JP2014228322A - センサ、検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厳密な精度設計の不要な光学系の下で、洗浄工程を行うことなく被検体の検査を行うことのでき、且つ利用可能な色素の選択性の高い検査方法、及びこのような検査方法の下で被検体の検査を行うのに適したセンサを提供する。【解決手段】 本発明のセンサは、被検体の検査に利用されるセンサであって、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体がセンサチップ上に固定されており、センサチップは、基板と、基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、検査用特定体は、保護層の表面上に固定されている。【選択図】 図1
Description
本発明はセンサに関する。より詳細には、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体がセンサチップ上に固定されているセンサであって、被検体と検査用特定体を結合させた状態のセンサに光を照射することで被検体の検査を行う用途に利用されるセンサに関する。また、本発明は、このようなセンサに光を照射することで被検体の検査を行う検査方法に関する。
従来、バイオ測定などにおいて分光測定方法が利用されている。この方法について、図18を参照して説明する(例えば特許文献1参照)。図18は、従来の分光測定方法を説明するための概念図である。なお、図18では、検査対象となる被検体が抗原である場合について説明している。
まず、図18(a)に示すように、試験管90の内壁に固相抗体91を固定化する。この固相抗体91は、被検体である抗原93と特異的に結合する抗体が選択的に利用される。
そして、図18(b)に示すように、内壁に固相抗体91が固定化された試験管90に、蛍光色素92で標識した抗体94と被検体である抗原93を注入して混合する。ここで、抗体94も固相抗体91と同様、抗原93と特異的に結合する抗体が選択的に利用される。
すると、抗原93は固相抗体91及び標識抗体94と結合して、試験管90の内壁に固定化される。なお、標識抗体94のうち、抗原93と結合されなかったものは、依然として試験管90内で浮遊状態にある。その後、図18(c)に示すように、試験管90内の流体を試験管90外に排出して管内を洗浄する。これにより、抗原93と結合されなかった標識抗体94は試験管の外に放出される(B/F分離(Bond/Free分離))。この結果、試験管90内には、内壁に固定化された固相抗体91、この固相抗体91に結合した抗原93、及び固相抗体91に結合して固定化されている抗原93に結合した標識抗体94が残存する。
この状態で図18(d)に示すように、光源部96から試験管90の内壁に向けて光を照射する。このとき、試験管90の内壁に固定化された標識抗体94に標識された蛍光色素92が発光する。この発光を受光部97で受光して発光の有無又は発光強度を観測することで、被検体である抗原93の濃度を測定することができる。
また、標識色素からの蛍光強度を増強し、効率的に観察する手法として、表面プラズモン効果を利用した測定方法が開発されている(例えば特許文献2及び3参照)。
標識された抗体からの発光を受光して被検体である抗原の存在や濃度を分析する上では、抗体からの発光光量が分析に必要な光量を満たすことが前提となる。このため、特許文献3の方法によれば、抗体に標識される色素としては、高い発光量子収率(Φ>0.1程度)を満たす色素の利用が要求される。しかし、このように高い発光量子収率を満たしつつ、抗体や抗原に標識可能な色素というのは種類が極めて少ない。また、抗体や抗原によっても標識可能な色素とそうでない色素が存在する。この結果、色素の選択性が狭く、またそもそも本手法が利用できる抗原/抗体の組み合わせに制限があるという課題がある。
また、高い発光量子収率を満たす色素で標識した場合、被検体と結合して固定化された抗体や抗原とは別に、溶液中に浮遊している抗原や抗体に標識された色素からの発光を受光部が受光してしまうという別の問題がある。例えば、図18(b)の状態であれば、溶液中を浮遊している抗体標識蛍光色素92からの発光を受光部97が受光してしまう。この場合、この受光光量に基づいて分析をすると、抗原93の濃度を正しく測定できない。このため、従来は、浮遊する抗体標識蛍光色素92からの発光を受光部97が受光することのないよう、図18(c)のようにB/F分離工程を行なっている。
しかし、このB/F分離工程においては、作業者の洗い方などによっては、試験管90の内壁に固定化されていた固相抗体91、及びこれに結合した抗原93や抗体94が流されてしまうおそれがある。つまり、B/F分離工程によって固相抗体91及び抗原93の残量にばらつきが出やすく、濃度計測のばらつき要因の一つとなる。また、固相抗体91と抗原93、又は抗原93と抗体94の親和力が弱い場合においては、洗浄によって抗原93や抗体94が容器外に流されてしまうことがあるため、そもそもB/F分離が適切に実行できないという課題がある。
特許文献2及び3においては、金属薄膜の伝搬型表面プラズモン共鳴を用いる方法が開示されている。しかし、この方法によれば、エバネッセント波由来の表面プラズモン共鳴を利用するため、検出されるスペクトルの強度が入射角度に依存する。つまり、この表面プラズモン共鳴を実現するためには、センサに対する入射角を精度よく共鳴角に調整することが必要であり、光源部とセンサの光学的位置関係に関して高精度に設計し、製造することが要求される。また、利用時においても、光源部とセンサの位置関係を厳格に調整する必要があり、作業者によって表面プラズモン共鳴による光増強度が変動するおそれがある。
更に、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴による方法では、プラズモン共鳴による光増強度が十分ではないので、低発光量子収率である色素を標識色素として使用できない。
特許文献2では、二光子吸収分光法を利用し、溶液中に浮遊する標識色素からの発光の影響を除去する構成が記載されている。しかし、二光子吸収分光法を利用する場合には、レーザ光焦点を調整する必要があるため、高性能で高額なレーザ装置を上述した厳密な精度設計のなされた光学系に対して調整する必要が生じる。また、レーザが集光するコヒーレント長さは小さく見積もっても数百ナノメートルあるため、抗体標識蛍光色素92以外の箇所も少なからず励起し、この励起光によって被検体由来の正確な受光量が測定できない可能性がある。更に、この二光子吸収分光法に適した光退色のない堅牢な色素は限られており、標識物質として利用できる色素に大きな制約が生じる。
なお、特許文献3においても、図18(b)の状態であれば被検体以外の箇所にある抗体標識蛍光色素92も少なからず励起するため、洗浄工程を行うことが想定されている。
本発明は、上記の課題に鑑み、厳密な精度設計の不要な光学系の下で、洗浄工程を行うことなく被検体の検査を行うことのでき、且つ利用可能な色素の範囲が広い検査方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような検査方法の下で被検体の検査を行うのに適したセンサを提供することを目的とする。
本発明のセンサは、被検体の検査に利用されるセンサであって、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体がセンサチップ上に固定されており、
前記センサチップは、基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、
前記検査用特定体は、前記保護層の表面上に固定されていることを特徴とする。
前記センサチップは、基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、
前記検査用特定体は、前記保護層の表面上に固定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、センサチップが基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層を備える構成を有するため、局在表面プラズモン効果を利用することができる。このため、エバネッセント波を利用した表面プラズモン効果とは異なり、基板に対する光の入射角度に関する厳しい制限がなく、自由度が担保される。そして、センサに入射された光が、増強電磁場形成層による光増強効果によってその光強度が高められる。
このセンサを用いて被検体の検査を行う方法の一例としては、色素で標識化された被検体を含む流体を当該センサに流し込むなどの方法によって、センサに固定された検査用特定体と被検体を含む流体を接触させる。なお、この方法は、例えば被検体が検査用特定体と特異的に結合するかどうかを確認し、又はその結合程度を評価するための検査にも利用できるものである。
検査用特定体が被検体と特異的に結合する性質を有している場合、流体内に含まれる被検体が検査用特定体と結合し、センサに固定化される。なお、被検体と検査用特定体の関係(例えば濃度の関係など)によっては、流体内に含まれる全ての被検体が検査用特定体と結合するとは限らず、一部の被検体は依然として流体内を漂うことになる。無論、検査用特定体が、今回の検査対象である被検体と特異的に結合する性質を有していない場合においても、被検体は依然として流体内を漂う。
ここで、局在表面プラズモン効果を利用する場合、従来の素子においては、増強電磁場形成層を構成する多数の金属微粒子の近傍箇所にのみ、その光の増強効果が作用する。一方、本発明では増強電磁場形成層の上層に形成された保護層を介してその表面まで強い増強効果が及ぶため、金属微粒子から遠く離れた保護層表面に固定された検査用特定体並びにこの検査用特定体に結合した被検体の発光が著しく増強される。一方、流体内を漂う被検体に対しては増強電磁場形成層による発光増強効果が及ばない。
