である反射防止フィルムに関して、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
このモスアイ構造に係る反射防止物品では、隣接する微小突起の間隔dが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう、微小突起が密接して配置される。また各微小突起は、透明基材に植立するように、さらに透明基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製される。
かかる反射防止物品には各種用途が提案されている。例えば、各種画像表示装置の出光面上に配置して画面における日光等の外光反射を低減して画像視認性を向上させたり、シート又は板状の透明基材上に該微小突起群を形成し、更に該微小突起群上にITO(酸化インジウム錫)等の透明導電膜を形成した電極を用いてタッチパネルを構成することにより、該タッチパネル電極とこれと隣接する各種部材との間の光反射を防止して、干渉縞、ゴースト像等の発生を低減させること等が提案されている。
しかし、このようなモスアイ構造にかかる反射防止物品は、表面の微細凹凸構造が外部に露出して他の物体が接触等した場合に、反射防止機能が局所的に劣化し、また接触箇所には白濁、傷等が発生して外観不良となるため、耐擦傷性の向上が求められている。
モスアイ構造にかかる反射防止物品の耐擦傷性を向上させる手段として、例えば特許文献4には、耐擦傷性に優れる樹脂組成物として、特定の重合性成分と光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、微細凹凸構造層を形成する旨が記載されている。
特開昭50−70040号公報 特表2003−531962号公報 特許第4632589号公報 国際公開第2011/115162号パンフレット
しかしながら、特許文献4に記載されるように、耐擦傷性に優れる樹脂組成物を用いて微細凹凸構造を形成した場合、樹脂組成物の硬化物には傷が付きにくいものの、一旦傷が付くとその傷が外観上非常に目立つという問題があり、更なる耐擦傷性の向上が求められている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐擦傷性に優れる反射防止物品を提供することを目的とする。
本発明に係る反射防止物品は、150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、
前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在し、
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする。
本発明によれば、耐擦傷性に優れる反射防止物品を提供することができる。
本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 微小突起集合体が形成される前の微細凹凸層の一例を示す断面図である。 微細凹凸層の形成方法の一例を示す概略図である。
本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念であり、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において硬化物とは、化学反応を経て硬くなったもののことをいい、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。
本発明に係る反射防止物品は、150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、
前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在し、
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品が耐擦傷性に優れるのは、微細凹凸層の微細凹凸面が、互いに隣接する微小突起が付着してなる微小突起集合体を有しており、さらに、前記微細凹凸面には、アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が、微細凹凸面1μm内に平均8つ以上存在し、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が80%以上であることから、微小突起集合体も一つの微小突起であると仮定したときの、微細凹凸面を構成する見かけの微小突起が、従来のモスアイ構造の微小突起に比べて見かけの径が大きくなり、微細凹凸面を構成する微小突起の耐擦傷性が向上しているからであると考えられる。特に、アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在することから、擦傷が付き難くなっている。
また、本発明に係る反射防止物品は、微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下であるため、いわゆるモスアイ構造体として反射防止機能を有する。また、微小突起集合体は、当該微小突起集合体と同じ径を有する空洞を有しない微小突起と比べて、屈折率を厚み方向に連続的に変化させる効果が高く、優れた反射防止機能を有する。これは、微小突起集合体は、通常、互いに隣接する微小突起の頂上付近が付着し易く、微小突起の下の方は付着し難いため、微小突起集合体中に、空洞、即ち空気層が存在し、微小突起集合体中の微小突起同士が付着していない下の方の部分の構造においては、実質的には、微小突起が付着する前の間隔で微小突起が配置された場合と同等の反射防止性能を発揮することによると考えられる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される反射防止物品10は、間隔dで密接して配列された微小突起22が、隣接する前記微小突起22と互いに付着してなる微小突起集合体24を複数備えた微細凹凸面21を表面に有する微細凹凸層20を備える。本発明に係る反射防止物品は、図1に示すように、支持体として透明基材15を含んでいてもよい。透明基材15は、微細凹凸層20を支持している。
<微細凹凸層>
[微細凹凸面]
本発明における微細凹凸層は、150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起22が、隣接する前記微小突起22と互いに付着してなる微小突起集合体24を複数備えた微細凹凸面21を表面に有する。微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGは、可視光線帯域の最短波長以下である。
ここで、微小突起22及び微小突起集合体24の「微小」とは、可視光線帯域の最短波長以下の平均間隔dAVG及びd’AVGで配列される程度に微小であることを意味している。また、可視光線帯域の最短波長は、反射防止物品10が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、反射防止物品10が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長として採用する。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における、微細凹凸面21を構成する各微小突起は、微細凹凸層20において植立するように形成され、その形状は、特に限定されないが、中でも、反射防止機能の観点から、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。なお、微小突起集合体の形状は、垂直断面において、当該微小突起集合体を構成する各微小突起に由来する複数の凸部を有しているものであってもよい。また、複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
