JP7442359B2 - 積層体及びセンシング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属系粒子集合体及びこれを含む積層体、並びに該積層体を含むセンシング装置に関する。
蛍光体等の発光体で標識した被検出物質を、発光体からの発光を分析することによって、定性的又は定量的に検出する光学式バイオセンシング装置は、高速な分析を実現し得る装置として、種々の分野において重要な役割を果たしている。上記光学式バイオセンシング装置としては、例えば、ウィルスセンサ、イオンセンサ、DNAチップ、プロテインチップ、糖鎖チップ、レクチンチップ、非侵襲グルコースセンサ等が知られている。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては特許文献1がある。特許文献1には、局在プラズモン共鳴現象を利用して蛍光を増強させる技術が開示されている。非特許文献1には、銀ナノ粒子による局在プラズモン共鳴に関する研究が示されている。
特開2007-139540号公報
T. Fukuura and M. Kawasaki, "Long Range Enhancement of Molecular Fluorescence by Closely Packed Submicro-scale Ag Islands", e-Journal of Surface Science and Nanotechnology, 2009, 7, 653
従来の光学式バイオセンシング装置では、発光体からの発光の強度が弱く、高感度な分析を行うためには高感度分光器が必要となる場合があった。また、被検出物質が少量である場合には、高感度な分析がさらに難しくなり、複数回の測定を要したり、検出できなかったりする場合があった。
本発明の1つの目的は、光学式センシング装置に用いることができ、発光体の発光を増強させる増強要素として有用な新たな構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記構造体を備えることにより感度向上が図られたセンシング装置を提供することにある。
本発明は、以下に示す金属系粒子集合体、積層体及びセンシング装置を提供する。
[1] 複数の金属系粒子が互いに離間して配置されてなる金属系粒子集合体であって、
前記複数の金属系粒子は、それぞれ、その隣り合う金属系粒子との平均距離が1nm以上1000nm以下となるように配置されており、
前記平均距離の標準偏差が25nm以下である、金属系粒子集合体。
[2] 前記複数の金属系粒子の平均粒径が5nm以上800nm以下である、[1]に記載の金属系粒子集合体。
[3] 第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する基板と、
前記第1主面上に積層される[1]又は[2]に記載の金属系粒子集合体と、
を含み、
前記金属系粒子集合体は、複数の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなる、積層体。
[4] 前記第1主面の面積に占める前記金属系粒子集合体によって被覆される面積の割合が65%以上である、[3]に記載の積層体。
[5] 被検出物質を検出するためのセンシング装置であって、
[3]又は[4]に記載の積層体と、
前記金属系粒子集合体の上に配置され、発光体で標識された前記被検出物質を捕捉するための捕捉物質を有する捕捉層と、
前記発光体を励起させるための励起光を発する光源と、
前記発光体からの発光を検出する検出器と、
を含む、センシング装置。
[6] 前記基板を基準に前記金属系粒子集合体側とは反対側に配置される支持部材をさらに含む、[5]に記載のセンシング装置。
[7] 前記基板は、透光性を有し、
前記検出器は、前記基板を基準に前記金属系粒子集合体側とは反対側に配置されている、[5]に記載のセンシング装置。
[8] 前記捕捉層、前記金属系粒子集合体、前記基板及び前記支持部材がこの順に配置されており、
前記基板及び前記支持部材は、透光性を有し、
前記検出器は、前記支持部材を基準に前記基板側とは反対側に配置されている、[6]に記載のセンシング装置。
[9] 前記励起光は、前記支持部材の中に入射される、[8]に記載のセンシング装置。
光学式センシング装置に用いることができ、発光体の発光を増強させる増強要素として有用な構造体を提供することができる。また、上記構造体を備えることにより感度向上が図られたセンシング装置を提供することができる。
本発明に係るセンシング装置の一例を示す断面模式図である。 本発明に係るセンシング装置の他の一例を示す断面模式図である。 本発明に係るセンシング装置のさらに他の一例を示す断面模式図である。 実施例1で得られた積層体における金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(50000倍及び100000倍スケール)である。 実施例1で作製した光学式センシング装置を示す断面模式図である。 実施例1及び参照例において得られた発光スペクトルを示す図である。 実施例2で得られた積層体における金属系粒子集合体を直上から見たときのSEM画像(50000倍及び100000倍スケール)である。
<金属系粒子集合体>
(1)概要
本発明に係る金属系粒子集合体(以下、単に「金属系粒子集合体」ともいう。)は、複数の金属系粒子が互いに離間して配置されてなる金属系粒子集合体である。複数の金属系粒子は、好ましくは、互いに離間して二次元的に配置されている。
金属系粒子集合体において金属系粒子は、それぞれ、その隣り合う金属系粒子との平均距離(以下、「平均粒子間距離」ともいう。)が1nm以上1000nm以下となるように配置されており、該平均粒子間距離の標準偏差は25nm以下である。
本発明に係る金属系粒子集合体は、プラズモン構造体である。「プラズモン構造体」とは、局在プラズモン共鳴を示すことができる構造体をいう。プラズモンとは、構造体中の自由電子の集団的な振動によって生起する自由電子の粗密波のことである。
本発明に係る金属系粒子集合体は、その局在プラズモン共鳴により、被検出物質を標識する発光体からの発光の強度を増強させることができるため、光学式センシング装置用の発光増強要素として好適に用いることができる。該金属系粒子集合体を光学式センシング装置に適用することによって光学式センシング装置の感度を向上させることができる。
特許文献1に記載されるような従来のプラズモン構造体は、プラズモン構造体と励起される発光体との距離を、電子の直接移動であるデクスター機構によるエネルギー移動が起こらない範囲であって、フェルスター機構のエネルギー移動が発現する範囲内(1nm~10nm)にしなければならないという制約があった。このように、上記従来のプラズモン構造体を用いた局在プラズモン共鳴においては、その作用範囲がプラズモン構造体表面から10nm以下と極めて狭い範囲内に限定されるという本質的な課題があった。この課題は必然的に、金属ナノ粒子による局在プラズモン共鳴を光学式センシング装置に利用して発光標識としての発光体の発光を増強させて感度の向上を図る試みにおいて、あまり発光増強効果が認められないという課題を招来していた。これは、光学式センシング装置においては、プラズモン構造体表面と発光体との距離が通常10nmを超えるためである。
本発明に係る金属系粒子集合体によれば、下記特徴を示すことができるため、上記従来のプラズモン構造体を用いた局在プラズモン共鳴における上記課題を解決することが可能である。
[a]上記従来のプラズモン構造体を用いる場合と比較して、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる発光増強効果の及ぶ範囲)が広く、金属系粒子集合体の表面から例えば数百nmの範囲内にある発光体の発光をも増強し得る。
[b]上記従来のプラズモン構造体を用いる場合と比較してより強いプラズモン共鳴を示し、もって、より強い発光増強効果を得ることができる。
上記[a]及び[b]の特徴は、複数の金属系粒子を平均粒子間距離が所定の範囲となるように、かつ該平均粒子間距離の標準偏差が所定の範囲となるように配置されていることによって生じる金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用により発現したものと考えられる。
