JP2016043586A - 積層材及び積層材の製造方法 - Google Patents

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慶一 金澤
祐一 宮崎
Yuichi Miyazaki
祐一 宮崎
洋一郎 大橋
Yoichiro Ohashi
洋一郎 大橋
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Abstract

【課題】光の波長領域により、表面と裏面とで反射率の大小関係が異なる積層材、及び当該積層材の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子が、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持されてなる金属ナノ粒子層とを備え、380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいことを特徴とする、積層材。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層材及び積層材の製造方法に関するものである。
従来、種々の分野において、光の反射特性に着目した部材が用いられている。例えば特許文献1には、可視光領域および近赤外光領域の双方において高い反射特性を備える太陽電池裏面保護膜用プラスチックフィルムとして、600nmから1400nmの波長範囲における平均反射率が70%以上である太陽電池裏面保護膜用プラスチックフィルムが記載されている。
特許文献2には、第1、第2光電変換素子を含む光発電部と、蓄電部とを備え、第1、第2光電変換素子の各々が、半導体層と、導電層と、複数の周期構造を有する金属ナノ構造とを含み、第1光電変換素子では、可視光域から近赤外域の光に対し感度を高めることができ、第2光電変換素子では、赤外域の光に対し感度を高めることができる光蓄電装置が開示されており、第1、第2の光電変換素子を組み合わせることによって、可視光域から近赤外域及び近赤外域より長波長の赤外域にまで感度を持つと記載されている。
また、特許文献2には、金属ナノ構造に光が入射すると、プラズモン共鳴が起きることにより、金属ナノ構造が光誘起電場の増大に寄与する旨が記載されており、金属ナノ構造はナノサイズの金属微粒子の集合体であることが好ましい旨が記載されている。ナノサイズの金属微粒子は、特許文献2に記載される発明の属する技術分野の他、広く種々の分野にて使用されている。
例えば特許文献3には、フレーク状ガラス等の平坦な薄片状粉体に、無電解メッキ法により金属微粒子を密着せず独立して付着させた着色構造体が開示されており、当該構造体は、金属微粒子のプラズモンによる可視光の吸収および、金属微粒子の付着していない薄片状粉体表面における可視光の反射を利用することにより、十分な色調かつ高い光輝感を持つ薄片状粉体が得られると記載されている。
特開2007−208179号公報 国際公開第2011/152459号パンフレット 特開2010−275180号公報
一方で、本発明者らは、特定の表面形状を有する微細凹凸層の表面全体を、金属ナノ粒子からなる金属ナノ粒子層で被覆するという構成で、金属ナノ粒子層側の表面とその反対側の裏面とで、光の波長領域によって、反射率の大小関係が異なることを見出した。具体的には、380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率は、金属ナノ粒子層側の表面の方が、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率は、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいことを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、光の波長領域により、表面と裏面とで反射率の大小関係が異なる積層材、及び当該積層材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る積層材は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、
平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子が、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持されてなる金属ナノ粒子層とを備え、
380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、
780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいことを特徴とする。
本発明に係る積層材は、前記金属ナノ粒子層の厚さの平均が、25〜130nmであることが、光の波長領域による表面と裏面との平均反射率の大小関係の違いが顕著になる点から好ましい。また、金属ナノ粒子層の厚さの平均が前記範囲内であることにより、金属ナノ粒子層側の表面を、微小突起構造体に追従した凹凸形状とすることが容易になり、積層材の反射性及び透過性の調整を容易に行うことができる。
本発明に係る積層材の製造方法は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を準備する微細凹凸層準備工程と、
水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが、25〜130nmとなるよう調整された状態で、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することによって、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子を、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持させることにより、前記金属ナノ粒子層を形成する金属ナノ粒子層形成工程とを有し、
380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、
780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きい積層材を製造することを特徴とする。
本発明によれば、光の波長領域により、表面と裏面とで反射率の大小関係が異なる積層材、及び当該積層材の製造方法を提供することができる。
本発明に係る積層材の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 本発明に係る積層材の微細凹凸層の形成方法の一例を示す概略図である。 実施例1で得られた積層材及び比較例1の部材の透過率の測定結果を示す図である。 実施例2〜4で得られた積層材及び比較例2の部材の透過率の測定結果を示す図である。 比較例3〜6で得られた積層材及び部材の透過率の測定結果を示す図である。 比較例7〜8で得られた積層材及び部材の透過率の測定結果を示す図である。 実施例1で得られた積層材及び比較例1の部材の8°入射光の全反射率の測定結果を示す図である。 実施例2〜4で得られた積層材及び比較例2の部材の8°入射光の全反射率の測定結果を示す図である。 比較例3〜6で得られた積層材及び部材の8°入射光の全反射率の測定結果を示す図である。 比較例7〜8で得られた積層材及び部材の8°入射光の全反射率の測定結果を示す図である。 実施例2で得られた積層材のTEM写真である。 実施例3で得られた積層材のSEM写真である。 比較例4で得られた積層材のTEM写真である。
本発明において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する例えば、「直交」、「水平」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明に係る積層材は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、
平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子が、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持されてなる金属ナノ粒子層とを備え、
380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、
780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいことを特徴とする。
すなわち、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面における380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率をVRとし、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面における380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率をVRとしたときに、VR>VRなる関係を満たし、金属ナノ粒子層側の表面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率をIRとし、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率をIRとしたときに、IR<IRなる関係を満たす。
