JP5826463B2 - 反射防止光学素子 - Google Patents

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Description

この発明は反射防止光学素子に関する。
薄膜誘電体層を積層して反射防止機能を実現する方法は従来から広く知られているが、近来、このような反射防止方法に代わるものとして、所謂「サブ波長構造」即ち、波長よりも周期の短い微細周期構造により反射防止を実現するものが提案されつつある。
サブ波長構造では「微細周期構造をなす凹凸」の形状に応じて「入射光から見た微細周期構造の見かけ上の屈折率(以下、「有効屈折率」と言う)」が変化する。
光学材料による基板の表面に「凸部の体積占有率が凸部の高さ方向へ連続的に変化するサブ波長構造」を形成すると、有効屈折率が「凸部の高さ方向において頂部から底部へ向かって連続的に発生する」ように出来、サブ波長構造部分に「不連続な有効屈折率変化」が発生せず、有効屈折率の不連続な変化による反射が防止され、良好な反射防止機能を実現できる。
このような反射防止機能を持つサブ波長構造については種々の提案がなされている(非特許文献1、特許文献1、2)。
近来、レーザ加工等に用いられるレーザ光源の使用波長が短波長化してきている。このため、レーザ加工機等に「サブ波長構造の反射防止光学素子」を用いる場合、レーザ光源の短波長化に適応する為には、短波長化されたレーザ光に対してサブ波長構造として機能するように、微細周期構造をなす凹凸の周期も短周期化が必要となる。
レーザ加工に用いられるレーザ光源は出力が大きく、レーザ光の光路中に反射防止光学素子を用いる場合、反射防止機能が十分でないと、レーザ光の反射成分がレーザ光源に戻り、レーザ発振に悪影響を及ぼす。
また、レーザ加工に用いるレーザ光は、その光エネルギの「より多く」を被加工物へ照射することが好ましく、このためにレーザ光の透過効率を高める必要があるが、透過効率の向上を阻む要因として「回折」がある。微細周期構造をなす凹凸の周期がレーザ光の波長と同程度になると、入射するレーザ光の少なからぬ部分が回折により「本来の光の進行方向」から逸れてしまい、エネルギ利用効率が低下してしまう。
このため、微細周期構造における構造の周期はレーザ光の波長に対して「回折を生じさせない程度に小さく」する必要がある。
また、最近では「長波長のレーザ光を、波長変換素子により短い波長に変換」して用いることも多い。波長変換素子の変換効率は100%ではなく、波長変換された光とともに「変換前の波長の光」も混在する。
例えば、YAGレーザから発振された波長:1064nmのレーザ光を波長変換して使用する場合、使用したい波長:266nmの光とともに、波長:355nm、532nm、1064nmの光も混在する。これら各波長のレーザ光とも「反射成分がレーザ光源に戻るとレーザ発振に悪影響を及ぼす」ので、この場合は反射防止機能を上記4波長に対して同時に満たす必要がある。
このため、サブ波長構造による反射防止光学素子では、微細周期構造をなす凹凸の周期を小さくして短波長の光に対する反射防止機能を確保することに加え、長波長の光においても「有効屈折率が連続的に変化する」条件を満たすように、凹凸構造における凸部の高さを大きくする必要がある。
微細周期構造の凹凸形状には種々の形態が可能であり、非特許文献1は「四角錘形状の凸部を密接して2次元的に配置した形態」を提示しており、特許文献1、2は「錐体状の凹部の2次元配列による形態」を提示している。
本発明者は、反射防止機能を実現するサブ波長構造の微細周期構造として「無機光学材料による基板の表面に、前記基板自体の表面形状として、断面三角形状で1次元の微細周期構造(断面三角形状のプリズム形状を1方向に配置した形状)を形成」したものを意図している。
この種の「1次元の微細周期構造」は、上述の2次元配列の微細周期構造に比して構造的に簡単であり、製造プロセスにナノインプリント工程とドライエッチング工程を用いることにより、微細周期構造の短周期化も可能である。
