JP6435776B2 - 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6435776B2
JP6435776B2 JP2014219167A JP2014219167A JP6435776B2 JP 6435776 B2 JP6435776 B2 JP 6435776B2 JP 2014219167 A JP2014219167 A JP 2014219167A JP 2014219167 A JP2014219167 A JP 2014219167A JP 6435776 B2 JP6435776 B2 JP 6435776B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microprojection
microprojections
forming
microprotrusions
height
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014219167A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016085397A (ja
Inventor
秀 森戸
秀 森戸
矢口 孝
矢口  孝
正人 手塚
正人 手塚
洋一郎 大橋
洋一郎 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2014219167A priority Critical patent/JP6435776B2/ja
Publication of JP2016085397A publication Critical patent/JP2016085397A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6435776B2 publication Critical patent/JP6435776B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置に関する。
近年、フィルム形状の反射防止物品(反射防止フィルムとも呼称される)に関して、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている(特許文献1、2参照)。この方法は、入射光に対する屈折率を厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
特開昭50−70040号公報 特許第4632589号公報
画像表示装置において、透明基材の表面に前記従来技術に開示される形状の多数の微小突起を密接して配置する反射防止物品を用いると、色調が赤色の波長領域の光の反射率が比較的高く、赤みを有する場合があった。斯かる反射防止物品を用いた画像表示装置においては、表示装置の色再現性が低下し、目視上の障害となる場合があった。一般的に無彩色又は青みを有する画像表示装置が自然な画像表示を提供するものとして好まれるため、反射防止物品の色調から赤みを消すことが求められる。其の為には、反射防止物品の分光反射カーブの極小波長を緑色の波長域よりも長波長とし殘留反射光の青み増加させることにより、反射防止物品の色調から赤みを消すことができるが、従来技術においてこれは困難であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、反射防止性に優れ、且つ、青みが増加された、即ち、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)よりも長波長とされた反射防止物品、及びその製造方法並びに、反射防止性に優れ、且つ、青みが増加された画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物又はその硬化物からなる微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
AVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起として、
下記微小突起A:
微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
下記微小突起Zr:
微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在しており、
前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Zrの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Zrのアスペクト比が、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Aの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Aのアスペクト比よりも大きいことを特徴とする。
本願発明に係る反射防止物品においては、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起全体の平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起のアスペクト比が0.8〜3.0であることが、反射防止性が向上し、青みが増加する点から好ましい。
本願発明に係る反射防止物品においては、前記微小突起Zrが、前記凹面frを介して上部と下部とを有する微小突起であり、
前記上部が、(a)微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、丸く膨らんだ構造、又は、(b)前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有し、
前記下部が、前記凹面frから底面方向にかけて外方に向かって丸みを帯びたショルダー部を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することが、青みが増す観点から好ましい。
本願発明に係る反射防止物品においては、全微小突起数中に於ける前記微小突起Zr数の比率が5%以上とすることが、青みが増す観点から好ましい。
また、本願発明に係る反射防止物品においては、前記微小突起が前記樹脂組成物の硬化物からなり、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下であることが、前記微小突起Zrの形状を形成しやすいため、好ましい。
また、本願発明に係る反射防止物品の製造方法は、円筒形状を有し、その側面に微小突起の反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する工程、
前記微小突起構造体形成用原版の側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
前記塗布層に電離放射線を照射することにより前記塗布層を不完全硬化させる工程、
不完全硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離後、更に電離放射線を照射することによって、不完全硬化した塗布層を更に硬化させることにより、前記本願発明に係る反射防止物品を得る工程、を備えることを特徴とする。
本発明に係る画像表示装置は、表示パネルの少なくとも一面側に、前記本発明に係る反射防止物品を備えることを特徴とする。
本発明によれば、反射防止性に優れ、且つ、青みが増加された、即ち、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)よりも長波長とされた反射防止物品、その製造方法、及び、反射防止性に優れ、且つ、青みが増加された画像表示装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明に係る反射防止物品の別の一例を示す概略断面図である。 図3は、微小突起の形状の説明に供する、微小突起の模式断面図である。 図4は、頂点を複数有する多峰性の微小突起の説明に供する断面図(図4(a))、斜視図(図4(b))、平面図(図4(c))である。 図5は、ドロネー図の一例を示す模式平面図である。 図6は、微小突起構造体の一例を示す模式断面図である。 図7は、本発明に係る反射防止物品の製造方法の一例を示す概略図である。 図8は、本発明に係る画像表示装置の一例を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明に係る反射防止物品、及びその製造方法並びに、本発明に係る画像表示装置について順に詳細に説明する。