なお、本発明において、金属ナノ粒子が微小突起構造体の表面全体を被覆するとは、複数の金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面に付着して当該表面を覆うことにより、微小突起構造体の樹脂表面が露出していない状態をいう。
また、本発明において反射率とは全反射率をいい、例えば8°入射光の全反射率とすることができる。前記反射率は、例えば、島津製作所製の分光光度計UV−3100PCと、マルチパーパス大形試料室MPC−3100とを用いて測定することができる。
また、本発明において平均反射率とは、規定した波長領域にわたる10nm間隔での反射率の測定値の平均とし、平均透過率とは、規定した波長領域にわたる10nm間隔での透過率の測定値の平均とする。
本発明に係る、380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きい積層材の製造方法は、
複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を準備する微細凹凸層準備工程と、
水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが、25〜130nmとなるよう調整された状態で、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することによって、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子を、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持させることにより、前記金属ナノ粒子層を形成する金属ナノ粒子層形成工程とを有することを特徴とする。
平坦な基材の一面に金属層を設けた場合、後述する比較例4〜6及び8の全反射率の測定結果からも明らかなように、測定した300〜2600nmの波長領域全体において、金属層側の表面の方が反射率が高い。これは、金属層側の表面が完全な鏡面となることにより、当該表面においては前記波長領域に渡って優れた光反射性能を有する一方で、裏面は基材が前記波長領域の光を吸収するためと考えられる。
これに対し、本発明に係る積層材は、前記特定の微小突起構造体を表面に有した微細凹凸層上に、金属ナノ粒子層を備え、可視光線領域である380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率は、積層材の金属ナノ粒子層側の表面の方が、その反対側の裏面に比べて高く、近赤外線領域を含む780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率は、積層材の金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、金属ナノ粒子層側の表面に比べて高い。このように、本発明に係る積層材は、光の波長領域により、表面と裏面とで反射率の大小関係が異なる。
本発明に係る積層材がこのような作用を発揮する理由は明らかではないが、本発明に係る積層材は、微細凹凸層が有する微小突起構造体が前記特定の構造を有することにより、金属ナノ粒子層を構成する金属ナノ粒子が、各々凝集することなく単独の粒子として安定に担持されていることに起因すると考えられる。さらに、本発明においては、微細凹凸層に近いほど金属ナノ粒子間に空隙が存在する一方で、金属ナノ粒子が堆積によりある程度空隙を埋めながら配置されていき、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されていると考えられる。
このように、本発明における金属ナノ粒子層は、比較例4〜6及び8のように平坦な透明基材の一面に金属層を設けた場合とは異なり、金属ナノ粒子がナノ形状を保ったまま担持されてなり、金属ナノ粒子間に空隙を有する部分が存在し、nmレベルの一定の表面粗さを有するため、積層材の金属ナノ粒子層側表面は、完全な鏡面とはならない。一方で、本発明においては、金属ナノ粒子が積層によりある程度空隙を埋めながら配置され、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されることにより、金属ナノ粒子層側の表面から見ると、金属ナノ粒子が微細凹凸層の表面全体を被覆し、光反射性能を発揮する。そのため、本発明に係る積層材の金属ナノ粒子層側表面は、平坦な透明基材を金属ナノ粒子が被覆した場合に比べると光反射性能が低下するものの、光反射性能を発揮することができる。
また、本発明に係る積層材において、金属ナノ粒子層とは反対側の裏面は、微細凹凸層を構成する樹脂組成物の硬化物が光を吸収する。さらに、金属ナノ粒子層において微細凹凸層に近いほど金属ナノ粒子間に空隙が存在するため、該裏面は、金属ナノ粒子層側の表面のような、密接した金属ナノ粒子による光反射性能の発揮は困難である。そのため、該裏面は表面に比べて光反射性能が低下する。一方で、前記特定の微小突起構造体上に担持された単独の粒子として存在する金属ナノ粒子の微細凹凸層上の配置によって、近赤外線領域に含まれる特定の波長領域の光に対して高い反射性能を発揮すると考えられる。金属ナノ粒子及びその配置が特定の波長領域の光に対して高い反射性能を発揮する理由は明らかではないが、金属ナノ粒子の粒径と特定の波長領域との干渉が及ぼす相互作用が起因しているものと推定される。また、本発明における微細凹凸層の表面は、前記特定の微小起構造体を有することにより平坦面に比べて表面積が増大しているため、微細凹凸層の表面に担持される金属ナノ粒子の数が、平坦面に金属ナノ粒子を担持させた場合に比べて増大し、金属ナノ粒子とその配置による特定の波長領域の光に対する反射率の増大効果がより顕著になると考えられる。そのため、金属ナノ粒子層とは反対側の裏面においては、可視光線領域の光に対する平均反射率は表面に比べて小さく、金属ナノ粒子とその配置により高い反射性能を発揮する波長領域を含む780nm〜2600nmの光に対する平均反射率は、表面に比べて大きくなると考えられる。
このような作用より、本発明に係る積層材は、表面と裏面とで前記各波長領域によって平均反射率の大小関係が異なると考えられる。
また、本発明者らは、上記特定の微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層上に、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着させると、金属ナノ粒子が形成され、微小突起構造体表面に当該金属ナノ粒子が担持すること、並びに、上記特定の微小突起構造体表面に担持した金属ナノ粒子は、凝集することなく単独の粒子として安定に存在し得ることを見出した。本発明の製造方法によれば、特定の微小突起構造体表面を用い、蒸着法によって前記微小突起構造体表面に金属ナノ原子を付着することにより、当該特定の微小突起構造体表面に金属ナノ粒子を形成すると同時に担持することができ、そのため、金属ナノ粒子の調製及び担持という2つの工程が1工程で実現できる。
また、蒸着法は、通常、平坦な基板に対して概ね垂直方向から金属原子を付着させることになる。一方、本発明に係る積層材は、微小突起構造体が前記特定の形状を有することにより、微小突起構造体表面は蒸着源に対して垂直にはならず、垂直の場合よりも相対的に面積が広い傾斜面となる。そのため、垂直方向から平坦面上に付着させたと仮定した場合に比べて、微小突起構造体表面に付着する原子の単位面積当たりの含有量が少なくなり、蒸着量を適宜調整することにより上記特定の微小突起構造体表面に付着した金属原子は平面へ成長せずに金属粒子を形成し易いと推定される。また、蒸着法を用いて金属ナノ粒子を形成することにより、金属ナノ粒子が堆積するにつれて金属ナノ粒子の粒径が徐々に大きくなると推定される。それにより、微細凹凸層に近いほど金属ナノ粒子間に空隙が存在する一方で、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置され易いと推定される。よって、上述のように、表面と裏面とで前記各波長領域によって平均反射率の大小関係が異なる積層材が得られやすいと考えられる。
また、本発明の製造方法によれば、金属ナノ粒子は積層材の表面に均一に分布することができる。これは、蒸着法において平坦面上に形成される蒸着膜は、通常、厚みが均一であり、単位面積あたりに付着する金属原子の量は面内でほぼ一定であることと同様に、微小突起構造体表面においても、単位面積あたりに付着する金属原子の量は面内でほぼ一定であるためと考えられる。
本発明に係る積層材の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1は、本発明に係る積層材の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す積層材10は、透明基材11と、当該透明基材11の一方の面に微細凹凸層20と、金属ナノ粒子層30とをこの順に備える。微細凹凸層20は、透明基材11とは反対側の表面に、複数の微小突起21が密接して配置された微小突起構造体22を有する。金属ナノ粒子層30は、金属ナノ粒子31が、微小突起構造体22の表面全体を被覆するように担持されてなる。
