JP2016068477A - 型 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のモスアイ構造に代わる構造体を作製するために用いられ、比較的に容易且つ高精度に作製され得る型を、提供する。【解決手段】型50は、複数の線状凸部22を含む構造体10を製造するために用いられる型である。型は、円筒状の型面51を有する。線状凸部を賦型するための線状凹部52であって、型面の中心軸線CAを中心として螺旋状に延びる少なくとも一条の線状凹部が、型面に設けられている。中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の平均配列間隔Pmaveは、500nm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、複数の線状凸部を含む構造体を製造するために用いられる型に関する。
近年、透明基材の表面に多数の微小突起を密接して配置し、当該微小突起間隔を可視光線の波長以下とする、所謂モスアイ(蛾の目)構造を利用することにより、反射防止を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、入射光に対する屈折率を厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
モスアイ(蛾の目)構造は、微小突起に対応する微細孔が型面に形成された金型を用いて製造され得る。通常、金型は、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することにより、作製される。しかしながら、このような金型の製造において、微細孔のばらつきを制御することは容易ではない。また、微細孔が密集して形成された金型を大面積で作製することも容易ではない。さらに、微細孔に賦型樹脂が詰まりやすいため、この金型の寿命は短い。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来のモスアイ構造に代わる構造体を作製するために用いられ、比較的に容易且つ高精度に作製され得る型を、提供することを目的とする。
本発明による型は、
複数の線状凸部を含む構造体を製造するために用いられる型であって、
円筒状の型面を備え、
前記線状凸部を賦型するための線状凹部であって、前記型面の中心軸線を中心として螺旋状に延びる少なくとも一条の線状凹部が、前記型面に設けられ、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の平均配列間隔Pmaveは、500nm以下である。
複数の線状凸部を含む構造体を製造するために用いられる型であって、
円筒状の型面を備え、
前記線状凸部を賦型するための線状凹部であって、前記型面の中心軸線を中心として螺旋状に延びる少なくとも一条の線状凹部が、前記型面に設けられ、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の平均配列間隔Pmaveは、500nm以下である。
本発明による型において、前記線状凹部は、折れ線状または波線状のパターンで、その長手方向に延びていてもよい。
本発明による型において、
前記線状凹部が、n(nは、二以上の自然数)条だけ前記型面に形成され、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の配列間隔は、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔よりも大きくなっていてもよい。
前記線状凹部が、n(nは、二以上の自然数)条だけ前記型面に形成され、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の配列間隔は、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔よりも大きくなっていてもよい。
本発明による型において、
前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
k(kは、二以上の自然数)条の線状凹部が、前記基準面の長手方向に沿うようにして当該基準面に形成されていてもよい。
前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
k(kは、二以上の自然数)条の線状凹部が、前記基準面の長手方向に沿うようにして当該基準面に形成されていてもよい。
本発明による型において、前記線状凹部が、k(は、二以上の自然数)条だけ前記型面に形成されていてもよい。
本発明による型において、
前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されていてもよい。
前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されていてもよい。
本発明による型において、前記中心軸線を通過する断面において、前記型面は、前記中心軸線と平行な方向に配列された複数の基準面であって、各々が前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく、複数の基準面を含み、且つ、各基準面に複数個の線状凹部が形成されていてもよい。
本発明による型において、
前記中心軸線からの距離が異なる複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されていてもよい。
前記中心軸線からの距離が異なる複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されていてもよい。
本発明による型において、前記中心軸線を通過する断面において、前記中心軸線からの距離が異なる複数の基準面が、前記中心軸線と平行な方向に沿って繰り返し配列され、且つ、各基準面に複数個の線状凹部が形成されていてもよい。
本発明によれば、従来のモスアイ構造に代わる構造体を作製するための型が、比較的に容易且つ高精度に作製され得る。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する写真以外の図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、シート状(板状、フィルム状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(板状、フィルム状)の部材のシート面(板面、フィルム面)への法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
[構造体]
図1に示すように、構造体10は、可視光透過性を有した凹凸構造層20を有している。凹凸構造層20は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部22によって形成された凹凸面21を有している。図1に示された例において、構造体10は、凹凸構造層20を支持する基材15を、さらに有している。ただし、以下に詳述するように、構造体10は、凹凸構造層20により優れた機能を発揮することができ、その一方で、基材15は、構造体10における必須の構成要素ではなく、省略され得る。また、図示された例において、一対の主面を有するシート状の構造体10は、その一方の主面のみを、凹凸構造層20によって形成された凹凸面21としている。しかしながら、図示された例に限られず、構造体10の一対の主面の両面が、凹凸面21として形成されていてもよい。
図1に示すように、構造体10は、可視光透過性を有した凹凸構造層20を有している。凹凸構造層20は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部22によって形成された凹凸面21を有している。図1に示された例において、構造体10は、凹凸構造層20を支持する基材15を、さらに有している。ただし、以下に詳述するように、構造体10は、凹凸構造層20により優れた機能を発揮することができ、その一方で、基材15は、構造体10における必須の構成要素ではなく、省略され得る。また、図示された例において、一対の主面を有するシート状の構造体10は、その一方の主面のみを、凹凸構造層20によって形成された凹凸面21としている。しかしながら、図示された例に限られず、構造体10の一対の主面の両面が、凹凸面21として形成されていてもよい。
凹凸構造層20は、例えば樹脂組成物の硬化物からなり、また透明であるようにしてもよい。例えば、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)に準拠して測定される可視光領域における凹凸構造層20の透過率が、凹凸構造層20の用途に応じて、80%以上に設定されていてもよいし、或いは、90%以上に設定されていてもよい。
図2は、図1におけるII−II線に沿った断面、言い換えると線状凸部22の配列方向である第1方向d1に沿った、構造体10の断面を示している。線状凸部22の配列間隔pの平均値Pave、すなわち、配列方向である第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の第1方向d1に沿った間隔pの平均値Paveが500nm以下となっている。第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の第1方向d1に沿った間隔pは、例えば、図2に示すように当該二つの線状凸部22の先端部22a間の第1方向d1に沿った距離として、或いは、後述するように当該二つの線状凸部22の同一側の基端部22b間の距離として、特定され得る。
ここで説明する構造体10は、複数の互いに平行な凹凸構造層20が配列方向と非平行な方向に延びる線状凸部22を表面に有しており、且つ、隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔の平均値Paveが特定の範囲内の値となっている。この構造体10は、凹凸構造層20の線状凸部22によって形成される凹凸面21に起因して、微小突起が密接して二次元配列されてなる所謂モスアイ構造と同様に機能を発揮することができ、加えて、構造体10の凹凸構造層20は、所謂モスアイ構造といわれる微小突起が密接して二次元配列されてなる凹凸構造層と比較して、凸部自体の構造上の耐久性において優れる。したがって、樹脂組成物の硬化物からなる線状凸部22であっても、当該線状凸部22が潰れてしまうことや、隣り合う線状凸部22が先端部において付着し合うことを効果的に防止することができる。
また、ここで説明する構造体10の凹凸構造層20は、所謂モスアイ構造といわれる微小突起が密接して二次元配列されてなる凹凸構造層と比較して、皮脂等の付着物(汚れ)に対して、十分に対応することができる。すなわち、ここで説明する構造体10の凹凸構造層20では、線状凸部22の長手方向に沿って付着物を拭き取ることにより、当該付着物を容易且つ安定して除去することが可能となる。また、付着物の拭き取りが線状凸部22の長手方向に沿って実施されると、凹凸面21が損傷してしまうことも効果的に防止することができる。
さらに、ここで説明する凹凸構造層20の凹凸面21は、線状に延びる線状凸部22によって形成されているため、詳しくは後述するように、凹凸構造層20を樹脂組成物の硬化物として高い生産性で製造することが可能となる。当該製造方法によれば、大面積の構造体10を長尺状で製造することが可能なため、例えば特開2009−193002号公報で提案されているように小面積の凹凸構造層を継ぎ合わせる必要がない。
以下、構造体10の各構成要素について、順に詳述する。
<凹凸構造層>
凹凸構造層20は、第1方向d1に配列された多数の線状凸部22を有している。線状凸部22によって、凹凸構造層20の表面、さらには構造体10の表面である凹凸面21が形成されている。各線状凸部22は、その配列方向と非平行な方向に長手方向を有している。すなわち、各線状凸部22は、配列方向よりも、非平行な方向に長くなっている。図1に示された例において、多数の線状凸部22は、互いに平行に延びている。多数の線状凸部22は、典型的には、図1に示すように、直線状に延びている。図1の例において、各線状凸部22の長手方向は、その配列方向である第1方向d1に直交する第2方向d2となっている。
凹凸構造層20は、第1方向d1に配列された多数の線状凸部22を有している。線状凸部22によって、凹凸構造層20の表面、さらには構造体10の表面である凹凸面21が形成されている。各線状凸部22は、その配列方向と非平行な方向に長手方向を有している。すなわち、各線状凸部22は、配列方向よりも、非平行な方向に長くなっている。図1に示された例において、多数の線状凸部22は、互いに平行に延びている。多数の線状凸部22は、典型的には、図1に示すように、直線状に延びている。図1の例において、各線状凸部22の長手方向は、その配列方向である第1方向d1に直交する第2方向d2となっている。
図1に示された典型例に限られず、図3に示すように、構造体10の法線方向からの平面視において、線状凸部22が折れ線状に第2方向d2に延びるようにしてもよい。また、図4に示すように、構造体10の法線方向からの平面視において、線状凸部22が波線状パターン(蛇行曲線状パターン)で第2方向d2に延びるようにしてもよい。図3及び図4に示された例では、図1に示された例と同様に、凹凸構造層20に含まれた多数の線状凸部22は、互いに平行となっている。すなわち、図3及び図4に示された例において、第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の間隔pは、第2方向d2に沿った各位置において一定となっている。このような例によれば、凹凸構造層20は、第2方向d2に沿った各位置において、一定の光学機能を発揮し且つ耐久性が面内で安定するようになる。
その一方で、隣り合う二つの線状凸部22の間隔(ピッチ)pが、変動するようにしてもよい。図5に示された例において、凹凸構造層20に含まれる多数の線状凸部22は、その配列方向である第1方向d1に沿った位置に応じて、複数の線状凸部群Gに区分けされている。各線状凸部群Gは、複数の線状凸部22を含んでいる。線状凸部群Gは、互いに同一の数の線状凸部22、図示された例では六つの線状凸部22を含んでいる。とりわけ図示された例では、各線状凸部群Gに含まれる複数の線状凸部22については、隣り合う二つの線状凸部22の間隔pxが一定となっている。この間隔pxは、他の任意の一つの線状凸部群Gに含まれる複数の線状凸部22についての間隔と同一となっている。一方、異なる線状凸部群Gに属して隣り合う二つの線状凸部22の間隔pyは、任意の一つの線状凸部群Gに属して隣り合う二つの線状凸部22の間隔pxとは異なっている。そして、間隔pyは、間隔pxよりも広くなっている。
