JP5626395B2 - 水滴保持シート - Google Patents

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Description

本発明は、水滴保持シートに関する。
浴室や洗面所等、湿度の高い部屋又は空間においては、壁、天井、鏡、窓等の部材表面には結露が生じやすい。結露により生じた水滴は、窓や鏡の曇りの原因となり、また、放置すればカビの発生等の衛生的問題が生じる。
特許文献1には、表面に光触媒層を有し、紫外線の照射により当該光触媒層表面が高度に親水化することにより結露を防止する結露防止フィルムが開示されている。特許文献1の結露防止フィルムは、紫外線照射下でのみ結露防止効果を発現するものであるため、当該フィルムの使用は、紫外線が十分に照射される場所や時間に限定されるものであった。
特許文献2には、防曇性等に優れた親水性部材として、基材上に加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層を有し、当該親水性層表面の中心線平均粗さRaが0.005μm≦Ra≦2μmの親水性部材が開示されている。
特許文献1及び2は、いずれも表面を親水性とすることにより、表面に付着した水が直ちに濡れ広がって水滴が形成されないように設計されたものである。
一方、特許文献3には、微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面上に、緩衝層と密着層と撥水層をこの順に備えた耐擦傷性撥水構造が開示されている。特許文献3によれば、微細凹凸構造と、最表面の撥水層とが相俟って、超撥水といえる優れた撥水性を発揮すると記載されている。特許文献3の微細凹凸構造は、突起の高さに変動が無いため、上記撥水性の効果により、上記微細凹凸構造上の水滴はわずかな傾斜により、すぐに流れてしまう。
特開2005−271340号公報 特開2009−255490号公報 特開2010−188584号公報
特許文献3の耐擦傷性撥水構造が水平でない方向に設置された場合、その撥水性により水滴が直ちに流れ出し、流れた水滴は、最終的に当該撥水構造のない部分へ移動する。特許文献3の撥水構造を窓等に採用した場合、結露等により生じた水滴は、最終的に窓枠等に溜まってしまうため、カビの発生等の衛生的問題は解決されなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、付着した水滴が濡れ広がらず、且つ、流れ出さない、水滴保持シートを提供することを目的とする。
本発明に係る水滴保持シートは、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmであり、
前記微小突起の高さの標準偏差σが10〜50nmであり、
前記微小突起構造体の表面に、化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物が堆積されてなり、
前記微小突起構造体側の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で90°〜160°であることを特徴とする。
本発明の水滴保持シートにおいては、前記微小突起構造体側の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で137°〜160°であることが、水滴保持性を向上する点から好ましい。
本発明によれば、付着した水滴が濡れ広がらず、且つ、流れ出さない、水滴保持シートを提供することができる。
図1は、本発明に係る水滴保持シートの一例を示す断面模式図である。 図2は、水滴が付着した本発明の水滴保持シートを傾けた場合の一例を示す断面模式図である。 図3は、多峰性の微小突起の説明に供する断面図(a)、斜視図(b)、平面図(c)である。 図4は、ドロネー図の一例を示す図である。 図5は、隣接突起間距離の計測に供する度数分布図である。 図6は、微小高さの説明に供する度数分布図である。 図7は、複数の微小突起によって構成される凸状突起群の斜視図(a)及び平面図(b)である。 図8は、ロール金型を用いた微小突起構造の形成方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る水滴保持シートについて説明する。
なお、本発明において、「シート」とは、JIS−K6900の定義におけるシートとフィルムを含む意味である。JIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明に係る水滴保持シートは、基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmであり、
前記微小突起の高さの標準偏差σが10〜50nmであり、
前記微小突起構造体の表面に、化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物が堆積されてなることを特徴とする。
上記本発明に係る水滴保持シートについて、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る水滴保持シートの一例を示す断面模式図である。図1に例示される水滴保持シート10は、透明基材1の一方の面に微小突起構造体2を有する。微小突起構造体2は、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起3が密接して配置されてなる微小突起群を備えており、各微小突起3は隣接する微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmであり、微小突起間の高さは、ばらつきを有し、その標準偏差σが10〜50nmであるという関係を有している。当該微小突起構造体の表面は化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子が堆積されている。
本発明の水滴保持シートは、微小突起構造体が上記特定の形状を有しており、且つ、当該微小突起構造体の表面がフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子が堆積されていることにより、付着した水滴が濡れ広がらず、且つ、流れ出さないという、撥水性と水滴保持性という一見矛盾する性質を併せ持つ。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては以下のように推測される。
高い撥水性を有する表面に付着した水は、濡れ広がらず、球形に近い水滴形状を保つものと推測される。表面が疎水性であるため、通常は、当該表面を傾けると水滴は当該表面上を容易に転がってしまう。
