JP6229387B2 - 光学部材、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、特定波長の光を選択的に反射するフィルタ層と特定の蛍光体層を備える光学フィルムが開示されており、前記フィルタ層として、200nm〜300nmのナノ粒子を積層印刷した層が開示されている。
特許文献5には、酸化還元反応により得られた金コロイドの粒径を、当該金コロイドの溶液の光学特性から推定することにより、当該金コロイドの粒径を調整する方法が開示されている。
前記微細凹凸層は、微細凹凸層用樹脂組成物又はその硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が500nm以下であり、前記微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして作成される線分が、平面視において前記微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様となる微小突起構造体を表面に有し、当該微小突起構造体表面に金属ナノ粒子を担持しており、
前記被覆層は被覆層用樹脂組成物又はその硬化物からなることを特徴とする。
蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程と、
前記微細凹凸層の前記金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に、被覆層用樹脂組成物を塗工して、被覆層を形成する工程とを有し、
前記蒸着法は、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように調整されていることを特徴とする。
なお、本明細書において「部材」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念であり、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
前記微細凹凸層は、微細凹凸層用樹脂組成物又はその硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が500nm以下である微小突起構造体を表面に有し、当該微小突起構造体表面に金属ナノ粒子を担持しており、
前記被覆層は被覆層用樹脂組成物又はその硬化物からなることを特徴とする。
また、本発明の光学部材は、金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に、被覆層を備えることにより、微小突起構造体表面に金属ナノ粒子が担持された状態で固定されるため、金属ナノ粒子が安定に存在でき、光学特性の安定した光学部材とすることができる。
蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程と、
前記微細凹凸層の前記金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に、被覆層用樹脂組成物を塗工して、被覆層を形成する工程とを有し、
前記蒸着法は、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように調整されていることを特徴とする。
更に、上記特定の方法により得られた金属ナノ粒子の粒度分布は、従来公知の酸化還元法等による製造方法により得られた金属ナノ粒子と比較して、粒度分布が小さくなりやすいことが明らかとなった。そのため本発明の製造方法によれば、所望の粒径に調整しやすいというメリットもある。
蒸着法において平坦面上に形成される蒸着膜は、通常、厚みが均一であり、単位面積あたりに付着する金属原子の量は面内でほぼ一定である。同様に微小突起構造体表面においても、単位面積あたりに付着する金属原子の量は面内でほぼ一定であるため、微小突起構造体表面に形成される金属ナノ粒子は粒径が揃いやすく、当該金属ナノ粒子の粒度分布は小さくなりやすいものと推定される。また、本発明の製造方法においては、当該蒸着法の条件として、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように予め調整されている。そのため、微小突起構造体表面に形成された金属ナノ粒子同士が凝集しにくい。本発明の製造方法において、金属ナノ粒子の粒径や粒度分布は、微小突起間の平均距離や偏差と、平坦面上に形成される蒸着膜の厚みを40nm以下の範囲で適宜変更することにより適宜調整することができる。
このような金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に、被覆層用樹脂組成物を塗工して被覆層を形成することにより、金属ナノ粒子同士が凝集せず、微小突起構造体表面の形状に沿って金属ナノ粒子が一様に分布した光学部材を得ることができる。
このように、本発明の製造方法によれば、還元剤を用いることなく簡便に金属ナノ粒子を得ることができる上、当該金属ナノ粒子は、微小突起構造体表面上に一様に形成される。そのため、金属ナノ粒子は光学部材内に均一に分布し、金属ナノ粒子同士の凝集の問題もなく、被覆層を設けるだけで安定して固定される。
また、金属ナノ粒子を分散液とする工程が不要なため、分散剤等を用いる必要がなく、また作業工程を少なくすることができる。
本発明の微細凹凸層3は、微細凹凸層用樹脂組成物又はその硬化物からなる複数の微小突起2が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離dの平均が500nm以下である微小突起構造体1を表面に有する。