すなわち、図5に示された例では、複数の線状凸部22は、第1方向d1に連続する二以上の線状凸部22毎に線状凸部群Gを形成し、一つの線状凸部群に含まれる二以上の線状凸部22の配列間隔pxは、当該一つの線状凸部群Gおよび当該一つの線状凸部群Gに隣り合う他の線状凸部群Gにそれぞれ属し且つ第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pyよりも、狭くなっている。このような線状凸部22の配列は、後述する製造方法によって極めて容易に実現することができるとともに、構造体10は、この線状凸部22の配列に起因して、後述する優れた作用効果を奏することが可能となる。
隣り合う異なる二つの線状凸部群Gに属する二つの線状凸部22の間隔pyは、図示された例において、凹凸構造層20内で、一定となっている。しかしながら、この例に限れず、二つの線状凸部群Gに属する二つの線状凸部22の間隔は、一定でなくてもよいし、後述する製造方法によれば、容易に変動させることが可能である。
なお、図3〜図5では、線状凸部22の先端部22aによって画成される稜線を示している。
次に、線状凸部22の断面形状、とりわけ第2方向d2の配列方向及び凹凸構造層20の法線方向の両方に平行な断面(以下においては、単に、凹凸構造層に関する「主切断面」とも呼ぶ)での断面形状について説明する。
ここで説明する凹凸構造層20は、モスアイ構造体と同様に、当該凹凸構造層20への法線方向に直交する仮想面における線状凸部22と線状凸部22に隣接する媒質との面積比が法線方向に沿って漸次変化することにより、凹凸面21での反射防止機能を発現しているものと推測される。このため、図2に示すように、線状凸部22は、凹凸構造層20への法線方向に直交する断面での断面積が、基端部22bから先端部22aに向けて漸次減少していくように、形成されている。言い換えると、凹凸構造層20の主切断面において、線状凸部22の幅wは、基端部22bから先端部22aに向けて漸次狭くなっていく。
なお、本明細書で用いる「漸次減少」や「漸次狭く」といった表現は、常に連続的に減少し続けることや、常に連続的に狭くなり続けることだけを意味するものではなく、一部の領域や区間に亘って変化が生じなくてもよい。すなわち、「漸次減少」といった表現は、増加することがないことを意味し、「漸次狭く」といった表現は、太くなることがないことを意味している。
図2に加えて、図6〜図15には、主切断面における線状凸部22の断面形状が例示されている。図2に示された線状凸部22は、主切断面において、概ね釣鐘状の形状となっている。一方、図6に示された線状凸部22は、主切断面において、矩形形状となっている。図7に示された線状凸部22は、主切断面において、矩形形状の角部に丸味を付与した形状となっている。図8及び図9に示された線状凸部22は、主切断面において、三角形形状となっている。図10に示された線状凸部22は、主切断面において、三角形形状の角部に丸味を付与した形状となっている。図11に示された線状凸部22は、主切断面において、幅が断続的に減少する形状となっている。また図示は省略するが、線状凸部22は、主切断面において、半円状の形状や半楕円状の形状となっていてもよい。図示は省略するが、図11に示された線状凸部22の一段目の幅方向中心と、一段目よりも幅狭の二段目の幅方向中心が、配列方向である第1方向d1にずれていてもよい。
図2及び図6〜図10に示された例において、線状凸部22は、主切断面において、凹凸構造層20への法線方向を中心として対称的な形状となっている。しかしながら、この例に限られず、線状凸部22は、非対称な断面形状を有するようにしてもよい。図12に示された線状凸部22は、主切断面において、三角形形状となっている。ただし、図12に示された線状凸部22において、基端部22bから先端部22aまで延びる一方の面が、凹凸構造層20の法線方向に対してなす傾斜角度は、基端部22bから先端部22aまで延びる他方の面が、凹凸構造層20の法線方向に対してなす傾斜角度と異なっている。図12に示された例において、基端部22bから先端部22aまで延びる一方の面は、凹凸構造層20の法線方向に対して傾斜して延び、基端部22bから先端部22aまで延びる他方の面は、法線方向と平行に延びている。図13に示された線状凸部22は、主切断面において、図12に示された線状凸部22の先端を面取した形状となっている。さらに、図14に示された線状凸部22は、主切断面において、図12に示された線状凸部22の他方の面を曲線状に変更した形状となっている。
さらに、図2及び図6〜図14に示された例において、凹凸構造層20に含まれた多数の線状凸部22が、主切断面において、互いに同一の断面形状を有する例を示したが、この例に限られない。図15に示すように、異なる断面形状を有する線状凸部22が、凹凸構造層20に含まれるようにしてもよい。例えば、図15に示す例のように、線状凸部22のn個に1個など、周期的に高さが相対的に高い線状凸部を含んでいても良い。さらに、線状凸部22の主切断面における断面形状は、その長手方向に沿って変化するようにしてもよい。例えば、線状凸部22の高さが、線状凸部22の長手方向である第2方向d2に沿って変化するようにしてもよい。線状凸部22の高さが一定でない場合、耐汚染性及び耐擦傷性を改善することもできる。
また、線状凸部22の比表面積が大きい場合、凹凸構造層20の凹凸面21の親水性や撥水性がより顕著となる。例えば線状凸部22が同じ高さの場合には、比表面積を大きくする観点から、垂直断面形状は三角形よりも四角形の方が好ましい。例えば、基端部22bから先端部22aに向けて線幅が細くなっていく階段状断面を有する場合には、比表面積の点から親水性や撥水性が向上すると共に、反射防止性等の光学機能も向上する点において好ましい。
上述したように、凹凸構造層20は、線状凸部22によって形成された凹凸面21を有している。この凹凸構造層20は、言い換えると、シート状の本体部28と、本体部28のベース面28aに設けられた線状凸部22と、を有する、と表現され得る。図2に示された例において、本体部28は、互いに平行な一対の主面を有し、一方の主面がベース面28aを形成している。ベース面28aは、凹凸構造層20のシート面に平行であり、したがって凹凸構造層20の法線方向に直交している。しかしながら、この例に限られず、ベース面28aは、凹凸構造層20のシート面に対して傾斜していてもよいし、曲線状であってもよい。
また、図16及び図17に示された例のように、複数のベース面28aが、離間して配置されていてもよい。凹凸構造層20に含まれる多数の線状凸部22は、その配列方向である第1方向d1に沿った位置に応じて、複数の線状凸部群Gに区分けされている。上述した図5の例とは異なり、各線状凸部群Gへの線状凸部22の区分けが、当該線状凸部22が設けられたベース面28aに応じていてもよい。
図16及び図17に示された例において、本体部28の一方の主面は、線状凸部22の配列方向である第1方向d1に配列された複数のベース面28aと、二つのベース面28a間を接続する接続面28bと、を含んで形成されている。各ベース面28aには、二以上の線状凸部22が設けられている。図16及び図17に示すように、接続面28bは、凹凸構造層20のシート面に対して傾斜または直交している。したがって、図16及び図17にそれぞれ示された各凹凸構造層20において、多数の線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸構造層20の法線方向における位置)は、一定ではない。言い換えると、図16及び図17にそれぞれ示された各凹凸構造層20において、配列方向である第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の間となる谷底部21bの、凹凸構造層20の法線方向に沿った、高さ位置は、凹凸構造層20に含まれる多数の線状凸部22の間で、一定ではない。
図16に示された凹凸構造層20では、ベース面28aも、接続面28bと同様に、凹凸構造層20のシート面に対して傾斜している。ただし、ベース面28aは、凹凸構造層20のシート面に対して接続面28bとは逆側に傾斜している。各ベース面28a内において、凹凸構造層20の法線方向に沿った当該ベース面28aの高さ位置は、第1方向d1に沿って一側から他側へ向けて(図示された例では、図16の左側から右側へ向けて)、しだいに高くなっている。したがって、一つのベース面28aの第1方向d1における他側端での高さ位置は、当該一つのベース面28aに第1方向d1における他側から隣接する他のベース面28aの第1方向d1における一側端での高さ位置よりも低くなっている。言い換えると、凹凸面21の谷底部21bの凹凸構造層20への法線方向に沿った位置は、一つの線状凸部群G内において、第1方向d1に沿って一側から他側へ向けてしだいに高くなっている。したがって、一つの線状凸部群G内において第1方向d1における最も他側に位置する谷底部21bは、前記一つの線状凸部群Gに第1方向d1における他側から隣り合う他の線状凸部群G内において第1方向d1における最も一側に位置する谷底部21bよりも高くなっている。言い換えると、一つのベース面28a内における第1方向d1における他側端での高さ位置は、当該一つのベース面28aに第1方向d1における他側から隣接する他のベース面28a内における第1方向d1における一側端での高さ位置よりも低くなっている。
このような図16の凹凸構造層20では、一つのベース面28a上に設けられた複数の線状凸部22の間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)が変動する。言い換えると、一つの線状凸部群Gに含まれた複数の線状凸部22の間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)が変動する。
なお、図16に示された例において、本体部28に含まれる多数のベース面28aは、互いに同一に構成されている。また、凹凸構造層20に含まれる多数のベース面28aの間で、線状凸部22の数が同一となっている。このような凹凸構造層20は、後述する製造方法によって極めて容易に製造することができるとともに、凹凸構造層20は、この線状凸部22の配列に起因して、後述する優れた作用効果を奏することが可能となる。
一方、図17に示された凹凸構造層20では、ベース面28aは、凹凸構造層20のシート面と平行に延びている。したがって、各ベース面28a内において、凹凸構造層20の法線方向に沿った当該ベース面28aの高さ位置は一定となっている。ただし、第1方向d1に隣り合う二つのベース面28aの間で、凹凸構造層20の法線方向に沿った当該ベース面28aの高さ位置は互いに異なっている。つまり、第1方向d1に隣り合う二つ線状凸部22の間に位置する谷底部21bの凹凸構造層20への法線方向に沿った位置は、隣り合う二つの線状凸部群G間で異なっている。とりわけ図17に示された例では、本体部28は、凹凸構造層20の法線方向に沿った高さ位置が互いに異なる三つのベース面28aが線状凸部22の第1方向d1に繰り返し配列されるようにして、複数のベース面28aを有している。より具体的には、複数の線状凸部22は、谷底部21bの高さが第1方向d1における一側から他側へ向けて高くなっていく三つの線状凸部群Gの繰り返しからなっている。したがって、三つの線状凸部群Gのうちの第1方向d1における最も他側に位置する線状凸部群Gの谷底部21bの高さ(ベース面28aの高さ)は、当該線状凸部群Gに第1方向d1における他側から隣り合う他の線状凸部群Gの谷底部21bの高さ(ベース面28aの高さ)よりも高い。
このような図17の凹凸構造層20では、一つのベース面28a上に設けられた複数の線状凸部22の間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)は一定である。言い換えると、一つの線状凸部群Gに含まれた複数の線状凸部22の間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)は一定である。その一方で、図17の凹凸構造層20では、異なるベース面28a上に設けられた線状凸部22の間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)は、異ない得る。言い換えると、異なる線状凸部群Gの間で、線状凸部22が設けられている高さ位置(凹凸面21の谷底部21bの高さ位置)は異ない得る。
なお、図17に示された例において、本体部28に含まれる多数のベース面28aは、高さ位置を除けば、互いに同一に構成されている。また、凹凸構造層20に含まれる多数のベース面28aの間で、線状凸部22の数が同一となっている。このような凹凸構造層20は、後述する製造方法によって極めて容易に製造することができるとともに、凹凸構造層20は、この線状凸部22の配列に起因して、後述する優れた作用効果を奏することが可能となる。
ところで、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔p及び線状凸部22の高さhは以下の方法により測定される。まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて線状凸部22の長手方向d2に対する垂直断面形状、すなわち主切断面における線状凸部22の断面形状を検出する。