この著しく強い発光増強効果の結果、被検体を標識する色素として、通常状態で光らない非発光性(発光量子収率が0.01程度以下)の色素を利用することが可能となる。つまり、センサに光を入射すると、検査用特定体に結合した被検体に関しては、保護層を介して増強電磁場形成層による光の増強効果が及ぶため、被検体に標識された非発光性色素が発光する。一方、流体内を漂い、検査用特定体に結合しなかった被検体については、増強電磁場形成層による発光増強効果が及ばないため、この被検体に標識された非発光性色素は発光しない。この結果、B/F分離である洗浄工程を行わずとも、検査用特定体に結合した被検体からの光のみを受光部により受光することが可能となる。
本発明のセンサによれば、このように検査の際に洗浄工程が不要となる結果、検査用特定体と結合した被検体が洗浄工程で流されてしまうという問題点が解消するため、被検体の結合力が比較的弱い組み合わせの検査用特定体を被検体の検査に利用することも可能となる。このことは、本発明のセンサによって抗原抗体反応を用いた抗原又は抗体の検査を行う場合に、結合力が弱く親和性の低い抗原と抗体の組み合わせであっても、被検体と検査用特定体の組み合わせとして検査に採用することができることを意味しており、検査可能な抗原/抗体の種類を飛躍的に増加できる。
更に、上述したように、本発明のセンサによれば、通常状態で光らない非発光性の色素を標識色素として利用することが可能となるため、色素の選択性が極めて広がる。
本発明のセンサは、増強電磁場形成層と保護層を備えている。後述する実施形態により明らかになるが、発光増強効果は保護層表面にも及ぶため、光が入射されると、保護層に固定された検査用特定体に結合した被検体の標識色素を発光させることができる。
上述したように、本発明のセンサの利用方法としては、検査時に光をセンサに入射させることで、本発明のセンサに固定された検査用特定体に結合していない被検体や別の検査用特定体は発光させずに、センサに固定された検査用特定体と結合した被検体(又はこの被検体と結合した別の検査用特定体)のみを発光させる。そして、この発光した光を受光部において受光することによって分析などに利用される。つまり、検査用特定体と結合していない被検体などからは発光しないため、受光部では単純に発光光量を受光して分析するのみでよく、その検出精度は極めて向上する。このことは、更に以下のような効果をもたらす。
(1)例えば、少数個の反応分子の変化についても検出が可能となるため、溶液中に含まれる被検体の濃度が低い状態の下での被検体の検出感度の上昇が見込める。
(2)検出感度の低い従来の方法の場合、例えば一個の検査用特定体あたり多数個の色素を標識する方法が採用されていた。本発明のセンサであれば少数個の色素標識で検査可能であるため、検査用特定体を複数個の色素で標識することによる検出結果への悪影響が排除できる。
(3)検出感度の低い従来の方法の場合、入射する励起光の強度を高める必要があったが、本発明のセンサであれば検出感度が高いため、励起光の強度を低下させることができる。これにより、高い出力の光が照射されることで試料(被検体、検査用特定体)に対して光分解/熱分解といった悪影響が生じることを排除できる。
(4)少量の色素で検査が可能となり、高価なレーザを励起光とする二光子吸収分光法を用いる必要もないため、検査に必要なコストは大きく低廉化される。
(2)検出感度の低い従来の方法の場合、例えば一個の検査用特定体あたり多数個の色素を標識する方法が採用されていた。本発明のセンサであれば少数個の色素標識で検査可能であるため、検査用特定体を複数個の色素で標識することによる検出結果への悪影響が排除できる。
(3)検出感度の低い従来の方法の場合、入射する励起光の強度を高める必要があったが、本発明のセンサであれば検出感度が高いため、励起光の強度を低下させることができる。これにより、高い出力の光が照射されることで試料(被検体、検査用特定体)に対して光分解/熱分解といった悪影響が生じることを排除できる。
(4)少量の色素で検査が可能となり、高価なレーザを励起光とする二光子吸収分光法を用いる必要もないため、検査に必要なコストは大きく低廉化される。
生体物質や抗原/抗体を被検体とし、このような被検体の検査を行う場合には、当該被検体を含む流体として、生理食塩水などのハロゲン化物イオンを含む溶液が用いられることが多い。このとき、仮に、保護層をつけていない増強電磁場形成層の上面に直接、検査用特定体を固定してセンサを形成すると、被検体を含む流体をセンサに流し込むことで、増強電磁場形成層を形成する金属微粒子が当該流体に含まれるハロゲン化物イオンに直接晒されることになる。発光増強効果を高める観点からは、金属微粒子としてAg(銀)を用いるのが好適であるが、この場合、金属微粒子を構成するAgがハロゲン化物イオンと反応し、金属微粒子が溶解しセンサ基板表面から脱離してしまう。このような場合、発光増強効果が得られなくなってしまうという問題が生じる。
しかし、本発明の構成によれば、金属微粒子を含む増強電磁場形成層の上層に保護層が形成されており、この保護層表面に検査用特定体が固定されている構成である。このため、被検体を含む流体をセンサに流し込んでも、この流体は保護層に直接接触するのみであり、金属微粒子が直接流体に長時間晒され続けるということがない。このため、金属微粒子として発光増強効果の高いAgを用いることが可能となる。なお、本発明の構成においては、金属微粒子としてAgを用いるのが好適であるが、他の金属材料(例えばAu)を用いても構わない。
本発明のセンサは、金属微粒子を含む増強電磁場形成層の上層に保護層が形成されているため、金属微粒子が露出しない構成である。金属微粒子が露出し、保護層を有しない構成の場合、取り扱いによっては金属微粒子が容易に基板から脱離するおそれがあるが、本発明のセンサによれば、金属微粒子の脱離が防止される。
このセンサを用いて被検体の検査を行う別の方法の例としては、被検体、及び色素で標識化された別の検査用特定体(「第2検査用特定体」に対応する。)を含む流体を当該センサに流し込むなどの方法によって、センサに固定された検査用特定体(「第1検査用特定体」に対応する。)とこの流体を接触させる。この方法は、上述したような、被検体が検査用特定体(第1検査用特定体、第2検査用特定体)と特異的に結合するかどうかを確認する場合の他、もともと流体内にあった被検体の濃度を測定する検査にも利用できる。
なお、流体内の被検体の濃度を測定する検査に利用する場合には、第1検査用特定体及び第2検査用特定体は、いずれも被検体と特異的に結合する性質を有するものが選択的に用いられる。また、被検体が検査用特定体と特異的に結合するかどうかを確認する場合には、第1検査用特定体及び第2検査用特定体は、被検体と特異的に結合する性質を有する候補として選択されたものが利用される。
この場合においても、第1検査用特定体及び第2検査用特定体がいずれも被検体と特異的に結合する性質を有している場合、流体内に含まれる被検体が流体内において第2検査用特定体と結合すると共に、更に、第1検査用特定体と結合してセンサに固定化される。そして、被検体と結合しなかった第2検査用特定体は依然として流体内を漂う。この状況下でセンサに光を入射させると、上述の例と同様の理由により、被検体を介してセンサに固定化された第2検査用特定体に標識された色素のみが発光し、流体内を漂う第2検査用特定体に標識された色素は発光しない。よって、受光部によってこの発光を受光して発光強度を検出することにより、例えばもともと流体内にあった被検体の濃度を測定することが可能となる。
なお、上述の利用例では、被検体や第2検査用特定体を非発光性の色素で標識する場合について説明したが、自家発光性の物質(例えば自家発光性タンパク質)で標識するものとしても構わない。更には、被検体や第2検査用特定体自体が自家発光性を有する場合においては、標識自体が不要となる。
非発光性の色素で標識する場合には、例えばカロテノイド系、フラボノイド系、又はキノイド系の色素が利用できる。また、自家発光性の物質としては、例えばコラーゲン、リボフラビン、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、FDH(フラビンアデニンジヌクレオチド)、有色タンパク質などが利用できる。
本発明のセンサに固定化されている検査用特定体は、抗体又は抗原の少なくとも一方を含むものとすることができる。
また、本発明のセンサが備える前記保護層は、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向した有機物の重合体で構成されているものとしても構わない。
この構成により、増強電磁場形成層における局在表面プラズモン効果に起因した増強電磁場を、高効率で保護層の表面に伝達させることが可能となり、検査用特定体に結合した被検体、又はその被検体に結合した別の検査用特定体を高効率で発光させることができる。
また、本発明のセンサが備える前記保護層は、ハロゲン元素を含有するものとしても構わない。
この構成により、増強電磁場形成層における局在表面プラズモン効果に起因した増強電磁場を、更に高効率で保護層の表面に伝達させることが可能となる。なお、この構成は、保護層を有しない構成において露出した金属微粒子に生理食塩水などのハロゲン化物イオンを直接接触させる場合とは異なり、保護層としてハロゲン元素を含有した材料を用いるというものであるので、上記の構成と同様に、ハロゲン化物イオンによる金属微粒子へのダメージを防御する機能は担保される。
本発明の検査方法は、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識された前記被検体、又は自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記検査用特定体に結合された前記被検体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記被検体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを特徴とする。
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識された前記被検体、又は自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記検査用特定体に結合された前記被検体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記被検体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを特徴とする。