「断面三角形状で1次元の微細周期構造」における「断面三角形状」は、その頂部の幅が0で、配列の凹部幅(隣接する断面三角形状の底部間の距離)も0であって、斜辺をなす部分が直線であることが理想である。
しかしながら、実際の製造では「このような理想的な三角形状の断面を持つ1次元の微細周期構造」を形成することは必ずしも容易でない。
上記「断面三角形状で1次元の微細周期構造」を持つ反射防止光学素子を実際に形成して見ると、断面三角形状が「狙い通りの三角形状(以下「正規形状」と言う。)」となる正規品の他に、断面三角形状の斜辺となる部分が「三角形状の外側に拡張」して頂角が大きくなった形状(以下「厚肉形状」という)となるものや、逆に斜辺となる部分が三角形状の内側へ入りこんで頂角が小さくなった形状(以下「薄肉形状」という)となるものが少なからず存在し、正規品の「歩留まり」が悪く、製造コスト低減の妨げになっている。
このような正規品以外のものが製造される原因は、製造プロセスにおける各種パラメータを正確に制御するのが難しいことにある。
例えば、基板の表面に樹脂等により「微細周期構造に応じた表面形状をもつマスクパターン」を形成し、エッチングによりマスクの表面形状を基板に転写するような場合、エッチング工程での選択比の制御が正確に行われず、正規形状となるべき断面形状が「厚肉形状」や「薄肉形状」となることが多い。
あるいは上記マスクを樹脂で形成する際に、樹脂に形成された表面形状が、樹脂の硬化収縮で変形してしまうこともある。この場合には、エッチング工程における選択比が正しく制御されたとしても、断面形状が薄肉形状となることが多い。
この発明は、上述した事情に鑑みて成されたものであって、実使用に耐えうる反射防止機能を持ち、製造の歩留まりの良い反射防止光学素子の実現を課題とする。
請求項1記載の反射防止光学素子は「使用波長に対して透明な無機光学材料による基板の表面に、前記基板自体の表面形状として、1次元の微細周期構造を形成してなり、使用波長を含む所定の波長領域内で反射防止効果を有する反射防止光学素子」であって、以下の如き特徴を有する。
まず「基本台形形状」を説明する。
使用波長を含む所定の波長領域を「λ1≦λ≦λ2」とする。
この所定の波長領域内で反射防止効果を実現するべく「1次元の微細周期構造」を設計する。
この1次元の微細周期構造をなす断面形状を、高さ:H、上辺の長さ:d、底辺の長さ:Dの台形形状とし、この台形形状の1次元の配列における配列ピッチ:P、アスペクト比:X(=H/P)が、上記H、d、Dとともに、条件:
D=P、0<d≦D/2、3≦X≦15、H≧0.6λ2
を満足するように設計を行なう。
即ち、このように設計されて、高さ:H、上辺の長さ:d、底辺の長さ:Dの台形形状の配列ピッチ:P、アスペクト比:Xが、上記の条件を満足するように決定された1次元の微細周期構造は上記「所定の波長領域内で反射防止効果を実現」できる。
このように設計上で決定された上記台形形状が「基本台形形状」である。
請求項1記載の反射防止光学素子は、その1次元の微細周期構造をなす「1次元に配列される断面形状」が「基本台形形状の両斜辺が、外側へ拡張した厚肉台形形状」であって、配列ピッチ:P、アスペクト比:Xで1次元に配列して上記1次元の微細周期構造をなす。
この「厚肉台形形状」は、その面積(断面積):Sが、断面積の基本台形形状である台形形状の面積:sに対して、条件:
1.25≧S/s>1
を満足する。
上記の如く、厚肉台形形状は、その配列ピッチ:P(=底辺の長さ:D)、アスペクト比:Xが「基本台形形状の配列」と同一である。
請求項1記載の反射防止光学素子は、厚肉台形形状の面積:Sが、基本台形形状の面積:sに対して、
1.125≧S/s>1
を満足することがより好ましい(請求項2)。
説明を補足する。
