JP2016068469A - セルフクリーニング部材 - Google Patents

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橋本 俊一
Shunichi Hashimoto
俊一 橋本
祐一 宮崎
Yuichi Miyazaki
祐一 宮崎
洋一郎 大橋
Yoichiro Ohashi
洋一郎 大橋
翔吾 久保田
Shogo Kubota
翔吾 久保田
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Abstract

【課題】優れたクリーニング性能を長期間発揮しうるセルフクリーニング部材を提供する。
【解決手段】
複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備え、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、複数ある微小突起の平均突起高さHAVGと平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、前記微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面において、水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことを特徴とする、セルフクリーニング部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルフクリーニング部材に関するものである。
建造物や自動車等の乗り物の窓、壁、鏡等においては、汚れの付着を防止したり、付着した汚れを容易に除去できる性能が求められている。
例えば特許文献1には、自動車ミラー等に使用出来る優れた長期防曇防汚性能を有する親水性薄膜として、ガラス基板、ミラーガラス等の透明基板部材の表面に、光透過性と光触媒機能を有するTiOを積層し、前記TiOの表面の結晶形状及び前記TiO表面の凹凸の平均算術粗さが特定の構造を持つ親水性薄膜が開示されている。
また、特許文献2には、光触媒性のない、凹凸構造を有する親水性表面層を備えた複合材の前記層表面を、酸性水で洗浄する複合材の清浄化方法が開示されており、複合材の最表面に界面活性剤及び/又は親水性物質及び水に対して徐放性を有する徐放性物質を固定させることにより、界面活性剤や親水性物質がすぐに流れ落ちてしまわないよう徐々に放出させながら、親水性を維持しつつ、汚れを容易に引き剥がし、複合材の防曇性、防汚性を長期間にわたって持続させることを可能にすると記載されている。
特開2002−201045号公報 特開2000−308861号公報
しかしながら、特許文献1に記載される親水性薄膜のような光触媒材料を用いた部材は、クリーニング性能を発揮するためには光照射が必要であるため、光照射が不充分であるとクリーニング性能が充分に発揮されない。また、光触媒材料は有機物分解能を有するため、光触媒材料を、例えば樹脂製の支持体上に直接積層した場合には、光触媒材料が当該支持体を分解してしまうという問題がある。そのような問題を防ぐために、支持体と光触媒材料との間に、無機コーティング等のプライマーコーティングを行う技術が知られているが、プライマーコーティングを行うと、透明性を確保しつつ光触媒材料を積層することが困難になる。
一方、特許文献2に記載される複合材のように、界面活性剤等の経時的に劣化する成分を用いた部材は、当該成分の経時的な劣化に伴い、クリーニング性能も劣化してしまうという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れたクリーニング性能を長期間発揮しうるセルフクリーニング部材を提供することを目的とする。
本発明に係るセルフクリーニング部材は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備え、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、複数ある微小突起の平均突起高さHAVGと平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、前記微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面において、水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、優れたクリーニング性能を長期間発揮しうるセルフクリーニング部材を提供することができる。
本発明に係るセルフクリーニング部材の一例を模式的に示す断面図である。 四角形の重心を求める一例の方法の説明に供する図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 本発明に係るセルフクリーニング部材による洗浄方法を説明するための概念図である。 本発明に係るセルフクリーニング部材の製造方法の一例を示す概略図である。 賦型用ロール金型の製造工程の説明に供する図である。 賦型用ロール金型の製造工程の説明に供する図である。 バイトの刃先の一例の正面図を一部拡大した模式的断面図である。 微小突起高さに関する、低高度領域、中高度領域、高高度領域についての説明の用に供する、微小突起高さの度数分布の模式的なヒストグラムである。 金型の製造工程の一例を示すフローチャートである。 図10の金型の製造工程により形成される微細孔の形成過程を示す模式図である。 図10の金型の製造工程において、深さの異なる微細孔が形成される過程の説明に供する模式図である。 実施例9のセルフクリーニング部材の微小突起高さHの度数分布を示すヒストグラムである。 実施例10のセルフクリーニング部材の微小突起高さHの度数分布を示すヒストグラムである。 多峰性微小突起の一例を示す拡大写真である。 微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図16の例に示される微小突起の、平面図、正面図、及び側面図である。 図16の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図18の例に示される微小突起の、平面図、正面図、及び側面図である。 図16及び図18の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図20の例に示される微小突起の、正面図、及び側面図である。
本発明において「部材」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の平面構造を有する成形体及び3次元立体構造を有する成形体を含む意味である。
本発明において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「直交」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明に係るセルフクリーニング部材は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備え、
前記微小突起の隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、複数ある微小突起の平均突起高さHAVGと平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、
前記微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面において、水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことを特徴とする。
上記本発明に係るセルフクリーニング部材について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係るセルフクリーニング部材の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すセルフクリーニング部材10は、基材1の一面側に、微細凹凸形状を表面に有する微細凹凸層2を備える。前記微細凹凸層2の微細凹凸形状側の表面は、微小突起3が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、前記微小突起3の隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、複数ある微小突起の高さHの平均HAVG(平均突起高さ)と平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上である。なお、前記微細凹凸層2の微細凹凸形状側の表面を、以下単に微細凹凸面2aと称する場合がある。
本発明に係るセルフクリーニング部材は、微細凹凸面が有する微小突起が、前記特定の平均隣接突起間隔dAVGと平均アスペクト比(HAVG/dAVG)を有し、微細凹凸面において、水の静的接触角が前記特定値以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことにより、微細凹凸面に油汚れが付着した場合であっても、当該油汚れを水のみで容易に除去することができ、また、予め水で覆われた微細凹凸面には油汚れが付着しにくい。このように、本発明に係るセルフクリーニング部材は、水を供給するだけで付着した油汚れを容易に浮き上がらせて除去することができる性能、及び予め水で覆われている場合には油汚れが付着しにくい性能、を兼ね備えた性能(本発明においてクリーニング性能という)に優れたものである。なお、本発明に係るセルフクリーニング部材には、使用環境において水が自動的に供給されることはないが、水洗いによる洗浄時に前記クリーニング性能を発揮するもの、及び、水が供給される環境で用いられるため、使用環境下で前記クリーニング性能を発揮するものが含まれる。
なお、本発明での「油汚れ」とは油に限られず、親油性汚れ、すなわち親油性物質による汚れ全般も包含する。
本発明に係るセルフクリーニング部材の微細凹凸面は、水の静的接触角の方がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことから、n−ヘキサデカンとの親和性よりも、水との親和性の方が大きい。ここで、一般的に接触角が小さい液体ほど親和性が高いといえるが、表面張力の違いを考慮すると、単純に接触角の大小関係を、親和性の大小関係に適用することはできない。一方で、水はn−ヘキサデカンに比べて表面張力が大きいため、仮に微細凹凸面に対する水の静的接触角とn−ヘキサデカンの静的接触角とが同等である場合は、当該微細凹凸面は、n−ヘキサデカンに対する親和性よりも、水に対する親和性の方が高いといえるところ、本発明の微細凹凸面は、水の静的接触角の方がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さい。よって、本発明の微細凹凸面は、n−ヘキサデカンに比べ、水に対する親和性がより一層大きく、親油性に比べて親水性が高いといえる。これにより、本発明に係るセルフクリーニング部材の微細凹凸面に油汚れが付着した場合でも、微細凹凸面の油汚れの周辺に水が付着すると、より微細凹凸面に親和性の高い水が、油汚れの下に潜り込みながら微細凹凸面に濡れ広がることから、油汚れを水によって浮き上がらせることができると考えられる。また、予め微細凹凸面が水に覆われている場合は、当該微細凹凸面に対してより親和性が低い油汚れは、当該微細凹凸面に付着しにくいと考えられる。本発明に係るセルフクリーニング部材においてこのような作用が得られるのは、以下のように推定される。すなわち、本発明の微細凹凸面は、上記特定の微細凹凸形状を有することから、平坦面に比べて表面積が増大して、親水性材料を用いた場合に水の接触角がより小さくなり易く、且つ、油汚れの付着した微細凹凸面に水を供給した際には、油汚れの下に水が潜り込み易い構造であることに起因すると推定される。
このように、本発明に係るセルフクリーニング部材は、微細凹凸面が上記特定の微細凹凸形状と上記特定の接触角を有することにより、優れたクリーニング性能を発揮すると考えられる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材は、従来の光触媒材料を用いたセルフクリーニング部材のように、クリーニング性能を発揮するために光照射を必要としないため、暗所であっても容易に優れたクリーニング性能を発揮することができる。
さらに、本発明に係るセルフクリーニング部材は、界面活性剤等の経時的に劣化する成分を含まないため、含有成分の劣化によってクリーニング性能が衰えることはなく、また、光触媒材料を含まないため、微細凹凸面の微細凹凸形状が、光触媒材料により分解されて破壊されることはない。そのため、本発明に係るセルフクリーニング部材は、前記微細凹凸形状及び前記接触角を維持することにより、クリーニング性能を長期間維持することが可能である。