なお、本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念であり、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の物品を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状物品(板状物品、シート状物品)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「平面」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
[反射防止物品]
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物又はその硬化物からなる微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
AVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起として、
下記微小突起A:
微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
下記微小突起Zr:
微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在していることを特徴とする。
前記本発明に係る反射防止物品について図を参照して説明する。図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される反射防止物品10は、透明基材1の一面側に、透明基材1とは別の材料からなる微小突起構造体3を有する。
図2は、本発明に係る反射防止物品の別の一例を示す概略断面図である。図2に例示される反射防止物品10は、透明基材1と微小突起構造体3とが単層構造となっている。
微小突起構造体3の表面は、微小突起2が密接して配置されて微細凹凸形状を有する微細凹凸面であり、前記微小突起2は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起2の隣接突起間隔d(図1)の平均値をdAVGとしたときに、
AVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起2として、微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、並びに、微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含むことにより、Λmin以上の波長を有する光の反射防止を図ることができる。なお、前記微小突起Aは、前記凹面frを有さない。
更に、本発明の反射防止物品は、前記微小突起2として含まれる微小突起Zrが、微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有する構造を有することによって、反射防止物品の青みが増加される。
微小突起Zrは、環状に絞られた凹面frを介して、丸く膨らんだ先端部(図3(a)の上部11’)又は丸みを帯びて先細りとなる先端部(図3(b)の上部11”)を有している。一般に微小突起の形状が単純円錐である場合には、微小突起のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)が大きくなるほど、反射光の赤みが抑制される。また、本発明者らによるシミュレーションによると、微小突起の形状が円錐台形である場合には、反射光の青みが強くなる。本発明においては、微小突起Zrが前記凹面frを介して先端部を有するため、アスペクト比が高くなることにより、且つ、先端部が丸く膨らんだ形状となったり、凹面frから底面方向に向かってショルダー部13(図3)となることによって、微小突起の形状が円錐台形である場合と似た光学的作用を生じることにより、反射光の青みが増すと推測される。なお、ショルダー部とは、前記微小突起Zrの下部において、凹面frから底面方向に向かって、微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率の増加率が相対的に大きい斜面部分をいう。
本発明者らは鋭意検討の結果、反射防止物品の微小突起として、少なくとも前記微小突起A及び前記微小突起Zrの2種類が混在していることによって、優れた反射防止性を備え、且つ、反射防止物品の色味を無彩色又は青みを有する反射防止物品にすることができるとの知見を得た。
従来の反射防止物品を用いた場合は、分光反射カーブ(以下、単に分光カーブとも呼称する。)の反射率が極小となる波長、即ち、極小波長λbottom(ボトム)が480nm付近に存在する、すなわち青色の波長領域(450〜495nm)に最も高い反射防止効果を有している。しかし、その結果、反射光の色調は赤みを帯びている。これに対して、本願発明の反射防止物品を用いた場合は分光カーブのボトムがより長い波長側にシフトしており、λbottom≧495nmとすることができる。但し、青みが過度になら無いようにλbottom≦700nmとすることが好ましく、より好ましくは、λbottomが550nm付近に存在するようにする。すなわち緑色の波長領域(495〜570nm)に最も高い反射防止効果を有しており、青色の波長領域(450〜495nm)においては、従来の反射防止物品よりもやや低い反射防止効果を有している。このようにして、本発明は従来の反射防止物品よりも青みが増し、其の結果、赤みを消す効果に優れている。
<透明基材>
本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン、シクロオレフィンの単独又は共重合体等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。また、前記透明基材の材料としては、後述する微小突起構造体形成用の樹脂組成物を用いてもよい。図2に示すように、前記透明基材と微小突起構造体とが単層構造を有する場合は、微小突起構造体の成形性に優れる点から、前記透明基材の材料としては、後述する微小突起構造体形成用の樹脂組成物を用いることが好ましい。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の反射防止物品の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、前記透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と微小突起構造体との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材及び微小突起構造体の双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。
プライマー層の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。また透明基材と微小突起構造体の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を透明基材と微小突起構造体の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
また、図2に示すように、前記透明基材の一方の面を賦形する等により、当該透明基材の表面に後述する微小突起構造体が形成され、透明基材と微小突起構造体とが単層構造となっていてもよい。
<微小突起構造体>
本発明の反射防止物品10は、前記微小突起2として、少なくとも前記微小突起Aと前記微小突起Zrとを有し、これらが混在している構造を有する。各微小突起は、連続した曲面で構成された表面形状を有する。
前記微小突起2は、隣接する突起間隔d(図1参照)が、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう密接して配置される。本発明に係る反射防止物品を、画像表示装置に配置して視認性を向上せしめることを主目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して通常100〜300nmとされる。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起2は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る反射防止物品では、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷底の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起2は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
(微小突起A)
前記微小突起Aは、微小突起2の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。これにより、反射防止効果を発揮する。前記微小突起構造体と、外界(通常は空気)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となり、界面に於ける光反射が減るからである。なお、微小突起の底面とは、微小突起の頂点に対する面をいう。