前記微細凹凸層20の微細凹凸面21は、前記微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、可視光線帯域の最短波長以下であることにより、いわゆるモスアイ構造体として、優れた反射防止機能を有する。
ここで、微小突起集合体24とは、互いに隣接する微小突起22の少なくとも一部が付着してなるものをいい、2個以上の微小突起22からなる。微小突起集合体24を構成する微小突起22の付着の程度は、特に限定されないが、通常、図1に示すように、微小突起22の先端部だけが互いに結合し、中が空洞化している。このような微小突起集合体24は、下の方に空洞ができ、SEM等により観察される断面において微小突起が互いに付着した様子を確認することができる。また、図示はしないが、微小突起集合体24として、微小突起22の側面の大部分が付着して一体化し、中に空洞を有しないものを含んでいてもよい。
前記平均間隔dAVGに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起である。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合においては、当該仮定した微小突起と微小突起集合体を構成しない微小突起との平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起が、いわゆる隣り合う微小突起である。隣り合う微小突起とは、微細凹凸層20の微細凹凸面21とは反対側(図1では透明基材15側)の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。微細凹凸層20では微小突起が密接して配置されることが好ましく、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
モスアイ構造による反射防止機能では、モスアイ構造体とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものであることから、モスアイ構造体の突起に関しては、突起の間隔等の一定の条件を満足することが必要である。例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλMAX、最短波長をλminとした場合、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λMAXであるため、P≦λMAXとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、P≦λminとなる。
同様にして、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔d’AVGが、上述の条件を満足することが、微細凹凸層20に有効な反射防止機能を付与する観点において或る程度有効であり、且つ、入射光の入射角度に依存する透過率異方性を反射防止物品10に付与する観点においても或る程度有効であることが判った。具体的には、反射防止効果を発現する前記微小突起の平均間隔の条件は、d’AVG≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最短限の条件は、Λmin=λMAXであるため、d’AVG≦λMAXとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、d’AVG≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより有効に奏し得る好ましい条件は、d’AVG≦380nmであり、更に好ましい条件は、d’AVG≦300nmである。なお波長λMAX、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λMAX=780nm及びλmin=380nmとされる。
また、本発明においては、耐擦傷性に優れる点から、平均間隔d’AVGの下限値は、d’AVG≧200nmであることが好ましく、d’AVG≧240nmであることがより好ましい。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔d’AVGは、より具体的には以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法、AFMから得られた微小突起の高さデータの解析等、種々の手法を適用することができる。平均間隔d’AVGの算定においては、微小突起集合体24を一つの微小突起と仮定するため、一つの微小突起集合体24につき一つの極大点を検出し、微小突起集合体24を構成していない微小突起22においては、一つの微小突起22につき一つの極大点を検出する。突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に分裂している微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起が含まれる場合は、麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の極大点とする。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる三角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各三角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図2は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真と重ね合わせた模式図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。
(5)このようにして求めた微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの隣接突起間距離d’の度数分布から平均値(平均間隔)d’AVG及び標準偏差σを求める。
また、前記隣接突起間距離d’の標準偏差σは、特に限定されないが、透過率異方性に優れる点から100nm以下であることが好ましい。
同様の手法を適用して、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の高さH’の平均値H’AVGを求めることができる。まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値H’AVG、標準偏差σを求める。突起高さH’のヒストグラムにおいて、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に分裂している微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起が含まれる場合は、麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の高さH’の平均値H’AVGは、十分な反射防止効果を発現する為には、H’AVG≧0.2×λMAX=156nm(λMAX=780nmとして)であることが好ましい。前記微小突起の高さH’は、反射防止効果の観点から、通常50〜350nmである。