JP2015052562A - 表面増強ラマン散乱測定用基板、及びその製造方法 - Google Patents

表面増強ラマン散乱測定用基板、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定感度が高く、簡易な方法で製造可能な表面増強ラマン散乱測定用基板、及び当該表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子とを有し、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されている、表面増強ラマン散乱測定用基板。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面増強ラマン散乱測定用基板、及びその製造方法に関するものである。
近年、ライフサイエンスを中心とするバイオの分野において、細胞を生きたまま、非標識で観察可能な超高感度分析技術が求められている。
バイオの分野の検出法として、表面増強ラマン分光法(Surface Enhanced Raman Spectroscopy:以下、SERSと略することがある)が物質の同定などに用いる超高感度分析方法として注目されている。ラマン分光法は、ラマン効果により散乱した光と入射光のエネルギーの差が物質内の分子や結晶の振動準位や回転準位、もしくは電子準位のエネルギーに対応することから、単色光であるレーザを入射光として用い、その分子固有のエネルギー状態を反映した光に変調される現象を利用して、スペクトルから化学種を同定し、その散乱光強度から目的物質の定量を行う方法である。ラマン分光法の感度は本質的に低いため、微少量の試料分析には適していないという問題があった。一方、金属ナノ粒子においては金属表面に存在する自由電子が集合的に振動する現象であるプラズモンが金属表面に存在し、この表面プラズモンは可視〜近赤外領域の光電場とカップリングさせることによって、金属ナノ粒子表面において著しく電場を増強させる。この表面プラズモン共鳴を利用して、金属ナノ粒子表面に吸着させた分子にレーザ光を照射すると、吸着分子から発生するラマン散乱光を飛躍的に増強させることができるので、当該表面増強ラマン分光法が注目されるに至っている。
ラマン散乱測定基板を得る方法として、例えば、特許文献1には、SERS活性を有する金属の粒径100nm以下のナノ粒子を含むコロイド溶液中に少なくともアミノ基とカルボニル基を有する両性電解質を分散させ、該両性電解質を含むコロイド溶液を金属基板上に滴下し、金属基板とナノ粒子との電極電位差で凝集を開始させることによりホットサイト(表面プラズモン共鳴による電場増強効果が顕著に発生する場所)を形成する方法が開示されている。
特許文献2には、金属微粒子を含有した高分子フィルムを製造する方法として、金属微粒子の水分散液と高分子を溶解した有機溶媒液を混合して水相と有機相に分離した分離溶液を形成し、次いで該分離溶液中の液液界面に金属微粒子を薄膜状に凝集させた後に有機相に含まれる高分子をフィルム化することによって液液界面に形成された金属微粒子凝集体を該フィルムに取り込ませ、該金属微粒子薄膜凝集体がフィルムの片側表層部分に含有された高分子フィルムを製造する方法が開示されている。
しかし、特許文献1、2に記載されるような分散液を用いる方法により得られるラマン散乱測定用基板は、当該ラマン散乱測定用基板が備える金属微粒子が、界面活性剤等の分散剤に覆われるため、金属微粒子によるラマン散乱の増強効果が不十分になる場合がある。また、このような分散液を用いて金属ナノ粒子の凝集体を形成する方法は、凝集の度合いや形状を精密に制御することが実質的には困難である。
一方、分散液から金属微粒子を配置する方法とは別の方法として、気相法により合成した貴金属ナノワイヤを基板上に配置し、貴金属ナノワイヤ間の接触や交差によってホットサイトを形成する方法(特許文献3)や、気相法により合成した貴金属ナノワイヤ及び当該貴金属ナノワイヤ表面に自己組織化された貴金属ナノ粒子を基板上に配置し、貴金属ナノワイヤ表面と貴金属ナノ粒子の結合によりホットサイトを形成する方法(特許文献4)も知られている。
しかし、貴金属ナノワイヤの交点や貴金属ナノ粒子の結合により形成されたホットサイトによる増強効果は強い偏光依存性が存在するため、精密な偏光制御が必要となるという問題点がある(非特許文献1、2)。
国際公開第2010/101209号パンフレット 特開2011−16953号公報 特表2010−532472号公報 特開2011−81001号公報 長澤文嘉他、「金属ナノギャップにおける表面増強ラマン散乱光子の偏光異方性観測」、第5回分子科学討論会(2011)、1D14 Erik C. Garnett et al., "Self-limited plasmonic welding of silver nanowire junctions", Nature Materials, Vol.11 (2012), pp.241-249
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、測定感度が高く、簡易な方法で製造可能な表面増強ラマン散乱測定用基板、及び当該表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子とを有し、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されていることを特徴とする。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板においては、前記微細凹凸層の表面が無機酸化物層からなることが、測定性能に優れる点から好ましい。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板においては、前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び、これらの合金よりなる群から選択される1種以上の金属ナノ粒子であるであることが好ましい。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層を準備する工程と、
蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法においては、前記蒸着法が、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように調整されていることが、ホットサイトを形成し易い点から好ましい。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法においては、前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び、これらの合金よりなる群から選択される1種以上の金属ナノ粒子であることが好ましい。
本発明によれば、測定感度が高く、簡易な方法で製造可能な表面増強ラマン散乱測定用基板、及び当該表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法を提供することができる。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の別の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 微細凹凸層の形成方法の一例を示す概略図である。 図5の(A)は、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板のSTEM像の一例であり、図5の(B)は、図5の(A)のSTEM像を、解析ソフトウェアを用いて2値化することで金属ナノ粒子だけを抽出した画像である。 実施例1、比較例1及び比較例2におけるローダミン6Gのラマンスペクトルの測定結果である。 実施例2、比較例1、比較例3におけるローダミン6Gのラマンスペクトルの測定結果である。
本件明細書において「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本件明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや距離の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子とを有し、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されていることを特徴とする。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層を準備する工程と、
蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程とを有することを特徴とする。
本発明者らは、銀粒子等のSERS活性を示し、通常は単独の粒子としては安定に存在し難い金属ナノ粒子が、前記所定の微小突起構造体の表面に蒸着法を用いて金属原子を付着することにより形成されること、更に、前記所定の微小突起構造体の表面においては、金属ナノ粒子は凝集しにくく単独の粒子として安定に存在し得ることを知見した。このような作用効果は、従来、金属ナノ粒子の製造方法として、水溶液中で金属を還元させる方法等、反応に長い時間を要したり、特殊な環境が必要になったりする方法が用いられていることからしても、技術水準から予測される範囲を超えた顕著な作用効果であると言える。
また、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、前記特定の微小突起構造体の表面の表面積が平坦面に比べて大きいため、平坦面に比べて多くの金属ナノ粒子を担持することができる。その結果、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、金属ナノ粒子によるSERS活性をさらに増大することができ、測定感度に優れる。
また、従来の分散液を用いて得られる測定用基板においては、金属ナノ粒子が分散剤等に覆われてSERS活性が悪化する問題があり、分散剤を除去するためには焼成工程が必要となり、製造工程が増えてしまうという問題があった。これに対し、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、分散液を用いず、気相法により製造することができる。そのため、一工程で簡易に製造できる上に、金属ナノ粒子表面が分散剤等に覆われることがなく、金属ナノ粒子によるSERS活性が高く、測定感度に優れる。
更に、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されていることから、前記微小突起の大きさや配列により前記微小突起構造体の凹凸表面形状を適宜調整することによって、前記金属ナノ粒子の配置を所望の配置とすることができる。例えば、微小突起の大きさや配列の偏差が小さい均一な凹凸表面形状を有する微小突起構造体の表面に金属ナノ粒子を担持した場合には、金属ナノ粒子は均等に配置され易いことから、ナノギャップによるホットサイトも均等に配置され易く、実質的に偏光依存性が存在せず、精密な偏光制御が不要となるというメリットがある。
また、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法によれば、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し担持することから、金属ナノ粒子の大きさ、形状、配置は、前記微小突起構造体表面の形状を調整することにより、ある程度適宜調整可能である。そのため、金属ナノ粒子のコンフォメーションを精密に制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1は、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の一例を模式的に示す断面図であり、図1に示す表面増強ラマン散乱測定用基板10は、複数の微小突起22が密接して配置され、隣接する前記微小突起22間の距離dの平均が1000nm以下である微小突起構造体21を有する微細凹凸層20を有し、平均粒径が前記微小突起22間の距離dの平均よりも小さい金属ナノ粒子30が前記微小突起構造体21の表面に担持されている。また、図1に示すように、表面増強ラマン散乱測定用基板10は、支持体として透明基材11を含んでいてもよい。
図2は、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の別の一例を模式的に示す断面図であり、図2に示す表面増強ラマン散乱測定用基板10’は、微細凹凸層20の微小突起構造体21側の表面が無機酸化物層25からなり、透明基材11を含まない。
<微細凹凸層>