前記微小突起構造体を構成する微小突起Aは、透明基材に植立するように、さらに透明基材側より先端側の頂点に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるような(先細りとなるような)形状を有している。微小突起Aの形状は、そのような条件を満たすものの中から適宜選択すればよい。このような微小突起Aの形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘形状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。尚、ここで、垂直断面とは、微小突起2の高さ方向に平行な(仮想的)断面を言う。又、高さ方向とは、微小突起2の頂点から透明基材1に向かう方向であり、透明基材1の表面又は裏面の法線と合致する。
微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVGに対する微小突起Aの平均突起高さHAVGの比として表される微小突起Aのアスペクト比(微小突起Aの平均突起高さHAVG/微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVG)は、反射防止性が向上する点から0.8〜2.5であることが好ましく、0.8〜2.1であることがより好ましく、更に、1.3〜2.1である場合には赤みが抑制される点からより好ましい。
(微小突起Zr)
前記微小突起Zrは、微小突起2の表面に、当該微小突起2の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該記微小突起2の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。
図3は、微小突起Zrの一例を示す模式的断面図である。微小突起Zrは、微小突起の先端が、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する(環状に絞られた)凹面frを介して上部11(先端部)と下部12とを有する微小突起であり、くびれた形状を有する。
微小突起Zrの頂点に近い側の先端部である上部11は、図3(a)に示した微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、外方に向かって丸く膨らんだ構造、又は、図3(b)に示した前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有する。上部11の形状としては、略円状、略楕円状、略放物状等のなだらかな曲線で描かれる垂直断面形状を有している。
下部12は、前記凹面frから底面方向にわたって外方に対して丸みを帯びたショルダー部13を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。或いは、図1の微小突起Zrのように、前記凹面frから底面方向に向かってすそ広がりに、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。これにより、反射防止効果を発揮する。前記微小突起構造体と、外界(通常は空気)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となり、界面に於ける光反射が減るからである。前記下部12の形状としては、略円錐台状(半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の形状の頂点が微小突起の底面と水平な面で欠いている形状)の垂直断面形状を有するものが挙げられる。
前記凹面frは、上部11と下部12を接続している微小突起の内部に向かって凸になると共に外部に対しては凹んだ窪みである。微小突起Zrにおいて前記凹面frが存在する位置は特に限定されないが、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)から前記凹面frまでの高さ(下部の高さ)と、前記凹面frから頂点までの高さ(上部の高さ)との比が2:8〜8:2となる位置にあることが、高い反射防止性及び青みの増加の観点から好ましい。
本発明においては、微小突起Zrが前記凹面frを介して先端部を有するため、アスペクト比が高くなることにより、且つ、先端部が丸く膨らんだ形状となったり、凹面frから底面方向に向かってショルダー部13となることによって、円錐台形に似た光学的作用を生じることにより、反射光の青みが増すと推測される。
本発明においては、微小突起構造体に複数の種類の形状の微小突起Zrが存在していてもよい。
微小突起Zrの垂直断面における上部(図3に示す11’及び11”)の最大幅は、凹面frの幅よりも大きく、下部の最小幅よりも小さいことが、高い反射防止性及び青みの増加の観点から好ましい。前記微小突起Zrの垂直断面における幅は、例えば、前記微小突起構造体の表面をSEM等により観察して測定することができる。
微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVGに対する微小突起Zrの平均突起高さHAVGの比として表される微小突起Zrのアスペクト比(微小突起Zrの平均突起高さHAVG/微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVG)は、反射防止性が向上し、青みが増加する点から1.0〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.7であることがより好ましく、1.7〜2.5であることが更に好ましい。前記微小突起Zrのアスペクト比は前記微小突起Aのアスペクト比よりも大きいことが、青みが増加する点から好ましい。
また、微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVGに対する微小突起2全体の平均突起高さHAVGの比として表される微小突起2のアスペクト比(微小突起2全体の平均突起高さHAVG/微小突起2全体の平均隣接突起間隔dAVG)は、反射防止性が向上し、青みが増加する点から0.8〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましい。
前記微小突起構造体表面に存在する全微小突起中に於ける微小突起Zr数の比率は、特に限定されないが、青みを増加させる効果を発揮する点からは、5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。
また、特に限定はされないが、前記微小突起構造体表面に存在する全微小突起中に於ける微小突起Zr数の比率は、90%以下であることが好ましい。
前記微小突起Zrの個数の比率は、例えば、前記微小突起構造体の表面をSEM等により観察し、画像解析により該比率の値の標本抽出に対する変動が收束し得る面積範囲、通常葉100〜1000個の微小突起を含む面積範囲において存在を確認できた微小突起2の総個数のうち、微小突起Zrの個数の割合を算出することにより、求めることができる。
(多峰性微小突起)
本発明において微小突起構造体は、前記微小突起Aとして、頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性微小突起」と称する場合がある。)を有してもよい。
前記多峰性微小突起としては、突起高さが最高となる点(後述の極大点でもある)である頂点を複数有するものであることが好ましい。前記微小突起Aとして多峰性微小突起を含むことにより、本発明の反射防止物品は反射防止性がより向上する。なお、多峰性微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性微小突起」と称する場合がある。また多峰性微小突起、単峰性微小突起に係る各頂点近傍の領域から形成される各凸部を、適宜、「峰」と称する。