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面25が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、微細凹凸層20の微細凹凸面21とは反対側の面(又は透明基材15の表面若しくは裏面)から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ微細凹凸層20の微細凹凸面21とは反対側の面(又は透明基材15の表面若しくは裏面)と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起22の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば図3に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λMAX以上の周期D(すなわちD>λMAXである)でうねることもある。なお、図3の例では、図を簡略化して分かり易くするため微細凹凸面21を有する微細凹凸層20の代わりに、微小突起集合体24が形成される前の微細凹凸面21’を有する微細凹凸層20’によって示されている。該周期的なうねりは、透明基材の表裏面に平行な平面(図3におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは透明基材の表裏面に平行な平面(図3におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λMAXを満たす周期Dでうねった凹凸面25が微細凹凸層20の微細凹凸面21に重畳することによって、当該微細凹凸面21で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱させ、残留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、以って、反射防止物品10の正面方向からの透過視認性を一段と向上させることができる。
尚、係るうねりによる凹凸面25の周期Dが全面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面25について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
min=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微細凹凸層20の微細凹凸面21の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
min>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
また、反射防止物品10の良好な平滑性を確保するために、前記周期Dでうねった凹凸面25の高低差(図3中のh)は、10μm以下であることが好ましく、50nm〜2μmの範囲内であることがより好ましい。なお、前記凹凸面25により形成される凹凸面の高低差は、例えば500nm以上離れた微小突起22の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起22の谷底部の位置は、反射防止物品10を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起のアスペクト比(平均突起高さH’AVG/平均間隔d’AVG)は、特に限定されないが、耐擦傷性及び反射防止性能に優れる点から、0.6〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。
微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVG及び平均高さHAVGは、例えば、本発明に係る反射防止物品の製造過程において、微小突起同士を付着させず、微小突起集合体を形成しないで作製した物品に形成された微小突起の平均間隔及び平均高さを、微小突起集合体24を構成しない微小突起22の平均間隔dAVG及び平均高さHAVGとすることができる。当該平均間隔dAVG及び平均高さHAVGは、上記の平均間隔d’AVG及び平均高さH’AVGを求める手法と同様の手法により求めることができる。本発明に係る反射防止物品の製造過程において、微小突起同士を付着させず、微小突起集合体を形成しない物品を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明に係る反射防止物品の製造において、微細凹凸層を形成する際に、樹脂組成物を硬化させる際の露光光源、露光量、加熱温度等を調整したり、樹脂組成物の組成を変更する等により、硬化後の樹脂組成物の硬度を高くすることにより、微小突起同士を付着させない方法等が挙げられる。
或いは、本発明に係る反射防止物品において、微小突起集合体24を構成しない微小突起22同士が隣接している部分が存在する場合は、当該部分を選択して、上記(2)の極大点の検出を行い、その他は、上記の平均間隔d’AVG及び平均高さH’AVGを求める手法と同様の手法により求めることができる。また、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGは、反射防止物品10が備える微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面を用いて求めることもできる。また、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGは、本発明に係る反射防止物品が備える微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向に切断した垂直断面を用いて求めることもできる。水平断面写真又は垂直断面写真は、例えば10,000〜50,000倍で撮影されたものを用いることができる。また、平均値を求める場合は、例えば3μm×2μmの大きさの水平断面写真又は幅2μmの垂直断面写真を10枚撮影し、各写真から測定された測定値の平均を平均値とすることができる。
なお、微小突起集合体24を構成しない微小突起22の度数分布の検出において、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している等の微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起22がある場合は、上述した平均間隔d’AVGのときと同様に、最も高い頂点を極大点とすればよい。
微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGは、微小突起集合体の形成が容易であり、反射防止物品の反射防止性能に優れる点から、dAVG≦150nmである。前記平均間隔dAVGは、特に限定されないが、版離型の点から、dAVG≧90nmが好ましい。
微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGは、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λMAX=156nm(λMAX=780nmとして)であることが好ましい。前記微小突起22の高さHは、反射防止効果の観点から、通常50〜350nmである。
微小突起集合体24を構成する前の微小突起22のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)は、特に限定されないが、微小突起集合体を形成し易い点から、1.8〜2.5であることが好ましく、2.0〜2.3であることがより好ましい。
