JP2015068944A - 反射防止物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm2内に平均8つ以上存在し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする、反射防止物品。
【選択図】図1
Description
モスアイ構造にかかる反射防止物品の耐擦傷性を向上させる手段として、例えば特許文献4には、耐擦傷性に優れる樹脂組成物として、特定の重合性成分と光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、微細凹凸構造層を形成する旨が記載されている。
前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm2内に平均8つ以上存在し、
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において硬化物とは、化学反応を経て硬くなったもののことをいい、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。
前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm2内に平均8つ以上存在し、
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る反射防止物品は、微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下であるため、いわゆるモスアイ構造体として反射防止機能を有する。また、微小突起集合体は、当該微小突起集合体と同じ径を有する空洞を有しない微小突起と比べて、屈折率を厚み方向に連続的に変化させる効果が高く、優れた反射防止機能を有する。これは、微小突起集合体は、通常、互いに隣接する微小突起の頂上付近が付着し易く、微小突起の下の方は付着し難いため、微小突起集合体中に、空洞、即ち空気層が存在し、微小突起集合体中の微小突起同士が付着していない下の方の部分の構造においては、実質的には、微小突起が付着する前の間隔で微小突起が配置された場合と同等の反射防止性能を発揮することによると考えられる。
図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される反射防止物品10は、間隔dで密接して配列された微小突起22が、隣接する前記微小突起22と互いに付着してなる微小突起集合体24を複数備えた微細凹凸面21を表面に有する微細凹凸層20を備える。本発明に係る反射防止物品は、図1に示すように、支持体として透明基材15を含んでいてもよい。透明基材15は、微細凹凸層20を支持している。
[微細凹凸面]
本発明における微細凹凸層は、150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起22が、隣接する前記微小突起22と互いに付着してなる微小突起集合体24を複数備えた微細凹凸面21を表面に有する。微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGは、可視光線帯域の最短波長以下である。
ここで、微小突起22及び微小突起集合体24の「微小」とは、可視光線帯域の最短波長以下の平均間隔dAVG及びd’AVGで配列される程度に微小であることを意味している。また、可視光線帯域の最短波長は、反射防止物品10が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、反射防止物品10が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長として採用する。
ここで、微小突起集合体24とは、互いに隣接する微小突起22の少なくとも一部が付着してなるものをいい、2個以上の微小突起22からなる。微小突起集合体24を構成する微小突起22の付着の程度は、特に限定されないが、通常、図1に示すように、微小突起22の先端部だけが互いに結合し、中が空洞化している。このような微小突起集合体24は、下の方に空洞ができ、SEM等により観察される断面において微小突起が互いに付着した様子を確認することができる。また、図示はしないが、微小突起集合体24として、微小突起22の側面の大部分が付着して一体化し、中に空洞を有しないものを含んでいてもよい。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合においては、当該仮定した微小突起と微小突起集合体を構成しない微小突起との平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起が、いわゆる隣り合う微小突起である。隣り合う微小突起とは、微細凹凸層20の微細凹凸面21とは反対側(図1では透明基材15側)の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。微細凹凸層20では微小突起が密接して配置されることが好ましく、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
また、本発明においては、耐擦傷性に優れる点から、平均間隔d’AVGの下限値は、d’AVG≧200nmであることが好ましく、d’AVG≧240nmであることがより好ましい。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(5)このようにして求めた微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの隣接突起間距離d’の度数分布から平均値(平均間隔)d’AVG及び標準偏差σdを求める。
また、前記隣接突起間距離d’の標準偏差σdは、特に限定されないが、透過率異方性に優れる点から100nm以下であることが好ましい。
Dmin=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微細凹凸層20の微細凹凸面21の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
Dmin>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
或いは、本発明に係る反射防止物品において、微小突起集合体24を構成しない微小突起22同士が隣接している部分が存在する場合は、当該部分を選択して、上記(2)の極大点の検出を行い、その他は、上記の平均間隔d’AVG及び平均高さH’AVGを求める手法と同様の手法により求めることができる。また、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGは、反射防止物品10が備える微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面を用いて求めることもできる。また、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGは、本発明に係る反射防止物品が備える微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向に切断した垂直断面を用いて求めることもできる。水平断面写真又は垂直断面写真は、例えば10,000〜50,000倍で撮影されたものを用いることができる。また、平均値を求める場合は、例えば3μm×2μmの大きさの水平断面写真又は幅2μmの垂直断面写真を10枚撮影し、各写真から測定された測定値の平均を平均値とすることができる。
なお、微小突起集合体24を構成しない微小突起22の度数分布の検出において、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している等の微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起22がある場合は、上述した平均間隔d’AVGのときと同様に、最も高い頂点を極大点とすればよい。