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10は、複数の微小突起22が密接して配置され、隣接する前記微小突起22間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体21を有する微細凹凸層20を有する。ここで、微小突起の「微小」とは、1000nm以下の平均間隔dAVGで配列される程度に微小であることを意味している。
本発明者らは、微細凹凸層20において、微小突起構造体21を構成する微小突起22間の距離の平均を特定値以下とすると、当該微小突起構造体21の表面に担持された金属ナノ粒子30は、安定して保持され、凝集しにくいことを知見した。また、前記特定の微小突起構造体21の表面は、その表面積が大きいため、平坦面に比べて多くの金属ナノ粒子を担持することができる。その結果、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、金属ナノ粒子による優れたSERS活性を発揮することができ、測定感度に優れる。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10においては、微小突起構造体21を構成する各微小突起22の大きさ、形状、配列等により、微小突起構造体21の凹凸表面形状を適宜調整することにより、当該微小突起構造体21の表面に担持される金属ナノ粒子30の大きさ、形状、配置を調整することができる。
前記微小突起構造体21を構成する各微小突起22は、微細凹凸層20に植立するように形成され、その形状は、特に限定されないが、所望の大きさの金属ナノ粒子30を担持させることができ、さらに、金属ナノ粒子30を均一に且つ安定して配置し易い点から、例えば、当該微小突起22の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起22を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起22の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起22の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起22は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。また、微小突起の頂上は、曲面を有することが金属ナノ粒子の形成性の点から好ましい。
また、各微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面の長径と短径の比(長径/短径)は、表面積を広くする点から、1以上1.5以下であることが好ましく、更に1以上1.2以下であることが好ましい。
前記微小突起構造体21において、前記微小突起22間の距離(図1中のd、以下、「隣接突起間距離d」と称する場合がある。)の平均dAVGは、1000nm以下であり、金属ナノ粒子30の平均粒径よりも大きければ特に限定されないが、500nm以下であることが好ましく、380nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更により好ましい。これにより、微小突起構造体21表面に担持された金属ナノ粒子30の安定性が向上する。
また、前記微小突起22間の距離の平均dAVGは、前記金属ナノ粒子の平均粒径よりも大きければ特に限定されないが、通常50nm以上である。
この隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に用いられる微細凹凸層は、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。隣接突起間距離dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
また、前記微小突起構造体21を構成する微小突起群22の中には、頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)が含まれていても良い。本発明においては、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことにより、前記微小突起構造体21の表面積がさらに増大するため、当該微小突起構造体21の表面により多くの金属ナノ粒子30を担持することができる。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂点を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明の表面増強ラマン散乱測定用基板10は、微小突起構造体21を構成する微小突起22として、多峰性の微小突起を有することにより、機械的強度及び耐擦傷性も向上する。
微小突起の高さH(図1中のH)は、適宜設定すればよい。中でも、微小突起のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)が、0.8〜2.5となるように微小突起の高さHを選択することが好ましく、更に、0.8〜2.1となるように選択することがより好ましい。
前記微小突起22の高さHの平均HAVGは、1μm以下であることが好ましく、更に500nm以下であることが好ましく、より更に50〜350nmであることが好ましく、100〜250nmであることが特に好ましい。
ここで各微小突起22の高さHとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。単峰性の微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の突起高さとなる。多峰性の微小突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さをもって該微小突起の高さとする。
本発明において、前記微小突起22間の距離dの平均値dAVG及び微小突起22の高さHの平均値HAVGは、以下の方法により測定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図3は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。前記標準偏差σは、特に限定されないが、10nm〜100nmであることが、偏光依存性が低減されることから好ましい。