前記微細凹凸層の微細凹凸面には、アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在する。アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体は、特に耐擦傷性に優れるため、このような微小突起集合体が微細凹凸面に平均8個/μm以上存在することにより、本発明に係る反射防止物品は、優れた耐擦傷性を有する。
ここで、1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数は、微細凹凸層が有する微細凹凸面の平面視における微小突起集合体が占める面積を、微小突起集合体を形成していない微小突起1個が占める面積の平均で割ることにより、求めることができる。或いは、微細凹凸面の平面視の代わりに、微細凹凸層の微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面を用いて求めることもできる。微小突起集合体が、先端部だけが互いに結合し、中が空洞化したものである場合は、水平断面において、当該微小突起集合体を構成する各微小突起が離れて存在するため、微小突起集合体を構成する各微小突起の個数を求めることができる。
なお、前記微小突起集合体24及び微小突起22が平面視において占める面積は、微細凹凸層の微細凹凸面21のAFM又はSEMによる平面視拡大写真又は水平断面写真から求めることができる。平面視拡大写真又は水平断面写真は、例えば10,000〜50,000倍で撮影されたものを用いることができる。また、平均値を求める場合は、例えば3μm×2μmの大きさの平面視拡大写真を10枚撮影し、各写真から測定された測定値の平均を平均値とすることができる。
また、1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数を求める別の方法として、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品を用いて、当該物品が有する微細凹凸面を構成する微小突起の個数と照らし合わせて測定する方法も挙げることができる。
1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数の平均は、耐擦傷性がさらに向上する点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上であり、反射防止性能の観点から10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
また、前記微細凹凸層の微細凹凸面において、前記微小突起集合体の個数密度の平均は、8個/μm以上25個/μm以下であることが好ましい。前記微小突起集合体の個数密度の平均が、前記下限値以上であることにより、本発明に係る反射防止物品の耐擦傷性がさらに向上し、前記上限値以下であることにより、本発明に係る反射防止物品を示装置に適用した場合の表示のコントラスト比にも優れる。
また、微小突起集合体を構成していない微小突起の個数密度の平均は、5個/μm以下であることが好ましい。これにより、本発明に係る反射防止物品の耐擦傷性がさらに向上する。
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合は、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、90%以上であることがより好ましい。本発明に係る反射防止物品は、前記微細凹凸面において、耐擦傷性に優れる微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記下限値以上であることにより、微細凹凸面全体の耐擦傷性が向上する。
ここで、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数は、例えば、上述した1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数を求める場合と同様にして求めることができる。
また、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数は、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品が備える微小突起の個数である。そのため、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品を製造し、当該物品が有する微細凹凸面を構成する微小突起の個数を測定することにより、求めることができる。
微細凹凸層20の厚みは、特に限定されないが、一例として10〜300μmとすることができる。なお、この場合の微細凹凸層20の厚みとは、図1に示すように、微細凹凸層20の微細凹凸面21とは反対側(図1では透明基材15側)の界面から、当該微細凹凸層20の微細凹凸面21をなす微小突起22又は微小突起集合体24の頂部23までの反射防止物品10のフィルム面への法線方向ndに沿った高さt1を意味する。
[微細凹凸層形成用樹脂組成物]
微細凹凸層20は、樹脂を含有してなる層とすることができ、更に、樹脂組成物の硬化物からなる層とすることができる。微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂としては、微小突起22の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
中でも、微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物としては、互いに隣接する微小突起22が付着しやすく、後述する微小突起集合体24が作製されやすい点からは、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)が200MPa以下であり、且つ、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である樹脂組成物が好ましい。このような樹脂組成物を用いると、作製される微小突起22は柔軟性に優れ、動きやすくなるため、互いに隣接する微小突起22同士を付着させることが容易になるからである。
また、前記貯蔵弾性率(E’)は、1〜200MPaであることがより好ましく、1〜100MPaであることが更により好ましい。前記tanδは、0.18以下であることがより好ましい。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を十分に硬化させて、透明基材及び微細凹凸面を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの平坦な単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)が200MPa以下であり、且つ、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である樹脂組成物としては、特に限定されず、例えば、熱硬化性成分及び/又は光硬化性成分を含み、硬化後に上記物性が得られるものが用いられる。
中でも、光硬化性成分を含む光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
上記光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む組成物であることが好ましく、(メタ)アクリレートを含む組成物であることがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、少なくとも上記光硬化性成分を含有していればよく、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