また、前記微小突起の平均隣接突起間距離dAVGは、適宜選択すればよい。中でも、平均隣接突起間距離dAVGが、50〜300nmであることが好ましく、70〜180nmであることが特に好ましい。平均隣接突起間距離dAVGが上記下限値以上であれば、形成された金属ナノ粒子間の距離が確保され、凝集が生じにくい。一方、平均隣接突起間距離dAVGが上記上限値以下であれば、蒸着膜となりにくく、金属ナノ粒子が形成されやすい。
微小突起の高さH(図2中のH)は、適宜設定すればよい。中でも、高さの平均値HAVGが、50〜350nmであることが好ましく、100〜250nmであることがより好ましい。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
本発明の微小突起は、突起の頂部に凹部が存在する微細構造や、頂部が複数の峰に分裂している微細構造を有していてもよい。このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に分裂している微細構造を有する微小突起が含まれる場合は、1つの微小突起が頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが突起高さHのヒストグラムにおいて混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
一方突起が不規則に配置されている場合には、上述のようにして求めた平均隣接突起間距離が500nm以下であればよい。
金属ナノ粒子の粒度分布を小さくしたい場合は、隣接突起間距離の標準偏差σdを小さくすればよく、σd=0であること、即ち、微小突起が一定周期で規則正しく配置されていることが好ましい。
ここで、六方格子とは、正六角形状の格子のことをいい、準六方格子とは、正六角形状の格子とは異なり、歪んだ正六角形状の格子のことをいう。また、四方格子とは、正四角形状の格子のことをいい、準四方格子とは、正四角形状の格子とは異なり、歪んだ正四角形状の格子のことをいう。
六方格子状に周期的に配列されてなるとは、正六角形状の格子パターンにより周期的に配列されてなることをいい、準六方格子状に周期的に配列されてなるとは、例えば微小突起の配列方向に引き伸ばされ歪んだ六方格子パターンにより周期的に配列されてなるものが挙げられる。なお、微小突起の配列は、直線状のみならず、蛇行していてもよい。図5に示すように、隣接する3列の直線状の配列(T1〜T3)間において、a1〜a7の各点に微小突起34の中心が位置するように微小突起34を配置することにより、微小突起34は、六方格子状または準六方格子状に周期的に配列される。
本発明において、微小突起構造体の表面を形成する微小突起は、金属ナノ粒子の形成が良好な点から、微小突起の充填率が高いことが好ましく、微小突起が密接して配置されていることがより好ましい。中でも、六方最密格子状に微小突起が周期的に配置されていることがより好ましい。
なお、本発明において静的接触角は、測定対象物の表面に1.0μLの純水を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
透明基材の一方の面に微細凹凸層用樹脂組成物の硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有する微細凹凸層の製造方法の具体例としては、まず透明基材上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体を形成し、前記微小突起構造体形成用原版を剥離する方法等が挙げられる。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。また、前記樹脂組成物を硬化させることにより微小突起構造体を形成した後、製造に使用した基材は、必要に応じて剥離して、微細凹凸層のみとしてもよい。
上記透明基材は、光学部材用途に用いられる従来公知の透明基材の中から適宜選択すればよく、特に限定されない。前記透明基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、及びこれらの複合材料等が挙げられる。
また、前記透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。
また、後述する微小突起構造体が透明基材とは別の材料からなる微小突起層に形成される場合は、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、基材上に中間層を形成してもよい。
微細凹凸層用樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。当該樹脂組成物に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
また、微小突起構造体の個々の微小突起について、高さに所定範囲のばらつきがある場合、個々の微小突起の高さのばらつきは、微小突起構造体形成用原版に形成される微小孔の深さのばらつきによるものであり、このような微小孔の深さのばらつきは、陽極酸化処理におけるばらつきに起因するものと言える。これにより相対的に高さの高い頂部微小突起と、相対的に高さの低い複数の周辺微小突起とを混在させるには、陽極酸化処理におけるばらつきを大きくすることにより実現することができる。
本発明においては、上述のように、凹凸面を有する微細凹凸層を利用して金属ナノ粒子を担持することにより、金属ナノ粒子を単独の粒子として安定に存在させることができる。従って本発明における微細凹凸層は、粒子の状態のときに凝集し易いという性質を有する金属から構成された金属ナノ粒子に対してより好適に用いられ得る。
金属ナノ粒子を前記微細凹凸層の前記微小突起構造体表面に担持する方法は特に限定されない。例えば、金属ナノ粒子を含有するインク組成物を、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の溶液塗布法により、微小突起構造体表面に塗布することにより、金属ナノ粒子を微小突起構造体表面に担持することができる。