また、図1には、積層材10の金属ナノ粒子層30側の表面mに光照射をしたときの380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率VRと、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面sにおける380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率VRとが、VR>VRなる関係を満たし、金属ナノ粒子層側の表面mにおける780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率IRと、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面sにおける780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率IRとが、IR<IRなる関係を満たす。この光の平均反射率の大小関係のイメージを、図1に矢印の大きさで示す。
なお、図1に示す積層材10は、微細凹凸層20の金属ナノ粒子層30側とは反対側の面に透明基材11を有するが、本発明はこれに限定されず、透明基材11を有しないものであってもよいし、透明基材11と微細凹凸層20とが一体化したものであってもよい。
<微細凹凸層>
本発明に係る積層材は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を有する。
(微小突起構造体)
本発明において、前記微小突起構造体を構成する前記微小突起は、微細凹凸層の微小突起構造体側表面に植立するように形成され、その形状は特に限定はされないが、微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。これにより、本発明に係る積層材において、金属ナノ粒子が凝集することなく単独の粒子として安定に担持されやすくなるため、金属ナノ粒子の配置が良好になり、表面と裏面との光の反射率の差が顕著になる。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
また、特に限定はされないが、前記微小突起構造体において、各微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面の長径と短径の比(長径/短径)は、1以上3以下であることが好ましく、更に1以上2以下であることが好ましい。
本発明に係る積層材は、前記微小突起間の距離の平均dAVG(以下、平均隣接突起間距離dAVGと称する場合がある)が500nm以下である。これにより、前記微細凹凸層の微小突起構造体表面に蒸着法により金属原子を付着させた際に、金属ナノ粒子を容易に形成することができ、金属ナノ粒子が凝集することなく単独の粒子として安定に存在することができる。中でも、金属ナノ粒子がより形成されやすく、安定に存在し得、さらに可視光の反射防止性能が付与される点から、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは可視光領域の最短波長以下であることが好ましい。可視光領域の最短波長は、積層材が使用される環境下における可視光領域の最短波長を指している。したがって、積層材が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光領域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光領域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光領域の最短波長Λminとして採用する。また、前記微小突起の隣接突起間距離dの最大値dmax=dAVG+2σが、dmax≦Λminを満たすことがより好ましい。
前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、100〜300nmであることが更により好ましく、150〜250nmであることが特に好ましい。
本発明においては、後述する金属ナノ粒子層側の表面が、前記微細凹凸層の微小突起構造体に追従した形状を有する凹凸面となっている場合は、前記微小突起の隣接突起間距離dは、例えば、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)等を用いて、本発明に係る積層材の金属ナノ粒子層側の表面を観察することにより特定することができる。なお、微小突起の寸法及び形状は、対象となる積層材の全領域を調べてその平均値を算出して特定する必要はなく、実際的には、調査すべき対象(微小突起の間隔d等)の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画内において、調査すべき対象のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数を調べてその平均値を算出することによって特定することができる。例えば、前記平均隣接突起間距離dAVGの値を目標として紫外線硬化性樹脂を賦型することによって作製された紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる微細凹凸層を有する積層材においては、例えば30mm×30mmの領域内に含まれる30箇所を電子顕微鏡により測定して平均を算出することにより、例えば微小突起の間隔dの平均や金属ナノ粒子層側の表面が有する突起の高さHの平均等を、特定することができる。
本発明において、微小突起間の距離dの平均(平均隣接突起間距離)dAVGは、具体的には以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。図2に、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を本発明に係る積層材の平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図を示す。ここでドロネー図とは、図2に示すように、各極大点23を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分24で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離という。)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。
また、金属ナノ粒子層側の表面が有する突起の高さHの平均値HAVG及び標準偏差σを、上述の隣接突起間距離dの平均値dAVG及び標準偏差σを求める手法と同様の手法を適用して求めることができる。
まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。突起高さHのヒストグラムにおいて、頂部が複数の峰に分裂している突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。この場合は麓(付け根)部が同一の突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該突起の高さとして採用して度数分布を求める。
なお、本発明において、前記微小突起構造体を構成する微小突起群及びこれに追従した形状を有する金属ナノ粒子層側表面の突起群の中には、頂点を複数有する突起を含んでいても良く、各突起の高さとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。すなわち、頂点が1つのみの突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該突起の高さとなる。頂点を複数有する突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さを該突起の高さとする。
突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、基材の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ基材の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各突起高さを算出する。
前記微細凹凸層が有する微小突起の高さを求める場合は、金属ナノ粒子層側の表面が有する突起の高さHの平均値HAVGと、微小突起の麓部に設けられた金属ナノ粒子層の平均厚み(t1)の和から、微小突起の頂部に設けられた金属ナノ粒子層の平均厚み(t2)を引いた値として求めることができる。すなわち、微小突起の高さH’の平均H’AVGは、H’AVG=HAVG+t1−t2の式により求めることができる(図1参照)。
また、前記微小突起は、高さに高低差があるものとすることができる。各微小突起の高さに高低差がある場合には、高さに高低差がある微小突起を有する微小突起構造体とすることができる。ここで、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面が、前記微細凹凸層の微小突起構造体に追従した形状を有する凹凸面とすることができる。そのため、前記微小突起を、高さに高低差があるものとすることにより、積層材の金属ナノ粒子層側の表面を、高さに高低差がある凹凸面とすることができ、当該凹凸面に各種の部材が配置されたときに、該凹凸面が有する多数の突起のうちの高さの高い微小突起に由来する凸部のみが、当該部材と接触することになる。これにより、例えば別の部材の接触により高さの高い突起の形状が損なわれた場合でも、高さの低い突起においては、形状が維持されることになるため、耐擦傷性が向上する。さらに、多数の突起のうちの高さの高い突起のみが、当該部材と接触することになるため、相対的に高さの低い突起には汚れが付きにくくなるので、耐汚染性も向上する。