<微細凹凸層>
本発明に係るセルフクリーニング部材は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備える。ここで、本発明において、微小突起が密接して配置されてなるとは、隣接する微小突起の間の谷底(図1中の2b)が平坦になっている部分を含んでいてもよいが、微細凹凸面を平面視した場合に、全領域に対する平坦な谷底部分の領域の割合が、50%以下であることをいう。
前記微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面、すなわち微細凹凸面においては、水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さい。なお、本発明において静的接触角は、θ/2法により算出される値とする。また、本発明において静的接触角の測定には、一般的な接触角計を用いることができ、例えば協和界面科学(株)製のDropMasterシリーズの接触角計を用いることができる。微細凹凸面における静的接触角の測定においては、例えば、当該微細凹凸を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付け、次いで、接触角を測定しようとする溶剤(水又はn−ヘキサデカン)1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測することにより求められる。
また、クリーニング性能に優れる点から、前記微細凹凸面における水の静的接触角は、20°以下であることが好ましく、12°以下であることがより好ましい。
また、前記微細凹凸面における水の静的接触角は、5°以上であることが好ましい。前記微細凹凸面における水の静的接触角が5°未満である場合には、前記微細凹凸面に付着した水が蒸発しやすくなるため、前記微細凹凸面に常に水が供給されない環境下において、前記微細凹凸面上に長時間水を保持することが困難になることにより、クリーニング性能が劣るおそれがある。
クリーニング性能の観点からは、さらに、前記微細凹凸面における水の静的接触角とn−ヘキサデカンの静的接触角との差は、2°以上であることが好ましく、3°以上であることがより好ましく、5°以上であることが更により好ましい。これにより、本発明のセルフクリーニング部材は、水を供給するだけで付着した油汚れを容易に浮き上がらせて除去することができる性能、及び予め水で覆われている場合には油汚れが付着しにくい性能の双方が向上する。
また、前記微細凹凸面におけるn−ヘキサデカンの静的接触角は、水の静的接触角よりも大きければ特に限定はされないが、クリーニング性能の観点から、9°以上であることが好ましく、17°以上であることがより好ましい。
前記微細凹凸面が予め水で覆われている場合に油汚れが付着しにくい点からは、前記微細凹凸面における水中油接触角が165°以上であることが好ましく、170°以上であることがより好ましい。前記水中油接触角は、本発明に係るセルフクリーニング部材を微細凹凸面が下側になるように水中に置き、水中に置かれたセルフクリーニング部材の下側から、n−ヘキサデカン5.0μLの液滴を微細凹凸面に着滴させ、着滴1秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測することにより求められる。
なお、微細凹凸面における溶剤の静的接触角は、微細凹凸層の形成に用いられる樹脂組成物の成分や微細凹凸面の微細凹凸形状等により調整することができる。
前記微小突起は、微細凹凸面に植立するように形成され、その形状は特に限定はされないが、クリーニング性能に優れる点、及び優れたクリーニング性能を維持しつつ、反射防止性能を付与できる点から、微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状、頂部に向かって線幅が細くなっていく階段状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。また、前記微小突起の形状は、円柱状、多角柱状等の柱状であってもよい。これらの中でも、頂部に向かって線幅が細くなっていく階段状の垂直断面形状を有する微小突起、及び多角柱状の微小突起は、バイトを用いた切削加工により金型を作製する工程を含む容易な方法により作製できる点において好ましい。また、四角柱状の微小突起は、特に形成が容易である点、及び物理的性質の等方性あるいは水滴保持性の点から好ましい。
また、本発明においては、微小突起として頂点を複数有するもの(以下、「多峰性微小突起」と称する場合がある。)を更に有することがセルフクリーニング部材の耐擦傷性及び拭取り性が向上する点から好ましい。なお、多峰性微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性微小突起」と称する場合がある。多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明においては、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことにより、機械的強度及び耐擦傷性がさらに向上する。また仮に微小突起が損傷した場合でも、その損傷箇所の面積を低減することができ、これによってもセルフクリーニング性能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。更に、多峰性の微小突起の半分程度は、最高峰高さ(麓が同じ微小突起に属する最も高い峰の高さ)が突起高さの平均値HAVG以上の微小突起に生じる為、外力を先ず各峰部分が受止めて犠牲的に損傷することによって、該微小突起の峰より低い本体部分、及び該多峰性の微小突起よりも高さの低い微小突起の損耗を防ぐ。これによってもセルフクリーニング性能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材は、微小突起として多峰性微小突起を有することにより、拭取り性が向上する。これは、多峰性微小突起を設けた場合には、微小突起の付け根側に汚れが深くもぐり込まないことによるものと考えられる。
なお、本発明において、多峰性微小突起、単峰性微小突起に係る各頂部を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
単峰性微小突起は、基材より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面で切断した場合の断面積)が小さくなって、1つの頂点が形成されている。一方、多峰性微小突起としては、例えば、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの、頂点が3つになったもの、さらには頂点が4つ以上のもの等が挙げられる。なお単峰性微小突起の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性微小突起の形状は、概略、単峰性微小突起の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性微小突起の主切断面形状は、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a+a+・・+a2n2n+・・で近似されるような形状である。
なお多峰性微小突起は、耐擦傷性及び拭取り性を向上する効果を発揮する点からは、表面に存在する全微小突起中における多峰性微小突起の個数の比率は10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上85%以下であることがより好ましく、30%以上80%以下であることが更により好ましい。
本発明においては、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均(平均隣接突起間隔)dAVGが500nm以下である。また、本発明に係るセルフクリーニング部材に反射防止機能が付与される観点からは、前記微小突起の平均隣接突起間隔dAVGが可視光線帯域の最短波長以下であることが好ましい。ここで、可視光線帯域の最短波長は、セルフクリーニング部材が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、セルフクリーニング部材が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長Λminとして採用する。なお、本発明に係るセルフクリーニング部材が反射防止性能を発揮するためには、前記微小突起の平均隣接突起間隔dAVGがdAVG≦Λminを満たすとともに、当該部材の可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、隣接突起間隔dの最大値dmax=dAVG+2σが、dmax≦Λminを満たすことがより好ましい。可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏することができ、クリーニング性能の観点からも好ましい条件は、dAVG≦300nmであり、より好ましい条件はdmax≦300nmである。クリーニング性能及び反射防止性能がより向上する点から、前記平均隣接突起間隔dAVGは200nm以下であることが好ましい。また、製造性の観点から、前記平均隣接突起間隔dAVGは、dAVG≧50nmであることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
また、本発明においては、複数ある微小突起の高さHの平均(平均突起高さ)HAVGと平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、クリーニング性能に優れる点から、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。また、特に限定はされないが、前記平均アスペクト比(HAVG/dAVG)は、微細凹凸形状を維持し易い点から、3以下であることが好ましい。
前記微小突起の平均突起高さHAVGは、特に限定されないが、前記平均アスペクト比(HAVG/dAVG)を満たされるように設定されることが好ましく、クリーニング性能及び反射防止性能が向上する点及び製造が容易である点から、50〜400nmであることが好ましく、100〜400nmであることが特に好ましい。
本発明において、隣接突起間隔dの平均(平均隣接突起間隔)dAVG及び微小突起の高さHの平均(平均突起高さ)HAVGは、以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
微小突起が柱状である場合等、頂部が平坦面である場合には、当該平坦面の平面視形状の重心を極大点とする。ここで一般に、三角形の重心は、三角形の頂点と対応する辺の中点を結んだ中線の交点であり、n角形の重心は、1頂点を始点とした対角線により該n角形をn−2個の三角形に分割し、そのそれぞれの三角形の重心の加重平均を考えることにより求めることができる。すなわちn角形の場合は、各頂点の座標を一定方向にP、A、A、A、・・・、An−1とし、頂点P、A、Ak+1でできた三角形の重心座標をGとし、該三角形の面積をSとすると、前記n角形の重心Gが下記式により求められる。
例えば四角形の場合は、図2に示すように頂点の座標をP、A、A、Aとすると、Pを始点とした対角線で2つの三角形に分割し、各三角形の重心座標G、Gを求め、G、Gを結んで得られた線分の中点を、四角形の重心とすることができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。図3に、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図の一例と重ね合わせた図を示す。ここでドロネー図とは、各極大点3aを母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分3bで結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間隔)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間隔が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間隔の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間隔の平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間隔dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。本発明においては、隣接突起間隔dの最大値dmaxをdmax=dAVG+2σと定義して算出する。
