JP6427874B2 - 室内内装用結露抑制部材 - Google Patents
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Description
従来、結露防止フィルムとして、例えば特許文献1には、表面に光触媒層を有し、表面を高度に親水化することによって結露を防止するフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、基材と、基材の表面に形成された結晶性SnO2を含有する被膜からなる防曇材であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は基材に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇材が開示されており、前記柱状物は、高周波マグネトロンスパッタによって作製される旨が記載されている。特許文献3に開示される防曇材は、基本的に、柱状物間の細長い隙間の毛管吸引力によって水滴が吸収されることにより、防曇性能を発揮する。また、結晶性SnO2を含有する被膜は、光触媒活性を有するため、光照射によって親水化した状態を維持できる旨が記載されている。
また、特許文献2に開示される親水性部材では、フィラーを均一に分散させたり、親水性層の塗布乾燥時の相分離を均一に生じさせることが難しく、特許文献3に開示される防曇材では、SnO2の結晶成長を所望の形状で均一に行うことが難しい。このように、これらの従来品では、所望の凹凸形状を基材表面全体に均一に形成することが困難であり、所望の凹凸形状が形成されなかった部分においては、親水性に劣り、十分な結露抑制効果が得られなかった。
また、これらの従来品では、特殊な親水性ポリマーや親水性金属微粒子等の親水性の材料を用いなければならず、材料に制限があるという問題点もあった。
本発明に係る室内内装用結露抑制部材は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、隣接する前記微小突起間の距離の平均が50〜500nmであることを特徴とする。
また、本発明に係る室内内装用結露抑制部材は、微小突起構造体の特定の形状により、十分な水の濡れ広がり性を有するため、親水性の材料を用いなくても優れた結露抑制効果を発揮する。これにより、本発明は材料選択の幅が広く、また、光エネルギーを必要としない。
本発明の室内内装用結露抑制部材は、上述の通り液体が微小突起間に均一に濡れ広がりやすく液滴が形成され難いため、結露が発生するような条件下においても液滴が形成され難く、液滴による曇りが抑制されて透視性に優れている。更に、微小突起間に濡れ広がった液体は微小突起間に保持されることから、微小突起を有しない平板と比較して液体の保持容量が大きく、結露が発生するような条件下においても液体が滴り落ちにくく、例えば液体が濡れ広がった微小突起構造体表面を指で擦った場合でも、液体が滴り落ちにくい。
本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。前記基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、金属、紙、木、及びこれらの複合材料等が挙げられる。
また、前記基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
また、後述する微小突起構造体が基材とは別の材料からなる微小突起層に形成される場合は、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、基材上に中間層を形成してもよい。
本発明の室内内装用結露抑制部材は、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有する。
前記微小突起構造体は、図1に示すように、基材10とは別の材料からなる微小突起層21に形成されていても良いし、図示はしないが、基材の表面に一体となって形成されていても良い。
本発明においては、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことにより、前記微小突起構造体の表面積がさらに増大するので、速乾性及び結露抑制効果がより向上する。また、多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、樹脂組成物からなる微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明の室内内装用結露抑制部材は、多峰性の微小突起を有することにより、機械的強度及び耐擦傷性も向上する。
また、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、濡れ性が向上する点から、70〜300nmであることが好ましく、70〜180nmであることが特に好ましい。
ここで各微小突起の高さとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。図2(a)の微小突起2の如くの単峰性の微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の突起高さとなる。また図2(a)の微小突起2A、2Bのような多峰性の微小突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さをもって該微小突起の高さとする。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
また、微小突起の高さが種々に異なる場合には、例えば物体の接触により高さの高い微小突起の形状が損なわれた場合でも、高さの低い微小突起においては、形状が維持されることになるため、耐擦傷性が向上する。さらに、多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、当該部材と接触することになるため、相対的に高さの低い微小突起には汚れが付きにくくなるので、耐汚染性も向上する。
図6に、複数の微小突起によって構成される凸状突起群の斜視図(図6(a))及び平面図(図6(b))を示す。図6に示す凸状突起群22は、相対的に高さの高い頂部微小突起2Cと、その周囲に隣接して配置された相対的に高さの低い複数の周辺微小突起2Dからなる。尚、図6(a)及び図6(b)は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、xy方向は、基材の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。
なお、本発明において、前記頂部微小突起は、前記周辺微小突起よりも相対的に高さが高く、高さの差が10nm以上のものをいい、当該高さの差は、20nm以上であることが好ましい。また、前記高さの差は、微小突起構造体表面のざらつき感を抑える観点から、50nm以下であることが好ましい。