図4は、この頂点を複数有する多峰性微小突起の説明に供する断面図(図4(a))、斜視図(図4(b))、平面図(図4(c))である。なおこの図4は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図4(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図4(b)及び図4(c)において、xy方向は、透明基材1の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。反射防止物品10において、多くの微小突起2は、透明基材1より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図4においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、1つの頂点が形成されている。一方、多峰性微小突起としては、例えば、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(5A)、頂点が3つになったもの(5B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)等が挙げられる。なお単峰性微小突起5の形状は、概略、回転放物面の様な頂点の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性微小突起5A、5Bの形状は、概略、単峰性微小突起5の頂点近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂点を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性微小突起5A、5Bの形状は、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a+a+・・+a2n2n+・・で近似されるような形状である。
各微小突起の高さに高低差の有る微小突起群は、反射防止性能が広帯域化され、白色光のような多波長の混在する光、あるいは広帯域スペクトルを持つ光に対して、全スペクトル帯域で低反射率を実現するのに有利である。これは、かかる微小突起群によって良好な反射防止性能を発現し得る波長帯域が、隣接突起間距離dの他に、突起高さにも依存する為である。
また、多峰性微小突起が混在する場合には、単峰性微小突起のみによる場合に比して反射防止の性能を向上することができるのは、図4に示すような多峰性微小突起5A、5B等は、隣接突起間距離が同じ場合であっても、また突起高さが同じ場合であっても、単峰性微小突起と比べて、より光の反射率が低減するからであり、多峰性微小突起5A、5B等は、頂点より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性微小突起よりも、頂点近傍における有効屈折率の高さ方向の変化率が小さくなった状態で外界(通常は空気)の屈折率に収束する為である。
なお多峰性微小突起は、反射防止性を向上する効果を発揮する点からは、表面に存在する全微小突起中における多峰性微小突起の個数の比率は10%以上であることが好ましい。特に多峰性微小突起による反射防止性を向上する効果を十分に奏する為には、全微小突起中於ける該多峰性微小突起の個数の比率は30%以上、好ましくは50%以上とすることが好ましい。
但し、微小突起の製造安定性及び多峰性微小突起による効果の飽和を考慮すると、該多峰性微小突起の個数の比率は90%以下、好ましくは70%以下とする。
本発明において隣接突起間隔d及び微小突起の高さHは以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:以下、AFMと略称する)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMと略称する)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。極大点は頂点に対応する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大画像とを逐次対比して極大点を求める方法、AFM等により得られた高さ情報を含む微小突起の面内配列の平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。本発明において、平面視拡大写真を用いた画像データの処理は、例えば、1μm×1μmの領域を50,000倍に拡大した平面視拡大写真を、3枚用いて平均することにより行うことができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。図5にドロネー図の一例を示す模式平面図を示す。図5の例に示されるようにドロネー図とは、各極大点21を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分22で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の平面視の拡大画像から、5〜20個程度の互いに隣接する微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を同一の多峰性微小突起内に属する各峰間距離と見做して、これを除外して度数分布を検出する。
具体的には、突起の頂点が溝状凹部によって複数の峰に分裂している微小突起(多峰性微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性微小突起)の場合の数値範囲から、隣接する極大点間の距離が明らかに大きく異なることになる。この特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大画像から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性微小突起を選んで、その隣接する極大点間の距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接する極大点間の距離の平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。本発明においては、隣接突起間距離dの最大値dmaxをdmax=dAVG+2σと定義して算出する。
同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。なお多峰性微小突起が含まれる場合は、1つの微小突起が頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが突起高さHのヒストグラムにおいて混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合(図6参照)等は、(1)先ず、反射防止物品10の表面を構成する微小突起32の集合体からなる微小突起構造体30の微小突起表面31とは反対側の面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ微小突起構造体30の微小突起面31とは反対側の面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起32の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば図6に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λMAX以上の周期D(すなわちD>λMAXである)でうねることもある。該周期的なうねりは、透明基材の表裏面に平行な平面(図6におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは透明基材の表裏面に平行な平面(図6におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λMAXを満たす周期Dでうねった凹凸面33が多数の微小突起32からなる微小突起構造体30の表面31に重畳することによって、当該微小突起構造体表面31で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱させ、反射防止性を一段と向上させることができる。
尚、係るうねりによる凹凸面33の周期Dが全面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面33について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
min=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微小突起構造体30の表面31の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
min>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
また、反射防止物品10の良好な平滑性を確保するために、前記周期Dでうねった凹凸面33の高低差(図6中のh)は、10μm以下であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲内であることがより好ましい。なお、前記凹凸面33により形成される凹凸面の高低差は、例えば500nm以上離れた微小突起32の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起32の谷底部の位置は、反射防止物品10を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