微小突起の高さHの平均値HAVG及び標準偏差σは、上述の隣接突起間隔dの平均値dAVG及び標準偏差σを求める手法と同様の手法を適用して求めることができる。
まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。この場合は麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。なお、本発明において、前記微小突起群の中には、頂点を複数有する微小突起を含んでいても良く、各微小突起の高さHとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。すなわち、頂点が1つのみの微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の突起高さHとなる。頂点を複数有する微小突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さを該微小突起の高さHとする。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間隔に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、基材の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ基材の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
また、前記微小突起は、高さに高低差があるものとすることができる。各微小突起の高さに高低差がある場合には、高さに高低差がある微小突起を有する微細凹凸面とすることができるため、当該微細凹凸面に各種の部材が配置されたときに、微細凹凸面を構成する多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、当該部材と接触することになる。これにより、例えば別の部材の接触により高さの高い微小突起の形状が損なわれた場合でも、高さの低い微小突起においては、形状が維持されることになるため、耐擦傷性が向上する。さらに、多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、当該部材と接触することになるため、相対的に高さの低い微小突起には汚れが付きにくくなるので、耐汚染性も向上する。
また、微細凹凸面を構成する微小突起の高さが種々に異なる場合には、微細凹凸面が同一高さの微小突起のみにより構成される場合に比して格段的に滑りを良くすることができ、製造工程等におけるセルフクリーニング部材の取り扱い性が向上する。
本発明に係るセルフクリーニング部材において形成される多峰性微小突起は、反射防止機能及び耐擦傷性を向上させるために、以下の条件を満たすようにして形成されることが好ましい。
図9は、微小突起高さに関する、低高度領域、中高度領域、高高度領域についての説明の用に供する、微小突起高さの度数分布の模式的なヒストグラムである。図9に示すように、微小突起の高さHの度数分布における高さの平均値をHAVEとし、標準偏差をσとし、H<HAVE−σの領域を微小突起の低高度領域とし、HAVE−σ≦H≦HAVE+σの領域を中高度領域とし、HAVE+σ<Hの領域を高高度領域とした場合に、各領域内の多峰性微小突起の数Nmと、度数分布全体における微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(a)、(b)の関係を満たすことが好ましい。
(a)中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Nt
(b)中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Nt
上記関係を満たすことにより、可視光域に係る入射光に対する反射率を低減することができ、セルフクリーニング部材の反射防止機能の広帯域化をより具体的に図ることができ、耐擦傷性にも優れる点から好ましい。
更に本発明のセルフクリーニング部材においては、前記微小突起の高さHの度数分布が2つの分布による双峰性であり、2つの分布の境界となる高さをhsとし、hs未満の分布における前記微小突起の高さHの平均値をm1とし、
H<m1−σ1の領域を低高度領域とし、
m1−σ1≦H≦m1+σ1の領域を中高度領域とし、
m1+σ1<H<hsの領域を高高度領域とした場合に、
hs未満の分布における各領域内の前記多峰性微小突起の数Nm1と、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(c)、(d)の関係を満たし、
(c)中高度領域のNm1/Nt>低高度領域のNm1/Nt
(d)中高度領域のNm1/Nt>高高度領域のNm1/Nt
且つ、hs以上の分布における前記微小突起の高さhの平均値をm2とし、標準偏差をσ2とし、
hs<H<m2−σ2の領域を低高度領域とし、
m2−σ2≦H≦m2+σ2の領域を中高度領域とし、
m2+σ2<Hの領域を高高度領域とした場合に、
hs以上の分布における各領域内の前記多峰性微小突起の数Nm2と、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(e)、(f)の関係を満たすことが、より好ましい。
(e)中高度領域のNm2/Nt>低高度領域のNm2/Nt
(f)中高度領域のNm2/Nt>高高度領域のNm2/Nt
上記関係を満たすことにより、可視光域に係る入射光に対する反射率を低減することができ、セルフクリーニング部材の反射防止機能の広帯域化をより具体的に図ることができ、耐擦傷性にもより優れる点から好ましい。
本発明において、前記微細凹凸層2の厚みは、適宜調整すればよい。図1に示すように基材1上に形成する場合、当該微細凹凸層2の厚み(図1におけるT)は、基材表面に前記微細凹凸形状を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下したりカールの懸念が高くなるため、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがより好ましい。なお、この場合の微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の基材側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
なお、本発明に係るセルフクリーニング部材は、基材を有しないものであってもよく、また、微細凹凸層の材料と基材の材料が同じものであることにより、微細凹凸層と基材とが一体化したものであってもよい。この場合の微細凹凸層は当該基材の厚みに依存するため、特に限定されない。
前記微細凹凸層の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、可視光領域における透過率が80%以上の透明であっても良いし、可視光領域における透過率が80%未満の半透明又は不透明であっても良い。
なお、本発明において透過率は、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定することができる。
本発明に係るセルフクリーニング部材を透明部材として用いる場合は、前記微細凹凸層の可視光領域における透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更により好ましい。
本発明において、微細凹凸層は、樹脂組成物の硬化物からなる。前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。なお、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性及び復元性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜99質量%であることが好ましい。
また、親水性を向上し、その結果クリーニング性能を向上する点から、前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートが含まれる組成物が好ましい。
中でも、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、15〜99質量%であることが好ましい。また、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、使用される全(メタ)アクリレート化合物中に対して20〜100質量%であることが好ましい。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
本発明に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
また、本発明に用いられる樹脂組成物は、特に限定されないが、クリーニング性能の観点から、平坦な硬化膜としたときの表面における、水の静的接触角が80°以下であることが好ましく、より好ましくは60°以下であり、特に好ましくは50°以下であり、n−ヘキサデカンの静的接触角が85°以下であることが好ましく、より好ましくは70°以下、特に好ましくは60°以下である。
また、本発明に用いられる樹脂組成物は、特に限定されないが、平坦な硬化膜としたときの表面における水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さく、且つ、水の静的接触角とn−ヘキサデカンの静的接触角との差は、クリーニング性能の観点から、1°以上であることが好ましく、2°以上であることがより好ましい。これにより、本発明のセルフクリーニング部材は、水を供給するだけで付着した油汚れを容易に浮き上がらせて除去することができる性能、及び予め水で覆われている場合には油汚れが付着しにくい性能の双方が向上する。
なお、本発明において、樹脂組成物の平坦な硬化膜は、表面が平坦な基材上に樹脂組成物を塗布して硬化させて、微細凹凸形状を有しない平坦な硬化膜を形成することにより得られる。当該硬化膜は、水及びn−ヘキサデカンの接触角の再現性が取れるように(例えば標準偏差が4度以内となるように)十分に溶媒を乾燥し、必要に応じて十分に反応させて硬化したものである。例えば、電離放射線硬化性樹脂が用いられる場合、平坦な透明基材上に厚さ5μmの樹脂組成物からなる塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cm以上の積算光量となるように照射することにより十分に反応させて硬化した硬化膜を形成する。
樹脂組成物の平坦な硬化膜の静的接触角は、前記硬化膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付けた後、上述した微細凹凸面における静的接触角の測定方法と同様の方法により求めることができる。
<基材>
本発明に係るセルフクリーニング部材は、支持体として基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。前記基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、金属、紙、木、及びこれらの複合材料等が挙げられる。本発明の製造方法によれば、耐熱性の高い基材だけでなく、比較的耐熱性の低い樹脂基材であっても好適に用いることができる。
前記基材の形状は、特に限定されず、シート状であってもよいし、ロッド状、所定形状に成形された成形体であってもよい。なお、本発明においてシート状とは、その厚さが長さと幅のわりには小さい平らな形状をいい、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、及び完全に曲がらないものを含む意味である。また、大面積のセルフクリーニング部材とする場合には、製造上、長尺状乃至ロール状の基材を用いることが好ましい。
本発明に用いられるシート状の基材の厚みは、本発明のセルフクリーニング部材の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常10〜5000μmである。
本発明に用いられる基材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、可視光領域における透過率が80%以上の透明基材を用いることもできるし、可視光領域における透過率が80%未満の半透明の基材又は不透明の基材を用いることもできる。