また、前記微小突起の高さが種々に異なる場合には、同一高さの微小突起のみにより構成される場合に比して、微細凹凸層の表面及び積層材の金属ナノ粒子層側の表面の滑りを格段的に良くすることができ、製造工程等における積層材の取り扱い性が向上する。
前記微小突起の高さH’の平均H’AVGは、特に限定はされないが、金属ナノ粒子が形成されやすく、安定に保持され易い点から、50〜300nmであることが好ましく、100〜200nmであることが好ましい。
また、前記微小突起の高さH’の平均H’AVGは、前記平均隣接突起間距離dAVGとの比で規定される突起の平均アスペクト比(H’AVG/dAVG)が、0.5〜3.0の範囲内であることが、金属ナノ粒子が形成されやすく、安定に保持され易い点から好ましく、0.8〜2.0の範囲内であることがより好ましい。
前記微小突起群中の各微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接突起間隔dは、微小突起配列の周期pと一致するため、dAVG=pとなる。よって、dAVG=p≦500nmであればよく、dAVG=p≦Λminであることが好ましい。また、微小突起の高さH’は、特に限定はされないが、金属ナノ粒子層側の表面が有する突起の高さH’は、特に限定はされないが、反射防止性能を付与する点からは、可視光領域の波長のうち最長波長Λmaxの0.2倍以上であることが好ましい(H’≧0.2×Λmax)。従って、例えば可視光領域の最長波長を780nmとした場合、H’≧0.2×780nm=156nmであることが好ましい。
なお、本発明の積層材を他の部材と重ねた際に干渉模様の発生を防止する観点から、前記微小突起構造体における微小突起の配列は、周期的では無く、突起の間隔dが不規則的であることが好ましい。
なお、本発明において、前記微細凹凸層の隣接突起間距離d及び微小突起の高さH’は、本発明に係る積層材の製造工程における金属ナノ粒子層形成前の微細凹凸層を用いて、上記と同様の手法により求めることもできる。
本発明において、前記微細凹凸層20の厚みは、適宜調整すればよい。図1に示すように透明基材11上に形成する場合、当該微細凹凸層20の厚み(図1におけるT)は、透明基材表面に前記微細凹凸形状を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下したりカールの懸念が高くなるため、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがより好ましい。なお、この場合の微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の基材側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
なお、本発明に係る積層材は、基材を有しないものであってもよく、また、微細凹凸層の材料と基材の材料が同じものであることにより、微細凹凸層と基材とが一体化したものであってもよい。この場合の微細凹凸層は当該基材の厚みに依存するため、特に限定されない。
前記微細凹凸層は、380〜780nmの波長領域における平均透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更により好ましい。
また、前記微細凹凸層は380〜2600nmの波長領域における平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更により好ましい。
なお、前記透過率は、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができ、測定装置としては、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いることができる。
本発明において、微細凹凸層は、樹脂組成物の硬化物からなる。前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。なお、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。
また、本発明に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
本発明に用いられる微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を準備する方法としては、所望の微小突起構造体が形成された市販品を用いてもよい。一方、当該微細凹凸層を製造する場合は、上述の微小突起構造体を形成できる方法であれば特に限定されない。
例えば、透明基材の一方の面に微細凹凸層用樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置された微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層の製造方法の具体例としては、まず透明基材上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体を形成し、前記微小突起構造体形成用原版を剥離する方法等が挙げられる。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微細凹凸層形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版には、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔を密に作製することができる。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微細孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成され、すなわち、当該微細凹凸の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微細凹凸を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微細凹凸の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微細凹凸形状が形成される。
また、前記微細凹凸層形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、前記微細凹凸層形成用原版は、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図3に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸層形成用原版としてロール金型を用いた場合に、基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図3に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ41により帯状フィルム形態の透明基材11に、未硬化で液状の光硬化性樹脂組成物を塗布し、微細凹凸形状賦型前の受容層20’を形成する。なお光硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微細凹凸層形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材11を加圧押圧し、これにより透明基材11に受容層20’を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層20’を構成する光硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材11の表面に微細凹凸層20を作製する。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した微細凹凸層20と一体に透明基材11を剥離する。必要に応じてこの透明基材11に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して透明基材11上に微細凹凸層20を形成する。得られた透明基材11と微細凹凸層20との積層体は、ロール材による長尺の透明基材11に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状の積層材を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、積層材の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による微細凹凸層形成用原版を使用した賦型処理等により、枚葉状の積層材を作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸層形成用原版は、積層材の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
また、本発明に係る積層材においては、製造に使用した透明基材は必要に応じて剥離して、微細凹凸層のみとしてもよいし、微細凹凸層用の樹脂組成物として、透明基材の材料と同じものを用いることにより、微細凹凸層と基材が一体化したものであってもよい。
<金属ナノ粒子層>