上記[a]に関し、本発明に係る金属系粒子集合体によれば、例えば10nm以上、さらには数十nm(例えば20nm、30nm又は40nm)以上、なおさらには100nm以上又は200nm以上離れた位置に配置された発光体の発光を増強し得る。
上記[b]に関し、本発明に係る金属系粒子集合体が示すプラズモン共鳴の強さは、特定波長における個々の金属系粒子が示す局在プラズモン共鳴の単なる総和ではなく、それ以上の強さである。すなわち、複数の金属系粒子を上記平均粒子間距離が所定の範囲となるように、かつ該平均粒子間距離の標準偏差が所定の範囲となるように配置されることにより、個々の金属系粒子が相互作用して強いプラズモン共鳴が発現する。このような強いプラズモン共鳴は、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用により発現するものと考えられる。
一般的に、プラズモン構造体は、吸光光度法で吸光スペクトルを測定したとき、紫外~可視光領域における最も長波長側にあるピークとしてプラズモン共鳴ピーク(以下、「プラズモンピーク」ともいう。)が観測される。
金属系粒子集合体の吸光スペクトルは、ガラス基板上に形成したものを測定サンプルとして、吸光光度法によって測定することができる。具体的には、吸光スペクトルは、金属系粒子集合体が積層されたガラス基板の裏面側(金属系粒子集合体とは反対側)であって、基板面に垂直な方向から紫外~可視光領域の入射光を照射し、金属系粒子集合体側に透過した全方向における透過光の強度Iと、該測定サンプルの基板と同じ厚み及び同じ材質の基板であって、金属系粒子集合体が積層されていない基板の面に垂直な方向から先と同じ入射光を照射し、入射面の反対側から透過した全方向における透過光の強度Iとを、それぞれ積分球分光光度計を用いて測定することにより得られる。このとき、吸光スペクトルの縦軸である吸光度は、下記式:
吸光度=-log10(I/I
で表される。
吸光スペクトルは、一般の分光光度計を用いて測定することができる。
また、紫外~可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長やその吸光度を測定するにあたっては、対物レンズと分光光度計を用い、測定視野を絞って吸光スペクトル測定を行ってもよい。
(2)金属系粒子集合体の構成
金属系粒子集合体を構成する金属系粒子は、紫外~可視光領域においてプラズモン共鳴可能な材料からなる。紫外~可視光領域においてプラズモン共鳴可能な材料とは、ナノ粒子又はその集合体としたときに、吸光光度法による吸光スペクトル測定において紫外~可視光領域に現れるプラズモンピークを示す材料であることを意味する。
紫外~可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属;アルミニウム、タンタル等の貴金属以外の金属;該貴金属及び貴金属以外の金属から選択される金属を含有する合金;該貴金属及び貴金属以外の金属から選択される金属を含む金属化合物(金属酸化物や金属塩等)が挙げられる。中でも、紫外~可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料としては、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属が好ましく、安価で吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)という観点からは銀であることがより好ましい。
金属系粒子集合体を構成する複数の金属系粒子は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、平均粒径が好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは20nm以上であり、なおさらに好ましくは20nm超である。金属系粒子集合体を構成する複数の金属系粒子は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、平均粒径が好ましくは800nm以下であり、より好ましくは550nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下であり、なおさらに好ましくは250nm以下であり、特に好ましくは150nm以下である。
金属系粒子の平均粒径は、金属系粒子を構成する金属系材料の種類に応じて適切に選択されることが好ましい。
上記複数の金属系粒子の平均粒径とは、複数の金属系粒子が二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、各粒子像内に無作為に接線径を5本引き(ただし、接線径となる直線はいずれも粒子像内部のみを通ることができ、このうち1本は粒子内部のみ通り、最も長く引ける直線であるものとする)、その平均値(以下、この平均値を「接線径平均値」ともいう。)を各粒子の粒径としたときの、選択した10個の粒子についての粒径の平均値である。接線径とは、粒子の輪郭(投影像)をこれに接する2本の平行線で挟んだときの間隔(日刊工業新聞社 「粒子計測技術」,1994,第5頁)を結ぶ垂線と定義する。
平均粒径の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」又はこれと同等の装置を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1~1280から10個の乱数(x、x、x、x、x、x、x、x、x、x10)、1~960から10個の乱数(y、y、y、y、y、y、y、y、y、y10)をそれぞれ得る。得られた各10個の乱数から10組の乱数組み合わせ(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)及び(x10,y10)を得る。1~1280から発生させた乱数の数値をx座標、1~960から発生させた乱数の数値をy座標として、10組の座標点(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)及び(x10,y10)を得る。そして、当該座標点を含む合計10個の粒子像のそれぞれについて上記の接線径平均値を得、次いで当該10個の接線径平均値の平均値として平均粒径を得る。10組の乱数組み合わせである10個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、10個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子は、例えばSEM観察によって確認することができる。SEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」又はこれと同等の装置を用いて測定する。
具体的には、本明細書において「金属系粒子」の「粒子」とは、得られた50000倍のSEM観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込んだ画像において、相対的に暗い部分によって取り囲まれている相対的に明るい部分を指す。該画像は、下記の[実施例]の項における被覆率の測定に関して記載された方法に従ってコントラスト及び明るさの調整を行った画像であってもよい。
金属系粒子集合体において複数の金属系粒子は、それぞれ、その隣り合う金属系粒子との平均距離(平均粒子間距離)が1nm以上1000nm以下となるように配置される。このような平均粒子間距離で金属系粒子を配置することにより、強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長等の効果を発現させることができる。
平均粒子間距離は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、好ましくは1nm以上150nm以下であり、より好ましくは1nm以上60nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上30nm以下であり、なおさらに好ましくは1nm以上20nm以下である。平均粒子間距離が1nm未満であると、粒子間でデクスター機構に基づく電子移動が生じ、局在プラズモンの失活の点で不利となる。