図2は、水滴が付着した本発明の水滴保持シートを傾けた場合の一例を示す断面模式図である。本発明の水滴保持シート10の微小突起構造体2の表面は、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子が堆積されて疎水化されている。当該疎水化された微小突起構造体2に付着した水滴4は、濡れ広がらず、球形に近い形状を保っている。このような水滴4が付着した水滴保持シート10を、傾斜台5等により傾けると、微小突起構造体2の各微小突起3は高さにばらつきがあるため、相対的に低い微小突起から、相対的に高い微小突起への移動が阻害される(以下、当該効果を、「ピン止め効果」と称することがある。)。そのため、本発明の水滴保持シート10上の水滴4は、濡れ広がらず、且つ、当該シート上に保持されるものと推定される。更に、作用については未解明であるが、後述する実施例で示されるように、上記ピン止め効果は、本発明の水滴保持シートを傾けた場合のみならず、本発明の水滴保持シートを反転、即ち、微小突起構造体2を鉛直下向きに配置した場合であっても発揮され、水滴が保持されることが明らかとなった。
そのため、本発明の水滴保持シートによれば、集水部以外の水滴による汚染を防ぎ衛生的に保つことができる。
更に、保持された水滴は、吸水性のある布などに接触させることにより容易に除去できる。或いは、水滴保持シートに軽く振動を与えれば容易に水滴が落下する。そのため、本発明の水滴保持シートによれば、例えば、排水等の機材を不要とする。また、湿気の多いところで繁殖するカビ等の細菌類の繁殖を抑制し、衛生上の問題が生じ難い。更に、シート上で濡れ広がって水が蒸発しないため、水垢等の堆積も抑制することができる。
以下、本発明に係る水滴保持シートの各構成について説明する。
<基材>
本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。前記基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、金属、紙、木、及びこれらの複合材料等が挙げられる。
また、前記基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、後述する微小突起構造体が基材とは別の材料からなる微小突起層に形成される場合は、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、基材上に中間層を形成してもよい。
本発明に用いられる基材の可視光領域における透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、80%以上の透明の基材を用いることもできるし、80%未満の半透明の基材又は不透明の基材を用いることもできる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
<微小突起構造体>
本発明の水滴保持シートは、基材の少なくとも一方の面に、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有する。
前記微小突起構造体は、図1に示すように、基材1とは別の材料を用いた微小突起層として形成されていてもよく、図示はしないが、基材の表面に一体となって形成されていてもよい。
前記微小突起構造体を構成する各微小突起は、基材に植立するように形成され、その形状は、特に限定されないが、中でも、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
また、前記微小突起構造体を構成する微小突起群の中には、頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)が含まれていても良い。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂点を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
多峰性の微小突起は一つの微小突起内で高さの異なる複数の頂点を有するため、微小突起構造体内に当該多峰性の微小突起を含むことにより、ピン止め効果が向上する。また、多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、樹脂組成物からなる微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明の水滴保持シートは、多峰性の微小突起を有することにより、機械的強度及び耐擦傷性も向上する。
図3は、多峰性の微小突起の説明に供する断面図(図3(a))、斜視図(図3(b))、平面図(図3(c))である。なお、この図3は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図3(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。図3において、xy方向は、基材1の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。図3(a)に示す微小突起構造体2において、単峰性の微小突起3は、例えば、基材1より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図3においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、1つの頂点が形成されている。一方、多峰性の微小突起としては、例えば、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(3A)、頂点が3つになったもの(3B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)等が挙げられる。なお単峰性の微小突起3の形状は、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性の微小突起3A、3Bの形状は、単峰性の微小突起3の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似することができる。多峰性の微小突起3A、3Bの形状は、複数の峰を含み高さ方向(図3ではZ軸方向)を含む仮想的切断面で切断した場合の縦断面形状が、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a+a+・・+a2n2n+・・で近似されるような形状である。
前記微小突起構造体表面に存在する全微小突起中における多峰性の微小突起の個数の比率は、特に限定されないが、ピン止め効果に優れる点からは、10%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。
また、前記微小突起構造体を構成する微小突起群は、少なくともその一部が、頂部微小突起と、該頂部微小突起の周囲に隣接して形成されており該頂部微小突起よりも高さが低い複数の周辺微小突起とからなる一群の微小突起の集合(本発明において「凸状突起群」と称する。)を構成していても良い。当該微細突起の集合を有することにより、ピン止め効果がより向上する。