本発明に係る積層材は、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子が、前記微細凹凸層が有する前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持されてなる金属ナノ粒子層を備える。本発明において担持とは、担体に粒子を付着している状態で持っていることをいい、具体的には、微細凹凸層20の微小突起構造体22表面に金属ナノ粒子31を付着している状態で持っていることをいう。
なお、本発明に係る積層材の金属ナノ粒子層側の表面は、前記微細凹凸層の微小突起構造体に追従した形状を有する凹凸面であることが好ましい。これにより、微細凹凸層の凹部が金属ナノ粒子によって埋め尽くされず、金属ナノ粒子が分布を持って配置され、金属ナノ粒子間に空隙が存在しやすくなるため、積層材の反射性及び透過性の調整を容易に行うことができる。
前記金属ナノ粒子に用いられる金属としては、特に限定はされないが、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、白金、パラジウム及びこれらの合金等が挙げられ、中でも、積層材の裏面において、近赤外線領域に含まれる特定の波長領域の光に対する反射性能に優れる点から、アルミニウムが好ましい。なお、前記金属ナノ粒子は、一種単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明において金属ナノ粒子は、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属からなる微粒子であれば特に限定はされない。中でも、前記金属ナノ粒子の平均粒径は、1〜60nmであることが好ましく、3〜55nmであることがより好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径が前記下限値以上であることにより、微細凹凸層近傍において、金属ナノ粒子間に空隙が存在しやすくなる。金属ナノ粒子の平均粒径が前記上限値以下であることにより、積層材の裏面において、近赤外線領域に含まれる特定の波長領域の光に対する反射率を向上することができ、また、金属ナノ粒子層側の表面を、微小突起構造体に追従した凹凸形状とすることが容易になり、積層材の反射性及び透過性を容易に調整することができる。
なお、前記金属ナノ粒子の形状は、特に限定はされず、例えば、球状、板状、不定形状等が挙げられる。
また、特に限定はされないが、前記金属ナノ粒子層の少なくとも一部において、より好ましくは前記金属ナノ粒子層全体において、前記金属ナノ粒子同士が密接して層厚み方向に堆積されていることが好ましい。これにより、微細凹凸層側から観測すると金属ナノ粒子間に空隙が観測されるが、微細凹凸層側とは反対側の金属ナノ粒子層表面から観測すると、金属ナノ粒子が密接して配置された構造になりやすい。そのため、表面と裏面とでの前記各波長領域に渡る光の平均反射率の大小関係の違いがより大きくなると考えられる。また、特に限定はされないが、表面と裏面における前記各波長領域に渡る光の平均反射率の大小関係の違いがより大きくなる点から、前記金属ナノ粒子層の少なくとも一部において、より好ましくは前記金属ナノ粒子層全体において、金属ナノ粒子は、粒子の輪郭を保持しながら互いに接している状態で配置されることが好ましい。
前記金属ナノ粒子層の厚さは特に限定されず、前記金属ナノ粒子層表面の形状が、前記特定の微小突起構造体に追従した微細な凹凸形状となるように適宜調整されることが好ましい。中でも、前記金属ナノ粒子層の厚さの平均は、25〜130nmであることが好ましく、40〜120nmであることがより好ましく、40〜100nmであることがより更に好ましい。前記金属ナノ粒子層の厚さの平均が前記範囲内であることにより、380nm〜780nmの波長領域の光と780nm〜2600nmの波長領域の光とにおける、表面と裏面との平均反射率の大小関係の差を大きくすることができ、また、金属ナノ粒子層側の表面を、微小突起構造体に追従した凹凸形状とすることが容易になり、反射性及び透過性を容易に調整することができる。
前記金属ナノ粒子層の厚さの平均に対する前記金属ナノ粒子の平均粒径の比(金属ナノ粒子の平均粒径(nm)/金属ナノ粒子層の厚さの平均(nm))は、0.01〜0.63であることが好ましく、0.1〜0.4であることがより好ましい。
また、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGに対する前記金属ナノ粒子の平均粒径の比(金属ナノ粒子の平均粒径(nm)/平均隣接突起間距離dAVG(nm))は、0.005〜0.5であることが好ましく、0.025〜0.25であることがより好ましい。これにより、微細凹凸層に近いほど金属ナノ粒子間に空隙が存在する一方で、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置された構造にすることが容易になる。
なお、本発明において、金属ナノ粒子の粒径、金属ナノ粒子層の厚さ、金属ナノ粒子の形状、金属ナノ粒子が堆積している等の態様は、例えば、本発明に係る積層材のTEM、STEM、SEM等の電子顕微鏡写真により、測定及び観察することができる。
また、金属ナノ粒子の粒径の平均は、例えば任意に選んだ30個の粒子の粒径の平均を算出することにより求めることができ、金属ナノ粒子層の厚さの平均は、例えば任意に選んだ30箇所の測定値の平均を算出することにより求めることができる。
本発明において、金属ナノ粒子を前記微細凹凸層の前記微小突起構造体表面に担持する方法は特に限定されないが、中でも、本発明の積層材の製造方法における金属ナノ粒子層形成工程を用いることが好ましい。
すなわち、本発明においては、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することによって、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子を形成し、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持させることにより、前記金属ナノ粒子層を形成する金属ナノ粒子層形成工程を用いることが特に好ましい。
本工程の蒸着法は、従来公知の金属原子を堆積することができる方法の中から適宜選択すればよいが、真空蒸着法を用いることが、金属ナノ粒子の形成性の点から特に好ましい。
中でも、ナノオーダー径で繰り返し蒸着積層することにより金属ナノ粒子を形成し易い点から、真空蒸着法において、一定の蒸着レートで蒸着積層することが特に好ましい。
中でも、前記微小突起構造体表面への金属原子の付着においては、前記微小突起構造体が平坦面であったと仮定した場合、すなわち、平面視において同面積となる平坦面に成膜した場合として、製造しようとする金属ナノ粒子と同じ金属の厚みが、水晶振動子を用いた膜厚計で、好ましくは25〜130nm、より好ましくは40〜120nm、更により好ましくは40〜100nmとなるように蒸着装置が調整された状態で、当該蒸着装置を用いて、前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することが好ましい。これにより、安定に保持され得る程度の粒径を有する金属ナノ粒子を、微細凹凸層の微小突起構造体表面に形成することが容易になり、また、金属ナノ粒子を前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持させた金属ナノ粒子層とすることができ、光の波長領域による積層体の表面と裏面との反射率の差を顕著にすることができる。また、金属ナノ粒子層側の表面を、微小突起構造体に追従した凹凸形状とすることが容易になり、積層材の反射性及び透過性を容易に調整することができる。
なお、水晶振動子を用いた膜厚計としては、膜厚計と水晶振動子とをそれぞれ組み合わせた一般的な装置を使用することができ、特に限定はされないが、例えば、薄膜蒸着コントローラー((株)アールデック製、品番:SQC−310−2−R−1)を用いることができる。
真空蒸着法の場合、通常、真空排気系と、蒸発源と、基板ホルダーを備えた真空蒸着装置が用いられる。
真空排気系は、従来公知の高真空排気系を用いればよい。例えば、荒引きポンプとして油回転ポンプ、ドライポンプ等を用い、必要に応じてルーツポンプ等をブースターポンプとして併用することができる。高真空ポンプとしては、拡散ポンプ、クライオポンプ等を用いることができる。拡散ポンプを用いる場合には、−120〜−150℃程度のコールドトラップを更に備えていてもよい。
蒸発源は、金属を加熱蒸発するための加熱源を有する。加熱源としては、抵抗加熱、電子ビーム加熱等が挙げられる。
例えば、まず、前記微小突起構造体を表面に有する部材を、微小突起構造体表面が蒸発源に対面するように基板ホルダーに設置する。真空蒸着装置の真空容器内を1×10−4Torr〜1×10−5Torr程度の真空状態にした後、前記蒸発源において金属の蒸気圧が1×10−5Torr程度となるように加熱して、前記微小突起構造体の表面に金属原子を付着すればよい。
また、真空蒸着をする際の蒸着レートは、特に限定はされないが、0.1Å/sec〜1.5Å/secであることが好ましく、0.5Å/sec〜1.0Å/secであることがより好ましい。
<透明基材>
本発明に係る積層材は、図1に示すように、支持体として透明基材を含むものであってもよい。透明基材としては、公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。透明基材に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマ一等を挙げることができる。また、透明基材に用いられる材料としては、例えばソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
