JP2016080945A - 反射部材 - Google Patents

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崎 祐 一 宮
Yuichi Miyazaki
崎 祐 一 宮
名 徳 之 椎
Tokuyuki Shiina
名 徳 之 椎
田 恵 範 林
Yasunori Hayashida
田 恵 範 林
橋 洋一郎 大
Yoichiro Ohashi
橋 洋一郎 大
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Abstract

【課題】防曇性、防汚性、耐久性および生産性の優れた反射部材を提供する。【解決手段】反射部材10は、入射する可視光を反射する反射体15と、反射体15の入射面15aに貼り付けられた防曇フィルム20と、を備え、防曇フィルム20は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向d1と非平行な方向d2に延びている複数の線状凸部32によって形成された凹凸面31を有する凹凸構造層30を有し、防曇フィルム20は、凹凸面31が反射体15とは反対側を向くように配置され、防曇フィルム20の凹凸面31上での水に対する接触角が20°以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、反射体と、反射体の入射面に貼り付けられた防曇フィルムと、を有する反射部材に関する。
反射体、例えば鏡は、水滴で曇ってしまうと、予定された機能を発揮することができなくなることがある。その一方で、浴室や洗面所のような多湿雰囲気下にて、反射体が使用されることも珍しくない。このため、従来、鏡等の反射体における防曇方法が研究されてきた。
特許文献1では、基材の表面に、樹脂組成物の硬化物からなる多数の微小突起を密接して配置した、いわゆるモスアイ(蛾の目)構造を利用し、鏡等の結露を防止する方法が提案されている。この方法では、多数の微小突起間の谷部に液体が保持されることにより、液体が集合して液滴を形成することが抑制され、これにより結露に起因する鏡等の曇りが防止される。
特開2014−141085号公報
本件発明者らが、このモスアイ(蛾の目)構造を利用した防曇方法について、さらに検討を進めたところ、多数の微小突起を密接して配置した微細凹凸構造は、その表面構造のため、耐汚れ性等の耐久性の点で問題があることが知見された。すなわち、その表面構造のため、皮脂等の汚れが付着し易く、また当該汚れは微小突起間の溝奥まで入り込むため、除去が困難であり、表面外観が悪化し易いという問題が知見された。更に、汚れを拭取る時の圧力で、突起が容易に潰れたり、突起の先端同士が付着する等の塑性変形が生じ、拭いた箇所に拭き痕が残ってしまう場合があるなど、使用中の耐久性の問題も知見された。
また、特許文献1のモスアイ(蛾の目)構造は、微小突起に対応する微細孔が型面に形成された金型を用いて製造される。この金型は、陽極酸化やケミカルエッチング等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することにより、作製される。しかしながら、このような金型の製造において、微細孔のばらつきを制御することは容易ではない。また、微細孔が密集して形成された金型を大面積で作製することも容易ではない。さらに、微細孔に賦型樹脂が詰まりやすいため、この金型の寿命は短い。このような事情から、モスアイ構造の生産性も問題となる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、防曇性、防汚性、耐久性および生産性の優れた反射部材を提供することを目的とする。
本発明による反射部材は、
入射する可視光を反射する反射体と、
前記反射体の入射面に貼り付けられた防曇フィルムと、を備え、
前記防曇フィルムは、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部によって形成された凹凸面を有する凹凸構造層を有し、
前記防曇フィルムは、前記凹凸面が前記反射体とは反対側を向くように配置され、
前記防曇フィルムの前記凹凸面上での水に対する接触角が20°以下である。
本発明による反射部材において、前記線状凸部の長手方向は、水平方向と非平行になっていてもよい。
本発明による反射部材において、前記線状凸部の長手方向は、45°より大きい角度で水平方向に対して傾斜していてもよい。
本発明による反射部材において、前記線状凸部の長手方向は、鉛直方向と平行になっていてもよい。
本発明による反射部材において、水分を受ける受け部材を、さらに備え、前記受け部材は、前記線状凸部の長手方向の一方の端部が位置する前記防曇フィルムの端縁に対面して、配置されていてもよい。
本発明による反射部材において、前記複数の線状凸部は、折れ線状または波線状のパターンで、前記配列方向と非平行な方向に延びていてもよい。
本発明による反射部材において、前記複数の線状凸部は、前記配列方向に連続して一定の間隔で配列された2以上の線状凸部毎に、線状凸部群を形成し、1つの線状凸部群に含まれる2以上の線状凸部の配列間隔Pは、当該1つの線状凸部群および当該1つの線状凸部群に隣り合う他の線状凸部群にそれぞれ属し且つ前記配列方向に隣り合う2つの線状凸部の配列間隔Pより、狭くてもよい。
本発明による反射部材において、前記凹凸面上での5°正反射による反射率が0.5%以下であってもよい。
本発明による反射部材において、前記凹凸構造層の前記線状凸部は、150nm以上500nm以下の間隔で配列され、前記線状凸部の高さは、25nm以上500nm以下となっていてもよい。
本発明による反射部材において、前記凹凸面上での50°正反射による反射率が1%以下であってもよい。
本発明による反射部材において、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の水に対する接触角が5°以上50°以下であってもよい。
本発明による反射部材において、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の25℃における貯蔵弾性率(E1’)が300MPa以下であり、且つ、前記貯蔵弾性率(E1’)に対する、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の25℃における損失弾性率(E1”)の比(tanδ(=E1”/E1’))が0.2以下であり、且つ、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の表面における、n−ヘキサデカンの接触角が30°以下またはオレイン酸の接触角が25°以下であってもよい。
本発明によれば、防曇性、防汚性、耐久性および生産性の優れた防曇フィルムを有する反射部材を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、反射部材を含む洗面台を示す斜視図である。 図2は、図1のII−II線に沿った反射部材の断面図である。 図3は、反射部材、および、該反射部材に設けられた防曇フィルムの端縁に対面して配置された受け部材、を示す斜視図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、防曇フィルムの凹凸構造層の凹凸面を示す平面図であって、凹凸構造層の線状凸部の配列に関する一例を説明するための図である。 図6は、凹凸構造層の凹凸面を示す平面図であって、凹凸構造層の線状凸部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図7は、凹凸構造層の凹凸面を示す平面図であって、凹凸構造層の線状凸部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図8は、凹凸構造層の凹凸面を示す平面図であって、凹凸構造層の線状凸部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図9は、凹凸構造層の凹凸面を示す平面図であって、凹凸構造層の線状凸部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図10は、図9のX−X線に沿った断面図である。 図11は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図12は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図13は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図14は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図15は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図16は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図17は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図18は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図19は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図20は、凹凸構造層の主切断面を示す図であって、線状凸部の断面形状の変形例を説明するための図である。 図21は、反射部材の用途の他の例を示す図である。 図22は、図3〜図5の凹凸構造層の作製に用いられるロール型を、その中心軸線を通る断面において、示す図である。 図23は、図22のロール型の製造方法を説明するための図である。 図24は、図23のロール型の製造方法に用いられるバイトの刃先を示す正面図である。 図25は、ロール型を用いて凹凸構造層を有する防曇フィルムを製造する方法を示す図である。 図26は、ロール型の型面を平面に展開して示す平面図であって、線状凹部の配列に関する一例を説明するための図である。 図27は、ロール型の型面を平面に展開して示す平面図であって、線状凹部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図28は、ロール型の型面を平面に展開して示す平面図であって、線状凹部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図29は、ロール型の型面を平面に展開して示す平面図であって、線状凹部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図30は、ロール型の型面を平面に展開して示す平面図であって、線状凹部の配列に関する変形例を説明するための図である。 図31は、製造例Aおよび製造例Bで用いられるバイトの刃先を示す正面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「フィルム」は板やシートと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「防曇フィルム」は、「防曇板」や「防曇シート」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