この検査方法は、例えば被検体が検査用特定体と特異的に結合するかどうかを確認し、又はその結合程度を評価するための検査に利用できる。
ここで、前記工程(b)を、前記検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程とし、
前記工程(c)を、抗体又は抗原で構成される前記被検体に非発光性色素又は自家発光性物質で標識したものを含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
前記工程(c)を、抗体又は抗原で構成される前記被検体に非発光性色素又は自家発光性物質で標識したものを含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
また、前記工程(b)を、前記検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程とし、
前記工程(c)を、抗体又は抗原で構成され自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
前記工程(c)を、抗体又は抗原で構成され自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
また、本発明の検査方法は、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第1検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
前記被検体、並びに、非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識され又は自家発光性を有すると共に、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第2検査用特定体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記第1検査用特定体に結合した前記被検体と結合した前記第2検査用特定体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記第2検査用特定体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを別の特徴とする。
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第1検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
前記被検体、並びに、非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識され又は自家発光性を有すると共に、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第2検査用特定体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記第1検査用特定体に結合した前記被検体と結合した前記第2検査用特定体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記第2検査用特定体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを別の特徴とする。
この検査方法は、被検体が検査用特定体(第1検査用特定体、第2検査用特定体)と特異的に結合するかどうかを確認する場合の他、流体内の被検体の濃度を測定する検査にも利用できる。
ここで、前記工程(b)を、前記第1検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程とし、
前記工程(c)を、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成される前記第2検査用特定体に非発光性標識色素又は自家発光性物質で標識したもの、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
前記工程(c)を、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成される前記第2検査用特定体に非発光性標識色素又は自家発光性物質で標識したもの、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
また、前記工程(b)を、前記第1検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程とし、
前記工程(c)を、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成され、自家発光性を有する前記第2検査用特定体、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
前記工程(c)を、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成され、自家発光性を有する前記第2検査用特定体、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程とすることができる。
なお、上記のいずれの検査方法においても、前記保護層を、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向した有機物の重合体で構成することができる。また、前記保護層にハロゲン元素を含有することもできる。
本発明によれば、厳密な精度設計の不要な光学系の下で、洗浄工程を行うことなく被検体の検査を行うことが可能で、且つ利用可能な色素の選択性が高い検査方法が実現できる。また、本発明のセンサによれば、上記のような検査方法を用いた検査に適したセンサが実現できる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
本発明の第1実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
〈センサ構造〉
図1は、本発明のセンサの構造を模式的に示す図面である。センサ1は、センサチップ3上に被検体の検査のため検査用特定体5が固定されている。センサチップ3は、基板7、増強電磁場形成層9及び保護層11を備えて光増強素子を構成している。検査用特定体5は、保護層11の上面に固定化されている。なお、図1では、センサ1の正面図を模式的に示したものであり、図面上では検査用特定体5が保護層11上に5つ描画されているが、実際には奥行き方向に多数の検査用特定体5が保護層11上に形成されているものとして構わない。
図1は、本発明のセンサの構造を模式的に示す図面である。センサ1は、センサチップ3上に被検体の検査のため検査用特定体5が固定されている。センサチップ3は、基板7、増強電磁場形成層9及び保護層11を備えて光増強素子を構成している。検査用特定体5は、保護層11の上面に固定化されている。なお、図1では、センサ1の正面図を模式的に示したものであり、図面上では検査用特定体5が保護層11上に5つ描画されているが、実際には奥行き方向に多数の検査用特定体5が保護層11上に形成されているものとして構わない。
基板7の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂などを用いることができる。なお、後述するように、センサチップ3の作製工程において加熱処理(例えば100℃以上の加熱)が行われる場合には、例えばガラス、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有するものであることが好ましい。
増強電磁場形成層9は、基板7の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子10が分散配置されて構成されている。基板7の表面上における金属微粒子10の配列方法については、二次元的にランダムに配列された構成であっても、規則的に配列された構成であっても構わない。
増強電磁場形成層9を構成する金属微粒子10としては、例えばAgを好適に用いることができるが、励起光の照射により励起されて局在表面プラズモン効果を実現し得るものであれば、Au、Al、Cuなどの他の材料を利用することもできる。また、この金属微粒子10の形状としては、例えば扁平な半球形状、平板状の形状など、形状異方性を有するものを好適に用いることができる。なお、多数の金属微粒子10は、いずれも均一の大きさ及び形状を備えていることが望ましいが、大きさや形状に多少のばらつきがあっても構わない。
また、金属微粒子10の粒径としては、励起光の波長以下の大きさであることが好ましい。ここで、本明細書において「粒径」とは、顕微鏡法による投影面積円相当径をいう。具体的には、次のようにして求められる。センサチップ3の表面における任意に選ばれる領域について、長さ2μmの線分が長さ6cmに拡大(倍率30000倍)されるよう観察される走査型電子顕微鏡の視野領域(例えば1.5μm×2μm)を撮像領域として、センサチップ3における当該領域の二次電子像を得る。このとき、明るさの指標(256段階)が100程度以上の金属微粒子の各々について、金属微粒子10の面積と同一面積の真円の直径が当該金属微粒子10の粒径として得られる。
なお、金属微粒子10の粒径は、例えば5〜300nmの範囲内であり、厚みは例えば5〜70nmの範囲内である。また、増強電磁場形成層9を構成する金属微粒子10の密度は、例えば108〜1011個/cm2程度とすることができる。
このような増強電磁場形成層9の形成方法の一例としては、基板7の表面に金属微粒子10の前駆体が適宜の溶媒に分散された分散液をスピンコート法により塗布して加熱する方法を用いることができる。また、別の方法としては、基板7の表面に金属微粒子10の前駆体をディッピングして加熱する方法、基板7の表面に金属微粒子10を真空蒸着する方法、基板7の表面に金属微粒子10をスパッタ蒸着する方法などを用いることができる。
