JP2014071292A - 反射防止物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたセルフクリーニング性能及び反射防止性能を有する反射防止物品を提供する。
【解決手段】透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなり且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層と、酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層と、前記無機層上に直接積層された酸化チタンの連続層からなる光触媒層とをこの順で含み、前記光触媒層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、dmax≦Λminなる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする、反射防止物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルフクリーニング性能を有する反射防止物品に関するものである。
美術品、商品等の展示品、並びに携帯電話機、デジタルカメラ、タブレット端末等の情報表示部は、外部にそのまま露出していると汚れたり、壊れたりする恐れがあるため、水、塵、外力等から保護する必要がある。しかし、これら展示品や情報表示部がそのまま外部に露出しないようにするために、その外側に透明プラスチック板等を配置すると、該板の表裏両面で外光が反射し、表示の視認性が低下するという問題があるため、これら展示品や情報表示部の保護には、反射防止処理を施した透明プラスチック板等の反射防止物品が用いられている。
近年、反射防止処理技術としては、繰返周期が光の波長以下の極めて微細な凹凸を表面に設けることによって表面反射率を減少させる技術が提案されており、透明性に優れた基材上に微細凹凸層を形成した反射防止物品が開発されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、微細凹凸を表面に有する反射防止物品では、手指が触れることで皮脂等の汚れが付着したり、外部環境にさらされて塵や埃、水が付着したりした場合に、微細凹凸に付着した汚れや埃がアルコール等で容易に除去できないという問題がある。
また、反射防止物品に用いられる基材中の成分が揮発することにより、アウトガスが発生する可能性が指摘されており、例えば反射防止物品を、展示物を保護するショーケースに用いた場合に、アウトガスが当該展示物を腐食するおそれがあるという問題もある。
そこで、微細凹凸表面に付着した汚れや埃及び基材から発生したアウトガスの分解が可能なセルフクリーニング機能を付与した反射防止物品として、例えば特許文献2には、基材表面に微細な凹凸構造を有する光触媒層を備えた光学素子が開示されている。具体的には、基材上に酸化チタン等の光触媒材料を用いて塗膜を形成し、該塗膜の表面をエンボス加工法により微細な凹凸状に形成し、焼結することで得られる光学素子が開示されている。また、特許文献3には、透明フィルム上に設けた活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる微細凹凸構造層の微細凹凸構造面に、光触媒微粒子である酸化チタン微粒子を断続的に固着させた反射防止フィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に開示される反射防止物品のように、樹脂等の有機物を含有する層上に直接光触媒材料を積層すると、光触媒材料が当該有機物を分解してしまうという問題がある。このように、従来は、反射防止性能とセルフクリーニング性能を両立できる反射防止物品を得ることは困難であった。
さらに、特許文献2に開示される光学素子では、光触媒材料を用いて形成した塗膜は粘性が高いため、微細な凹凸を形成することが難しく、反射防止性能が不十分である。
また、特許文献3に開示される反射防止フィルムは、微細凹凸構造面に酸化チタン微粒子が固着されていない部分があるため、セルフクリーニング性能が不十分である。
特開2003−340844号公報 特開2001−183506号公報 特開2010−284843号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、優れたセルフクリーニング性能及び反射防止性能を有する反射防止物品を提供することを目的とする。
本発明の反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなり且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層と、酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層と、前記無機層上に直接積層された酸化チタンの連続層からなる光触媒層とをこの順で含み、
前記光触媒層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする。
本発明の反射防止物品は、セルフクリーニング性能及び反射防止性能に優れる点から、前記光触媒層側の最外層表面が備える各微小突起において、頂部から高さ方向の中央部までの領域に形成された前記無機層及び前記光触媒層それぞれの厚さが、前記無機層は1〜20nmの範囲内であり、前記光触媒層は5〜20nmの範囲内であることが好ましい。
本発明の反射防止物品は、前記無機層を形成する酸化ジルコニウムが単斜晶系酸化ジルコニウムを含み、前記光触媒層を形成する前記酸化チタンがアナターゼ型酸化チタンを含むことが、セルフクリーニング性能がさらに優れる点から好ましい。
本発明の反射防止物品は、前記無機層中の酸化ジルコニウム結晶粒子の平均粒径及び前記光触媒層中の酸化チタン結晶粒子の平均粒径がそれぞれ1〜20nmであることが、透明性及び反射防止性能に優れる点から好ましい。
本発明の反射防止物品は、前記微細凹凸層が有する微細凹凸形状の谷底部に平坦面が存在することが、反射防止性能に優れる点から好ましい。
本発明によれば、優れたセルフクリーニング性能及び反射防止性能を有する反射防止物品を提供することができる。
本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る反射防止物品の他の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図を示す図である。 隣接突起間距離の計測に供する度数分布図である。 微小高さの説明に供する度数分布図である。 微小突起の谷底の包絡面が大きな凹凸面(うねり)を呈する形態を模式的に示す断面図である。 本発明の反射防止物品の製造工程のうち、透明基材に微細凹凸層を形成する工程の一例を示す概略図である。 実施例1で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層表面のSEM写真である。 比較例4で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層表面のSEM写真である。 比較例5で得られた反射防止物品の光触媒層の膜厚を説明するための図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
また、本発明において、(メタ)アクリル樹脂は、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
以下、本発明の反射防止物品及びその製造方法について詳細に説明する。
I.反射防止物品
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなり且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層と、酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層と、前記無機層上に直接積層された酸化チタンの連続層からなる光触媒層とをこの順で含み、前記光触媒層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする。
本発明の反射防止物品は、微細凹凸層上に酸化チタンの連続層からなる光触媒層を有するため、光触媒層が海島状に形成された場合に比べて、非常に優れたセルフクリーニング性能を発揮する。なお、本発明において「セルフクリーニング性能」とは、反射防止物品の光触媒層側の最外層表面に付着した汚れ等に含まれる有機物を分解し、除去あるいは低減させることにより、当該最外層表面において汚れ等の付着を防止する性能、及び、透明基材から発生したアウトガスを分解する性能を意味する。ここで、アウトガスとは、透明基材中の有機物が揮発することにより発生するガスを意味する。また、「ある材料の連続層」とは、当該材料が微細凹凸表面全域に連続して形成されてなる層であり、当該材料が点在して海島状に形成された層でないことを意味する。