<<<反射部材>>>
反射部材10は、入射光を反射する部材である。典型的な例として、反射部材10は、姿や像等の被写体を映し出す鏡である。図1には、反射部材10を洗面台5の鏡に適用した例が、示されている。また、図2には、図1の反射部材10の横断面が示されている。図2に示すように、反射部材10は、入射する可視光を反射する反射体15と、反射体15の入射面15aに貼り付けられた防曇フィルム20と、を含んでいる。また、図2に示すように、防曇フィルム20は、接合層18を介して、反射体15の入射面15aに貼合されている。さらに、図3に示すように、反射部材10は、防曇フィルム20から流れ落ちる水滴等を受ける受け部材19を有している。
ここで説明する反射部材10の防曇フィルム20は、防曇機能、反射防止機能および可視光透過性において優れている。この結果、反射部材10の本来的な目的である反射体15での反射機能が、十分に発揮されるようになっている。以下、反射部材10の構成要素である、反射体15、接合層18、受け部材19および防曇フィルム20について順に説明していく。
<<反射体>>
反射体15は、入射光を反射する部材である。反射体15の典型的な例として、図1に示すように、鏡面反射により被写体を映し出す鏡を例示することができる。したがって、反射体15は、透明なガラス板の一方の面に金属薄膜を成膜してなる部材や、研磨された金属板等から形成され得る。鏡をなす反射体15においては、被写体の像を鮮明に映し出す観点から、反射体15の入射面15a上での5°正反射による反射率が、90%以上100%以下となっていることが好ましく、95%以上となっていることがより好ましい。なお、本明細書で言及する正反射の反射率は、(株)島津製作所製のUV−3100を用いて、JIS R 3106に準拠して測定された値とする。
以下においては、鏡を反射体15として用いた例について説明する。ただし、以下の説明に限定されることなく、入射光を反射する種々の光学素子を、反射体15として用いることができる。一例として、拡散反射機能を有した光学素子、異方性拡散機能を有した光学素子、回折により入射光の進行方向を折り返す反射型のホログラフィック光学素子等を、反射体15として用いることも可能である。
<<接合層>>
接合層18は、防曇フィルム20を反射体15に貼合するための層である。接合層18は、接着剤からなる接着層として形成されていてもよいし、あるいは、リワーク性を有した、すなわち、剥離して再貼合可能な粘着層として形成されていてもよい。接合層18は、既知の種々の接着材料や粘着材料を用いて形成され得る。ただし、反射部材10の設置場所によっては、接合層18が耐水性を有した材料から形成されていることが好ましい。また、反射部材10からの十分な反射光量を確保する観点から、接合層18の可視光透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。同様に、反射部材10によって所定方向からの入射光を所定方向へ反射する観点、例えば、鏡面反射により被写体を鮮明に映し出す観点から、接合層18にオレンジピール(ゆず肌状の厚みムラ)が生じていないことが好ましい。
<<受け部材>>
受け部材19は、防曇フィルム20の複数の線状凸部32の長手方向dに沿って流れ落ちる水滴等を受ける機能を有する。そのため、受け部材19は、線状凸部32の長手方向の一方の端部が位置する防曇フィルム20の端縁に対面して、配置されている。このような受け部材19により、防曇フィルム20から流れ落ちた水滴等によって、例えば洗面台5の鏡(反射部材)10の周囲が汚れることを効果的に防止することができる。
<<防曇フィルム>>
図3および図4に示すように、防曇フィルム20は、可視光透過性を有した凹凸構造層30を有している。凹凸構造層30は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向である第1方向dと非平行な第2方向dに延びている複数の線状凸部32によって形成された凹凸面31を有している。図3に示された例において、防曇フィルム20は、凹凸構造層30を支持する透明基材25を、さらに有している。ただし、以下に詳述するように、防曇フィルム20は、凹凸構造層30により優れた機能を発揮することができ、その一方で、透明基材25は、防曇フィルム20における必須の構成要素ではなく、省略され得る。防曇フィルム20は、凹凸面31が反射体15とは反対側を向くように配置されている。したがって、反射部材10の入射面10aは、防曇フィルム20の凹凸面31によって形成されている。
凹凸構造層30は、例えば樹脂組成物の硬化物からなり、可視光を透過する、一般に言うところの透明な層である。例えば、JIS K 7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)に準拠して測定される可視光領域における凹凸構造層30の透過率が、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
図4は、図3におけるIV−IV線に沿った断面、言い換えると線状凸部32の延在方向である第2方向dに直交する断面を示している。線状凸部32の配列間隔(配列ピッチ)pの平均値Pave、すなわち、配列方向である第1方向dに隣り合う2つの線状凸部32の第1方向dに沿った間隔pの平均値Paveが500nm以下となっている。第1方向dに隣り合う2つの線状凸部32の第1方向dに沿った間隔pは、例えば、図4に示すように当該2つの線状凸部32の先端部32a間の第1方向dに沿った距離として、あるいは、後述するように当該2つの線状凸部32の同一側の基端部32b間の距離として、特定され得る。
ここで説明する防曇フィルム20は、この防曇フィルム20に含まれる凹凸構造層30が配列方向と非平行な方向に延びる線状凸部32を表面に有しており、且つ、隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔の平均値Paveが特定の範囲内の値となっている。この防曇フィルム20は、凹凸構造層30の線状凸部32によって形成される凹凸面31に起因して、微小突起が密接して二次元配列されてなるいわゆるモスアイ構造と同様に機能を発揮することができ、加えて、防曇フィルム20の凹凸構造層30は、いわゆるモスアイ構造といわれる微小突起が密接して二次元配列されてなる凹凸構造層と比較して、凸部自体の構造上の耐久性において優れる。したがって、樹脂組成物の硬化物からなる線状凸部32であっても、当該線状凸部32が潰れてしまうことや、隣り合う線状凸部32が先端部において付着し合うことを効果的に防止することができる。
また、ここで説明する防曇フィルム20の凹凸構造層30は、いわゆるモスアイ構造といわれる微小突起が密接して二次元配列されてなる凹凸構造層と比較して、皮脂等の付着物(汚れ)に対して、十分に対応することができる。すなわち、ここで説明する防曇フィルム20の凹凸構造層30では、線状凸部32の長手方向に沿って付着物を拭き取ることにより、当該付着物を容易且つ安定して除去することが可能となる。また、付着物の拭き取りが線状凸部32の長手方向に沿って実施されると、凹凸面31が損傷してしまうことも効果的に防止することができる。
さらに、ここで説明する凹凸構造層30の凹凸面31は、線状に延びる線状凸部32によって形成されているため、詳しくは後述するように、凹凸構造層30を樹脂組成物の硬化物として高い生産性で製造することが可能となる。当該製造方法によれば、大面積の防曇フィルム20を長尺状で製造することが可能なため、例えば特開2009−193002号公報で提案されているように小面積の凹凸構造層を継ぎ合わせる必要がない。
以下、防曇フィルム20の各構成要素について、順に詳述する。
<凹凸構造層>
凹凸構造層30は、第1方向dに配列された多数の線状凸部32を有している。線状凸部32によって、凹凸構造層30の表面、さらには防曇フィルム20の表面である凹凸面31が形成されている。各線状凸部32は、その配列方向と非平行な方向に延びている。とりわけ図3および図5に示された例では、各線状凸部32の配列方向である第1方向dと、各線状凸部32が延びる長手方向である第2方向dとは、直交している。また、図示された例では、多数の線状凸部32は、それぞれ直線状をなし、互いから離間して、互いに平行に延びている。
線状凸部32の長手方向である第2方向dは、水平方向dと非平行になっていてもよい。すなわち、図6に示すように、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、所定の角度θで水平方向dに対して傾斜していてもよい。とりわけ、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、45°より大きい角度で水平方向dに対して傾斜していてもよい。さらに、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、図3および図5に示されているように、鉛直方向と平行になっていてもよい。このような線状凸部32を有する防曇フィルム20によれば、防曇フィルム20に付着した水等の液体の、重力による流下を促進し、この液体を速やかに除去することが可能となる。
また、図7に示すように、防曇フィルム20の法線方向からの平面視において、線状凸部32が折れ線状に第2方向dに延びるようにしてもよい。また、図8に示すように、防曇フィルム20の法線方向からの平面視において、線状凸部32が波線状パターン(蛇行曲線状パターン)で第2方向dに延びるようにしてもよい。
図6〜図8に示された例では、図3および図5に示された例と同様に、凹凸構造層30に含まれた多数の線状凸部32は、互いに平行となっている。すなわち、図6〜図8に示された例において、第1方向dに隣り合う2つの線状凸部32の間隔pは、第2方向dに沿った各位置において一定となっている。このような例によれば、凹凸構造層30は、第2方向dに沿った各位置において、一定の光学機能を発揮し且つ耐久性が面内で安定するようになる。
その一方で、隣り合う2つの線状凸部32の間隔(ピッチ)pが、変動するようにしてもよい。図9に示された例において、凹凸構造層30に含まれる多数の線状凸部32は、その配列方向である第1方向dに沿った位置に応じて、複数の線状凸部群Gに区分けされている。各線状凸部群Gは、複数の線状凸部32を含んでいる。線状凸部群Gは、互いに同一の数の線状凸部32、図示された例では6つの線状凸部32を含んでいる。
図10は、図9のX−X線に沿った断面図である。図9および図10に示された例では、各線状凸部群Gに含まれる複数の線状凸部32について、隣り合う2つの線状凸部32の間隔pが一定となっている。この間隔pは、他の任意の1つの線状凸部群Gに含まれる複数の線状凸部32についての間隔と同一となっている。一方、異なる線状凸部群Gに属して隣り合う2つの線状凸部32の間隔pは、任意の1つの線状凸部群Gに属して隣り合う2つの線状凸部32の間隔pとは異なっている。とりわけ、間隔pは間隔pよりも広くなっている。