そして、センサチップ3において、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面を含む増強電磁場形成層9の上層には保護層11が形成されている。保護層11を構成する材料としては、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ボロン、酸化リン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛などを用いることができる。
保護層11の平均厚さは、例えば50〜250nmであることが好ましい。特に、保護層11の厚さが85nm以上であることにより、検査対象である被検体が生理食塩水のようなハロゲン化物イオン(例えばCl−)を多量に含有する溶液に含まれている場合であっても、金属微粒子10に対する十分な耐性(保護機能)が得られる。
このようなセンサチップ3は、例えば以下の方法により作製される。まず、基板7の表面上に金属ナノ粒子膜を形成し、これを加熱処理することにより粒状性を変化させ、これにより、粒径が所定範囲内にある金属微粒子10による増強電磁場形成層9を形成する。このとき、形成すべき金属微粒子10の粒径は、加熱処理条件を適宜変更することにより調整できる。
次に、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に、蒸着法により、金属微粒子10を起点として保護層を厚さ方向に成長させることにより柱状組織構造を有する保護層11を形成する。保護層11の厚さは、成長条件、時間を適宜変更することにより調整できる。また、保護層11の形成方法としては、高周波(RF)スパッタ蒸着法、電子線蒸着法、又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ蒸着法などの方法を適宜選択して利用できる。
このようにして形成されたセンサチップ3の保護層11の表面に、検査用特定体5を固定化させてセンサ1を作製する。本実施形態では、検査用特定体5として抗原5Aを想定する。なお、保護層11の表面に抗原5Aを固定化する方法としては、例えば保護層11の表面上に抗原5Aを含む溶液をある一定時間だけ静置する方法が利用できる。更に、検査用特定体5の意図しない吸着を抑制するために、BSA(ウシ血清アルブミンタンパク)を含む溶液を抗原5Aが固定化された保護層11の表面上にある一定時間だけ静置して、BSAを保護層11表面上の抗原5Aが固定化されていない部分に固定化する方法が利用できる。
〈センサ1の使用方法〉
次に、本実施形態のセンサ1を用いて被検体の検査を行う方法について説明する。図2は、検査方法を説明するための概念図である。なお、図2では、図1と同様にセンサ1の断面図を模式的に示しているが、以下では、この紙面上の奥行き方向にも保護層11の表面に検査用特定体5としての抗原5Aが形成されており、十分な数の検査用特定体5が保護層11の表面に存在しているものとして説明する。
次に、本実施形態のセンサ1を用いて被検体の検査を行う方法について説明する。図2は、検査方法を説明するための概念図である。なお、図2では、図1と同様にセンサ1の断面図を模式的に示しているが、以下では、この紙面上の奥行き方向にも保護層11の表面に検査用特定体5としての抗原5Aが形成されており、十分な数の検査用特定体5が保護層11の表面に存在しているものとして説明する。
上述したように、検査用特定体5として抗原5Aがセンサチップ3上に固定化されたセンサ1に対し、被検体15を含む溶液20(流体)を接触させる。この接触させるための方法としては、種々の方法が採用され得る。一例としては、まず、センサ1よりも高さの高い容器30をセンサ1の外側面を覆うようにセットすることで、センサ1の上方に容器30の内側面で覆われた筒状空間を構成しておき、この空間内に溶液20を注ぎ込むことで、溶液20とセンサ1を接触させることができる。
本実施形態では、被検体15として抗体15Aを想定する。そして、予めこの抗体15Aに対して所定の標識物質19で標識をしておく。ここで、標識物質19としては、通常状態で発光しない色素や発光量子収率の低い色素(非発光性色素)を用いることができ、例えばカロテノイド系、フラボノイド系、又はキノイド系の色素が利用できる。これは、後述するように、本発明のセンサ1によれば、センサ1に対して入射された光を励起光とし、金属微粒子10を含む増強電磁場形成層9に起因した局在表面プラズモン効果によって、センサ1の表面近傍に存在する非発光性色素を発光させることができるためである。なお、センサ1の表面から離れた箇所には、この局在表面プラズモンによる発光増強効果が及ばないため、この標識色素19は依然として非発光状態のままとなる。
なお、発光量子収率Φとは、分子に吸収された光子数と蛍光により放出された光子数の比で定義される(数1参照)。ここでkfが電子励起状態にある分子の蛍光遷移速度定数であり、knrが無輻射遷移速度定数(単位時間当たりに消光を起こす速さ)である。
(数1)
Φ=kf/(kf+knr)
(数1)
Φ=kf/(kf+knr)
励起された分子のすべてが蛍光によって基底状態に戻れば、発光量子収率は1となり、この値に近い発光量子収率を持つ物質を「発光量子収率の高い物質」と呼ぶ。しかし、実際には、無輻射遷移によって1とはならない。無輻射遷移とは、蛍光を発しないで基底状態に戻る遷移である。発光量子収率が低い色素とはkf<knrである色素のことである。なお、kf<<knrの条件ではほとんど発光せず、このような条件を満たす色素を非発光性色素と呼ぶ。
本発明のセンサ1に色素などの標識物質19が接触することで、分子発光双極子と双極子型表面プラズモン(局在表面プラズモン)の相互作用により、結果的に色素の輻射遷移速度kfが大きくなる。これにより、kf>>knrとなるため、上式の発光量子収率が大きくなり、もともとは発光量子収率が0.01以下の非発光性物質(kf<<knr)である色素でも光を強く発するようになる。
なお、標識物質19としては、非発光性色素に代えて自家発光性(自家蛍光性)の物質を用いることもできる。発光量子収率が低い自家発光性物質としては、例えばコラーゲン、リボフラビン、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、FDH(フラビンアデニンジヌクレオチド)、有色タンパク質などが利用できる。
ここで、センサ1に固定化されている抗原5Aは、抗体15Aと特異的に結合するもの、又は特異的に結合する候補として想定されているものが選択的に用いられる。つまり、前者であれば、抗体15Aと抗原5Aとの結合程度の評価検査として、後者であれば、抗体15Aが抗原5Aと特異的に結合するかどうかの確認検査として、本手法を利用できる。
標識物質19によって標識された抗体15Aを含む溶液20がセンサ1に注ぎ込まれ、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させると、抗原5Aが抗体15Aと特異的に結合する性質を有している場合、溶液20内に含まれる抗体15Aがセンサ1に固定化されている抗原5Aと結合し、センサ1に固定化される。その際に、抗原5Aと結合しない余分な抗体15Aは、溶液20内で漂うことになる。一方、検査用特定体5としての抗原5Aが被検体15としての抗体15Aと特異的に結合する性質を有していない場合には、溶液20内に含まれる抗体15Aはセンサ1に固定化されている抗原5Aと結合せず、依然として溶液20内で漂うことになる。
溶液20をセンサ1に注ぎ込んで、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後、光源部41からセンサ1に向けて光を入射させる。入射された光により増強電磁場形成層9において生成したプラズモン電場が、保護層11の上面に固定化された抗原5Aに伝搬する。ここで、抗原抗体反応により検査用特定体5に結合された結果、保護層11に固定化された抗体15Aに対しても、この増強電磁場が伝搬する。これにより、抗体15Aの標識物質19が発光する。受光部43において、この標識物質19の発光を受光し、受光光量を検出することで、抗原5Aと結合した抗体15Aの数や濃度を分析することができる。
標識物質19として非発光性の色素を利用すると、抗原5Aと結合せず溶液20内に漂っている抗体15Aに標識された標識物質19からの光を受光部43が受光することはない。このため、本手法によれば、抗原5Aと結合した抗体15Aのみを残存させるための洗浄工程を行うことなく、抗原5Aと結合した抗体15Aからの光のみを受光部43が検出できる。また、標識物質19として非発光性の色素を利用しても、抗原5Aと結合した抗体15Aの標識物質19に対しては、増強電磁場形成層9の光増強効果によって発光を生じさせることができる。このため、標識物質19として利用可能な色素の選択性が広がる。
また、本実施形態のように被検体15を抗体15Aとする場合、通常、溶液20としては生理食塩水などのハロゲン化物イオンを含む溶液が用いられる。ところで、上述したように、本手法によれば、保護層11の上面に固定化された抗原5Aに対して、抗体15Aを含む溶液20を接触させる。そして、局在表面プラズモン効果を実現させるために設けられた多数の金属微粒子10は、その上層に形成された保護層11によって覆われており、上面には露出していない。すなわち、溶液20が直接に金属微粒子10と接触することがない。この結果、金属微粒子10をAgで構成していても、溶液20に含まれるハロゲン化物イオンと反応してセンサチップ3から脱離するという事態を防ぐことができる。
〈センサ1の性能についての説明〉
以下、本発明のセンサ1が備える増強電磁場形成層9によって、光増強効果が実現できる点につき、実施例を参照しながら説明する。
以下、本発明のセンサ1が備える増強電磁場形成層9によって、光増強効果が実現できる点につき、実施例を参照しながら説明する。
なお、以下においては、あくまで増強電磁場形成層9が光増強効果を有することを説明する目的であるため、センサチップ3を用いて検証を行った。
