JP2015044181A - 撥水撥油性部材の製造方法及び撥水撥油性部材 - Google Patents

撥水撥油性部材の製造方法及び撥水撥油性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷や製造工程上の負荷が少なく、撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を得ることができる撥水撥油性部材の製造方法と、当該方法により製造された撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである支持部材を準備する工程と、前記支持部材の前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を形成する工程と、を有することを特徴とする、撥水撥油性部材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥水撥油性部材の製造方法及び撥水撥油性部材に関するものである。
タッチパネルディスプレイ等の表示装置のディスプレイや、建造物や自動車等の乗り物の窓、壁等においては、水滴や汚れの付着を防止するために、撥水性及び撥油性の付与が求められる。
従来、撥水機能を向上させるため、微細な凹凸構造の上にさらに撥水性化合物としてフッ素系化合物を含有する被覆層を設けることが行われている。例えば、特許文献1には、微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面に、化学結合可能な部位と疎水性官能基とを有する化合物であって、含炭素化合物から成る第1の撥水性化合物Aと、第1の撥水性化合物Aよりも炭素数が少ない含炭素化合物B及び/又は無機化合物Cから成る第2の撥水性化合物を備えることが記載されている。しかしながら、撥水性について更なる向上が求められていた。
また、特許文献2には、基体の表面に設けられた微細な凹凸を有する構造体表面の指紋濡れ広がりを抑制するために、パ−フルオロポリエーテル基またはフルオロアルキル基を持つアルコキシシラン化合物等のフッ素系樹脂を含む表面処理層を、ディップコーティングにより形成する旨が記載されている。
特許文献3には、基板上に作製した金属Al膜の温水処理によるAl化合物ナノシート上に酸化アルミニウム微粒子層膜を作製した二層構造を焼結処理した高強度複合ナノシート膜において、基板が透明基板であり、高強度複合ナノシート膜の表面にあるナノシート微細構造の表面に、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等の低分極率化合物シラン化合物をコーティングした超撥水性透明膜が開示されている。当該透明膜は、高い撥水性を実現しているものの、900〜1100℃もの高温による焼結処理が必要であり、製造工程上の負荷が高いという問題があった。
特開2010−201799号公報 特開2011−76072号公報 特開2011−213511号公報
従来、撥水性材料として用いられているフッ素化合物には、パーフルオロオクチル基(C17−)が含まれるものが多い。パーフルオロオクチル基を含むフッ素化合物は、その製造過程において生成されるパーフルオロオクタン酸(PFOA)の環境負荷、人体への影響が懸念される物質であるため、より環境負荷等の少ない材料を用いることが求められている。
また、生産工程上の負荷を低減するため、またフレキシブル性を付与するために、樹脂材料を用いながら高い撥水性及び撥油性を発現する部材が求められている。
樹脂材料を下地としてフッ素化合物を含む薄膜を形成する場合、ドライコーティング法を用いるには樹脂材料の耐性から条件が制約される。また、フッ素化合物を含む薄膜を形成する方法としてディップコーティング法は、片面のみに薄膜を成膜することが困難であるために、表示装置、窓、壁などに貼ることのできる部材を生産する方法としては問題がある。また、ディップコーティング法に用いられるシランカップリング基を有するフッ素化合物は、塗布後に常温または高温高湿の雰囲気で1時間以上放置することが推奨されており、ロールツーロール方式の生産には向かない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、環境負荷や製造工程上の負荷が少なく、撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を得ることができる撥水撥油性部材の製造方法と、当該方法により製造された撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を提供することを目的とする。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである支持部材を準備する工程と、
前記支持部材の前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、前記撥水撥油層の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で150°以上であることが、撥水撥油性部材の撥水性に優れる点から好ましく、前記撥水撥油層の表面におけるn−ヘキサデカンの静的接触角が、θ/2法で80°以上であることが、撥水撥油性部材の撥油性に優れる点から好ましい。
本発明に係る撥水撥油性部材は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGは50〜500nmであり、前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜であって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を有することを特徴とする。
なお、本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法及び撥水撥油性部材においては、前記撥水撥油層をパターン状に形成してもよい。
本発明によれば、環境負荷や製造工程上の負荷が少なく、撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を得ることができる撥水撥油性部材の製造方法と、当該方法により製造された撥水性及び撥油性に優れた撥水撥油性部材を提供することができる。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 本発明に用いられる支持部材の製造方法の一例を示す概略図である。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである支持部材を準備する工程と、前記支持部材の前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る撥水撥油性部材は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGは50〜500nmであり、前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜であって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を有することを特徴とする。
図1は、本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。図1の例では、まず、基材11の少なくとも一方の面に、前記特定の複数の微小突起2が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体20を有する支持部材10を準備する(図1(A))。次いで、支持部材10の微小突起構造体20の表面に、前記特定のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面3を有する撥水撥油層30を形成することにより、撥水撥油性部材100が得られる(図1(B))。
図1(B)に示す撥水撥油性部材100は、本発明に係る撥水撥油性部材の一例であり、基材11の少なくとも一方の面に、前記特定の複数の微小突起2が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体20を有し、当該微小突起構造体20の表面に、前記特定のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜であって、表面に凹凸面3を有する撥水撥油層30を有する。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、支持部材10が有する微小突起構造体20側の面に、化学蒸着法により、フッ素化合物の蒸着膜である撥水撥油層30を形成する。撥水撥油層30は、フッ素化合物が微小突起構造体20上に堆積されていくことにより形成されるため、形成された撥水撥油層30の表面は、微小突起構造体20が有する凹凸に起因した凹凸を有する凹凸面3となる。本発明に係る製造方法によって得られる撥水撥油性部材100は、撥水撥油層30側表面が凹凸面3となることにより、撥水性及び撥油性を有する撥水撥油層30の表面積が大きくなる。そのため、撥水撥油層30表面によって奏される撥水撥油効果がより一層向上し、当該凹凸面3に置かれた液体と、当該凹凸面3とが完全に接触する部分においては、優れた撥水及び撥油性能が発揮される。また、凹凸面3の微小突起間の溝が深く、その上に置かれた液体が撥水性を有する細かい隙間に侵入できない部分においては、液滴の下に空気(空気と液体との接触角は180°とみなすことができる)が残るため、凹凸面3に対する液滴の接触角がより大きくなり、さらに優れた撥水及び撥油性能が発揮される。なお、本発明において、撥水性及び撥油性の両方を兼ね備えた性質のことを「撥水撥油性」という場合がある。
また、従来は、撥水撥油性材料として、パーフルオロオクタン酸(PFOA)が副生され得る炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素化合物が用いられていた。これに対し、本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、撥水撥油層を形成する材料として、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物、即ち炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を含有しないフッ素化合物を用いる。そのため、環境負荷等が懸念されているパーフルオロオクタン酸(PFOA)が副生されず、環境負荷が少ない。また、フッ素化合物として、いずれの末端にもパーフルオロアルキル基を含有しないものや、酸素原子を含有するものを用いる方法に比べて、本発明に係る製造方法により得られた撥水撥油性部材は撥水撥油性に優れる。これは、本発明で特定するフッ素化合物を用いることにより、撥水撥油性能を発揮するパーフルオロアルキル基が、撥水撥油層表面により多く存在することになり、且つ、酸素を含有せず、例えば水酸基やシラノール基等の親水性基により撥水撥油性能が阻害されないからと考えられる。