本発明に係るセルフクリーニング部材を、例えば窓や液晶保護フィルム等のような透明部材に用いる場合には、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材を、ガラス部分へ設置する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、基材と前記微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材と、当該基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また基材と線状微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と線状微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
<その他の層>
本発明に係るセルフクリーニング部材は、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。例えば、基材の微細凹凸層を有しない面側に、光学フィルム用途として従来公知の各種層をさらに有するものとすることができる。その他の層としては、具体的には例えば、従来公知の単層或いは多層構成の反射防止層、光拡散による防眩性(或いは反射防止)を付与する層、傷付き防止等の為に従来公知のハードコート層、紫外線吸収層(UVA層)、放熱層(熱伝導層)等が挙げられる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材においては、微細凹凸層の微細凹凸面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着させてもよい。これにより、微細凹凸層の微細凹凸面に保護フィルムを仮接着した状態で、本発明に係るセルフクリーニング部材の保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることができるため、保管、搬送等の間における微細凹凸面の損傷、汚染を防止することができる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材は、微細凹凸形状を有しない面に接着剤層を形成し、更に当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層してなる接着加工品とすることもできる。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。
本発明に係るセルフクリーニング部材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、可視光領域における透過率が80%以上の透明であっても良いし、可視光領域における透過率が80%未満の半透明又は不透明であっても良い。
本発明に係るセルフクリーニング部材を透明部材として用いる場合は、前記セルフクリーニング部材の可視光領域における透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更により好ましい。セルフクリーニング部材が透明部材である場合は、微細凹凸面の形状を、反射防止機能を発現し得る形状とすることにより、セルフクリーニング部材に反射防止機能を付与することができる。
<セルフクリーニング部材を用いた洗浄方法>
本発明に係るセルフクリーニング部材は、油汚れが付着した微細凹凸面に水を供給することによって、油汚れを浮かせて除去することにより、洗浄することができる。
前記微細凹凸面に水を供給する方法としては、本発明に係るセルフクリーニング部材が有する微細凹凸面の微細凹凸形状が維持され易く、ひいてはクリーニング性能が長期間維持され易い点から、例えば、シャワー等を用いて水を注ぎかける方法、霧吹き等を用いて水をふきかける方法、雨や水回り空間で使用される水等の水がふりかかることによる方法等、微細凹凸面に直接固体物が触れない方法が好ましい。
本発明に係るセルフクリーニング部材を用いた洗浄方法としては、例えば、セルフクリーニング部材を準備する工程と、前記セルフクリーニング部材の微細凹凸面に油汚れが付着する工程と、前記微細凹凸面の油汚れが付着した部分に水を供給する工程と、前記油汚れを洗浄除去する工程とを有する方法が挙げられる。
微細凹凸面の油汚れが付着した部分に水を供給する工程、及び油汚れを洗浄除去する工程について、図4に基づいて説明する。前記水を供給する工程においては、図4の(a)に示すように、微細凹凸面2aの油汚れ4が付着した部分に、水5を供給すると、図4の(b)に示すように、水5が油汚れ4の周囲を覆い、図4の(c)に示すように、油汚れ4の下に水5が潜り込んで油汚れ4を浮かび上がらせる。その後、前記油汚れを洗浄除去する工程において、図4の(d)に示すように、油汚れ4が水5の上を流れて除去される。前記微細凹凸面の油汚れが付着した部分に水を供給する工程と、前記油汚れを洗浄除去する工程は同時進行されて良いものである。なお、前記油汚れを洗浄除去する工程においては、特に限定はされないが、油汚れが洗浄除去されやすいように、本発明に係るセルフクリーニング部材を傾けてもよい。また、本発明に係るセルフクリーニング部材に適宜振動を与えても良いし、水の上を流れた油汚れを適切な方法で拭き取っても良い。
前記洗浄方法における水を供給する方法としては、前述した前記微細凹凸面に水を供給する方法と同様の方法を挙げることができる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材を用いた別の洗浄方法としては、例えば、セルフクリーニング部材を準備する工程と、前記セルフクリーニング部材の微細凹凸面の少なくとも一部を水で被覆する工程と、水で被覆した前記微細凹凸面を油汚れが接触する環境下に放置する工程とを有し、更に必要に応じて、前記油汚れを洗浄除去する工程を有する方法が挙げられる。本発明に係るセルフクリーニング部材の微細凹凸面は、上述の通り、予め水で覆われている場合には油汚れが付着しにくい性能を有する。よって、前記別の洗浄方法においては、予め水で覆われた微細凹凸面に油汚れを接触させても、当該油汚れは微細凹凸面に付着しにくく、又は付着しても剥離が容易であるため、本発明に係るセルフクリーニング部材は、油汚れの付着が抑制された状態が維持される。
前記油汚れを洗浄除去する工程としては、例えば、油汚れを含んだ水を除去する工程、及び本発明に係るセルフクリーニング部材を傾けたり、振動を与えたり、或いは拭き取り作業をすること等により、本発明に係るセルフクリーニング部材に剥離容易に付着した油汚れを除去する工程等が挙げられ、必要に応じて複数種類の工程を組合せて行ってもよい。
<セルフクリーニング部材の製造方法>
本発明のセルフクリーニング部材の製造方法は、微細凹凸形状を有する微細凹凸層を形成する従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。
例えば、まず基材上に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸層形成用原版の凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦型した後、該樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層を形成し、前記微細凹凸層形成用原版から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微細凹凸層形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製、セラミックス製等であっても良いが、耐変形性および耐摩耗性に優れている点からは金属製が好ましい。尚、金属製、非金属製何れの場合も、以降、金型と呼称する。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。母材としては、表面が平滑化されたものを用いても良い。例えば円柱状の母材を用いた場合は、円柱状母材を回転させながら、平滑化用のバイトの刃先を外周面に押圧して移動させることにより、円柱状母材の外周面を平滑化することができる。また、母材には、必要に応じてバフ研磨や電解研磨等の研磨をしてもよい。アルミニウム純度は、通常、99重量%以上の物が用いられる。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、従来用いられているフォトリソグラフィーによる方法等を用いても良い。本発明においては、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって、前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法が、セルフクリーニング部材の耐擦傷性、耐汚染性及び反射防止性能等の観点から好ましい。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に作製される。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微細孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成され、すなわち、当該微細凹凸の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微細凹凸を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微細凹凸の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微細凹凸形状が形成される。
また、転写する際に樹脂組成物が微細凹凸層形成用原版から剥離しやすいように、微細凹凸層形成用原版の表面に剥離シリコーン、フッ素系樹脂もしくはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティング、蒸着、もしくはそれらを組み合わせた離型処理を行っても良い。
また、前記微細凹凸層形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、前記微細凹凸層形成用原版は、生産性向上の観点からは、ロール(中空円筒又は中実円柱)状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。即ち、図10に示すように、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理し、ロール金型を作製する。
また、前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する別の方法としては、バイトを用いた切削加工により微細凹凸形状を形成する方法が挙げられる。当該別の方法では、陽極酸化処理やエッチング処理等をせず、バイトを用いた切削加工処理により容易に前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成することができるため、セルフクリーニング部材を容易に製造できる点において好ましい。
バイトを用いた切削加工により得られる賦型用金型の微細凹凸形状としては、特に限定はされず、突起が配列した微細凹凸形状であってもよいし、孔が配列した微細凹凸形状であってもよい。例えば、四角柱状の孔あるいは突起が格子状に配列した微細凹凸形状を有する賦型用金型は、物理的性質の等方性あるいは水滴保持性に優れたセルフクリーニング部材を製造できる点で好ましい。また、最深部に向かって線幅が細くなっていく階段状の垂直断面形状を有する孔、あるいは頂部に向かって線幅が細くなっていく階段状の垂直断面形状を有する突起が格子状に配列した微細凹凸形状を有する賦型用金型は、反射防止性能を有するセルフクリーニング部材を製造できる点で好ましい。
バイトを用いた切削加工により、ロール状の賦型用金型を作製する方法としては、例えば、特開2013−75461に記載の方法を用いることができる。すなわち、まず、図6に示すように、円柱状母材20を回転させ、矢印Aに示すように回転軸方向に、バイト31の刃先幅のピッチにより間欠送りして移動させることにより、該円柱状母材20の表面に、前記円柱状母材20本体の正面視で回転軸及び該円柱状母材20の直径方向に対して傾斜した螺旋状の第一の溝32を順次形成する。これにより、溝が間隔を持って配列されたロール状の賦型用金型を作製することができる。なお、円柱状母材としては、特に限定はされないが、例えば、円筒形状の金属製母材前の周側面に、直接に又は各種の中間層を介してCu層を設けたものが挙げられる。次いで、図7に示すように、同様にして、前記円柱状母材20本体の正面視で回転軸及び該円柱状母材20の直径方向に対して前記第一の溝32とは異なる角度で傾斜した螺旋状の第二の溝33を、該円柱状母材20本体の表面に順次形成する。これにより、四角柱状の突起が格子状に配列されたロール状の賦型用金型を作製することができる。