(実施例1)
まず、実施例1のセンサチップ3の作製方法につき説明する。基板7として数cm角の大きさのスライドガラスを用い、このスライドガラスの表面上に、Agを10nm程度の厚みで蒸着させて金属微粒子10を形成するためのAg膜を形成した。その後、約100℃のホットプレート上で、Ag膜が形成された基板7を数分間加熱処理することにより、Ag膜の粒状性を変化させて増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。得られたAg微粒子単層膜における金属微粒子10の粒径は、50〜150nmの範囲内にあり、厚さは平均で約20nmであり、金属微粒子10の密度はおおよそ5×109個/cm2であった。
まず、実施例1のセンサチップ3の作製方法につき説明する。基板7として数cm角の大きさのスライドガラスを用い、このスライドガラスの表面上に、Agを10nm程度の厚みで蒸着させて金属微粒子10を形成するためのAg膜を形成した。その後、約100℃のホットプレート上で、Ag膜が形成された基板7を数分間加熱処理することにより、Ag膜の粒状性を変化させて増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。得られたAg微粒子単層膜における金属微粒子10の粒径は、50〜150nmの範囲内にあり、厚さは平均で約20nmであり、金属微粒子10の密度はおおよそ5×109個/cm2であった。
その後、RFスパッタ装置「RFS−200型」(Ulvac社製)を用いて、酸化ケイ素(SiO2)をターゲットとして下記条件でスパッタを行うことにより、隣接する金属微粒子10間において露出される基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に保護層11を形成することでセンサチップ3を作製した。なお、保護層11の厚さは、スパッタ時間を適宜に変更することにより調整した。
スパッタ条件は以下のとおりである。
・ターゲットから増強電磁場形成層9の表面までの離間距離:45mm
・雰囲気:Ar 3.0Pa(放電時)
・放電出力:100W
・RF周波数:13.6MHz
・保護層11の成長速度:8.5nm/分
・ターゲットから増強電磁場形成層9の表面までの離間距離:45mm
・雰囲気:Ar 3.0Pa(放電時)
・放電出力:100W
・RF周波数:13.6MHz
・保護層11の成長速度:8.5nm/分
次に、実施例1として作製されたセンサチップ3に対する性能検証方法について説明する。センサチップ3に対し、保護層11の表面上にローダミン6G色素(Rh6G:発光量子収率およそ1)の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に担持させた。センサチップ3の表面に担持される色素分子の密度とスピンコートに用いた溶液の色素濃度との関係は、ローダミン6G色素の濃度が1μMである場合に、色素分子の担持量が3×1011個/cm2である。
そして、センサチップ3に対して励起光を照射して試料(色素分子)から発せられる光の強度を図3に示す測定装置により測定した。図3は、本発明のセンサの性能を検証するための測定装置の概念図である。ダイオードレーザ50及びフィルタ51によって光源部41を構成し、光源部41からセンサチップ3に対して光を入射させ、保護層11の表面上に担持させた色素分子からの光を受光部43によって受光する。受光部43は、集光レンズ52、フィルタ53、受光ヘッド54及び電子冷却型ダイオードアレイ検出器55によって構成した。
より詳細には、ダイオードレーザ50としては、出力1mW未満の緑色ダイオードレーザ(波長532nm)を用い、このダイオードレーザ50からの射出光を、フィルタ51を介して非集光(エネルギー密度約30mW/cm2)又は反集光(エネルギー密度約10mW/cm2以下)励起光としてセンサチップ3に対して、約45°の角度で入射させる。そして、センサチップ3に担持された色素分子による90°の角度方向に散乱される光を、集光レンズ52によって、電子冷却型ダイオードアレイ検出器55の受光ヘッド54にフィルタ53を介して集光した。
図3に示す測定装置による測定結果を図4に示す。図4において、縦軸は発光の増強度(単位:倍)を示しており、増強効果がないガラス基板上に担持された同じ量の色素について同じ方法で測定された発光強度に対する相対比率に対応する。
また、試料としてローダミン6G色素に代えて非発光性のフクシン色素(発光量子収率<<0.01)を用い、保護層11の表面上に3×1012個/cm2の密度で担持させ、上記と同様の方法により発光強度を測定した。この測定結果を図5に示す。
図4及び図5によれば、色素自体の発光量子収率とは関係なく、保護層11の膜厚を200nm以上としても高い発光増強率が維持されていることが分かる。特に、発光量子収率が0.01未満、すなわち非発光性の色素に対しては、数千倍以上の光増強率が確保されていることが分かる。これにより、金属微粒子10の上層に、所定の膜厚の保護層11を形成しても、その上面にまで発光増強効果を伝搬できることが分かる。
なお、別の検証として、ダイオードレーザ50に代えて出力1mW未満のHe−Neレーザ(波長632.8nm)を励起光源として用いた他は、図3と同じ配置でローダミン6G色素のラマン散乱強度を保護層11の厚さの関数として測定した。この結果、保護層11の膜厚が200nmを超えても、色素分子が直接に金属微粒子10に表面に吸着した場合に得られた信号と変わらない大きさの増強ラマン信号(増強度は約105倍)が得られた。
このように増強効果が保護層11の膜厚程度分伝搬する理由の一つとして、蒸着により配向性を持った誘電体で形成された柱状の保護層11中では、プラズモン電界が乱されず、損失を受けずに保護層11の表面にまで達する。従って、保護層11の厚さをある程度大きくした場合であっても、金属微粒子10に生ずる電磁場(局在表面プラズモン)が保護層11の表面に伝達される。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3に対し、フクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。より詳細には、センサチップ3の保護層11の上面にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3に対し、フクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。より詳細には、センサチップ3の保護層11の上面にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
(比較例1)
基板7に対し、実施例2と同様にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
基板7に対し、実施例2と同様にフクシン色素で標識した抗体IgGの水溶液を滴下した。
そして、実施例2及び比較例1のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた光のスペクトル分布を調べた結果を図6に示す。なお、図6において、横軸は光の波長、縦軸は発光強度を表している。
図6を参照すると、実施例2の構成によれば、非発光性の標識物質19であるフクシン色素は、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴ってフクシン色素が発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例1の構成によれば、発光の増強効果はなく、標識色素19からの発光を受光することによる分析が困難であることが示唆される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第2実施形態につき、図面を参照して説明する。
図7は、本発明の第2実施形態のセンサの構造を模式的に示す図面である。図7に示すセンサ1は、保護層11の上面に固定化されている検査用特定体5が抗体5Bである点を除いて、第1実施形態と同じ構成であるため、説明を割愛する。なお、図7においても、図1と同様に、センサ1の正面図を模式的に示したものであり、図面上では検査用特定体5が保護層11上に5つ描画されているが、実際には奥行き方向に多数の検査用特定体5が保護層11上に形成されているものとして構わない。以下の実施形態においても同様とする。
図8は、第2実施形態のセンサを用いた検査方法を説明するための概念図である。ここでは、被検体15として抗原15Bを想定し、予め標識物質19によって標識された抗原15Bを含む溶液20を、検査用特定体5として抗体5Bがセンサチップ3上に固定化されたセンサ1に対して接触させる。
この構成においても、第1実施形態と同様に、抗体5Bが抗原15Bと特異的に結合する性質を有している場合、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後には、溶液20内に含まれる抗原15Bがセンサ1に固定化されている抗体5Bと結合し、センサ1に固定化される。その際に、抗体5Bと結合しない余分な抗原15Bは、溶液20内で漂うことになる。一方、抗体5Bが抗原15Bと特異的に結合する性質を有していない場合には、溶液20内に含まれる抗原15Bは依然として溶液20内で漂うことになる。
よって、溶液20をセンサ1に注ぎ込んで、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後、光源部41からセンサ1に向けて光を入射させ、受光部43において標識物質19の発光を受光して受光光量を検出することで、検査用特定体5と結合した被検体15の数や濃度を分析することができる。
この方法においても、抗原15Bと抗体5Bとの結合程度の評価検査や、抗原15Bが抗体5Bと特異的に結合するかどうかの確認検査として利用できる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、本実施形態のセンサ、第2実施形態のセンサ1と同一の構成であるため、センサの構成に関する説明を割愛する。