また、上記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、光硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、後述する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の特性を兼ね備える。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜95質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましい。
(2)炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物
本発明において微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、光硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を用いる場合、当該化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
本発明において微細凹凸層20の形成に好ましく用いられる光硬化性樹脂組成物は、硬化物を親油性に調整しやすく、柔軟性に優れる点から、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートとを含有することが特に好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
(3)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
本発明において微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から適宜溶剤を用いてもよい。また、微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、界面活性剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、シランカップリング剤等を含有することもできる。
<透明基材>
本発明に係る反射防止物品は、支持体として透明基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の反射防止物品の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、前記透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と前記微細凹凸層又は後述する中間層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材と、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層又は中間層の双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。
プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。
<反射防止物品の製造方法>
本発明に係る反射防止物品の製造方法は、上述の本発明に係る反射防止物品を製造できる方法であれば特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、微小突起集合体24を作製する前の微細凹凸面21’を、賦形により形成する工程を有する方法が好ましい。
本発明に係る反射防止物品の製造方法としては、例えば、まず透明基材15上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸面形成用原版の該微細凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微細凹凸面形成用原版を剥離することにより、微細凹凸面21において微小突起集合体が形成される前の形状を有する微細凹凸面21’を作製し、微細凹凸面21’に賦形された微小突起22を、互いに隣接する微小突起22と付着させて、微小突起集合体24を作製する方法等が挙げられる。
なお、微細凹凸面形成用原版の微細凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微細凹凸層20の微細凹凸面21において微小突起集合体24が形成される前の微細凹凸面21’の形状に対応する形状である。
微細凹凸面形成用原版の微細凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦形する方法、及び該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
また、微細凹凸層20は、図1に示すように、透明基材15の一方の面に形成してもよい。この場合、透明基材15は微細凹凸層20の支持体となる。或いは、前記樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層20を形成した後、製造に使用した透明基材は必要に応じて剥離して、微細凹凸層20のみとしてもよい。
前記微細凹凸面形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記微細凹凸面形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸面形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
また、前記微細凹凸面形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。本発明においては、前記微細凹凸面形成用原版として、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
微小突起集合体24を形成する際に、微小突起22を、互いに隣接する微小突起22と付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、硬化又は半硬化した樹脂組成物から微細凹凸面形成用原版を剥離する際に、隣接する微小突起22が自然に付着することを利用して、微小突起集合体24を作製する方法が挙げられる。この場合、微小突起集合体24の個数密度や1個の微小突起集合体24を構成する各微小突起22の数等は、微小突起22のアスペクト比、樹脂組成物を硬化させる際の露光光源、露光量、加熱温度、樹脂組成物の柔軟性等を調整することにより制御することができ、これらを調整することで、微小突起集合体24を形成した後の微細凹凸面21の形状を、本発明で特定する形状にすることができる。具体的には、例えば、微小突起集合体を形成する前の微小突起の平均間隔dAVGが150nm以下でアスペクト比が1.8以上となるような微細凹凸面形成用原版を用い、さらに、樹脂の硬化反応率が40%以上60%以下となるような露光光源を用いることにより、容易に微小突起集合体を作製することができ、本発明で特定する微細凹凸面を有する微細凹凸層を形成することができる。樹脂の硬化反応率を前記範囲内にするために、露光光源として、樹脂組成物自体が吸収を持つ波長を含む光源を適宜選択することができる。具体的には、例えば、光重合開始剤としてフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイドを用いる場合には、露光光源としてHバルブを選択することができる。