複数の金属系粒子が互いに離間して配置されている金属系粒子集合体は、当該集合体として導電性を示さないものであってもよく、導電性を示すものであってもよい。例えば、金属系粒子間には導電性物質が介在されていてもよく、介在されていなくてもよい。
当該集合体として導電性を示さないことは、例えば、金属系粒子集合体にマルチメーター〔テスター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕の一対のテスタープローブを10mm~15mm離して接触させたとき、レンジ設定「30MΩ」のときに、当該測定条件にて抵抗値が30MΩ以上である結果、「オーバーロード」と表示されることで確認できる。
平均粒子間距離とは、複数の金属系粒子が二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を30個選択し、選択したそれぞれの粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求めたときの、これら30個の粒子の粒子間距離の平均値である。隣り合う粒子との粒子間距離とは、すべての隣り合う粒子との距離(隣り合う粒子の表面同士間の最小距離)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。
平均粒子間距離の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」又はこれと同等の装置を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1~1280から30個の乱数(x~x30)、1~960から30個の乱数(y~y30)をそれぞれ得る。得られた各30個の乱数から30組の乱数組み合わせ(x,y)から(x30,y30)を得る。1~1280から発生させた乱数の数値をx座標、1~960から発生させた乱数の数値をy座標として、30組の座標点(x,y)~(x30,y30)を得る。そして、当該座標点を含む合計30個の粒子像のそれぞれについて、当該粒子と隣り合う粒子との粒子間距離を得、次いで当該30個の隣り合う粒子との粒子間距離の平均値として平均粒子間距離を得る。30組の乱数組み合わせである30個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、30個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子集合体において複数の金属系粒子は、上記平均粒子間距離の標準偏差が25nm以下となるように配置される。該標準偏差がこの範囲となるように金属系粒子を配置することにより、強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長等の効果を発現させることができる。
平均粒子間距離の標準偏差は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、好ましくは20nm以下である。平均粒子間距離の標準偏差は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは0.2nm以上であり、さらに好ましくは0.3nm以上である。
平均粒子間距離の標準偏差は、次のように定義される。複数の金属系粒子が二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子をまず1個選択し、その粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求める。隣り合う粒子との粒子間距離とは、すべての隣り合う粒子との距離(表面同士間の最小距離である。)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。上記SEM観察画像において、上記1個とは異なる29個の粒子を無作為に選択し、これらの29個の粒子について、上記と同様にして隣り合う粒子との粒子間距離を求める。このようにして得られた合計30個の粒子についての隣り合う粒子との粒子間距離の標準偏差を、平均粒子間距離の標準偏差と定義する。
平均粒子間距離の標準偏差の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」又はこれと同等の装置を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1~1280から30個の乱数(x~x30)、1~960から30個の乱数(y~y30)をそれぞれ得る。得られた各30個の乱数から30組の乱数組み合わせ(x,y)から(x30,y30)を得る。1~1280から発生させた乱数の数値をx座標、1~960から発生させた乱数の数値をy座標として、30組の座標点(x,y)~(x30,y30)を得る。そして、当該座標点を含む合計30個の粒子像のそれぞれについて、当該粒子と隣り合う粒子との粒子間距離を得、次いで当該30個の隣り合う粒子との粒子間距離の標準偏差として平均粒子間距離の標準偏差を得る。30組の乱数組み合わせである30個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、30個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子集合体を構成する複数の金属系粒子の平均高さは、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、好ましくは5nm以上500nm以下であり、より好ましくは5nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上150nm以下であり、なおさらに好ましくは5nm以上100nm以下であり、特に好ましくは5nm以上50nm以下である。
上記複数の金属系粒子の平均高さとは、金属系粒子集合体のAFM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、これら10個の粒子の高さを測定したときの、10個の測定値の平均値である。
金属系粒子集合体を構成する複数の金属系粒子のアスペクト比は、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、好ましくは1以上8以下であり、より好ましくは1以上6以下であり、さらに好ましくは1.5以上5.5以下であり、なおさらに好ましくは1.5以上5.0以下である。
上記アスペクト比は、上記平均高さに対する上記平均粒径の比(平均粒径/平均高さ)で定義される。金属系粒子は真球状であってもよいが、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、アスペクト比が1を超える扁平形状を有していることが好ましい。
金属系粒子は、効果の高いプラズモンを励起する観点から、その表面が滑らかな曲面からなることが好ましく、とりわけ表面が滑らかな曲面からなる扁平形状を有していることがより好ましいが、表面に微小な凹凸(粗さ)を幾分含んでいてもよく、このような意味において金属系粒子は不定形であってもよい。
金属系粒子集合体の面内におけるプラズモン共鳴の強さの均一性に鑑み、金属系粒子間のサイズのバラツキはできるだけ小さいことが好ましい。ただし、粒径に多少バラツキが生じたとしても、大型粒子間の距離の標準偏差が大きくなることは好ましくなく、その間を小型の粒子が埋めることで大型粒子間の相互作用を発現しやすくすることが好ましい。
金属系粒子集合体に含まれる金属系粒子の数は、通常30個以上であり、好ましくは50個以上である。金属系粒子を30個以上含む金属系粒子集合体を形成することにより、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用によって強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長が発現しやすい。
金属系粒子集合体を光学式センシング装置に適用することに鑑みれば、金属系粒子集合体に含まれる金属系粒子の数は、例えば300個以上、さらには17500個以上となり得る。金属系粒子集合体における金属系粒子の数密度は、7個/μm以上であることが好ましく、15個/μm以上であることがより好ましい。
(3)金属系粒子集合体の製造方法