同様の手法を適用して微小突起の高さHの平均値HAVG、標準偏差σを求める。まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVGを求める。突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。この場合は麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、透明基材の表面若しくは裏面又は微細凹凸層の微小突起構造体が存在する側とは反対側の面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ透明基材の表面若しくは裏面又は微細凹凸層の微小突起構造体が存在する側とは反対側の面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
前記微小突起構造体中の各微小突起が不規則に配置されている場合は、上述のようにして求めた平均隣接突起間距離dAVGが1000nm以下であればよい。
一方、前記微小突起構造体中の各微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合には、隣接突起間距離dの標準偏差σが0となり、微小突起配列の周期pと一致するため、dAVG=pとなる。
前記微小突起構造体の表面を形成する各微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合の当該各微小突起としては、例えば、六方格子状、準六方格子状、四方格子状、又は準四方格子状に周期的に配列されてなるもの等を挙げることができる。
ここで、六方格子とは、正六角形状の格子のことをいい、準六方格子とは、正六角形状の格子とは異なり、歪んだ正六角形状の格子のことをいう。また、四方格子とは、正四角形状の格子のことをいい、準四方格子とは、正四角形状の格子とは異なり、歪んだ正四角形状の格子のことをいう。
六方格子状に周期的に配列されてなるとは、正六角形状の格子パターンにより周期的に配列されてなることをいい、準六方格子状に周期的に配列されてなるとは、例えば微小突起の配列方向に引き伸ばされ歪んだ六方格子パターンにより周期的に配列されてなるものが挙げられる。なお、微小突起の配列は、直線状のみならず、蛇行していてもよい。
前記微小突起構造体の表面を形成する各微小突起が不規則に配置されている場合の当該微小突起としては、前記微小突起構造体の表面を形成する全ての微小突起が不規則に配置されているものが好ましいが、一定周期で規則正しく配置されてなる微小突起を一部に含んでいてもよい。
本発明において、微小突起構造体の表面を形成する各微小突起は、特に限定されるものではないが、中でも不規則に配置されていることが好ましい。前記各微小突起が規則的に配置されている場合、その規則的な構造が回折格子として働いてラマン励起光が不要な回折をされる恐れがあるが、前記各微小突起が不規則に配置されていることにより、ラマン励起光の不要な回折を防ぐことができるからである。
前記微細凹凸層は、微小突起構造体側の表面が無機酸化物層からなることが好ましい。図2に、微細凹凸層20の微小突起構造体21側の表面が、無機酸化物層25からなる表面増強ラマン散乱測定用基板10’を示す。
微細凹凸層20の微小突起構造体21側表面が無機酸化物層25からなることにより、前記微細凹凸層20が樹脂を含む場合においても、金属ナノ粒子30による樹脂のスペクトル増強が防止される。これにより、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の測定性能がより向上する。
前記無機酸化物層25の材料としては、特に限定されないが、ラマン活性がないもしくは弱い材料であることが好ましく、例えば、酸化チタン(TiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸化スズ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、及びこれらのアモルファス型物質等が挙げられる。
なお、前記無機酸化物層は、単一の層からなる構成に限られず、複数の層が積層された構成を有してもよい。
当該無機酸化物層25の厚みは、当該無機酸化物層25を形成した後も上記微小突起構造体21の凹凸構造を維持するように適宜調整すればよく特に限定されない。無機酸化物層25の厚みは、例えば、1nm〜30nmの範囲とすることが好ましい。当該厚みは、例えば、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10を厚み方向に切断した垂直断面のTEM、STEM、SEM等の電子顕微鏡写真を観察することにより測定することができる。
微細凹凸層20の厚みは、特に限定されないが、一例として10〜1000μmとすることができる。なお、この場合の微細凹凸層20の厚みとは、微細凹凸層20の微小突起構造体21が存在しない側の界面から、当該微細凹凸層20の微小突起構造体21をなす微小突起22の頂部23までの表面増強ラマン散乱測定用基板10のフィルム面への法線方向ndに沿った高さt1を意味する。
<微細凹凸層の形成方法>
本発明に用いられる微小突起構造体21を表面に有する微細凹凸層20としては、所望の微小突起構造体21が形成された市販品を用いてもよい。一方、当該微細凹凸層20を形成する場合は、上述の微小突起構造体21を形成できる方法であれば特に限定されない。
例えば、透明基材11の一方の面に微細凹凸層用樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起22が密接して配置されてなる微小突起構造体21を有する微細凹凸層20の形成方法の具体例としては、まず透明基材11上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体21を形成し、前記微小突起構造体形成用原版を剥離する方法等が挙げられる。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体21の形状に対応する形状である。
微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
また、微細凹凸層20は、図1に示すように、透明基材11の一方の面に形成してもよい。この場合、透明基材11は微細凹凸層20の支持体となる。或いは、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体21を形成した後、製造に使用した透明基材は必要に応じて剥離して、図2に示すように微細凹凸層20のみとしてもよい。