なお、前記凸状突起群には、前記周辺微小突起にのみ隣接し、且つ前記頂部微小突起よりも高さが低い微小突起は含まれない。また、凸状突起群同士が隣接して形成される場合において、周辺微小突起が互いに隣接する凸状突起群に共有される場合がある。
前記凸状突起群を構成する微小突起の個数の比率は、例えば、前記微小突起構造体の表面をSEM等により観察し、画像解析により存在を確認できた微小突起の個数のうち、凸状突起群を構成する微小突起の個数の割合を算出することにより、求めることができる。
また、前記静的接触角は、微小突起構造体を形成する樹脂組成物の成分、微小突起構造体の形状等を変更することにより、調整することができる。
また、本発明において、前記微小突起構造体は、基材の両面に形成されていても良い。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の室内内装用結露抑制部材の製造方法は、上述した本発明の室内内装用結露抑制部材を製造することができる方法であれば特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、基材の少なくとも一方の面に、賦形により微小突起構造体を形成する方法が好ましい。
前記微小突起構造体は、基材上に設けた当該基材とは別の材料からなる別層の表面に賦形しても良いし、基材が樹脂組成物等の賦形可能な材料からなる場合は、当該基材表面に直接賦形しても良い。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
また、微小突起構造体の少なくとも一部を上述した凸状突起群とするためには、個々の微小突起について、その高さに所定範囲のばらつきがあることが必須である。個々の微小突起の高さのばらつきは、微小突起構造体形成用原版のに形成される微小孔の深さのばらつきによるものであり、このような微小孔の深さのばらつきは、陽極酸化処理におけるばらつきに起因するものと言える。これにより相対的に高さの高い頂部微小突起と、相対的に高さの低い複数の周辺微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理におけるばらつきを大きくすることにより実現することができる。
本発明の室内内装用結露抑制部材は、例えば、結露しやすい室内内装用の壁紙、天井材、床材、鏡、窓、窓のサッシ等に用いることができる。結露しやすい室内としては、具体的には、例えば、浴室、洗面所、洗濯機置き場、キッチン、トイレ(ユニットバス設備を含む)等の水回り設備が設けられた部屋又は空間、脱衣所、物干し場、食堂等の水回り設備に隣接した部屋又は空間、その他空調設備や天候によって結露が生じる居間や事務所を含む部屋又は空間等が挙げられる。なお、本発明において「浴室」とは、浴槽、シャワー、サウナ設備、及びミストサウナ設備よりなる群から選ばれる少なくとも1つが設けられている部屋又は空間をいう。また、ミストサウナ設備とは、浴用設備としてのミスト(冷/温を含む)、蒸気発生器等を含む意味である。
本発明の室内内装用結露抑制部材は、中でも、結露が生じやすいことから、浴室及び浴室の扉を隔てて浴室と隣接する部屋又は空間において好ましく用いられ、浴室及び浴室の扉を隔てて浴室と隣接し且つ浴室を含んで密閉され得る空間においてより好ましく用いられ、浴室において更に好ましく用いられる。
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて100秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で50秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で120秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微小孔が密に形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用の金型1を得た。なお、金型1のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微小孔間距離100nm、平均深さ160nmであった。また、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
金型1と同様の操作を用いて、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離150nm、平均深さ200nmの微小突起構造体形成用の金型2を得た。なお、金型2のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
第一エッチング処理時間を60秒、第二エッチング処理時間を130秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離200nm、平均深さ160nmの微小突起構造体形成用の金型3を得た。なお、金型3のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
第一エッチング処理時間を70秒、第二エッチング処理時間を170秒とし、繰り返し操作を5回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離400nm、平均深さ210nmの微小突起構造体形成用の金型4を得た。なお、金型4のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
第一エッチング処理時間を70秒、第二エッチング処理時間を170秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離500nm、平均深さ2230nmの微小突起構造体形成用の金型5を得た。なお、金型5のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Aを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Bを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 30質量部
・EO変性トリメチロールプロパンアクリレート 20質量部
・ドデシルアクリレート 50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Cを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量部
・EO変性トリメチロールプロパンアクリレート 30質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・メチルメタクリレート 5質量部
・ヘキシルメタクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Dを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
・シリカゲル 5質量部
樹脂組成物Aを、金型1の凹凸形状を有する面が覆われ、微小突起構造体が形成される微小突起層の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cm2の加重で圧着した。金型全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させた。その後、金型より剥離し、実施例1の室内内装用結露抑制部材を得た。
得られた室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離100nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の金型として金型2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例2の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の金型として金型3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例3の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離200nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Bを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例4の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Cを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例5の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差35nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Aを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例6の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Bを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例7の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Cを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例8の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Aを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例9の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差35nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Bを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例10の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
微小突起構造体形成用の樹脂組成物として樹脂組成物Cを用い、微小突起構造体形成用の金型として金型5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の室内内装用結露抑制部材を得た。
実施例11の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)上に、樹脂組成物Aを、硬化後の厚さが20μmとなるように塗布し、基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、比較例1の室内内装用結露抑制部材を得た。
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2の室内内装用結露抑制部材を得た。
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例1で得られた室内内装用結露抑制部材において、硬化させた樹脂表面を#2000の紙やすりを用いて粗面化することにより表面に凹凸を形成し、比較例4の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例1で得られた室内内装用結露抑制部材において、硬化させた樹脂表面を#1200の紙やすりを用いて粗面化することにより表面に凹凸を形成し、比較例5の室内内装用結露抑制部材を得た。
まず、樹脂組成物Dを厚さ25μmのフィルム状に硬化させることにより、表面に凹凸形状を有する防眩フィルムを作製した。次いで、当該防眩フィルムを、粘着層を介して基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)上に貼り合わせることにより、比較例6の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例6の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、防眩フィルム側の表面は、高さ10〜800nmの範囲内で高さにバラつきのある微小突起が、隣接微小突起間距離500nm〜1μmの範囲で不規則に配置された、不規則な凹凸形状が形成されていた。
1500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例7の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、金型の形状が十分に賦形されておらず、各微小突起の形状は先細りでなく、また、各微小突起は密接配置されていなかった。平均隣接微小突起間距離は650nm、平均微小突起高さは150nmであった。
1500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例8の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例8の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、金型の形状が十分に賦形されておらず、各微小突起の形状は先細りでなく、また、各微小突起は密接配置されていなかった。平均隣接微小突起間距離は600nm、平均微小突起高さは200nmであった。