続いて線状凸部22の長手方向d2に対する垂直断面形状において、各線状凸部22の付け根位置に相当する基端部22bを検出する。各線状凸部22の基端部22bのうち同じ側の一側基端部22bを選択する。線状凸部22の基端部22bのうち一側基端部22bと、隣接する線状凸部22の一側先基端部22bの距離を、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pとする。線状凸部22の長手方向d2に対する垂直断面形状の拡大写真から、例えば10〜100個程度の配列間隔pの値を求め、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの度数分布を検出する。隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pがほぼ一定である場合には、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの計測数は少なくても良いが、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pが周期的に変化する場合には、少なくとも5周期分計測することが好ましく、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pが非周期的に変化する場合には、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pをより多く計測することが好ましい。このようにして特定した隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの度数分布から平均値Pave及び標準偏差σを求める。また、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの最大値を、Pmax=Pave+2σとして特定することができる。
また、同様の手法を適用して線状凸部22の高さhを求める。線状凸部22の長手方向d2に対する垂直断面形状の拡大写真から、各線状凸部22における極大点(先端部22a)を検出する。各線状凸部22の付け根位置(基端部22bの位置)を基準(高さ0)として、当該基準位置から各極大点位置の相対的な高さの差hを取得してヒストグラム化する。なお、線状凸部22の垂直断面形状において頂点を複数有する場合には、麓部が同一の線状凸部22に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を極大点として、当該線状凸部22の高さhを取得して、度数分布を求める。
なお、図5に示すように、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pにおいて、各線状凸部22の最大幅w、すなわち各線状凸部の基端部22b間の距離は、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pと同じであっても良いし、異なっていても良い。また、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pにおいて各線状凸部22の幅wの占める割合は特に限定されないが、耐久性の点から、w/pは0.3〜1であることが好ましい。
凹凸構造層20において、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの平均値Paveは500nm以下であるが、製造上の点から、当該Paveは10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。中でも、隣り合う二つの線状凸部の配列間隔pの平均値Paveは、後述する各種性能の発現が向上する点から、好ましくは100nm以上であり、250nm以下である。Paveが500nmを超えると可視光の散乱により白っぽくなるという不具合が発現してくる。また、凹凸面21に起因した、接触角(親水性又は撥水性)の強調効果が低下するという不具合が生じてくる。
また、線状凸部22の高さhの平均である、線状凸部平均高さHaveは、好ましくは500nm以下であり、製造上の点から10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。中でも、後述する各種性能の発現が向上する点から、より好ましくは70nm以上であり、250nm以下である。
線状凸部22のアスペクト比(線状凸部平均高さHave/隣り合う二つの線状凸部の平均配列間隔Pave)が0.4〜5.0であることが好ましく、更に、0.5〜2.5であることが好ましく、更に、0.5〜2.1であることがより好ましい。アスペクト比が小さすぎると各種性能が発現せず、大きすぎると機械強度や生産性が低下する。
凹凸構造層20の厚みは、適宜調整すればよい。例えば基材15の一面側に凹凸構造層20を設けた態様の場合には、凹凸構造層20の厚みは、基材表面に線状凸部22を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下し、またカールの懸念も高くなるため、厚みは3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。この場合の凹凸構造層20の厚みtは、図2に示すように、凹凸構造層20の基材との界面から、最も高い線状凸部の頂部までの厚みをいう。
以上の構成からなる凹凸構造層20は、樹脂組成物の硬化物からなる。なお、本明細書で用いる硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。樹脂組成物は、特に限定されず、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。樹脂組成物には、1種類の樹脂のみが含まれるものも包含される。前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも線状微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられる。なお、電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
中でも、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である場合には、線状微細凹凸形状が拭取る程度の圧力で変形し、且つ、優れた弾性復元性を備え、防汚性、耐久性の点から好ましい。E’を300MPa以下とすることにより、拭取り時の圧力によって線状微細凹凸形状が変形し、凹凸間の隙間に入り込んだ汚れを、乾拭きで除去することが可能となる。中でも貯蔵弾性率(E’)が、1以上250MPa以下であることが好ましく、1以上100MPa以下であることがより好ましい。
また、損失正接を0.2以下とすることにより、拭取り時に変形した線状凸部22が、弾性復元され、元の形状に戻りやすい。これにより、線状凸部22の塑性変形や、隣り合う二つの線状凸部22の先端部22a近傍での付着が抑制され、線状凸部22によって形成された凹凸面21が有する機能を低下することなく、乾拭きで汚れを拭取ることが可能になる。中でも、tanδが0.18以下であることが好ましい。
なお、貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JISK7244に準拠して、以下の方法により測定される。まず、凹凸構造層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製RheogelE400を用いることができる。
前記樹脂組成物の硬化物は、防汚性の点からは、平坦な硬化膜表面におけるn−ヘキサデカンの接触角が30度以下、又はオレイン酸の接触角が25度以下であることが好ましい。樹脂組成物の平坦な硬化膜表面が上記のような親油性を有することにより、凹凸構造層20の凹凸面21に付着した油性の汚れが完全に拭取れなかった場合であっても、凹凸構造層20の凹凸面21に薄く広がるため、当該汚れが目立たなくなり、拭取り後の視認性が良好になる。また、前記樹脂組成物の硬化物は、表面の拭取り性の点からは、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、70度以上であることが好ましい。
また、用途により、硬化物の表面物性は適宜調整されれば良い。例えば構造体10を親水性部材として用いる場合には、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、60度以下であることが好ましく、更に45度以下であることが好ましい。このような材料を用いて凹凸構造層20を形成すると、接触角はより親水性が強調され、形状にもよるが通常は、線状凸部22の長手方向d2及びその配列方向d1の両方において、30度以下の接触角を示すようになる。防曇機能としては、接触角は30度以下であれば発現するが、より好ましくは20度以下、更により好ましくは10度以下である。構造体10を用いた親水性部材は、一般の、親水性材料を用いた防曇フィルム等に比べると、材料自体の接触角が劣化等により増加した場合でも、凹凸構造層20での接触角増加は低く抑えられるという特徴がある。
一方、構造体10を撥水性部材として用いる場合には、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、90度超過であることが好ましく、更に100度以上であることが好ましい。このような材料を用いて凹凸構造層20を形成すると、接触角はより撥水性が強調され、形状にもよるが通常は、線状凸部22の長手方向d2及びその配列方向d1の両方において、110度以上の撥水性を示すようになる。
なお、樹脂組成物の硬化物の接触角は、以下のように測定され得る。まず、透明基材上に凹凸構造層用の樹脂組成物を塗布して硬化させて、線状凸部22を有しない平坦な硬化膜を形成する。当該塗膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、前記凹凸構造層20に接触角を測定しようとする溶剤(水)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置は、例えば、協和界面科学社製接触角計DM500を用いて、測定することができる。また、凹凸構造層20の凹凸面21における接触角は、同様に測定することができ、溶剤(水)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。この際、凹凸面21における接触角は異方性を有することから、例えば、液滴を滴下した地点における線状凸部22の長手方向d2と、線状凸部22の長手方向d2に直交する方向の静的接触角を計測する。
凹凸構造層用の樹脂組成物としては、その用途に合わせて、適宜、上記物性が得られるように、選択される。中でも、線状凸部22の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる、電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物を例にとって、具体的に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、後述する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の特性を兼ね備える。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、線状凸部22が柔軟性及び復元性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜99.2質量%であることが好ましく、15〜99.1質量%であることがより好ましい。
(2)炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物
また、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。更に、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
また、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。更に、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を用いる場合、当該化合物の含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
凹凸構造層20の作製に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化物の貯蔵弾性率、損失正接を上記所定の範囲に調整しやすく、且つ親油性に調整しやすく、優れた乾拭き取り性を得ることができる点から、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが特に好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。また、親水性を高くするために、凹凸構造層20の作製に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートが含まれる組成物である。中でも、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、70〜99質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましい。また、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、使用される全(メタ)アクリレート化合物中に対して80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。
(3)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
(4)帯電防止剤
凹凸構造層用の樹脂組成物中に帯電防止剤を含有させてもよい。帯電防止剤を含有することにより、凹凸構造層20の凹凸面21に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
凹凸構造層用の樹脂組成物中に帯電防止剤を含有させてもよい。帯電防止剤を含有することにより、凹凸構造層20の凹凸面21に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。
(5)溶剤
凹凸構造層用の樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
凹凸構造層用の樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。なお、本明細における固形分とは、樹脂組成物中の溶剤以外のすべての成分を表す。