前記微小突起構造体中の各微小突起が同一の高さHを有し、当該微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接突起間隔dは、微小突起配列の周期pと一致するため、dAVG=pとなる。よって、反射防止効果を奏し得る条件は、dAVG=p≦Λminであり、微小突起配列の周期p以上の波長を有する光に対して反射防止効果を奏することができる(例えば、特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報を参照することができる)。従って、例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を得るためには、可視光線帯域の最短波長を380nmとした場合、微小突起配列の周期を380nm以下とすればよい。また、微小突起の高さHは、反射防止効果を得ようとする波長のうち最長波長Λmaxの0.2倍以上であることが好ましい(H≧0.2×Λmax)。従って、例えば可視光線帯域の全波長に対して優れた反射防止効果を得ようとするためには、可視光線帯域の最長波長を780nmとした場合、H≧0.2×780nm=156nmであることが好ましい。
突起が不規則に配置されている場合には、上述のようにして求めた隣接突起間距離dの平均値dAVGがdAVG≦Λminを満たすことが必要である。更に、波長Λmin以上の光に対して、より十分な反射防止效果を奏する為には、隣接突起間距離dの最大値dmax=dAVG+2σが、dmax≦Λminを満たすことが好ましい。又、微小突起の高さHについては、例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためには、dmax=dAVG+2σ≦380nmとすればよい。可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高さHについては、十分な反射防止効果を発現する為には、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、HAVG≧0.2×Λmaxとなることが好ましく、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためにはHAVG≧0.2×780nm=156nmであることが好ましく、HAVG≧160nmとすることがより好ましい。突起の高さHAVGは、反射防止効果の点から、通常350nm以下とされる。また、突起の高さの分布は、通常50〜350nmである。
微小突起構造体の厚み(図1におけるT)は、適宜調整すればよいが、微小突起構造体が透明基材とは別の層として備えられる場合は、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがより好ましい。この場合、微小突起構造体の厚みTは、当該微小突起構造体の透明基材との界面から、最も高い微小突起の頂点までの厚みで定義される。前記微小突起構造体と前記透明基材とが単層構造を有する場合は、前記微小突起構造体の厚みは透明基材の厚みに依存し、特に限定されない。
本発明において微小突起構造体は、樹脂組成物又はその硬化物からなり、成形性の点から、樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。微小突起構造体形成用の樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。
前記微小突起構造体が樹脂組成物の硬化物からなる場合は、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下であることが、樹脂組成物が原版から剥がれる時に伸びて凹部frを有しアスペクト比が高い微小突起Zrの形状を形成しやすく、且つ、樹脂組成物が破断して版の底に残るようなことが起きないため、好ましく、0.01〜0.12であることがより好ましい。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、微小突起構造体形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、前記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製Rheogel E4000を用いることができる。
前記樹脂組成物に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、微小突起の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
本発明においては微小突起構造体形成用の樹脂組成物は、中でも、電離放射線硬化性成分として、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
また、前記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、電離放射線硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が前記物性を満たし、微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立する点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点、及び凹面frを有する微小突起Zrを含む微小突起を形成するのに好適である点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、後述する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の特性を兼ね備える。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性及び復元性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。
(2)炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物
本発明において用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点、及び凹面frを有する微小突起Zrを含む微小突起を形成するのに好適である点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を用いる場合、当該化合物の含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
本発明において好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化物の貯蔵弾性率、損失正接を前記所定の範囲に調整しやすく、且つ親油性に調整しやすく、優れた乾拭き取り性を得ることができる点から、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートとを含有することが特に好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。
(3)光重合開始剤
前記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
(4)帯電防止剤
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微小突起構造体表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。
(5)溶剤
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。溶剤としては、通常は、揮発性のものを用いる。該樹脂組成物が硬化性のものである場合は、溶剤を揮発乾燥させて後、該樹脂組成物を硬化せしめる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。なお本発明において固形分とは、樹脂組成物中の溶剤以外のすべての成分を表す。
(6)その他の成分
本発明において用いられる微小突起構造体形成用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤、離型剤等が挙げられる。
[反射防止物品の製造方法]
本発明の反射防止物品は、好ましくは、以下の工程を備える方法により製造することができる。
A)円筒形状を有し、その側面に微小突起の反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する工程、
B)前記微小突起構造体形成用原版の微細孔形成面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
C)前記塗布層に電離放射線を照射することにより当該塗布層を硬化させる工程、及び