金属系粒子集合体は、例えば次のような方法によって作製することができる。
[A]基板上において微小な種(seed)から金属系粒子を成長させていくボトムアップ法、
[B]複数の金属系粒子を所定の厚みを有する両親媒性材料からなる保護膜で被覆した後、LB(Langmuir Blodgett)膜法により、これを基板上にフィルム化する方法、
[C]その他、蒸着又はスパッタリングにより作製した薄膜を後処理する方法、レジスト加工、エッチング加工、金属系粒子が分散された分散液を用いたキャスト法等。
上記方法[A]においては、所定温度に調整された基板上に、極めて低速で金属系粒子を成長させる工程(以下、「粒子成長工程」ともいう。)を含むことが好ましい。かかる粒子成長工程を含む製造方法によれば、本発明に係る金属系粒子集合体を制御良く得ることができる。
粒子成長工程において、基板上に金属系粒子を成長させる速度は、平均高さ成長速度で1nm/分未満であることが好ましく、0.5nm/分以下であることがより好ましい。ここでいう平均高さ成長速度は、平均堆積速度又は金属系粒子の平均厚み成長速度とも呼ぶことができ、下記式:
金属系粒子の平均高さ/金属系粒子成長時間
で定義される。「金属系粒子の平均高さ」の定義は上述のとおりである。
金属系粒子成長時間とは、金属系粒子の成長開始から終了までの時間をいい、具体的には、金属系材料の供給時間をいう。金属系粒子集合体を膜と捉えたとき、金属系粒子成長時間は、成膜時間と言い換えることもできる。金属系粒子を成長させる方法がスパッタリング法であるとき、金属系粒子成長時間はスパッタリング時間である。
粒子成長工程における基板の温度は、好ましくは100℃以上450℃以下であり、より好ましくは200℃以上450℃以下であり、さらに好ましくは250℃以上350℃以下であり、なおさらに好ましくは300℃又はその近傍(300℃±10℃程度)である。
平均高さ成長速度、基板温度及び/又は金属系粒子成長時間等の調整によって、基板上に成長される複数の金属系粒子の平均粒子間距離及びその標準偏差、平均粒径、平均高さ、アスペクト比を制御することが可能である。
金属系粒子を成長させる際の圧力(装置チャンバ内の圧力)は、粒子成長可能な圧力である限り特に制限されないが、通常、大気圧未満である。圧力の下限は特に制限されないが、平均高さ成長速度を上記範囲内に調整し易いことから、好ましくは0.5Pa以上、より好ましくは6Pa以上、さらに好ましくは10Pa以上である。
基板上に金属系粒子を成長させる具体的方法は、1nm/分未満の平均高さ成長速度で粒子成長できる方法である限り特に制限されないが、スパッタリング法、真空蒸着等の蒸着法を挙げることができる。スパッタリング法のなかでも、比較的簡便に金属系粒子集合体を成長させることができ、かつ、1nm/分未満の平均高さ成長速度を維持しやすいことから、直流(DC)スパッタリング法を用いることが好ましい。
スパッタンリング方式は特に制限されず、イオンガンやプラズマ放電で発生したアルゴンイオンを電界で加速してターゲットに照射する直流アルゴンイオンスパッタリング法等を用いることができる。スパッタリング法における電流値、電圧値、基板・ターゲット間距離等の他の諸条件は、1nm/分未満の平均高さ成長速度で粒子成長がなされるよう適宜調整される。
なお、本発明に係る金属系粒子集合体を制御良く得るためには、粒子成長工程において平均高さ成長速度を1nm/分未満とすることに加えて、平均粒径成長速度を5nm未満とすることが好ましいが、平均高さ成長速度が1nm/分未満である場合、通常、平均粒径成長速度は5nm未満となる。平均粒径成長速度は、より好ましくは1nm/分以下である。平均粒径成長速度とは、下記式:
金属系粒子の平均粒径/金属系粒子成長時間
で定義される。「金属系粒子の平均粒径」及び「金属系粒子成長時間」の定義は上述のとおりである。
所定の平均粒子間距離及び平均粒子間距離の標準偏差を有する金属系粒子集合体を得るためには、上述した好ましい製造条件を考慮しつつ、粒子成長工程における金属系粒子成長時間を適切に調整することが好ましい。
<積層体>
本発明に係る積層体(以下、単に「積層体」ともいう。)は、第1主面及び該第1主面に対向する第2主面を有する基板と、該第1主面上に積層される上記本発明に係る金属系粒子集合体とを含む。該基板は、典型的には、上述の金属系粒子を成長させる基板である。
基板は、非導電性材料からなることが好ましい。該基板が導電性材料からなる場合、その上に形成される金属系粒子間で電子の授受が可能になるため、プラズモン共鳴効果が低減する傾向にある。ただし、プラズモン共鳴効果が消失しない限りは導電性基板であっても好適に用いることができる。
上記基板を構成する非導電性材料としては、マイカ、SiO、ZrO、ガラス等の無機絶縁材料、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
上記導電性基板としては、金属材料等の導電性材料からなる基板、上記非導電性材料からなる基板の表面に金属材料で構成される層を有する多層基板等が挙げられる。
上記基板の表面は、できるだけ平滑であることが好ましく、とりわけ、原子レベルで平滑であることがより好ましい。基板表面が平滑であるほど、基板から受け取った熱エネルギーにより、成長中の金属系粒子が別の周囲の隣接金属系粒子と合体成長しやすくなるため、より大きなサイズの金属系粒子からなる集合体が得られやすい傾向にある。
上記基板は、透光性を有する基板、例えば光学的に透明な基板であってもよいし、非透光性(光吸収性)であってもよい。
透光性を有する基板は、該基板を透過することとなる光に関して、80%以上の光透過率を有することが好ましく、90%以上の光透過率を有することがより好ましい。
積層体において、上記[a]及び[b]の効果を効果的に得る観点から、基板の第1主面の面積に占める金属系粒子集合体によって被覆される面積の割合(被覆率)は、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。
被覆率は、次の方法で測定することができる。まず、複数の金属系粒子が二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体の直上からのSEM観察で得た、50000倍の画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて8ビット、720×480ピクセルで読み込む。SEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」又はこれと同等の装置を用いて測定する。得られた画像から、500×350ピクセルの範囲を選択する(画像中のルーラー及び表記文字を含めないように選択する)。選択された画像は、上記相対的に明るい箇所(金属系粒子に相当する箇所と上記相対的に暗い箇所(金属系粒子に相当しない箇所)との区別が明確となるようにコントラスト及び明るさを調整することが好ましい。コントラスト及び明るさの調整は、例えば下記の[実施例]の項に記載された方法によって行うことができる。
次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1~720から3個の乱数(x、x、x)、1~480から3個の乱数(y、y、y)をそれぞれ得る。得られた各3個の乱数から3組の乱数組み合わせ(x,y)、(x,y)、(x,y)を得る。1~720から発生させた乱数の数値をx座標、1~480から発生させた乱数の数値をy座標として、3組の座標点(x,y)、(x,y)、(x,y)を得る。そして、当該座標点を含む合計3個の粒子像のそれぞれについて、「粒子1」、「粒子2」、「粒子3」と呼ぶ。3組の乱数組み合わせである3個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合、又は、「粒子1」、「粒子2」及び「粒子3」の少なくともいずれか1つが上記で選択した500×350ピクセル内に含まれないか、あるいは画像がはみ出す場合には、この乱数組み合わせを破棄し、3個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれ、かつ「粒子1」」、「粒子2」及び「粒子3」すべてが上記で選択した500×300ピクセル内に完全に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