図7に、複数の微小突起によって構成される凸状突起群の斜視図(図7(a))及び平面図(図7(b))を示す。図7に示す凸状突起群22は、相対的に高さの高い頂部微小突起3Cと、その周囲に隣接して配置された相対的に高さの低い複数の周辺微小突起3Dからなる。尚、図7(a)及び図7(b)は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、xy方向は、基材の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。
なお、本発明において、前記頂部微小突起は、前記周辺微小突起よりも相対的に高さが高く、高さの差が10nm以上のものをいい、当該高さの差は、20nm以上であることが好ましい。また、前記高さの差は、微小突起構造体表面のざらつき感を抑える観点から、50nm以下であることが好ましい。
前記微小突起構造体においては、特に限定されないが、ピン止め効果がさらに向上する点から、凸状突起群の周辺に配置される微小突起が、頂部微小突起から離れるに連れて、順次高さが低くなっていくように配置されていることが好ましい。
前記微小突起構造体表面に存在する全微小突起中における前記凸状突起群を構成する微小突起の個数の比率は、特に限定されないが、前記効果を発揮する点からは、10%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。
なお、前記凸状突起群には、前記周辺微小突起にのみ隣接し、且つ前記頂部微小突起よりも高さが低い微小突起は含まれない。また、凸状突起群同士が隣接して形成される場合において、周辺微小突起が互いに隣接する凸状突起群に共有される場合がある。
前記凸状突起群を構成する微小突起の個数の比率は、例えば、前記微小突起構造体の表面をSEM等により観察し、画像解析により存在を確認できた微小突起の個数のうち、凸状突起群を構成する微小突起の個数の割合を算出することにより、求めることができる。
本発明において、前記微小突起構造体は、当該微小突起構造体表面の接触角を増大して、撥水性を確保する点から、隣接する前記微小突起間の距離d(以下、「隣接突起間距離d」と称する。)の平均dAVGが、50〜500nmとなるよう密接して配置される。この隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る水滴保持シートでは、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が形成されることになる。隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、接触角を増大して、撥水性に優れる点から、70〜300nmであることが好ましく、70〜180nmであることが特に好ましい。
また、本発明の水滴保持シートにおいて、前記微小突起構造体を構成する各微小突起は、高さにばらつきを有するものであり、ピン止め効果を発揮する点から、その高さの標準偏差σを10〜50nmとするものであり、中でも15〜45nmであることが好ましく、15〜40nmであることがより好ましい。
ここで、微小突起の高さとは、粗の頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さをいう。図3(a)の微小突起3の如くの単峰性の微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の高さとなる。また図3(a)の微小突起3A、3Bのような多峰性の微小突起の場合は、頂部にある麓部を共有する複数の峰のうち最高峰の高さをもって該微小突起の高さとする。
微小突起構造体を構成する微小突起は、高さの標準偏差σが上記範囲内であればよく、個々の微小突起の高さH、及び当該高さの平均値HAVGは適宜設定すればよい。中でも、高さの平均値HAVGが、50〜350nmであることが好ましく、100〜250nmであることが特に好ましい。上記下限値以上であれば撥水性に優れている。また、上記下限値以下であれば、微小突起の折れや倒れ込みが生じにくい。
また、微小突起のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)が0.4〜2.5であることが好ましく、更に、0.8〜2.1であることがより好ましい。アスペクト比が上記下限値以上であれば、水滴との接触面積が小さくなり撥水性に優れている。また、上記上限値以下であれば、微小突起が倒れ込みにくい。
本発明において隣接する突起間の距離d、及び、微小突起の高さHは以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図4は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を原画像と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離の度数分布を求める。図5は、図4のドロネー図から作成した度数分布のヒストグラムである。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接する極大点間の距離が明らかに大きく異なることになる。この特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接する極大点間の距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接する極大点間の距離の平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図5の例では、隣接する極大点間の距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図5は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。
(5)このようにして求めた隣接する極大点間の距離は、隣接する突起間の距離dに相当するものであり、この度数分布から隣接する突起間の距離の平均値dAVGを求めることができる。また、このようにして得られる度数分布を正規分布とみなすことにより標準偏差σを求めることができる。図5の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。
また、同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図6は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求めることができる。図6の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。なお図6に示す突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、上述のように麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、基材の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ基材の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