すなわち、図9および図10に示された例では、複数の線状凸部32は、第1方向dに連続する2以上の線状凸部32毎に線状凸部群Gを形成し、1つの線状凸部群に含まれる2以上の線状凸部32の配列間隔pは、当該1つの線状凸部群Gおよび当該1つの線状凸部群Gに隣り合う他の線状凸部群Gにそれぞれ属し且つ第1方向dに隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔pよりも、狭くなっている。言い換えると、線状凸部32が、n条(nは、2以上の自然数)だけ凹凸面31に形成され、凹凸面31上における第1方向dに沿って隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔pは、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔pよりも大きくなっている。このような線状凸部32の配列は、後述する製造方法によって極めて容易に実現することができるとともに、防曇フィルム20は、この線状凸部32の配列に起因して、後述する優れた作用効果を奏することが可能となる。
隣り合う異なる2つの線状凸部群Gに属する2つの線状凸部32の間隔pは、図示された例において、凹凸構造層30内で、一定となっている。しかしながら、この例に限られず、2つの線状凸部群Gに属する2つの線状凸部32の間隔は、一定でなくてもよいし、後述する製造方法によれば、容易に変動させることが可能である。
なお、図5〜図9では、線状凸部32の先端部32aによって画成される稜線を示している。
次に、線状凸部32の断面形状、とりわけ第2方向dの、配列方向および凹凸構造層30の法線方向の両方に平行な断面、言い換えると、線状凸部32の長手方向に垂直な断面(以下においては、単に、凹凸構造層に関する「主切断面」とも呼ぶ)での断面形状について説明する。
ここで説明する凹凸構造層30は、いわゆるモスアイ構造体と同様に、当該凹凸構造層30への法線方向に直交する仮想面における線状凸部32と線状凸部32に隣接する媒質との面積比が法線方向に沿って漸次変化することにより、凹凸面31での反射防止機能を発現しているものと推測される。このため、図4および図10に示すように、線状凸部32は、凹凸構造層30への法線方向に直交する断面での断面積が、基端部32bから先端部32aに向けて漸次減少していくように、形成されている。言い換えると、凹凸構造層30の主切断面において、線状凸部32の幅wは、基端部32bから先端部32aに向けて漸次狭くなっていく。
なお、本明細書で用いる「漸次減少」や「漸次狭く」といった表現は、常に連続的に減少し続けることや、常に連続的に狭くなり続けることだけを意味するものではなく、一部の領域や区間に亘って変化が生じなくてもよい。すなわち、「漸次減少」といった表現は、増加することがないことを意味し、「漸次狭く」といった表現は、太くなることがないことを意味している。
図4および図10に加えて、図11〜図20には、主切断面における線状凸部32の断面形状が例示されている。図4および図10に示された線状凸部32は、主切断面において、概ね釣鐘状の形状となっている。一方、図11に示された線状凸部32は、主切断面において、矩形形状となっている。図12に示された線状凸部32は、主切断面において、矩形形状の角部に丸味を付与した形状となっている。図13および図14に示された線状凸部32は、主切断面において、三角形形状となっている。図15に示された線状凸部32は、主切断面において、三角形形状の角部に丸味を付与した形状となっている。図16に示された線状凸部32は、主切断面において、幅が断続的に減少する形状となっている。また図示は省略するが、線状凸部32は、主切断面において、半円状の形状や半楕円状の形状となっていてもよい。図示は省略するが、図16に示された線状凸部32の1段目の幅方向中心と、1段目よりも幅狭の2段目の幅方向中心が、配列方向である第1方向dにずれていてもよい。
図4および図10〜図15に示された例において、線状凸部32は、主切断面において、凹凸構造層30への法線方向を中心として対称的な形状となっている。しかしながら、この例に限られず、線状凸部32は、非対称な断面形状を有するようにしてもよい。図17に示された線状凸部32は、主切断面において、三角形形状となっている。ただし、図17に示された線状凸部32において、基端部32bから先端部32aまで延びる一方の面が、凹凸構造層30の法線方向に対してなす傾斜角度は、基端部32bから先端部32aまで延びる他方の面が、凹凸構造層30の法線方向に対してなす傾斜角度と異なっている。図17に示された例において、基端部32bから先端部32aまで延びる一方の面は、凹凸構造層30の法線方向に対して傾斜して延び、基端部32bから先端部32aまで延びる他方の面は、法線方向と平行に延びている。図18に示された線状凸部32は、主切断面において、図17に示された線状凸部32の先端を面取りした形状となっている。さらに、図19に示された線状凸部32は、主切断面において、図17に示された線状凸部32の他方の面を曲線状に変更した形状となっている。
さらに、図4および図10〜図19に示された例において、凹凸構造層30に含まれた多数の線状凸部32が、主切断面において、互いに同一の断面形状を有する例を示したが、この例に限られない。図20に示すように、異なる断面形状を有する線状凸部32が、凹凸構造層30に含まれるようにしてもよい。例えば、図20に示す例のように、線状凸部32のn個に1個など、周期的に高さが相対的に高い線状凸部を含んでいてもよい。さらに、線状凸部32の主切断面における断面形状は、その長手方向に沿って変化するようにしてもよい。例えば、線状凸部32の高さが、線状凸部32の長手方向である第2方向dに沿って変化するようにしてもよい。線状凸部32の高さが一定でない場合、耐汚染性および耐擦傷性を改善することもできる。
また、線状凸部32の比表面積が大きい場合、凹凸構造層30の凹凸面31の親水性がより顕著となる。例えば線状凸部32が同じ高さの場合には、比表面積を大きくする観点から、垂直断面形状は三角形よりも四角形の方が好ましい。例えば、基端部32bから先端部32aに向けて線幅が細くなっていく階段状断面を有する場合には、比表面積の点から親水性が向上すると共に、反射防止性等の光学機能も向上する点において好ましい。
上述したように、凹凸構造層30は、線状凸部32によって形成された凹凸面31を有している。この凹凸構造層30は、言い換えると、シート状の本体部38と、本体部38のベース面38aに設けられた線状凸部32と、を有する、と表現され得る。図4および図10に示された例において、本体部38は、互いに平行な一対の主面を有し、一方の主面がベース面38aを形成している。ベース面38aは、凹凸構造層30のシート面に平行であり、したがって凹凸構造層30の法線方向に直交している。しかしながら、この例に限られず、ベース面38aは、凹凸構造層30のシート面に対して傾斜していてもよいし、曲線状であってもよい。
ところで、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔(配列ピッチ)pおよび線状凸部32の高さhは以下の方法により測定される。まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)または走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)を用いて線状凸部32の長手方向dに対する垂直断面形状、すなわち主切断面における線状凸部32の断面形状を検出する。
続いて線状凸部32の長手方向dに対する垂直断面形状において、各線状凸部32の付け根位置に相当する基端部32bを検出する。各線状凸部32の基端部32bのうち同じ側の一側基端部32bを選択する。線状凸部32の基端部32bのうち一側基端部32bと、隣接する線状凸部32の一側基端部32bの距離を、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pとする。線状凸部32の長手方向dに対する垂直断面形状の拡大写真から、例えば10〜100個程度の配列間隔pの値を求め、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの度数分布を検出する。隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pがほぼ一定である場合には、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの計測数は少なくても良いが、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pが周期的に変化する場合には、少なくとも5周期分計測することが好ましく、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pが非周期的に変化する場合には、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pをより多く計測することが好ましい。このようにして特定した隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの度数分布から平均値Paveおよび標準偏差σを求める。また、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの最大値を、Pmax=Pave+2σとして特定することができる。
また、同様の手法を適用して線状凸部32の高さhを求める。線状凸部32の長手方向dに対する垂直断面形状の拡大写真から、各線状凸部32における極大点(先端部32a)を検出する。各線状凸部32の付け根位置(基端部32bの位置)を基準(高さ0)として、当該基準位置から各極大点位置の相対的な高さの差hを取得してヒストグラム化する。なお、線状凸部32の垂直断面形状において頂点を複数有する場合には、麓部が同一の線状凸部32に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を極大点として、当該線状凸部32の高さhを取得して、度数分布を求める。
なお、図4に示すように、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pにおいて、各線状凸部32の最大の幅wmax、すなわち各線状凸部の基端部32b間の距離は、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pと同じであっても良いし、異なっていても良い。また、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pにおいて各線状凸部32の最大の幅wmaxの占める割合は特に限定されないが、耐久性の点から、wmax/pは0.3〜1であることが好ましい。
凹凸構造層30の線状凸部32の間隔pは、150nm以上500nm以下であることが好ましく、線状凸部32の高さhは、25nm以上500nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、線状凸部32の間隔pは、200nm以上400nm以下であり、線状凸部32の高さhは、50nm以上400nm以下である。