さらに、本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、化学蒸着法により、高温環境下にすることなく撥水撥油層30を形成することができる。そのため、支持部材の材料は、耐熱性の高い材料に限定されず、材料選択の幅が広い。支持部材の材料選択の幅が広いことにより、樹脂フィルム等のフレキシブル性の高い支持部材を用いることができるため、得られた撥水撥油性部材を後から貼り付けて使用する場合においても、設置場所が限定され難く、且つ容易に設置することができる。また、撥水撥油層30の形成を高温環境下で行う必要がないことから、高温加熱による微小突起構造体20の変形を抑制することができる。よって、本発明の製造方法においては、撥水撥油層30の表面を所望の凹凸面とすることが容易である。また、化学蒸着法は、真空蒸着法やスパッタリング法のような物理的成膜法に比べて成膜時の圧力が高いため、粒子の回り込みがよく、微細凹凸に対するステップカバレッジに優れている。そのため、本発明の製造方法においては、撥水撥油層30を微小突起構造体20の表面に容易に均一に形成することができる。
また、本発明に係る撥水撥油性部材100は、撥水撥油性が付与されることにより、さらに防汚性も良好になる。
1.支持部材準備工程
本発明に用いられる支持部材10は、図1(A)に示すように、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起2が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体20を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである。
支持部材10において、微小突起構造体20は、図1(A)に示すように、基材と一体となって形成されるものであってもよいし、図示はしないが、基材とは別の材料からなる微小突起層に形成されるものであってもよい。
<基材>
本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。前記基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、金属、紙、木、及びこれらの複合材料等が挙げられる。本発明の製造方法によれば、耐熱性の高い基材だけでなく、比較的耐熱性の低い樹脂基材であっても好適に用いることができる。
図1(A)に示すように、基材と微小突起構造体20が一体となって形成される場合は、基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂や後述する微小突起形成用の樹脂組成物を用いることができる。
また、前記基材は、シートであってもフィルムであってもよく、また、巻き取れるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。基材の厚みは、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、通常10〜5000μmである。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
微小突起構造体20が、基材とは別の材料からなる微小突起層に形成される場合は、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、基材上に中間層を形成してもよい。
本発明に用いられる基材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、分光透過率が80%以上の透明基材を用いることもできるし、分光透過率が80%未満の半透明の基材又は不透明の基材を用いることもできる。前記分光透過率は、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定することができる。
本発明に係る撥水撥油性部材を、例えば窓や液晶保護フィルム等のような透明部材に用いる場合には、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。
また、本発明に係る撥水撥油性部材を、ガラス部分へ設置する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
<微小突起構造体>
前記支持部材10は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起2が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体20を有する。
本発明において、前記微小突起構造体20を構成する微小突起2は、撥水撥油層30が有する凹凸面3の表面積を増大させ、撥水撥油性を向上する観点から、隣接する前記微小突起間の距離d(以下、「隣接突起間距離d」と称する。)の平均dAVGが、50〜500nmとなるよう密接して配置される。この隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
また、本発明に係る撥水撥油性部材に反射防止機能が付与される観点からは、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGが可視光線帯域の最短波長以下であることが好ましい。ここで、可視光線帯域の最短波長は、撥水撥油性部材が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、撥水撥油性部材が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長として採用する。なお、本発明に係る撥水撥油性部材が反射防止性能を発揮するためには、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGが可視光線帯域の最短波長以下であるとともに、当該部材の透過率が80%以上であることが好ましい。
前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、撥水撥油性の向上及び反射防止性能の付与の観点からは、dAVG≦300nmであることが好ましく、dAVG≦200nmであることがより好ましく、dAVG≦150nmであることが更により好ましい。
また、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、dAVG≧50nmであることが、製造が容易である点から好ましい。
また、前記微小突起構造体20を構成する微小突起群2の中には、頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)が含まれていても良い。本発明においては、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことにより、前記微小突起構造体の表面積がさらに増大し、その上に形成される撥水撥油層の表面積も増大することにより、撥水撥油性を向上させることができる。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂点を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。また、多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、樹脂組成物からなる微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明の撥水撥油性部材は、微小突起構造体20を構成する微小突起2として、多峰性の微小突起を有することにより、機械的強度及び耐擦傷性も向上する。
前記微小突起構造体20を構成する微小突起2の高さHの平均値HAVGは、特に限定されないが、撥水撥油性及び反射防止性能が向上する観点及び製造が容易である点から、50〜350nmであることが好ましく、100〜250nmであることが特に好ましい。
ここで各微小突起2の高さHとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。単峰性の微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の突起高さとなる。多峰性の微小突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さをもって該微小突起の高さとする。
本発明において、隣接突起間距離dの平均値dAVG及び微小突起の高さHの平均値HAVGは、以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図2は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた模式図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。隣接突起間距離dの標準偏差σは、特に限定されない。平均値dAVGに対する標準偏差σの比は、10%〜32%であることが好ましく、15%〜30%であることがさらに好ましい。
同様の手法を適用して微小突起の高さHの平均値HAVGを求める。まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。この場合は麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、基材の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ基材の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
また、前記微小突起構造体20を構成する各微小突起2は、高さに高低差があるものとすることができる。各微小突起2の高さに高低差がある場合には、前記微小突起構造体20上に形成される撥水撥油層30の表面を、高さに高低差がある微小突起を有する凹凸面3とすることができるため、当該撥水撥油層30の表面に各種の部材が配置されたときに、凹凸面3を構成する多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、当該部材と接触することになる。これにより、例えば別の部材の接触により高さの高い微小突起の形状が損なわれた場合でも、高さの低い微小突起においては、形状が維持されることになるため、耐擦傷性が向上する。さらに、多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、当該部材と接触することになるため、相対的に高さの低い微小突起には汚れが付きにくくなるので、耐汚染性も向上する。