透明基材の厚みは、本発明に係る積層材の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常10〜5000μmであり、透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
透明基材は、可視光領域(380〜780nm)における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。前記透過率は、前記微細凹凸層の透過率と同様の方法により測定することができる。
透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。また、透明基材と微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材および微細凹凸層との双方に密着性を有し、可視光学的に透明であることが好ましい。
<積層材の物性>
本発明に係る積層材の物性は、用途に応じて適宜調整されれば良く、特に限定されるものではない。
例えば、窓フィルム等の近赤外線領域の光を反射し、可視光線領域の光を透過する機能を利用する用途においては、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面において、780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率が、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、前記裏面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率から、金属ナノ粒子層側の表面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率を差し引いた値が、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面において、780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることが好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面において、380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更により好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、380nm〜780nmの波長領域の光の平均透過率が、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。
これにより、金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面において、近赤外線領域の光の反射性を向上し、可視光線領域の光の透過性を向上することができるため、前記用途に好適に用いることができる。なお、本発明に係る積層材を窓フィルムとして用いる場合は、例えば、積層材の裏面が屋外側を向くように窓に貼り付けることにより、前記裏面が、太陽光の近赤外線を反射して屋内側への透過を低減するため、室内昇温抑制効果を発揮し得る。
また、例えば、赤外線カメラ等に用いられる赤外線フィルター、赤外線センサー、熱線センサー、静脈認証機器等の近赤外線領域の光を透過し、可視光線領域の光を反射する機能を利用する用途においては、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面において、780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることが好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、前記裏面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率から、金属ナノ粒子層側の表面における780nm〜2600nmの波長領域の光の平均反射率を差し引いた値が、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面において、380nm〜780nmの波長領域の光の平均反射率が、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更により好ましい。
また、前記用途においては、本発明に係る積層材は、780nm〜2600nmの波長領域の光の平均透過率が、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更により好ましい。
これにより、金属ナノ粒子層側の表面において、近赤外線領域の光の透過性を向上し、可視光線領域の光の反射性能を向上することができるため、本発明に係る積層材を、前記用途に好適に用いることができる。
本発明に係る積層材は、光透過性を有するものとすることができる。本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子が微小突起構造体の表面全体を被覆しているものの、金属ナノ粒子間の隙間から光が入ることにより、光透過性を有すると考えられる。
本発明に係る積層材は380〜2600nmの波長領域における平均透過率が5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更により好ましい。なお、前記透過率は、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができ、測定装置としては、例えば分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いることができる。
本発明に係る積層材は、金属ナノ粒子層側の表面は、前記微細凹凸層の微小突起構造体に追従した形状を有する凹凸面であることが好ましい。本発明の金属ナノ粒子層側の表面の形状は、微小突起構造体の形状を調整することにより、適宜調整することができる。これにより、例えば、本発明の金属ナノ粒子層側の表面における反射性能を調整することができ、例えば、金属ナノ粒子層側の表面において、平坦面上に金属蒸着膜を成膜した場合に比べて低反射性とすることができる。また、特定の微細凹凸層上に形成された金属ナノ粒子層であることから、金属ナノ粒子間に空隙が存在しながら、金属ナノ粒子が微小突起構造体の表面全体を被覆する構造とすることができ、金属ナノ粒子層の厚さ及び微小突起構造体の形状を調整して、金属ナノ粒子間に存在する空隙の量を容易に調整することができる。これにより、本発明に係る積層材の透過性、金属ナノ粒子に伴う反応性、演色性等を調整することができる。
また、金属ナノ粒子層側の表面は、nmレベルの一定の粗さを有する多孔質表面となる。当該表面多孔質に起因する特性により、例えば、多孔質に由来する面積の増大から、他の分子や金属等の異種物質との反応性を良好にすることができる。そのため、例えば、一般の金属では困難な異種金属間の反応をさせる事が可能であり、その応用例としては、これまで困難であった異種合金の(薄膜)作製、また、異種合金面同士の溶接等が挙げられる。
本発明に係る積層材においては、金属ナノ粒子層側の表面に対する水の静的接触角を、100°以上とすることができ、より好ましい態様においては110°以上とすることができる。前記金属ナノ粒子層側の表面は、複数の金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面に付着して当該表面を覆って、微小突起構造体の樹脂表面が露出していないため、疎水性となり、さらに前記特定の微小突起構造体に追従した微細な凹凸形状を有することにより、より一層疎水性になると考えられる。
なお、本発明において静的接触角は、θ/2法により算出される値とする。また、静的接触角の測定には、一般的な接触角計を用いることができ、例えば協和界面科学(株)製のDropMasterシリーズの接触角計を用いることができる。
また、本発明に係る積層材は、前記金属ナノ粒子層を構成する金属ナノ粒子により、導電性や熱伝導性に起因した種々の機能を発揮することができるため、導電性や熱伝導性が求められる用途においても用いることができる。具体的には、例えば、タッチパネルセンサ、画像表示装置の電磁波遮蔽材、熱伝達部材等が挙げられる。
また、本発明に係る積層材においては、金属ナノ粒子層側とは反対側から観察される色を金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に由来する色とすることができる。そのため、金属ナノ粒子として例えばアルミニウムナノ粒子を用いることにより、金属ナノ粒子層側とは反対側から観察される色を黒色とすることができる。そのため、従来、金属層を目立たなくするために黒化層を設けていた用途において、本発明に係る積層材は、別途黒化層を設けることなく使用することができる。