本発明の反射防止物品においては、光触媒層中の酸化チタンが、光触媒としての機能、すなわち紫外線の照射によって有機物を分解する機能、及び反射防止物品の表面に吸着した水分を分解して、OH、O等を生成して表面の濡れ性を促進し、当該表面を水の薄膜で被覆し、汚れ自体を付着し難くするという超親水効果による機能を発揮することにより、本発明の反射防止物品は、優れたセルフクリーニング性能を有する。
また、本発明の反射防止物品は、前記光触媒層側の最外層表面が、上述した微細凹凸を有するため、反射防止性能を発揮する。当該微細凹凸は、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層の前記透明基材と反対側の面を微細凹凸形状とすることにより得られるため、微細凹凸層の微細凹凸形状が維持される必要がある。本発明の反射防止物品は、微細凹凸層と光触媒層との間に酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層を介在させているため、前記微細凹凸層が前記光触媒層中の酸化チタンに分解されず、前記微細凹凸層の微細凹凸形状が維持され、ひいては光触媒層側の最外層表面の微細凹凸の形状も維持されるため、反射防止性能に優れる。なお、「光触媒層側の最外層表面」とは、前記微細凹凸層、前記無機層及び前記光触媒層を含む側の面の透明基材が存在する面とは反対側の最外層表面を意味し、光触媒層が最外層である場合は光触媒層の表面であり、光触媒層の上にさらに親水性薄膜等の他の層が積層されている場合は、当該他の層の表面である。
また、本発明の反射防止物品は、前記無機層を有することにより、微細凹凸層形成用材料として、酸化チタンと直接接触した場合に分解され得る有機物を含有するものを用いることができ、微細凹凸層形成用材料の選択の幅が広範囲となるため、微細凹凸層の物性を調整することが容易となる。
図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す反射防止物品10は、透明基材1の表面に、当該透明基材1側から順に、微細凹凸形状を有する微細凹凸層2と、無機層3と、光触媒層4とを有する。
<透明基材>
前記透明基材としては、反射防止物品に用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、前記透明基材に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。
また、前記透明基材に用いられる材料としては、前記透明樹脂の他に、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の反射防止物品の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、前記透明基材は、シート状及び板状のいずれであってもよい。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。また、本発明において「板状」とは、シート状に比べて厚さが厚いものであり、完全に曲がらないもの、及び巻き取れるほどには曲がらないが、負荷をかけることによって湾曲するものを含む意味である。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と後述する微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材および微細凹凸層との双方に密着性を有し、可視光学的に透明であれば良い。
前記プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。前記フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ GG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマー DS−PC−3B等が挙げられる。
<微細凹凸層>
前記微細凹凸層は、樹脂組成物の硬化物からなり且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する。
前記微細凹凸層の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましく、中でも特に、光触媒層中の酸化チタンの光触媒活性を向上させる点から、親水性を有する電離放射線硬化性樹脂が好ましい。なお、本発明において樹脂に親水性を付与することができる親水性基としては、水酸基、カルボキシル基等など分子内に水素結合を有するものが挙げられる。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、電離放射線の作用によって直接又は後述する重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
親水性を有する電離放射線硬化性樹脂としては、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート単位と、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート単位とを含むものが好ましい。
前記2官能以上の親水性(メタ)アクリレート単位としては、特に限定されないが、例えば、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)などの長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート類、ポリエチレングリコールジメタクリレート等があげられる。
また、前記2官能以上の親水性(メタ)アクリレート単位としては、特に限定されないが、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計が6〜40であることが好ましく、9〜30であることがより好ましく、12〜20であることが最も好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6より小さいと、親水性が十分でないためにセルフクリーニング性能が低下し、40より大きいと、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が低下するために、活性エネルギー線硬化組成物が分離した状態になってしまう。これらの親水性(メタ)アクリレート単位は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記2官能以上の親水性(メタ)アクリレート単位の含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して30〜80質量%用いることが好ましく、40〜70質量%用いることがより好ましい。前記含有量が30質量%以上であることにより、前記微細凹凸層が親水性に優れ、酸化チタンの光触媒活性をより向上し、80質量%以下であることにより、前記微細凹凸層表面の弾性率が好適であり耐擦傷性に優れる。なお、本発明において「固形分」とは、溶剤以外のすべての成分を意味する。
前記4官能以上の多官能(メタ)アクリレート単位としては、特に限定されないが、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)などが好適である。これらの多官能(メタ)アクリレート単位は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。前記4官能以上の多官能(メタ)アクリレート単位としては、特に限定されないが、5官能以上の単量体単位を用いることがより好ましい。
前記4官能以上の多官能(メタ)アクリレート単位の含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して10〜50質量%であることが好ましく、耐水性や耐薬品性の観点から、20〜50質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが最も好ましい。前記含有量が10質量%以上であることにより弾性率が好適であり耐擦傷性に優れ、50質量%以下であることにより、透明基材の変形に微細凹凸層が追随できずに該微細凹凸層表面に小さな亀裂が入ることを防ぐ。