(6)その他の成分
凹凸構造層用の樹脂組成物は、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
凹凸構造層用の樹脂組成物は、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
<基材>
次に、凹凸構造層20と積層された基材15について説明する。なお、既に説明したように、基材15は、省略可能である。基材15は、構造体10の用途に合わせて適宜選択して用いられれば良い。基材15は、透明基材に限定されるものではなく、用途に合わせて不透明基材であっても良い。
次に、凹凸構造層20と積層された基材15について説明する。なお、既に説明したように、基材15は、省略可能である。基材15は、構造体10の用途に合わせて適宜選択して用いられれば良い。基材15は、透明基材に限定されるものではなく、用途に合わせて不透明基材であっても良い。
基材15が、透明基材である場合、公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して基材15として用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、不透明基材に用いられる材料の具体例としては、例えば、各種の金属、不透明のガラス、樹脂材料に無機顔料、発泡剤を混合した不透明樹脂等が挙げられ、その他、樹脂基材に無機スパッタ膜、特に金属スパッタ膜を形成した基材等が挙げられる。
基材15の形状は、通常フィルム状、シート状、板状、ロッド状、所定形状に成形された成形体などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されない。また、大面積の構造体10とする場合には、製造上、長尺状乃至ロール状の基材を用いることが好ましい。
基材15の厚みは、構造体10の用途や形状に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20μm以上5000μm以下である。基材15は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
基材15の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。また、基材15と後述する凹凸構造層20との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材15および凹凸構造層20との双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また基材と凹凸構造層20の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と凹凸構造層20の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
<その他の構成>
構造体10は、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。例えば、親水性や撥水性を付与する目的から、凹凸構造層20の凹凸面21を損なわない範囲で、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む表面処理層を備えていても良い。表面処理層を形成する方法としては、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を溶剤に溶解させた溶液を各種塗布法により塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。また、フッ素系化合物又はケイ素系化合物を紫外線硬化樹脂と混合して塗布した後、UV照射して硬化する方法などが挙げられる。或いは、LB法、PVD法、CVD法、自己組織化法、スパッタ法などにより、表面処理層を形成しても良い。
構造体10は、後述する凹凸構造層20の機能を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。例えば、親水性や撥水性を付与する目的から、凹凸構造層20の凹凸面21を損なわない範囲で、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む表面処理層を備えていても良い。表面処理層を形成する方法としては、フッ素系化合物、およびケイ素系化合物のうちから選ばれる少なくとも1種類の化合物を溶剤に溶解させた溶液を各種塗布法により塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。また、フッ素系化合物又はケイ素系化合物を紫外線硬化樹脂と混合して塗布した後、UV照射して硬化する方法などが挙げられる。或いは、LB法、PVD法、CVD法、自己組織化法、スパッタ法などにより、表面処理層を形成しても良い。
具体的には、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のケイ素系化合物を蒸着源とした蒸着膜を備えると撥水性が向上した表面となる点から好ましい。また、反応イオンエッチング装置を用いて、テトラフルオロメタンガス等のガス状のフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物を、プラズマにより、前記凹凸構造層20の凹凸面21上に堆積しても良い。
中でも、前記凹凸構造層20の凹凸面21に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜を備えると、撥水撥油性が向上した表面となる点から好ましい。少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物としては、例えば、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、パーフルオロヘキシルヨージド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。この場合の蒸着法としては、特にプラズマCVD法が好適に用いられる。また、凹凸構造層20の凹凸面21に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜をパターニングしてパターン化された撥水撥油層を設けても良い。
更に、凹凸構造層20の凹凸面21に、導電性膜を備えていても良い。例えば、凹凸構造層20の凹凸面21に、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層を備えていても良い。この場合、構造体10に反射防止性と導電性を期待できる。
或いは、前記凹凸構造層20の表面に、金属薄膜を備えていても良い。この場合、構造体10に透過性又は非透過性金属薄膜による光学効果(例えば、視野角制御性、波長依存性)を期待することができる。凹凸に追従した形状を有する可視光透過性の金属薄膜を備える場合には、構造体10に、視野角制御性を期待できる。可視光透過性の金属薄膜としては、例えば、スパッタリング法により形成されたアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなる金属薄膜が挙げられる。凹凸構造層20の凹凸面21を平坦面にして、当該平坦面にスパッタリング法により金属薄膜を形成したと仮定した場合に、厚さ5〜30nmの金属薄膜が形成される量のアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなる金属薄膜であることが好ましい。
また、構造体10は、凹凸構造層20の凹凸面21に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における線状微細凹凸構造体の表面の損傷、汚染を防止することができる。また、後述するように、大面積の凹凸構造層20を連続的に作製することができることから、長尺の構造体10を連続的に作製して、図25に示すように、その長手方向に非平行な軸線を中心として巻取コア11aに巻き取り、巻体11として、保管、搬送、売買等の取り扱いを行うようにしてもよい。
また、構造体10は、凹凸面21とは反対側となる面に接着剤層を形成されていてもよい。また、接着剤層に加えて、当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層してなる接着加工品として、構造体10を構成してもよい。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。基材、接着剤層、及び前記任意の層はそれぞれ1層に限定されることなく、使用用途、条件により、適宜2層以上を選定可能である。
<構造体の作用効果>
次に構造体10の作用効果について説明する。
次に構造体10の作用効果について説明する。
(反射防止性)
まず、構造体10の凹凸構造層20は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部22によって形成された凹凸面21を有している。このような凹凸面21は、優れた反射防止性能を得ることができる。可視光帯域の全域の光に対して優れた反射防止性能が要求される場合には、線状凸部22の平均配列間隔Paveを、可視光帯域の最短波長以下、典型的には380nm以下とすることが好ましく、可視光に対するより安定した反射防止性能を期待する観点からは、線状凸部22の平均配列間隔Paveを、300nm以下とすることが好ましく、200nm以下とすることがより好ましい。具体的には、構造体10の凹凸面21上での5°正反射による反射率を2.0%以下とすることができ、更に好ましくは1.0%以下とする事ができる。正反射による反射率は、(株)島津製作所製のUV-3100を用いてJIS R3106に準拠して測定された値とすることができる。なお、本件発明者らが確認したところ、凹凸面21は、線状凸部22によって形成され異方性を有した構成となっているが、反射防止性については顕著な異方性は生じなかった。
まず、構造体10の凹凸構造層20は、500nm以下の平均配列間隔Paveで配列され且つ各々が配列方向と非平行な方向に延びている複数の線状凸部22によって形成された凹凸面21を有している。このような凹凸面21は、優れた反射防止性能を得ることができる。可視光帯域の全域の光に対して優れた反射防止性能が要求される場合には、線状凸部22の平均配列間隔Paveを、可視光帯域の最短波長以下、典型的には380nm以下とすることが好ましく、可視光に対するより安定した反射防止性能を期待する観点からは、線状凸部22の平均配列間隔Paveを、300nm以下とすることが好ましく、200nm以下とすることがより好ましい。具体的には、構造体10の凹凸面21上での5°正反射による反射率を2.0%以下とすることができ、更に好ましくは1.0%以下とする事ができる。正反射による反射率は、(株)島津製作所製のUV-3100を用いてJIS R3106に準拠して測定された値とすることができる。なお、本件発明者らが確認したところ、凹凸面21は、線状凸部22によって形成され異方性を有した構成となっているが、反射防止性については顕著な異方性は生じなかった。
なお、低屈折率層として形成された従来の反射防止膜での反射率は、スペクトル分布を持つ。具体的には、低屈折率層からなる従来の反射防止膜は、低屈折率層の厚み及び観察方向に応じた特定波長域の光に対して、他の波長域の光に対してよりも、優れた反射防止機能を及ぼす。結果として、観察方向に応じて低屈折率層に色味がついてしまい、当該低屈折率層を介した透視において不都合が生じることがある。一方、低屈折率層からなる従来の反射防止層とは異なり、凹凸構造層20の凹凸面21により反射防止機能を発現する構造体10においては、区画部材10を観察した際に、観察方向に応じて変化する色味が生じることを効果的に防止することができる。
反射防止特性を有した構造体10は、例えば、店舗のショーウィンドウや、美術館の展示物の展示窓;時計等、各種計測機器の表示窓表面;道路標識や、ポスター等の各種印刷物;自動車、航空機等の乗り物や、各種建築物の窓等の前面又は両面に配置して、視認性を向上することができる。また、眼鏡、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の各種光学機器や、各種照明機器の窓材として用いることもできる。すなわち、優れた透視性を確保しながら領域を区画する区画部材として、構造体10をそのまま、或いは、構造体10を窓等の透光性部材と組み合わせて用いることができる。
(親水性)
線状凸部22が親水性を有した材料によって形成されている場合、凹凸構造層20の凹凸面21は、超親水性を示すようになる。具体的には、平坦な硬化膜表面における水の接触角が90度未満、好ましくは60度以下、より好ましくは45度以下である材料を凹凸面21に用いると、高い親水性が得られるようになり、例えば、凹凸面21において、線状凸部22の長手方向d2及びその垂直方向である第1方向d1における水の接触角を30度以下、より好ましくは20度以下、更により好ましくは10度以下とすることができる。更に、構造体10は、特定の凹凸面21を有することにより、異方性を有する親水性が得られる。具体的には、線状凸部22の長手方向d2は、線状凸部22が延在する方向と垂直な方向、典型的には線状凸部22の配列方向である第1方向d1に比べて濡れ広がりやすくなる。
線状凸部22が親水性を有した材料によって形成されている場合、凹凸構造層20の凹凸面21は、超親水性を示すようになる。具体的には、平坦な硬化膜表面における水の接触角が90度未満、好ましくは60度以下、より好ましくは45度以下である材料を凹凸面21に用いると、高い親水性が得られるようになり、例えば、凹凸面21において、線状凸部22の長手方向d2及びその垂直方向である第1方向d1における水の接触角を30度以下、より好ましくは20度以下、更により好ましくは10度以下とすることができる。更に、構造体10は、特定の凹凸面21を有することにより、異方性を有する親水性が得られる。具体的には、線状凸部22の長手方向d2は、線状凸部22が延在する方向と垂直な方向、典型的には線状凸部22の配列方向である第1方向d1に比べて濡れ広がりやすくなる。