前述したように、実際に製造された微細周期構造では、断面三角形状が「狙い通りの三角形状(正規形状)」となる正規品のほかに、断面三角形状の斜辺となる部分が三角形状の外側へ拡張して頂角が大きい厚肉形状となるものや、逆に、斜辺となる部分が正規形状の三角形状の内側へ入り込んで頂角が小さい薄肉形状となるものが少なからず存在し、正規品の「歩留まり」が小さい。
上記正規品以外の「断面形状が厚肉形状や薄肉形状」の製品を、発明者らは当初「不良品」と考えていたが、その後、これら不良品につき「光学機能としての反射防止機能」について実際に測定を行ったところ、断面形状が「頂部の幅:0、配列の凹部幅:0、斜辺をなす部分が直線である正規形状」でなくとも、実使用に耐えうる反射防止機能を持ったものが存在することがわかった。
かかる事実に基づき、断面形状と反射防止機能との関係をシミュレーションにより調べた結果、断面形状が理想形状に対して「厚肉形状」であるときには、厚肉の程度によっては「実使用に十分耐えうる反射防止機能の実現」が可能であることを見出した。
また、上記反射防止機能の実現が「断面形状のアスペクト比:X」に依存すること、断面形状の頂部が「若干の幅(上記上辺の長さ:d)」を持っても特性の低下にはつながらず、むしろ物理的耐性の面で有利であることを見出した。
この発明は、発明者らによる、かかる知見に基づくものである。
上記条件のうち、条件:
D=P
は断面形状である厚肉台形形状の底部の長さ:Dが、配列ピッチ:Pに等しいという条件である。
この条件により、微細周期構造をなす厚肉台形形状の配列において、隣接する厚肉台形形状の底部は相互に接し、厚肉台形形状の「隣接部分のなす凹部」の底部は「楔状」であって、隣接する厚肉台形形状間には「平面部分」は存在しない。
このように上記「凹凸の底部」が平面でないので、この部分における屈折率の不連続な変化は生じない。厚肉台形形状の上辺部は有限の長さ:d(0<d)を有するので、微細周期構造は凹凸の凸部頂部に「微小な平面部分」を有し、この部分では屈折率の不連続な変化が存在するが、平面部分が微小であることと、屈折率が「凹凸の凸部頂部から底部へ向かって連続的に増加する」ので、凸部頂部の微小な平面の存在は反射防止機能に実質的な影響を与えない。
条件:
d≦D/2
は、基本台形形状の上辺が、並列ピッチ:Pの1/2よりも小さいことを表している。
上記上辺の長さ:dが、条件の「D/2」を超えて大きくなると、凸部頂部の平面の面積が大きくなり「凸部頂部における不連続な屈折率変化」の影響を無視できなくなる。
アスペクト比:X(=H/P)に対する条件及び、反射防止機能を有する波長域:λ1≦λ≦λ2に対する凸部の高さHの条件:
3≦X≦15、H≧0.6λ2
は、反射防止機能の良好な実現のための条件である。
アスペクト比を与える「H/P」についてみると、これが大きくなることは、基本台形形状・厚肉台形形状の配列ピッチ:Pが小さくなるか、あるいは凹凸の凸部の高さ:Hが大きくなることを意味する。
配列ピッチ:Pは、反射防止機能を有する波長領域における最短波長:λ1に対して十分に小さいことが「回折の発生を防ぐ」観点から必要であり、その意味において、配列ピッチ:Pの上限は「反射防止機能を有する波長領域の最短波長よりも十分に小さく、回折が発生しない」という要請に応じて定まる。
従って、配列ピッチ:Pは小さいことが好ましいけれども、配列ピッチ:Pが小さくなりすぎると、微細周期構造の形成が困難になりやすい。配列ピッチ:Pを小さくしても、凹凸の凸部の高さ:Hがある程度小さければ、微細なピッチ:Pを持つ微細周期構造の形成が可能であるが、高さ:Hが低くなると、微細周期構造の凹凸の高さ方向に形成される「屈折率の連続的変化の変化幅」が狭くなり、「凸部の高さ方向において頂部から底部へ向かう有効屈折率の変化領域」を十分に広くできず「波長:λ1〜λ2の領域内に不連続な有効屈折率変化」が発生してしまう。
このような理由から、凹凸の凸部の高さ:Hは反射防止機能を有する波長域:λ1≦λ≦λ2、に対して「H≧0.6λ2」である必要があることが見出された。