樹脂組成物を完全に硬化させない程度に行う硬化処理、いわゆる半硬化処理によって形成された微小突起22は、先端部が折れ曲がりやすくなるため、微細凹凸面形成用原版を剥離する際に、互いに隣接する微小突起22同士が容易に付着し、微小突起集合体24が作製される。なお、微小突起22同士を付着させた後、樹脂組成物を完全に硬化させるために、更に光照射及び/又は加熱をしてもよい。
また、微小突起集合体24を作製する別の方法としては、例えば、微小突起集合体が形成される前の微細凹凸面21’に、拭き作業を行う方法等が挙げられる。拭き作業は、例えば、水拭き又は乾拭きにより行うことができる。中でも、水拭きを行うことで、微小突起22の先端が軟化し、水の表面張力により水が乾く際に、微小突起22の先端同士が互いに付着し、更に、拭き作業による圧力によって先端部が折れ曲がるため、容易に微小突起集合体24を作製することができる。
また、微細凹凸面21の表面を水拭きした後に、当該水拭き後の微細凹凸面21の表面を乾拭きする方法により、水拭き作業によって作製されすぎた微小突起集合体24の数を減らすことができるため、水拭き作業後と乾拭き作業とを組み合わせることで、より容易に微小突起集合体24の数を調節することができる。
なお、微小突起集合体24を形成した後の微細凹凸面21の形状は、拭き作業を行う際の圧力、当該拭き作業を水拭きにより行った場合の水の量等を調整することによっても制御することができる。
図4に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸面形成用原版としてロール金型を用いて微細凹凸層20を形成する方法の一例を示す。この形成方法では、まず、樹脂供給工程において、ダイ41により、帯状フィルム形態の透明基材15に、微細凹凸層20となる受容層20’を構成する未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。尚、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、賦形用金型であるロール金型42の周側面に透明基材15を加圧押圧し、これにより透明基材15に未硬化の受容層20’を密着させると共に、ロール金型42の周側面に形成された微小な凹凸形状の凹部に受容層20’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させる。これにより、透明基材15の表面に微小突起集合体24を作製する前の微細凹凸面21’が形成される。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、微細凹凸面21’を有する樹脂組成物の硬化物を透明基材15と一体に剥離すると同時に、微細凹凸面21’に形成された微小突起22が、隣接する微小突起22と自然に付着することにより、微小突起集合体24が形成され、微小突起集合体24を微細凹凸面21に有する微細凹凸層20を形成することができる。ここで、必要に応じて、微小突起集合体24が形成された後に、再度紫外線を照射して、樹脂組成物を完全硬化させる工程を有していてもよい。また、必要に応じてこの透明基材15に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断する。これにより、本発明に係る反射防止物品が効率良く大量生産される。
上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦形処理により、フィルム形状の透明基材15上に、微細凹凸層20を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、透明基材15の形状に応じて、賦形処理に係る工程、金型は適宜変更することができる。例えば、平板状又は特定の曲面形状の賦形用金型を使用した賦形処理等により、枚葉状の透明基材15上に前記微細凹凸層20を形成することもできる。
<反射防止物品の用途>
本発明に係る反射防止物品は、例えば、画像表示装置の画像表示面、店舗のショーウィンドウや、美術館の展示物の展示窓;時計等、各種計測機器の表示窓表面;道路標識や、ポスター等の各種印刷物;自動車、航空機等の乗り物や、各種建築物の窓等の前面又は両面に配置して、視認性を向上することができる。なお、前記画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、携帯情報端末、カーナビゲーションシステム等である。また、眼鏡、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の各種光学機器や、各種照明機器の窓材として用いることもできる。
<変形例>
上述した実施の形態において、反射防止物品10が、一方の面側のみに、微細凹凸層20の微細凹凸面21を有する例を示したが、本発明はこれに限らず、一方の面側および他方の面側の両側に微細凹凸層20の微細凹凸面21を有していてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、反射防止物品10が、透明基材15と、微細凹凸層20とからなる例を示したが、本発明はこれに限らず、透明基材15が省かれてもよいし、本発明の効果が失われない範囲においてさらに他の層が追加されてもよい。
[実施例1]
(微細凹凸面形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸面形成用原版を得た。
なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、微小突起の平均間隔dAVGが100nm、微小突起の平均高さHAVGが200nmで先細りの多数の微小突起が密に配列された微細凹凸面を形成可能な凹凸形状であった。
(微細凹凸層形成用樹脂組成物の調製)
EO変性ビスフェノールAジアクリレート55質量部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部、トリデシルアクリレート5質量部、ドデシルアクリレート5質量部、及び、光開始剤としてルシリンTPO(BASF社製)1質量部を酢酸エチル200質量部に溶解させ、微細凹凸層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化型樹脂組成物)を得た。
上記で得られた微細凹凸層用樹脂組成物を、上記で得られた微細凹凸面形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが5μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材(厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム社製))を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から、紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を、硬化反応が50%となるように硬化させた。紫外線照射装置は、「Hバルブ」(フュージョン社製)を用い、紫外線の波長は254nmとし、紫外線照射量は50mJ/cmとした。その後、原版より剥離し、再度露光光源として、2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を完全硬化させて、実施例1の反射防止物品を得た。