次に、画像の二値化を行う。この際、上記で決定した「粒子1」、「粒子2」、「粒子3」のすべての粒子において、粒子内部に黒ドットが見えない範囲で最大の値で閾値を調整して二値化を行う。次に、前述と同じ座標位置で500×350ピクセルを選択する。
二値化された画像について、画素値ゼロのカウント値をVw、画素値255のカウント値をVbとするとき、被覆率は下記式によって算出される。
被覆率(%)={Vw/(Vw+Vb)}×100
積層体は、基板及び金属系粒子集合体以外の他の構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、後述する保護層が挙げられる。
<センシング装置>
本発明に係るセンシング装置(以下、単に「センシング装置」ともいう。)は、被検出物質を検出するためのセンシング装置である。
(1)センシング装置の構成例
センシング装置の一例を図1に示す。図1に示されるセンシング装置は、基板11と該基板11の第1主面上に形成された金属系粒子集合体12とを含む上記本発明に係る積層体10;金属系粒子集合体12の上に配置され、発光体31で標識された被検出物質32を捕捉するための捕捉物質21を有する捕捉層20;基板11の第2主面側に配置される支持部材40;発光体31を励起させるための励起光51を発する光源50;発光体31からの発光61を検出する検出器60を含む。
センシング装置の他の一例を図2に示す。図2に示されるセンシング装置は、積層体10が金属系粒子集合体12を覆う保護層13をさらに含むこと以外は図1に示されるセンシング装置と同様の構成を有する。図2に示されるセンシング装置において捕捉層20は、保護層13上に配置されている。
図1及び図2に示されるセンシング装置は、全反射励起型の光学式センシング装置である。図1及び図2に示されるセンシング装置において、好ましくは、捕捉層20、金属系粒子集合体12、基板11及び支持部材40はこの順に配置される。後述するように、支持部材40を省略することも可能である。この場合、該センシング装置において、好ましくは、捕捉層20、金属系粒子集合体12及び基板11はこの順に配置される。
図1及び図2に示される全反射励起型のセンシング装置において、光源50から発せられた励起光51は、支持部材40の中に入射され、支持部材40の内部で全反射する。このとき、基板11の外部に、基板11の表面からわずかに染み出すエバネッセント波が生起する。このエバネッセント波によって発光体31が励起される。そして、金属系粒子集合体12が励起された発光体31と共鳴して、プラズモン発光増強が発現する。励起された発光体31からの発光61を、基板11を基準に金属系粒子集合体12側とは反対側、より具体的には支持部材40を基準に基板11側とは反対側に配置されている検出器60によって検出することにより、被検出物質32を定性的又は定量的に検出することができる。例えば、発光61の強度を測定することにより被検出物質32の存在量を定性的又は定量的に測定することができる。
図1及び図2に示されるセンシング装置において光源50が配置される位置は、励起光51を支持部材40の中に入射できる位置である限り特に制限されず、例えば、支持部材40を基準に基板11側とは反対側に配置することもできるし、支持部材40の側方に配置することもできる。
図1及び図2に示される全反射励起型のセンシング装置において、検出器60は、基板11を基準に金属系粒子集合体12側とは反対側、より具体的には支持部材40を基準に基板11側とは反対側に配置されていてもよいし、基板11を基準に金属系粒子集合体12側と同じ側、より具体的には支持部材40を基準に基板11側と同じ側に配置されていてもよい。
図1及び図2に示されるセンシング装置において支持部材40を省略する場合、励起光51は、基板11の中に入射することができる。
全反射励起型のセンシング装置において、基板11を基準に金属系粒子集合体12及び発光体31側とは反対側に配置される検出器60によって発光体31からの発光61が検出される場合(図1及び図2参照)、金属系粒子集合体12は、発光増強効果の観点から上述のプラズモンピークにおける吸光度が十分に高いことが好ましい一方、発光61を検出器60によって十分検出できるよう、該吸光度が過度に高くないことが好ましい。
具体的には、金属系粒子集合体12は、これをガラス基板上に積層した状態で吸光光度法により吸光スペクトルを測定したとき、紫外~可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が、好ましくは0.1以上1.5以下であり、より好ましくは0.1以上1.2以下であり、さらに好ましくは0.1以上1.0以下であり、なおさらに好ましくは0.1以上0.8以下である。
センシング装置の装置構成は、図1及び図2に示される構成に限定されず、例えば図3に示される構成であってもよい。図3に示されるセンシング装置は、反射型の光学式センシング装置である。図3示されるセンシング装置において、光源50及び検出器60はいずれも、捕捉層20を基準に金属系粒子集合体12側とは反対側に配置されている。
図3に示される反射型の光学式センシング装置においては、支持部材40は必ずしも必要ではなく割愛されてもよい。
反射型のセンシング装置においては、基板11を基準に金属系粒子集合体12及び発光体31側と同じ側に配置される検出器60によって発光体31からの発光61が検出される(図3参照)。従って、金属系粒子集合体12は、全反射励起型のセンシング装置の場合とは異なり、発光増強効果の観点から上述のプラズモンピークにおける吸光度が高いほど好ましい。
具体的には、金属系粒子集合体12は、これをガラス基板上に積層した状態で吸光光度法により吸光スペクトルを測定したとき、紫外~可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.8以上であり、なおさらに好ましくは1.3以上である。
以下、センシング装置に含まれる又は含まれ得る構成要素のうち、金属系粒子集合体12以外のものについて後述する。
(2)捕捉層
捕捉層20は、積層体10の金属系粒子集合体12の上に配置され、発光体31で標識された被検出物質32を捕捉するための捕捉物質21を有する層である。捕捉層20は、上記の保護層13が形成される場合には、保護層13の上に配置することができる。
「捕捉物質」とは、これと特異的結合する物質(被検出物質32)を捕捉するために機能する物質であって、捕捉層20中に固定されて存在したり、捕捉層20中に遊離状態で存在したり、保護層13の表面に固定されて存在したりすることができる。捕捉層20の表面に被検出物質32と特異的結合し得る結合活性基を誘導する処理を行い、かかる結合活性基を捕捉物質21としてもよい。かかる結合活性基の集合を捕捉層20とみなすこともできる。
上記機能を有する物質である限り、あらゆる有機物質、無機物質を捕捉物質21として用いることができ、その具体例を挙げれば、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、タンパク質、糖類等の生体由来物質、細胞等がある。また、被検出物質32が有する官能基と静電相互作用により結合し得る結合性活性基を有する物質を捕捉物質21として用いることができる。
1つの実施形態において、捕捉層20の材料としては特に限定されることはなく、有機物、無機物、これらの酸化物等を用いることができ、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、SiO、Si、TiO、Ta、Al等であることができる。
1つの実施形態において、捕捉層20は、被検出物質32と特異的に結合することができる捕捉物質21を有する。例えば、捕捉層20の表面は、被検出物質32の特定の基と特異的に結合し得る結合活性基を誘導する処理が行われている。かかる結合活性基が捕捉物質21として機能する。このような結合活性基としては、例えば、塩基と静電相互作用する、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。
「被検出物質」とは、定性的又は定量的な検出を行う対象の物質であり、捕捉物質21に対して特異的に結合する物質である。あらゆる有機物質及び無機物質を被検出物質32とすることができ、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、タンパク質、糖類等の生体由来物質、ウィルス、細胞等を被検出物質32とすることができる。