凹凸構造層30において、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの平均値Paveは500nm以下であるが、製造上の点から、当該Paveは10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。中でも、隣り合う2つの線状凸部の配列間隔pの平均値Paveは、後述する各種性能の発現が向上する点から、好ましくは100nm以上であり、250nm以下である。Paveが500nmを超えると可視光の散乱により白っぽくなるという不具合が発現してくる。また、凹凸面31に起因した親水性が低下するという不具合が生じてくる。
また、線状凸部32の高さhの平均である、線状凸部平均高さHaveは、好ましくは500nm以下であり、製造上の点から10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。中でも、後述する各種性能の発現が向上する点から、より好ましくは70nm以上であり、250nm以下である。
線状凸部32のアスペクト比(線状凸部平均高さHave/隣り合う2つの線状凸部の平均配列間隔Pave)が0.4〜5.0であることが好ましく、更に、0.5〜2.5であることが好ましく、更に、0.5〜2.1であることがより好ましい。アスペクト比が小さすぎると各種性能が発現せず、大きすぎると機械強度や生産性が低下する。
凹凸構造層30の厚みは、適宜調整すればよい。例えば透明基材25の一面側に凹凸構造層30を設けた態様の場合には、凹凸構造層30の厚みは、透明基材25の表面に線状凸部32を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下し、またカールの懸念も高くなるため、厚みは3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。この場合の凹凸構造層30の厚みtは、図4に示すように、凹凸構造層30の基材との界面から、最も高い線状凸部の頂部までの厚みをいう。
以上の構成からなる凹凸構造層30は、樹脂組成物の硬化物からなる。なお、本明細書で用いる硬化物とは、化学反応を経てまたは経ないで固化したもののことをいう。樹脂組成物は、特に限定されず、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。樹脂組成物には、1種類の樹脂のみが含まれるものも包含される。前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料および各種硬化形態の賦型用樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも線状微細凹凸形状の成形性および機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられる。なお、電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性および/またはカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
中でも、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である場合には、線状微細凹凸形状が拭取る程度の圧力で変形し、且つ、優れた弾性復元性を備え、防汚性、耐久性の点から好ましい。E’を300MPa以下とすることにより、拭取り時の圧力によって線状微細凹凸形状が変形し、凹凸間の隙間に入り込んだ汚れを、乾拭きで除去することが可能となる。中でも貯蔵弾性率(E’)が、1MPa以上250MPa以下であることが好ましく、1MPa以上100MPa以下であることがより好ましい。
また、損失正接を0.2以下とすることにより、拭取り時に変形した線状凸部32が、弾性復元され、元の形状に戻りやすい。これにより、線状凸部32の塑性変形や、隣り合う2つの線状凸部32の先端部32a近傍での付着が抑制され、線状凸部32によって形成された凹凸面31が有する機能を低下することなく、乾拭きで汚れを拭取ることが可能になる。中でも、tanδが0.18以下であることが好ましい。
なお、貯蔵弾性率(E’)および損失弾性率(E”)は、JIS K 7244に準拠して、以下の方法により測定される。まず、凹凸構造層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材および微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM社製Rheogel−E400を用いることができる。
前記樹脂組成物の硬化物は、防汚性の点からは、平坦な硬化膜表面におけるn−ヘキサデカンの接触角が30°以下、またはオレイン酸の接触角が25°以下であることが好ましい。樹脂組成物の平坦な硬化膜表面が上記のような親油性を有することにより、凹凸構造層30の凹凸面31に付着した油性の汚れが完全に拭取れなかった場合であっても、凹凸構造層30の凹凸面31に薄く広がるため、当該汚れが目立たなくなり、拭取り後の視認性が良好になる。
また、防曇機能を適切に発揮する観点から、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、5°以上50°以下であることが好ましく、より好ましくは5°以上30°以下、更に好ましくは5°以上10°以下である。防曇フィルム20は、一般の、親水性材料を用いた防曇フィルム等に比べると、材料自体の接触角が劣化等により増加した場合でも、凹凸構造層30での接触角増加は低く抑えられるという特徴がある。
なお、樹脂組成物の硬化物の接触角は、以下のように測定され得る。まず、透明基材上に凹凸構造層用の樹脂組成物を塗布して硬化させて、線状凸部32を有しない平坦な硬化膜を形成する。当該硬化膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、前記硬化膜に接触角を測定しようとする溶剤(水)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置は、例えば、協和界面科学社製接触角計DM500を用いて、測定することができる。また、凹凸構造層30の凹凸面31における接触角は、同様に測定することができ、溶剤(水)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。この際、凹凸面31における接触角は異方性を有することから、例えば、液滴を滴下した地点における線状凸部32の長手方向dと、線状凸部32の長手方向dに直交する方向の静的接触角を計測する。
凹凸構造層用の樹脂組成物としては、その用途に合わせて、適宜、上記物性が得られるように、選択される。中でも、線状凸部32の成形性および機械的強度に優れる点から好適に用いられる、電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物を例にとって、具体的に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部32が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、およびドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、後述する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の特性を兼ね備える。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、線状凸部32が柔軟性および復元性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、および、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜99.2質量%であることが好ましく、15〜99.1質量%であることがより好ましい。
(2)炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物
また、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部32が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。更に、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、後述する凹凸構造層30の機能を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を用いる場合、当該化合物の含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
凹凸構造層30の作製に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化物の貯蔵弾性率、損失正接を上記所定の範囲に調整しやすく、且つ親油性に調整しやすく、優れた乾拭き取り性を得ることができる点から、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが特に好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。また、親水性を高くするために、凹凸構造層30の作製に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートが含まれる組成物である。中でも、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、70〜99質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましい。また、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、使用される全(メタ)アクリレート化合物中に対して80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。
(3)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始または促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
(4)帯電防止剤
凹凸構造層用の樹脂組成物中に帯電防止剤を含有させてもよい。帯電防止剤を含有することにより、凹凸構造層30の凹凸面31に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。
(5)溶剤
凹凸構造層用の樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。なお、本明細書における固形分とは、樹脂組成物中の溶剤以外のすべての成分を表す。
(6)その他の成分
凹凸構造層用の樹脂組成物は、後述する凹凸構造層30の機能を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
<透明基材>
次に、凹凸構造層30と積層された透明基材25について説明する。なお、既に説明したように、透明基材25は、省略可能である。透明基材25は、防曇フィルム20の用途に合わせて適宜選択して用いられれば良い。透明基材25に用いられる材料の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