ここで、1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数は、微細凹凸層が有する微細凹凸面の平面視における微小突起集合体が占める面積を、微小突起集合体を形成していない微小突起1個が占める面積の平均で割ることにより、求めることができる。或いは、微細凹凸面の平面視の代わりに、微細凹凸層の微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面を用いて求めることもできる。微小突起集合体が、先端部だけが互いに結合し、中が空洞化したものである場合は、水平断面において、当該微小突起集合体を構成する各微小突起が離れて存在するため、微小突起集合体を構成する各微小突起の個数を求めることができる。
なお、前記微小突起集合体24及び微小突起22が平面視において占める面積は、微細凹凸層の微細凹凸面21のAFM又はSEMによる平面視拡大写真又は水平断面写真から求めることができる。平面視拡大写真又は水平断面写真は、例えば10,000〜50,000倍で撮影されたものを用いることができる。また、平均値を求める場合は、例えば3μm×2μmの大きさの平面視拡大写真を10枚撮影し、各写真から測定された測定値の平均を平均値とすることができる。
また、1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数を求める別の方法として、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品を用いて、当該物品が有する微細凹凸面を構成する微小突起の個数と照らし合わせて測定する方法も挙げることができる。
また、微小突起集合体を構成していない微小突起の個数密度の平均は、5個/μm2以下であることが好ましい。これにより、本発明に係る反射防止物品の耐擦傷性がさらに向上する。
ここで、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数は、例えば、上述した1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数を求める場合と同様にして求めることができる。
また、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数は、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品が備える微小突起の個数である。そのため、本発明の反射防止物品の前記微細凹凸層の形成において、前記微小突起集合体を形成しないで作製した物品を製造し、当該物品が有する微細凹凸面を構成する微小突起の個数を測定することにより、求めることができる。
微細凹凸層20は、樹脂を含有してなる層とすることができ、更に、樹脂組成物の硬化物からなる層とすることができる。微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
また、前記貯蔵弾性率(E’)は、1〜200MPaであることがより好ましく、1〜100MPaであることが更により好ましい。前記tanδは、0.18以下であることがより好ましい。
まず、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を十分に硬化させて、透明基材及び微細凹凸面を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの平坦な単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
中でも、光硬化性成分を含む光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
上記光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む組成物であることが好ましく、(メタ)アクリレートを含む組成物であることがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、少なくとも上記光硬化性成分を含有していればよく、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
また、上記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、光硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
本発明において微細凹凸層20の形成に用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、光硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る反射防止物品は、支持体として透明基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
また、透明基材と前記微細凹凸層又は後述する中間層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材と、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層又は中間層の双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。
プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。
本発明に係る反射防止物品の製造方法は、上述の本発明に係る反射防止物品を製造できる方法であれば特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、微小突起集合体24を作製する前の微細凹凸面21’を、賦形により形成する工程を有する方法が好ましい。
本発明に係る反射防止物品の製造方法としては、例えば、まず透明基材15上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸面形成用原版の該微細凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微細凹凸面形成用原版を剥離することにより、微細凹凸面21において微小突起集合体が形成される前の形状を有する微細凹凸面21’を作製し、微細凹凸面21’に賦形された微小突起22を、互いに隣接する微小突起22と付着させて、微小突起集合体24を作製する方法等が挙げられる。
なお、微細凹凸面形成用原版の微細凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微細凹凸層20の微細凹凸面21において微小突起集合体24が形成される前の微細凹凸面21’の形状に対応する形状である。
微細凹凸面形成用原版の微細凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦形する方法、及び該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
また、微細凹凸層20は、図1に示すように、透明基材15の一方の面に形成してもよい。この場合、透明基材15は微細凹凸層20の支持体となる。或いは、前記樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層20を形成した後、製造に使用した透明基材は必要に応じて剥離して、微細凹凸層20のみとしてもよい。
前記微細凹凸面形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸面形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
樹脂組成物を完全に硬化させない程度に行う硬化処理、いわゆる半硬化処理によって形成された微小突起22は、先端部が折れ曲がりやすくなるため、微細凹凸面形成用原版を剥離する際に、互いに隣接する微小突起22同士が容易に付着し、微小突起集合体24が作製される。なお、微小突起22同士を付着させた後、樹脂組成物を完全に硬化させるために、更に光照射及び/又は加熱をしてもよい。