得られた反射防止物品の微細凹凸面21のSEM写真(倍率3万倍、大きさ3μm×2μmの平面視拡大写真)を観察したところ、微小突起22の一部が互いに隣接する微小突起22同士で付着した微小突起集合体24を構成していることが明らかにされた。上記SEM写真を観察して求めたところ、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して84%であり、微小突起4つ以上からなる微小突起集合体の個数密度の平均は21個/1μmであった。1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数の平均は、4個であった。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは200nmであり、平均高さH’AVGは160nmであった。
また、得られた反射防止物品の微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面写真(倍率50,000倍、大きさ3μm×2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGを求めたところ、100nmであった。得られた反射防止物品の微細凹凸層20の深さ方向に切断した垂直断面(倍率50,000倍、幅2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGを求めたところ、200nmであった。
[比較例1]
実施例1の微細凹凸層20の形成において、紫外線照射量を50mJ/cmから300mJ/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の反射防止物品を作製した。
比較例1の反射防止物品の微細凹凸面を、実施例1と同様にして観察したところ、微小突起集合体の形成は確認されたが、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して6%であり、微小突起4つ以上からなる微小突起集合体の個数密度の平均は4個/1μmであった。1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数の平均は、4個であった。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは110nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。また、得られた反射防止物品の微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面写真(倍率50,000倍、大きさ3μm×2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGを求めたところ、100nmであった。得られた反射防止物品の微細凹凸層20の深さ方向に切断した垂直断面(倍率50,000倍、幅2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGを求めたところ、200nmであった。
[評価]
実施例1及び比較例1で得られた各反射防止物品の裏面(基材側の面)に、黒色テープを貼り付け、紫外可視分光光度計(日本分光社製、商品名「V−7100」)を用いて、JIS Z8701−1999に準拠して2度視野(D65光源)により、反射防止物品表面への5°正反射率を測定した。測定結果を、耐擦傷性試験前の5°正反射率として表1に示す。
次いで、以下の条件により耐擦傷性試験を行った。
<耐擦傷性試験>
新東科学(株)社製の表面試験機ドライボギアTYPE−30を用い、25mm円柱の平滑な断面にスチールウールNo.0000を均一に貼り付け、荷重100gをかけながら、速度10cm/秒で10往復させ、実施例1及び比較例1で得られた各反射防止物品の微細凹凸面に傷を付けた。
次いで、上記耐擦傷性試験後の実施例1及び比較例1の反射防止物品について、各々上記と同様の方法により5°正反射率を測定した。測定結果を、耐擦傷性試験後の5°正反射率として表1に示す。

微小突起集合体の個数密度は、微小突起4つ以上からなる微小突起集合体の個数密度である。
(結果のまとめ)
実施例1で得られた反射防止物品は、微細凹凸面に、アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在し、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が80%以上であるため、耐擦傷性試験後においても、微細凹凸面に付けられた傷がほとんど目立たず、耐擦傷性試験前後の反射率の差が小さく、耐擦傷性に優れていた。また、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが380nm以下であるため、反射率が低く、反射防止性能にも優れていた。
一方、比較例1で得られた反射防止物品は、微小突起集合体が少ないため、耐擦傷性試験後において、微細凹凸面に付けられた傷が目立ち、耐擦傷性試験前後の反射率の差も大きく、耐擦傷性に劣っていた。
10 反射防止物品
15 透明基材
20 微細凹凸層
20’ 受容層
21 微細凹凸面
21’ 微小突起集合体24を作製する前の微細凹凸面
22 微小突起
23 頂部
24 微小突起集合体
25 微小突起間の谷底を連ねた包絡面
41 ダイ
42 ロール金型
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ

Claims (1)

  1. 150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、
    前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm内に平均8つ以上存在し、
    前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
    前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする、反射防止物品。
JP2013202077A 2013-09-27 2013-09-27 反射防止物品 Pending JP2015068944A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013202077A JP2015068944A (ja) 2013-09-27 2013-09-27 反射防止物品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013202077A JP2015068944A (ja) 2013-09-27 2013-09-27 反射防止物品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015068944A true JP2015068944A (ja) 2015-04-13

Family

ID=52835672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013202077A Pending JP2015068944A (ja) 2013-09-27 2013-09-27 反射防止物品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015068944A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020184002A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 キヤノン株式会社 光学素子の製造方法、光学素子、撮像装置、および光学機器