なお、上述した図4〜図6に係る測定結果は、図3に示すような頂点を複数有する多峰性の微小突起を含む実施形態における測定結果であり、図5に示す度数分布においては、隣接突起間距離d(横軸の値)について、20nm及び40nmの短距離の極大値と120nm及び174nmの長距離の極大値との2種類の極大値が存在する。これらの極大値のうちの長距離の極大値は、微小突起本体(頂部よりも下の中腹から麓にかけての部分)の配列に対応し、一方、短距離の極大値は頂部近傍に存在する複数の頂点(峰)に対応する。これにより極大点間距離の度数分布によっても、多峰性の微小突起の存在を見て取ることができる。
本発明の水滴保持シートは、前記微小突起構造体の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で90°〜160°であることが好ましく、100°〜150°であることがより好ましい。静的接触角が上記下限値以上であれば、水滴が前記微小突起構造体の表面に濡れ広がらない。また、静的接触角が160°以上となる場合には、撥水性が高すぎて、微小突起構造体の表面に水滴が接触せず、当該水滴が保持されない場合がある。
なお、本発明において静的接触角は、測定対象物の表面に1.0μLの純水を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
前記静的接触角は、後述する気相化学処理により堆積される化合物の種類や、前記微小突起構造体の凹凸形状等を変更することにより、調整することができる。
本発明において微小突起構造体は、樹脂組成物の硬化物からなるものであることが好ましい。なお、本発明において硬化物とは、化学反応を経て硬くなったもののことをいい、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。以下、微小突起構造体の形成に好ましい樹脂組成物について説明する。また、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
本発明において微小突起構造体の形成に好適に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等、その他の成分を含有する。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
(微小突起構造体の製造方法)
本発明の微小突起構造体の製造方法は特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、基材の少なくとも一方の面に、賦形により微小突起構造体を形成する方法が好ましい。
前記微小突起構造体は、基材上に設けた当該基材とは別の材料からなる別層の表面に賦形しても良いし、基材が樹脂組成物等の賦形可能な材料からなる場合は、当該基材表面に直接賦形しても良い。
微小突起構造体の製造方法としては、例えば以下の方法等が挙げられる。すなわち、まず基材上に前記樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体を形成し、前記微小突起構造体形成用原版を剥離する方法等である。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
また、前記微小突起構造体形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。本発明においては、前記微小突起構造体形成用原版として、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図8に、微小突起構造体形成用の樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微小突起構造体形成用原版としてロール金型を用いて、本発明の室内内装用結露抑制部材を製造する方法の一例を示す。この製造方法では、まず、樹脂供給工程において、ダイ31により、帯状フィルム形態の基材1に、微小突起構造体21が形成される受容層21’を構成する未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。尚、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ31による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ33により、賦形用金型であるロール金型32の周側面に基材10を加圧押圧し、これにより基材10に未硬化の受容層21’を密着させると共に、ロール金型32の周側面に形成された微小な凹凸形状の凹部に受容層21’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより基材10の表面に微小突起構造体を有する微小突起層21が形成される。続いて剥離ローラ34を介してロール金型32から、硬化した微小突起層21と一体に基材10を剥離する。必要に応じてこの基材10に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断する。これにより、所望の形状の微小突起構造体が、効率良く大量生産される。
なお、多峰性の微小突起と単峰性の微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理において作製される微小突起構造体形成用原版の微小孔の間隔をばらつかせることにより実現することができる。多峰性の微小突起は、その頂部に対応する形状の凹部を備えた微小孔により作成されるものであり、このような微小孔は、極めて近接して作製された微小孔が、エッチング処理により、一体化して形成されると考えられる。
また、微小突起構造体の少なくとも一部を上述した凸状突起群とするためには、個々の微小突起について、その高さに所定範囲のばらつきがあることが必須である。個々の微小突起の高さのばらつきは、微小突起構造体形成用原版に形成される微小孔の深さのばらつきによるものであり、このような微小孔の深さのばらつきは、陽極酸化処理におけるばらつきに起因するものと言える。これにより相対的に高さの高い頂部微小突起と、相対的に高さの低い複数の周辺微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理におけるばらつきを大きくすることにより実現することができる。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦形処理により、フィルム形状の基材上に微小突起構造体の形成方法を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦形用金型を使用した枚葉の処理により微小突起構造体を作成する場合等、賦形処理に係る工程、金型は、基材の形状に応じて適宜変更することができる。