透明基材25は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、可視光の透過率は、JIS K 7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
透明基材25の形状は、通常フィルム状、シート状、板状、ロッド状、所定形状に成形された成形体などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されない。また、大面積の防曇フィルム20とする場合には、製造上、長尺状乃至ロール状の基材を用いることが好ましい。
透明基材25の厚みは、防曇フィルム20の用途や形状に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20μm以上5000μm以下である。透明基材25は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
透明基材25の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。また、透明基材25と後述する凹凸構造層30との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材25および凹凸構造層30との双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また基材と凹凸構造層30の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と凹凸構造層30の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
<その他の構成>
防曇フィルム20は、後述する凹凸構造層30の機能を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。例えば、親水性を付与する目的から、凹凸構造層30の凹凸面31を損なわない範囲で、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む表面処理層を備えていても良い。表面処理層を形成する方法としては、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を溶剤に溶解させた溶液を各種塗布法により塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。また、フッ素系化合物またはケイ素系化合物を紫外線硬化樹脂と混合して塗布した後、UV照射して硬化する方法などが挙げられる。あるいは、LB法、PVD法、CVD法、自己組織化法、スパッタ法などにより、表面処理層を形成しても良い。
また、防曇フィルム20は、凹凸構造層30の凹凸面31に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工または施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における線状微細凹凸構造体の表面の損傷、汚染を防止することができる。また、後述するように、大面積の凹凸構造層30を連続的に作製することができることから、長尺の防曇フィルム20を連続的に作製して、図25に示すように、その長手方向に非平行な軸線を中心として巻取コア21aに巻き取り、巻体21として、保管、搬送、売買等の取り扱いを行うようにしてもよい。
また、防曇フィルム20は、凹凸面31とは反対側となる面に接着剤層を形成されていてもよい。また、接着剤層に加えて、当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層してなる接着加工品として、防曇フィルム20を構成してもよい。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。基材、接着剤層、および前記任意の層はそれぞれ1層に限定されることなく、使用用途、条件により、適宜2層以上を選定可能である。
<<反射部材の作用効果>>
次に、以上のような反射部材10の作用効果について説明する。反射部材10は、反射体15と、反射体15に貼り付けられた防曇フィルム20と、を有している。防曇フィルム20は、複数の線状凸部32によって形成された凹凸面31を有する凹凸構造層30を有している。この防曇フィルム20は、凹凸面31が反射体15とは反対側を向くように配置されている。凹凸面31は、反射部材10の入射面10aを形成している。
(防曇性)
防曇フィルム20の凹凸構造層30は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部32によって形成された凹凸面31を有している。好ましくは、複数の線状凸部32の平均配列間隔Paveは、400nm以下であり、さらに好ましくは、200nm以下である。このような凹凸面31は、高い親水性を示す。具体的には、平坦な硬化膜表面における水の接触角が30°以下、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下である材料を凹凸面31に用いると、高い親水性が得られるようになり、例えば、凹凸面31において、線状凸部32の長手方向dおよびその垂直方向である第1方向dにおける水の接触角を20°以下、より好ましくは10°以下、更に好ましくは5°以下とすることができる。更に、防曇フィルム20は、特定の凹凸面31を有することにより、異方性を有する親水性が得られる。具体的には、線状凸部32の長手方向dは、線状凸部32が延在する方向と垂直な方向、典型的には線状凸部32の配列方向である第1方向dに比べて濡れ広がりやすくなる。
親水性の凹凸面31上に結露等によって水滴が付着した場合、水滴は凹凸面31上を薄く延び広がる。この結果、凹凸面31上での水滴粒子による光の散乱が抑制され、防曇機能が発現される。また、薄く延び広がった水分は、凹凸面31上から迅速に蒸発する。さらに、表面に薄い水の膜ができることから、汚れが付着しにくく、自己クリーニング性も発現する。この防曇性能は界面活性剤等の添加による親水性付与によるものではなく、親水性樹脂材料と表面凹凸構造の相乗効果で発現するものであるため、経年で防曇性能が劣化しにくいという特徴もある。また、凹凸面31をなす線状凸部32は、親水性に異方性を生じさせ、線状凸部32の長手方向dに沿った水滴等の流路を形成することができる。
このような凹凸構造層30を有する防曇フィルム20によれば、梅雨等の湿度が高い時期の反射部材10を屋外で使用するような過酷な条件下においても、反射部材10の入射面10aが水滴で曇ってしまうことを効果的に防止することができる。また具体例として図1に示された洗面台5の鏡をなす反射部材10では、洗面台5で湯を使用していたとしても、反射部材10が水滴で曇ってしまうことを防止することができ、反射部材10によって被写体を鮮明に映し出すことが可能となる。
(反射防止性)
防曇フィルム20の凹凸構造層30における、多数の線状凸部32を有する凹凸面31は、優れた反射防止性能を有する。可視光帯域の全域の光に対して優れた反射防止性能が要求される場合には、線状凸部32の平均配列間隔Paveを、可視光帯域の最短波長以下、典型的には380nm以下とすることが好ましい。具体的には、防曇フィルム20の凹凸面31上での5°正反射による反射率を0.5%以下とすることができる。また、防曇フィルム20の凹凸面31上での50°正反射による反射率を1%以下とすることができる。正反射による反射率は、(株)島津製作所製のUV−3100を用いてJIS R 3106に準拠して測定された値とすることができる。なお、本件発明者らが確認したところ、凹凸面31は、線状凸部32によって形成され異方性を有した構成となっているが、反射防止性については顕著な異方性は生じなかった。
このような凹凸構造層30を有する防曇フィルム20によれば、反射体15の入射面15a上に防曇フィルム20を設けても、反射部材10の反射体15への入射光量が、洗面台5の使用者によって知覚され得る程度にまで減少することはない。これにより、所定の入射方向からの光を所定の方向に反射することを期待された反射部材10において、反射体15への入射光量を大きく減少させることなく防曇を図ることが可能となる。
なお、低屈折率層として形成された従来の反射防止膜での反射率は、スペクトル分布を持つ。具体的には、低屈折率層からなる従来の反射防止膜は、低屈折率層の厚みおよび観察方向に応じた特定波長域の光に対して、他の波長域の光に対してよりも、優れた反射防止機能を及ぼす。結果として、観察方向に応じて低屈折率層に色味がついてしまい、当該低屈折率層を介した透視において不都合が生じることがある。一方、低屈折率層からなる従来の反射防止層とは異なり、凹凸構造層30の凹凸面31により反射防止機能を発現する防曇フィルム20においては、反射部材10を観察した際に、観察方向に応じて変化する色味が生じることを効果的に防止することができる。
(線状凸部の配列に関する作用効果)
図3〜図10に示された例において、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、水平方向dと非平行になっている。図6に示された例では、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、所定の角度θで水平方向dに対して傾斜している。とりわけ、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、45°より大きい角度で水平方向dに対して傾斜している。図3〜図5および図7〜図10に示された例では、線状凸部32の長手方向である第2方向dは、鉛直方向と平行になっている。このため、防曇フィルム20に付着した水等の液体の、重力による流下を促進し、この液体を速やかに除去することができる。
図3〜図6に示された例において、線状凸部32は、その配列方向である第1方向dと非平行な第2方向dに直線状に延びている。一方、図7および図8に示された防曇フィルム20では、線状凸部32は、折れ線状または波線状のパターンで、その配列方向である第1方向dと非平行な第2方向dに延びている。図7および図8に示された防曇フィルム20によれば、凹凸面31上の各位置において、表面張力が最も大きく働く方向が変化する。このため、凹凸面31上における液滴の挙動が不安定となり、当該液滴が凹凸面31上を流れやすくすることができる。
また、図9および図10に示された例においては、複数の線状凸部32は、配列方向である第1方向dに連続して一定の間隔pで配列された2以上の線状凸部32毎に、線状凸部群Gを形成している。そして、1つの線状凸部群Gに含まれる2以上の線状凸部32の配列間隔pは、当該1つの線状凸部群Gおよび当該1つの線状凸部群Gに隣り合う他の線状凸部群Gにそれぞれ属し且つ第1方向dに隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔pよりも、狭くなっている。図9および図10に示された防曇フィルム20によれば、隣り合う2つ線状凸部群Gの間となる領域において、凹凸面31上に位置する液滴または液膜の表面張力が一定ではなくなる。このため、凹凸面31上における液滴の挙動が不安定となり、当該液滴が凹凸面31上で流れやすくすることができる。すなわち、液滴が凹凸面31で停滞することを効果的に防止することができる。さらに、第1方向dに沿った線状凸部32の配列間隔が一定ではないことから、波長依存性による反射光の色味を目立たなくさせることができる。