構造体10の凹凸面21が親水性を有する場合、凹凸面21が水滴で曇ってしまうことを効果的に防止することができる。具体的には、凹凸面21上に結露等によって水滴が付着したとしても、水滴は凹凸面21上を薄く延び広がる。この結果、凹凸面21上での水滴粒子による光の散乱が抑制され、防曇機能が発現される。また、薄く延び広がった水分は、凹凸面21上から迅速に蒸発する。さらに、表面に薄い水の膜ができることから、汚れが付着しにくく、自己クリーニング性も発現する。この防曇性能は界面活性剤等の添加による親水性付与によるものではなく、親水性樹脂材料と表面微細構造の相乗効果で発現するものであるため、経年で防曇性能が劣化しにくいという特徴もある。また、凹凸面21をなす線状凸部22は、親水性に異方性を生じさせ、線状凸部22の長手方向d2に沿った水滴等の流路を形成することができる。
親水性を有した構造体10は、例えば、結露によって視界を悪化させやすい鏡、窓、窓のサッシ、車のサイドミラー、野菜の包装フィルム等に適用することができる。また、構造体10は、冷蔵冷凍ショーケース等に好適に用いられる。さらに、構造体10を医療用などの試験シート等に使用することも有効であり、この場合、試薬や検体の流れをスムーズにする効果を期待することができる。
(撥水性)
一方、線状凸部22が撥水性または撥油性を有した材料によって形成されている場合、凹凸構造層20の凹凸面21は、超撥水性または超撥油性を示すようになる。具体的には、平坦な硬化膜表面における水の接触角が90度超過、好ましくは100度以上である材料を線状凸部22に用いると、凹凸面21に高い撥水性が付与されるようになる。例えば、凹凸面21において、線状凸部22の長手方向d2及びその垂直方向である第1方向d1における水の接触角が110度以上、より好ましくは140度以上であるものを得ることができる。且つ、構造体10は、特定の凹凸面21を有することにより、異方性を有する撥水性が得られる。
一方、線状凸部22が撥水性または撥油性を有した材料によって形成されている場合、凹凸構造層20の凹凸面21は、超撥水性または超撥油性を示すようになる。具体的には、平坦な硬化膜表面における水の接触角が90度超過、好ましくは100度以上である材料を線状凸部22に用いると、凹凸面21に高い撥水性が付与されるようになる。例えば、凹凸面21において、線状凸部22の長手方向d2及びその垂直方向である第1方向d1における水の接触角が110度以上、より好ましくは140度以上であるものを得ることができる。且つ、構造体10は、特定の凹凸面21を有することにより、異方性を有する撥水性が得られる。
凹凸面21を撥水及び撥油性が向上した表面とする場合には、撥水撥油性部材として好適に用いられる。当該撥水撥油部材は、撥水性及び/又は撥油性が必要なあらゆる用途に用いることができ、特に限定されないが、例えば、自動車、電車、航空機等の乗り物や建造物等の窓ガラス又は強化ガラス、ミラー、デパート等店舗のショーウィンドウ、商品や美術品のショーケース、PDA乃至は携帯情報端末、カーナビゲーションシステム、券売機、ATM(現金自動預金支払兼用機)等のタッチパネルディスプレイ及びその他の液晶画面に用いられる液晶保護フィルム、外壁用建材、台所、風呂場、洗面所、トイレ等の水回り空間に使用される透明、不透明を含む一般建材、軟包装品あるいはレトルト食品包装の内面、あるいは粘度の高い液体を内部に有する袋、例えば食品容器やシャンプー容器等の内面等において、撥水撥油効果を発揮して、内容物の内面付着を防止し、かつ最後まで使い切る事が可能となり好ましく用いることができる。
また、凹凸面21に、撥水撥油層をパターニングした場合、撥水撥油層が設けられていない部分を当該凹凸面21に付着した液滴を排出するための流路とすることができる。特に線状凸部22の長手方向d2と平行に撥水撥油層を設けることによって、凹凸面21と撥水撥油層の相乗効果により、液滴を排出するための流路として好適に用いられる。例えば、凹凸面21を傾斜面とすることにより、部材表面に付着した水滴及び油滴は重力に従って移動し、このとき、撥水撥油性能を有する撥水撥油層を避けて、撥水撥油層が設けられていない部分へと集まる。このように、撥水撥油層が設けられていない部分を、水滴及び油滴の流路とすることができ、撥水撥油層がパターン状に配置されてなる構造体10は、排水排油部材として用いることも可能である。
パターン状の撥水撥油層を有する構造体10は、特定の濡れ性を利用して、印刷版、カラーフィルター等の印刷用部材、表示用部材、レンズ、輸送用部材、建築装飾用部材等の用途にも幅広く用いることができる。また、パターン状の撥水撥油層を有する構造体10は、DNAアレイによる抗原抗体反応の高感度化や、流体セル等の低圧損化を実現し得る。
(その他の作用効果)
構造体10には、紛体付着抑制効果も期待することができる。構造体10が親水性の凹凸面21を有する場合、或いは、撥水性の凹凸面21を有する場合のいずれも、適宜、無機系粉体、各種ポリマー等の有機系粉体の付着を抑制することができる。中でも、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含む粉体の付着を好適に抑制することができる。金属酸化物を含む粉体の具体例としては、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイシャドウ等の化粧品や、パウダーブラスト剤、チョークなどが挙げられる。
構造体10には、紛体付着抑制効果も期待することができる。構造体10が親水性の凹凸面21を有する場合、或いは、撥水性の凹凸面21を有する場合のいずれも、適宜、無機系粉体、各種ポリマー等の有機系粉体の付着を抑制することができる。中でも、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含む粉体の付着を好適に抑制することができる。金属酸化物を含む粉体の具体例としては、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイシャドウ等の化粧品や、パウダーブラスト剤、チョークなどが挙げられる。
更に、凹凸構造層20の凹凸面21上に透明導電層が設けられている場合、或いは、凹凸構造層20自体が透明導電層である場合、構造体10は、透明導電フィルムとして、タッチパネルや、効果的に結露を検知し且つ汚れが付着しにくいセンサー等に用いることができる。センサーに用いる場合は必ずしも透明でなくてもよい。或いは、前記凹凸構造層20の凹凸面21上に、可視光透過性の金属薄膜が設けられている場合には、透過率異方性部材として用いることができ、例えば視野角制御フィルムとして用いることができる。また触媒機能を持った金属薄膜の場合はその触媒活性を増加させることができる。
また、凹凸構造層20の凹凸面21が、樹脂組成物の硬化物からなる場合、凹凸面21は、安定性の面で優れ、長期間安定して上述した物性に関連した機能を発揮し続けることができる。例えば親水性に関して化学的な手法によりロータス効果(はす効果)を発現するような構造と比較して、凹凸構造層20の寿命は長く、しかも、安価で簡易に形成することができる。
(線状凸部の配列に関する作用効果)
図1及び図2に示された例において、線状凸部22は、その配列方向である第1方向d1と非平行な第2方向d2に直線状に延びている。一方、図3及び図4に示された構造体10では、線状凸部22は、折れ線状または波線状のパターンで、その配列方向である第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。このような構造体10によれば、凹凸面21上の各位置において、表面張力が最も大きく働く方向が変化する。このため、凹凸面21上における液滴の挙動が不安定となり、当該液滴が凹凸面21上を流れやすくすることができる。また、線状凸部22の長手方向の向きが変化することから、他の部材と組み合わせた際に生じる不具合、例えば、干渉縞や、周期的な配列を有した他の部材、例えば画素配列を有した表示デバイスと組み合わせた際に生じるモアレを、効果的に目立たなくさせることができる。
図1及び図2に示された例において、線状凸部22は、その配列方向である第1方向d1と非平行な第2方向d2に直線状に延びている。一方、図3及び図4に示された構造体10では、線状凸部22は、折れ線状または波線状のパターンで、その配列方向である第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。このような構造体10によれば、凹凸面21上の各位置において、表面張力が最も大きく働く方向が変化する。このため、凹凸面21上における液滴の挙動が不安定となり、当該液滴が凹凸面21上を流れやすくすることができる。また、線状凸部22の長手方向の向きが変化することから、他の部材と組み合わせた際に生じる不具合、例えば、干渉縞や、周期的な配列を有した他の部材、例えば画素配列を有した表示デバイスと組み合わせた際に生じるモアレを、効果的に目立たなくさせることができる。
また、図5に示された例においては、複数の線状凸部22は、配列方向である第1方向d1に連続して一定の間隔pxで配列された二以上の線状凸部22毎に、線状凸部群Gを形成している。そして、一つの線状凸部群Gに含まれる二以上の線状凸部22の配列間隔pxは、当該一つの線状凸部群Gおよび当該一つの線状凸部群Gに隣り合う他の線状凸部群Gにそれぞれ属し且つ第1方向d1に隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pyよりも、狭くなっている。図5に示された構造体10によれば、隣り合う二つ線状凸部群Gの間となる領域において、凹凸面21上に位置する液滴または液膜の表面張力が一定ではなくなる。このため、凹凸面21上における液滴の挙動が不安定となり、当該液滴が凹凸面21上で流れやすくすることができる。すなわち、液滴が凹凸面21で停滞することを効果的に防止することができる。また、第1方向d1に沿った線状凸部22の配列間隔が一定ではないことから、他の部材と組み合わせた際に生じる不具合、例えば、干渉縞や、周期的な配列を有した他の部材、例えば画素配列を有した表示デバイスと組み合わせた際に生じるモアレを、効果的に目立たなくさせることができる。さらに、第1方向d1に沿った線状凸部22の配列間隔が一定ではないことから、波長依存性による反射光の色味を目立たなくさせることができ、さらには、反射光の色味を積極的に制御することもできる。
(線状凸部を支持するベース面の構成に関する作用効果)
さらに、図16及び図17に示された例のように、線状凸部22を支持する本体部28のベース面28aの高さが変動する構造体10によれば、構造体10と積層される他の部材や部品との離間間隔を調整することが可能となる。一般に、反射光を低減する観点からは、光の進行方向に沿って隣り合う二つの部材の表面間の距離は、当該光の波長の1/4となっていることが好ましい。そして、構造体10の領域毎に異なる波長域の光が入射する場合には、構造体10の入射面をなす凹凸面21と、構造体10と積層された部材又は部品の投射面(出射面、発光面)との距離が、入射光の波長に応じて、変動することが好ましい。このような調整が可能であれば、構造体10は、凹凸面21に起因した反射防止機能よりも強い反射防止機能を発現することが可能となる。すなわち、図16及び図17に示されたベース面28aの高さが変動する構造体10は、極めて優れた反射防止機能を有する反射防止物品として機能する。
さらに、図16及び図17に示された例のように、線状凸部22を支持する本体部28のベース面28aの高さが変動する構造体10によれば、構造体10と積層される他の部材や部品との離間間隔を調整することが可能となる。一般に、反射光を低減する観点からは、光の進行方向に沿って隣り合う二つの部材の表面間の距離は、当該光の波長の1/4となっていることが好ましい。そして、構造体10の領域毎に異なる波長域の光が入射する場合には、構造体10の入射面をなす凹凸面21と、構造体10と積層された部材又は部品の投射面(出射面、発光面)との距離が、入射光の波長に応じて、変動することが好ましい。このような調整が可能であれば、構造体10は、凹凸面21に起因した反射防止機能よりも強い反射防止機能を発現することが可能となる。すなわち、図16及び図17に示されたベース面28aの高さが変動する構造体10は、極めて優れた反射防止機能を有する反射防止物品として機能する。
ここで図18及び図19には、図16に示された構造体10を、画素配列を有した表示デバイス30と組み合わせた例を示している。同様に、図20及び図21には、図17に示された構造体10を、画素配列を有した表示デバイス30と組み合わせた例を示している。これらの例において、構造体10は、表示デバイス30と組み合わされて表示装置5を構成している。構造体10は表示デバイス30と積層され、凹凸面21が表示デバイス30に対面している。この構造体10は、例えば、タッチパネルセンサの電極等を保持する基材等として用いられ得る。図19及び図21に示すように、表示デバイス30は、構造体10によって規定される第1方向d1及び第2方向d2に配列された多数の画素を有している。画素は、赤色画素PR、緑色画素PG及び青色画素PBを、サブ画素として含んでいる。赤色画素PR、緑色画素PG及び青色画素PBは、この順番で、第1方向d1における一側から他側へ向けて(図19及び図21における左側から右側へ向けて)、繰り返し配列されている。一方、第2方向d2には、同じ種類のサブ画素が、連続して配列されている。
とりわけ図示された例において、表示デバイス30は、液晶表示パネルとして形成されている。図18及び図20には、表示デバイス30の主たる構成が示されている。図18及び図20に示すように、表示デバイス30は、カラーフィルター基板31及び駆動基板36と、これら二つの基板31,36間に設けられた液晶層35と、を有している。構造体10に対面して配置されたカラーフィルター基板31は、基材シート32と、基材シート32上に設けられ且つサブ画素を画成する赤色着色部33R、緑色着色部33G及び青色着色部33Bと、サブ画素間に位置するブラックマトリクスBMと、を有している。一方、駆動基板36は、基材シート37と、基材シート37上に支持された電極38及び駆動素子39と、を有している、電極38及び駆動素子39は、各着色部33R,33G,33Bに対応して設けられている。