<微小突起構造体の表面>
本発明の水滴保持シートは、前記微小突起構造体の表面に、化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物が堆積されてなる。前記微小突起構造体の表面に上記特定の化合物を堆積させることにより撥水性が向上する。また、本発明は、当該堆積を化学気相処理により行うため、上記特定の化合物を極めて薄く堆積することができ、前記微小突起構造体の形状が維持され、ピン止め効果に優れた水滴保持シートを得ることができる。
本発明において用いられる化学気相処理は、樹脂組成物の硬化物からなる微小突起構造体の表面に、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物を堆積することができる、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。本発明において化学気相処理方法としては、中でも、化学気相成長(CVD)法、及び反応性イオンエッチング法が好適なものとして挙げられる。以下、CVD法及び反応性イオンエッチング法について順に説明する。
(化学気相成長(CVD)法)
本発明においては、CVD法は、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法、エピタキシャルCVD法、アトミックレイヤーCVD法、有機金属気相成長法等が挙げられ、低温で製膜可能な点から、プラズマCVD法を用いることが好ましい。
具体的には、例えば、少なくとも1種の有機ケイ素化合物からなる堆積用化合物を加熱により気化し、キャリアガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスと混合し、当該ガスをプラズマ化することにより、前記微小突起構造体の表面に堆積用化合物を堆積することができる。
上記有機ケイ素化合物としては、CVD法に適用可能な従来公知の有機ケイ素化合物の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物のガスと、不活性ガスとの混合比は、特に限定されないが、1:99〜30:70(体積比)であることが好ましく、2:98〜10:90(体積比)であることがより好ましい。
(反応性イオンエッチング法)
本発明においては、反応性イオンエッチング法を用いて、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物を堆積してもよい。反応性イオンエッチング法は、通常、堆積用化合物の堆積と、基材表面のエッチングを同時に行うものであるが、本発明においては、堆積用化合物の堆積を目的とするものであり、微小突起構造体の表面はエッチングされないか、エッチングされたとしても前記表面形状に影響を及ぼさない程度に条件を設定する。
本発明において、反応性イオンエッチング法は、堆積用化合物として、ガス状のフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物を用い、プラズマにより、前記微小突起構造体の表面にフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物を堆積する。
反応性イオンエッチング法においては、上記ガス状のフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物に更に酸素を混合してもよい。フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物と酸素との混合比は、100:0〜80:20(体積比)であることが好ましく、100:0〜85:15(体積比)であることがより好ましい。
酸素の割合を増やすと前記微小突起構造体表面がエッチングされる場合がある。
上記フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物としては、フッ化アルキル化合物、及び、有機ケイ素化合物が好適に用いられる。フッ化アルキル化合物の具体例としては、例えば、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン等が挙げられ、撥水性の点から、中でも、テトラフルオロメタンを用いることが好ましい。
また、有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
本発明においては、上記化学気相処理により堆積されたフッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物の膜厚が5nm〜50nmであることが好ましく、10nm〜40nmであることがより好ましい。
本発明の水滴保持シートは、前記微小突起構造体の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で90°〜160°であることが好ましく、100°〜150°であることがより好ましい。静的接触角が上記下限値以上であれば、水滴が前記微小突起構造体の表面に濡れ広がらない。また、静的接触角が160°以上となる場合には、撥水性が高すぎて、微小突起構造体の表面に水滴が接触せず、当該水滴が保持されない場合がある。
なお、本発明において静的接触角は、測定対象物の表面に1.0μLの純水を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
前記静的接触角は、後述する気相化学処理により堆積される化合物の種類や、前記微小突起構造体の凹凸形状等を変更することにより、調整することができる。
本発明において、前記微小突起構造体を、基材とは別の材料により形成する場合、当該微小突起層の厚みは、特に限定されないが、通常3〜30μmである。なお、この場合の微小突起層の厚みとは、微小突起層の基材側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する(図1中のT)。
なお、本発明において前記微小突起構造体は、基材の両面に形成されていてもよい。
<その他の構成>
本発明の水滴保持シートは、微小突起構造体の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における微小突起構造体の表面の損傷、汚染を防止することができる。
また、本発明の水滴保持シートは、微小突起構造体を有しない面に接着剤層を形成し、更に当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層してなる接着加工品とすることもできる。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。
<水滴保持シートの用途>