D)硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離することにより、前記反射防止物品を得る工程。
(A)準備工程)
まず、円筒形状を有し、その微細孔形成面(円筒の側面に相当)に微小突起Aの反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する。
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微小突起構造体形成用原版の微小突起構造体形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は他の層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記前記微小突起構造体形成用原版に微小突起の凹凸反転形状となる微細孔の凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部に高さ方向に徐々に孔径が小さくなるテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする高さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微小突起構造体形成用原版には、微小突起Aの反転形状を有する、多数のテーパー形状の微細孔が密に作製される。
前記微小突起構造体形成用原版は、生産性向上の観点から、円筒状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いる。本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材については、上述したものを使用する。
(B)被覆工程)
次に、前記微小突起構造体形成用原版の微細孔を形成した側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する。
図7に、微小突起構造体形成用の樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、微小突起構造体形成用原版としてロール金型を用いた場合に、帯状フィルム形態の透明基材上に微小突起構造体を形成する方法の一例を示す。
図7に示す方法では、樹脂を供給して被覆する工程において、帯状フィルム形態の透明基材45に、ダイ41により微小突起構造体形成用の樹脂組成物を塗布し、微小突起形状を受容する受容層46を形成する。樹脂組成物の塗布方法については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材を加圧押圧し、これにより透明基材側に受容層46を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細孔形状の凹部に、受容層46を構成する樹脂組成物を充分に充填する。
(C)硬化工程)
次に、前記微小突起構造体形成用原版上の微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布層に電離放射線を照射することにより当該塗布層を硬化させる。これにより透明基材上に微小突起構造体3を作製する。前記塗布層を硬化させる工程において、前記塗布層を不完全硬化し、D)剥離工程において前記一体化物を剥離後、さらに電離放射線を照射することによって不完全硬化した塗布層を更に硬化させることが、樹脂組成物が原版から剥がれる時に伸びやすくなるため、凹部frを有しアスペクト比が高い微小突起Zrの形状を形成しやすい点から、好ましい。
なお、本発明において不完全硬化とは、未反応の電離放射線硬化性樹脂を含む状態をいい、好ましくは、未反応の電離放射線硬化性樹脂を含むことにより塑性変形し得る状態をいう。
(D)剥離工程
そして、硬化した塗布層と透明基材との一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版から、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離することにより、ロール金型の微細孔の形状を反転した形状を有する微小突起A及び、離型時に樹脂組成物が伸びて形成された微小突起Zrを有する、前記反射防止物品を得る。
剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した塗布層(微小突起構造体3)と透明基材1の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離する。必要に応じてこの透明基材1に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止物品10が得られる。これにより反射防止物品は、ロール材による長尺の透明基材1に、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
本願発明の反射防止物品は、反射率対波長を示す分光カーブの極小波長が従来技術よりも長い波長側にシフトした結果、本発明の反射防止物品は、緑色波長領域よりも長波長側、即ち波長495nm以上の光に対する反射率を全体的に低く抑えつつ、従来の反射防止物品よりも波長495nm未満の光の反射率を増やすことにより、青みが増加されて自然な画像表示を可能とし、且つ、白色光(550nm付近)の反射が抑えられて視覚的な(官能的な)反射抑制効果も優れたものになる。例えば、本発明に係る反射防止物品は、波長480nmの光の反射率を0.15%以下とし、波長550nmの光の反射率を0.02%以下とし、波長700nmの光の反射率を0.6%以下とすることができる。青みがより増加される点から、更に、波長480nmの光の反射率が0.10%以下であり、波長550nmの光の反射率が0.10%以下であることが好ましく、波長700nmの光の反射率が0.01%以下であることが好ましい。
本発明において、波長480nm、550nm及び700nmの光の反射率は、微小突起構造体の形状や、微小突起構造体の材質等により調整することができる。
本発明において反射防止物品の光の反射率は、黒アクリル板に無色透明のアクリル樹脂系粘着剤を介して、測定対象となる反射防止物品の透明基材側を貼合し、分光器(島津製作所製、分光光度計UV−3100PC)にて反射率を測定することにより求めることができる。
本発明の反射防止物品は、青みが増す点から、JIS Z 8729(2004)に規定されるL表色系における色座標aが2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.0以下であることが更により好ましい。また、色座標bが2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.0以下であることが更により好ましい。
反射防止物品の色座標a及びbは、島津製作所社製、分光光度計UV3100PC等により測定することができる。
[画像表示装置]
本発明に係る画像表示装置は、表示パネルの画像表示面側に、前記本発明に係る反射防止物品を備えることを特徴とする。
本発明の画像表示装置50は、図8に示すように、表示機構51の表示面52に、前記本発明に係る反射防止物品10を備えている。当該反射防止物品10は、表示面52と直接貼り合わされてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、反射防止物品10と、表示面52との間に、他の部材を有していてもよい。当該他の部材としては、例えば、公知のタッチパネル部材、電磁波遮蔽材、赤外線吸収フィルタ等が挙げられる。
なお、本発明の画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、携帯情報端末、カーナビゲーションシステム、電子黒板等である。
本発明の画像表示装置は、青みが増加され、反射防止物品による画像の赤味が低減し、且つ反射防止性に優れているため、色再現性に優れた画像表示装置とすることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。前記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例1:微小突起構造体形成用原版1の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz10nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ(蓚)酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で電圧印加無しで60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、前記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用原版1を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細孔による凹凸形状は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(製造例2:微小突起構造体形成用樹脂組成物Aの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを調製した。