図18及び図19に示された例では、既に説明したように、凹凸構造層20の各ベース面28aは、第1方向d1に沿って一側から他側へ向けて(図18における左側から右側へ向けて)、表示デバイス30に接近していく。そして各ベース面28aに対面する位置に、赤色画素PR、緑色画素PG及び青色画素PBからなる一つの画素が、配置されている。このような構成においては、第1方向d1に沿って最も一側に位置する赤色画素PRの領域において、表示デバイス30から構造体10の凹凸面21までの距離が、最も長くなる。そして、第1方向d1に沿って最も他側に位置する青色画素PB3の領域において、表示デバイス30から構造体10の凹凸面21までの距離が最も短くなる。したがって、各サブ画素PR,PG,PBに対面する領域において、表示デバイス30から構造体10の凹凸面21までの距離を、当該サブ画素PR,PG,PBから射出する光の波長の1/4に設定することができる。この場合、表示デバイス30から構造体10へ入射する光の凹凸面21での反射を極めて効果的に防止することができ、当該反射光による不具合、例えば反射光が迷光化してコントラストを低下させてしまうことを効果的に防止することができる。なお、このような機能を実現する観点からして、凹凸構造層20のシート面に対するベース面28aの傾斜角度は、0度よりも大きく0.25度以下であるように設定することができる。
一方、図20及び図21に示された例では、既に説明したように、凹凸構造層20の本体部28は、互いに高さが異なる三種類のベース面28aを、第1方向d1における一側から他側へ向けて繰り返し含んでいる。そして、一つのベース面28aに対して一つのサブ画素が対面するようにして、表示デバイス30と構造体10が積層されている。そして、最も高さの低いベース面28aに対面する位置に赤色画素PRが形成され、最も高さの高いベース面28aに対面する位置に青色画素PBが形成されている。このような構成の表示装置5において、表示デバイス30から構造体10の凹凸面21までの距離は、赤色画素PRの領域において最も長くなり、青色画素PBの領域において最も短くなる。このとき、各サブ画素PR,PG,PBに対面する領域において、表示デバイス30から構造体10の凹凸面21までの距離を、当該サブ画素PR,PG,PBから射出する光の波長の1/4に設定することができる。この場合、凹凸面21での反射を極めて効果的に防止することができ、当該反射光による不具合、例えば反射光が迷光化してコントラストを低下させてしまうことを効果的に防止することができる。
上述したように、凹凸面21は優れた反射防止性能を有しているが、反射光はいくらか生じてしまう。そして、図18〜図21に示された構造体10によれば、わずかに生じ得る反射光についても対処することができ、これにより、極めて優れた反射防止機能を発現することが可能となる。
[構造体10の製造方法]
次に、上述してきた構造体10の製造方法について説明する。構造体10の製造方法は、賦型用のロール型50を製造する工程と、前記ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面21を形成する工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
次に、上述してきた構造体10の製造方法について説明する。構造体10の製造方法は、賦型用のロール型50を製造する工程と、前記ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面21を形成する工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
<賦型用ロール金型を製造する工程>
主として図22〜図24を参照し、まず複数の線状凸部22を含む構造体10を製造するために用いられるロール型50について説明し、その後に、ロール型50の製造方法について説明する。なお、図22は、ロール型50の中心軸線に沿った断面を示す断面図である。図23は、ロール型50の製造方法を示す図である。図24は、ロール型50の製造に用いられるバイトを示す図である。
主として図22〜図24を参照し、まず複数の線状凸部22を含む構造体10を製造するために用いられるロール型50について説明し、その後に、ロール型50の製造方法について説明する。なお、図22は、ロール型50の中心軸線に沿った断面を示す断面図である。図23は、ロール型50の製造方法を示す図である。図24は、ロール型50の製造に用いられるバイトを示す図である。
図22及び図23に示すように、ロール型50は、円筒状の型面51を有している。この型面51は、凹凸構造層20の凹凸面21を賦型するための型面である。したがって、型面51は、凹凸面21と相補的な構成を有している。型面51には、型面51の中心軸線CAを中心として螺旋状に延びる少なくとも一条の線状凹部52が、設けられている。中心軸線CAに沿ったロール型50の断面における線状凹部52の断面形状は、凹凸構造層20の主切断面における線状凸部22の断面形状と相補的な形状となっている。
まず、型面51上における中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部52の配列間隔pmの平均である平均配列間隔Pmaveは、500nm以下となっている。隣り合う二つの線状凹部52の平均配列間隔Pmaveは、作製されるべき凹凸構造層20の隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔Paveに応じて調節することができる。中心軸線CAに沿って隣り合う二つの線状凹部52の中心軸線CAに沿った間隔pmは、例えば、図22に示すように当該二つの線状凹部52の最深部52a間の中心軸線CAに沿った距離として、或いは、当該二つの線状凹部52の同一側の基端部52b間の距離として、特定され得る。図22及び図23に示された例において、中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部52の配列間隔pmは、一定となっている。そして、隣り合う線状凹部52は、互いに平行に延びている。
図22に示すように、線状凹部52は、基準面58aに形成されている。すなわち、線状凹部52の基端部52bは、基準面58a上に位置している。図22に示された例において、基準面58aは、円筒状の面となっている。基準面58aを基準とした、線状凹部52の深さhmは、作製されるべき線状凸部22の基準面58aからの高さhに応じて設定される。また、線状凹部52の幅wmは、作製されるべき線状凸部22の幅wに応じて設定される。
次に、ロール型50の製造方法について説明する。ロール型50は、バイト60を用いて、円柱状母材59の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の線状凹部52を形成することにより作製され得る。
図23は、ロール型50の製造工程を説明するための図である。この製造工程において、まず、円柱状母材59を準備する。円柱状母材59としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
金属製の円柱状母材59の材質としては、ニッケル、クロム、ステンレス、鉄、アルミ、銅もしくはそれらの合金を用いることが出来るが、再使用しやすいように前記金属製の円柱状母材の表面に前記材料による金属めっきを施した円柱状母材を用いても良い。円柱状母材59としては、中空すなわち円筒状であっても良い。また、初めに、切削工程により円柱状母材59の外周面を平滑化する工程を有していても良い。この場合、円柱状母材59をその中心軸線CAを回転中心として回転させながら、平滑化用のバイトの刃先を外周面に押圧して、回転軸方向CAに移動させることにより、円柱状母材59の外周面を平滑化する。必要に応じてバフ研磨や電解研磨等の研磨工程を追加してもよい。また、転写する際に凹凸構造層20をなす樹脂が円柱状母材59から剥離しやすいように円柱状母材59の表面に剥離シリコーン、フッ素系樹脂もしくはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティング、蒸着、もしくはそれらを組み合わせた離型処理を行っても良い。
続いて、線状凹凸形状作製用のバイト60を用いて、円柱状母材59の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の線状凹部52を順次形成する。ここで、線状凸部作製用のバイト60の刃先の形状は、適宜、製造する線状凸部22に対応した形状とする。図24に、バイト60の刃先61を一部拡大した正面図を示す。正面図における刃先61は、作製されるべき型面51と相補的な形状を有しており、さらに、型面51を用いて賦型される凹凸面21と対応した形状、理想的には概ね同一な形状を有している。
より具体的には、刃先61は、配列方向dbに配列された複数の凸部62を有している。刃先61における配列方向dbに沿って隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbの平均である平均配列間隔Pbaveは、500nm以下となっている。隣り合う二つの凸部62の平均配列間隔Pbaveは、作製されるべき型面51の隣り合う二つの線状凹部52の配列間隔Pmaveに応じて調節することができる。配列方向dbに沿って隣り合う二つの凸部62の配列方向dbに沿った間隔pbは、例えば、図24に示すように当該二つの凸部62の先端部62a間の配列方向dbに沿った距離として、或いは、当該二つの凸部62の同一側の基端部62b間の距離として、特定され得る。図24に示された例において、配列方向dbに沿って隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbは、一定となっている。
また、図24に示すように、凸部62は、刃先基準面68aから突出している。すなわち、凸部62の基端部62bは、刃先基準面68a上に位置している。刃先基準面68aを基準とした、凸部62の突出高さhbは、作製されるべき線状凹部52の基準面58aからの深さhmに応じて設定される。また、凸部62幅wbは、作製されるべき線状凹部52の幅wmに応じて設定される。また、図15に示された凹凸構造層20のように線状凸部22の形状や高さが、互いに平行な線状凸部間で周期的に変化する場合には、バイト31の刃先幅が、少なくとも繰返し周期の幅を含むことが好ましい。
円柱状母材59をその中心軸線CAを回転中心として回転させながら、線状凹部用のバイト60の刃先を外周面に押圧して切削するが、このとき、図23に太矢印で示すように回転軸線CAと平行な方向にバイト60を連続的に移動させる。バイト60は、母材59が一回転する間にバイト60の刃先61の幅分だけ、回転軸線CAと平行な方向へ移動する。この結果、刃先61に含まれる凸部62の数と同じ条数の線状凹部52が、母材59に形成される。なお、バイト60の刃先61の幅は、例えば、20μm以上100μm以下程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
また、例えば、線状凸部の延在方向において周期的に高さが異なる場合など、一回の切削工程により、製造する凹凸面21に相補的な形状を作成できない場合には、更に別のバイトを用いて複数回の切削工程を有していても良い。以上のようにして、ロール型50を製造することができる。
なお、バイト60の作製は、従来公知の方法を適宜選択して、製造する凹凸面21の形状に対応した形状となるように行えばよい。このようなロール型50を用いることから、任意の線状凸部22を形成し易く、更に、生産性が向上する。とりわけ、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することによってモスアイ構造体用の金型を製造することと比較すると、切削加工で型50を製造する本実施の形態による型の製造方法は、格段に容易且つ安定して実施し得る。
<凹凸構造層を形成する工程>
次に、製凹凸構造層20を製造する工程について説明する。この工程においては、ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面21を形成する。
次に、製凹凸構造層20を製造する工程について説明する。この工程においては、ロール型50を使用した賦型処理により、前記凹凸面21を形成する。
例えば、まず基材15上に、凹凸構造層形成用の樹脂組成物を塗布し、凹凸構造層形成用層(受容層)を形成し、当該凹凸構造層形成用層の表面と所望の線状凹部52を有する賦型用ロール型50とを接触させて配置し、圧力をかけることによって、当該凹凸構造層形成用層の金型側表面に線状凸部22からなる凹凸面21を形成した後、適宜該樹脂組成物を硬化させることにより凹凸構造層20を形成し、前記賦型用ロール型50から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
図25に、凹凸構造層形成用の樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、ロール型50を使用して、基材15上に凹凸構造層20を形成する方法の一例を示す。図25に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ71により帯状フィルム形態の基材15に、未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、凹凸構造層20の受容層20’を形成する。なお電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ71による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ72により、凹凸構造層形成用原版であるロール型50の型面51に基材15を加圧押圧し、これにより基材15に受容層20’を密着させると共に、ロール型50の型面51に作製された線状凹部52に、受容層20’を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより基材15の表面に凹凸構造層20を作製する。続いて剥離ローラ73を介してロール型50から、硬化した凹凸構造層20と一体に基材15を剥離する。その後、必要に応じて、基材15に粘着層等を作製してもよい。