JP2021533417A (ja) * 2018-08-17 2021-12-02 コーニング インコーポレイテッド 薄い耐久性の反射防止構造を有する無機酸化物物品
US11667565B2 (en) 2013-05-07 2023-06-06 Corning Incorporated Scratch-resistant laminates with retained optical properties
US11698475B2 (en) 2015-09-14 2023-07-11 Corning Incorporated Scratch-resistant anti-reflective articles
US11714213B2 (en) 2013-05-07 2023-08-01 Corning Incorporated Low-color scratch-resistant articles with a multilayer optical film

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009031764A (ja) * 2007-07-04 2009-02-12 Mitsubishi Rayon Co Ltd 反射防止物品、およびこれより得られる成形品、ならびにこれらを備えた自動車用部品
WO2010122924A1 (ja) * 2009-04-24 2010-10-28 シャープ株式会社 反射防止膜、反射防止膜の製造方法、及び、表示装置
JP2011187510A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Tokyo Univ Of Science 金属微細構造体及びその製造方法並びに樹脂成形物の製造方法
JP2013047813A (ja) * 2012-09-28 2013-03-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd 反射防止膜およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009031764A (ja) * 2007-07-04 2009-02-12 Mitsubishi Rayon Co Ltd 反射防止物品、およびこれより得られる成形品、ならびにこれらを備えた自動車用部品
WO2010122924A1 (ja) * 2009-04-24 2010-10-28 シャープ株式会社 反射防止膜、反射防止膜の製造方法、及び、表示装置
JP2011187510A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Tokyo Univ Of Science 金属微細構造体及びその製造方法並びに樹脂成形物の製造方法
JP2013047813A (ja) * 2012-09-28 2013-03-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd 反射防止膜およびその製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11667565B2 (en) 2013-05-07 2023-06-06 Corning Incorporated Scratch-resistant laminates with retained optical properties
US11714213B2 (en) 2013-05-07 2023-08-01 Corning Incorporated Low-color scratch-resistant articles with a multilayer optical film
US11698475B2 (en) 2015-09-14 2023-07-11 Corning Incorporated Scratch-resistant anti-reflective articles
JP2021533417A (ja) * 2018-08-17 2021-12-02 コーニング インコーポレイテッド 薄い耐久性の反射防止構造を有する無機酸化物物品
US11567237B2 (en) 2018-08-17 2023-01-31 Corning Incorporated Inorganic oxide articles with thin, durable anti-reflective structures
US11906699B2 (en) 2018-08-17 2024-02-20 Corning Incorporated Inorganic oxide articles with thin, durable anti reflective structures
JP2020184002A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 キヤノン株式会社 光学素子の製造方法、光学素子、撮像装置、および光学機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5641036B2 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
CN105377542B (zh) 层叠结构体及其制造方法以及物品
JP2015068944A (ja) 反射防止物品
JP2014071323A (ja) 反射防止物品
JP6361339B2 (ja) 結露抑制部材
JP2014071292A (ja) 反射防止物品
JP5652516B1 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP5998600B2 (ja) 光学フィルム及びそれを用いた光学装置
JP6347132B2 (ja) 線状微細凹凸構造体、及びその製造方法
JP6364867B2 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP6458481B2 (ja) 反射防止物品及び美術品展示体
JP5810591B2 (ja) 積層体ならびに反射防止物品および撥水性物品
JP6229401B2 (ja) 反射防止物品
JP6252047B2 (ja) 透過率異方性部材、透過率異方性部材の製造方法及び表示装置
JP5900112B2 (ja) 防眩シート、防眩シートの製造方法、防眩シートを成型するための金型、及び金型の製造方法
JP6379641B2 (ja) 親水性部材、及びその製造方法
JP2015087762A (ja) 反射部材
JP2013210504A (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP5699359B2 (ja) 透過率異方性フィルム、透過率異方性フィルムの製造方法及び表示装置
JP2016043030A (ja) 粉体化粧料容器、及び粉体化粧料用テスター陳列台
JP6424550B2 (ja) 反射防止物品及び美術品展示体
JP2016068469A (ja) セルフクリーニング部材
JP2016126066A (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP2014164102A (ja) 反射防止物品及び画像表示装置
JP2015184440A (ja) 反射防止物品及び画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170726

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170808