本発明の第3実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、本実施形態のセンサ、第2実施形態のセンサ1と同一の構成であるため、センサの構成に関する説明を割愛する。
図9は、第3実施形態のセンサを用いた検査方法を説明するための概念図である。ここでは、溶液20に、被検体15と共に、この被検体15と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補として想定されている第2検査用特定体6を含ませる。そして、この第2検査用特定体6に対して予め標識物質19による標識を行なっておく。なお、本実施形態では、第2検査用特定体6と区別するために、センサチップ3に固定されている検査用特定体5を「第1検査用特定体5」と称する。
本実施形態では、第2実施形態と同様に、第1検査用特定体5として抗体5Bを想定し、被検体15として抗原15Bを想定する。また、第2検査用特定体6として抗体6Aを想定する。
つまり、予め標識された第2検査用特定体6としての抗体6Aと、被検体15としての抗原15Bを含む溶液20を、第1検査用特定体5としての抗体5Bが固定されたセンサ1に注ぎ込む。そして、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後、光源部41からセンサ1に向けて光を入射させ、受光部43において標識物質19の発光を受光して受光光量を検出する
これにより、抗原15Bが抗体5B及び抗体6Aと特異的に結合する性質を有していれば、抗原15Bがセンサ1に固定された抗体5Bと結合してセンサ1に固定化されると共に、更に抗体6Aとも結合する。この結果、標識物質19で標識された抗体6Aがセンサ1に固定化されるため、増強電磁場形成層9による増強電磁場が伝搬し、発光増強効果がこの抗体6Aの標識物質19に及ぶ。一方、抗原15Bと結合せずに溶液20中に残存する抗体6Aは、溶液20中に漂うことになり、この抗体6Aの標識物質19には増強電磁場形成層9による増強電磁場が伝搬しない。よって、受光部43において受光光量を検出することで、溶液20内における被検体15としての抗原15Bの濃度を測定することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第4実施形態につき、図面を参照して説明する。
図10は、本発明の第4実施形態のセンサの構造を模式的に示す図面である。図10に示すセンサ1は、保護層11の上面に固定化されている検査用特定体5が、抗原5A及び抗体5Bを含む構成である点を除いて、第1実施形態と同じ構成であるため、説明を割愛する。なお、検査用特定体5としての抗原5A及び抗体5Bは、相互に特異的に結合する性質を有するものとする。
図11は、第4実施形態のセンサを用いた検査方法を説明するための概念図である。第1実施形態と同様に、被検体15として抗体15Aを想定し、予め標識物質19によって標識された抗体15Aを含む溶液20を、検査用特定体5としての抗原5A及び抗体5Bがセンサチップ3上に固定化されたセンサ1に対して接触させる。
この構成においても、第1実施形態と同様、抗原5Aが抗体15Aと特異的に結合する性質を有している場合、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後には、溶液20内に含まれる抗体15Aがセンサ1に固定化されている抗原5Aと結合し、センサ1に固定化される。その際に、抗原5Aと結合しない余分な抗体15Aは、溶液20内で漂うことになる。一方、抗原5Aが抗体15Aと特異的に結合する性質を有していない場合には、溶液20内に含まれる抗体15Aは依然として溶液20内で漂うことになる。
よって、溶液20をセンサ1に注ぎ込んで、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後、光源部41からセンサ1に向けて光を入射させ、受光部43において標識物質19の発光を受光して受光光量を検出することで、検査用特定体5と結合した被検体15の数や濃度を分析することができる。
なお、この方法は、いわゆるサンドイッチ法を利用して被検体15の数や濃度を分析する方法に対応する。従って、被検体15として抗原15Bを想定する場合においても、同様の方法による検査が可能である。また、第2実施形態のように、被検体15としての抗体15Aに加えて、標識物質19を標識した第2検査用特定体6としての抗原6Aを含む溶液20をセンサ1に注ぎ込む方法を採用することも可能である。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第5実施形態につき、図面を参照して説明する。
図12は、本発明の第5実施形態のセンサの構造を模式的に示す図面である。図12に示すセンサ1は、保護層11の上面に固定化されている検査用特定体5が、抗原5A、抗体5B、及び抗体5Cを含む構成である点を除いて、第1実施形態と同じ構成であるため、説明を割愛する。なお、検査用特定体5としての抗体5B及び抗体5Cは、抗原5Aと特異的に結合する性質を有するものとする。
図13は、第5実施形態のセンサを用いた検査方法を説明するための概念図である。第1実施形態と同様に、被検体15として抗体15Aを想定し、予め標識物質19によって標識された抗体15Aを含む溶液20を、検査用特定体5としての抗原5A、抗体5B、及び抗体5Cがセンサチップ3上に固定化されたセンサ1に対して接触させる。
本手法では、抗体5Cとして、抗体15Aと特異的に結合するもの、又は結合する候補と想定されているものが採用される。この結果、抗体5Cが抗体15Aと特異的に結合する性質を有していれば、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後には、溶液20内に含まれる抗体15Aがセンサ1に固定化されている抗体5Cと結合し、センサ1に固定化される。その際に、結合しない余分な抗体15Aは、溶液20内で漂うことになる。一方、抗体5Cが抗体15Aと特異的に結合する性質を有していない場合には、溶液20内に含まれる抗体15Aは依然として溶液20内で漂うことになる。
よって、溶液20をセンサ1に注ぎ込んで、抗原抗体反応に必要な所定の時間を待機させた後、光源部41からセンサ1に向けて光を入射させ、受光部43において標識物質19の発光を受光して受光光量を検出することで、検査用特定体5と結合した被検体15の数や濃度を分析することができる。
なお、この方法は、被検体15としての抗体15Aを、二次抗体として機能する抗体5Cを介して抗原5Aに結合させる態様である。第2実施形態のように、被検体15としての抗体15Aに加えて、標識物質19を標識した第2検査用特定体6としての抗原6Aを含む溶液20をセンサ1に注ぎ込む方法を採用することも可能である。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第6実施形態につき、図面を参照して説明する。
上述の各実施形態では、被検体15又は第2検査用特定体6に標識物質19を標識し、センサ1(センサチップ3)に固定化された(第1)検査用特定体5と結合した被検体15又は第2検査用特定体6の標識物質19からの発光を受光部43において受光して受光光量を検出することで、被検体15の検査を行うものであった。これに対し、被検体15自体に自家発光性が存在する場合には、上記のような標識物質19の標識を必ずしも行わなくてもよい。
(実施例3)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
(比較例2)
基板7に対し、実施例3と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
基板7に対し、実施例3と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンの水溶液をスピンコートした。
(実施例4)
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
実施例1と同様の方法により作製されたセンサチップ3の保護層11の上面に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
(比較例3)
基板7に対し、実施例4と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
基板7に対し、実施例4と同様に、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンの水溶液をスピンコートした。
実施例3及び比較例2のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた発光のスペクトル分布を調べた結果を図14に示す。同様に、実施例4及び比較例3のそれぞれの素子に対し、図3に示す測定装置によって励起光を入射させて、受光部43で得られた発光のスペクトル分布を調べた結果を図15に示す。なお、図14及び図15において、横軸は光の波長、縦軸は発光強度を表している。
図14を参照すると、実施例3の構成によれば、低発光量子収率を有する自家発光性の生体高分子コラーゲンは、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴って生体高分子コラーゲンが発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例2の構成によれば、発光の増強効果はなく、自家発光性の生体高分子コラーゲンからの発光を受光することによる分析が困難であることが示唆される。
同様に、図15を参照すると、実施例4の構成によれば、低発光量子収率を有する自家発光性のリボフラビンは、増強電磁場形成層9によって生じる局在プラズモンとの保護層11を介した相互作用で発光量子収率が向上し、それに伴ってリボフラビンが発する光の光量が著しく増加していることが分かる。これに対し、比較例3の構成によれば、発光の増強効果はなく、自家発光性のリボフラビンからの発光を受光することによる分析が困難であることが示唆される。