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート 55質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(製造例3:微小突起構造体形成用樹脂組成物Bの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Bを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート50質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート30質量部
・トリデシルアクリレート5質量部
・ドデシルアクリレート5質量部
・メチルメタクリレート5質量部
・ヘキシルメタクリレート5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(製造例4:微小突起構造体形成用樹脂組成物Cの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Cを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート30質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート20質量部
・ドデシルアクリレート50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(実施例1:反射防止物品1の製造)
製造例2で得られた微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを、製造例1の微小突起構造体形成用原版1の微細凹凸面が覆われ、微小突起構造体の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製)を該原版表面に対して斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを不完全硬化させた。その後、原版より剥離し、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに再度2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射することにより、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを更に硬化させることにより、反射防止物品1を得た。
(実施例:反射防止物品の製造)
実施例1において、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに代えて、微小突起構造体形成
用樹脂組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例の反射防止物品を得た。
(比較例1:比較反射防止物品の製造)
実施例1において、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに代えて、微小突起構造体形成用樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の比較反射防止物品を得た。
[評価]
<微小突起構造体の表面の観察>
微小突起構造体の表面をSEMにより観察し、微小突起のdAVG及びHAVG、並びに全微小突起数中に於ける微小突起Zr数の比率を算出した。結果を表1に示す。
<色度評価>
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の色度を、島津製作所社製、分光光度計UV−3100PCにて測定し、L表色系における色座標bを求めた。結果を表1に示す。色座標bが2.0以下であれば、赤みが抑制され、反射防止性に優れていると評価される。
<貯蔵弾性率(E’)及びtanδの測定>
微小突起構造体形成用樹脂組成物A〜Dをそれぞれ2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの試験用単膜A〜Dをそれぞれ得た。
次いで、JIS K7244に準拠し、25℃下、前記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、貯蔵弾性率E’、及び損失弾性率E”を求めた。また、当該E’及びE”の結果からtanδを算出した。測定装置はUBM製Rheogel E4000を用いた。結果を表1に示す。
<反射率測定>
黒アクリル板(日東樹脂工業製、製品名CLAREX)に粘着剤(パナック製、製品名パナクリーンPDR5)を介して、各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の透明基材側を貼合し、島津製作所製の分光光度計UV−3100PCにて反射率を測定した。その結果、各実施例で得られた反射防止物品は、反射率対波長を示す分光カーブの極小波長が580〜700nmの範囲内にあった。一方で、比較例1で得られた反射防止物品は、反射率対波長を示す分光カーブの極小波長が495〜570nmの範囲内にあった。よって、各実施例で得られた反射防止物品は、比較例1で得られた反射防止物品に比べて、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域よりも長波長とされ、青みが増加されたものであった。
[結果のまとめ]
各実施例で得られた反射防止物品1〜は、微小突起の隣接突起間隔dの平均値dAVGが、可視光領域の最短波長(380nm)以下であり、本発明の微小突起Aと本発明の微小突起Zrが混在する微小突起構造体を有するものであったため、色座標bが2.0以下であり、反射防止性に優れ、且つ、赤みが抑制され、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)よりも長波長となり、青みが増加された反射防止物品であった。
一方で、比較例で得られた比較反射防止物品は、本発明の微小突起Zrを有しないものであったため、色座標bが2.0を超え、赤みが抑制されておらず、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)にあり、青みが増加されていなかった。
1 透明基材
2 微小突起
A 微小突起A
Zr 微小突起Zr
fr 凹面
3 微小突起構造体
5、5A、5B 多峰性微小突起
10 反射防止物品
11、11’、11” 上部
12 下部
fr 凹面
13 ショルダー部
21 極大点(母点)
22 線分(ドロネー線)
23 微小突起
30 微小突起構造体
31 微小突起構造体表面
32 微小突起
33 うねりによる凹凸面
41 ダイ
42 ロール金型(原版)
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 透明基材
46 受容層
50 画像表示装置
51 表示機構
52 表示面

Claims (7)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物又はその硬化物からなる微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する反射防止物品であって、
    前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
    AVG≦Λmin
    なる関係を有し、
    前記微小突起として、
    下記微小突起A:
    微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
    下記微小突起Zr:
    微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
    前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
    前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在しており、