核酸は、プリン塩基又はピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を含む。また、ヌクレオシドは、塩基と糖がグリコシド結合した化合物であり、ヌクレオチドはヌクレオシドにリン酸が結合した化合物であり、ヌクレオシド及びヌクレオチド共に塩基を含む化合物である。
「特異的に結合」とは、物質間の非共有結合、共有結合、水素結合を含む化学結合を広く意味し、例えば、タンパク質分子間の相互作用、分子間の静電相互作用、等が挙げられる。捕捉物質21とこれと特異的に結合する被検出物質32として、レクチンによる糖鎖の捕捉、包摂化合物による分子の捕捉等が挙げられる。
捕捉層20と積層体10との組み合わせは、捕捉層20近傍の反応領域において、捕捉物質21と被検出物質32の特異的結合を進行させ、被検出物質32を検出するためのセンサチップとして機能する。被検出物質32が生体由来物質、ウィルス、細胞等であるセンサチップをバイオチップともいう。捕捉層20によって捕捉された被検出物質32の検出は、被検出物質32をあらかじめ発光体31で標識しておき、この発光体31からの発光を検出することによって行うことができる。発光体31は、捕捉物質21及び被検出物質32の特異的結合により得られる複合体に特異的結合する標識物質であってもよい。発光体31は、励起光等の励起エネルギーの注入により発光する物質である。発光体31における発光の原理は限定されることはなく、蛍光、りん光、化学発光等が挙げられる。発光体31としては、従来公知のものを用いることができる。
本発明に係るセンシング装置によれば、上記本発明に係る金属系粒子集合体12を含むため、発光体31からの発光を増強させることができ、これによりセンシング装置の感度を向上させることができる。
本発明に係るセンシング装置によれば、局在プラズモン共鳴の作用範囲が広い上記本発明に係る金属系粒子集合体を含むため、金属系粒子集合体12の上面から発光体31までの距離が10nmを超える長い距離であっても発光体31からの発光を増強させることができる。
例えば、被検出物質32となり得るDNAの大きさは数nm~数十nm程度であり得、5nm~15nmであり得る。ウィルスの大きさは数十nm~百数十nm程度であり得、30nm~120nmであり得る。これらが被検出物質32である場合、これに標識される発光体31と金属系粒子集合体12の上面との距離は、例えば数十nm~数百nmになり得る。このような場合においても本発明に係るセンシング装置によれば、発光体31からの発光を増強させることができる。
センシング装置において金属系粒子集合体12の上面から発光体31までの距離は、15nm以上、さらには25nm以上、なおさらにはそれ以上の距離であってもよい。金属系粒子集合体12の上面から発光体31までの距離は、センシング装置の感度の観点から、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは170nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下である。
捕捉層20の平均厚みは、金属系粒子集合体12の上面から発光体31までの距離が上記範囲となるように選択されることが好ましく、例えば1nm以上50nm以下である。
なお、被検出物質32は長径1μm以下であることが好ましい。被検出物質32の長径が100nmを超える場合には、標識物質である発光体31がプラズモン共鳴の作用範囲内に位置するように被検出物質32が捕捉されるように調整することが好ましい。被検出物質32が核酸などの鎖状の化合物の場合、ここでいう長径は鎖長を意味する。
また、本発明に係るセンシング装置によれば、強いプラズモン共鳴を示す上記本発明に係る金属系粒子集合体12を含むため、発光効率が低いとされる発光体31を標識物質として用いる場合であっても、被検出物質32が少量である場合であっても、高感度で検出することが可能となる。
金属系粒子集合体12のプラズモンピークの極大波長は、標識物質として用いる発光体31の発光波長と一致するか又は近いことが好ましい。これにより、プラズモン共鳴による発光増強効果をより効果的に高めることができる。金属系粒子集合体12のプラズモンピークの極大波長は、これを構成する金属系粒子の金属種、平均粒径、平均高さ、アスペクト比、平均粒子間距離及び/又は平均粒子間距離の標準偏差の調整により制御可能である。
(3)保護層
積層体10は、金属系粒子集合体12を構成するそれぞれの金属系粒子の表面を覆う保護層13を有していてもよい(図2参照)。
保護層13は、絶縁性であることが好ましい。絶縁性であることにより、上述した金属系粒子集合体12の非導電性(金属系粒子間の非導電性)を担保できる。金属系粒子集合体12に電流が流れてしまうと、プラズモン共鳴による発光増強効果が低下するおそれがある。また金属系粒子を覆う保護層13を設けることにより、金属系粒子が保護層13以外の層又は外部環境と直接接触することを防ぐことができ、金属系粒子の劣化を防止することができる。
保護層13を構成する材料としては、良好な絶縁性を有するものが好ましく、例えば、スピンオングラス(SOG;例えば有機シロキサン材料を含有するもの)のほか、SiO、TiO、Al、Siなどを用いることができる。
保護層13の厚みは、金属系粒子が保護層13以外の層又は外部環境と直接接触することを防ぐことができるものであれば特に制限はないが、上述のように金属系粒子集合体12の上面から発光体31までの距離に好ましい範囲があるため、所望の保護性が確保される範囲で薄いほどよい。保護層13の厚みは、例えば1nm以上150nm以下であり、好ましくは1nm以上100nm以下であり、より好ましくは2nm以上80nm以下である。なお、保護層13の厚みは、基板11の上面から保護層13の上面までの平均厚みから、金属系粒子集合体12の平均高さを引いた値とする。
(4)支持部材及び積層体が有する基板
図1及び図2に示されるような全反射励起型のセンシング装置において支持部材40は、基板11を基準に金属系粒子集合体12側とは反対側に配置される部材であり、積層体10を支持するための部材及び基板11の内部に励起光51を導入するための部材として機能することができる。この場合、光源50から発せられた励起光51は、支持部材40の中に入射される。支持部材40は、好ましくは、内部に入射される励起光51を全反射可能な構造(例えば、透光性ポリマー板、スライドガラス、石英基板等の透光性プレート、プリズム等)及び材料からなる。
また、支持部材40が基板11の内部に励起光51を導入するための部材として機能する場合、励起光51を支持部材40内で伝搬させるために、及び、発光体31からの発光61を、支持部材40を基準に発光体31側とは反対側に配置される検出器60で検出できるようにするために、支持部材40は、通常、透光性を有し、好ましくは光学的に透明である。透光性を有する支持部材40は、該部材を伝搬又は透過することとなる光に関して、80%以上の光透過率を有することが好ましく、90%以上の光透過率を有することがより好ましい。
支持部材40を構成する材料としては、シリコン、石英、合成石英、ガラス、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
図1及び図2に示されるような全反射励起型のセンシング装置において、支持部材40を省略することも可能である。この場合、励起光51は、基板11の中に入射することができる。
図1及び図2に示されるような全反射励起型のセンシング装置において、発光体31からの発光61を、支持部材40を基準に発光体31側とは反対側に配置される検出器60で検出できるようにするために、基板11は、通常、透光性を有し、好ましくは光学的に透明である。透光性を有する基板11は、該基板を透過することとなる光に関して、80%以上の光透過率を有することが好ましく、90%以上の光透過率を有することがより好ましい。
図3に示されるような反射型のセンシング装置において支持部材40及び基板11は、透光性を有していてもよいし、有していなくてもよい。反射型のセンシング装置においても、支持部材40を省略することができる。