また、本発明に係る積層材は、表面に金属ナノ粒子を担持するため、金属ナノ粒子の触媒活性を利用した金属ナノ粒子担持触媒シートや金属ナノ粒子の抗菌又は殺菌作用を利用した金属ナノ粒子担持抗菌シート等として用いることもできる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例において、微細凹凸層の平均隣接突起間隔dAVG及び微小突起の平均高さH’AVGは、30mm×30mmの領域内に含まれる30箇所のSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8000)による測定値から算出した平均である。金属ナノ粒子の平均粒径は、任意に選んだ30個の金属ナノ粒子のTEM(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7650)による測定値から算出した平均である。金属蒸着膜の平均膜厚、並びに金属ナノ粒子層側表面の平均隣接突起間隔dAVG及び微小突起の高さH’と当該微小突起の頂部における金属ナノ粒子層の厚さとの合計の平均は、任意に選んだ30箇所のTEM(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7650)による測定値から算出した平均である。
(製造例1:金型1の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて100秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で50秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で120秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微小孔が密に形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用の金型1を得た。なお、金型1のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微小孔間距離100nmであった。また、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(製造例2:金型2の作製)
第一エッチング処理時間を60秒、第二エッチング処理時間を130秒とし、繰り返し操作を7回追加実施したこと以外は、金型1の作製と同様にして、平均隣接微小孔間距離200nmの微小突起構造体形成用の金型2を得た。なお、金型2のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(製造例3:微細凹凸層形成用樹脂組成物の調製)
下記成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層形成用樹脂組成物を調製した。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物>
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量部
・EO変性トリメチロールプロパンアクリレート 30質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・ドデシルアクリレート 5質量部
・メチルメタクリレート 5質量部
・ヘキシルメタクリレート 5質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(実施例1)
前記微細凹凸層形成用樹脂組成物を、前記金型1の微細凹凸形状を有する表面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、微細凹凸層を形成した。得られた微細凹凸層の微小突起構造体をSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8000)により観察すると、平均隣接突起間距離dAVGが100nmであり、微小突起の平均高さH’AVGが160nmであった。また、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起であり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
次いで、水晶振動子を用いた膜厚計((株)アールデック製、薄膜蒸着コントローラー、品番:SQC−310−2−R−1)により測定される金属の厚みが80nmとなるような条件で、蒸着真空度1×10−5Torr、蒸着レート0.75Å/secで、真空蒸着装置(アルバック社製)を用いて、純アルミニウム(99.999%、ワイヤーφ2.0mm、日本高純度化学(株)製)を、形成した微細凹凸層の微小突起構造体表面に蒸着することにより、実施例1の積層材を得た。
得られた積層材の表面及び断面のTEM写真(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7650)からの実測によると、平均隣接微小突起間距離dAVGが100nm、微小突起の高さH’と当該微小突起の頂部における金属ナノ粒子層の厚さとの合計の平均が256nmであり、各突起の高さに標準偏差30nmの高低差がある突起群を備えた凹凸面を有し、微小突起構造体に追従した凹凸形状が形成されていた。
また、得られた積層材の断面のTEM写真(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7650)からの実測によると、平均粒径22nmの金属ナノ粒子が堆積して付着しており、金属ナノ粒子層の厚さの平均は70nmであった。得られた積層材の金属ナノ粒子層側表面は金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面を覆っていた。また、図示はしないが、実施例1で得られた積層材は、TEM写真により、微細凹凸層に近い金属ナノ粒子間には多くの空隙が存在し、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されていることが確認された。
(実施例2)
実施例1において、金型1に代えて金型2を用い、純アルミニウムを蒸着する際に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが50nmとなるような条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層材を得た。SEM写真からの実測によると、実施例2で形成した微細凹凸層の微小突起構造体は、平均隣接突起間隔dAVGが200nmであり、微小突起の平均高さH’AVGが160nmであり、各微小突起の高さに、標準偏差30nmの高低差があった。
また、TEM写真からの実測によると、実施例2で得られた積層材は、平均隣接微小突起間距離dAVGが200nm、微小突起の高さH’と当該微小突起の頂部における金属ナノ粒子層の厚さとの合計の平均が221nmであり、各突起の高さに高低差がある微小突起群が形成され、微小突起構造体に追従した凹凸形状を有していた。また、TEM写真からの実測によると、金属ナノ粒子層の厚さの平均は43nmであり、表1に示す平均粒径の金属ナノ粒子が堆積して付着し、金属ナノ粒子層側表面は金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面を覆っていた。実施例2で得られた積層材のTEM写真を図12に示す。実施例2で得られた積層材は、微細凹凸層に近い金属ナノ粒子間には多くの空隙が存在し、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されていた。
(実施例3)
実施例2において、純アルミニウムを蒸着する際に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが80nmとなるような条件としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の積層材を得た。実施例3で得られた積層材のSEM写真を図13に示す。また、TEM写真からの実測によると、実施例3で得られた積層材は、平均隣接突起間距離dAVGが200nm、微小突起の高さH’と当該微小突起の頂部における金属ナノ粒子層の厚さとの合計の平均が259nmであり、各突起の高さに高低差がある突起群を備えた凹凸面が形成され、微小突起構造体に追従した凹凸形状を有していた。また、TEM写真からの実測によると、金属ナノ粒子層の厚さの平均は75nmであり、表1に示す平均粒径の金属ナノ粒子が堆積して付着し、金属ナノ粒子層側表面は金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面を覆っていた。また、図示はしないが、実施例3で得られた積層材は、TEM写真により、微細凹凸層に近い金属ナノ粒子間には多くの空隙が存在し、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されていることが確認された。
(実施例4)
実施例2において、純アルミニウムを蒸着する際に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが100nmとなるような条件としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の積層材を得た。TEM写真からの実測によると、実施例4で得られた積層材は、平均隣接突起間距離dAVGが200nm、微小突起の高さH’と当該微小突起の頂部における金属ナノ粒子層の厚さとの合計の平均が287nmであり、各突起の高さに高低差がある突起群を備えた凹凸面が形成され、微小突起構造体に追従した凹凸形状を有していた。また、TEM写真からの実測によると、金属ナノ粒子層の厚さの平均は113nmであり、表1に示す平均粒径の金属ナノ粒子が堆積して付着し、金属ナノ粒子層側表面は金属ナノ粒子が、微小突起構造体の表面を覆っていた。また、図示はしないが、実施例4で得られた積層材は、TEM写真により、微細凹凸層に近い金属ナノ粒子間には多くの空隙が存在し、金属ナノ粒子層の最表面に近いほど、金属ナノ粒子同士が密接して配置されていることが確認された。