前記親水性を有する電離放射線硬化性樹脂は、さらに単官能単量体単位を含有することにより、透明基材と微細凹凸層との密着性が向上する。単官能単量体単位としては、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート単位及び4官能以上の多官能(メタ)アクリレート単位と相溶するものであれば特に限定されないが、例えばM−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)などのエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどのエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート類、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどのカチオン性単量体類などの親水性単官能単量体が挙げられる。
また、前記単官能単量体単位は、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として前記樹脂組成物中に含有することもできる。当該重合体としては、具体的には、M−230G(新中村化学社製)などのエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製「MGポリマー」)等が挙げられる。
前記単官能単量体単位の含有量は、微細凹凸層の親水性及び耐擦傷性の観点から、前記樹脂組成物の全固形分に対して20質量%以下であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
前記樹脂組成物は、前記樹脂として電離放射線硬化性樹脂を含有する場合、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2−ジエトキシアセトキシフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;ケタール類;アントラキノン類;チオキサントン類;アゾ化合物;過酸化物;2,3−ジアルキルジオン化合物;ジスルフィド化合物;フルオロアミン化合物;芳香族スルホニウム類等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、通常、前記樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜20質量%である。
前記樹脂組成物は、前記樹脂として熱硬化性樹脂を含有する場合、或いは前記樹脂として電離放射線硬化性樹脂を含有する場合に光硬化と熱硬化を併用させる場合に、熱重合開始剤を含有することができる。熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクタエート、サクシン酸パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1’−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1’−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物などが挙げられる。これら熱重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記熱重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、通常、前記樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜20質量%である。
前記樹脂組成物は、さらに必要に応じて、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
前記微細凹凸層が前記透明基材と反対側の面に有する微細凹凸形状は、当該微細凹凸形状を有する面上に、少なくとも後述する無機層と光触媒層を形成した本発明の反射防止物品の光触媒層側の最外層表面が、後述する微細凹凸を有することができる形状であれば特に限定されない。中でも、図2に示すように、前記微細凹凸層が有する微細凹凸形状は、隣接する凸部2a及び凸部2a’間の谷底部2bに平坦部2cが存在することが好ましい。これにより、本発明の反射防止物品の光触媒層側の最外層表面を、後述する微小突起群を備えた特定の微細な凹凸形状とすることが容易となる。
なお、前記平坦面とは、前記微細凹凸層において、隣接凸部間の谷底部を連ねた包絡面2dと凸部2a等との交線を「裾」(2e)とした場合に、隣接凸部間の裾2eから裾2e’までの部分を意味する。前記平坦部の大きさは、本発明の反射防止物品の光触媒層側の最外層表面を、後述する特定の微細な凹凸形状にできる大きさに適宜調整することができるが、中でも、隣接する凸部間の裾から裾までの最短距離(図2中のE)が、50〜300nmであることが好ましく、50〜100nmであることが特に好ましい。なお、当該距離は、本発明の反射防止物品を、隣接する微小突起の頂部を含むように微細凹凸層を厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を観察することにより測定することができる。
前記微細凹凸層の厚みは、特に限定されないが、通常10〜300μmである。なお、微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の透明基材側の界面から、当該微細凹凸層の微細凹凸面の最も高い頂部の高さまでの透明基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
なお、前記微細凹凸層と前記透明基材とは一体化したものであっても良い。前記微細凹凸層と前記透明基材とが一体化したものとは、例えば、前記微細凹凸層と前記透明基材とを同じ材料によって形成したことにより、境界が認識できないものや、前記透明基材の表面に直接微細凹凸形状を設けたもの等が挙げられる。
前記微細凹凸層と透明基材とが一体化したものである場合、前記微細凹凸層と前記透明基材との合計厚みは、特に限定されないが、通常20〜5300μmである。前記微細凹凸層と前記透明基材との合計厚みとは、微細凹凸面のもっとも高い頂部からその反対側の面である透明基材側表面までの透明基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
<無機層>
本発明の反射防止物品は、前記微細凹凸層と後述する光触媒層との間に酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層を有する。これにより、本発明の反射防止物品は、微細凹凸層中の有機物が光触媒層を構成する光触媒材料により分解されず、微細凹凸層の微細凹凸形状を維持することができ、ひいては、光触媒層側の最外層表面の微細凹凸の形状を維持することができるため、優れた反射防止性能を発揮する。
前記無機層を形成する酸化ジルコニウムは、単斜晶系酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。単斜晶系酸化ジルコニウム上に後述する光触媒層を形成することにより、当該単斜晶系酸化ジルコニウムが当該光触媒層を構成する酸化チタンのアナターゼ型への結晶化を促進する。酸化チタンはアナターゼ型結晶の状態において特に光触媒活性が強いため、酸化チタンをアナターゼ型結晶とすることにより、本発明の反射防止物品のセルフクリーニング性能をより向上することができる。
なお、酸化チタンをアナターゼ型結晶とする方法としては、例えば酸化チタンを高温で加熱する方法が知られているが、加熱処理をした場合、微細凹凸層に形成された微細凹凸形状が崩れ、反射防止物品を得ることが困難である。一方、本発明においては、前記無機層が単斜晶系酸化ジルコニウムを含むことにより、常温で酸化チタンのアナターゼ型への結晶化を促進することができるため、微細凹凸層に形成された微細凹凸形状を維持することができ、反射防止性能に優れた反射防止物品を得ることができる。また、本発明の反射防止物品は、非加熱で製造することができることにより、大型化が容易であり、さらに、透明基材や微細凹凸層の材料として、耐熱性に優れるもの以外のものも使用することができるため、反射防止物品の物性の調整が容易となる。