また、前記無機酸化物層25を微小突起構造体21表面に形成する場合、その形成方法としては、特に限定されないが、例えば、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、樹脂組成物の塗膜に賦形し、当該樹脂組成物を硬化させた後、硬化した樹脂組成物の該凹凸形状を賦形した面に、例えば、スパッタリング法、CVD法、ゾルゲル法、MOD法(Metal Organic Deposition:有機金属堆積法)等により、前記無機酸化物層25を形成する方法等を挙げることができる。
(透明基材)
前記透明基材11としては、公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。透明基材11に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマ一等を挙げることができる。また、透明基材11に用いられる材料としては、例えばソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
透明基材11の厚みは、表面増強ラマン散乱測定用基板10の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常10〜5000μmであり、透明基材11は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
透明基材11は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
透明基材11の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。また、透明基材11と微細凹凸層20との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材11上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材11および微細凹凸層20との双方に密着性を有し、可視光学的に透明であることが好ましい。プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。
(微細凹凸層用樹脂組成物)
本発明において、前記微細凹凸層20は、特に限定されないが、例えば、樹脂を含有してなる層とすることができ、更に、樹脂組成物を硬化させてなるものとすることができる。
微細凹凸層用樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。当該樹脂組成物に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体又は重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、本発明において成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
中でも、微細凹凸層用樹脂組成物は、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
微細凹凸層用樹脂組成物は、塗工性等を付与する点から適宜溶剤を用いてもよく、また、さらに必要に応じて、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、シランカップリング剤等を含有することもできる。
(微小突起構造体形成用原版)
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
また、前記微小突起構造体形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。本発明においては、前記微小突起構造体形成用原版として、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図4に、微細凹凸層20形成用の樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微小突起構造体21形成用原版としてロール金型を用いて、微細凹凸層20を形成する方法の一例を示す。この製造方法では、まず、樹脂供給工程において、ダイ31により、帯状フィルム形態の透明基材11に、微細凹凸層20となる受容層20’を構成する未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。尚、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ31による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ33により、賦形用金型であるロール金型32の周側面に透明基材11を加圧押圧し、これにより透明基材11に未硬化の受容層20’を密着させると共に、ロール金型32の周側面に形成された微小な凹凸形状の凹部に受容層20’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材11の表面に微小突起構造体21を有する微細凹凸層20が形成される。続いて剥離ローラ34を介してロール金型32から、硬化した微細凹凸層20と一体に透明基材11を剥離する。必要に応じてこの透明基材11に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断する。これにより、所望の形状の微小突起構造体21が形成された微細凹凸層20と透明基材11との積層体が、効率良く大量生産される。
なお、多峰性の微小突起と単峰性の微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理において作製される微小突起構造体形成用原版の微小孔の間隔をばらつかせることにより実現することができる。多峰性の微小突起は、その頂部に対応する形状の凹部を備えた微小孔により作成されるものであり、このような微小孔は、極めて近接して作製された微小孔が、エッチング処理により、一体化して形成されると考えられる。