センシング装置が基板11と支持部材40とを含む場合、通常、これらは接合される。この接合にあたり、基板11と支持部材40との間に屈折率調整液を介在させることができる。屈折率調整液としては、例えば、液浸油、流動パラフィン等が挙げられる。屈折率調整液としては、市販のものを用いることができる。
(5)検出器
発光体31からの発光61を検出するための検出器60としては、分光測定器、落射蛍光顕微鏡、全反射照明蛍光顕微鏡、走査型近接場光顕微鏡等が挙げられる。
発光61を検出する際、励起光51が混入するおそれがある場合には、励起光51の波長の光をカットする波長カットフィルタを通して発光61を検出器60に入射させることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)積層体の作製
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、ソーダガラス基板上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、基板と金属系粒子集合体とからなる積層体を得た。
使用ガス:アルゴン
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa
基板・ターゲット間距離:100mm
スパッタ電力:4W
平均粒径成長速度(平均粒径/金属系粒子成長時間):0.9nm/分
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/金属系粒子成長時間):0.25nm/分
基板温度:300℃
基板サイズ及び形状:一辺が5cmの正方形
金属系粒子成長時間:120分
図4は、得られた積層体における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。図4(a)は50000倍スケールの拡大像であり、図4(b)は100000倍スケールの拡大像である。SEM画像の取得には、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-5500」を用いた(他の例においても同じ)。
図4に示されるSEM画像より、実施例1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は102nm、平均粒子間距離は11.3nm、平均粒子間距離の標準偏差は0.35nmと求められた。SEM画像より、実施例1の金属系粒子集合体は、約6.25×1010個(約25個/μm)の銀粒子を有することがわかる。
また、キーエンス社製「VN-8010」を用いたAFM像撮影の結果に基づき、平均高さは20.6nmと求められた。よって、銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は4.95と算出された。
上記50000倍スケールのSEM画像に基づき、上述の方法に従って被覆率を測定したところ、79%であった。
なお、50000倍のSEM画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて8ビット、720×480ピクセルで読み込んだ後、下記に従って画像のコントラスト及び明るさを調整してから、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」を用いた被覆率の算出を実施した。
アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」の「Analyze」→「Histogram」→「List」を開く。「value」を小さい値から順に見ていったとき、「count」が最大である「count」の値をImaxとする。「value」を小さい値から順に見ていったとき、最初に「count」値がImax×0.04を超えるときの「value」をVmin、「value」を小さい値から順に見ていったとき、「count」がImaxを超えたのち、次に「count」値がImax×0.04を下回るときの「value」をVmaxとする。
次に、「Image」→「Adjust」→「Brightness/Contrast…」を開く。「Minimum」バーを左右に動かし、値がVminとなるように調整する。その後、「Maximum」バーを左右に動かし、値がVmaxとなるように調整する。その後「Apply」ボタンを押し、画像のコントラスト、明るさ調整を確定する。
また、得られた積層体における金属系粒子集合体の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
(2)センサチップの作製
図5を参照して、上記(1)と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.7mm厚の無アルカリガラス基板である基板11上に上記(1)に記載の金属系粒子集合体12を形成した。その後直ちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体層上にスピンコートすることにより平均厚み3nmの保護層13を積層して、センサチップAを得た。この保護層13は、模擬的に捕捉層としても機能する層である。
SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T-7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
(3)光学式センシング装置の作製及び発光体からの発光の検出
図5を参照して、上記(2)で得られたセンサチップAの保護層13の表面にローダミンB溶液を回転数2000rpmでスピンコートし、その後乾燥させて、発光体31であるローダミンB色素を保護層13の表面に固定させた。ローダミンB溶液は、ローダミンB色素(Exciton社 Rhodamine110)を濃度が0.15mMとなるようにエタノールに溶解させて調製した。
次いで、図5に示される光学式センシング装置を構築した。具体的には、支持部材としての透光性ガラス「BK7」で構成されるプリズム41を用意し、プリズム41の主面の1つに、流動パラフィン層70を介して、上で作製した発光体31を備えるセンサチップAを積層した。該センサチップAは、その基板11が流動パラフィン層70に接するように積層した。流動パラフィン層70は、基板11とプリズム41との間に空気層が介在されることを排除し、両材と屈折率の近いパラフィン層を挿入することによって、励起光がプリズム、流動パラフィン層70を通り、基板11の内部に導入できるようにすることを目的として配置したものである。
検出器60には、蛍光分光光度計(商品名:PMA-12、浜松ホトニクス社製)を用いた。
図5に示される光学式センシング装置において、光源50を用いて波長532nmの励起光51をプリズム41に向けて照射した。プリズム41に向けて照射された励起光51は、直線的に進行して、センサチップA(積層体10)の内部に進入し、センサチップ1Aと外部の界面で全反射する際、エバネッセント波がセンサチップ表面近傍に生起し、発光体31を励起させる。励起された発光体31は金属系粒子集合体12と共鳴し、これにより増強された発光61の発光スペクトルを、励起光51の波長の光をカットする波長カットフィルタ80を通して、検出器60により測定した。
得られた発光スペクトルについて、波長540nmから800nmにわたる発光スペクトルの積分値を算出した。
得られた発光スペクトルを図6に示す。
<実施例2>
(1)積層体の作製
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、ソーダガラス基板上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、基板と金属系粒子集合体とからなる積層体を得た。
使用ガス:アルゴン
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa
基板・ターゲット間距離:100mm
スパッタ電力:4W
平均粒径成長速度(平均粒径/金属系粒子成長時間):0.9nm/分
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/金属系粒子成長時間):0.25nm/分
基板温度:300℃
基板サイズ及び形状:一辺が5cmの正方形