このような自家発光性の物質を被検体15とする場合においても、センサ1には、保護層11の上面にこのような被検体15と特異的に結合する性質を有する検査用特定体5を固定化しておき、生体高分子コラーゲンやリボフラビンなどの自家発光性を有する被検体15を含む溶液20をセンサ1に注ぎ込むことで、検査が可能である。比較例2及び比較例3に示すように、増強電磁場形成層9による発光増強作用を受けることができない場合には、被検体15からの発光を検知できないことから、検査用特定体5と結合されずに溶液20中に漂っている自家発光性を有する被検体15からの光についても、やはり受光部43において検知できないことが分かる。この結果、上述した抗原抗体反応と同様の原理により、本発明の手法によって生体高分子コラーゲンやリボフラビンなどの自家発光性を有する被検体15の数や濃度を検査することができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第7実施形態につき、図面を参照して説明する。
本実施形態におけるセンサは、上述した各実施形態のセンサ1が備える保護層11に対して、予めハロゲン元素を含有させた点のみが異なり、他は共通である。保護層11に対してハロゲン元素を含有させる方法としては、保護層11が形成されたセンサチップ3に対してハロゲン化物塩の水溶液に浸漬する方法を用いることができる。例えば、ハロゲン化物塩水溶液の濃度が0.1〜0.3mol/Lの場合には、5〜30分間程度の室温浸漬により最大の効果を得ることができるが、水溶液の濃度がそれより高い場合、あるいは逆に低い場合には、その濃度に応じて浸漬時間を調整することにより同等の効果を得ることができる。なお、保護層11におけるハロゲン元素の含有割合は、0.002質量%〜0.05質量%であることが好ましい。
なお、上記ハロゲン化物塩の具体例としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、臭化ナトリウム(NaBr)、ヨウ化カリウム(KI)などのアルカリ金属塩や、塩化カルシウム(CaCl2)などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
このように予めハロゲン化物塩水溶液にセンサチップ3を浸漬させた場合においても、多数の金属微粒子10はその周囲及び上方を保護層11で覆われているため、ハロゲン化物イオンが直接金属微粒子10に接触して、金属微粒子10がハロゲン化物イオンと反応して基板7から脱離してしまうということがない。そして、このように保護層11に予めハロゲン元素を含有させることで、後述の実施例に示すように、光増強効果を更に高めることができる。
(実施例5)
実施例1と同様の方法を用い、RFスパッタ装置による処理時間を調整して、厚さが100nmの保護層11を有するセンサチップ3を作製した。その後、塩化物イオンの濃度が0.2〜0.3mol/Lである塩化ナトリウム水溶液中に、増強電磁場形成層9及び保護層11が形成された基板7を約30分間浸漬させ、その後、純水で洗浄して乾燥することにより、保護層11中にハロゲン化物イオンを含有させて、本実施例のセンサチップ3とした。この方法で得られた光増強素子における保護層に含有されたハロゲン元素の含有割合は正確には決定することが難しいが、およそ0.01質量%のオーダーと推定される。そして、このセンサチップ3の保護層11の上面に、ローダミン6G色素の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に3×1011個/cm2の密度で担持させた。
実施例1と同様の方法を用い、RFスパッタ装置による処理時間を調整して、厚さが100nmの保護層11を有するセンサチップ3を作製した。その後、塩化物イオンの濃度が0.2〜0.3mol/Lである塩化ナトリウム水溶液中に、増強電磁場形成層9及び保護層11が形成された基板7を約30分間浸漬させ、その後、純水で洗浄して乾燥することにより、保護層11中にハロゲン化物イオンを含有させて、本実施例のセンサチップ3とした。この方法で得られた光増強素子における保護層に含有されたハロゲン元素の含有割合は正確には決定することが難しいが、およそ0.01質量%のオーダーと推定される。そして、このセンサチップ3の保護層11の上面に、ローダミン6G色素の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に3×1011個/cm2の密度で担持させた。
なお、比較のために、塩化ナトリウム水溶液に浸漬させなかった以外は同様の方法でセンサチップ3についても作製した。なお、このセンサチップ3は、第1実施形態の項で上述した実施例1の素子に対応する。
そして、実施例5及び実施例1のセンサチップ3に対し、励起光を照射して試料(色素分子)から発せられるラマン散乱光の強度を、ダイオードレーザ50に代えて出力1mW未満のHe−Neレーザ(波長632.8nm)を励起光源として用いた他は、図3と同じ測定装置により測定した。この結果を図16に示す。なお、図16のグラフ、縦軸はラマン散乱強度(cps)を示し、横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。
図16では、実施例5と実施例1のそれぞれのセンサチップ3に対して、ラマン散乱光の強度を比較した。これは、ラマン散乱光自体の強度が蛍光の強度よりも小さいため、両者の光増強効果を比較する上での比較のしやすさを考慮して行われたものである。ハロゲン化物イオンを浸漬した実施例5の方が、ハロゲン化物イオンを浸漬しなかった実施例1よりも顕著なラマン信号が観測されており、光の増強効果が更に高いことが示唆される。
図16における、ハロゲン化物イオンを浸漬しなかった実施例1のセンサチップ3においても、第1実施形態で上述したように、蛍光の強度を極めて高くする効果は得られている。またハロゲン化物イオンを浸漬した実施例5では、実施例1よりも更に発光増強効果が高くなっていることが示唆される。
なお、実施例5では、塩化物イオンの濃度が0.2〜0.3mol/Lである塩化ナトリウム水溶液を浸漬させたが、これに代えて、塩化物イオンの濃度が0.2mol/Lである塩化カリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、臭化物イオンの濃度が0.2mol/Lである臭化ナトリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、ヨウ化物イオンの濃度が0.2mol/Lであるヨウ化カリウム水溶液を浸漬させて形成した素子、塩化物イオンの濃度が0.2mol/Lである塩化カルシウム水溶液を浸漬させて形成した素子についても、同様の測定を行った結果、実施例5と同様に高いラマン散乱光を受光できた。一方、塩化ナトリウム水溶液の代わりに硫酸イオンの濃度が0.2mol/Lである硫酸ナトリウム水溶液を浸漬させて形成した素子について同様の測定を行ったところ、受光したラマン散乱光の強度は低いものであった。このことから、保護層11にハロゲン元素を添加した場合に、光増強効果を更に高められることが分かる。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態につき、図面を参照して説明する。
本発明の第8実施形態につき、図面を参照して説明する。
本実施形態におけるセンサは、上述した各実施形態のセンサ1が備える保護層11を、結晶性(配向性)を有する有機物の重合体で構成した点のみが異なり、他は共通である。
なお、この有機物の重合体としては、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系重合体、ポリビニルアルコールなどを利用することができる。この場合、保護層11の形成方法としては、保護層形成液をスピンコート法、デイップコート法、スプレーコート法、スリットコート法、バーコート法などを用いて基板7に滴下又は塗布することで実現できるが、スピンコート法は厚さが最も均一な保護層11を形成する方法として好適に用いることができる。
なお、この保護層11にハロゲン元素を含有させる場合、保護層形成液としては、溶媒中に所定の重合体およびハロゲンの金属塩を溶解させることにより、或いは溶媒中に所定の重合体が溶解されてなる重合体溶液と、溶媒中にハロゲンの金属塩が溶解されてなる金属塩溶液とを混合することにより、調製することができる。
保護層形成液を調製するための溶媒としては、用いられる重合体および金属塩に応じて適宜選択される。具体的には、用いられる重合体および金属塩を溶解し得るものであればよい。例えば、重合体としてポリビニルアルコール等の水溶性のものを用いる場合には、溶媒として水を用いることができる。また、重合体として水に不溶な重合体例えばポリメチルメタクリレートを用いる場合には、重合体溶液を調製するための溶媒として例えばシクロヘキサノンを用いると共に、金属塩溶液を調製するための溶媒として水とアセトンとの混合溶媒を用い、重合体溶液と金属塩溶液とを混合することによって、保護層形成液を調製することができる。
保護層形成液中における重合体の含有割合は、上記塗布方法と目的とする保護膜の厚さとの組合せによって決定される。例えばスピンコート法(3000rpm)を用いてポリビニルアルコール膜をその水溶液から形成する場合において、膜厚を100nmに調整するために必要な重合体の含有割合は約4.5質量%である。保護層形成液中における金属塩の割合は、目的とする保護層40中のハロゲン元素の含有割合や、保護層形成液中の重合体の含有割合に応じて設定される。
(実施例6)
実施例1と同様の方法で、基板7上に増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。
実施例1と同様の方法で、基板7上に増強電磁場形成層9としての多数の金属(Ag)微粒子10によるAg微粒子単層膜を形成した。