(清掃容易性)
防曇フィルム20の凹凸構造層30における、多数の線状凸部32を有する凹凸面31が高い親水性を有していることから、水性クリーナーを用いて、凹凸面31の汚れを容易に洗浄することができる。すなわち、クリーナーが水分とともに凹凸面31上を延び広がり、線状凸部32間にも入り込むことができる。これにより、線状凸部32間に入り込んだ異物の除去をクリーナーによって促進することが可能となり、凹凸構造層30が防曇機能および反射防止機能を十分に発揮し続けることができる。
また、いわゆるモスアイ構造といわれる微小突起が密接して二次元配列されてなる凹凸構造層では、凹凸構造層の凹凸面に付着した汚れを拭取る時の圧力で、突起が容易に潰れたり、突起の先端同士が付着する等の塑性変形が生じ、拭いた箇所に拭き痕が残ってしまう場合があった。一方、凹凸構造層30を有する防曇フィルム20によれば、線状凸部32の長手方向に沿って付着物を拭き取ることにより、当該付着物を容易且つ安定して除去することが可能となる。すなわち、付着物の拭き取りが凹凸面31の線状凸部32の長手方向に沿って実施されると、凹凸面31が損傷してしまうことを効果的に防止することができる。
(その他の作用効果)
防曇フィルム20には、粉体付着抑制効果も期待することができる。とりわけ、無機系粉体、各種ポリマー等の有機系粉体の付着を抑制することができる。中でも、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含む粉体の付着を好適に抑制することができる。金属酸化物を含む粉体の具体例としては、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイシャドウ等の化粧品などが挙げられる。
また、凹凸構造層30の凹凸面31が、樹脂組成物の硬化物からなる場合、凹凸面31は、安定性の面で優れ、長期間安定して上述した物性に関連した機能を発揮し続けることができる。例えば親水性に関して化学的な手法によりロータス効果(はす効果)を発現するような構造と比較して、凹凸構造層30の寿命は長く、しかも、安価で簡易に形成することができる。
<<反射部材の具体的な適用例>>
上述したように、反射部材10は、優れた防曇機能を有しており、入射面10aに水滴が付着し入射面10aが曇ってしまうことを効果的に防止することができる。このような、反射部材10は、図1に示された洗面台5の鏡としての用途に限られることなく、種々の用途に対して好適に適用され得る。例えば、浴室用の鏡のように多湿、とりわけ高温多湿の条件下で用いられる反射部材として、上述した反射部材10を好適に適用することができる。また、自動車等の車両の外部に取り付けられた鏡、例えばサイドミラーや、道路に設置される道路反射鏡のように、屋外で用いられる反射部材として、上述した反射部材10を好適に適用することができる。
さらに、接触することが難しい箇所に取り付けられる反射防止部材、付着した水滴を拭き取ることができない箇所に取り付けられる反射防止部材、頻繁にメンテナンスを行うことが難しい条件下で使用される反射防止部材として、上述した反射部材10を好適に適用することができる。一具体例として、図21には、反射部材10を導光具40に適用した例が示されている。導光具40は、細長い光路を画成する光学部材である。反射部材10は、光路を曲げるための光学素子として用いられている。図21に示された例において、導光具40は、潜望鏡を構成している。このような用途においては、細長い光路中に配置された各反射部材10の入射面10aを、頻繁にメンテナンスすることは難しい。しかしながら、反射部材10が優れた防曇機能および反射防止機能を安定して発揮することができるので、導光具40および潜望鏡45は、有効に機能することができる。
[防曇フィルム20の製造方法]
次に、上述してきた防曇フィルム20の製造方法について説明する。防曇フィルム20の製造方法は、賦型用のロール型50を製造する工程と、前記ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面31を形成する工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
<賦型用ロール金型を製造する工程>
主として図22〜図24を参照し、まず複数の線状凸部32を含む防曇フィルム20を製造するために用いられるロール型50について説明し、その後に、ロール型50の製造方法について説明する。なお、図22は、ロール型50の中心軸線に沿った断面を示す断面図である。図23は、ロール型50の製造方法を示す図である。図24は、ロール型50の製造に用いられるバイトを示す図である。
図22および図23に示すように、ロール型50は、円筒状の型面51を有している。この型面51は、凹凸構造層30の凹凸面31を賦型するための型面である。したがって、型面51は、凹凸面31と相補的な構成を有している。型面51には、型面51の中心軸線CAを中心として螺旋状に延びる少なくとも1条の線状凹部52が、設けられている。中心軸線CAに沿ったロール型50の断面における線状凹部52の断面形状は、凹凸構造層30の主切断面における線状凸部32の断面形状と相補的な形状となっている。
まず、型面51上における中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う2つの線状凹部52の配列間隔pの平均である平均配列間隔Pmaveは、500nm以下となっている。隣り合う2つの線状凹部52の平均配列間隔Pmaveは、作製されるべき凹凸構造層30の隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔Paveに応じて調節することができる。中心軸線CAに沿って隣り合う2つの線状凹部52の中心軸線CAに沿った間隔pは、例えば、図22に示すように当該2つの線状凹部52の最深部52a間の中心軸線CAに沿った距離として、あるいは、当該2つの線状凹部52の同一側の基端部52b間の距離として、特定され得る。図22および図23に示された例において、中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う2つの線状凹部52の配列間隔pは、一定となっている。そして、隣り合う線状凹部52は、互いに平行に延びている。
図22に示すように、線状凹部52は、基準面58aに形成されている。すなわち、線状凹部52の基端部52bは、基準面58a上に位置している。図22に示された例において、基準面58aは、円筒状の面となっている。基準面58aを基準とした、線状凹部52の深さhは、作製されるべき線状凸部32のベース面38aからの高さhに応じて設定される。また、線状凹部52の幅wは、作製されるべき線状凸部32の幅wに応じて設定される。
次に、ロール型50の製造方法について説明する。ロール型50は、バイト60を用いて、円柱状母材59の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の線状凹部52を形成することにより作製され得る。
図23は、ロール型50の製造工程を説明するための図である。この製造工程において、まず、円柱状母材59を準備する。円柱状母材59としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
金属製の円柱状母材59の材質としては、ニッケル、クロム、ステンレス、鉄、アルミ、銅もしくはそれらの合金を用いることができるが、再使用しやすいように前記金属製の円柱状母材の表面に前記材料による金属めっきを施した円柱状母材を用いても良い。円柱状母材59としては、中空すなわち円筒状であっても良い。また、初めに、切削工程により円柱状母材59の外周面を平滑化する工程を有していても良い。この場合、円柱状母材59をその中心軸線CAを回転中心として回転させながら、平滑化用のバイトの刃先を外周面に押圧して、回転軸方向CAに移動させることにより、円柱状母材59の外周面を平滑化する。必要に応じてバフ研磨や電解研磨等の研磨工程を追加してもよい。また、転写する際に凹凸構造層30をなす樹脂が円柱状母材59から剥離しやすいように円柱状母材59の表面に剥離シリコーン、フッ素系樹脂もしくはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティング、蒸着、もしくはそれらを組み合わせた離型処理を行っても良い。
続いて、線状凹凸形状作製用のバイト60を用いて、円柱状母材59の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の線状凹部52を順次形成する。ここで、線状凹凸形状作製用のバイト60の刃先の形状は、適宜、製造する線状凸部32に対応した形状とする。図24に、バイト60の刃先61を一部拡大した正面図を示す。正面図における刃先61は、作製されるべき型面51と相補的な形状を有しており、さらに、型面51を用いて賦型される凹凸面31と対応した形状、理想的には概ね同一な形状を有している。
より具体的には、刃先61は、配列方向dに配列された複数の凸部62を有している。刃先61における配列方向dに沿って隣り合う2つの凸部62の配列間隔pの平均である平均配列間隔Pbaveは、500nm以下となっている。隣り合う2つの凸部62の平均配列間隔Pbaveは、作製されるべき型面51の隣り合う2つの線状凹部52の配列間隔Pmaveに応じて調節することができる。配列方向dに沿って隣り合う2つの凸部62の配列方向dに沿った間隔pは、例えば、図24に示すように当該2つの凸部62の先端部62a間の配列方向dに沿った距離として、あるいは、当該2つの凸部62の同一側の基端部62b間の距離として、特定され得る。図24に示された例において、配列方向dに沿って隣り合う2つの凸部62の配列間隔pは、一定となっている。
また、図24に示すように、凸部62は、刃先基準面68aから突出している。すなわち、凸部62の基端部62bは、刃先基準面68a上に位置している。刃先基準面68aを基準とした、凸部62の突出高さhは、作製されるべき線状凹部52の基準面58aからの深さhに応じて設定される。また、凸部62の幅wは、作製されるべき線状凹部52の幅wに応じて設定される。また、図20に示された凹凸構造層30のように線状凸部32の形状や高さが、互いに平行な線状凸部間で周期的に変化する場合には、バイト31の刃先幅が、少なくとも繰返し周期の幅を含むことが好ましい。
円柱状母材59をその中心軸線CAを回転中心として回転させながら、線状凹凸形状作製用のバイト60の刃先を外周面に押圧して切削するが、このとき、図23に白抜矢印で示すように回転軸線CAと平行な方向にバイト60を連続的に移動させる。バイト60は、母材59が1回転する間にバイト60の刃先61の幅分だけ、回転軸線CAと平行な方向へ移動する。この結果、刃先61に含まれる凸部62の数と同じ条数の線状凹部52が、母材59に形成される。なお、バイト60の刃先61の幅は、例えば、20μm以上100μm以下程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