また、撥水撥油層30の凹凸面3を構成する微小突起の高さが種々に異なる場合には、凹凸面3が同一高さの微小突起のみにより構成される場合に比して格段的に滑りを良くすることができ、製造工程等における撥水撥油性部材の取り扱いを容易とすることができる。
微小突起構造体20を構成する各微小突起2の高さの高低差は、標準偏差により規定した場合に、15nm以上60nm以下であることが好ましい。15nm以上であることにより、撥水撥油層30の凹凸面3の滑り、耐擦傷性及び耐汚染性がより向上する。60nmを超えると、撥水撥油層30の凹凸面3のざらつき感が感じられるようになる場合がある。
前記微小突起2のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間距離dAVG)は、特に限定されないが、0.4〜2.5であることが好ましく、0.8〜2.1であることが特に好ましい。
また、前記微小突起構造体20を構成する各微小突起2は、基材に植立するように形成され、その形状は、特に限定されないが、中でも、得られる撥水撥油性部材の撥水撥油性及び反射防止性能が向上する点から、当該微小突起2の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起2を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起2の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起2の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起2は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
本発明において、前記微小突起構造体20を、基材とは別の材料からなる別層である微小突起層に形成する場合、当該微小突起層の厚みは、特に限定されないが、通常3〜30μmである。なお、この場合の微小突起層の厚みとは、微小突起層の基材側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
また、本発明において、前記微小突起構造体20は、支持部材10の両面に形成されていても良い。
本発明において、前記微小突起構造体20を構成する各微小突起2は、樹脂組成物を硬化させてなるものである。微小突起形成用の樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。なお、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
前記支持部材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、分光透過率が80%以上の透明であっても良いし、分光透過率が80%未満の半透明又は不透明であっても良い。前記分光透過率は、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定することができる。
<支持部材の製造方法>
前記支持部材10の製造方法は、上述した前記支持部材10を製造することができる方法であれば特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、基材の少なくとも一方の面に、賦形により微小突起構造体20を形成する方法が好ましい。
前記微小突起構造体20は、基材上に設けた当該基材とは別の材料からなる別層の表面に賦形しても良いし、基材が上述した樹脂組成物等の賦形可能な材料からなる場合は、当該基材表面に直接賦形しても良い。
支持部材10の製造方法としては、例えば以下の方法等が挙げられる。すなわち、まず基材上に樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体を形成し、前記微小突起構造体形成用原版を剥離する方法等である。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
また、前記微小突起構造体形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。本発明においては、前記微小突起構造体形成用原版として、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図3に、微小突起形成用の樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微小突起構造体形成用原版としてロール金型を用いて、前記支持部材10を製造する方法の一例を示す。この製造方法では、まず、樹脂供給工程において、ダイ31により、帯状フィルム形態の基材11に、微小突起層21となる微小突起構造体の受容層21’を構成する未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。尚、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ31による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ33により、賦形用金型であるロール金型32の周側面に基材11を加圧押圧し、これにより基材11に未硬化の受容層21’を密着させると共に、ロール金型32の周側面に形成された微小な凹凸形状の凹部に受容層21’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより基材11の表面に微小突起構造体を有する微小突起層21が形成される。続いて剥離ローラ34を介してロール金型32から、硬化した微小突起層21と一体に基材11を剥離する。必要に応じてこの基材11に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断する。これにより、所望の形状の微小突起構造体が形成された支持部材10が、効率良く大量生産される。
なお、多峰性の微小突起と単峰性の微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理において作製される微小突起構造体形成用原版の微小孔の間隔をばらつかせることにより実現することができる。
また、個々の微小突起の高さのばらつきは、微小突起構造体形成用原版に形成される微小孔の深さのばらつきによるものであり、陽極酸化処理工程におけるばらつきを大きくすることにより実現することができる。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦形処理により、フィルム形状の基材11上に微小突起構造体20を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、基材の形状に応じて、賦形処理に係る工程、金型は適宜変更することができる。例えば、平板状又は特定の曲面形状の賦形用金型を使用した賦形処理等により、枚葉状の基材上に微小突起構造体を形成することができる。
2.撥水撥油層形成工程
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法は、前記支持部材10を準備する工程の後に、図1(B)に示すように、前記支持部材10の前記微小突起構造体20の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層30を形成する工程を有する。
本発明に係る製造方法においては、前記フッ素化合物が炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を含有しないため、環境負荷等が懸念されているパーフルオロオクタン酸(PFOA)が副生されず、環境負荷が少ない。
また、本発明に係る製造方法に用いられるフッ素化合物は、酸素原子を含有しない、すなわち、水酸基やシラノール基等の親水性基を有しない。そのため、撥水性及び撥油性が阻害され難くなり、撥水性及び撥油性を更に向上することができると考えられる。
前記フッ素化合物としては、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物であれば特に限定されないが、例えば、テトラフルオロメタン、パーフルオロエタン、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン等のパーフルオロアルカン類、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(4−メチル−2−ペンテン)、パーフルオロ(2−メチル−2−ペンテン)、パーフルオロ−1−ヘキセン等のパーフルオロアルケン類、及び下記式(1)により表されるフッ素化合物等が挙げられる。
前記パーフルオロアルキル基としては、撥水性及び撥油性の点から、中でも炭素数が3〜6のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、更に、炭素数が4〜6のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
また、フッ素化合物には、イオンやラジカル等の活性種が発生し易い、不飽和炭化水素基や、ヨード基を含有することが好ましい。
前記フッ素化合物としては、中でも、下記式(1)により表される炭素数10以下のフッ素化合物が好ましい。
F(CF−Y 式(1)
(式(1)中、nは1〜6であり、Yはフッ素原子及び酸素原子を含有しない置換基である。)
nは好ましくは3〜6であり、更に好ましくは4〜6である。
前記Yとしては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、並びに、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子よりなる群から選択されるハロゲン原子等の置換基が挙げられる。前記アルキル基としては、更に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、前記アルケニル基としては、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましい。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、各種ブテニル基等を挙げることができる。
前記式(1)により表される炭素数10以下のフッ素化合物としては、具体的には例えば、1H−パーフルオロペンタン、1H−パーフルオロヘキサン等の1H−パーフルオロアルカン類、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン等のパーフルオロアルキルエチレン類、パーフルオロブチルヨージド、パーフルオロヘキシルヨージド、1−クロロトリデカフルオロペンタン、1−クロロトリデカフルオロヘキサン、1−ブロモトリデカフルオロペンタン、1−ブロモトリデカフルオロヘキサン等のハロゲン化パーフルオロアルキル類等が挙げられる。