また、個々の微小突起の高さのばらつきは、微小突起構造体形成用原版に形成される微小孔の深さのばらつきによるものであり、このような微小孔の深さのばらつきは、陽極酸化処理におけるばらつきに起因するものと言える。個々の微小突起に高さのばらつきをもたせるには、陽極酸化処理におけるばらつきを大きくすることにより実現することができる。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦形処理により、フィルム形状の透明基材11上に微細凹凸層20を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、透明基材の形状に応じて、賦形処理に係る工程、金型は適宜変更することができる。例えば、平板状又は特定の曲面形状の賦形用金型を使用した賦形処理等により、枚葉状の透明基材上に微細凹凸層を形成することができる。
<金属ナノ粒子>
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10は、金属ナノ粒子30が前記微小突起構造体21の表面に担持されている。ここで、本発明において担持とは、担体に粒子を付着している状態で持っていることをいい、具体的には、微細凹凸層20の微小突起構造体21側表面に金属ナノ粒子30を付着している状態で持っていることをいう。本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10において得られる様々な特性は、通常、金属ナノ粒子30自体に基づいて発揮されるものである。
前記金属ナノ粒子30は、特に限定されないが、ホットサイトが形成されるように配置されていることが好ましい。ここで、ホットサイトとは、金属ナノ粒子30が密に配置されていることにより形成される局所的な強い電場領域をいう。ホットサイトにおいて、互いに隣接する金属ナノ粒子30間の距離は、当該隣接する金属ナノ粒子30の平均粒径よりも小さい距離であることが好ましく、例えば、金属ナノ粒子30間の距離が20nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。なお、隣接する金属ナノ粒子30間の距離とは、隣接する金属ナノ粒子30が最も近接している部分の間隙の距離をいう。
前記金属ナノ粒子30は、例えば図1及び図2に示すように、微小突起構造体21表面に均一に並んだ状態で配置されていてもよいが、金属ナノ粒子30の分布状態は特に限定されず、ばらつきをもって配置されていてもよく、例えば、金属ナノ粒子30は、微小突起22の側面に比べて微小突起22の谷部24や頂部23により密に配置されていてもよい。中でも、測定感度に優れる点から、単位表面積あたりのホットサイトの個数(密度)が、好ましくは100〜10000個/μm、より好ましくは1000〜10000個/μmとなる程度にホットサイトを形成していることが好ましい。
また、隣接する金属ナノ粒子30間の平均距離は、特に限定されないが、ホットサイトを形成しやすく、電場増強効果を向上する点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
隣接する金属ナノ粒子30間の距離の標準偏差は、ラマン散乱強度のばらつきを抑える点から、10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
前記金属ナノ粒子30は、中でも、図1及び図2に示すように均一に並んだ状態で配置されていることが、ホットサイトを形成し易く、電場増強効果を向上し、且つ、ラマン散乱強度のばらつきを抑える点から好ましい。
また、同様の観点から、前記金属ナノ粒子30は、堆積されておらず、単層の状態で配置されていることがより好ましい。
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10が担持する金属ナノ粒子30を構成する金属としては、粒径がnmオーダーの粒子として存在する場合に、バルクの場合には発揮されない光学的特性であるラマン散乱の増強効果を示すものが用いられる。また本発明においては、上述のように、微小突起構造体21を有する微細凹凸層20を利用して金属ナノ粒子30を担持することにより、金属ナノ粒子30を単独の粒子として安定に存在させることができる。従って本発明においては、粒子の状態のときに凝集し易いという性質を有する金属から構成された金属ナノ粒子30に対してより好適に用いられ得る。また、金属ナノ粒子30特有の特性をより有用に活用することを考慮すると、金属ナノ粒子30を構成する金属は、粒子として存在する際にそのプラズモン吸収のピークの波長が可視光域に存在することが好ましい。
これらの点を考慮すると、金属ナノ粒子30は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び、これらの合金よりなる群から選択される1種以上の金属ナノ粒子であることが好ましい。
金属ナノ粒子30の平均粒径は、金属ナノ粒子30が微細凹凸層20の微小突起構造体21によって安定に担持される限りにおいて特に限定されないが、例えば20〜30nmの範囲内となっている。
本発明において、金属ナノ粒子の粒径、粒子間の距離、粒子数及び粒子密度等は、例えば、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板10のTEM、STEM、SEM等の電子顕微鏡写真を観察することにより測定することができる。具体的には、電子顕微鏡写真について解析ソフトウェアを用いて2値化した画像を用いてこれらの値を測定することができる。図5の(A)に、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板のSTEM像の一例を示し、図5の(B)に、図5の(A)のSTEM像を、解析ソフトウェアを用いて2値化することで金属ナノ粒子だけを抽出した画像を示す。前記金属ナノ粒子の粒子径、粒子間の距離、及び粒子数は、粒子密度等は、これらの画像をもとに測定することができる。なお、図5の(B)において用いた解析ソフトウェアはImageJである。
金属ナノ粒子30を微細凹凸層20の微小突起構造体21の表面に担持する方法は特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法等の気相法(ドライプロセス)、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の溶液塗布法(ウェットプロセス)が挙げられる。