配列ピッチ:Pとの兼ね合いで、高さ:Hが大きくなりすぎると、微細周期構造の形成自体が困難になる。
このような観点から、アスペクト比:Xの範囲は、上記の範囲がよく、上限値を超えると、所望の配列ピッチ:Pを持ち、必要な凸部高さ:Hを持つ微細周期構造の形成が困難になり、下限値を超えると、所望の波長領域での反射防止機能の実現が困難となる。
厚肉台形形状の面積:Sと基本台形形状の面積:sとの関係
1.25≧S/s>1
については、後述する。
この発明による反射防止光学素子は、基本台形形状の断面積に対して一定の変化幅が許容されるので、歩留まりの良い製造が可能であり、低コストに実現できる。
この発明の反射防止光学素子の微細周期構造を説明するための図である。 微細周期構造の形成プロセスを説明するための図である。 シミュレーション結果の1例を説明するための図である。
以下、実施の形態を説明する。
先ず、微細周期構造の形成工程を説明する。この形成工程は新規なものではなく、すでに知られたものである。
1例として、図2(a)に示すような「基本台形形状の1次元の配列」を持つ微細周期構造の形成を説明する。
微細周期構造を形成する無機光学材料としては「石英ガラス」を平行平板にしたものを想定する。
製造の第1工程は、金型の作製である。
金型材料として、例えば、直径:100mmのシリコン基板を用い、その片面に多数個の転写パタンを形成する。1個の転写パタンのサイズは例えば「5mm×5mm」であり、1枚のシリコン基板に200個程度の転写パタンを形成する。
転写パタンは「FIBSEM装置」を用いて形成し、図2(a)に示す微細周期構造FS1の「凹凸を反転させた断面形状」のライン・アンド・スペースパタンRFS1を得る(図1(b)参照)。
上記の如く作製されたライン・アンド・スペースパタンRFS1の表面を「硫酸/過酸化水素水混合液」で洗浄した後、フッ素系の離型処理剤により離型処理を行う。
このようにして「金型」が得られる。
一方、前記シリコン基板と同様の大きさの平行平板状の石英ガラス(以下「材料基板」と言う)の片面に「シランカップリング処理」を行う。カップリング処理材料としてはKBM503(信越シリコーン社製)を水に溶かし、材料基板を表面処理した後、加熱硬化させる。
その後、有機溶剤により洗浄し、材料基板表面に「カップリング処理材料を1分子層」のみ残す。
上記の処理を施された材料基板を樹脂吐出装置内にセットし、転写を行う領域上に、1チップ(1チップは、反射防止光学素子の1単位)に対して0.3mgずつ、紫外線硬化樹脂(大日本インキ株式会社製 GRANDIC RC 8790)を領域中心に向けてインクジェット法で塗布する。
金型のほうも、上記樹脂吐出装置内にセットし、転写パタンごとに上記紫外線硬化樹脂を0.3mg同様にして塗布する。
続いて、金型の上に材料基板を「紫外線硬化樹脂を塗布された転写部位」相互が合致するように載せて位置合わせし、自動加圧器により100kPaの圧力で加圧する。更に、2000mJの紫外光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる。
次に、金型と材料基板を離型治具にセットして金型の離型を行う。材料基板の表面はシランカップリング処理されており、金型は離型処理がなされているので、硬化した紫外線硬化樹脂はすべて離型後の材料基板上に残る。
かくして「金型表面の転写パタン(図2(b)参照)が転写された紫外線硬化樹脂」の層が材料基板の表面に一体化して得られる。勿論、金型は繰り返し使用できる。
続いて、材料基板と同じ石英ガラスをダミー基板とし、RIE装置のチャンバ内にセットし、チャンバ内を4.0×10−4Torr以下に排気する。その後、RIE装置の上部電極パワーを1250W、下部電極のパワーを50Wに設定して、CHFを17Sccm供給し、5分間エッチングを行う。
