JP2014098864A - 反射防止物品、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】微細凹凸層2の表面は、微小突起3が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、微小突起3は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、dmax≦Λminなる関係を有し、且つ、微小突起3の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が300MPa以下であり、且つ、樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比が0.2以下である。
【選択図】図1
Description
特許文献4の手法によれば、架橋密度を高くして微細凹凸構造体の硬度を上げているため当該微細凹凸構造体は変形しにくく、拭取り時に、微細凹凸構造体の隙間まで届きにくかった。そのため、汚染物を拭き取る際は、水やアルコールを含んだクリーナー等で汚れを浮かび上がらせて拭取る必要があり、乾拭きで汚れを除去することは困難であった。
前記微細凹凸層の表面は、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下であることを特徴とする。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一面側に、樹脂組成物の硬化物からなり、且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層を含む反射防止物品であって、
前記微細凹凸層の表面は、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’)、以下、損失正接という場合がある)が0.2以下であることを特徴とする。
前記微細凹凸層2の表面は、微小突起3が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、前記微小突起3は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起3の隣接突起間隔d(図1)の最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起3を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起3の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有している。微細凹凸層2がこのような構造を有することにより、Λmin以上の波長を有する光の反射防止を図ることができる。
従来の反射防止物品は、耐擦傷性の点から、微小突起の硬度が高いものが広く用いられてきた。硬度の高い微小突起は、拭取り時に圧力がかかってもほとんど変形しないため、乾拭きで汚れを拭き取ることは困難であった。
一方、圧力により容易に変形可能な微小突起は、圧力により当該突起が潰れたり、スティッキングが生じやすく、拭いた箇所に拭き痕が残ってしまう場合があった。
本発明においては、微細凹凸層として上記特定の物性を有する樹脂組成物の硬化物を用いる。当該樹脂組成物の硬化物は、貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下、且つ、損失正接(tanδ)が0.2以下であることにより、当該微細凹凸層の微小突起は、拭取る程度の圧力で変形し、且つ、優れた弾性復元性を備えている。そのため、乾拭きで汚れを拭取る際には、その圧力により微小突起が変形して、微小突起間に付着した汚れを機械的に掻き出し易くなり、その後、圧力が取り除かれると、塑性変形を生じることなく元の微小突起の形状に復元する。このようなことから、本発明の反射防止物品は、乾拭きであっても、反射防止性能を低下させることなく、汚れを拭取ることが可能である。
なお、本発明における拭取り時の圧力の大きさは、特に限定されるものではないが、通常、およそ2〜5kg/cm2程度の圧力である。
以下、本発明に係る反射防止物品に含まれる透明基材、微細凹凸層について、順に説明する。
本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
また、透明基材と後述する微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材および微細凹凸構造体との双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。
微細凹凸層の表面は、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有する。微小突起の形状は、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有するものの中から適宜選択すればよい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。微小突起が上記の形状を有することにより、微細凹凸等の深さ方向に屈折率が連続的に変化するため、反射防止性が付与される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
樹脂組成物の硬化物は、後述する樹脂組成物を、光及び/又は熱の作用により硬化させて得られたものである。後述する製造方法により、当該硬化物は所定の微細凹凸形状が付与された微細凹凸層とすることができる。
まず、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
また、前記樹脂組成物の硬化物は、表面の拭取り性の点から、当該硬化物の表面における水の接触角が、70度以上であることが好ましい。
まず、透明基材上に微細凹凸層用の樹脂組成物を塗布して、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより硬化させて、微細凹凸形状を有しない塗膜を形成する。当該塗膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、前記微細凹凸層に接触角を測定しようとする溶剤(水、n−ヘキサデカン、又はオレイン酸)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の接触角を計測した。測定装置は、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
微細凹凸層表面の最大押し込み深さは、変形し易く、拭取り性に優れる点から、1.0〜2.0μmであることが好ましく、1.2〜1.8μmであることがより好ましい。
また、微細凹凸層表面の弾性復元率は、塑性変形が少なく、拭き痕が生じにくい点から、80%以上であることが好ましく、85〜98%であることがより好ましい。
反射防止物品の微細凹凸層側表面に、下記特定の条件で圧子を押し込んで、フィルム表面の弾性率、最大押し込み深さ、弾性復元率を測定することができる。
測定装置は、例えば、フィッシャーインストルメンツ社製PICODENTER HM−500を用いることができる。
<測定条件>
・荷重速度 1mN/10秒