バイト31の刃先の形状は、特に限定はされないが、バイト31の刃先が複数の溝を有する場合は、当該複数の溝は、微細凹凸面における隣接突起間隔dに対応した間隔で設ける。図8に、バイトの刃先の一例の正面図を一部拡大した模式的断面図を示す。また、賦型用金型に、例えば矩形の凹凸を形成する場合には、図8に示すように、バイト31の刃先も相補的な矩形の凹凸形状とする。賦型用金型の微細凹凸形状を構成する凸部の高さや、凸部間の間隔が周期的に変化する場合には、バイト31の刃先幅が、少なくとも繰返し周期の幅を含むことが、微細凹凸形状の作製が容易な点から好ましい。前記第一の溝又は前記第二の溝の延在方向において周期的に高さが異なる場合や、前記第一の溝が設けられる間隔と前記第二の溝が設けられる間隔が異なる場合等は、複数種類のバイトを用いて、切削加工を行っても良い。
前記バイト31の刃先幅としては、例えば、20〜100μm程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
バイトを用いた切削加工により作製された賦型用金型は、溝が配列した微細凹凸形状を有する場合は、そのまま微細凹凸層形成用原版として用いてもよいが、突起が配列した微細凹凸形状を有する場合は、当該賦型用金型の微細凹凸形状が反転された微細凹凸形状を表面に賦型した反転パターン型を作製し、当該反転パターン型を微細凹凸層形成用原版として用いることが好ましい。
バイトを用いた切削加工によりロール状の賦型用金型を作製する場合は、当該賦型用金型表面には多角柱状の突起が格子状に配列した微細凹凸形状が容易に作製される。そのため、当該多角柱状の突起が格子状に配列した微細凹凸形状と同様の微細凹凸形状を備えた微細凹凸面を有するセルフクリーニング部材を得るためには、前記反転パターン型を微細凹凸層形成用原版として用いることが好ましい。
前記反転パターン型に用いられる材料としては、賦型可能な材料であれば特に限定はされないが、典型的には樹脂組成物が用いられ、成形性及び機械的強度に優れる点から、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
反転パターン型の形状は、特に限定されず、フィルム状であってもよい。或いは、フィルム状の反転パターン型は、必要に応じて支持体に貼り付けて用いることができ、例えば円柱状の母材表面に貼り付けることにより、前記反転パターン型を表面に備えたロール状の微細凹凸層形成用原版を得ることができる。
次に、微細凹凸層形成用原版において、多峰性微小突起を有し、微小突起の高さの分布が制御された微細凹凸面を形成するための微細孔を形成する方法について説明する。
上述したように、微細凹凸層形成用原版に形成される微細孔は、陽極酸化処理及びエッチング処理の交互の繰り返しによって形成されるが、この繰り返しの陽極酸化処理における印加電圧を可変することによって、微細孔の深さ(微小突起の高さ分布)を制御することができる。ここで、陽極酸化処理における印加電圧と、形成される微細孔の間隔(ピッチ)とは、比例する関係にあるため、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにおいて、陽極酸化処理の印加電圧を可変すれば、深さ方向に掘り進める時間が相違する微細孔を混在させてその比率を制御することができる。
また、このように陽極酸化処理における印加電圧を可変する場合にあっては、太さ(径)の太い微細孔の底面に、複数の微細孔を作成して多峰性微小突起に係る微細孔とすることができる。この太さの太い微細孔の高さの制御等により、多峰性微小突起についても、高さ分布を制御することができる。
図11は、図10の金型の製造工程により形成される微細孔の形成過程を示す模式図であって、高さ分布の制御の説明に供する模式図である。
上述したように、陽極酸化処理における印加電圧と、微細孔のピッチとの関係は比例関係であるが、実際上、処理に供するアルミニウムの粒界等により微細孔のピッチにはばらつきが生じる。しかし、図11においては、このばらつきが存在しないものとして、微細孔が規則正しい配列により作製されるものとして説明する。なお、図11(a)〜図11(e)において、左側の図は、ロール金型の表面の拡大図を示し、右側の図は、左側の図におけるa−a断面図を示す。
(第1の工程)
図11(a)に示すように、まず、賦型用金型の表面のアルミニウム層に、電圧V1を印加して陽極酸化工程A1を実行した後に、エッチング工程E1を実行し、微細孔f1を形成する。ここで、陽極酸化工程A1は、アルミニウムのフラット面に後続する陽極酸化処理のきっかけを作製するものである。なお、この場合、エッチング工程を適宜省略してもよい。
(第2の工程)
次に、電圧V1よりも高い電圧V2(V2>V1)を印加して陽極酸化工程A2を実行した後に、エッチング工程E2を実行する。これにより、陽極酸化工程A2では、図11(b)に示すように、先の陽極酸化工程A1により形成された微細孔f1のうち、陽極酸化工程A2に対応する間隔の微細孔f1を更に掘り下げる。
本実施形態では、陽極酸化工程A2によって、先の陽極酸化工程A1で形成された微細孔f1を二つ置きに掘り進める処理が行われる。従って、賦型用金型の表面には、二つ置きに広くかつ深く掘り下げられた微細孔f2が形成され、ロール版13の表面には、微細孔f1と微細孔f2とが混在する状態となる。
(第3の工程)
続いて、電圧V2よりも高い電圧V3(V3>V2)を印加して陽極酸化工程A3を実行した後に、エッチング工程E3を実行する。この工程では、ピッチの異なる微細孔を作製する。具体的には、印加する電圧を、電圧V2から電圧V3へ徐々に上昇させ、この印加電圧の上昇を離散的(段階的)に実行すると、微小突起の高さ分布(微細孔の深さ分布)を離散的に作製することができ、この印加電圧の上昇を連続的に実行すると、微小突起の高さ分布を正規分布に設定することができる。そのため、本実施形態では、陽極酸化工程A3における印加電圧の印加時間、エッチング工程の処理時間を上述の第1の工程、第2の工程よりも長く設定することにより、図11(c)に示すように、最初の陽極酸化工程A1において形成された微細孔f1が二つ、一つに纏まるように広くかつ深く掘り進められ、また、その一つに纏められた微細孔f3の底面が略平坦に形成される(平坦微細孔形成工程)。ここで、略平坦とは、微細孔の底面が平坦な状態だけでなく、その底面が大きい曲率半径で湾曲している状態をも含む状態をいう。
(第4の工程)
続いて、電圧V3よりも高い電圧V4(V4>V3)を印加して陽極酸化工程A4を実行した後に、エッチング工程E4を実行する。この工程では、目的とする突起間間隔によるピッチにより微細孔を作成する。この陽極酸化工程A4においても、印加電圧は、電圧V3から電圧V4へ徐々に上昇させる。これにより、上記第3の工程により掘り進められた微細孔f3の一部が更に掘り進められ、その結果、図11(d)に示すように、微細孔f4となり、この微細孔f4が高さの高い単峰性微小突起を形成する。
(第5の工程)
続いて、印加電圧を上記第1の工程における電圧V1に変更して陽極酸化工程A5を実行した後に、エッチング工程E5を実行する。この工程では、陽極酸化工程A3において形成された微細孔f3であって、第4の工程の陽極酸化工程A4の影響を受けていない微細孔f3の底面に、図11(e)に示すように、微細孔を複数個形成し、多峰性微小突起に対応する微細孔f5を形成する(多峰突起用微細孔形成工程)。ここで、印加する電圧V1の大きさを調整することによって、微細孔f5の底面に形成される微細孔の数を増減したり、その微細孔の間隔を調整したりすることができる。
以上より、賦型用金型の表面には、高さの異なる微小突起を形成する微細孔f1、f2、f4や、多峰性微小突起を形成する微細孔f5が形成される。
ここで、この一連の工程では、第1の工程及び第2の工程により作製された深さの異なる微細孔f1、f2を、第3の工程で掘り進めて底面の略平坦な微細孔f3を作製し、第4の工程において、この微細孔f3を掘り進めて単峰性微小突起に係る微細孔f4を作製し、また、第5の工程において、この微細孔f3の底面を加工して多峰性微小突起に係る微細孔f5を作製している。ここで、第1の工程から第4の工程に係る陽極酸化工程の印加時間、処理時間、エッチング工程の処理時間等を制御して、各工程で作製される微細孔の深さを制御することにより、微小突起の高さの分布や、多峰性微小突起の高さの分布を制御することができる。なお、上述の第1の工程〜第5の工程は、必要に応じて回数を省略したり、繰り返したり、工程を一体化したりすることができる。
図12は、図10の金型の製造工程において、微小突起の高さ分布の制御に係る深さの異なる微細孔が形成される過程の説明に供する模式図である。
(第1の工程)
ここで図12(a)に示すように、第1の工程において、先ず、賦型用金型の表面のアルミニウム層に、電圧V1を印加して陽極酸化工程A1を実行した後に、エッチング工程E1を実行し、微細な孔f1を形成する。ここで、陽極酸化工程A1は、アルミニウムのフラット面に後続する陽極酸化処理のきっかけを作製するものである。なお、この場合、エッチング工程を適宜省略してもよい。
(第2の工程)
次に、電圧V1よりも高い電圧V2(V2>V1)を印加して陽極酸化工程A2を実行した後に、エッチング工程E2を実行する。これにより、陽極酸化工程A2では、図12(b)に示すように、先の陽極酸化工程A1により形成された微細な孔f1のうち、陽極酸化工程A2に対応する間隔の微細な孔f1を更に掘り下げる。
ここで印加電圧V2をV2=2×V1に設定すると、陽極酸化工程A2によって、先の陽極酸化工程A1で形成された微細な孔f1を一つ置きに掘り進める処理が行われる。従って、賦型用金型の表面には、一つ置きに広くかつ深く掘り下げられた微細な孔f2が形成され、成形型の表面には、微細な孔f1と微細な孔2とが混在する状態となる。
(第3の工程)
続いて、電圧V1と電圧V2の間の電圧V3(V2>V3>V1)を印加して陽極酸化工程A3を実行した後に、エッチング工程E3を実行する。この工程では、ピッチの異なる微細な孔を作製する。具体的には、印加する電圧を、電圧V3として、縦横に面内に配列した微細な孔f2の間に存在する図示の如くの特定の微細な孔f1を一つ置きに広く且つ深く掘り下げる。ここで印加電圧V3をV3=(V1)1/2に設定すると、陽極酸化工程A3における印加電圧の印加時間、エッチング工程の処理時間を上述の第1の工程よりも長く設定することにより、図12(c)に示すように、最初の陽極酸化工程A1において形成された微細な孔f1のうち、4個の微細な孔f2で囲まれる最小の四角形の中心に位置する微細な孔f1が選択的に深く掘り下げられる。且つ同時に、第2の陽極酸化工程A2形成された微細な孔f2のうちで図12(c)で図示される位置関係に有る一部のものが更に掘り下げられ、微細な孔f3となる。
その結果、図12(c)に示すように、微細な孔f1(これが最も高さの低い微小突起に対応する孔となる)の周囲をf1よりも深い微細な孔f2及びf3(それぞれ中程度及び高程度の高さの微小突起に対応する孔となる)によって周囲を包囲された孔群が面内に配列した表面構造を有する成形型が得られる。
このように複数回の陽極酸化処理における印加電圧の切り替えにより掘り進める微細孔が異なることにより、微細孔の深さを大きく異ならせることができ、これにより意図する分布により微小突起の高さを制御することができる。
図5に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸層形成用原版としてロール金型を用いた場合に、基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図5に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状フィルム形態の基材1に、未硬化で液状の光硬化性樹脂組成物を塗布し、微小突起形状の受容層2’を形成する。なお光硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ13により、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に基材1を加圧押圧し、これにより基材1に受容層2’を密着させると共に、ロール金型12の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層2’を構成する光硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより基材1の表面に微細凹凸層2を作製する。続いて剥離ローラ14を介してロール金型12から、硬化した微細凹凸層2と一体に基材1を剥離する。必要に応じてこの基材1に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断してセルフクリーニング部材を作製する。これによりセルフクリーニング部材は、ロール材による長尺の基材1に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状のセルフクリーニング部材を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、セルフクリーニング部材の形状に係る基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による微細凹凸層形成用原版を使用した賦型処理等により、枚葉状のセルフクリーニング部材を作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸層形成用原版は、セルフクリーニング部材の形状に係る基材の形状に応じて適宜変更することができる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材においては、製造に使用した基材は必要に応じて剥離して、微細凹凸層のみとしてもよいし、微細凹凸層用の樹脂組成物として、基材の材料と同じものを用いることにより、微細凹凸層と基材が一体化したものであってもよい。