また、純水中に、5質量%のポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製,重合度約500)、及び0.2mmol/Lの塩化ナトリウムが溶解されてなる保護層形成液を調製した。その後、スピンコート法によって、基板7の表面に、調製した保護層形成液を塗布して約60℃で乾燥すると共に結晶化を促すことにより、基板7の表面部分を含む増強電磁場形成層9の表面上に保護層11を形成することでセンサチップ3を作製した。なお、保護層11は、結晶度が50%以上で厚さが110nmであった。
そして、このセンサチップ3の保護層11の上面に、ローダミン6G色素の希薄エタノール溶液を3000回転でスピンコートすることにより、色素分子を保護層11の表面上に3×1011個/cm2の密度で担持させた。
(実施例7)
保護層形成液を、以下のようにして調製されたものに変更したこと以外は、実施例6と同様にして光増強素子を製造した。すなわち、シクロヘキサノン(和光純薬工業(株)製)中に3質量%のポリメチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)が溶解されてなる重合体溶液を調製した。一方、純水とアセトンとが質量比で1:1の割合で混合されてなる混合溶媒中に、20mmol/Lの塩化ナトリウムが溶解されてなる金属塩溶液を調製した。そして、重合体溶液と金属塩溶液とを容量比9:1で混合することにより、保護層形成液を調製した。
保護層形成液を、以下のようにして調製されたものに変更したこと以外は、実施例6と同様にして光増強素子を製造した。すなわち、シクロヘキサノン(和光純薬工業(株)製)中に3質量%のポリメチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)が溶解されてなる重合体溶液を調製した。一方、純水とアセトンとが質量比で1:1の割合で混合されてなる混合溶媒中に、20mmol/Lの塩化ナトリウムが溶解されてなる金属塩溶液を調製した。そして、重合体溶液と金属塩溶液とを容量比9:1で混合することにより、保護層形成液を調製した。
そして、第7実施形態の図16と同様の方法により、実施例6及び実施例7のセンサチップ3に対し、励起光を照射して試料(色素分子)から発せられるラマン散乱光の強度を測定した。この結果を図17に示す。図16と同様に、図17のグラフにおいても、縦軸はラマン散乱強度(cps)を示し、横軸はラマンシフト(cm−1)を示す。図17のグラフより、保護層11を有機物の重合体で構成した場合であっても、強いラマン散乱信号が確認できており、保護層11の上面に光増強効果が伝搬できていることが分かる。
なお、実施例6及び実施例7では、いずれも保護層11にハロゲン元素を含有した構成としたが、保護層11として、ハロゲン元素を含有せずに有機物の重合体で構成しても構わない。
[別実施形態]
上記の各実施形態において、センサ1を、高反射層および誘電体層を更に具えた多層構造を有する構成としてもよい。このような構造のものにおいては、基板7の表面上に高反射層および誘電体層がこの順で形成され、誘電体層の表面上に増強電磁場形成層9が形成される。
上記の各実施形態において、センサ1を、高反射層および誘電体層を更に具えた多層構造を有する構成としてもよい。このような構造のものにおいては、基板7の表面上に高反射層および誘電体層がこの順で形成され、誘電体層の表面上に増強電磁場形成層9が形成される。
1 : センサ
3 : センサチップ
5 : (第1)検査用特定体
5A : (第1)検査用特定体としての抗原
5B : (第1)検査用特定体としての抗体
5C : (第1)検査用特定体としての抗体
6 : 第2検査用特定体
6A : 第2検査用特定体としての抗体
7 : 基板
9 : 増強電磁場形成層
10 : 金属微粒子
11 : 保護層
15 : 被検体
15A : 被検体としての抗体
15B : 被検体としての抗原
19 : 標識物質
20 : 被検体を含む溶液
30 : 容器
41 : 光源部
43 : 受光部
50 : ダイオードレーザ
51 : フィルタ
52 : 集光レンズ
53 : フィルタ
54 : 受光ヘッド
55 : 電子冷却型ダイオードアレイ検出器
90 : 試験管
91 : 固相抗体
92 : 蛍光色素
93 : 抗原
94 : 抗体(標識抗体)
96 : 光源部
97 : 受光部
3 : センサチップ
5 : (第1)検査用特定体
5A : (第1)検査用特定体としての抗原
5B : (第1)検査用特定体としての抗体
5C : (第1)検査用特定体としての抗体
6 : 第2検査用特定体
6A : 第2検査用特定体としての抗体
7 : 基板
9 : 増強電磁場形成層
10 : 金属微粒子
11 : 保護層
15 : 被検体
15A : 被検体としての抗体
15B : 被検体としての抗原
19 : 標識物質
20 : 被検体を含む溶液
30 : 容器
41 : 光源部
43 : 受光部
50 : ダイオードレーザ
51 : フィルタ
52 : 集光レンズ
53 : フィルタ
54 : 受光ヘッド
55 : 電子冷却型ダイオードアレイ検出器
90 : 試験管
91 : 固相抗体
92 : 蛍光色素
93 : 抗原
94 : 抗体(標識抗体)
96 : 光源部
97 : 受光部
Claims (12)
- 被検体の検査に利用されるセンサであって、
前記被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体がセンサチップ上に固定されており、
前記センサチップは、基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を構成しており、
前記検査用特定体は、前記保護層の表面上に固定されていることを特徴とするセンサ。 - 前記検査用特定体が抗体又は抗原の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
- 前記保護層は、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向性を有する有機物の重合体で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ。
- 前記保護層は、ハロゲン元素を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ。
- 検査方法であって、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識された前記被検体、又は自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記検査用特定体に結合された前記被検体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記被検体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを特徴とする検査方法。 - 検査方法であって、
基板と、前記基板の表面上に互いに独立して多数の金属微粒子が分散配置された増強電磁場形成層と、前記基板及び前記増強電磁場形成層の上層に形成された保護層とを有する光増強素子を準備する工程(a)、
被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第1検査用特定体を前記保護層の表面に固定してセンサを形成する工程(b)、
前記被検体、並びに、非発光性色素若しくは自家発光性物質で構成された標識物質で標識され又は自家発光性を有すると共に、被検体と特異的に結合する、又は特異的に結合する候補である第2検査用特定体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程(c)、
光源部から前記センサに光を照射して、前記第1検査用特定体に結合した前記被検体と結合した前記第2検査用特定体に標識された前記標識物質又は自家発光性を有する前記第2検査用特定体を発光させる工程(d)、
及び、受光部が、前記工程(d)における発光を受光する工程(e)を有することを特徴とする検査方法。 - 前記工程(b)が、前記検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程であり、
前記工程(c)が、抗体又は抗原で構成される前記被検体に非発光性色素又は自家発光性物質で標識したものを含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の検査方法。 - 前記工程(b)が、前記検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程であり、
前記工程(c)が、抗体又は抗原で構成され自家発光性を有する前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の検査方法。 - 前記工程(b)が、前記第1検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程であり、
前記工程(c)が、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成される前記第2検査用特定体に非発光性色素又は自家発光性物質で標識したもの、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程であることを特徴とする請求項6に記載の検査方法。 - 前記工程(b)が、前記第1検査用特定体として抗体又は抗原の少なくとも一方を前記保護層の表面に固定する工程であり、
前記工程(c)が、抗体又は抗原の少なくとも一方で構成され、自家発光性を有する前記第2検査用特定体、及び前記被検体を含む流体を、前記光増強素子に接触させる工程であることを特徴とする請求項6に記載の検査方法。 - 前記保護層は、前記多数の金属微粒子に関連して配向性を有する無機物質、又は配向性を有する有機物の重合体で構成されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記保護層は、ハロゲン元素を含有することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の検査方法。
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