・保持時間 10秒
・荷重除荷速度 1mN/10秒
・圧子 ビッカース
・測定温度 25℃
微細凹凸層用の樹脂組成物は、熱硬化性成分及び/又は光硬化性成分を含み、硬化後に上記物性が得られるものが用いられる。中でも、光硬化性成分を含む光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
上記光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む組成物であることが好ましく、(メタ)アクリレートを含む組成物であることがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、少なくとも上記光硬化性成分を含有していればよく、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
また、上記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、光硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が上記物性を満たし、微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立する点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
本発明において用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、光硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微細凹凸層表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
本発明において用いられる微細凹凸層用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤、離型剤等が挙げられる。
本発明の反射防止物品は、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。透明基材の微細凹凸層を有しない面側には、光学フィルム用途に用いられる従来公知の各種層を有していてもよい。例えば、従来公知の単層或いは多層構成の反射防止層、光拡散による防眩性(或いは反射防止)を付与する層、傷付き防止等の為に従来公知のハードコート層等が挙げられる。
本発明に係る反射防止物品は、後述する画像表示装置の他、各種物品に用いることができる。
例えば、店舗のショーウィンドウや、美術館の展示物の展示窓;時計等、各種計測機器の表示窓表面;道路標識や、ポスター等の各種印刷物;自動車、航空機等の乗り物や、各種建築物の窓等の前面又は両面に配置して、視認性を向上することができる。また、眼鏡、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の各種光学機器や、各種照明機器の窓材として用いることもできる。
本発明の反射防止物品の製造方法は、透明基材上に微細凹凸層を形成する従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。
例えば、まず透明基材上に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸層形成用原版の凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦型した後、該樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層を形成し、前記微細凹凸層形成用原版から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に作製される。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微細孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成され、すなわち、当該微細凹凸の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微細凹凸を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微細凹凸の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微細凹凸形状が形成される。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図6に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状フィルム形態の透明基材1に、未硬化で液状の光硬化性樹脂組成物を塗布し、微小突起形状の受容層2’を形成する。なお光硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ13により、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に透明基材1を加圧押圧し、これにより透明基材1に受容層2’を密着させると共に、ロール金型12の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層2’を構成する光硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材1の表面に微細凹凸層2を作製する。続いて剥離ローラ14を介してロール金型12から、硬化した微細凹凸構造体2と一体に透明基材1を剥離する。必要に応じてこの透明基材1に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止物品1を作製する。これにより反射防止物品は、ロール材による長尺の透明基材1に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
本発明に係る画像表示装置は、表示パネルの少なくとも一面側に、前記本発明に係る反射防止物品を備えることを特徴とする。
なお、本発明の画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、携帯情報端末、カーナビゲーションシステム等である。
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸層形成用原版を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微細孔間距離が100nm、平均深さが200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート 55質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Bを調製した。
<樹脂組成物Bの組成>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・メチルメタクリレート 5質量部
・ヘキシルメタクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Cを調製した。