<セルフクリーニング部材の用途>
本発明に係るセルフクリーニング部材は、防汚性の付与が求められ、水による汚れの洗浄又は汚れの付着防止が行われうるあらゆる用途に用いることができ、特に限定されない。本発明に係るセルフクリーニング部材がクリーニング作用を発揮し得る用途としては、例えば、レストランのオープンキッチンや台所など油汚れが付着しやすい空間に使用される建材の他、自動車、電車、航空機等の乗り物や建造物等の窓ガラス又は強化ガラス、外壁用建材、風呂場、洗面所、トイレ等の水回り空間に使用される建材等が挙げられる。これらの用途においては、屋外で用いられるものは雨により、屋内の水回り空間で用いられるものは当該空間で使用される水により、微細凹凸面に付着した油汚れが洗浄除去されうる。また、水回り空間に使用される建材等のうち、使用環境において浸水状態に置かれている部分等、水と接している部分は、予め汚れの付着が防止される。本発明に係るセルフクリーニング部材が水と接した状態で使用される用途としては、例えば、水槽の内壁や水道管の内壁等が挙げられる。例えば、水槽の内壁に本発明に係るセルフクリーニング部材を貼り付けて使用した場合は、水槽の内壁に油汚れが付着しにくくなり、藻が生えにくくなる等の効果を奏し得る。また、水道管の内壁に本発明に係るセルフクリーニング部材を貼り付けて使用した場合は、当該内壁に油汚れが付着しにくくなるため、当該水道管が汚れにより詰まることを防止する効果を奏し得る。
前記の他にも、本発明に係るセルフクリーニング部材の用途としては、例えば、デパート等店舗のショーウィンドウ、商品や美術品のショーケース、PDA乃至は携帯情報端末、カーナビゲーションシステム、券売機、ATM(現金自動預金支払兼用機)等のタッチパネルディスプレイ及びその他の液晶画面に用いられる液晶保護フィルム等を挙げることができる。
また、本発明に係るセルフクリーニング部材は、クリーニング性能を付与したい部分に後から貼り付ける態様において用いても良いし、クリーニング性能が必要な部材そのものとして用いても良い。
本発明に係るセルフクリーニング部材を後から貼り付ける態様において用いる場合は、中でも、セルフクリーニング部材の可視光領域における透過率が80%以上であることが、意匠性を妨げることなく、クリーニング性能を付与することができる点から好ましい。
さらに、本発明に係るセルフクリーニング部材は、上述した方法により、クリーニング性能に加えて反射防止性能を発揮する態様とすることができる。反射防止性能をも発揮し得る本発明に係るセルフクリーニング部材は、前記用途の中でも、特に優れた視認性が求められる、窓ガラス、ショーウィンドウ、ショーケース、液晶保護フィルム等として好ましく用いることができる。
本発明に係るセルフクリーニング部材を付着する又は本発明に係るセルフクリーニング部材として成形される適用対象は、上述のような様々な用途に合わせて適宜選択されれば良く、可視光領域における透過率が30%未満の不透明な被付着体に付着して用いられても良いし、可視光領域における透過率が30%未満の不透明なセルフクリーニング部材であっても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(微細凹凸層形成用原版Aの作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.04Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧75V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で180秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸層形成用原版Aを得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用原版Bの作製)
前記微細凹凸層形成用原版Aの作製において、化成電圧を60V、第二エッチング処理を180秒間としたこと以外は、上記と同様にして、微細凹凸層形成用原版Bを得た。アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が150nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用原版Cの作製)
前記微細凹凸層形成用原版Aの作製において、化成電圧を37V、第二エッチング処理を→120秒間としたこと以外は、上記と同様にして、微細凹凸層形成用原版Cを得た。アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が100nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用原版Dの作製)
前記微細凹凸層形成用原版Aの作製において、化成電圧を60V、第二エッチング処理を150秒間としたこと以外は、上記と同様にして、微細凹凸層形成用原版Dを得た。アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が150nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用原版Eの作製)
前記微細凹凸層形成用原版Aの作製において、化成電圧を65V、第二エッチング処理を90秒間としたこと以外は、上記と同様にして、微細凹凸層形成用原版Eを得た。アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が170nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの調製)
下記成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを調製した。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物A>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 20質量部
・1,4−ブタンジオールジアクリレート 50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホシフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
得られた微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの平坦な硬化膜を作製し、当該硬化膜表面の純水及びn−ヘキサデカンの静的接触角を測定したところ、純水の静的接触角は18°であり、n−ヘキサデカンの静的接触角は55°であった。なお、実施例において、樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における静的接触角の測定は、後述するセルフクリーニング部材における静的接触角の測定と同様の方法で行った。
(微細凹凸層形成用樹脂組成物Bの調製)
下記成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Bを調製した。微細凹凸層形成用樹脂組成物Bの平坦な硬化膜表面に対する純水の静的接触角は52°であり、n−ヘキサデカンの静的接触角は43°であった。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物B>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(微細凹凸層形成用樹脂組成物Cの調製)
下記成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Cを調製した。微細凹凸層形成用樹脂組成物Cの平坦な硬化膜表面に対する純水の静的接触角は50°であり、n−ヘキサデカンの静的接触角は52°であった。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物C>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・メチルメタクリレート 5質量部
・ヘキシルメタクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(微細凹凸層形成用樹脂組成物Dの調製)
下記成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物Dを調製した。微細凹凸層形成用樹脂組成物Dの平坦な硬化膜表面に対する純水の静的接触角は40°であり、n−ヘキサデカンの静的接触角は60°であった。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物D>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
・シリカゲル 5質量部
(実施例1)
微細凹凸層形成用樹脂組成物として、上記微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを、上記で得られた微細凹凸層形成用原版Aの微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、品番:A4300、厚さ100μm)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、実施例1のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、平均高さHAVGが400nmであった。
(実施例2)
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層形成用樹脂組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、平均高さHAVGが400nmであった。
(実施例3)
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層形成用樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、平均高さHAVGが400nmであった。
(実施例4)
実施例2において、PETフィルムに代えてトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム(株)製、品番:TD80UF、厚さ80μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして実施例4のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、平均高さHAVGが400nmであった。
(実施例5)
実施例4において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて微細凹凸層形成用原版Bを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが150nmであり、平均高さHAVGが320nmであった。
(実施例6)
実施例4において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて微細凹凸層形成用原版Cを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例6のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが100nmであり、平均高さHAVGが200nmであった。
(実施例7)