前記フッ素化合物としては、前記式(1)により表されるフッ素化合物の中でも、Yで表される置換基が、水素原子、炭素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子よりなる群から選択される1種の原子、又は、炭素原子と、水素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子よりなる群から選択される1種以上の原子とからなる化合物であることがより好ましい。炭素原子と、水素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子よりなる群から選択される1種以上の原子とからなる化合物としては、炭化水素基が好ましく、中でも不飽和炭化水素基が好ましく、更にアルケニル基が好ましい。
好適なフッ素化合物としては、例えば、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロヘキシルヨージド等が挙げられる。
本発明に係る製造方法では、前記フッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって撥水撥油層30を形成する。そのため、撥水撥油層30は、前記フッ素化合物が基板表面あるいは気相での化学反応を経て微小突起構造体20表面に薄膜を堆積することにより形成され、撥水撥油層30の表面は、微小突起構造体20の凹凸に由来した凹凸を有する凹凸面3となる。また、本発明に係る製造方法では、化学蒸着法を用いることにより、撥水撥油層30を微小突起構造体20の表面に容易に均一に形成することができる。
本発明において、化学蒸着法による撥水撥油層30の形成の際には、支持部材又は支持部材が接する台の温度をコントロールできる状態で行うことが好ましい。支持部材の温度又は支持部材が接する台の温度が高すぎると、耐熱性の観点から、支持部材の基材として樹脂フィルム等の相対的に耐熱性の低い材料の使用が困難となる場合がある。本発明においては、前記温度を低温にすることができるため、支持部材の基材としてPETフィルム等の樹脂フィルムを使用することができ、材料の選択の幅が広く、また、微小突起構造体が有する凹凸形状の加熱による変形を抑制することができる。前記温度は、支持部材の耐熱性により異なるが、支持部材の基材として特に好ましく用いられるPETフィルムやTACフィルムの使用可能温度の観点から120℃以下であることが好ましく、PETフィルムなどのガラス転移点(Tg)を考慮すると70℃以下であることがより好ましい。本発明の好ましい態様によっては、前記温度を50℃以下とすることもできる。また、前記温度は、通常、−20℃以上である。
前記化学蒸着法としては、特に限定されないが、支持部材又は支持部材が接する台の温度を比較的低温にして行うことができる点から、プラズマCVD法が好ましい。プラズマCVD法は通常減圧するが、大気圧プラズマCVD法を用いることもできる。
前記撥水撥油層30の厚さは、撥水撥油層30が表面に凹凸面3を有するものとなる厚さであれば特に限定されず、支持部材10が有する微小突起構造体20の形状によって適宜調整される。
前記撥水撥油層30の厚さは、例えば、支持部材10の微小突起構造体20側の表面を平坦面にして当該平坦面上に撥水撥油層30を形成したと仮定した場合の厚さが、3〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜80nmの範囲内であり、更により好ましくは4〜50nmの範囲内である。すなわち、撥水撥油層30をなすフッ素化合物の量が、平面視において同面積となる平坦面に成膜した際に、前記厚さとなる量であることが好ましい。さらに言い換えると、撥水撥油層30は、平面視において同面積となる平坦面に成膜した場合に、前記厚さの膜が形成される条件で成膜されたフッ素化合物からなる膜であることが好ましい。撥水撥油層30の厚さを前記範囲内とすることにより、撥水撥油層30の表面を、微小突起構造体20の凹凸に追従した形状の凹凸面にすることが容易になり、また、撥水撥油層30の透過率が向上する。
支持部材10の微小突起構造体20側の表面を平坦面にして当該平坦面上に撥水撥油層30を形成したと仮定した場合の厚さの測定は、例えば、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で、当該シリコンウエハの表面に、本発明の撥水撥油性部材が備える撥水撥油層30の形成に用いられるフッ素化合物と同じ量のフッ素化合物を用いて、本発明の撥水撥油性部材と同じ方法により撥水撥油層を形成し、その後マスキングを除去することにより、シリコンウエハの表面に撥水撥油層を形成する部分と形成しない部分を設け、撥水撥油層のある部分とない部分の段差を測定することにより、行うことができる。
また、前記撥水撥油層30の厚さは、本発明の撥水撥油性部材を厚み方向に切断した垂直断面のSEM、STEMなどの電子顕微鏡写真を観察することにより測定することもできる。この場合に測定される撥水撥油層30の厚さは、3〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜80nmの範囲内であり、更により好ましくは4〜50nmの範囲内である。
撥水撥油層30の厚さを前記範囲内とすることにより、撥水撥油層30の表面を、微小突起構造体20の凹凸に追従した形状の凹凸面にすることが容易になり、また、撥水撥油層30の透過率が向上する。なお、撥水撥油層30の厚みは、成膜時における成膜圧力、成膜時間等の成膜条件を適宜変更することにより、調整することができる。
前記撥水撥油層30は、表面に凹凸面3を有する。当該凹凸面3は、通常、前記微小突起構造体20が有する凹凸に起因する形状の凹凸面3である。本発明においては、特定のフッ素化合物を蒸着源として微小突起構造体20の凹凸に追従して堆積することにより前記撥水撥油層30を形成する。そのため、撥水撥油層30は、前記微小突起構造体20の凹凸面3の凹凸に追従した形状を有する。撥水撥油層30の前記凹凸面3の凹凸に追従した形状は、反射防止機能等の微小突起構造体20が有する機能を同様に発現できる程度に微小突起構造体20の凹凸と同様の形状であることが好ましい。具体的には例えば、撥水撥油層30を含めて複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を考えた場合に、当該撥水撥油層30を含めた微小突起群においても、微小突起間の距離の平均dAVGと微小突起の高さの平均値HAVGが、同様の範囲にあることが好ましい。
前記撥水撥油層30を微小突起構造体20の凹凸に追従して形成する方法は、特に限定されないが、例えば、平坦面上に撥水撥油層30を形成したと仮定した場合に好ましくは3〜100nm、より好ましくは4〜80nm、更により好ましくは4〜50nmのフッ素化合物の蒸着膜が形成される条件で、前記撥水撥油層30を微小突起構造体20の表面に形成する方法が挙げられる。撥水撥油層30の厚さを前記範囲内にすることにより、当該撥水撥油層30の表面を、微小突起構造体20の凹凸に追従して形成されてなる凹凸面3とすることが容易になる。
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、前記支持部材10として微小突起構造体20が上記の反射防止性能を発揮し得る形状を有するものを用い、当該微小突起構造体20の凹凸に追従して撥水撥油層30を形成することにより、撥水撥油性及び反射防止性能に優れた撥水撥油性部材を得ることができる。すなわち、撥水撥油層30の凹凸面3を構成する微小突起を、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有するものとし、凹凸面3の隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGを380nm以下、より好ましくは距離dの最大値を380nm以下とすることにより、撥水撥油性及び反射防止性能に優れた撥水撥油性部材を得ることができる。
本発明に係る撥水撥油性部材は、撥水性の観点から、前記撥水撥油層30の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で150°以上であることが好ましい。
本発明に係る撥水撥油性部材は、撥油性の観点から、前記撥水撥油層の表面におけるn−ヘキサデカンの静的接触角が、θ/2法で80°以上であることが好ましく、90°以上であることがより好ましい。
なお、本発明において静的接触角は、測定対象物の表面に接触角を測定しようとする溶剤(純水又はn−ヘキサデカン)の1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。ただし、1.0μLの液滴を測定対象物の表面に接触させても表面に液滴が残らない場合は、3.0μLの液滴を滴下する。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
また、前記静的接触角は、撥水撥油層30の表面を構成するフッ素化合物の種類、撥水撥油層30の凹凸面3の形状等を変更することにより、調整することができる。
本発明において前記撥水撥油層は、前記微小突起構造体の表面全面に形成し、前記微小突起構造体の表面全面に配置されてなるものであっても良いし、用途に応じてパターン状に形成し、前記微小突起構造体の表面にパターン状に配置されてなるものであっても良い。
前記撥水撥油層をパターン状に形成する場合の撥水撥油層のパターン形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができるが、例えば、ストライプ状、L字状、マトリクス状、開放端を有しない縁どりを持つ任意の図形、開放端を有する縁どりを持つ任意の図形等の形状が挙げられる。開放端を有しない縁どりを持つ任意の図形は、例えば、縁部を撥水撥油層とし、縁部の内部に存在する内部図形部を親水性とすることにより、内部図形部に水がたまったときに図形を浮かび上がらせることができる。開放端を有する縁どりを持つ任意の図形は、例えば、縁部を撥水撥油層とし、縁部の内部に存在する内部図形部を親水性とし、内部図形部に水がたまったときに図形を浮かび上がらせることができ、縁部の開放端を、内部図形部からの排水用の流路とすることができる。