このようにして、線状凸部22の配列方向である第1方向d1と非平行な方向に長手方向を有する長尺の構造体10が製造されていく。図25に示すように、製造された構造体10は、長手方向に非平行な軸線を中心として巻き取られ、コア11aに巻き取られた巻体11の形体を有するようになる。或いは、所望の大きさに切断して構造体10を作製してもよい。以上のようにして、構造体10は、ロール材による長尺の基材15に、凹凸構造層形成用原版であるロール型50の型面51に作製された凹凸構造層20を順次賦型して、効率良く大量生産される。
<ロール型およびロール型を用いた構造体10の製造方法の変形例>
図23及び図24に示された例において、ロール型50の線状凹部52は、線状凹部52上において直線状に延びている例を示したが、これに限られない。例えば図26に示すように、線状凹部52は、折れ線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図26に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図3の凹凸構造層20を製造することができる。また、図27に示すように、線状凹部52は、波線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図27に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図4の凹凸構造層20を製造することができる。なお、図26及び図27は、型面51を平坦面に展開して示す平面図である。図26及び図27に示されたロール型50は、母材59の中心軸線CAに沿ったバイト60の送りを制御することによって実現され得る。したがって、型の製造難易度が大幅に上昇することはない。とりわけ、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することによってモスアイ構造体用の金型を製造することと比較すれば、図26または図27に示されたロール型50は格段に容易に製造され得る。
図23及び図24に示された例において、ロール型50の線状凹部52は、線状凹部52上において直線状に延びている例を示したが、これに限られない。例えば図26に示すように、線状凹部52は、折れ線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図26に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図3の凹凸構造層20を製造することができる。また、図27に示すように、線状凹部52は、波線状のパターンで型面51上を延びるようにしてもよい。図27に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図4の凹凸構造層20を製造することができる。なお、図26及び図27は、型面51を平坦面に展開して示す平面図である。図26及び図27に示されたロール型50は、母材59の中心軸線CAに沿ったバイト60の送りを制御することによって実現され得る。したがって、型の製造難易度が大幅に上昇することはない。とりわけ、陽極酸化やケミカルエッチング、ブラスト等の手法を用いてアルミニウム材料に微細孔を形成することによってモスアイ構造体用の金型を製造することと比較すれば、図26または図27に示されたロール型50は格段に容易に製造され得る。
また、図23及び図24に示された例において、ロール型50の線状凹部52は、中心軸線CAと平行な方向に一定の配列間隔pmで配置される例を示したが、これに限られない。例えば、図28に示すように、線状凹部52が、n(nは、二以上の自然数)条だけ型面51に形成され、型面51上における中心軸線CAと平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部52の配列間隔pmyは、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔pmxよりも大きくなるようにしてもよい。
図28に示された例において、ロール型50に含まれる多数の線状凹部52は、その配列方向である中心軸線CAと平行な方向に沿った位置に応じて、複数の線状凹部群Gmに区分けされている。各線状凹部群Gmは、複数の線状凹部52を含んでいる。線状凹部群Gmは、互いに同一の数の線状凹部52、具体的には六つの線状凹部52を含んでいる。とりわけ図示された例では、各線状凹部群Gmに含まれる複数の線状凹部52については、隣り合う二つの線状凹部52の間隔pmxが一定となっている。この間隔pmxは、他の任意の一つの線状凹部群Gmに含まれる複数の線状凹部52についての間隔pmxと同一となっている。一方、異なる線状凹部群Gmに属して隣り合う二つの線状凹部52の間隔pmyは、任意の一つの線状凹部群Gmに属して隣り合う二つの線状凹部52の間隔pmxとは異なっている。そして、間隔pyは、間隔pxよりも広くなっている。
すなわち、図28に示された例では、複数の線状凹部52は、中心軸線CAと平行な方向に連続する二以上の線状凹部52毎に線状凹部群Gmを形成し、一つの線状凹部群Gmに含まれる二以上の線状凹部52の配列間隔pmxは、当該一つの線状凹部群Gmおよび当該一つの線状凹部群Gmに隣り合う他の線状凹部群Gmにそれぞれ属し且つ中心軸線CAに平行な方向に隣り合う二つの線状凹部52の配列間隔pmyよりも、狭くなっている。図28に示されたロール型50によれば、上述した優れた作用効果を奏する図5の凹凸構造層20を製造することができる。
また、このような型50は、図23を参照しながら説明した方法において、バイト60の送り速度を調節することによって得られる。すなわち、母材59が中心軸線CAを中心として一回転する間に、中心軸線CAと平行な方向に刃先61の幅よりも大きな距離だけバイト60を送ることにより、得られる。より具体的には、配列間隔pmxと配列間隔pmyとの差は、母材59が中心軸線CAを中心として一回転する間に中心軸線CAと平行な方向にバイト60が進む距離と、バイト60の刃先61の幅との差に一致する。したがって、図28に示されたロール型50は、図22及び図23のロール型50と同様に、極めて容易かつ安定して作製することができる。むしろ、中心軸線CAと平行な方向へのバイト60の送り量を高精度に制御する必要がない観点からすれば、図22及び図23のロール型50よりも容易且つ高速で製造することが可能となる。
加えて、バイト60の送り量の誤差等を原因として、隣り合う二つの線状凹部52が重なり合ってしまうことをより確実に防止することができる。仮に二つの線状凹部52が重なり合ってしまった場合には、この型を用いて作製された凹凸構造層は、局所的に大きな幅の線状凸部を含むことになり、この部分において期待された機能を発揮することができなくなる。したがって、図28のロール型50によれば、極めて安定して且つ容易に凹凸構造層20を作製することができ、且つ、得られた凹凸構造層20が所定の機能を安定して発揮することができる。
また、中心軸線CAと平行な方向へのバイト60の送り速度を変化させることにより、異なる線状凹部群Gmに属して隣り合う二つの線状凹部52の間隔pmyを変動させることができる。このロール型50を用いて作製された構造体10では、異なる線状凸部群Gに属して隣り合う二つの線状凸部22の間隔pyが変動し、上述した図5に示された凹凸構造層20の作用効果がより顕著に得られ得る。
なお、図26〜図28では、線状凹部52の最深部52aの位置を示している。
さらに別の変形例として、図29及び図30に示すように、凸部62が設けられている刃先基準面68aが母材59の中心軸線CAに対して傾斜するようにして、母材59の表面にバイト60を切り込ませてもよい。図29に示された例では、図24と同様のバイト60を、全体として傾斜させて、母材59に切り込ませている。一方、図30に示す例では、バイト60の刃先61における刃先基準面68aが、バイト60の長手方向に直交する方向に対して傾斜している。そして、図30の例では、バイト60の長手方向を母材59の中心軸線CAと平行に保ち、当該バイト60を母材59に切り込ませている。
図29又は図30に示された例によれば、バイト60の傾斜角度以外の条件を、図23を参照して説明した上述の条件と同様にして、図16に示された凹凸構造層20を作製することができる。図29及び図30に示すように、製造されたロール型50では、中心軸線CAに沿った一側から他側へ向けて中心軸線CAに接近していく刃先基準面68aが、中心軸線CAを中心として螺旋状に延び、k(kは、二以上の自然数)条の線状凹部52が、刃先基準面68aの長手方向に沿うようにして当該基準面58aに形成されている。ここで線状凹部52の条数であるkは、刃先61の刃先基準面68aに設けられた凸部62の数となる。また、型面51の基準面58aは、バイト60の刃先61の刃先基準面68aによって画成される。
また、図16に示された凹凸構造層20を作製するには、図31に示されたロール型50によっても製造され得る。図31に示されたロール型50の製造方法では、三つの刃先基準面68aを有し且つ各刃先基準面68a上に凸部62が形成されたバイト60が、用いられている。図示されたバイト60において、三つの刃先基準面68aは同様に形成されている。また、各刃先基準面68aには、互いに同一の数の凸部62が設けられている。この製造方法で得られるロール型50は、図31に示すように、中心軸線CAに沿った一側から他側へ向けて中心軸線CAに接近していく三つの基準面58aが、中心軸線CAを中心として螺旋状に延び、且つ、複数条の線状凹部52が、各基準面58aの長手方向に沿うようにして各基準面58aに設けられる。なお、一つのバイト60に含まれる刃先基準面68aの数は、三つではなく、二つであってもよいし、四以上であってもよい。
図29〜図31にそれぞれ示された製造方法で得られるロール型50では、中心軸線CAを通過する断面において、型面51は、中心軸線CAと平行な方向に配列された複数の基準面58aであって、各々が中心軸線CAに沿った一側から他側へ向けて中心軸線CAに接近していく、複数の基準面58aを含み、且つ、各傾斜基準面58aに複数個の線状凹部52が形成されている。そしていずれの方法によっても、図16に示された凹凸構造層20を容易且つ安定して作製することができる。加えて、バイト60の送り量の誤差等により隣り合う二つの線状凹部52が重なり合ってしまうことを効果的に防止することができる。仮に二つの線状凹部52が重なり合ってしまった場合には、この型を用いて作製された凹凸構造層は、局所的に大きな幅の線状凸部を含むことになり、この部分において期待された機能を発揮することができなくなる。したがって、図29〜図32に示されたロール型50によれば、極めて安定して且つ容易に凹凸構造層20を作製することができ、且つ、得られた凹凸構造層20が所定の機能を安定して発揮することができる。
なお、図29〜図31にそれぞれ示された製造方法で得られるロール型50では、線状凹部52が形成される基準面58aは、中心軸線CAに対して傾斜している。ただし、基準面58aは、螺旋状に形成されており、型面51を全体的に観察した場合、型面51は円筒状と判断される。
さらに、図31のロール型50の製造方法で用いたバイト60を変形することにより、図17に示された構造体10を製造し得るロール型50を作製することができる。図32に示す例において、用いられているバイト60は、三つの刃先基準面68aを有し、各刃先基準面68a上に凸部62が形成されている。図示されたバイト60において、三つの刃先基準面68aは同様に形成されている。また、各刃先基準面68aには、互いに同一の数の凸部62が設けられている。図32に示すように、刃先61の刃先基準面68aが、母材59の中心軸線CAと平行となるようにして、母材59の表面にバイト60が切り込んでいる。製造された型面51の基準面58aは、バイト60の刃先61の刃先基準面68aによって画成される。結果として、製造されたロール型50において、中心軸線CAからの距離が異なる複数の基準面58aが、中心軸線CAを中心として螺旋状に延び、複数条の線状凹部52が、各基準面58aの長手方向に沿うようにして各基準面58aに形成されている。各基準面58aは、中心軸線CAと平行となっている。バイト60の刃先61の刃先基準面68aの数を変更することにより、製造されたロール型50の基準面58aの数を変更することができる。
図32に示された製造方法で得られる型面51では、中心軸線CAを通過するロール型50の断面において、中心軸線CAからの距離が異なる複数の基準面58aが繰り返し配列され、且つ、各基準面58aに複数個の線状凹部52が形成されている。このロール型50を用いることにより、図17に示された凹凸構造層20を容易且つ安定して作製することができる。加えて、バイト60の送り量の誤差等により隣り合う二つの線状凹部52が重なり合ってしまうことを効果的に防止することができる。仮に二つの線状凹部52が重なり合ってしまった場合には、この型を用いて作製された凹凸構造層は、局所的に大きな幅の線状凸部を含むことになり、この部分において期待された機能を発揮することができなくなる。したがって、図32のロール型50によれば、極めて安定して且つ容易に凹凸構造層20を作製することができ、且つ、得られた凹凸構造層20が所定の機能を安定して発揮することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例A 賦型用ロール金型Aの作製)
幅1300mm、直径298mmで表面に銅めっきを施した鉄製の円柱状母材59を準備した。一方で、幅30μmの刃先61に、図33のような矩形状の凸部62(配列方向dbに隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbの平均値Pbaveが150nm、凸部62の幅wbの平均値Wbave75nm、凸部62の高さhbの平均値Hbaveが70nm)を有する切削用バイト60を準備した。円柱状母材59を回転させながら、前記切削用バイト60の刃先61を母材59の外周面に押圧して切削し、母材59が一回転する間にバイト60の刃先61の幅30μmのピッチだけ回転軸方向CAに移動させることにより、螺旋状の線状凹部52を複数条形成し、ロール型Aを作製した。
幅1300mm、直径298mmで表面に銅めっきを施した鉄製の円柱状母材59を準備した。一方で、幅30μmの刃先61に、図33のような矩形状の凸部62(配列方向dbに隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbの平均値Pbaveが150nm、凸部62の幅wbの平均値Wbave75nm、凸部62の高さhbの平均値Hbaveが70nm)を有する切削用バイト60を準備した。円柱状母材59を回転させながら、前記切削用バイト60の刃先61を母材59の外周面に押圧して切削し、母材59が一回転する間にバイト60の刃先61の幅30μmのピッチだけ回転軸方向CAに移動させることにより、螺旋状の線状凹部52を複数条形成し、ロール型Aを作製した。