なお本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、金属ナノ粒子30をより安定に保持するという観点からは、蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程によって、微細凹凸層20の微小突起構造体21の表面に金属ナノ粒子30を担持することが好ましい。なお、合金ナノ粒子を担持する方法としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、及びニッケルよりなる群から選択される2種以上を含有する合金蒸着源を、フラッシュ蒸着により微小突起構造体21表面に付着させる方法や、2種以上の蒸着源を用いて、共蒸着を行う方法が挙げられる。金属ナノ粒子として合金ナノ粒子を用いると、表面プラズモン共鳴や粒子安定性の調整をすることができる点から好ましい。
金属ナノ粒子30を微小突起構造体21の表面に形成し、担持させる方法としては、中でも蒸着法が好ましく、特に真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法の場合、通常、真空排気系と、蒸発源と、基板ホルダーを備えた真空蒸着装置が用いられる。
真空排気系は、従来公知の高真空排気系を用いればよい。例えば、荒引きポンプとして油回転ポンプ、ドライポンプ等を用い、必要に応じてルーツポンプ等をブースターポンプとして併用することができる。高真空ポンプとしては、拡散ポンプ、クライオポンプ等を用いることができる。拡散ポンプを用いる場合には、−120〜−150℃程度のコールドトラップを更に備えていてもよい。
蒸発源は、金属を加熱蒸発するための加熱源を有する。加熱源としては、抵抗加熱、電子ビーム加熱等が挙げられる。
例えば、まず、前記微小突起構造体21を表面に有する部材を、微小突起構造体21表面が蒸発源に対面するように基板ホルダーに設置する。真空蒸着装置の真空容器内を10−2〜10−3Pa程度の真空状態にした後、前記蒸発源において金属の蒸気圧が1〜10−2Pa程度となるように加熱して、前記微小突起構造体21の表面に金属原子を付着すればよい。
このように、上記本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法によれば、気相法により、金属ナノ粒子30を単独の粒子として安定に担持させることができ、さらに、分散液を用いる方法と異なり、金属ナノ粒子30の表面が分散剤等に覆われることもないので、一工程による簡易な方法で製造することができ、測定感度の高いものとなる。
中でも、金属原子の微小突起構造体21への付着は、微小突起構造体21が平坦面であったと仮定した場合に当該平坦面上に積層される金属の厚みが、好ましくは40nm以下となるよう、より好ましくは20nm以下となるよう調整された状態で、蒸着法を用いて、実施されることが好ましい。これによって、安定に保持され得る程度の粒径を有する金属ナノ粒子30を、微細凹凸層20の微小突起構造体21上に形成することができ、また、金属ナノ粒子30同士の凝集や堆積が抑制されるため、ホットサイトが形成され易くなる。
<変形例>
上述した本発明の実施の形態に対しては、様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。なお、以下の説明では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
例えば、上述した実施の形態において、表面増強ラマン散乱測定用基板10が、一方の面側のみに、微細凹凸層20の微小突起構造体21を有し且つ当該当該微小突起構造体21上に金属ナノ粒子30が配置されている例を示したが、これに限られない。表面増強ラマン散乱測定用基板10が、一方の面側および他方の面側の両側に微細凹凸層20の微小突起構造体21を有し、且つ、両方の微小突起構造体21上に金属ナノ粒子30が配置されていてもよい。或いは、表面増強ラマン散乱測定用基板10が、一方の面側および他方の面側の両側に微細凹凸層20の微小突起構造体21を有し、且つ、片方の微小突起構造体21上のみに金属ナノ粒子30が配置されていてもよい。
また、上述した実施の形態において、表面増強ラマン散乱測定用基板10が、透明基材11と、微細凹凸層20と、金属ナノ粒子30と、からなる例(図1)、及び微細凹凸層20の表面が無機酸化物層25からなる例(図2)を示したが、これらに限られない。表面増強ラマン散乱測定用基板10から透明基材11が省かれてもよいし、表面増強ラマン散乱測定用基板10、10’に、他の層が追加されてもよい。
<表面増強ラマン散乱測定用基板の用途>
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板は、ラマン分光法、赤外分光法等の分光分析方法に幅広く適用することができ、例えば、臨床検査、環境モニタリング、品質管理、残留農薬や着香の分析などの食品検査、危険物の検出などのセキュリティ検査等の分野に適用することができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
[実施例1]
(微細凹凸層の準備)
<微小突起構造体形成用原版の製造>
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用原版を得た。
<微細凹凸層形成用樹脂組成物の調製>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20質量部、アロニックスM−260(東亜合成社製)70質量部、ヒドロキシエチルアクリレート10質量部、ルシリンTPO 3質量部を酢酸エチル300質量部に溶解させ、樹脂組成物を調製した。
<微小突起構造体の形成>
前記微細凹凸層形成用樹脂組成物を、前記微小突起構造体形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し透明基材と無機酸化物層形成前の微細凹凸層との積層体を得た。
<無機酸化物層の形成>
得られた積層体の微細凹凸面上に、スパッタ装置(アルバック社製、SMD−750)を用い、35℃で酸化ジルコニウムをスパッタリングし、各微小突起の頂部から谷部までの領域における厚さが10〜20nmの範囲内の酸化ジルコニウムの連続層からなる無機酸化物層を形成した。引き続いて、スパッタ装置(アルバック社製、SMD-750)を用い、35℃で酸化チタンをスパッタリングし、各微小突起の頂部から谷部までの領域における厚さが10〜20nmの範囲内の酸化チタンの連続層からなる無機酸化物層を形成した。なお、前記無機酸化物層の厚さは、前記無機酸化物層形成後の積層体を厚み方向に切断した垂直断面のSTEMの電子顕微鏡写真を観察することにより測定した。