前記無機層の厚みは、特に限定されないが、前記光触媒層側の最外層表面が備える各微小突起において、頂部から高さ方向の中央部までの領域(図1のf)に形成された前記無機層の厚さが、1〜30nmの範囲内であることが好ましく、5〜20nmの範囲内であることがより好ましく、10〜20nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、本発明において、微小突起における高さ方向の中央部とは、微小突起の高さHを2等分する位置を意味する。微小突起の高さについては、光触媒層側の最外層表面が備える微細凹凸構造とともに後で詳細に説明する。また、本発明において、微小突起の頂部における無機層の膜厚は、無機層の微細凹凸層側界面から光触媒層側界面までの、前記透明基材平面に対する垂線方向(図1中の6)の距離とする。一方、微小突起の斜面における前記無機層の膜厚は、無機層の微細凹凸層側界面から光触媒層側界面までの、微小突起の斜面の法線方向(図1中の7)の距離とする。
前記無機層の厚みが前記下限値未満であると、無機層を連続層とすることが困難となる。前記無機層の厚みが前記上限値を超えると、反射防止物品の反射率が増大するため、反射防止性能に劣る場合がある。また、前記微細凹凸層の微細凹凸形状に追随して無機層を形成することが困難となるため、光触媒層側の最外層表面を反射防止性能に優れた微細凹凸形状とすることが困難となる。
また、前記無機層中の酸化ジルコニウム結晶粒子の粒径は、特に限定されないが、反射防止物品の透明性に優れ、光触媒層側の最外層表面を微細凹凸形状とすることが容易である点から、平均粒径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。なお、本発明において平均粒径とは、TEM写真又はSEM写真から測定される算術平均粒径であり、例えば、50〜200万倍で撮影されたTEM写真又はSEM写真を用いて粒子の観察を行い、観察した粒子100個の粒径の算術平均値をもって平均粒径とすることができる。また、本発明において、粒子の形状が、短径と長径を有する回転楕円体形状や棒状等、アスペクト比の概念を含む形状である場合、当該粒子の粒径は、短径と長径の平均値とする。
前記無機層の形成方法としては、前記酸化ジルコニウムの連続層を形成することができる方法であれば特に限定されず、例えば、ゾルゲル法、液相析出法、スプレー法、パイロゾル法等の液相法(ウェットプロセス)、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の気相法(ドライプロセス)が挙げられる。中でも、気相法(ドライプロセス)が好ましく、特にスパッタリング法が好ましい。当該方法は、連続層の薄膜を形成することが容易であり、前記微細凹凸層の微細凹凸形状に追随して無機層を形成することが容易となるため、より優れた反射防止性能を奏する最外層表面形状を得ることができる。
また、前記無機層は、20〜50℃の温度下で形成することができる。これにより、前記微細凹凸層の形状は、熱により崩れることなく良好に維持される。また、前記無機層は、酸化ジルコニウムの単斜晶系への結晶化が促進される点から、20〜40℃の温度下で形成することが特に好ましい。
<光触媒層>
本発明の反射防止物品は、前記無機層上に直接積層された酸化チタンの連続層からなる光触媒層を有する。光触媒層中の酸化チタンは、紫外線の照射によって有機物を分解し、超親水効果を発揮する。さらに、前記光触媒層が酸化チタンの連続層からなるため、本発明の反射防止物品は、海島状に形成された光触媒層を有するものに比べて、非常に優れたセルフクリーニング性能を発揮する。
前記光触媒層を形成する酸化チタンは、上述のようにアナターゼ型結晶の状態において特に光触媒活性が強いため、反射防止物品のセルフクリーニング性能をさらに向上する点から、アナターゼ型酸化チタンを含むことが好ましい。前記酸化チタン中のアナターゼ型酸化チタンの含有量を増加させる方法としては、無機層中の単斜晶系酸化ジルコニウムの含有量を増加させる方法が挙げられる。単斜晶系酸化ジルコニウムが酸化チタンのアナターゼ型への結晶化を促進するからである。
前記光触媒層の厚みは、前記光触媒層側の最外層表面が備える各微小突起において、頂部から高さ方向の中央部までの領域に形成された前記光触媒層の厚さが、1〜30nmの範囲内であることが好ましく、5〜20nmの範囲内であることがより好ましく、10〜20nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、本発明において、微小突起の頂部における光触媒層の膜厚は、光触媒層の無機層側界面から光触媒層表面までの、前記透明基材平面に対する垂線方向(図1中の6)の距離とする。一方、微小突起の斜面における前記光触媒層の膜厚は、光触媒層の無機層側界面から光触媒層表面までの、微小突起の斜面の法線方向(図1中の7)の距離とする。前記光触媒層の厚みが前記下限値未満であると、光触媒層を連続層とすることが困難となる。光触媒層の厚みが前記上限値を超えると、前記微細凹凸層の微細凹凸形状に追随して光触媒層を形成することが困難となるため、光触媒層側の最外層表面を反射防止性能に優れた微細凹凸形状とすることが困難となる。
なお、前記光触媒層と前記無機層との合計厚みは、特に限定されないが、前記光触媒層側の最外層表面が備える各微小突起の頂部から高さ方向の中央部までの領域において、5〜60nmであることが好ましく、特に10〜40nmであることが好ましい。
前記光触媒層中の酸化チタン結晶粒子の粒径は、特に限定されないが、反射防止物品の、反射防止物品の透明性に優れ、光触媒層側の最外層表面を微細凹凸形状とすることが容易である点から、平均粒径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。
前記光触媒層の形成方法としては、前記酸化チタンの連続層を形成することができる方法であれば特に限定されず、例えば、前記無機層を形成する方法と同様の方法が挙げられ、中でも、気相法(ドライプロセス)が好ましく、特にスパッタリング法が好ましい。当該方法は、連続層の薄膜を形成することが容易であり、前記微細凹凸層の微細凹凸形状に追随して光触媒層を形成することが容易となるため、優れた反射防止性能を奏する最外層表面形状を得ることができるという点で好ましく、さらに、アナターゼ型酸化チタンの成長をより促進するという点でも好ましい。
また、前記光触媒層は、20〜40℃の温度下で形成することができる。これにより、前記微細凹凸層の形状は、熱により崩れることなく良好に維持される。
<その他の層>
前記光触媒層の上には、特に限定されないが、更に親水性薄膜を形成しても良い。
これにより、前記光触媒層の表面に親水性を有する薄膜を形成することで親水効果を高めることにより、セルフクリーニング性能を向上することができる。親水性を有する薄膜は、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物が好ましい。これらのうち酸化珪素が、親水性向上効果と耐久性の観点から、さらに好ましく用いられる。親水性を有する薄膜は、多孔質状であることが好ましい。多孔質状であることで、保水効果が高まり、親水性の維持性能が高まるばかりでなく、紫外線照射によって光触媒層表面で発生した活性酸素等の活性種が孔を通って物品の表面まで到達できるので、光触媒層の光触媒活性を大きく損なうことがないからである。
多孔質状の親水性薄膜を形成する方法としては、ゾルゲル法、液相析出法、スプレー法、ゾルゲル法等の液相法やスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の気相法が用いられる。一般に知られているゾルゲル法を適用すれば、多孔質状の薄膜が作製できるが、ゾルゲル法の原料液中に有機高分子や高級アルコールを添加することで、さらに容易に多孔質の薄膜を得ることができる。スパッタリング法などの気相法では、スパッタ時のガス圧を上げる、ガス中の酸素の量を減らす等、酸化物のダングリングボンドを増やすように成膜条件を調整することで、多孔質状の薄膜を作製することができる。
前記親水性薄膜の厚みは、特に限定されないが、1nm以上30nm以下が好ましい。1nm以上であることにより、親水性を十分に付与することができ、30nm以下であることにより、光触媒層の光触媒活性を損失を防ぐことができる。また、前記親水性薄膜の厚みは、親水性維持性能が高い点から、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。
<最外層表面の微細凹凸形状>
本発明の反射防止物品の前記光触媒層側の最外層表面の形状について説明する。
本発明の反射防止物品は、前記光触媒層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。