本発明の水滴保持シートは、撥水性と水滴保持性が必要なあらゆる用途に用いることができる。本発明の水滴保持シートは、水溶液や、水を含む懸濁液等に用いても良い。
本発明の水滴保持シートは、例えば、結露しやすい室内内装用の壁紙、天井材、床材、鏡、窓、窓のサッシ等の他、店内の保冷ショーケース、温蔵庫、スチームショーケース等に用いることができる。結露しやすい室内としては、具体的には、例えば、浴室、洗面所、洗濯機置き場、キッチン、トイレ(ユニットバス設備を含む)等の水回り設備が設けられた部屋又は空間、脱衣所、物干し場、食堂等の水回り設備に隣接した部屋又は空間、その他空調設備や天候によって結露が生じる居間や事務所を含む部屋又は空間等が挙げられる。なお、本発明において「浴室」とは、浴槽、シャワー、サウナ設備、及びミストサウナ設備よりなる群から選ばれる少なくとも1つが設けられている部屋又は空間をいう。また、ミストサウナ設備とは、浴用設備としてのミスト(冷/温を含む)、蒸気発生器等を含む意味である。
本発明の水滴保持シートは、中でも、結露が生じやすいことから、浴室及び浴室の扉を隔てて浴室と隣接する部屋又は空間において好ましく用いられ、浴室及び浴室の扉を隔てて浴室と隣接し且つ浴室を含んで密閉され得る空間においてより好ましく用いられ、浴室において更に好ましく用いられる。
また、本発明の水滴保持シートは、集水シートとしても用いることができる。例えば、農業用集水シートとして用いることができる。
また、本発明の水滴保持シートは、培養器、血液試験プレート、試験管代替等、液滴アレイ用基材等に用いてもよい。
(樹脂組成物Aの調製)
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Aを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(樹脂組成物Bの調製)
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Bを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 30質量部
・EO変性トリメチロールプロパンアクリレート 20質量部
・ドデシルアクリレート 50質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(樹脂組成物Cの調製)
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Cを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量部
・EO変性トリメチロールプロパンアクリレート 30質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・メチルメタクリレート 5質量部
・ヘキシルメタクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(樹脂組成物Dの調製)
以下の各成分を混合し、微小突起構造体形成用の樹脂組成物Dを調製した。
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1重量部
・シリカゲル 5質量部
(金型1の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて100秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で50秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で120秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微小孔が密に形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用の金型1を得た。なお、金型1のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微小孔間距離100nm、平均深さ160nmであった。また、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(金型2の作製)
金型1と同様の操作を用いて、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離150nm、平均深さ200nmの微小突起構造体形成用の金型2を得た。なお、金型2のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(金型3の作製)
第一エッチング処理時間を60秒、第二エッチング処理時間を130秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離200nm、平均深さ160nmの微小突起構造体形成用の金型3を得た。なお、金型3のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(金型4の作製)
第一エッチング処理時間を70秒、第二エッチング処理時間を170秒とし、繰り返し操作を5回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離400nm、平均深さ210nmの微小突起構造体形成用の金型4を得た。なお、金型4のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(金型5の作製)
第一エッチング処理時間を70秒、第二エッチング処理時間を170秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離500nm、平均深さ230nmの微小突起構造体形成用の金型5を得た。なお、金型5のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
<化学気相処理方法>
微小突起構造体の表面の化学気相処理方法として、下記処理方法1〜5のいずれかを行った。
(処理方法1)
反応性イオンエッチング法は、エネルギーコントロール装置としてRF GENERATOR PRF‐153B(ANELVA社)および処理装置DEA‐506(ANELVA社)とを組み合わせて行った。前記処理装置内の反応ステージに、後述する微小突起構造体が形成された基材を設置し、反応室内の真空度を5×10−3Pa以下とした。次いで、テトラフルオロメタンガス(昭和電工製、純度100.00%)を流量100sccmで流し、反応室内の内圧を50mTorrとし、エネルギー100Wでプラズマ化し、3分間反応性イオンエッチング処理を行った。
(処理方法2)
処理方法1において、処理時間を5分に変更した以外は、処理方法1と同様にして反応性イオンエッチング処理を行った。
(処理方法3)