また、例えば、線状凸部の延在方向において周期的に高さが異なる場合など、1回の切削工程により、製造する凹凸面31に相補的な形状を作成できない場合には、更に別のバイトを用いた複数回の切削工程を有していても良い。以上のようにして、ロール型50を製造することができる。
なお、バイト60の作製は、従来公知の方法を適宜選択して、製造する凹凸面31の形状に対応した形状となるように行えばよい。このようなロール型50を用いることにより、任意の線状凸部32が形成し易くなり、更に、生産性が向上する。とりわけ、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することによってモスアイ構造体用の金型を製造することと比較すると、切削加工で型50を製造する本実施の形態による型の製造方法は、格段に容易且つ安定して実施し得る。
<凹凸構造層を形成する工程>
次に、凹凸構造層30を製造する工程について説明する。この工程においては、ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面31を形成する。
例えば、まず透明基材25上に、凹凸構造層形成用の樹脂組成物を塗布し、凹凸構造層形成用層(受容層)を形成し、当該凹凸構造層形成用層の表面と所望の線状凹部52を有する賦型用ロール型50とを接触させて配置し、圧力をかけることによって、当該凹凸構造層形成用層の金型側表面に線状凸部32からなる凹凸面31を形成した後、適宜該樹脂組成物を硬化させることにより凹凸構造層30を形成し、前記賦型用ロール型50から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
図25に、凹凸構造層形成用の樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、ロール型50を使用して、透明基材25上に凹凸構造層30を形成する方法の一例を示す。図25に示す方法では、樹脂供給工程において、帯状フィルム形態の透明基材25に、未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂組成物をダイ71により塗布し、凹凸構造層30の受容層30’を形成する。なお電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ71による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ72により、凹凸構造層形成用原版であるロール型50の型面51に透明基材25を加圧押圧し、これにより透明基材25に受容層30’を密着させると共に、ロール型50の型面51に作製された線状凹部52に、受容層30’を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材25の表面に凹凸構造層30を作製する。続いて剥離ローラ73を介してロール型50から、硬化した凹凸構造層30と一体に透明基材25を剥離する。その後、必要に応じて、透明基材25に粘着層等を作製してもよい。
このようにして、線状凸部32の配列方向である第1方向dと非平行な方向に長手方向を有する長尺の防曇フィルム20が製造されていく。図25に示すように、製造された防曇フィルム20は、長手方向に非平行な軸線を中心として巻き取られ、コア21aに巻き取られた巻体21の形体を有するようになる。あるいは、所望の大きさに切断して防曇フィルム20を作製してもよい。以上のようにして、防曇フィルム20は、ロール材による長尺の透明基材25に、凹凸構造層形成用原版であるロール型50の型面51に作製された凹凸構造層30を順次賦型して、効率良く大量生産される。
図26〜図30は、型面51を平坦面に展開して示す平面図である。図26に示された例では、母材59の中心軸線CAに沿った方向に配列された多数の線状凹部52を有している。ここで、図26〜図30において、線状凹部52は、その最深部52aの位置で示されている。図26に示された例では、各線状凹部52は、その配列方向と非平行な方向に延びている。とりわけ、図26に示された例では、各線状凹部52は、母材59の中心軸線CAに沿った方向と直交する方向に延びている。なお、図23に示された、円柱状母材59をその中心軸線CAを回転中心として回転させながら、線状凹凸形状作製用のバイト60の刃先を外周面に押圧し、回転軸線CAと平行な方向にバイト60を連続的に移動させて母材59を切削する方法によって各線状凹部52を作製した場合、バイト60は、母材59が1回転する間にバイト60の刃先61の幅分だけ、回転軸線CAと平行な方向へ移動する。したがって、厳密には、各線状凹部52も、母材59の中心軸線CAに沿った方向と直交する方向に対して、母材59の1周につきバイト60の刃先61の幅分だけ中心軸線CAと平行な方向へずれた方向へ延びている。図26に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図3〜図5の凹凸構造層30を製造することができる。
<ロール型およびロール型を用いた防曇フィルム20の製造方法の変形例>
図27に、ロール型50の変形例を示す。図27に示された例では、各線状凹部52は、母材59の中心軸線CAに沿った方向に対して。所定の角度θで傾斜した方向に延びている。この所定の角度θは、ロール型50を用いて賦型される図6の凹凸構造層30の線状凸部32が水平方向dに対してなす角度θと対応した角度、理想的には同一の角度となっている。図27に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図6の凹凸構造層30を製造することができる。図27に示されたロール型50は、例えば次のように作成され得る。図23を参照しながら説明した方法において、母材59の1回転あたりの、バイト60の、母材59の回転軸線CAと平行な方向(図23の白抜矢印方向)への送り量を、バイト60の刃先61の幅のm倍(mは、2以上の自然数)とする。1回目の切削を行って第1の線状凹部52を形成した後、2回目の切削を行って、第1の線状凹部52に隣接する第2の線状凹部52を形成する。これをm回目まで繰り返すことにより、図27に示されたロール型50が作成され得る。
図26および図27に示された例において、ロール型50の線状凹部52は、線状凹部52上において直線状に延びている例を示したが、これに限られない。例えば図28に示すように、線状凹部52は、折れ線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図28に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図7の凹凸構造層30を製造することができる。また、図29に示すように、線状凹部52は、波線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図29に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図8の凹凸構造層30を製造することができる。図28および図29に示されたロール型50は、母材59の中心軸線CAに沿ったバイト60の送りを制御することによって実現され得る。
図27〜図29に示されたロール型50は、いずれも、母材59の中心軸線CAに沿ったバイト60の動作を制御することによって実現され得るので、型の製造難易度が大幅に上昇することはない。とりわけ、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することによってモスアイ構造体用の金型を製造することと比較すれば、図27〜図29に示されたロール型50は格段に容易に製造され得る。
また、図22、図23、図26および図27に示された例において、ロール型50の線状凹部52は、中心軸線CAと平行な方向に一定の配列間隔pで配置される例を示したが、これに限られない。例えば、図30に示すように、線状凹部52が、n条(nは、2以上の自然数)だけ型面51に形成され、型面51上における中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う2つの線状凹部52の配列間隔pmyは、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔pmxよりも大きくなるようにしてもよい。
図30に示された例において、ロール型50に含まれる多数の線状凹部52は、その配列方向である中心軸線CAと平行な方向に沿った位置に応じて、複数の線状凹部群Gに区分けされている。各線状凹部群Gは、複数の線状凹部52を含んでいる。線状凹部群Gは、互いに同一の数の線状凹部52、具体的には6つの線状凹部52を含んでいる。とりわけ図示された例では、各線状凹部群Gに含まれる複数の線状凹部52については、隣り合う2つの線状凹部52の間隔pmxが一定となっている。この間隔pmxは、他の任意の1つの線状凹部群Gに含まれる複数の線状凹部52についての間隔pmxと同一となっている。一方、異なる線状凹部群Gに属して隣り合う2つの線状凹部52の間隔pmyは、任意の1つの線状凹部群Gに属して隣り合う2つの線状凹部52の間隔pmxとは異なっている。そして、間隔pmyは、間隔pmxよりも広くなっている。
すなわち、図30に示された例では、複数の線状凹部52は、中心軸線CAと平行な方向に連続する2以上の線状凹部52毎に線状凹部群Gを形成し、1つの線状凹部群Gに含まれる2以上の線状凹部52の配列間隔pmxは、当該1つの線状凹部群Gおよび当該1つの線状凹部群Gに隣り合う他の線状凹部群Gにそれぞれ属し且つ中心軸線CAに平行な方向に隣り合う2つの線状凹部52の配列間隔pmyよりも、狭くなっている。図30に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図9および図10の凹凸構造層30を製造することができる。
また、このような型50は、図23を参照しながら説明した方法において、バイト60の送り速度(母材59の1回転あたりのバイト60の送り量)を調節することによって得られる。すなわち、母材59が中心軸線CAを中心として1回転する間に、中心軸線CAと平行な方向に刃先61の幅よりも大きな距離だけバイト60を送ることにより、得られる。より具体的には、配列間隔pmxと配列間隔pmyとの差は、母材59が中心軸線CAを中心として1回転する間に中心軸線CAと平行な方向にバイト60が進む距離と、バイト60の刃先61の幅との差に一致する。したがって、図30に示されたロール型50は、図22および図23のロール型50と同様に、極めて容易かつ安定して作製することができる。むしろ、中心軸線CAと平行な方向へのバイト60の送り量を高精度に制御する必要がない観点からすれば、図22および図23のロール型50よりも容易且つ高速で製造することが可能となる。
加えて、バイト60の送り量の誤差等を原因として、隣り合う2つの線状凹部52が重なり合ってしまうことをより確実に防止することができる。仮に2つの線状凹部52が重なり合ってしまった場合には、この型を用いて作製された凹凸構造層は、局所的に大きな幅の線状凸部を含むことになり、この部分において期待された機能を発揮することができなくなる。したがって、図30のロール型50によれば、極めて安定して且つ容易に凹凸構造層30を作製することができ、且つ、得られた凹凸構造層30が所定の機能を安定して発揮することができる。