前記撥水撥油層をパターン状に形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、化学蒸着法による撥水撥油層の形成の際に、当該撥水撥油層の下地となる微小突起構造体表面に、所望のパターン形状のフィルムマスク、メタルマスク等を用いてマスキングをする方法等が挙げられる。また、前記微小突起構造体表面に、親水性のインクを所望のパターン形状に塗布し、当該パターン形状塗膜をマスクとして化学蒸着法によって撥水撥油層を形成した後、表面を水洗することにより、前記親水性のインク及び当該インク上に形成された撥水撥油層を除去することで、所望のパターン状の撥水撥油層を形成することもできる。或いは、感光性樹脂組成物を用いて、前記微小突起構造体表面に所望のパターン形状塗膜を作成し、当該パターン形状塗膜をマスクとして化学蒸着法によって撥水撥油層を形成した後、感光性樹脂組成物を所望の剥離液等で除去することにより、所望のパターン状の撥水撥油層を形成することもできる。
前記撥水撥油層のパターンの幅は、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、撥水撥油層の撥水撥油性能が十分に発現される点から、0.1mm以上であることが好ましい。なお、前記パターンの幅は、ライン状であればライン幅が前記下限値以上であることが好ましく、マトリクス状等ライン状以外の形状の場合は、その形状のうち最も小さい幅を有する部分の当該幅が前記下限値以上であることが好ましい。
また、前記撥水撥油層のパターン形状の撥水撥油層部分の幅と撥水撥油層が設けられていない部分の幅との比(撥水撥油層部分の幅/撥水撥油層が設けられていない部分の幅)は、特に限定されるものではない。例えば、本発明に係る撥水撥油性部材を窓のような透明な部分の透明部材として用いる場合には、反対側を見通しやすくするため、防曇効果を有する部分、即ち撥水撥油層が設けられていない部分の幅をむしろ広くすることが好適に用いられる。
例えば、本発明に係る撥水撥油性部材においては、前記撥水撥油層をパターン状に形成し、撥水撥油層が設けられていない部分を当該部材表面に付着した液滴を排出するための流路とすることができる。例えば、本発明に係る部材表面を傾斜面とすることにより、部材表面に付着した水滴及び油滴は重力に従って移動し、このとき、撥水撥油性能を有する撥水撥油層を避けて、撥水撥油層が設けられていない部分へと集まる。このように、撥水撥油層が設けられていない部分を、水滴及び油滴の流路とすることができ、撥水撥油層がパターン状に配置されてなる本発明の撥水撥油性部材は、排水排油部材として用いることも可能である。
例えば、撥水撥油層が設けられていない部分を水滴及び油滴の流路として用いる場合、前記撥水撥油層のパターンの幅は、例えば0.1mm〜50mmが好適に用いられ、更に0.1mm〜10mmが好適に用いられる。すなわち、撥水撥油層のパターンがライン状であればライン幅が前記範囲内であることが好ましく、マトリクス状等ライン状以外の形状の場合は、その形状のうち最も小さい幅を有する部分の当該幅が前記下限値以上であり、且つその形状のうち最も大きい幅を有する部分の当該幅が前記上限値以下であることが好ましい。撥水撥油層のパターンの幅が前記下限値以上であることにより、撥水撥油性能並びに水滴及び油滴の流路の方向を導くガイドとしての機能が十分に発現される。また、視認性の観点から、前記撥水撥油層のパターンの幅は、前記上限値以下であることが好ましい。なお、本発明において視認性とは、撥水撥油性部材を通して反対側を視認することができる性能をいう。
また、撥水撥油層が設けられていない部分を水滴及び油滴の流路として用いる場合、撥水撥油層が設けられていない部分の幅は、1mm〜100mmの範囲内であることが好ましく、1mm〜20mmの範囲内であることがより好ましい。撥水撥油層が設けられていない部分の幅が、前記下限値以上であることにより、水滴及び油滴が流れ易くなる。また、撥水撥油層が設けられていない部分の幅が、前記上限値を超えると、水滴及び油滴が流れにくくなることにより、視認性に劣る場合がある。なお、撥水撥油層が設けられていない部分の幅とは、パターン状に配置された撥水撥油層間の幅をいい、撥水撥油層のパターンがライン状であれば撥水撥油層のライン間の幅が前記範囲内であることが好ましく、マトリクス状等ライン状以外の形状の場合は、その形状のうち撥水撥油層間の距離が最も小さい部分の幅が前記下限値以上であり、且つその形状のうち撥水撥油層間の距離が最も大きい部分の幅が前記上限値以下であることが好ましい。
例えば、撥水撥油層が設けられていない部分を水滴及び油滴の流路として用い、且つ、本発明に係る撥水撥油性部材を窓のような透明な部分の透明部材として用いたり、透視性が必要な部分に用いる場合には、前記撥水撥油層のパターン形状の撥水撥油層部分の幅と撥水撥油層が設けられていない部分の幅との比(撥水撥油層部分の幅/撥水撥油層が設けられていない部分の幅)は、水滴及び油滴の流れ易さ並びに視認性の観点から、1/1〜1/100とすることが好ましく、1/1〜1/10とすることがより好ましく、1/1〜1/5とすることが更により好ましい。
また、撥水撥油層が設けられていない部分を水滴及び油滴の流路として用い、且つ、本発明に係る撥水撥油性部材を窓のような透明な部分の透明部材として用いたり、透視性が必要な部分に用いる場合には、前記撥水撥油層のパターン形状の撥水撥油層部分の面積と撥水撥油層が設けられていない部分の面積との比(撥水撥油層部分の面積/撥水撥油層が設けられていない部分の面積)は、撥水撥油層のパターン形状により適宜選択されればよく、特に限定はされないが、通常1/1〜1/200である。中でも前記比は、水滴及び油滴の流れ易さ並びに視認性の観点から、1/1〜1/100とすることが好ましく、1/1〜1/10とすることがより好ましく、1/1〜1/5とすることが更により好ましい。
撥水撥油層を備えていない部分を水の流路とする場合は、撥水撥油層を備えていない部分の表面は、水滴が集まり易い点から、親水性材料からなることが好ましい。即ち、撥水撥油層の下地となる微小突起構造体の表面が、親水性材料からなることが好ましい。
前記親水性材料としては、例えば、上述した微小突起形成用の樹脂組成物と同様の樹脂組成物の中から適宜選択して用いることができる。
親水性材料を選択する目安として、前記樹脂組成物は、平坦な硬化膜としたときの表面における純水の静的接触角が、θ/2法で85°以下であることが好ましく、より好ましくは70°以下であり、より更に好ましくは60°以下である。
なお、本発明において静的接触角は、測定対象物の表面に接触角を測定しようとする溶剤(純水)の1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
前記撥水撥油層をパターン状とした本発明に係る撥水撥油性部材の用途としては、例えば、冷蔵ショーケースが挙げられる。冷蔵ショーケースは、内外の温度差により部材の表面に結露が生じ易く、結露により天井に生じた水滴が、冷蔵ショーケース内に置かれた商品に落下するおそれがある。特に、オープンタイプのエアーカーテン吹出し部は、表面温度が露点温度以下となり結露する。そのため、従来は、エアーカーテン吹出し部の他、吸い込み部、扉及び側板ガラス等の十分な断熱効果が得られない箇所にも防露ヒーターを配置して結露を防止し、水滴の落下を防いでいる。よって、電力の消費等の問題があった。
これに対し、冷蔵ショーケース内部の天井を構成する部材として、撥水撥油層がパターン状に形成された本発明に係る撥水撥油性部材を用いることにより、商品への水滴の落下を防ぐことができる。具体的には、例えばストライプパターン状の撥水撥油層を有する本発明に係る撥水撥油性部材を、撥水撥油層側が表面になり、且つストライプパターンが水平方向に対して傾斜を有するように、冷蔵ショーケース内部の天井部分に設置する。これにより、結露により当該天井に付着した水滴は、撥水撥油層が設けられていない部分に集められ、当該部分が流路となって、集められた水滴が重力に従って流路を移動して排出される。これにより、冷蔵ショーケースの天井に付着した水滴が商品に落下することを防止でき、ヒーターの使用を必要としないため、省電力にもなる。同様に、冷蔵ショーケース内部の扉、側板ガラス、棚などに設置することにより、ヒーターを用いずに、結露を商品に付着することなく、適宜排水することができる。
パターン状の撥水撥油層を有する本発明に係る撥水撥油性部材は、冷蔵ショーケースの他にも、同様の原理を利用して、例えば浴室の天井、農業用ビニールハウスの天井等に用いることができる。本発明に係る撥水撥油性部材を浴室又は農業用ビニールハウスの天井に使用した場合は、当該天井に付着した水滴を所望の流路を通って排出させることができるため、天井からの水滴の落下を防ぐことができる。
パターン状の撥水撥油層を有する本発明に係る撥水撥油性部材は、特定の濡れ性を利用して、印刷版、カラーフィルター等の印刷用部材、表示用部材、レンズ、輸送用部材、建築装飾用部材等の用途にも幅広く用いることができる。例えば、本発明に係る撥水撥油性部材を印刷用部材として用いる場合においては、インクを転写する際に、撥水撥油層を有する部分はインクを反発する部分となり、親水性の部分はインクを受容する部分となる。また、本発明に係る撥水撥油性部材を電気基板として用いる場合は、撥水撥油層を有する部分又は撥水撥油層を有しない親水性部分に、導電性を有する配線を形成し、所定位置に半導体素子を自己整合配列させることも可能である。
また、本発明に係る撥水撥油性部材を用いることにより、DNAアレイによる抗原抗体反応の高感度化や、流体セル等の低圧損化を実現し得る。即ち、DNAアレイでは、セルの部分には撥水撥油層を設けず、セルの部分にのみ親水性の領域を形成することにより、液体を残して抗原抗体反応を高感度に検出することができる。また、マイクロTAS(Micro Total Analysis System)等、ミクロンオーダーの流体セルでは、流体を流したくない部分に撥水撥油層を形成し、流体を流したい流路部分を親水性の領域とすることにより、所望の部分のみに流体が流れやすくなるため、より低圧で流体を流すことが可能である。
本発明に係る撥水撥油性部材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、分光透過率が80%以上の透明であっても良いし、分光透過率が80%未満の半透明又は不透明であっても良い。前記分光透過率は、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定することができる。
本発明に係る撥水撥油性部材を透明部材として用いる場合は、分光透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更により好ましい。撥水撥油性部材が透明部材である場合は、撥水撥油層30の凹凸面3の形状を、反射防止機能を発現し得る形状とすることにより、撥水撥油性部材に反射防止機能を付与することができる。
また、本発明において、前記微小突起構造体20が支持部材10の両面に形成されている場合、撥水撥油層30は、当該両面に形成された各微小突起構造体20の表面に形成しても良い。
3.その他の工程