実施例4において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて微細凹凸層形成用原版Dを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例7のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが150nmであり、平均高さHAVGが170nmであった。
(実施例8)
実施例4において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて微細凹凸層形成用原版Eを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例8のセルフクリーニング部材を得た。得られたセルフクリーニング部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが170nmであり、平均高さHAVGが180nmであった。
(比較例1)
実施例4において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて平版用原版を用いたこと以外は、実施例4と同様にして比較例1の比較部材を得た。得られた比較部材の表面は平坦面であり、微細凹凸形状は形成されていなかった。
(比較例2)
実施例1において、微細凹凸層形成用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層形成用樹脂組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の比較部材を得た。得られた比較部材の微細凹凸層が備える微小突起群は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、平均高さHAVGが400nmであった。
(比較例3)
ガラス板(Vixen製、品番:24014−2、厚さ1mm)に、光触媒作用によるセルフクリーニングフィルム((株)きもと製、ラクリーンAT2)を貼り付けることにより、比較例3の比較部材を得た。
(比較例4)
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム(株)製、品番:TD80UF、厚さ80μm)を、比較例4の比較部材とした。
(比較例5)
ガラス板(Vixen製、品番:24014−2、厚さ1mm)を、比較例5の比較部材とした。
(評価)
<静的接触角の測定>
実施例1〜8のセルフクリーニング部材、及び比較例1〜5の比較部材の樹脂組成物側表面、又は樹脂組成物を使用しないものに関しては一方の面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を上から滴下し、着滴1秒後、協和界面科学(株)製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。ただし、1.0μLの液滴を測定対象物の表面に接触させても表面に液滴が残らない場合には、3.0μLの液滴を滴下した。
また、純水の代わりにn−ヘキサデカン(n−HD)を用いて、同様にして静的接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
<除汚性評価>
実施例1〜8のセルフクリーニング部材、及び比較例1〜5の比較部材の樹脂組成物側表面、又は樹脂組成物を使用しないものに関しては一方の面に、着色した食用油(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:日清オイリオ サラダ油)を直径1cmの範囲に1200g/m付着させ、温度25℃、湿度60%RHの条件下で5分間置いた。その後、食用油を付着させた部分に霧吹きで純水をふきかけた。食用油が除去されるまでの霧吹きの回数に基づき、下記評価基準の下、除汚性を評価した。評価結果及び食用油が除去されるまでの霧吹きの回数を表1に示す。
[評価基準]
A:30回未満の霧吹きで、食用油が完全に除去された。
B:30回以上50回未満の霧吹きで、食用油が完全に除去された。
C:50回以上霧吹きをしても食用油は完全に除去されなかった。
<水中油接触角の測定>
実施例1〜8のセルフクリーニング部材及び比較例2、3の比較部材を水中に置き、樹脂組成物の硬化物側の表面が下側になるようにした。次いで、水中に置かれた部材の下側から、n−ヘキサデカン5.0μLの液滴を当該部材の前記下側の面に着滴させ、着滴1秒後、協和界面科学(株)製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。水中油接触角が180°に近いほど、水中において油汚れが付着しにくい。
(結果のまとめ)
実施例1〜8で得られたセルフクリーニング部材は、隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、微細凹凸面の水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さい、本発明に係るセルフクリーニング部材であったため、除汚性に優れ、また、水中油接触角が大きい、すなわち水中において油汚れが付着しにくく、クリーニング性能に優れるものであった。また、実施例1〜8で得られた本発明に係るセルフクリーニング部材は、経時的に劣化する成分を含まなかったため、長期間の使用が可能である。
一方で、比較例1の比較部材は、微細凹凸形状を有しなかった。比較例2の比較部材は、水の静的接触角が、n−ヘキサデカンの静的接触角よりも大きかった。比較例3の比較部材は、光触媒作用によるセルフクリーニングフィルムを用いた部材であり、光照射が不充分であった。比較例4及び比較例5の比較部材は、微細凹凸形状を有さず、水の静的接触角が、n−ヘキサデカンの静的接触角よりも大きかった。そのため、これら比較例1〜5の比較部材は、実施例1〜8で得られたセルフクリーニング部材に比べ、除汚性に劣っていた。また、水中接触角の測定がされた比較例2、3の比較部材は、実施例1〜8で得られたセルフクリーニング部材に比べ、水中油接触角が小さく、すなわち、水中において油汚れが比較的付着しやすいものであった。
次に、多峰性微小突起を有するセルフクリーニング部材の実施例について説明する。
[実施例9]
実施例1において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて、下記の賦型用金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のセルフクリーニング部材を得た。
図13は、実施例9のセルフクリーニング部材の微小突起高さHの度数分布を示すヒストグラムである。
実施例9のセルフクリーニング部材を製造する賦型用金型は、上述の図11を用いて説明した金型の製造工程において、第2工程、第3工程、第4工程で陽極酸化処理の印加電圧を連続的に変化させたものである。より具体的にこの図13の例では、陽極酸化工程とエッチング工程とを5回繰り返した場合であり、第1回目の陽極酸化工程の印加電圧をV1(15V〜35Vの範囲の一定電圧である)とした場合に、第2回目、第3回目、第4回目、第5回目の陽極酸化工程の印加電圧をそれぞれ2V1、3.5V1、5V1、V1とした例である。なお陽極酸化処理は、濃度0.02Mのシュウ酸水溶液を使用して100秒実施した。エッチング工程は、濃度0.02Mのシュウ酸水溶液を使用して45秒間エッチング処理した後、濃度1.0Mのリン酸水溶液を使用して110秒間エッチング処理した。
上述の方法により製造された実施例9のセルフクリーニング部材は、図13に示すように、微小突起の高さの平均値がHAVE=145.7nmであり、その標準偏差がσ=22.1nmである。
ここで、微小突起の高さHの度数分布において、低高度領域は、H<HAVE−σ=123.6nmとなり、中高度領域は、HAVE−σ=123.6nm≦H≦HAVE+σ=167.8nmとなり、高高度領域は、H>HAVE+σ=167.8nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntとしては、263個を標本抽出した。また、その中で、中高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、23個であるので、中高度領域のNm/Ntは、0.087となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、2個であるので、低高度領域のNm/Ntは、0.008となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、5個であるので、高高度領域のNm/Ntは、0.019となる。
従って、本実施例9のセルフクリーニング部材は、上述の(a)、(b)の関係、すなわち、
(a)中高度領域のNm/Nt=0.087>低高度領域のNm/Nt=0.008
(b)中高度領域のNm/Nt=0.087>高高度領域のNm/Nt=0.019
を満足する。
以上より、実施例9のセルフクリーニング部材は、中高度領域における多峰性微小突起の数(Nm)と度数分布における微小突起の総数(Nt)との比率(Nm/Nt)が、低高度領域及び高高度領域の比率よりも大きくなるように多峰性微小突起が形成されている。また、このセルフクリーニング部材は、このような高さ分布において、多峰性微小突起(頂点数が2つ及0び3つのものをそれぞれ二峰、三峰により示す)についても、ほぼ高さの平均値が一致した正規分布とすることができるので、効率良く多峰性微小突起の耐擦傷性を向上させることができる。
更に、上述の構成にすることによって、セルフクリーニング部材は、高さが高い(180nm以上)微小突起に分布する多峰性微小突起の比率が小さく、単峰性微小突起の比率が多いので、他の物体が微小突起に摩擦接触したとしても、高さの高い単峰性微小突起が先に接触することとなり、多峰性微小突起に接触してしまうのを抑制することができる。
なお、これら多峰性微小突起の特徴は、賦型用金型の対応する形状を備えた微細孔により作製される多峰性微小突起の固有の特徴であり、特開2012−037670号公報に開示の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起によっては得ることができない特徴である。すなわち樹脂の充填不良による多峰性微小突起は、本来、単峰性微小突起として作製される微細孔に十分に樹脂が充填されないことにより作製されるものであるので、頂点間の間隔が極めて微小であり、これにより耐擦傷性を十分に向上することが困難である。
また、充填不良による多峰性微小突起にあっては、再現性が乏しく、これにより均一な製品を量産できない欠点もあり、これに対して、この実施形態に係る多峰性微小突起は、いわゆる金型により高い再現性を確保することができる。また、上述の実施例について詳述するように、多峰性微小突起の高さ分布について制御できるのに対し、充填不良の多峰性微小突起については、このような制御が困難である。
また、実施例9の反射防止物品は、隣接突起間隔の平均dAVGが81nmで密に配置されてなるものであった。
図15は、実施例9に於ける実際の微小突起の平面図の拡大写真である。
図16及び図17は、実施例9に於ける実際の微小突起の形状の一例を示す。図16は、微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図17は、図16の例に示される微小突起の、平面図(図17(a))、正面図(図17(b))、及び側面図(図17(c))である。これら図16及び図17は、等高線図である。上述したように、複数回の陽極酸化処理における印加電圧を切り替えることにより、この図16及び図17による微小突起においては、高さの大きく異なる3つの峰が合体して1つの微小突起が形成されており、ほぼ中央より外方に向かって形成された3本の放射状の溝(沢状の極小部)によりこの3つの峰に係る領域に分割されて微小突起が作製されていることが判る。なおこの図16及び図17は、AFMによる計測結果によるデータを部分的に選択して詳細に示したものである。またこの図16及び図17における数字の単位はnmである。X座標及びY座標は、所定の基準位置からの座標値である。
図18及び図19は、実施例9に於ける実際の微小突起の形状の一例であって、図16の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す。図18は、微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図19は、図18の例に示される微小突起の、平面図(図19(a))、正面図(図19(b))、及び側面図(図19(c))である。
この図18及び図19の微小突起においては、ほぼ高さの等しい3つの峰が合体して1つの微小突起が作製され、該3つの峰は、頂部のほぼ中央部より外方に向かって延びた3本の放射状の溝によって区劃されていることが判る。