次に、ダミー基板をチャンバ内から取り出し、代わりに、上記転写パタンを転写された材料基板をセットし、チャンバ内を4.0×10−4Torr以下に排気した後、RIE装置の上部電極パワーを1250W、下部電極のパワーを300Wに設定して、CHFを17Sccm供給し、120秒間ドライエッチングを行う。ドライエッチングは「頂部に樹脂を少し残した状態」で止め、残った樹脂は洗浄により除去する。
このようにして、図1(a)に示すタイプの断面形状(基本台形形状)の微細周期構造FS1を「ライン・アンド・スペースパタン」としてもつ反射防止光学素子が同一基板上に多数個得られる。以下、各素子を「チップごとに分離」することにより反射防止光学素子が得られる。
図1(a)は、基本台形形状の1次元配列のうちの「2つの基本台形形状」を説明図的に示している。
図中、「d」は基本台形形状の上辺の長さ、「D」は底辺の長さであり、これは基本台形形状の配列ピッチ:Pに等しい。
「H」は基本台形形状の高さであり、「H/P」はアスペクト比:Xである。
波長領域:200nm(λ1)〜1200nm(λ2)に対して、透過率:99.5%以上の反射防止機能を実現する微細周期構造として、上記「d、D、H、P」を種々に設定したものを設計し、これらを「設計基準」として設定し、上記の如き方法で実際に微細周期構造を形成した。
実際に形成された微細周期構造で、断面形状が「基本台形形状と実質的に同一」となる正規品は全体の40%であり、残りは、図1(b)に実線で示す「破線で示す基本台形形状の両斜辺が外側に拡張した厚肉台形形状」となるものが全体の30%、図1(c)に実線で示す「破線で示す基本台形形状の両斜辺が内側に入り込む薄肉台形形状」となるものが30%であった。
厚肉台形形状、薄肉台形形状は、図1(b)、(c)に示すように「斜辺が折れ線状になる」ものが一般的であることもわかった。
このように正規品以外に「厚肉台形形状のものや薄肉台形形状のものが生じる理由」が上述のエッチング工程における「選択比の経時的変化」であることも突き止められた。
また、厚肉台形形状、薄肉台形形状においても「P、d、D、Hは基本台形形状のものと同一」で、変形はあくまで「斜辺の形状のみ」であることもわかった。
この事実を踏まえて、図1(b)に示すタイプの厚肉台形形状と、図1(c)に示すタイプの薄肉台形形状とについて、反射防止機能が正規品のものと比してどのように変動するかをシミュレーションにより算出した。シミュレーションの範囲として、面積変動の範囲として、面積:sに対し±30%までを調べた。
その結果、反射防止機能は、厚肉台形形状に対しては、その面積:Sが、基本台形形状の面積:sに対して+25%増までは、現実的に作成可能な範囲で「実質的に基本台形形状のものと変わらず実使用に耐えうる特性」を得られること、逆に薄肉台形形状では、面積:S’が面積:sより小さいと、反射防止機能が低下することがわかった。
図3にシミュレーション結果の1例を示す。
図3の上図は、基本台形形状の1次元配列におけるピッチ:P=150nm、上辺の長さ:d=30nm、底辺の長さ:D=Pとし、面積:Sが、基本台形形状の面積:sに対し、+25%増加した場合、+12.5%増加した場合、12.5%減少した場合、及び25%減少した場合について、凹凸の高さ(パタン高さ):Hを横軸にとり、縦軸に反射防止機能(ARS特性)が悪化し始める波長(nm)を取ってプロットしたものである。
図3の下図は、上記各場合の凹凸の凸部の断面形状を示している。
図3の上図から明らかなように、何れの場合も、パタン高さ:Hが大きくなれば「反射防止機能が悪化し始める波長」は長波長側にシフトする。
反射防止機能が求められる波長の上限:λ2を、例えば上述の「λ2=1200nm」とする場合、面積:Sの増加量:+12.5%の場合であれば、パタン高さ:Hを700nm以上とすればよく、面積増加量:+25%の場合であれば、パタン高さ:Hを1000nm以上とすればよいことがわかる。
この場合のアスペクト比:Xは、面積増加量:+12.5%に対してはX=4.6、面積増加量:+25%に対してはX=6.7であり、現実的に作成可能な「反射防止機能を有する微細周期構造」の作成条件を満足する。そして、この程度のパタン高さであれば、微細周期構造を上記の工程で作成することは容易である。