前記微小突起は、隣接する微小突起の間隔d(図1参照)が、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう密接して配置される。本発明に係る反射防止物品を、画像表示パネルに配置して視認性を向上せしめることを主目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して通常100〜300nmとされる。また、前記微小突起の高さは通常50〜350nmとされる。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る反射防止物品では、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
前記微小突起は、頂部を複数有するもの(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)であっても良い。前記微小突起として多峰性の微小突起を含むことにより、本発明の反射防止物品は耐擦傷性がより向上する。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂部が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂部を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。なお、微小突起の形状の観察のために、種々の方式の顕微鏡が提供されているものの、微細構造を損なわないようにして反射防止物品の表面形状を観察する場合には、AFM及びSEMが適している。
前記微細凹凸層の透明基材側の界面の高さから、前記光触媒層側の最外層表面の最も高い凸部の頂部の高さまでの透明基材平面に対する垂線方向の距離(図1中のt)は、特に限定されないが、通常10〜300μmである。
また、本発明において、前記微小突起群の構造は、いわゆる「モスアイ構造」とすることができる。「モスアイ構造」とは、蛾の目のように、規則的な突起配列を有する構造であり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。モスアイ構造を構成する各微小突起は、基材に植立するように、さらに基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製され、具体的な形状としては、例えば、半球、回転楕円体の半裁形状及び円錐形や四角錐形等の錐形体等が挙げられる。
本発明の反射防止物品は、前記光触媒層側の最外層表面に形成された微小突起が集合してなる微小突起群によって反射防止効果を発揮する。前記微小突起群が、反射防止効果を有するのは、次の様な理由による。
すなわち、前記微小突起群によって、反射防止物品の表面を構成する微小突起層と、外界(通常は空気。但し、反射防止物品の使用形態によっては、水、真空、或いは接着剤等の樹脂等になる場合もある。)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となるからである。それは、光の反射は、物質界面の不連続な急激な屈折率変化によって生じる現象であるから、物品表面に於ける屈折率変化を、空間的に連続的に変化する様にすることによって、該物品表面に於ける光反射が減るのである。
尚、前記微小突起層は、通常は透明で光は透過する物となるが、不透明の物であっても、その表面反射を低下する反射防止効果は得られる。
前記微小突起群の微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、前記反射防止効果を得るためには、例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報等に開示のように、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、P≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、P≦λminとなる。
一方、前記微小突起群の微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の間隔dはばらつきを有することになる。このような場合、間隔dは以下のように算定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図3は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を原画像と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、「隣接突起間距離」と称する。)の度数分布を求める。図4は、図3のドロネー図から作成した度数分布のヒストグラムである。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図4の例では、隣接突起間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図4は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求めると、図4の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間距離dの最大値を、dmax=dAVG+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
なお同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図5は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。ここでこの図5の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、突起の高さは、平均値HAVG=178nmとなる。なお図5に示す突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂部を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂部の中から高さの最も高い頂部を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=dAVG+2σ、突起の高さの平均値HAVGが、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要である。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminである為、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高さについては、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
なお上述した突起の高さを測る際の基準位置は、隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合(例えば、後述するように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等)は、(1)先ず、透明基材1の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ透明基材1の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合とは、例えば、図6に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が隣接微小突起間距離に比べて大きな周期Dでうねった凹凸形状を有する場合等が挙げられる。すなわち、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λmax以上の周期D(すなわちD>λmaxである)でうねった大きな凹凸形状としてもよい。当該大きな凹凸形状は、透明基材1の表裏面に平行なXY平面(図6参照)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いはXY平面における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λmaxを満たす周期Dでうねった凹凸面5が多数の微小突起からなる微小突起群に重畳することによって、微小突起群で完全に反射防止しきれずに残った反射光を散乱し、残留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、その結果、反射防止効果を一段と向上させることができる。
尚、凹凸面5の周期Dが前面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