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、微小突起構造体20及び撥水撥油層30を有しない面に接着剤層を形成し、更に当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層する工程を有していてもよい。これにより、本発明に係る撥水撥油性部材を接着加工品とすることができる。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。
また、本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法においては、撥水撥油層30の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着させる工程を有していてもよい。これにより、撥水撥油層30表面に保護フィルムを仮接着した状態で、本発明に係る撥水撥油性部材の保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることができるため、保管、搬送等の間における撥水撥油層30表面の損傷、汚染を防止することができる。
<撥水撥油性部材の用途>
本発明に係る撥水撥油性部材は、撥水性及び/又は撥油性が必要なあらゆる用途に用いることができ、特に限定されないが、例えば、自動車、電車、航空機等の乗り物や建造物等の窓ガラス又は強化ガラス、デパート等店舗のショーウィンドウ、商品や美術品のショーケース、PDA乃至は携帯情報端末、カーナビゲーションシステム、券売機、ATM(現金自動預金支払兼用機)等のタッチパネルディスプレイ及びその他の液晶画面に用いられる液晶保護フィルム、外壁用建材、台所、風呂場、洗面所、トイレ等の水回り空間に使用される建材等において、撥水撥油効果を発揮して好ましく用いることができる。
本発明に係る撥水撥油性部材は、撥水撥油性を付与したい部分に後から貼り付ける態様において用いても良いし、撥水撥油性が必要な部材そのものとして用いても良い。
本発明に係る撥水撥油性部材を後から貼り付ける態様において用いる場合は、中でも、透過率が80%以上であることが、意匠性を妨げることなく、撥水撥油性を付与することができる点から好ましい。
さらに、本発明に係る撥水撥油性部材は、上述した方法により、撥水撥油性に加えて反射防止性能を発揮する態様とすることができる。反射防止性能をも発揮し得る本発明に係る撥水撥油性部材は、前記用途の中でも、特に優れた視認性が求められる、窓ガラス、ショーウィンドウ、ショーケース、液晶保護フィルム等として好ましく用いることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(金型1の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて100秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で50秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で120秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微小孔が密に形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用の金型1を得た。なお、金型1のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微小孔間距離100nm、平均深さ160nmであった。
(金型2の作製)
第一エッチング処理時間を60秒、第二エッチング処理時間を130秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離200nm、平均深さ160nmの微小突起構造体形成用の金型2を得た。
(微小突起形成用樹脂組成物の調製)
以下の各成分を混合し、微小突起形成用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物と称する)を調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
[実施例1]
1.支持部材の準備
上記で得られた樹脂組成物を、金型1の凹凸形状を有する面が覆われ、微小突起構造体が形成される微小突起層の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。金型全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させた。その後、金型より剥離し、実施例1の支持部材を得た。
得られた支持部材の微小突起構造体側表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離100nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。
2.撥水撥油層の形成
撥水撥油層の形成のため、平行平板型の電極構造を有するプラズマCVD装置(アネルバ製、型番:PED−401)を使用した。直径325mmの下部電極に40kHzの高周波電力が投入されるように改造してある。また下部電極はチラーにより温度設定が可能である。上部電極はガスを導入するためシャワーヘッドになっている。フッ素化合物を導入するためのバブラーを設置し、ウォーターバスにより温度を設定できるようにした。バブラーからニードルバルブを介して、プラズマCVD装置内にガスが導入される。ニードルバルブの調整によりバブラーの圧力を変更できる。
得られた支持部材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置した。また、膜厚を測定するため、表面が鏡面加工されたシリコンウエハを一部マスキングした状態で下部電極上に設置した。下部電極の温度は18℃とした。チャンバーを閉めて5mTorrまで減圧したあと、Arガスをキャリアガスとし、バブリングして、フッ素化合物(モノマー材料)として(パーフルオロヘキシル)エチレン(ダイキン工業(株)製、品番:F−1620)をプラズマCVD装置の真空チャンバー内に供給した。このとき、Arガスの流量を50sccm、バブラーの温度を25℃、バブラーの圧力を150Torrとした。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を400mTorrに調整したのち、放電電力を52Wとし、成膜を行った。成膜時間は5分間とした。成膜時間経過後放電を止めて、大気圧に戻してから、蒸着膜が成膜された支持部材をCVD装置のチャンバーから取り出すことにより、支持部材の微小突起構造体側の面にフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜である撥水撥油層が形成された実施例1の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層の膜厚が37nmであり、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。なお、撥水撥油層の膜厚は、シリコンウエハ上の撥水撥油層のある部分とない部分の段差を小阪研究所製サーフコーダET4000Lにて測定することで確認した。以下の各実施例及び比較例においても同様である。
[実施例2]
撥水撥油層の形成において、成膜時間を5分から1分に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層の膜厚が7nmであり、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
[実施例3]
支持部材の準備において、金型1の代わりに金型2を用い、撥水撥油層の形成において、成膜圧力を400mTorrから30mTorrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の撥水撥油性部材を得た。
実施例3において用いた支持部材は、微小突起構造体側表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離200nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層の膜厚が4nmであり、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
[実施例4]
撥水撥油層の形成において、フッ素化合物としてF−1620の代わりに、(パーフルオロブチル)エチレン(ダイキン工業(株)製、品番:F−1420)を用い、成膜圧力を400mTorrから200mTorrに変え、放電電力を52Wから105Wに変え、キャリアガスを用いず、バブラーの圧力を150Torrから210Torrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層の膜厚が47nmであり、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
[実施例5]
撥水撥油層の形成において、フッ素化合物としてF−1620の代わりに、パーフルオロヘキシルヨージド(ダイキン工業(株)製、品番:I−1600)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層の膜厚が4nmであり、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
[実施例6]
撥水撥油層の形成において、フッ素化合物としてF−1620の代わりにCFを用い、バブラーを用いずにガスボンベを使用した。CFの流量は200sccmとし、キャリアガスは用いなかった。成膜圧力、成膜時間、放電電力は表1に示す値とした。その他は、実施例1と同様にして、実施例6の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例1]
支持部材として、表面が平坦なPETフィルム(東洋紡績(株)製、A4100、厚さ:100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が37nmであり、蒸着膜側の表面は平坦面であった。
[比較例2]
フッ素化合物として、F−1620の代わりに、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール(ダイキン工業(株)製、品番:A−1210)を用い、バブラーの圧力を150Torrから180Torrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が59nmであり、蒸着膜側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例3]