さらに、反射防止機能を有する微細周期構造の高さの作成条件:H≧0.6λ2を当てはめると、
H≧0.6×1200=720nm
である。
即ち、凹凸の高さ:H≧720nmであれば、面積増加量:+12.5%以下の厚肉台形形状に関しては、反射防止機能の特性低下は発生していないといえる。
一方、面積減少量が12.5%の場合も25%の場合も、パタン高さ:Hを2500nm以上とかなり大きくすれば、1200nmの波長域まで反射防止機能を良好に保つことも「設計上可能」である。
しかしながら、この場合はアスペクト比:Xが上述の条件の範囲を超えてしまい、配列ピッチ:Pに対して高さ:Hが大きすぎ、微細周期構造の形成も困難になる。
このことから、アスペクト比:Xが上記条件を満足する基本台形形状の両斜辺が外側へ拡張した厚肉台形形状の面積:Sが、基本台形形状の面積:sに対して
1.25s≧S>s
を満足することにより「正規品と同様の実使用に耐える反射防止機能」を実現できることがわかる。
実際には上述したように、基本台形形状の1次元配列による微細周期構造を形成する場合、不良品となる薄肉台形形状のものも相当数発生する。
そこで、上記微細周期構造を形成する凹凸の形状として「基本台形形状に対して面積:Sが+12.5%の形状を持つ厚肉形状」を設計形状として設定し、この設計形状を持つマスクを形成し、無機光学基板に対してエッチング工程で転写するようにすると、選択比の経時変化により、形成される厚肉台形形状の面積:Sは実質的に
1.25s≧S≧s
の範囲に収まり、所望の反射防止機能を「実使用に耐えるレベル」で有する反射防止光学素子を実質100%の歩留まりで形成できる。
また、より好ましい形状である「厚肉形状の面積:Sが1.125s≧S≧s」のものでも、70%程度の歩留まりで実現できる。
このように形成される反射防止光学素子は、微細周期構造の凹凸単位の断面形状が「厚肉形状」であるためロバスト性が非常によく、物理的強度の向上にもつながる。
基本台形形状の上辺の長さ
基本台形形状の1次元配列の配列ピッチ
基本台形形状の高さ
特開2009−169201号公報 特開2009−175481号公報
光技術コンタクト(日本オプトメカトロニクス協会)Vol.47 No.2(2009)

Claims (2)

  1. 使用波長に対して透明な無機光学材料による基板の表面に、前記基板自体の表面形状として、1次元の微細周期構造を形成してなり、上記使用波長を含む所定の波長領域内で反射防止効果を有する反射防止光学素子であって、
    使用波長を含む所定の波長領域:
    λ1≦λ≦λ2
    内で反射防止効果を実現するべく、1次元の微細周期構造をなす断面形状を、高さ:H、
    上辺の長さ:d、底辺の長さ:Dの台形形状とし、この台形形状の1次元の配列における
    配列ピッチ:P、アスペクト比:X(=H/P)が、上記H、d、Dとともに、条件:
    D=P、0<d≦D/2、3≦X≦15、H≧0.6λ2
    を満足するように設計された上記台形形状を基本台形形状とするとき、
    この基本台形形状の両斜辺が、外側へ拡張した厚肉台形形状を断面形状として、配列ピッチ:P(=D)、アスペクト比:Xで1次元に配列して上記1次元の微細周期構造をなし、
    上記厚肉台形形状の面積:Sが、上記基本台形形状の面積:sに対して、条件:
    1.25≧S/s>1
    を満足することを特徴とする反射防止光学素子。
  2. 請求項1記載の反射防止光学素子において、
    厚肉台形形状の面積:Sが、上記基本台形形状の面積:sに対して、
    1.125≧S/s>1
    を満足することを特徴とする反射防止光学素子。
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