(製造例B 賦型用ロール金型Bの作製)
バイト60の凸部62の形状を、
・配列方向dbに隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbの平均値Pbave:200nm
・凸部62の幅wbの平均値Wbave:100nm
・凸部62の高さhbの平均値Hbave:100nm
としたことを除き、製造例1と同様にしてロール型Bを作製した。
バイト60の凸部62の形状を、
・配列方向dbに隣り合う二つの凸部62の配列間隔pbの平均値Pbave:200nm
・凸部62の幅wbの平均値Wbave:100nm
・凸部62の高さhbの平均値Hbave:100nm
としたことを除き、製造例1と同様にしてロール型Bを作製した。
(製造例C 凹凸構造層形成用樹脂組成物Aの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の凹凸構造層20形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート65質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO)1質量部
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の凹凸構造層20形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート65質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO)1質量部
(実施例1)
図25に示された上述の製造方法により、構造体10を製造した。ロール型50として、製造例Aのロール型50Aを用い、基材15として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(富士フィルム社製)を用いた。また、ダイ71により帯状フィルム形態の基材15に、硬化後の凹凸構造層20の厚さが20μmとなるように、製造例Cで得られた凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布した。基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを硬化させた。その後、ロール型50より剥離し、実施例1の構造体Aを得た。作製された構造体Aについて、主切断面における線状凸部22の構成は次のようになった。
・配列方向dbに隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pの平均値Pave:150nm
・線状凸部22の幅wの平均値Wave:75nm
・線状凸部22の高さhの平均値Have:70nm
図25に示された上述の製造方法により、構造体10を製造した。ロール型50として、製造例Aのロール型50Aを用い、基材15として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(富士フィルム社製)を用いた。また、ダイ71により帯状フィルム形態の基材15に、硬化後の凹凸構造層20の厚さが20μmとなるように、製造例Cで得られた凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布した。基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを硬化させた。その後、ロール型50より剥離し、実施例1の構造体Aを得た。作製された構造体Aについて、主切断面における線状凸部22の構成は次のようになった。
・配列方向dbに隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pの平均値Pave:150nm
・線状凸部22の幅wの平均値Wave:75nm
・線状凸部22の高さhの平均値Have:70nm
(実施例2)
実施例1において、ロール型50として、製造例1のロール型Aの代わりに、製造例2で得られたロール型Bを用いた以外は、実施例1と同様にして構造体Bを得た。作製された構造体Bについて、主切断面における線状凸部22の構成は次のようになった。
・配列方向dbに隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pの平均値Pave:200nm
・線状凸部22の幅wの平均値Wave:100nm
・線状凸部22の高さhの平均値Have:100nm
実施例1において、ロール型50として、製造例1のロール型Aの代わりに、製造例2で得られたロール型Bを用いた以外は、実施例1と同様にして構造体Bを得た。作製された構造体Bについて、主切断面における線状凸部22の構成は次のようになった。
・配列方向dbに隣り合う二つの線状凸部22の配列間隔pの平均値Pave:200nm
・線状凸部22の幅wの平均値Wave:100nm
・線状凸部22の高さhの平均値Have:100nm
[評価]
<樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角の測定>
トリアセチルセルロースフィルム上に凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布して硬化させて、線状凸部22を有しない塗膜を形成した。当該塗膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を計測した。上記樹脂組成物Aの平坦な硬化膜表面における水の接触角は50度であった。
<樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角の測定>
トリアセチルセルロースフィルム上に凹凸構造層形成用樹脂組成物Aを塗布して硬化させて、線状凸部22を有しない塗膜を形成した。当該塗膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を計測した。上記樹脂組成物Aの平坦な硬化膜表面における水の接触角は50度であった。
<構造体A及びBの硬化膜表面における接触角の測定>
実施例1、2で得られた構造体A及びBの凹凸構造層20の凹凸面21を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を測定した。その結果、構造体Aの線状凸部22の長手方向における水の接触角は16度、構造体Bにおける線状凸部22の長手方向における水の接触角は18度でありいずれも、平坦な硬化膜表面における接触角よりも更に親水性が強調されていることが確認できた。
実施例1、2で得られた構造体A及びBの凹凸構造層20の凹凸面21を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を測定した。その結果、構造体Aの線状凸部22の長手方向における水の接触角は16度、構造体Bにおける線状凸部22の長手方向における水の接触角は18度でありいずれも、平坦な硬化膜表面における接触角よりも更に親水性が強調されていることが確認できた。
<指紋拭き取り試験>
実施例1、2で得られた構造体A及びB2の凹凸構造層20の凹凸面21を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けた後、指を押し付けて指紋を付着させた。その後、ザヴィーナミニマックス(富士ケミカル製)にて指紋を乾拭きした。乾拭きは3kg/cm2程度の力で10往復行い、拭取り後の外観を評価した。構造体A及びB共に、線状凸部22が柔軟性及び復元性に優れており、その長手方向への拭き取り性に優れ、指紋汚れが視認できなかった。また、拭き取りに際し、線状凸部22が潰れることはなく、また、線状凸部22の先端同士の付着は生じなかった。
実施例1、2で得られた構造体A及びB2の凹凸構造層20の凹凸面21を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けた後、指を押し付けて指紋を付着させた。その後、ザヴィーナミニマックス(富士ケミカル製)にて指紋を乾拭きした。乾拭きは3kg/cm2程度の力で10往復行い、拭取り後の外観を評価した。構造体A及びB共に、線状凸部22が柔軟性及び復元性に優れており、その長手方向への拭き取り性に優れ、指紋汚れが視認できなかった。また、拭き取りに際し、線状凸部22が潰れることはなく、また、線状凸部22の先端同士の付着は生じなかった。
10 構造体
11 巻体
11a コア
15 基材
20 凹凸構造層
21 凹凸面
21b 谷底部
22 線状凸部
22a 先端部
22b 基端部
28 本体部
28a ベース面
28b 接続面
30 表示デバイス
31 カラーフィルター基板
32 基材シート
33R 赤色着色部
33G 緑色着色部
33B 青色着色部
BM ブラックマトリクス
35 液晶層
PR 赤色画素
PG 緑色画素
PB 青色画素
36 駆動基板
37 基材シート
38 電極
39 駆動素子
50 ロール型
51 型面
52 線状凹部
52a 最深部
52b 基端部
58a 基準面
59 母材
60 バイト
61 刃先
62 凸部
62a 先端部
62b 基端部
68a 刃先基準面
71 ダイ
72 押圧ローラ
73 剥離ローラ
11 巻体
11a コア
15 基材
20 凹凸構造層
21 凹凸面
21b 谷底部
22 線状凸部
22a 先端部
22b 基端部
28 本体部
28a ベース面
28b 接続面
30 表示デバイス
31 カラーフィルター基板
32 基材シート
33R 赤色着色部
33G 緑色着色部
33B 青色着色部
BM ブラックマトリクス
35 液晶層
PR 赤色画素
PG 緑色画素
PB 青色画素
36 駆動基板
37 基材シート
38 電極
39 駆動素子
50 ロール型
51 型面
52 線状凹部
52a 最深部
52b 基端部
58a 基準面
59 母材
60 バイト
61 刃先
62 凸部
62a 先端部
62b 基端部
68a 刃先基準面
71 ダイ
72 押圧ローラ
73 剥離ローラ
Claims (9)
- 複数の線状凸部を含む構造体を製造するために用いられる型であって、
円筒状の型面を備え、
前記線状凸部を賦型するための線状凹部であって、前記型面の中心軸線を中心として螺旋状に延びる少なくとも一条の線状凹部が、前記型面に設けられ、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の平均配列間隔Pmaveは、500nm以下である、型。 - 前記線状凹部は、折れ線状または波線状のパターンで、その長手方向に延びている、請求項1に記載の型。
- 前記線状凹部が、n(nは、二以上の自然数)条だけ前記型面に形成され、
前記中心軸線と平行な方向に沿って隣り合う二つの線状凹部の配列間隔は、n個おきに、それまでの(n−1)個の間隔よりも大きくなる、請求項1または2に記載の型。 - 前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
k(kは、二以上の自然数)条の線状凹部が、前記基準面の長手方向に沿うようにして当該基準面に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の型。 - 前記線状凹部が、k(は、二以上の自然数)条だけ前記型面に形成されている、請求項4に記載の型。
- 前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の型。 - 前記中心軸線を通過する断面において、前記型面は、前記中心軸線と平行な方向に配列された複数の基準面であって、各々が前記中心軸線に沿った一側から他側へ向けて前記中心軸線に接近していく、複数の基準面を含み、且つ、各基準面に複数個の線状凹部が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の型。
- 前記中心軸線からの距離が異なる複数の基準面が、中心軸線を中心として螺旋状に延び、
複数条の線状凹部が、各基準面の長手方向に沿うようにして各基準面に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の型。 - 前記中心軸線を通過する断面において、前記中心軸線からの距離が異なる複数の基準面が、前記中心軸線と平行な方向に沿って繰り返し配列され、且つ、各基準面に複数個の線状凹部が形成されている、請求項1〜3および8のいずれか一項に記載の型。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
WO2021177038A1 (ja) * | 2020-03-05 | 2021-09-10 | 株式会社J-オイルミルズ | 注出具、及び容器 |
WO2023163192A1 (ja) * | 2022-02-25 | 2023-08-31 | 大日本印刷株式会社 | 加飾シート、加飾部材、表示システム、版の製造方法、加飾シートの製造方法及び加飾部材の製造方法 |
-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014202090A patent/JP2016068477A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
WO2021177038A1 (ja) * | 2020-03-05 | 2021-09-10 | 株式会社J-オイルミルズ | 注出具、及び容器 |
CN115151490A (zh) * | 2020-03-05 | 2022-10-04 | J-制油株式会社 | 流出件以及容器 |
WO2023163192A1 (ja) * | 2022-02-25 | 2023-08-31 | 大日本印刷株式会社 | 加飾シート、加飾部材、表示システム、版の製造方法、加飾シートの製造方法及び加飾部材の製造方法 |
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