無機酸化物層形成後の微細凹凸層に設けられた微小突起構造体は、平均隣接微細突起間距離が100nm、平均微小突起高さが200nmで、各微小突起が先細りとなる構造を有するものであった。
(蒸着法による金属原子の付着)
無機酸化物層を形成した凹凸構造物品の凹凸面上に、真空蒸着装置(アルバック社製、VPC−410)を用い、真空度8×10−6Torr(1×10−3Pa)で、凹凸面上の領域と平面視において同面積となる平版材の表面に成膜した場合に5nmとなるような平面での換算膜厚5nmで金を蒸着した。これを粘着剤(パナック製、製品名パナクリーンPDR5)を介してスライドガラス(松浪硝子社製、S1221)に貼り付けることで実施例1の表面増強ラマン散乱測定用基板を得た。実施例1で得られた表面増強ラマン散乱測定用基板のSTEM像を確認したところ、平均粒径17.3nmの金属ナノ粒子が形成されており、金属ナノ粒子間平均距離は3.5nmであり、金属ナノ粒子間の距離の標準偏差は2.5nmであり、ホットサイトの個数密度は4900個/μmであった。
[実施例2]
蒸着法による金属原子の付着において、金の代わりに銀を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の表面増強ラマン散乱測定用基板を得た。実施例2で得られた表面増強ラマン散乱測定用基板のSTEM像を確認したところ、平均粒径5.3nmの金属ナノ粒子が形成されており、金属ナノ粒子間平均距離は9.4nmであり、金属ナノ粒子間の距離の標準偏差は8.0nmであり、ホットサイトの個数密度は3700個/μmであった。
[比較例1]
スライドガラス(松浪硝子社製、S1221)をそのまま用いて、比較例1の物品とした。
[比較例2]
スライドガラス(松浪硝子社製、S1221)上に、真空蒸着装置(アルバック社製、VPC−410)を用い真空度8×10−6Torr(1×10−3Pa)で金を膜厚15nmで蒸着することで比較例2の物品を得た。表面には均一に金の薄膜が形成されていた。
[比較例3]
金の代わりに銀を膜厚15nmで蒸着したこと以外は、比較例2と同様にして比較例3の物品を得た。表面には均一に銀の薄膜が形成されていた。
<ラマン散乱の評価>
ローダミン6G(Lambda Physik社製)0.0076gをエタノール100mlに溶解することで濃度158μMのローダミン6Gエタノール溶液を調製した。この溶液に実施例1、実施例2で得られた表面増強ラマン散乱測定用基板、及び比較例1、比較例2、比較例3の物品をそれぞれディップし、引き上げて風乾した。顕微レーザーラマン分光測定装置(堀場製作所製、HR800)にて風乾後の各物品でのローダミン6Gのラマンスペクトルを測定した。測定時の励起レーザー波長は633nmで行った。測定結果として、実施例1、比較例1、比較例2をプロットしたものを図6に示し、実施例2、比較例1、比較例3をプロットしたものを図7に示す。
ローダミン6Gに由来するピークは、ラマンシフト612cm−1、776cm−1、1193cm−1、1349cm−1、1511cm−1、1600cm−1に現れる。実施例1、実施例2では、ローダミン6Gに由来するピークの増大が確認できた。
(結果のまとめ)
実施例1〜2で得られた表面増強ラマン散乱測定用基板は、複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子とを有し、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されている、本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用基板であり、一工程による簡易な方法で製造することができた。実施例1〜2では、各比較例に比べて、ラマン散乱強度の増大が確認され、測定感度の高いものであった。
一方、比較例1〜3は、基板表面に金属ナノ粒子が担持されておらず、測定感度に劣っていた。
10 表面増強ラマン散乱測定用基板
10’表面増強ラマン散乱測定用基板
11 透明基材
20 微細凹凸層
20’受容層
21 微小突起構造体
22 微小突起
23 頂部
24 谷部
25 無機酸化物層
30 金属ナノ粒子
31 ダイ
32 ロール金型
33 押圧ローラ
34 剥離ローラ

Claims (6)

  1. 複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層と、平均粒径が前記微小突起間の距離の平均よりも小さい金属ナノ粒子とを有し、前記金属ナノ粒子が前記微小突起構造体の表面に担持されている、表面増強ラマン散乱測定用基板。
  2. 前記微細凹凸層の表面が無機酸化物層からなる、請求項1に記載の表面増強ラマン散乱測定用基板。
  3. 前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び、これらの合金よりなる群から選択される1種以上の金属ナノ粒子である、請求項1又は2に記載の表面増強ラマン散乱測定用基板。
  4. 複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が1000nm以下である微小突起構造体を有する微細凹凸層を準備する工程と、
    蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程とを有する、表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法。
  5. 前記蒸着法が、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように調整されている、請求項4に記載の表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法。
  6. 前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、及び、これらの合金よりなる群から選択される1種以上の金属ナノ粒子である、請求項4又は5に記載の表面増強ラマン散乱測定用基板の製造方法。
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