    前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Zrの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Zrのアスペクト比が、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Aの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Aのアスペクト比よりも大きい、反射防止物品。
  2. 前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起全体の平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起のアスペクト比が0.8〜3.0である、請求項1に記載の反射防止物品。
  3. 前記微小突起Zrが、前記凹面frを介して上部と下部とを有する微小突起であり、
    前記上部が、(a)微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、丸く膨らんだ構造、又は、(b)前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有し、
    前記下部が、前記凹面frから底面方向にかけて外方に向かって丸みを帯びたショルダー部を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する、請求項1又は2に記載の反射防止物品。
  4. 全微小突起数中に於ける前記微小突起Zr数の比率が5%以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反射防止物品。
  5. 前記微小突起が前記樹脂組成物の硬化物からなり、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の反射防止物品。
  6. 円筒形状を有し、その側面に微小突起の反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する工程、
    前記微小突起構造体形成用原版の側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
    前記塗布層に電離放射線を照射することにより前記塗布層を不完全硬化させる工程、
    不完全硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離後、更に電離放射線を照射することによって、不完全硬化した塗布層を更に硬化させることにより、前記請求項1乃至のいずれか一項に記載の反射防止物品を得る工程、を備えることを特徴とする反射防止物品の製造方法。
  7. 表示パネルの少なくとも一面側に、前記請求項1乃至のいずれか一項に記載の反射防止物品を備える、画像表示装置。
JP2014219167A 2014-10-28 2014-10-28 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置 Expired - Fee Related JP6435776B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014219167A JP6435776B2 (ja) 2014-10-28 2014-10-28 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014219167A JP6435776B2 (ja) 2014-10-28 2014-10-28 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016085397A JP2016085397A (ja) 2016-05-19
JP6435776B2 true JP6435776B2 (ja) 2018-12-12

Family

ID=55972596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014219167A Expired - Fee Related JP6435776B2 (ja) 2014-10-28 2014-10-28 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6435776B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102688793B1 (ko) * 2019-02-19 2024-07-29 삼성디스플레이 주식회사 입력 감지 패널 및 이를 포함하는 표시 장치

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004205990A (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Dainippon Printing Co Ltd 反射防止性能を有する微細凹凸パターンの作製方法及び反射防止物品
DE102008018866A1 (de) * 2008-04-15 2009-10-22 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Reflexionsminderndes Interferenzschichtsystem und Verfahren zu dessen Herstellung
JP2011107195A (ja) * 2009-11-12 2011-06-02 Olympus Corp 光学素子および光学素子の製造方法ならびに微細凹凸構造および成形型
JP5826463B2 (ja) * 2010-05-10 2015-12-02 リコー光学株式会社 反射防止光学素子
JP2013109228A (ja) * 2011-11-22 2013-06-06 Tdk Corp 光学部材
JP5641036B2 (ja) * 2012-11-15 2014-12-17 大日本印刷株式会社 反射防止物品、及び画像表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016085397A (ja) 2016-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5641036B2 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP6500409B2 (ja) 抗菌性物品
JP6409497B2 (ja) 撥水撥油性部材
JP2014071323A (ja) 反射防止物品
JP2015068944A (ja) 反射防止物品
JP5998600B2 (ja) 光学フィルム及びそれを用いた光学装置
JP5652516B1 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP6364867B2 (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP6435776B2 (ja) 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置
JP6347132B2 (ja) 線状微細凹凸構造体、及びその製造方法
JP6229401B2 (ja) 反射防止物品
JP6458481B2 (ja) 反射防止物品及び美術品展示体
JP6398638B2 (ja) 撥水撥油性部材及び撥水撥油性部材の製造方法
JP6427874B2 (ja) 室内内装用結露抑制部材
JP5626667B2 (ja) 赤外線透過フィルム、及び、赤外線透過フィルムの製造方法
JP6252047B2 (ja) 透過率異方性部材、透過率異方性部材の製造方法及び表示装置
JP6379641B2 (ja) 親水性部材、及びその製造方法
JP2016043030A (ja) 粉体化粧料容器、及び粉体化粧料用テスター陳列台
JP2016126066A (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP2016068469A (ja) セルフクリーニング部材
JP2015092239A (ja) 反射防止物品、及び画像表示装置
JP6424550B2 (ja) 反射防止物品及び美術品展示体
JP5699359B2 (ja) 透過率異方性フィルム、透過率異方性フィルムの製造方法及び表示装置
JP2013210504A (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2017067968A (ja) 透明導電性無機成形体、及びその製造方法、タッチパネル、並びに、帯電防止部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6435776

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees