JP6435776B2 - 反射防止物品、その製造方法及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
dAVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起として、
下記微小突起A:
微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
下記微小突起Zr:
微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在しており、
前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Zrの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Zrのアスペクト比が、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Aの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Aのアスペクト比よりも大きいことを特徴とする。
本願発明に係る反射防止物品においては、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起全体の平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起のアスペクト比が0.8〜3.0であることが、反射防止性が向上し、青みが増加する点から好ましい。
前記上部が、(a)微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、丸く膨らんだ構造、又は、(b)前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有し、
前記下部が、前記凹面frから底面方向にかけて外方に向かって丸みを帯びたショルダー部を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することが、青みが増す観点から好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版の側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
前記塗布層に電離放射線を照射することにより前記塗布層を不完全硬化させる工程、
不完全硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離後、更に電離放射線を照射することによって、不完全硬化した塗布層を更に硬化させることにより、前記本願発明に係る反射防止物品を得る工程、を備えることを特徴とする。
なお、本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念であり、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の物品を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状物品(板状物品、シート状物品)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「平面」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物又はその硬化物からなる微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
dAVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起として、
下記微小突起A:
微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
下記微小突起Zr:
微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在していることを特徴とする。
図2は、本発明に係る反射防止物品の別の一例を示す概略断面図である。図2に例示される反射防止物品10は、透明基材1と微小突起構造体3とが単層構造となっている。
微小突起構造体3の表面は、微小突起2が密接して配置されて微細凹凸形状を有する微細凹凸面であり、前記微小突起2は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起2の隣接突起間隔d(図1)の平均値をdAVGとしたときに、
dAVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起2として、微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、並びに、微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含むことにより、Λmin以上の波長を有する光の反射防止を図ることができる。なお、前記微小突起Aは、前記凹面frを有さない。
微小突起Zrは、環状に絞られた凹面frを介して、丸く膨らんだ先端部(図3(a)の上部11’)又は丸みを帯びて先細りとなる先端部(図3(b)の上部11”)を有している。一般に微小突起の形状が単純円錐である場合には、微小突起のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)が大きくなるほど、反射光の赤みが抑制される。また、本発明者らによるシミュレーションによると、微小突起の形状が円錐台形である場合には、反射光の青みが強くなる。本発明においては、微小突起Zrが前記凹面frを介して先端部を有するため、アスペクト比が高くなることにより、且つ、先端部が丸く膨らんだ形状となったり、凹面frから底面方向に向かってショルダー部13(図3)となることによって、微小突起の形状が円錐台形である場合と似た光学的作用を生じることにより、反射光の青みが増すと推測される。なお、ショルダー部とは、前記微小突起Zrの下部において、凹面frから底面方向に向かって、微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率の増加率が相対的に大きい斜面部分をいう。
本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン、シクロオレフィンの単独又は共重合体等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。また、前記透明基材の材料としては、後述する微小突起構造体形成用の樹脂組成物を用いてもよい。図2に示すように、前記透明基材と微小突起構造体とが単層構造を有する場合は、微小突起構造体の成形性に優れる点から、前記透明基材の材料としては、後述する微小突起構造体形成用の樹脂組成物を用いることが好ましい。
また、透明基材と微小突起構造体との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材及び微小突起構造体の双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。
プライマー層の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。また透明基材と微小突起構造体の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を透明基材と微小突起構造体の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
本発明の反射防止物品10は、前記微小突起2として、少なくとも前記微小突起Aと前記微小突起Zrとを有し、これらが混在している構造を有する。各微小突起は、連続した曲面で構成された表面形状を有する。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起2は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る反射防止物品では、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷底の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起2は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
前記微小突起Aは、微小突起2の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。これにより、反射防止効果を発揮する。前記微小突起構造体と、外界(通常は空気)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となり、界面に於ける光反射が減るからである。なお、微小突起の底面とは、微小突起の頂点に対する面をいう。
前記微小突起構造体を構成する微小突起Aは、透明基材に植立するように、さらに透明基材側より先端側の頂点に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるような(先細りとなるような)形状を有している。微小突起Aの形状は、そのような条件を満たすものの中から適宜選択すればよい。このような微小突起Aの形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘形状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。尚、ここで、垂直断面とは、微小突起2の高さ方向に平行な(仮想的)断面を言う。又、高さ方向とは、微小突起2の頂点から透明基材1に向かう方向であり、透明基材1の表面又は裏面の法線と合致する。
前記微小突起Zrは、微小突起2の表面に、当該微小突起2の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該記微小突起2の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。
微小突起Zrの頂点に近い側の先端部である上部11は、図3(a)に示した微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、外方に向かって丸く膨らんだ構造、又は、図3(b)に示した前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有する。上部11の形状としては、略円状、略楕円状、略放物状等のなだらかな曲線で描かれる垂直断面形状を有している。
下部12は、前記凹面frから底面方向にわたって外方に対して丸みを帯びたショルダー部13を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。或いは、図1の微小突起Zrのように、前記凹面frから底面方向に向かってすそ広がりに、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する。これにより、反射防止効果を発揮する。前記微小突起構造体と、外界(通常は空気)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となり、界面に於ける光反射が減るからである。前記下部12の形状としては、略円錐台状(半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の形状の頂点が微小突起の底面と水平な面で欠いている形状)の垂直断面形状を有するものが挙げられる。
本発明においては、微小突起構造体に複数の種類の形状の微小突起Zrが存在していてもよい。
また、特に限定はされないが、前記微小突起構造体表面に存在する全微小突起中に於ける微小突起Zr数の比率は、90%以下であることが好ましい。
前記微小突起Zrの個数の比率は、例えば、前記微小突起構造体の表面をSEM等により観察し、画像解析により該比率の値の標本抽出に対する変動が收束し得る面積範囲、通常葉100〜1000個の微小突起を含む面積範囲において存在を確認できた微小突起2の総個数のうち、微小突起Zrの個数の割合を算出することにより、求めることができる。
本発明において微小突起構造体は、前記微小突起Aとして、頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性微小突起」と称する場合がある。)を有してもよい。
前記多峰性微小突起としては、突起高さが最高となる点(後述の極大点でもある)である頂点を複数有するものであることが好ましい。前記微小突起Aとして多峰性微小突起を含むことにより、本発明の反射防止物品は反射防止性がより向上する。なお、多峰性微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性微小突起」と称する場合がある。また多峰性微小突起、単峰性微小突起に係る各頂点近傍の領域から形成される各凸部を、適宜、「峰」と称する。
但し、微小突起の製造安定性及び多峰性微小突起による効果の飽和を考慮すると、該多峰性微小突起の個数の比率は90%以下、好ましくは70%以下とする。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:以下、AFMと略称する)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMと略称する)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
Dmin=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微小突起構造体30の表面31の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
Dmin>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、微小突起構造体形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、前記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製Rheogel E4000を用いることができる。
また、前記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、電離放射線硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が前記物性を満たし、微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立する点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
本発明において用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点、及び凹面frを有する微小突起Zrを含む微小突起を形成するのに好適である点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
前記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微小突起構造体表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。溶剤としては、通常は、揮発性のものを用いる。該樹脂組成物が硬化性のものである場合は、溶剤を揮発乾燥させて後、該樹脂組成物を硬化せしめる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
本発明において用いられる微小突起構造体形成用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤、離型剤等が挙げられる。
本発明の反射防止物品は、好ましくは、以下の工程を備える方法により製造することができる。
A)円筒形状を有し、その側面に微小突起の反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する工程、
B)前記微小突起構造体形成用原版の微細孔形成面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
C)前記塗布層に電離放射線を照射することにより当該塗布層を硬化させる工程、及び
D)硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離することにより、前記反射防止物品を得る工程。
まず、円筒形状を有し、その微細孔形成面(円筒の側面に相当)に微小突起Aの反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする高さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微小突起構造体形成用原版には、微小突起Aの反転形状を有する、多数のテーパー形状の微細孔が密に作製される。
次に、前記微小突起構造体形成用原版の微細孔を形成した側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する。
図7に示す方法では、樹脂を供給して被覆する工程において、帯状フィルム形態の透明基材45に、ダイ41により微小突起構造体形成用の樹脂組成物を塗布し、微小突起形状を受容する受容層46を形成する。樹脂組成物の塗布方法については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材を加圧押圧し、これにより透明基材側に受容層46を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細孔形状の凹部に、受容層46を構成する樹脂組成物を充分に充填する。
次に、前記微小突起構造体形成用原版上の微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布層に電離放射線を照射することにより当該塗布層を硬化させる。これにより透明基材上に微小突起構造体3を作製する。前記塗布層を硬化させる工程において、前記塗布層を不完全硬化し、D)剥離工程において前記一体化物を剥離後、さらに電離放射線を照射することによって不完全硬化した塗布層を更に硬化させることが、樹脂組成物が原版から剥がれる時に伸びやすくなるため、凹部frを有しアスペクト比が高い微小突起Zrの形状を形成しやすい点から、好ましい。
なお、本発明において不完全硬化とは、未反応の電離放射線硬化性樹脂を含む状態をいい、好ましくは、未反応の電離放射線硬化性樹脂を含むことにより塑性変形し得る状態をいう。
そして、硬化した塗布層と透明基材との一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版から、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離することにより、ロール金型の微細孔の形状を反転した形状を有する微小突起A及び、離型時に樹脂組成物が伸びて形成された微小突起Zrを有する、前記反射防止物品を得る。
剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した塗布層(微小突起構造体3)と透明基材1の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離する。必要に応じてこの透明基材1に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止物品10が得られる。これにより反射防止物品は、ロール材による長尺の透明基材1に、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
反射防止物品の色座標a*及びb*は、島津製作所社製、分光光度計UV3100PC等により測定することができる。
本発明に係る画像表示装置は、表示パネルの画像表示面側に、前記本発明に係る反射防止物品を備えることを特徴とする。
なお、本発明の画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、携帯情報端末、カーナビゲーションシステム、電子黒板等である。
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz10nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ(蓚)酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で電圧印加無しで60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、前記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用原版1を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細孔による凹凸形状は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを調製した。
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート 55質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Bを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート50質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート30質量部
・トリデシルアクリレート5質量部
・ドデシルアクリレート5質量部
・メチルメタクリレート5質量部
・ヘキシルメタクリレート5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微小突起構造体形成用樹脂組成物Cを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート30質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート20質量部
・ドデシルアクリレート50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
製造例2で得られた微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを、製造例1の微小突起構造体形成用原版1の微細凹凸面が覆われ、微小突起構造体の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製)を該原版表面に対して斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cm2の加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを不完全硬化させた。その後、原版より剥離し、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに再度2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射することにより、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aを更に硬化させることにより、反射防止物品1を得た。
実施例1において、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに代えて、微小突起構造体形成
用樹脂組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の反射防止物品2を得た。
実施例1において、微小突起構造体形成用樹脂組成物Aに代えて、微小突起構造体形成用樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の比較反射防止物品を得た。
<微小突起構造体の表面の観察>
微小突起構造体の表面をSEMにより観察し、微小突起のdAVG及びHAVG、並びに全微小突起数中に於ける微小突起Zr数の比率を算出した。結果を表1に示す。