MIN=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離DMINを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微小突起群の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
MIN>λmax
である。通常、D又はDMINは1〜200μm、好ましくは1〜100μmとされる。
なお、前記周期Dは、本発明の反射防止物品を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより測定することができる。
また、前記光触媒層側の最外層表面においては、良好な平滑性を確保するために、前記周期Dでうねった大きな凹凸形状の高低差(図6中のg)(以下、「突起間の高さうねり」と称する。)が、10μm以下であることが好ましく、500nm〜2μmの範囲内であることがより好ましい。突起間の高さうねりが10μm以下であれば、反射防止物品の反射防止機能に影響を与えず、目視してもわからない(ごまかされる)ためである。なお、前記周期Dでうねった大きな凹凸形状とは、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面の凹凸形状であるから、前記突起間の高さうねりは、例えば500nm以上離れた微小突起の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起の谷底部の位置は、本発明の反射防止物品を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
また、前記光触媒層側の最外層表面に形成された隣接した微小突起の谷底部の谷底部同士の高低差(以下「小さいうねり」と称する場合がある。)が、反射防止機能が均一となる点から、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
なお、前記小さいうねりは、本発明の反射防止物品を、隣接する微小突起の頂部を含むように厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより測定することができる。
なお、前記小さいうねりは、後述する微細凹凸層形成用原版の十点平均粗さRzを小さくすることにより、低減することができる。
なお、本発明の反射防止物品は、図1に示すように透明基材の一方の面にのみ微細凹凸層、無機層及び光触媒層を有し、その最外層表面に微細凹凸形状を有するものであっても良いし、透明基材のもう一方の面にも同様の層構成を有することにより、両面に微細凹凸形状を有するものであっても良い。
また、本発明の反射防止物品は、微細凹凸形状を有しない面に接着剤層を形成し、更に当該接着剤層の表面に離型シートを剥離可能に積層してなる接着加工品とすることもできる。かかる形態においては、離型シートを剥離除去して接着剤層を露出せしめ、該接着剤層により所望の物品の所望の表面上に本発明の反射防止物品を貼り合わせ、積層することができ、簡便に所望の物品に反射防止性能を付与することができる。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。
また、本発明の反射防止物品において、微細な凹凸形状を有する表面に、剥離可能な保護シートを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護シートを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、本発明の反射防止物品の微細凹凸面が、保管、搬送等の間に損傷、汚染することによる反射防止性能の低下を防止することができる。
また、本発明による反射防止物品の形状は、三次元形状、板、シート等任意である。
II.反射防止物品の製造方法
本発明の反射防止物品の製造方法は、上述した本発明の反射防止物品を製造することができる方法であれば特に限定されないが、例えば、(i)透明基材上に微細凹凸層を形成する工程、(ii)当該微細凹凸層上に無機層を形成する工程、及び(iii)当該無機層上に光触媒層を形成する工程を含む製造方法が挙げられる。前記(ii)の工程における無機層の形成方法及び前記(iii)の工程における光触媒層の形成方法は、既に説明した通りであり、ここでは省略する。
以下、前記(i)の工程における微細凹凸層の形成方法ついて詳細に説明する。
透明基材上に、微細凹凸層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、まず透明基材上に、微細凹凸層形成用樹脂組成物を塗布し、微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を、当該微細凹凸層形成用樹脂組成物に賦型した後、該樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層を形成し、微細凹凸層及び透明基材からなる積層体を前記微細凹凸層形成用原版から剥離する方法等を挙げることができる。微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微細凹凸層形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に微細凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が作製される。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微細孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成される。すなわち、微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微小突起群を備えた微細凹凸形状が形成される。なお、微細凹凸層が有する微細凹凸形状の谷底部に平坦面を設ける場合は、前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状の凸部、即ち前記微細凹凸層の谷底部を賦型する部分を平坦面とする。
また、本発明に用いられる微細凹凸層形成用原版は、微細凹凸形状が形成された面に離型剤を塗布しても良い。これにより、微細凹凸層を形成する際に、微細凹凸層から微細凹凸層形成用原版を剥離することが容易となり、これにより、微細凹凸層形成用原版の剥離の際に生じる微細凹凸層の微細凹凸形状の変形や、微細凹凸層及び透明基材の歪みを防止することができる。
前記離型剤としては、特に限定されないが、例えばフッ素系離型剤、ステアリン酸塩系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。
また、前記離型剤を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ディッピング塗布、スプレー塗布、ロールコート塗布法等が挙げられる。
また、本発明に用いられる微細凹凸層形成用原版は、多数の微細孔を有する微細凹凸形状を形成する前段階において、当該微細凹凸形状を形成する面のJIS B0601 1994に準拠した十点平均粗さRzが、100nm以下であることが好ましく、特に50nm以下であることが好ましい。これにより、得られる反射防止物品の小さいうねりが低減され、反射防止機能が均一となる。
前記十点平均粗さRzは、微細凹凸形状を形成する前段階における前記微細凹凸層形成用原版の表面を研磨することによって小さくすることができる。
また、前記微細凹凸層形成用原版は、多数の微細孔を有する微細凹凸形状の凸部頂上の高さを連ねた包絡面を、反射防止物品と同様の周期Dでうねった大きな凹凸形状とすることができる。これにより、得られる反射防止物品の最外層表面に形成される微小突起の谷底の高さを連ねた包絡面を、隣接微小突起間距離に比べて大きな周期Dでうねった凹凸形状を有するものとすることができる。
前記微細凹凸層形成用原版に形成される大きな凹凸形状の周期D又は最小隣接突起間距離DMINは、上述した反射防止物品と同様に、通常、1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
前記微細凹凸層形成用原版に前記周期Dでうねった大きな凹凸形状を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、微細凹凸形状を形成する前段階における前記微細凹凸層形成用原版の表面を粗化する方法等が挙げられる。