1500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例9の室内内装用結露抑制部材を得た。
比較例9の室内内装用結露抑制部材の表面の断面をSEMにより観察したところ、金型の形状が十分に賦形されておらず、各微小突起の形状は先細りでなく、また、各微小突起は密接配置されていなかった。平均隣接微小突起間距離は600nm、平均微小突起高さは150nmであった。
各実施例及び比較例で得られた室内内装用結露抑制部材について、下記の評価を行った。評価結果をそれぞれ表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた室内内装用結露抑制部材の基材側表面を、粘着層を介して黒アクリル板に貼り付け、該黒アクリル板とは反対側の室内内装用結露抑制部材表面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。
また、純水の代わりにn−ヘキサデカンをそれぞれ用いて、同様にして静的接触角を測定した。
各実施例及び比較例で得られた室内内装用結露抑制部材の基材側表面を、粘着層を介してガラス板に貼り付け、ガラス板が存在する側とは反対側の室内内装用結露抑制部材表面に水蒸気が直接当たるように、80℃に加熱した温浴上に水平に配置し、3分間水蒸気を当てた。その後、ガラス板面が下になるように室内内装用結露抑制部材を水平に配置し、温度25℃、湿度50%RHの環境下で3分間静置した。
次に、予め80℃のオーブンで乾燥させた青色の塩化コバルト紙(アドバンテック東洋(株)製)を、水蒸気を当てた室内内装用結露抑制部材表面にあてがい、目視により呈色を観察し、以下の評価基準により速乾性を評価した。なお、塩化コバルト紙は乾燥時に青色に呈色し、水分が付着することにより赤色に呈色する。
[速乾性評価基準]
○:塩化コバルト紙は青色のまま変化がなく、乾燥していた。
×:塩化コバルト紙が青色から赤色へと変化し、水分の付着が確認された。
以下の方法により、室内内装用結露抑制部材を通常結露が発生する条件下に置き、水分を付着させて、透視性を評価した。
各実施例及び比較例で得られた室内内装用結露抑制部材の基材側表面を、それぞれ粘着層(日東電工製 LUCIACS)を介して、15cm×15cmの透明ガラス板に貼り付け、評価用部材とした。
各評価用部材の室内内装用結露抑制部材側表面を下側として、水平面に対して70度傾けた状態で固定した。前記固定した評価用部材の下端の30cm下側で、前記室内内装用結露抑制部材側表面にスチームが直接当たるように、スチーム加湿器(ツインバード工業社製SK4975)を設置した。当該スチーム加湿器を用い、前記評価用部材を3分間スチームにさらした(およそ5mlの水がスチームとなって、結露抑制部材側表面に付着)。
得られた評価用部材の結露抑制部材側を前面として垂直に固定し、評価用部材の基材側の30cm後方にA4サイズの全面白黒格子模様(2cm×2cm)を配置した。スチーム停止後30秒経過後において、評価用部材を介して前記格子模様を5名の被験者により観察し、透視性を評価した。
[透視性評価基準]
◎:格子の境界がはっきりと視認された。
○:格子の境界が視認された。
×:格子の境界が視認されなかった。
○又は◎であれば、結露が発生する条件下における透視性に優れていると評価される。結果を表1に示す。表1の透視性欄中の数値は、◎と評価した被験者の人数、○と評価した被験者の人数、×と評価した被験者の人数を順に表す。
前記透視性評価と同様にして各評価用部材を作成し、当該評価用部材を3分間スチームにさらした。
得られた評価用部材を垂直に固定し、スチーム停止後30秒経過後、各被験者が各自の指でそれぞれ結露抑制部材側表面を10cm擦り、水の滴り具合を目視で評価した。
このとき、各被験者はそれぞれスマートフォンのタッチパネルの操作時と同程度の指圧で擦った(およそ50g/cm2)。
[水滴滴り評価基準]
○:水の滴りが認められなかった。
×:水の滴りが認められた。
結果を表1に示す。表1の水滴滴り性欄の数値は、○と評価した被験者の人数、×と評価した被験者の人数を順に表す。
実施例1〜11で得られた室内内装用結露抑制部材は、基材上に形成された微小突起構造体が、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が特定の隣接突起間距離を有して密接配置された微小突起群を備えるため、液体が濡れ広がり易く、速乾性に優れていた。
一方、比較例1〜3で得られた室内内装用結露抑制部材は、基材上に形成された樹脂層表面が未加工で平坦であるため、速乾性に劣っていた。
比較例4〜9で得られた室内内装用結露抑制部材も速乾性に劣っていた。これらは、基材上に形成された樹脂層表面の凹凸形状が不適切で親水性を向上できなかったためと考えられる。なお、比較例7〜9では、紫外線の照射が不十分であったことにより、微小突起同士が接触した状態で樹脂が硬化し、その結果、独立した微小突起が連続して形成されず、あたかも大きな突起形状として振舞ったため、親水性が低下したと考えられる。
実施例1〜11で得られた室内内装用結露抑制部材は、スチーム加湿器を用いて結露が発生する条件下に置かれた場合であっても、透視性に優れ、また、擦っても水滴の滴りが抑制された。実施例1〜11で得られた室内内装用結露抑制部材においては、微小突起間に水が濡れ広がって、水滴が形成されず、保持されていたものと推測される。
比較例1〜9の室内内装用結露抑制部材は、いずれも水滴が発生したため透視性が悪く、当該水滴を保持することはできなかった。
20 微小突起構造体
2 微小突起
21 微小突起層
21’ 受容層
22 凸状突起群
31 ダイ
32 ロール金型
33 押圧ローラ
34 剥離ローラ
Claims (4)
- 基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
隣接する前記微小突起間の距離の平均が50〜500nmであり、前記微小突起群を構成する全微小突起中における頂点を複数有する微小突起の個数の比率が10%以上であり、壁紙、天井材、床材、又は窓のサッシに用いる、室内内装用結露抑制部材。 - 前記微小突起構造体の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で20°以下である、請求項1に記載の室内内装用結露抑制部材。
- 前記微小突起構造体の表面におけるn−ヘキサデカンの静的接触角が、θ/2法で20°以下である、請求項1又は2に記載の室内内装用結露抑制部材。
- 前記微小突起構造体を構成する各微小突起の高さの高低差が、標準偏差により規定した場合に、10nm以上50nm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の室内内装用結露抑制部材。
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