また、微細凹凸面21の表面を水拭きした後に、当該水拭き後の微細凹凸面21の表面を乾拭きする方法により、水拭き作業によって作製されすぎた微小突起集合体24の数を減らすことができるため、水拭き作業後と乾拭き作業とを組み合わせることで、より容易に微小突起集合体24の数を調節することができる。
なお、微小突起集合体24を形成した後の微細凹凸面21の形状は、拭き作業を行う際の圧力、当該拭き作業を水拭きにより行った場合の水の量等を調整することによっても制御することができる。
本発明に係る反射防止物品は、例えば、画像表示装置の画像表示面、店舗のショーウィンドウや、美術館の展示物の展示窓;時計等、各種計測機器の表示窓表面;道路標識や、ポスター等の各種印刷物;自動車、航空機等の乗り物や、各種建築物の窓等の前面又は両面に配置して、視認性を向上することができる。なお、前記画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、携帯情報端末、カーナビゲーションシステム等である。また、眼鏡、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の各種光学機器や、各種照明機器の窓材として用いることもできる。
上述した実施の形態において、反射防止物品10が、一方の面側のみに、微細凹凸層20の微細凹凸面21を有する例を示したが、本発明はこれに限らず、一方の面側および他方の面側の両側に微細凹凸層20の微細凹凸面21を有していてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、反射防止物品10が、透明基材15と、微細凹凸層20とからなる例を示したが、本発明はこれに限らず、透明基材15が省かれてもよいし、本発明の効果が失われない範囲においてさらに他の層が追加されてもよい。
(微細凹凸面形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸面形成用原版を得た。
なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、微小突起の平均間隔dAVGが100nm、微小突起の平均高さHAVGが200nmで先細りの多数の微小突起が密に配列された微細凹凸面を形成可能な凹凸形状であった。
EO変性ビスフェノールAジアクリレート55質量部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部、トリデシルアクリレート5質量部、ドデシルアクリレート5質量部、及び、光開始剤としてルシリンTPO(BASF社製)1質量部を酢酸エチル200質量部に溶解させ、微細凹凸層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化型樹脂組成物)を得た。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは200nmであり、平均高さH’AVGは160nmであった。
また、得られた反射防止物品の微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面写真(倍率50,000倍、大きさ3μm×2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGを求めたところ、100nmであった。得られた反射防止物品の微細凹凸層20の深さ方向に切断した垂直断面(倍率50,000倍、幅2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGを求めたところ、200nmであった。
実施例1の微細凹凸層20の形成において、紫外線照射量を50mJ/cm2から300mJ/cm2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の反射防止物品を作製した。
比較例1の反射防止物品の微細凹凸面を、実施例1と同様にして観察したところ、微小突起集合体の形成は確認されたが、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して6%であり、微小突起4つ以上からなる微小突起集合体の個数密度の平均は4個/1μm2であった。1個の微小突起集合体を構成する微小突起の数の平均は、4個であった。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは110nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。また、得られた反射防止物品の微細凹凸層20の微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断した水平断面写真(倍率50,000倍、大きさ3μm×2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均間隔dAVGを求めたところ、100nmであった。得られた反射防止物品の微細凹凸層20の深さ方向に切断した垂直断面(倍率50,000倍、幅2μm)10枚を観察して、微小突起集合体24を構成する前の微小突起22の平均高さHAVGを求めたところ、200nmであった。
実施例1及び比較例1で得られた各反射防止物品の裏面(基材側の面)に、黒色テープを貼り付け、紫外可視分光光度計(日本分光社製、商品名「V−7100」)を用いて、JIS Z8701−1999に準拠して2度視野(D65光源)により、反射防止物品表面への5°正反射率を測定した。測定結果を、耐擦傷性試験前の5°正反射率として表1に示す。
<耐擦傷性試験>
新東科学(株)社製の表面試験機ドライボギアTYPE−30を用い、25mm円柱の平滑な断面にスチールウールNo.0000を均一に貼り付け、荷重100gをかけながら、速度10cm/秒で10往復させ、実施例1及び比較例1で得られた各反射防止物品の微細凹凸面に傷を付けた。
微小突起集合体の個数密度は、微小突起4つ以上からなる微小突起集合体の個数密度である。
実施例1で得られた反射防止物品は、微細凹凸面に、アスペクト比が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm2内に平均8つ以上存在し、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が80%以上であるため、耐擦傷性試験後においても、微細凹凸面に付けられた傷がほとんど目立たず、耐擦傷性試験前後の反射率の差が小さく、耐擦傷性に優れていた。また、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが380nm以下であるため、反射率が低く、反射防止性能にも優れていた。
一方、比較例1で得られた反射防止物品は、微小突起集合体が少ないため、耐擦傷性試験後において、微細凹凸面に付けられた傷が目立ち、耐擦傷性試験前後の反射率の差も大きく、耐擦傷性に劣っていた。
15 透明基材
20 微細凹凸層
20’ 受容層
21 微細凹凸面
21’ 微小突起集合体24を作製する前の微細凹凸面
22 微小突起
23 頂部
24 微小突起集合体
25 微小突起間の谷底を連ねた包絡面
41 ダイ
42 ロール金型
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
Claims (1)
- 150nm以下となる平均間隔dAVGで密接して配列された微小突起が、隣接する前記微小突起と互いに付着してなる微小突起集合体を複数備えた微細凹凸面を表面に有し、
前記微細凹凸面には、アスペクト比(平均突起高さHAVG/平均間隔dAVG)が1.8以上の微小突起4つ以上からなる微小突起集合体が1μm2内に平均8つ以上存在し、
前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、80%以上であり、
前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下である微細凹凸層を備えることを特徴とする、反射防止物品。
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