前記粗化する方法としては、例えば、機械的処理、電気化学的処理、陽極酸化、エンボス法、研磨法、エッチング法、湿式メッキ法、乾式メッキ法、溶射法、フォトリソグラフィ法、表面熱処理法、ゾルゲル法等を適宜単独または組み合わせながら処理する方法が挙げられる。
また、前記微細凹凸層形成用原版の形状は、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)が好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に直接又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が形成されたものが挙げられる。
図7に、微細凹凸層形成用樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸層形成用原版としてロール金型を用いた場合に、透明基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図7に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状シート形態の透明基材1に、未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、微小突起形状の受容層2’を形成する。なお紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ13により、反射防止物品の賦型用金型であるロール金型12の周側面に透明基材1を加圧押圧し、これにより透明基材1に受容層2’を密着させると共に、ロール金型12の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層2’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材1の表面に微細凹凸層2を作製する。続いて剥離ローラ14を介してロール金型12から、硬化した微細凹凸層2と一体に透明基材1を剥離する。必要に応じてこの透明基材1に粘着層等を形成した後、所望の大きさに切断して反射防止物品を作製する。これにより反射防止物品は、ロール材による長尺の透明基材1に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりシート形状による反射防止物品を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による微細凹凸層形成用原版を使用した枚葉の処理により反射防止物品を作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸層形成用原版は、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
(微細凹凸層形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期(図6のD)1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸層形成用原版を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微細孔間距離が100nm、平均深さが200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用樹脂組成物の調製)
ジペンタエリスリトールへキサアクリレート(DPHA)20重量部、アロニックスM−260(東亜合成社製)70重量部、ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、及び光重合開始剤としてルシリンTPO(BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化性の微細凹凸層形成用樹脂組成物を調製した。
(実施例1)
1.微細凹凸層の形成
前記微細凹凸層形成用樹脂組成物を、前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し透明基材と微細凹凸層との積層体を得た。
2.無機層の形成
得られた積層体の微細凹凸層の微細凹凸面上に、スパッタ装置(SMD-750、アルバック社製)を用い、35℃で酸化ジルコニウムをスパッタリングし、各微小突起の頂部から高さ方向の中央部までの領域における厚さが10〜20nmの酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層を形成した。
3.光触媒層の形成
前記無機層上に、スパッタ装置(SMD-750、アルバック社製)を用い、35℃で酸化チタンをスパッタリングし、各微小突起の頂部から高さ方向の中央部までの領域における厚さが10〜20nmの酸化チタンの連続層からなる光触媒層を形成した。これにより、実施例1の反射防止物品を得た。
実施例1で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層表面のSEM写真を図8に示す。図8に示すSEM写真から明らかなように、実施例1で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面には、微小突起群を備えた微細凹凸が形成されていた。当該微細凹凸は、平均隣接微小突起間隔100nmで、平均高さ200nmの先細りの微小突起群が密に形成された微細凹凸形状であった。
(実施例2)
使用する光透過性基板を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製)、貼り合わせ時の加重を25N/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の反射防止物品を得た。実施例2で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面には、実施例1と同様の微小突起群を備えた微細凹凸が形成されていた。
(実施例3)
使用する光透過性基板を厚さ125μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製)、貼り合わせ時の加重を25N/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の反射防止物品を得た。実施例3で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面には、実施例1と同様の微小突起群を備えた微細凹凸が形成されていた。
(実施例4)
各微小突起の頂部から高さ方向の中央部までの領域において、無機層の厚さを20nm〜30nmとし、光触媒層の厚さを10nm〜20nmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の反射防止物品を作製した。実施例4で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面には、平均隣接微小突起間隔100nmで、平均高さ200nmの先細りの微小突起群が密に形成された微細凹凸が形成されていた。
(比較例1〜3)
光触媒層を形成しない以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして比較例1〜3の反射防止物品を作製した。
(比較例4)
光触媒層を形成する際に、80℃で5分間加熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の反射防止物品を作製した。比較例4で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面のSEM写真を図9に示す。図9に示すSEM写真から明らかなように、比較例4で得られた反射防止物品の光触媒層側の最外層の表面には、微細凹凸が形成されていなかった。また、反射防止物品を厚み方向に切断して得られた垂直断面のSEM写真を観察したところ、平坦な表面に積層された無機層の厚さは10nm〜20nmであり、光触媒層の厚さは10nm〜20nmであった。
(比較例5)
実施例1と同様に作製した透明基材と微細凹凸層との積層体の微細凹凸層上に、バーコーターを用いて、微細凹凸層の突起が埋まらない厚みとなるように、酸化チタン分散液(商品名:TKC−304、テイカ株式会社製)を塗布し、溶剤を乾燥させ、比較例5の反射防止物品を作製した。なお、比較例5で用いた酸化チタン分散液は予めアナターゼ構造を有することがわかっている。
比較例5で得られた反射防止物品の光触媒層の膜厚を、微細凹凸層に形成された微細凹凸形状を構成する隣接凸部間の最深部から光触媒層表面までの透明基材平面に対する垂線方向の距離(図10中のh)とし、その平均膜厚を、無作為に選び出された隣接凸部間の最深部10箇所で測定した膜厚の算術平均値としたとき、比較例5の光触媒層の平均膜厚は、100nmであった。当該膜厚は、比較例5の反射防止物品を厚み方向に切断して得られた垂直断面のSEM写真を観察することにより測定した。また、SEM写真により、微細凹凸層の突起が埋まっていないことを確認した。
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品について、下記の評価を行った。評価結果をそれぞれ表1に示す。
<平均粒径の測定>
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品を厚み方向に切断して得られた垂直断面のSEM写真を観察することにより、無機層を形成する酸化ジルコニウム結晶粒子の平均粒径、及び光触媒層を形成する酸化チタン結晶粒子の平均粒径を測定した。なお、前記平均粒径は、観察した粒子100個の粒径の算術平均値である。
<反射率の測定>
黒アクリル板(日東樹脂工業製、製品名CLAREX)に粘着剤(パナック製、製品名パナクリーンPDR5)を介して、各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の透明基材側を貼合し、分光器(島津製作所製、分光光度計UV−3100PC)にて反射率を測定した。
<セルフクリーニング評価>
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の光触媒層及び/又は無機層が形成された側の最外層表面に、それぞれテンションチェッカーペン(パシフィック化学製、TC−B−38、38mN/m)を用いてマーキングをし、4日間太陽光を照射した。
○:ペンで書いた字が消えて読み取れない。
×:ペンで書いた字が消えない。
<ガス分解能評価>
[アセトアルデヒドガスの準備]
30Lのガスサンプリングバッグ(商品名:ガスサンプリングバッグ、アズワン製)に所定量のアセトアルデヒド(和光純薬製)をシリンジで注入し、バッグ内のガス濃度が80ppmとなるように調整した。
[評価]
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品を100mm×100mmの大きさに切り出したものを、上記バック内に入れて、紫外線照射前(表1において「0時間」と表示する。)、並びに紫外線を照射してから24時間後、100時間後、及び250時間後において、該バック内のアセトアルデヒドガス濃度を測定し、当該ガス濃度の経時変化を測定した。
(結果のまとめ)
実施例1〜4で得られた本発明の反射防止物品は、反射率が低く反射防止性能に優れ、さらに、セルフクリーニング評価においてペンで書いた字が消え、ガス分解能評価においてアセトアルデヒドガスの濃度が減少したことから、セルフクリーニング性能にも優れることがわかった。実施例1〜4の反射防止物品は、セルフクリーニング性能に優れていたことから、無機層を構成する酸化ジルコニウムが単斜晶系酸化ジルコニウムを含み、当該無機層が光触媒層を構成する酸化チタンのアナターゼ型への結晶化を促進したと推測することができる。また、実施例1〜3は、各微小突起の頂部から高さ方向の中央部までの領域に形成された無機層の厚さを5〜10nmとし、無機層の厚さを20nm〜30nmと比較的厚くした実施例4に比べて、反射率が低く、反射防止性能に優れていた。
一方、比較例1〜3は、無機層は有するものの光触媒層を有していないことから、セルフクリーニング評価及びガス分解能が劣っていた。
比較例4は、無機層及び光触媒層を有することから、セルフクリーニング評価及びガス分解能には優れていたものの、加熱処理により、微細凹凸形状が形成されず、反射率が高く、反射防止性能に劣っていた。
比較例5は、無機層を有していないが、アナターゼ型酸化チタンを用いて光触媒層を形成したことから、セルフクリーニング評価及びガス分解能に優れていた。しかし、樹脂組成物からなる微細凹凸層上に無機層を介さずアナターゼ型酸化チタンからなる光触媒層を形成したため、酸化チタンの光触媒活性により微細凹凸層が劣化し、その結果得られた反射防止物品は黄変した。
本発明の反射防止物品の用途としては、例えば、携帯電話、時計等の各種機器に於ける情報表示部の窓材が挙げられる。これら表示部では、LCD等の表示パネルの前面に、板や成形品等となった樹脂製或いはガラス製の窓材が配置される。なお、情報表示部は、LCD等の表示パネル以外に、時計に代表される機械式アナログメータ等の様な機械的手段で表示するものでもよく、これらの窓材でも良い。尚、窓材は、平板状もあるが、組み付けやデザイン上の観点から周囲に突起等を有するものもある。
また、板状やシート状の反射防止物品に於いては、透明タッチパネル等に使用する透明板等の透明基材が挙げられる。透明タッチパネルは、表示部に入力機能を付加するものであるが、該製品組立上、LCD、CRT等の表示パネルと別部品として組み付けるので、表示パネルと透明タッチパネル間に空隙が残り、光反射、更にはこれに起因する干渉縞(Newton環)が生じる。そこで、透明タッチパネルの裏面側を成す透明基材を、その裏面を本発明特有の微細凹凸を設けた反射防止物品とすれば、光反射が防げる。
透明タッチパネルは、例えば、電子手帳等のPDA乃至は携帯情報端末(機器)、或いは、カーナビゲーションシステム、POS(販売時点情報管理)端末、携帯型オーダー入力端末、ATM(現金自動預金支払兼用機)、ファクシミリ、固定電話端末、携帯電話機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、パソコン、パソコン用ディスプレイ、テレビジョン受像機、デジタル遊戯機器、テレビ用モニターディスプレイ、券売機、計測機器、電卓、電子楽器等の電子機器、複写機、ECR(金銭登録機)等の事務器、或いは、洗濯機、電子レンジ等の電気製品に使用される。
また、本発明の反射防止物品は、各種光学部品としての用途も挙げられる。例えば、写真機のレンズ、写真機のファインダの窓材、眼鏡のレンズ、オーバーヘッドプロジェクタのフレネルレンズ、レーザ装置の出力取出窓、光センサの光入力窓、望遠鏡のレンズ等が挙げられる。
また、高額商品のショーケース、美術品の保護板等の用途が挙げられる。
また、特に本発明は、微細凹凸に付着した汚れを分解して低減或いは除去できるため、デパートなど店舗のショーウィンドウ、大窓、一般商品のショーケース等の用途が挙げられる。その場合には、支持体として透明基材を用いることが視認性が高いため好ましい。
尚、本発明が適用し得る用途は、これらの例示される用途に限定されるものではない。
1 透明基材
2 微細凹凸層
3 無機層
4 光触媒層
10 反射防止物品
11 ダイ
12 ロール金型
13 押圧ローラ
14 剥離ローラ

Claims (5)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなり且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層と、酸化ジルコニウムの連続層からなる無機層と、前記無機層上に直接積層された酸化チタンの連続層からなる光触媒層とをこの順で含み、
    前記光触媒層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
    dmax≦Λmin
    なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする、反射防止物品。
  2. 前記光触媒層側の最外層表面が備える各微小突起において、頂部から高さ方向の中央部までの領域に形成された前記無機層及び前記光触媒層それぞれの厚さが、前記無機層は1〜20nmの範囲内であり、前記光触媒層は5〜20nmの範囲内である、請求項1に記載の反射防止物品。
  3. 前記無機層を形成する酸化ジルコニウムが単斜晶系酸化ジルコニウムを含み、前記光触媒層を形成する前記酸化チタンがアナターゼ型酸化チタンを含む、請求項1又は2に記載の反射防止物品。
  4. 前記無機層中の酸化ジルコニウム結晶粒子の平均粒径及び前記光触媒層中の酸化チタン結晶粒子の平均粒径がそれぞれ1〜20nmである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反射防止物品。
  5. 前記微細凹凸層が有する微細凹凸形状の谷底部に平坦面が存在する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の反射防止物品。
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