処理方法1において、テトラフルオロメタンガスを流量100sccmに加えて、酸素ガス(太陽日酸製、純度99.99%)を流量5sccmで流し、混合ガスとした以外は、処理方法1と同様にして反応性イオンエッチング処理を行った。
(処理方法4)
処理方法1において、テトラフルオロメタンガスを流量100sccmに加えて、酸素ガス(太陽日酸製、純度99.99%)を流量10sccmで流し、混合ガスとした以外は、処理方法1と同様にして反応性イオンエッチング処理を行った。
(処理方法5)
CVD法は、上記反応性イオンエッチング法と同様、エネルギーコントロール装置としてRF GENERATOR PRF‐153B(ANELVA社)および処理装置DEA‐506(ANELVA社)とを組み合わせて行った。前記処理装置内の反応ステージに、後述する微小突起構造体が形成された基材を設置し、反応室内の真空度を5×10−3Pa以下とした。
ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO;東京化成工業株式会社製)をステンレス容器に投入し、アルゴン(Ar)ガスライン上に接続した。HMDSO入りのステンレス容器を50℃の温浴上で加熱し、気化させることでArガス中に混合し処理を行った。この際、気化量が全Ar流量に対して3%混合できるよう温調および絞りを調節した。当該混合ガスを流量100sccmで流し、反応室内の内圧を50mTorrとし、エネルギー100Wでプラズマ化し、3分間CVD処理を行った。
アルゴンガスは、純度99.999%(太陽日酸製)を使用した。
[実施例1]
(1)樹脂組成物Aを、金型1の凹凸形状を有する面が覆われ、微小突起構造体が形成される微小突起層の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。金型全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させた。その後、金型より剥離し、微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離100nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法1により処理することにより、実施例1の水滴保持シートを得た。
[実施例2]
(1)実施例1において、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法1により処理することにより、実施例2の水滴保持シートを得た。
[実施例3]
(1)実施例1において、金型1の代わりに金型3を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離200nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法1により処理することにより、実施例3の水滴保持シートを得た。
[実施例4]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用い、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法1により処理することにより、実施例4の水滴保持シートを得た。
[実施例5]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用い、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法1により処理することにより、実施例5の水滴保持シートを得た。
[実施例6]
(1)実施例1において、金型1の代わりに金型4を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法2により処理することにより、実施例6の水滴保持シートを得た。
[実施例7]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用い、金型1の代わりに金型4を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法2により処理することにより、実施例7の水滴保持シートを得た。
[実施例8]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用い、金型1の代わりに金型4を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離400nm、平均微小突起高さ210nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法2により処理することにより、実施例8の水滴保持シートを得た。
[実施例9]
(1)実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離100nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法3により処理することにより、実施例9の水滴保持シートを得た。
[実施例10]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用い、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法3により処理することにより、実施例10の水滴保持シートを得た。
[実施例11]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用い、金型1の代わりに金型3を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離200nm、平均微小突起高さ160nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法3により処理することにより、実施例11の水滴保持シートを得た。
[実施例12]
(1)実施例1において、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法4により処理することにより、実施例12の水滴保持シートを得た。
[実施例13]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用い、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法4により処理することにより、実施例13の水滴保持シートを得た。
[実施例14]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用い、金型1の代わりに金型2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離150nm、平均微小突起高さ200nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差25nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法4により処理することにより、実施例14の水滴保持シートを得た。