本工程の蒸着法は、従来公知の金属原子を堆積することができる方法の中から適宜選択すればよく、例えば、真空蒸着法、物理蒸着法、化学蒸着法等が挙げられるが、中でも真空蒸着法を用いることが好ましい。
蒸着法の設定方法としては、例えば、まず、蒸着法に用いられる蒸着装置を任意の条件に予め設定する。微小突起構造体を表面に有する部材の代わりに平坦面を有する部材を用い、製造しようとする金属ナノ粒子と同一の金属を前記蒸着装置を用いて蒸着法により前記平坦面上に付着させて当該金属の蒸着膜を得る。当該蒸着膜の厚みが40nm以下であれば、上記予め設定した条件を本発明の製造方法における蒸着法の装置条件とすることができる。
平坦面上に形成される蒸着膜の厚みを40nm以下の範囲で適宜調整することにより、金属ナノ粒子の粒径を制御することができる。
真空排気系は、従来公知の高真空排気系を用いればよい。例えば、荒引きポンプとして油回転ポンプ、ドライポンプ等を用い、必要に応じてルーツポンプ等をブースターポンプとして併用することができる。高真空ポンプとしては、拡散ポンプ、クライオポンプ等を用いることができる。拡散ポンプを用いる場合には、−120〜−150℃程度のコールドトラップを更に備えていてもよい。
蒸発源は、金属を加熱蒸発するための加熱源を有する。加熱源としては、抵抗加熱、電子ビーム加熱等が挙げられる。
なお、本工程において製造される金属ナノ粒子は、通常、その平均粒径が、形成時に用いられる微小突起構造体の隣接する微小突起間の距離の平均よりも小さくなる。
本発明において被覆層は、被覆層用樹脂組成物又はその硬化物からなり、前記微細凹凸層の前記金属ナノ粒子を担持した側の面に隣接して設けられている。
本発明の光学部材は、被覆層を有することにより、微小突起構造体表面に金属ナノ粒子が担持された状態で固定されるため、金属ナノ粒子が安定に存在し、光学特性が変化しにくい。
上記被覆層用樹脂組成物は、光学用途に用いられる公知のものの中から、前記微細凹凸層との密着性が良好なものを適宜選択して用いることができる。
被覆層用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、特に限定されず、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができ、被覆層用樹脂組成物の各成分は、前記微細凹凸層用樹脂組成物と同様のものとすることができる。
(密着性試験)
予め、本発明の光学部材に用いようとする微細凹凸層の微小突起構造体表面に金属ナノ粒子を担持させておく。当該金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に密着性を評価する樹脂を含有する被覆層用樹脂組成物を塗工し、必要に応じて硬化して、評価用の光学部材を製造する。
得られた評価用の光学部材を、JIS K5600−5−6(1999)「クロスカット法」に準拠して、被覆層と微細凹凸層との間の密着性を評価する。
試験結果の分類が0又は1であれば密着性に優れており、好ましい被覆層用樹脂組成物であると評価できる。
次いで、乾燥により溶剤を除去して被覆層用樹脂組成物の乾燥塗膜とする。乾燥方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。得られた乾燥塗膜を硬化する場合、硬化方法は、被覆層用樹脂組成物の種類等に応じて公知の硬化方法の中から適宜選択すればよい。例えば、被覆層用樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物である場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源を用いて光照射すればよい。
本発明の光学部材は、金属ナノ粒子の光学特性を用いた種々の機能を備えた特定波長の光を遮蔽する遮蔽フィルタや等に好適に用いることができる。
(1−1)微小突起構造体形成用原版の製造
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、第一の微小突起構造体形成用原版を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微細孔間距離が100nm、平均深さが200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20質量部、アロニックスM−260(東亜合成社製)70質量部、ヒドロキシエチルアクリレート10質量部、ルシリンTPO 3質量部を、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)の1:1混合溶媒に溶解させ、樹脂組成物を調製した。
上記(1−2)で得られた樹脂組成物を、上記(1−1)で得られた微小突起構造体形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(富士フィルム社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cm2の加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、微小突起構造体を表面に有する部材を得た。
上記1−3で得られた微細凹凸層の微小突起構造体表面に、真空蒸着法により銀原子(Ag)を付着させることにより、銀ナノ粒子が形成された。
なお、真空蒸着法は、平坦面上に付着する銀原子によって形成される蒸着膜の厚みが1nmとなるように予め設定し、蒸着条件、製膜レート及び到達真空度は、表1の通りとした。
3官能アクリレートモノマー100質量部、光重合開剤4質量部、レベリング剤0.02質量部を混合し、更に固形分が50質量%となるようにメチルエチルケトンを混合し、被覆層用樹脂組成物を調整した。