フッ素化合物として、F−1620の代わりに、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン(ダイキン工業(株)製、品番:E−1630)を用い、バブラーの圧力を150Torrから140Torrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が82nmであり、蒸着膜側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例4]
フッ素化合物として、F−1620の代わりに、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、品番:ビスコート8F)を用い、成膜時間を5分から2分に変え、バブラーの圧力を150Torrから140Torrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が23nmであり、蒸着膜側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例5]
フッ素化合物として、F−1620の代わりに、1,4−ジビニルパーフルオロブタン(東ソー・エフテック(株)製、品番:C4−DV)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が154nmであり、蒸着膜側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例6]
フッ素化合物として、F−1620の代わりに、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン(東ソー・エフテック(株)製、品番:C6−DV)を用い、バブラーの圧力を150Torrから140Torrに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の部材を得た。
得られた部材は、蒸着膜の膜厚が98nmであり、蒸着膜側の表面に凹凸面を有するものであった。
[比較例7]
比較例1で用いた表面が平坦なPETフィルム(東洋紡績(株)製、A4100、厚さ:100μm)の表面に蒸着膜を形成していないものを、比較例7の部材とした。
[比較例8]
実施例1で用いた支持部材の表面に蒸着膜を形成していないものを、比較例8の部材とした。
(評価)
実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた部材について、下記の評価を行った。
<接触角の測定>
実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた部材においては蒸着膜側の表面に、比較例7の部材においては易接着面側に、比較例8の部材においては微小突起構造体の表面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。ただし、1.0μLの液滴を測定対象物の表面に接触させても表面に液滴が残らない場合には、3.0μLの液滴を滴下した。
また、純水の代わりにn−ヘキサデカン(n−HD)を用いて、同様にして静的接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
<分光透過率の測定>
実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた部材を、入射光が実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた部材においては蒸着膜側の表面に、比較例7の部材においては易接着面側に、比較例8の部材においては微小突起構造体の表面に入る状態で、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)に設置し、波長域380〜780nm、サンプリングピッチ1nmの条件で測定した。測定結果から、分光光度計に付属するカラー測定ソフトを用いて、D65光源、2度視野の条件にてXYZ表色系における三刺激値Yの値を算出した。三刺激値Yの値は、透過(反射)物体の視感透過(反射)率にあたる。結果を表1に示す。
<反射率の測定>
実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた部材の基材側面を、粘着層を介して黒アクリル板に貼り付け、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、SPECTROPHOTOMETER CM−2600d)を用いて、D65光源、2度視野の条件にて測定し、反射率として正反射光を含むYの値を記録した。結果を表1に示す。
実施例1〜6で得られた撥水撥油性部材は、微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmの微小突起構造体を表面に有する支持部材を用い、当該支持部材の微小突起構造体の表面に、フッ素化合物として、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、凹凸面を有する撥水撥油層を形成することにより、製造されたため、水の接触角が151〜163°、ノルマルヘキサデカン(n−HD)の接触角が81〜98°であり、撥水性及び撥油性に優れていた。なお、実施例6において、撥水撥油層の膜厚は未測定であるが、実施例6は、撥水撥油層が形成されていない比較例8に比べて水及びn−HDの接触角が大きく、撥水撥油性に優れていたため、撥水撥油層が形成されていることがわかる。また、実施例1〜6で得られた撥水撥油性部材は、透過率が高く、反射率が低いことから、光透過性及び反射防止性能にも優れるものであった。また、実施例1〜6の製造方法は、フッ素化合物として、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を含有しないものを用いたため、PFOAが副生されず、環境負荷が少ない製造方法であった。また、実施例1〜6の製造方法は、撥水撥油層30の形成が室温(18℃)下で行われたため、製造工程上の負荷の少ない製造方法であった。
これに対し比較例1は、部材の表面が平坦面であったため、撥水性及び撥油性に劣り、光透過性及び反射防止性能も劣っていた。
比較例2〜6は、使用したフッ素化合物が、本発明で特定するものでなく、酸素原子を含有する及び/又はいずれの末端にもパーフルオロアルキル基を含有しないフッ素化合物であったため、撥水性及び撥油性に劣っていた。
比較例7は、撥水撥油層が形成されていない表面が平坦なPETフィルムであったため、撥水性及び撥油性に劣り、光透過性及び反射防止性能にも劣っていた。
比較例8は、撥水撥油層が形成されず、微小突起構造体のみを有する支持部材であったため、撥水性及び撥油性に劣っていた。
<撥水性評価>
実施例1〜5で得られた撥水撥油性部材、比較例1で得られた部材、及びガラス板の基材側面を、粘着層を介して透明なガラス板に貼り付け、部材表面が水平面に対して90°の角度になるように設置した。次いで、各部材の表面にシャワーで水をかけ、水をかけている間、水をかけている面とは反対側の面から各部材を目視にて観察した。
実施例1〜5で得られた撥水撥油性部材は、撥水性が高く、表面にかけた水を弾く性能が高いため、シャワーで水をかけている間において、シャワーで水をかけている背景を、当該撥水撥油性部材を通して容易に視認することができた。
一方、比較例1で得られた部材は、実施例1〜5で得られた撥水撥油性部材に比べて表面にかけた水を弾く性能に劣っており、かけた水が部材表面に濡れ広がったため、シャワーで水をかけている間において、シャワーで水をかけている背景を、当該部材を通して視認することが困難であった。
ガラス板は、表面にかけた水を弾かず、かけた水がガラス板表面に濡れ広がったため、シャワーで水をかけている間において、シャワーで水をかけている背景を、当該ガラス板を通して視認することが非常に困難であった。
[実施例7]
実施例1と同じ支持部材を用いた。撥水撥油層の形成において、得られた支持部材をプラズマCVD装置の真空チャンバーに入れ、下部電極上に設置したあと、さらに、支持部材上にメタルマスクを設置した。メタルマスクとしては、ストライプ状にライン/スペース=5mm/5mmのパターンが形成されているものを用いた。
蒸着膜を成膜後、メタルマスクを取り除き、支持部材をCVD装置のチャンバーから取り出すことにより、メタルマスクのライン部分が支持部材表面の親水性のまま残り(以下、撥水撥油層が形成されていない部分を「親水性部分」という場合がある)、スペース部分のみに撥水撥油層が形成された。その他は、実施例1と同様にして、ストライプパターン状の撥水撥油層を有する実施例7の撥水撥油性部材を得た。
[実施例8]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=10.0mm/2.0mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例8の撥水撥油性部材を得た。
[実施例9]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=5.0mm/1.0mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例9の撥水撥油性部材を得た。
[実施例10]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=2.5mm/0.5mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例10の撥水撥油性部材を得た。
[実施例11]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=0.5mm/0.1mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例11の撥水撥油性部材を得た。
[実施例12]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=1.0mm/0.1mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例12の撥水撥油性部材を得た。
[実施例13]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=10.0mm/0.1mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例13の撥水撥油性部材を得た。
[実施例14]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=5.0mm/5.0mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例14の撥水撥油性部材を得た。