[実施例15]
(1)実施例1において、金型1の代わりに金型5を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差35nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法5により処理することにより、実施例15の水滴保持シートを得た。
[実施例16]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用い、金型1の代わりに金型5を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差35nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法5により処理することにより、実施例16の水滴保持シートを得た。
[実施例17]
(1)実施例1において、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用い、金型1の代わりに金型5を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして微小突起構造体を有するシートを得た。
得られた微小突起構造を有するシートの表面の断面をSEMにより観察したところ、平均隣接微小突起間距離500nm、平均微小突起高さ230nmの微小突起群が形成されていた。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差35nmの高低差があった。
(2)次いで、上記微小突起構造体を有するシートの微小突起構造体表面を上記処理方法5により処理することにより、実施例17の水滴保持シートを得た。
[比較例1]
基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)上に、樹脂組成物Aを、硬化後の厚さが20μmとなるように塗布し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、微小突起構造を有しない比較例1のシートを得た。
[比較例2]
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のシートを得た。
[比較例3]
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3のシートを得た。
[比較例4]
比較例1と同様にして得られたシートの硬化させた樹脂表面を#2000の紙やすりを用いて粗面化することにより表面に凹凸を形成し、比較例4のシートを得た。
[比較例5]
まず、樹脂組成物Dを厚さ25μmのフィルム上に硬化させることにより、表面に凹凸形状を有する防眩フィルムを作製した。次いで、当該防眩フィルムを、粘着層を介して基材(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)上に貼り合わせることにより、比較例5の防眩シートを得た。
比較例5の防眩シートの表面の断面をSEMにより観察したところ、防眩フィルム側の表面は、高さ10〜800nmの範囲内で高さにバラつきのある微小突起が、隣接微小突起間距離500nm〜1μmの範囲で不規則に配置された、不規則な凹凸形状が形成されていた。
[比較例6]
実施例1の(1)と同様にして得られた微小突起構造を有するシートを、表面処理せずに用い、比較例6のシートとした。
[比較例7〜13]
実施例2〜8の(1)と同様にしてそれぞれ得られた微小突起構造を有するシートを、表面処理せずに用い、比較例7〜13のシートとした。
[比較例14〜16]
実施例15〜17の(1)と同様にしてそれぞれ得られた微小突起構造を有するシートを、表面処理せずに用い、比較例14〜16のシートとした。
<接触角の測定>
各実施例及び比較例で得られたシートの基材側表面を、粘着層を介して黒アクリル板に貼り付け、該黒アクリル板とは反対側の微小突起構造体の表面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を滴下し、着滴1秒後、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。結果を表1に示す。なお、表1中の「150〜160」とは、水の接触角が150°以上160°以下の範囲内であったことを示す。
<液滴保持評価>
実施例及び比較例で得られたシートを水平な台上に置き、各シートの微小突起構造体側の表面に、それぞれ10μlの液滴を滴下した。各シートを徐々に傾けていき、液滴の様子を目視により確認した。結果を表1に示す。
(液滴保持評価基準)
◎:180°回転させても液滴の位置に変化が見られなかった。
○:傾斜を与えると、水滴のわずかな移動が観察されたが、濡れ広がらず、液滴の形状は変わらなかった。
×:傾斜を与えると、水滴の移動が観察された。
[結果のまとめ]
表1の結果から、微小突起間の距離(ピッチ)の平均が50〜500nm、微小突起の高さの標準偏差が10〜50nmの微小突起構造体を有し、当該微小突起構造体の表面に、化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物が堆積された、実施例1〜17の水滴保持フィルムは、水滴が濡れ広がらず、且つ流れ出さないことが明らかとなった。
水の接触角が大きい、実施例1〜8及び、実施例15〜17の水滴保持フィルムは、水滴保持性能が特に優れていることが明らかとなった。
1 透明基材
2 微小突起構造体
3 微小突起
3A、3B 多峰性微小突起
3C 頂部微小突起
3D 周辺微小突起
4 水滴
5 傾斜台
10 水滴保持シート
21 微小突起構造体
21’ 受容層
22 凸状突起群
31 ダイ
32 ロール金型
33 押圧ローラ
34 剥離ローラ

Claims (2)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有し、
    隣接する前記微小突起間の距離の平均dAVGが50〜500nmであり、
    前記微小突起の高さの標準偏差σが10〜50nmであり、
    前記微小突起構造体の表面に、化学気相処理により、フッ素原子及びケイ素原子より選択される1種以上の原子を含む化合物が堆積されてなり、
    前記微小突起構造体側の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で90°〜160°であることを特徴とする、水滴保持シート。
  2. 前記微小突起構造体側の表面における純水の静的接触角が、θ/2法で137°〜160°である、請求項1に記載の水滴保持シート。
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