金属系粒子成長時間:240分
図7は、得られた積層体における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。図7(a)は50000倍スケールの拡大像であり、図7(b)は100000倍スケールの拡大像である。
図7に示されるSEM画像より、実施例2の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は246nm、平均粒子間距離は21.7nm、平均粒子間距離の標準偏差は21.2nmと求められた。SEM画像より、実施例2の金属系粒子集合体は、約6.25×1010個(約25個/μm)の銀粒子を有することがわかる。
また、キーエンス社製「VN-8010」を用いたAFM像撮影の結果に基づき、平均高さは57.3nmと求められた。よって、銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は4.29と算出された。
実施例1と同様にして被覆率を測定したところ、78%であった。
また、得られた積層体における金属系粒子集合体の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
(2)センサチップの作製、光学式センシング装置の作製及び発光体からの発光の検出
上記実施例2の(1)と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.7mm厚の無アルカリガラス基板である基板11上に上記(1)に記載の金属系粒子集合体12を形成したこと以外は実施例1と同様にしてセンサチップBを得た。
次いで、センサチップBを用いたこと以外は実施例1と同様にして光学式センシング装置を構築し、実施例1と同様にして発光61の発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルについて、波長540nmから800nmにわたる発光スペクトルの積分値を算出した。
<比較例1>
(1)積層体の作製
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、ソーダガラス基板上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、基板と金属系粒子集合体とからなる積層体を得た。
使用ガス:アルゴン
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa
基板・ターゲット間距離:100mm
スパッタ電力:4W
平均粒径成長速度(平均粒径/金属系粒子成長時間):0.9nm/分
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/金属系粒子成長時間):0.25nm/分
基板温度:300℃
基板サイズ及び形状:一辺が5cmの正方形
金属系粒子成長時間:360分
取得したSEM画像より、比較例1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は335nm、平均粒子間距離は16.7nm、平均粒子間距離の標準偏差は27.8nmと求められた。SEM画像より、比較例1の金属系粒子集合体は、約6.25×1010個(約25個/μm)の銀粒子を有することがわかる。
また、キーエンス社製「VN-8010」を用いたAFM像撮影の結果に基づき、平均高さは96.2nmと求められた。よって、銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は3.48と算出された。
実施例1と同様にして被覆率を測定したところ、85%であった。
また、得られた積層体における金属系粒子集合体の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
(2)センサチップの作製、光学式センシング装置の作製及び発光体からの発光の検出
上記比較例1の(1)と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.7mm厚の無アルカリガラス基板である基板11上に上記(1)に記載の金属系粒子集合体12を形成したこと以外は実施例1と同様にしてセンサチップCを得た。
次いで、センサチップCを用いたこと以外は実施例1と同様にして光学式センシング装置を構築し、実施例1と同様にして発光61の発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルについて、波長540nmから800nmにわたる発光スペクトルの積分値を算出した。
<参照例>
積層体の代わりに、金属系粒子集合体が形成されていないソーダガラス基板を用いたこと以外は実施例1と同様にしてセンサチップDを得た。センサチップDにおいてSOGからなる保護層13は、ソーダガラス基板上に直接形成されている。
次いで、センサチップDを用いたこと以外は実施例1と同様にして光学式センシング装置を構築し、実施例1と同様にして発光61の発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルについて、波長540nmから800nmにわたる発光スペクトルの積分値を算出した。
得られた発光スペクトルを図6に示す。
(発光増強効果の評価)
参照例1における発光スペクトルの積分値を1としたときの、実施例1、実施例2及び比較例1における発光スペクトルの積分値を算出した。結果を下記に示す。
実施例1:8.4
実施例2:5.4
比較例1:2.3
10 積層体、11 基板、12 金属系粒子集合体、13 保護層、20 捕捉層、21 捕捉物質、31 発光体、32 被検出物質、40 支持部材、41 プリズム、50 光源、51 励起光、60 検出器、61 発光体からの発光、70 流動パラフィン層、80 波長カットフィルタ。

Claims (8)

  1. 第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する基板と、
    前記第1主面上に積層される金属系粒子集合体と、
    を含み、
    前記金属系粒子集合体は、複数の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、
    前記複数の金属系粒子は、それぞれ、その隣り合う金属系粒子との平均距離が1nm以上1000nm以下となるように配置されており、
    前記平均距離の標準偏差が25nm以下であり、
    前記複数の金属系粒子のアスペクト比が1.5以上5.5以下である、積層体。
  2. 前記複数の金属系粒子の平均粒径が5nm以上800nm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1主面の面積に占める前記金属系粒子集合体によって被覆される面積の割合が65%以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 被検出物質を検出するためのセンシング装置であって、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体と、
    前記金属系粒子集合体の上に配置され、発光体で標識された前記被検出物質を捕捉するための捕捉物質を有する捕捉層と、
    前記発光体を励起させるための励起光を発する光源と、
    前記発光体からの発光を検出する検出器と、
    を含む、センシング装置。
  5. 前記基板を基準に前記金属系粒子集合体側とは反対側に配置される支持部材をさらに含む、請求項4に記載のセンシング装置。
  6. 前記基板は、透光性を有し、
    前記検出器は、前記基板を基準に前記金属系粒子集合体側とは反対側に配置されている、請求項4に記載のセンシング装置。
  7. 前記捕捉層、前記金属系粒子集合体、前記基板及び前記支持部材がこの順に配置されており、
    前記基板及び前記支持部材は、透光性を有し、
    前記検出器は、前記支持部材を基準に前記基板側とは反対側に配置されている、請求項5に記載のセンシング装置。
  8. 前記励起光は、前記支持部材の中に入射される、請求項7に記載のセンシング装置。
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