[実施例15]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=1.0mm/1.0mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例15の撥水撥油性部材を得た。
[実施例16]
実施例7において、メタルマスクのパターンをライン/スペース=0.5mm/0.5mmに変更したこと以外は、実施例7と同様にして実施例16の撥水撥油性部材を得た。
(評価)
上記実施例7で得られたストライプパターン状の撥水撥油層を有する撥水撥油性部材と、実施例1で得られた全面に撥水撥油層を有する撥水撥油性部材と、比較例8で得られた撥水撥油層を有しない部材とを、各々粘着層を介してアルミ板に貼り付け、撥水撥油性部材表面が水平面に対して10°または60°の角度になるように大気中で設置した。また、上記実施例8〜16で得られたストライプパターン状の撥水撥油層を有する撥水撥油性部材と、実施例1で得られた全面に撥水撥油層を有する撥水撥油性部材と、比較例8で得られた撥水撥油層を有しない部材とを、各々粘着層を介してアルミ板に貼り付け、撥水撥油性部材表面が水平面に対して90°の角度になるように大気中で設置した。なお、実施例7〜16で得られた撥水撥油性部材においては、撥水撥油層のストライプパターンの直線と水平面とが、上記所定の角度をなすように設置した。
次いで、アルミ板を冷却し、撥水撥油性部材表面に結露を生じさせ、各部材表面の水滴の動き及び視認性を目視により観察した。
実施例7〜16で得られた撥水撥油性部材においては、各設置角度において、親水性部分を伝わって水が流れる様子を観察することができた。
上記設置角度を90°とした実施例8〜16の中では、実施例8〜10及び実施例12〜15で得られた撥水撥油性部材が、特に短時間で水が流れ始め、流水性に優れ、親水性部分の視認性に優れることにより、撥水撥油性部材全体も視認性に優れていた。これは、実施例8〜10及び実施例12〜15では、親水性部分の幅がある程度大きいことから、水滴が大きく成長しやすいためであると考えられる。また、これらの中でも、実施例8〜10及び実施例12、13で得られた撥水撥油性部材は、流水性に優れていたことに加えて、撥水撥油層部分よりも親水性部分の方が撥水撥油性部材全体を占める割合が大きかったため、特に撥水撥油性部材全体の視認性に優れていた。
一方、実施例1で得られた撥水撥油性部材においては、全面に撥水撥油層を有するため、特定方向に水滴が流れる様子を確認することはできず、また、撥水撥油性部材全体に細かな水滴が付着し、撥水撥油性部材全体の視認性に劣っていた。
比較例8で得られた部材においては、撥水撥油層を有しないため、特定方向に水滴が流れる様子を確認することができず、排水の流路を制御することができなかった。
10 支持部材
11 基材
20 微小突起構造体
2 微小突起
21 微小突起層
21’ 受容層
30 撥水撥油層
3 凹凸面
31 ダイ
32 ロール金型
33 押圧ローラ
34 剥離ローラ
100 撥水撥油性部材
本発明に係る撥水撥油性部材の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである支持部材を準備する工程と、
前記支持部材の前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、不飽和炭化水素基及びヨード基から選ばれる少なくとも一種を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る撥水撥油性部材は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGは50〜500nmであり、
前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、不飽和炭化水素基及びヨード基から選ばれる少なくとも一種を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜であって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を有することを特徴とする。
参考例1
撥水撥油層の形成において、フッ素化合物としてF−1620の代わりにCF4を用い、バブラーを用いずにガスボンベを使用した。CFの流量は200sccmとし、キャリアガスは用いなかった。成膜圧力、成膜時間、放電電力は表1に示す値とした。その他は、実施例1と同様にして、参考例1の撥水撥油性部材を得た。
得られた撥水撥油性部材は、撥水撥油層側の表面に凹凸面を有するものであった。
(評価)
実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜8で得られた部材について、下記の評価を行った。
<接触角の測定>
実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜6で得られた部材においては蒸着膜側の表面に、比較例7の部材においては易接着面側に、比較例8の部材においては微小突起構造体の表面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。ただし、1.0μLの液滴を測定対象物の表面に接触させても表面に液滴が残らない場合には、3.0μLの液滴を滴下した。
また、純水の代わりにn−ヘキサデカン(n−HD)を用いて、同様にして静的接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
<分光透過率の測定>
実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜8で得られた部材を、入射光が実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜6で得られた部材においては蒸着膜側の表面に、比較例7の部材においては易接着面側に、比較例8の部材においては微小突起構造体の表面に入る状態で、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)に設置し、波長域380〜780nm、サンプリングピッチ1nmの条件で測定した。測定結果から、分光光度計に付属するカラー測定ソフトを用いて、D65光源、2度視野の条件にてXYZ表色系における三刺激値Yの値を算出した。三刺激値Yの値は、透過(反射)物体の視感透過(反射)率にあたる。結果を表1に示す。
<反射率の測定>
実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜8で得られた部材の基材側面を、粘着層を介して黒アクリル板に貼り付け、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、SPECTROPHOTOMETER CM−2600d)を用いて、D65光源、2度視野の条件にて測定し、反射率として正反射光を含むYの値を記録した。結果を表1に示す。
実施例1〜で得られた撥水撥油性部材は、微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmの微小突起構造体を表面に有する支持部材を用い、当該支持部材の微小突起構造体の表面に、フッ素化合物として、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、凹凸面を有する撥水撥油層を形成することにより、製造されたため、水の接触角が151〜163°、ノルマルヘキサデカン(n−HD)の接触角が81〜98°であり、撥水性及び撥油性に優れていた。なお、参考例1において、撥水撥油層の膜厚は未測定であるが、参考例1は、撥水撥油層が形成されていない比較例8に比べて水及びn−HDの接触角が大きく、撥水撥油性に優れていたため、撥水撥油層が形成されていることがわかる。また、実施例1〜で得られた撥水撥油性部材は、透過率が高く、反射率が低いことから、光透過性及び反射防止性能にも優れるものであった。また、実施例1〜の製造方法は、フッ素化合物として、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を含有しないものを用いたため、PFOAが副生されず、環境負荷が少ない製造方法であった。また、実施例1〜の製造方法は、撥水撥油層30の形成が室温(18℃)下で行われたため、製造工程上の負荷の少ない製造方法であった。
これに対し比較例1は、部材の表面が平坦面であったため、撥水性及び撥油性に劣り、光透過性及び反射防止性能も劣っていた。
比較例2〜6は、使用したフッ素化合物が、本発明で特定するものでなく、酸素原子を含有する及び/又はいずれの末端にもパーフルオロアルキル基を含有しないフッ素化合物であったため、撥水性及び撥油性に劣っていた。
比較例7は、撥水撥油層が形成されていない表面が平坦なPETフィルムであったため、撥水性及び撥油性に劣り、光透過性及び反射防止性能にも劣っていた。
比較例8は、撥水撥油層が形成されず、微小突起構造体のみを有する支持部材であったため、撥水性及び撥油性に劣っていた。

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmである支持部材を準備する工程と、
    前記支持部材の前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とする化学蒸着法によって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を形成する工程と、を有することを特徴とする、撥水撥油性部材の製造方法。
  2. 前記撥水撥油層の表面における、純水の静的接触角が、θ/2法で150°以上であり、n−ヘキサデカンの静的接触角が、θ/2法で80°以上である、請求項1に記載の撥水撥油性部材の製造方法。
  3. 前記撥水撥油層をパターン状に形成する、請求項1又は2に記載の撥水撥油性部材の製造方法。
  4. 基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
    隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGは50〜500nmであり、
    前記微小突起構造体の表面に、少なくとも1つの末端に炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、酸素原子を含有しない、炭素数10以下のフッ素化合物を蒸着源とした蒸着膜であって、表面に凹凸面を有する撥水撥油層を有することを特徴とする、撥水撥油性部材。
  5. 前記撥水撥油層がパターン状に配置されてなる、請求項4に記載の撥水撥油性部材。
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