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の色度を、島津製作所社製、分光光度計UV−3100PCにて測定し、L*a*b*表色系における色座標b*を求めた。結果を表1に示す。色座標b*が2.0以下であれば、赤みが抑制され、反射防止性に優れていると評価される。
微小突起構造体形成用樹脂組成物A〜Dをそれぞれ2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの試験用単膜A〜Dをそれぞれ得た。
次いで、JIS K7244に準拠し、25℃下、前記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、貯蔵弾性率E’、及び損失弾性率E”を求めた。また、当該E’及びE”の結果からtanδを算出した。測定装置はUBM製Rheogel E4000を用いた。結果を表1に示す。
黒アクリル板(日東樹脂工業製、製品名CLAREX)に粘着剤(パナック製、製品名パナクリーンPDR5)を介して、各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品の透明基材側を貼合し、島津製作所製の分光光度計UV−3100PCにて反射率を測定した。その結果、各実施例で得られた反射防止物品は、反射率対波長を示す分光カーブの極小波長が580〜700nmの範囲内にあった。一方で、比較例1で得られた反射防止物品は、反射率対波長を示す分光カーブの極小波長が495〜570nmの範囲内にあった。よって、各実施例で得られた反射防止物品は、比較例1で得られた反射防止物品に比べて、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域よりも長波長とされ、青みが増加されたものであった。
各実施例で得られた反射防止物品1〜2は、微小突起の隣接突起間隔dの平均値dAVGが、可視光領域の最短波長(380nm)以下であり、本発明の微小突起Aと本発明の微小突起Zrが混在する微小突起構造体を有するものであったため、色座標b*が2.0以下であり、反射防止性に優れ、且つ、赤みが抑制され、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)よりも長波長となり、青みが増加された反射防止物品であった。
一方で、比較例で得られた比較反射防止物品は、本発明の微小突起Zrを有しないものであったため、色座標b*が2.0を超え、赤みが抑制されておらず、分光反射カーブの極小波長が緑色の波長域(495〜570nm)にあり、青みが増加されていなかった。
2 微小突起
A 微小突起A
Zr 微小突起Zr
fr 凹面
3 微小突起構造体
5、5A、5B 多峰性微小突起
10 反射防止物品
11、11’、11” 上部
12 下部
fr 凹面
13 ショルダー部
21 極大点(母点)
22 線分(ドロネー線)
23 微小突起
30 微小突起構造体
31 微小突起構造体表面
32 微小突起
33 うねりによる凹凸面
41 ダイ
42 ロール金型(原版)
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 透明基材
46 受容層
50 画像表示装置
51 表示機構
52 表示面
Claims (7)
- 透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物又はその硬化物からなる微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
dAVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記微小突起として、
下記微小突起A:
微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂点から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起A、及び、
下記微小突起Zr:
微小突起の表面に、当該微小突起の高さ方向と直交する水平方向に周回し環状に接続する凹面frを有し、且つ、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の前記凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する微小突起Zrを含み、
前記微小突起Aは前記凹面frを有さず、
前記微小突起A及び前記微小突起Zrが混在しており、
前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Zrの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Zrのアスペクト比が、前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起Aの平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起Aのアスペクト比よりも大きい、反射防止物品。 - 前記微小突起全体の平均隣接突起間隔d AVG に対する前記微小突起全体の平均突起高さH AVG の比として表される前記微小突起のアスペクト比が0.8〜3.0である、請求項1に記載の反射防止物品。
- 前記微小突起Zrが、前記凹面frを介して上部と下部とを有する微小突起であり、
前記上部が、(a)微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、連続的に漸次増加した後に連続的に漸次減少し、丸く膨らんだ構造、又は、(b)前記断面積占有率が、前記凹面frが存在する高さ位置から頂点方向に近づくに従い連続的に漸次減少し、丸みを帯びて先細りとなる構造を有し、
前記下部が、前記凹面frから底面方向にかけて外方に向かって丸みを帯びたショルダー部を有し、微小突起Zrの高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起Zrを形成する材料部分の断面積占有率が、凹面frが存在する高さ位置から底面方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する、請求項1又は2に記載の反射防止物品。 - 全微小突起数中に於ける前記微小突起Zr数の比率が5%以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反射防止物品。
- 前記微小突起が前記樹脂組成物の硬化物からなり、前記樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の反射防止物品。
- 円筒形状を有し、その側面に微小突起の反転形状を有する微細孔を備えた微小突起構造体形成用原版、及び、硬化物となった後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.15以下である微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物、及び、透明基材を準備する工程、
前記微小突起構造体形成用原版の側面に、前記微小突起構造体形成用電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布することにより塗布層を形成し、次いで前記塗布層上に前記透明基材を被覆する工程、
前記塗布層に電離放射線を照射することにより前記塗布層を不完全硬化させる工程、
不完全硬化した塗布層と前記透明基材の一体化物を、前記微小突起構造体形成用原版の円筒形状の軸方向に対して略直角方向に剥離後、更に電離放射線を照射することによって、不完全硬化した塗布層を更に硬化させることにより、前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の反射防止物品を得る工程、を備えることを特徴とする反射防止物品の製造方法。 - 表示パネルの少なくとも一面側に、前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の反射防止物品を備える、画像表示装置。
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