上記2−1で得られた金ナノ粒子を担持した微細凹凸層上に、前記3−1で得られた被覆層用樹脂組成物をバーコーターにより塗工し、紫外線照射により硬化して、膜厚が5μmの被覆層を得ることにより、光学部材1を得た。
上記実施例1の2−1において、真空蒸着法の条件を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8の光学部材2〜8を得た。
上記実施例1の2−1において、銀原子の代わりに金原子(Au)を用い、真空蒸着法の条件を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜15の光学部材8〜15を得た。
上記実施例1の2−1において、真空蒸着法の条件を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、比較光学部材1を得た。
微細凹凸層を有しないTAC基材表面に、表1の条件に従って真空蒸着法により銀原子(Ag)を蒸着し、比較光学部材2を得た。
実施例1〜15及び比較例1〜2の被覆層形成前の積層体を、それぞれ走査型電子顕微鏡を用いて観察した。代表として実施例7の電子顕微鏡写真を図9に示す。実施例1〜8では、粒径が10nm前後の銀ナノ粒子が、実施例9〜15では、粒径が30nm前後の金ナノ粒子がそれぞれ観察された。
一方、比較例1及び2の光学部材は、金属ナノ粒子が観察されず、金属光沢が観察され、薄膜を形成していた。
島津製作所社製、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100PC)を用いて、実施例及び比較例の光学部材の透過率スペクトルを測定した。また、参考例1として、TACフィルムの透過率スペクトルを測定した。結果を図7及び図8に示す。実施例の結果から、本発明の光学部材は近赤外光を吸収し、粒子の粒径や、金属の種類によって、異なる色を発することが明らかとなった。
比較例1のように、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが80nmとなるように調整した場合には、光学部材に金属光沢が生じ、金属ナノ粒子が形成されていなかった。またこのような比較例1の光学部材は、全波長領域において透過率が低下していた。
また、微細凹凸層を有しないTACフィルム上に蒸着した比較例2の光学部材は、金属光沢を有する薄膜が形成され、実施例3とは異なる透過率スペクトルとなった。
実施例1〜15の光学部材について、JIS K5600−5−6(1999)「クロスカット法」に準拠して、密着性を評価したところ、実施例1〜15のいずれも剥がれが生じず、分類0に該当し、密着性に優れていた。
2 微小突起
3 微細凹凸層
4 金属ナノ粒子
5 被覆層
10 光学部材
21 微小突起の極大点
22 線分
23 微小突起
30 微小突起構造体
31 微小突起表面
32 微小突起
33 凹凸面
34 微小突起
41 ダイ
42 ロール金型
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 基材
46 受容層
47 微小突起構造体
Claims (4)
- 金属ナノ粒子を担持する微細凹凸層と、前記微細凹凸層の前記金属ナノ粒子を担持した側の面に隣接して設けられた被覆層とを有し、
前記微細凹凸層は、微細凹凸層用樹脂組成物又はその硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が500nm以下であり、前記微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして作成される線分が、平面視において前記微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様となる微小突起構造体を表面に有し、当該微小突起構造体表面に金属ナノ粒子を担持しており、
前記被覆層は被覆層用樹脂組成物又はその硬化物からなる、光学部材。 - 前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、パラジウム、又は白金からなる、請求項1に記載の光学部材。
- 光学部材の製造方法であって、
微細凹凸層用樹脂組成物又はその硬化物からなる複数の微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起間の距離の平均が500nm以下であり、前記微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして作成される線分が、平面視において前記微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様となる微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を準備する工程と、
蒸着法を用いて前記微小突起構造体表面に金属原子を付着することにより、金属ナノ粒子を形成し、担持する工程と、
前記微細凹凸層の前記金属ナノ粒子を担持した微小突起構造体表面に、被覆層用樹脂組成物を塗工して、被覆層を形成する工程とを有し、
前記蒸着法は、平坦面上に付着する金属原子によって形成される蒸着膜の厚みが40nm以下となるように調整されている、光学部材の製造方法。 - 前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、パラジウム、又は白金からなる、請求項3に記載の光学部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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