(比較例1)
実施例1において、金属ナノ粒子層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の部材を得た。
(比較例2)
実施例2において、金属ナノ粒子層を形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の部材を得た。
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)を比較例3の部材とした。
(比較例4)
両面が平坦なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(材質:PET、厚さ:25μm、商品名:ルミラー、東レ社製)の一面側に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが30nmとなるような条件で、蒸着真空度1×10−5Torr、蒸着レート0.75Å/secで、真空蒸着装置(アルバック社製)を用いて、純アルミニウム(99.999%、ワイヤーφ2.0mm、日本高純度化学(株)製)を蒸着することにより、比較例4の積層材を得た。TEM写真からの実測によると、アルミニウム蒸着膜の膜厚の平均は48nmであった。また、金属ナノ粒子同士が密着しており、空隙が存在せず、単独で存在していなかった。比較例4で得られた積層材のTEM写真を図14に示す。
(比較例5)
比較例4において、純アルミニウムを蒸着する際に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが80nmとなるような条件としたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例5の積層材を得た。TEM写真からの実測によると、アルミニウム蒸着膜の膜厚の平均は86nmであった。また、金属ナノ粒子同士が密着しており、空隙が存在せず、金属ナノ粒子が単独で存在していなかった。
(比較例6)
比較例4において、純アルミニウムを蒸着する際に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが100nmとなるような条件としたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例6の積層材を得た。TEM写真からの実測によると、アルミニウム蒸着膜の膜厚の平均は108nmであった。また、金属ナノ粒子同士が密着しており、空隙が存在せず、金属ナノ粒子が単独で存在していなかった。
(比較例7)
黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、タイプ:X30、厚さ38μm)を比較例7の部材とした。
(比較例8)
両面が平坦な黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、タイプ:X30、厚さ38μm)の一面側に、水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが30nmとなるような条件で、蒸着真空度1×10−5Torr、蒸着レート0.75Å/secで、真空蒸着装置(アルバック社製)を用いて、純アルミニウム(99.999%、ワイヤーφ2.0mm、日本高純度化学(株)製)を蒸着することにより、比較例8の積層材を得た。TEM写真からの実測によると、アルミニウム蒸着膜の膜厚の平均は46nmであった。また、金属ナノ粒子同士が密着しており、空隙が存在せず、金属ナノ粒子が単独で存在していなかった。
<評価>
(接触角の測定)
各実施例及び比較例4〜6、8で得られた積層材のアルミニウム蒸着をした側の表面、及び比較例1〜3、7の部材の一方の面に、純水(液クロマトグラフィー用蒸留水(純正化学(株)製))1.0μLの液滴を上から滴下し、着滴1秒後、協和界面科学(株)製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。測定結果を表1〜2に示す。
(透過率及び全反射率の測定)
各実施例及び各比較例で得られた積層材及び部材の表裏両面について、(株)島津製作所製の分光光度計UV−3100PCと、マルチパーパス大形試料室MPC−3100とを用いて、透過率及び8°入射光の全反射率を測定した。透過率の測定結果を図4〜7に示し、全反射率の測定結果を図8〜11に示す。なお、透過率は、各積層材及び部材において、表裏両面でほぼ同じ値を示した。
また、各実施例及び各比較例で得られた積層材及び部材の表面と裏面において、380〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率、及び780〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率を算出した。平均反射率は、前記各波長領域にわたる10nm間隔での反射率の測定値の平均とした。算出結果を表1及び2に示す。
(結果のまとめ)
各実施例で得られた積層材は、本発明で特定する微小突起構造体を表面に有した樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、本発明で特定する金属ナノ粒子層とを備え、380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率は、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率は、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいものであった。そのため、光の波長領域により、表面と裏面とで反射率の大小関係が異なる積層材であった。
比較例1〜3、7で得られた部材は、金属ナノ粒子層を備えなかったため、380nm〜2600nmの波長領域において、表面と裏面との光の反射率がほぼ同じであり、表面と裏面とで反射率の大小関係が同じであった。
比較例4〜6、8で得られた積層材は、本願発明で特定する微小突起構造体を有しなかったため、380nm〜2600nmの波長領域において、表面の方が裏面に比べて光の反射率が高く、表面と裏面とで反射率の大小関係が同じであった。また、比較例4〜6、8で得られた積層材は、アルミニウム蒸着をした側の表面の水の接触角が、各実施例で得られた積層材に比べて小さかった。なお、比較例6で得られた積層材の反射率が、比較例5で得られた積層材の反射率よりも小さい理由は、明らかではないが、積層材のムラに起因するものと推測される。
10 積層材
11 基材
20 微細凹凸層
20’ 受容層
21 微小突起
22 微小突起構造体
30 金属ナノ粒子層
31 金属ナノ粒子
41 ダイ
42 ロール金型
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ

Claims (3)

  1. 複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、
    平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子が、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持されてなる金属ナノ粒子層とを備え、
    380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、
    780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きいことを特徴とする、積層材。
  2. 前記金属ナノ粒子層の厚さの平均が、25〜130nmである、請求項1に記載の積層材。
  3. 複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を準備する微細凹凸層準備工程と、
    水晶振動子を用いた膜厚計により測定される金属の厚みが、25〜130nmとなるよう調整された状態で、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することによって、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均dAVGよりも小さい金属ナノ粒子を、前記微小突起構造体の表面全体を被覆するように担持させることにより、前記金属ナノ粒子層を形成する金属ナノ粒子層形成工程とを有し、
    380nm〜780nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側の表面の方が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面に比べて大きく、
    780nm〜2600nmの波長領域の光に対する平均反射率が、前記金属ナノ粒子層側とは反対側の裏面の方が、前記金属ナノ粒子層側の表面に比べて大きい積層材を製造することを特徴とする、積層材の製造方法。
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