また、中心軸線CAと平行な方向へのバイト60の送り速度を変化させることにより、異なる線状凹部群Gに属して隣り合う2つの線状凹部52の間隔pmyを変動させることができる。このロール型50を用いて作製された防曇フィルム20では、異なる線状凸部群Gに属して隣り合う2つの線状凸部32の間隔pが変動し、上述した図9および図10に示された凹凸構造層30の作用効果がより顕著に得られ得る。
(製造例A 賦型用ロール型Aの作製)
幅1300mm、直径298mmで表面に銅めっきを施した鉄製の円柱状母材59を準備した。一方で、幅30μmの刃先61に、図31のような矩形状の凸部62(配列方向dに隣り合う2つの凸部62の配列間隔pの平均値Pbaveが150nm、凸部62の幅wの平均値Wbave75nm、凸部62の高さhの平均値Hbaveが70nm)を有する切削用バイト60を準備した。円柱状母材59を回転させながら、切削用バイト60の刃先61を母材59の外周面に押圧して切削し、母材59が1回転する間にバイト60の刃先61の幅30μmのピッチだけ回転軸方向CAに移動させることにより、螺旋状の線状凹部52を複数条形成し、ロール型Aを作製した。
(製造例B 賦型用ロール型Bの作製)
バイト60の凸部62の形状を、
・配列方向dに隣り合う2つの凸部62の配列間隔pの平均値Pbave:200nm
・凸部62の幅wの平均値Wbave:100nm
・凸部62の高さhの平均値Hbave:100nm
としたことを除き、製造例Aと同様にしてロール型Bを作製した。
(製造例C 凹凸構造層形成用樹脂組成物Aの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の凹凸構造層30形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート65質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO)1質量部
(実施例1)
図25に示された上述の製造方法により、防曇フィルム20を製造した。ロール型50として、製造例Aのロール型Aを用い、透明基材25として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(富士フィルム社製)を用いた。また、ダイ71により帯状フィルム形態の透明基材25に、硬化後の凹凸構造層30の厚さが20μmとなるように、製造例Cで得られた凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布した。透明基材25側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを硬化させた。その後、ロール型Aより剥離し、実施例1の防曇フィルムAを得た。作製された防曇フィルムAについて、主切断面における線状凸部32の構成は次のようになった。
・配列方向dに隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔pの平均値Pave:150nm
・線状凸部32の幅wの平均値Wave:75nm
・線状凸部32の高さhの平均値Have:70nm
(実施例2)
実施例1において、ロール型50として、製造例Aのロール型Aの代わりに、製造例Bで得られたロール型Bを用いた以外は、実施例1と同様にして防曇フィルムBを得た。作製された防曇フィルムBについて、主切断面における線状凸部32の構成は次のようになった。
・配列方向dに隣り合う2つの線状凸部32の配列間隔pの平均値Pave:200nm
・線状凸部32の幅wの平均値Wave:100nm
・線状凸部32の高さhの平均値Have:100nm
[評価]
<樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角の測定>
トリアセチルセルロースフィルム上に凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布して硬化させて、線状凸部32を有しない塗膜を形成した。当該塗膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を計測した。上記樹脂組成物Aの平坦な硬化膜表面における水の接触角は50度であった。
<防曇フィルムAおよびBの硬化膜表面における接触角の測定>
実施例1、2で得られた防曇フィルムAおよびBの凹凸構造層30の凹凸面31を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を測定した。その結果、防曇フィルムAの線状凸部32の長手方向における水の接触角は16度、防曇フィルムBにおける線状凸部32の長手方向における水の接触角は18度であり、いずれも、平坦な硬化膜表面における接触角よりも更に親水性が強調されていることが確認できた。
<指紋拭き取り試験>
実施例1、2で得られた防曇フィルムAおよびBの凹凸構造層30の凹凸面31を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けた後、指を押し付けて指紋を付着させた。その後、ザヴィーナミニマックス(富士ケミカル製)にて指紋を乾拭きした。乾拭きは3kg/cm程度の力で10往復行い、拭取り後の外観を評価した。防曇フィルムAおよびB共に、線状凸部32が柔軟性および復元性に優れており、その長手方向への拭き取り性に優れ、指紋汚れが視認できなかった。また、拭き取りに際し、線状凸部32が潰れることはなく、また、線状凸部32の先端同士の付着は生じなかった。
<その他の変形例>
なお、上述した例に対して様々な追加や変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
上述した例では、防曇フィルム20が、透明基材25と凹凸構造層30との2層を含むように形成されていた。このような防曇フィルム20は、透明基材25上に、電離放射線硬化型樹脂を賦型してなる凹凸構造層30を形成することにより作製され得る。その一方で、防曇フィルム20が、3層の積層構造であってもよいし、あるいは、単層品でもよい。また、防曇フィルム20は、熱可塑性樹脂を押し出し成型することによっても作製され得る。
また、上述した例においては、反射体15の入射面15aの全面に防曇フィルムが配置されているが、これに限られず、反射体15の入射面15aの一部分上のみを防曇フィルムが覆うようにしてもよい。
さらに、防曇フィルム20の凹凸構造層30の凹凸面31が、耐擦傷性を向上させるためのハードコート層として形成されていてもよい。このハードコート層は、薄膜として形成されていてもよい。あるいは、耐擦傷性の改善を図る観点から、凹凸構造層30が、スリップ剤を含有するようにしてもよい。さらに、紫外線による劣化を防止する観点から、防曇フィルム20および接合層18の少なくとも一方が、紫外線吸収剤を含有するようにしてもよい。
なお、以上において上述した例に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
5 洗面台
10 反射部材
10a 入射面
15 反射体
15a 入射面
18 接合層
19 受け部材
20 防曇フィルム
21 巻体
21a コア
25 透明基材
30 凹凸構造層
31 凹凸面
32 線状凸部
32a 先端部
32b 基端部
38 本体部
38a ベース面
40 導光具
45 潜望鏡
50 ロール型
51 型面
52 線状凹部
52a 最深部
52b 基端部
58a 基準面
59 母材
60 バイト
61 刃先
62 凸部
62a 先端部
62b 基端部
68a 刃先基準面
71 ダイ
72 押圧ローラ
73 剥離ローラ

Claims (12)

  1. 入射する可視光を反射する反射体と、
    前記反射体の入射面に貼り付けられた防曇フィルムと、を備え、
    前記防曇フィルムは、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部によって形成された凹凸面を有する凹凸構造層を有し、
    前記防曇フィルムは、前記凹凸面が前記反射体とは反対側を向くように配置され、
    前記防曇フィルムの前記凹凸面上での水に対する接触角が20°以下である、反射部材。
  2. 前記線状凸部の長手方向は、水平方向と非平行になっている、請求項1に記載の反射部材。
  3. 前記線状凸部の長手方向は、45°より大きい角度で水平方向に対して傾斜している、請求項2に記載の反射部材。
  4. 前記線状凸部の長手方向は、鉛直方向と平行になっている、請求項3に記載の反射部材。
  5. 水分を受ける受け部材を、さらに備え、
    前記受け部材は、前記線状凸部の長手方向の一方の端部が位置する前記防曇フィルムの端縁に対面して、配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射部材。
  6. 前記複数の線状凸部は、折れ線状または波線状のパターンで、前記配列方向と非平行な方向に延びている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射部材。
  7. 前記複数の線状凸部は、前記配列方向に連続して一定の間隔で配列された2以上の線状凸部毎に、線状凸部群を形成し、
    1つの線状凸部群に含まれる2以上の線状凸部の配列間隔Pは、当該1つの線状凸部群および当該1つの線状凸部群に隣り合う他の線状凸部群にそれぞれ属し且つ前記配列方向に隣り合う2つの線状凸部の配列間隔Pよりも、狭い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射部材。
  8. 前記凹凸面上での5°正反射による反射率が0.5%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の反射部材。
  9. 前記凹凸構造層の前記線状凸部は、150nm以上500nm以下の間隔で配列され、
    前記線状凸部の高さは、25nm以上500nm以下となっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の反射部材。
  10. 前記凹凸面上での50°正反射による反射率が1%以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の反射部材。
  11. 前記凹凸構造層をなす樹脂材料の水に対する接触角が5°以上50°以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の反射部材。
  12. 前記凹凸構造層をなす樹脂材料の25℃における貯蔵弾性率(E1’)が300MPa以下であり、且つ、前記貯蔵弾性率(E1’)に対する、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の25℃における損失弾性率(E1”)の比(tanδ(=E1”/E1’))が0.2以下であり、且つ、前記凹凸構造層をなす樹脂材料の表面における、n−ヘキサデカンの接触角が30°以下またはオレイン酸の接触角が25°以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の反射部材。
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