<樹脂組成物Cの組成>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 30質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 20質量部
・ドデシルアクリレート 50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Dを調製した。
<樹脂組成物Dの組成>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 15質量部
・2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 15質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 70質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
製造例2で得られた微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを、製造例1で得られた微細凹凸層形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(富士フィルム社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cm2の加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、実施例1の反射防止物品Aを得た。
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの代わりに、製造例2で得られた微細凹凸層形成用樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止物品Bを得た。
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの代わりに、比較製造例1で得られた微細凹凸層形成用樹脂組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止物品Cを得た。
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの代わりに、比較製造例2で得られた微細凹凸層形成用樹脂組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止物品Dを得た。
<貯蔵弾性率(E’)及びtanδの測定>
微細凹凸層形成用樹脂組成物A〜Dをそれぞれ2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの試験用単膜A〜Dをそれぞれ得た。
次いで、JIS K7244に準拠し、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、貯蔵弾性率E’、及び損失弾性率E”を求めた。また、当該E’及びE”の結果からtanδを算出した。測定装置はUBM製 Rheogel E400を用いた。結果を表1に示す。
トリアセチルセルロースフィルム上に微細凹凸層形成用樹脂組成物A〜Dを塗布して、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより硬化させて、微細凹凸形状を有しない塗膜を形成した。当該塗膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴5秒後の水の接触角を計測した。水の代わりに、n−ヘキサデカン及びオレイン酸をそれぞれ用いて、各溶媒の接触角をそれぞれ計測した。結果を表1に示す。
測定装置は協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いた。
実施例1、2及び比較例1、2で得られた反射防止物品A〜Dの微細凹凸層側表面に、下記特定の条件で圧子を押し込んで、微細凹凸層側表面の弾性率、最大押し込み深さ、弾性復元率を測定した。測定装置は、フィッシャーインストルメンツ社製PICODENTER HM−500を用いた。結果を表1に示す。
<測定条件>
・荷重速度 1mN/10秒
・保持時間 10秒
・荷重除荷速度 1mN/10秒
・圧子 ビッカース
・測定温度 25℃
実施例1、2及び比較例1、2で得られた反射防止物品A〜Dの微細凹凸層側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けた後、指を押し付けて指紋を付着させた。その後、ザヴィーナミニマックス(富士ケミカル製)にて指紋を乾拭きした。乾拭きは3kg/cm2程度の力で10往復行い、拭取り後の外観を評価した。結果を表1に示す。
[指紋拭き取り試験評価基準]
A:指紋汚れが視認できない。
B:指紋付着跡に若干の色味の変化が視認される。
C:指紋がほぼ拭取られない。
実施例1、2及び比較例1、2で得られた反射防止物品A〜Dの微細凹凸層側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けた後、ザヴィーナミニマックス(富士ケミカル製)にて3kg/cm2程度の力で10往復擦った。擦過1分後の視認性の評価を下記基準で行った。結果を表1に示す。
[摺動性試験評価基準]
A:擦り痕が視認されない。
B:擦り痕に若干色味の変化がある。
C:擦り痕が明らかに白濁する。
25℃において、貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、tanδが0.2以下である樹脂組成物の硬化物を用いて形成された微細凹凸層を有する実施例1及び実施例2の反射防止物品は、乾拭きであっても指紋を拭取ることが可能で、拭取り跡が確認されなかった。tanδが0.69の比較例1は、拭取り時の圧力により微細突起が塑性変形を生じたり、スタッキングが発生したものと推定される。貯蔵弾性率E’が330MPaの比較例2は、微小突起が変形しにくく、乾拭きでは十分に指紋汚れを落とすことができなかった。
2 微細凹凸層
2’ 受容層
3 微小突起
4 表示パネル
10 反射防止物品
11 ダイ
12 ロール金型
13 押圧ローラ
14 剥離ローラ
20 画像表示装置
Claims (4)
- 透明基材の少なくとも一面側に、樹脂組成物の硬化物からなり、且つ前記透明基材と反対側の面に微細凹凸形状を有する微細凹凸層を含む反射防止物品であって、
前記微細凹凸層の表面は、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下であることを特徴とする、反射防止物品。 - 前記樹脂組成物の硬化物の表面における、n−ヘキサデカンの接触角が30度以下、又はオレイン酸の接触角が25度以下である、請求項1に記載の反射防止物品。
- 前記樹脂組成物が、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有する、請求項1又は2に記載の反射防止物品。
- 表示パネルの少なくとも一面側に、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反射防止物品を備える、画像表示装置。
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