図20及び図21は、実施例9に於ける実際の微小突起の形状の一例であって、図16及び図18の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す。図20は、微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図21は、図20の例に示される微小突起の、正面図(図21(a))、及び側面図(図21(b))である。この図20及び図21の微小突起においては、横に一列に並んだ複数の微小突起が結合したかのような形状により形成され、この並び方向と、並び方向と直交する方向とでアスペクト比が異なるように作成されている。このような方向によってアスペクト比が異なる微小突起によりセルフクリーニング部材は、その反射防止特性に方向性を持たせることができる。尚、此の微小突起に於いては、各峰間の溝は該並び方向と直行する方向に伸びている。
なおこのようにして観察される結果によれば、多峰性微小突起における各峰の内側においては、各峰の外側に比して表面の粗さが荒いように観察され、多峰性微小突起は、このように峰の内側と外側との粗さの相違により、賦型処理時の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起との相違を見て取ることができる。なおこれらの斜視図等において、等高線が表されていない箇所は、計測の都合上、データが得られていない箇所である。
[実施例10]
実施例1において、微細凹凸層形成用原版Aに代えて、下記の賦型用金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10のセルフクリーニング部材を得た。
図14は、実施例10のセルフクリーニング部材の微小突起の高さHの度数分布を示す図である。なお図14においては、微小突起の高さHをhと、平均突起高さをHAVGをmと、標準偏差をσをσとそれぞれ記載する。
実施例10のセルフクリーニング部材を製造する賦型用金型は、上述の図11を用いて説明した金型の製造方法において、第1〜第5の工程のうちで、第2工程では段階的に電圧を上昇させて第3工程及び第4工程の処理を併せて実行し、第4工程では、(実施例9)の例による最高電圧に比して一段とより高い電圧により陽極酸化処理を実行し、またさらにこの第4工程に対応して第5工程を実行したものである。
より具体的に図14の例は、図13の例と同一の繰り返し回数、溶液及び処理時間により陽極酸化工程、エッチング工程を実行した。この図14の例では、第1回目の陽極酸化工程の印加電圧をV1(15V〜35Vの範囲の一定電圧である)とした場合に、第2回目、第3回目、第4回目、第5回目の陽極酸化工程の印加電圧をそれぞれ2.5V1、4V1、6V1、V11/2〜V1とした例である。2回目から4回目の陽極酸化工程では、2回目の陽極酸化処理の開始電圧及び4回目の陽極酸化処理の終了電圧がそれぞれ2.5V1及び6V1となるように設定して、徐々に印加電圧を増大させた。
この図14の例では、高さの高い側と低い側とに分布のピークを有する、微小突起の高さ分布が離散的、すなわち、双峰性を持つ分布を示しており、各分布の峰に対応して多峰性微小突起の分布が形成される。
実施例10のセルフクリーニング部材は、度数分布が双峰性の分布となり、この度数分布全体の微小突起の高さの平均値がm=195.7nmであり、標準偏差がσ=57.2nmであった。
ここで、実施例10のセルフクリーニング部材は、微小突起の高さhの度数分布において、低高度領域は、h<m−σ=138.5nmとなり、中高度領域は、m−σ=138.5nm≦h≦m+σ=254.7nmとなり、高高度領域は、h>m+σ=254.7nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntは、131個である。また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、21個であるので、中高度領域のNm/Ntは、0.160となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、3個であるので、低高度領域のNm/Ntは、0.023となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、0個であるので、高高度領域のNm/Ntは、0となる。
従って、本実施例のセルフクリーニング部材は、上述の(a)、(b)の関係、すなわち、
(a)中高度領域のNm/Nt=0.160>低高度領域のNm/Nt=0.023
(b)中高度領域のNm/Nt=0.160>高高度領域のNm/Nt=0
を満足する。
また、上述したように、実施例10のセルフクリーニング部材の微小突起の高さhの度数分布は、双峰性、すなわち2つの分布の峰が存在する。この場合、各分布の峰についても、低高度領域、中高度領域、高高度領域を定め、それぞれの峰の各領域の多峰性微小突起の数と、度数分布全体の微小突起の総数Ntとの比の大小を評価する必要がある。
具体的には、各峰間の境界となる高さをhsとしたとき、hs未満の分布の峰(高さが低い側の分布の峰)については、高さhの平均値をm1とし、標準偏差をσ1とし、h<m1−σ1の領域を低高度領域とし、m1−σ1≦h≦m1+σ1の領域を中高度領域とし、m1+σ1<h<hsの領域を高高度領域とした場合に、hs未満の分布の峰における各領域の多峰性微小突起の数Nm1と、度数分布全体における微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(c)、(d)の関係を満たす必要がある。
(c) 中高度領域のNm1/Nt>低高度領域のNm1/Nt
(d) 中高度領域のNm1/Nt>高高度領域のNm1/Nt
また、hs以上の分布(高さが高い側の分布)については、高さhの平均値をm2とし、標準偏差をσ2とし、hs<h<m2−σ2の領域を低高度領域とし、m2−σ2≦h≦m2+σ2の領域を中高度領域とし、m2+σ2<hの領域を高高度領域とした場合に、hs以上の分布における各領域の多峰性微小突起の数Nm2と、度数分布全体における微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(e)、(f)の関係を満たす必要がある。
(e) 中高度領域のNm2/Nt>低高度領域のNm2/Nt
(f) 中高度領域のNm2/Nt>高高度領域のNm2/Nt
ここで、hs未満(高さが低い側)の分布における微小突起の高さhの平均値がm1=52.9nmであり、標準偏差がσ1=24.8nmである。各分布の境界は、度数分布の高さのデータを統計的に処理することによってhs=100nmと求められる。
そのため、hs未満の分布の低高度領域は、h<m1−σ1=28.1nmとなり、中高度領域は、m1−σ1=28.1nm≦h≦m1+σ1=77.7nmとなり、高高度領域は、m1+σ1=77.7nm<h<hs=100nmとなる。
また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、2個であるので、中高度領域のNm1/Ntは、0.015となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、0個であるので、低高度領域のNm1/Ntは、0となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、0個であるので、高高度領域のNm1/Ntは、0となる。
従って、本実施例のセルフクリーニング部材は、hs未満の分布において、上記(c)、(d)の関係、すなわち、
(c) 中高度領域のNm1/Nt=0.015>低高度領域のNm1/Nt=0
(d) 中高度領域のNm1/Nt=0.015>高高度領域のNm1/Nt=0
の関係を満たす。
また、hs以上(高さが高い側)の分布の微小突起については、高さhの平均値がm2=209.2nmであり、標準偏差がσ2=39.4nmである。
そのため、hs以上の分布の低高度領域は、hs=100nm≦h<m2−σ2=169.9nmとなり、中高度領域は、m2−σ2=169.9nm≦h≦m2+σ2=248.7nmとなり、高高度領域は、m+σ=248.7nm<hとなる。
また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、19個であるので、中高度領域のNm2/Ntは、0.145となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、3個であるので、低高度領域のNm2/Ntは、0.023となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、0個であるので、高高度領域のNm2/Ntは、0となる。
従って、本実施例のセルフクリーニング部材は、hs以上の分布においても、上記(e)、(f)の関係、すなわち、
(e) 中高度領域のNm2/Nt=0.145>低高度領域のNm2/Nt=0.023
(f) 中高度領域のNm2/Nt=0.145>高高度領域のNm2/Nt=0
の関係を満たす。
以上より、実施例10のセルフクリーニング部材は、中高度領域の多峰性微小突起の数(Nm)と度数分布における微小突起の総数(Nt)との比率(Nm/Nt)が、低高度領域及び高高度領域の比率よりも大きくなるように多峰性微小突起が形成されている。また、実施例10のセルフクリーニング部材は、度数分布が双峰性であり、上述の(c)〜(f)の関係を満たす。
また、実施例10の反射防止物品は、隣接突起間隔の平均dAVGが103nmで密に配置されてなるものであった。
〔耐擦傷性の評価〕
実施例1、9及び10のセルフクリーニング部材に、押し付け力100g及び200gによりスチールウールを押し付けて往復させた後の表面の変化を目視により確認した。その結果、実施例1のセルフクリーニング部材は、目視上、複数の往復方向に沿って6〜10本程度のスジ状の傷を生じたが、実施例9及び10のセルフクリーニング部材は、目視上、傷、濁りは見られなかった。このような結果から、多峰性微小突起により充分に耐擦傷性が向上することが判る。
実施例1、9及び10のセルフクリーニング部材に、指紋を付着させた後、不織布を用いて溶剤を含まない乾いた状態での拭きを50往復させた時の、5°正反射率ΔY(%)を測定した。なお、指紋を付着させた状態では、5°正反射率が4%となるように設定した。不織布は、KBセーレン社製、ザヴィーナミニマックス(登録商標)150mm□を使用した。また何ら指紋による汚れを付着させない状態における5°正反射率の初期値は、0.5%であった。
5°正反射率ΔY(%)は、実施例1が1.1%、実施例9が0.6%、実施例10が0.6%であった。
この検討結果によれば、多峰性微小突起により付着した汚れがふき取り易くなって反射防止性能を指紋付着前に近い状態にまで回復していることが判り、このことは多峰性微小突起を設けた場合には、微小突起の付け根側に汚れが深くもぐり込まないことによるものと考えられる。
実施例1、9及び10を対比した結果によれば、頂点が複数からなる多峰性微小突起と頂点が1つの単峰性微小突起とを適切な分布で混在させることにより、従来に比して耐擦傷性を向上することができた。また指紋に対する耐汚染性(易拭取り性)にも向上が見られた。
また、実施例9、10のセルフクリーニング部材について、実施例1と同様に、純水及びn−ヘキサデカンの静的接触角の測定、除汚性の評価、水中油接触角の測定を行った。評価結果を表2に示す。
1 基材
2 微細凹凸層
2’ 受容層
2a 微細凹凸面
3 微小突起
3a 極大点
3b 線分
4 油汚れ
5 水
10 セルフクリーニング部材
11 ダイ
12 ロール金型
13 押圧ローラ
14 剥離ローラ
20 母材
30 賦型用ロール金型
31 バイト
32 第一の溝
33 第二の溝

Claims (1)

  1. 複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備え、
    前記微小突起の隣接突起間隔dの平均dAVGが500nm以下であり、複数ある微小突起の平均突起高さHAVGと平均隣接突起間隔dAVGの比で規定される微小突起の平均アスペクト比(HAVG/dAVG)が0.5以上であり、
    前記微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面において、水の静的接触角が30°以下であり、且つ水の静的接触角がn−ヘキサデカンの静的接触角よりも小さいことを特徴とする、セルフクリーニング部材。
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CN114859441A (zh) * 2022-04-25 2022-08-05 翰博高新材料(合肥)股份有限公司 一种用于背光模组的自清洁膜片、背光模组及制作方法

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