WO2011052652A1 - 型および型の製造方法ならびに反射防止膜 - Google Patents

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Abstract

 本発明のモスアイ用型の製造方法は、(a)基材上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒(18a)が表面(18s)に存在するアルミニウム膜(18)を用意する工程と、(b)工程(a)の後に、アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部(14p)を有するポーラスアルミナ層(14)を形成する工程と、(c)工程(b)の後に、ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、ポーラスアルミナ層の複数の微細な凹部を拡大させる工程とを包含する。本発明によると、アンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するための型を簡単に製造する方法が提供される。

Description

型および型の製造方法ならびに反射防止膜
 本発明は、型および型の製造方法ならびに反射防止膜に関する。ここでいう「型」は、種々の加工方法(スタンピングやキャスティング)に用いられる型を包含し、スタンパということもある。また、印刷(ナノプリントを含む)にも用いられ得る。
 テレビや携帯電話などに用いられる表示装置やカメラレンズなどの光学素子には、通常、表面反射を低減して光の透過量を高めるために反射防止技術が施されている。例えば、空気とガラスとの界面に光が入射する場合のように屈折率が異なる媒体の界面を光が通過する場合、フレネル反射などによって光の透過量が低減し、視認性が低下するからである。
 近年、反射防止技術として、凹凸の周期が可視光の波長(λ=380nm~780nm)以下に制御された微細な凹凸パターンを基板表面に形成する方法が注目されている(特許文献1~4を参照)。反射防止機能を発現する凹凸パターンを構成する凸部の2次元的な大きさは10nm以上500nm未満である。
 この方法は、いわゆるモスアイ(Motheye、蛾の目)構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を凹凸の深さ方向に沿って入射媒体の屈折率から基板の屈折率まで連続的に変化させることによって反射防止したい波長域の反射を抑えている。
 モスアイ構造は、広い波長域にわたって入射角依存性の小さい反射防止作用を発揮できるほか、多くの材料に適用でき、凹凸パターンを基板に直接形成できるなどの利点を有している。その結果、低コストで高性能の反射防止膜(または反射防止表面)を提供できる。
 モスアイ構造の製造方法として、アルミニウムを陽極酸化することによって得られる陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いる方法が注目されている(特許文献2~4)。
 ここで、アルミニウムを陽極酸化することによって得られる陽極酸化ポーラスアルミナ層について簡単に説明する。従来から、陽極酸化を利用した多孔質構造体の製造方法は、規則正しく配列されたナノオーダーの円柱状の細孔(微細な凹部)を形成できる簡易な方法として注目されてきた。硫酸、蓚酸、または燐酸等の酸性電解液またはアルカリ性電解液中に基材を浸漬し、これを陽極として電圧を印加すると、基材の表面で酸化と溶解が同時に進行し、その表面に細孔を有する酸化膜を形成することができる。この円柱状の細孔は、酸化膜に対して垂直に配向し、一定の条件下(電圧、電解液の種類、温度等)では自己組織的な規則性を示すため、各種機能材料への応用が期待されている。
 特定の条件下で形成されたポーラスアルミナ層は、膜面に垂直な方向から見たときに、ほぼ正六角形のセルが二次元的に最も高密度で充填された配列をとっている。それぞれのセルはその中央に細孔を有しており、細孔の配列は周期性を有している。セルは局所的な皮膜の溶解および成長の結果形成されるものであり、バリア層と呼ばれる細孔底部で、皮膜の溶解と成長とが同時に進行する。このとき、セルのサイズすなわち、隣接する細孔の間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。また、細孔の直径は、電解液の種類、濃度、温度等に依存するものの、通常、セルのサイズ(膜面に垂直な方向からみたときのセルの最長対角線の長さ)の1/3程度であることが知られている。このようなポーラスアルミナの細孔は、特定の条件下では高い規則性を有する(周期性を有する)配列、また、条件によってはある程度規則性の乱れた配列、あるいは不規則(周期性を有しない)な配列を形成する。
 特許文献2は、陽極酸化ポーラスアルミナ膜を表面に有するスタンパを用いて、反射防止膜(反射防止表面)を形成する方法を開示している。
 また、特許文献3には、アルミニウムの陽極酸化と孔径拡大処理を繰り返すことによって、連続的に細孔径が変化するテーパー形状の凹部を形成する技術が開示されている。
 特許文献4には、微細な凹部が階段状の側面を有するアルミナ層を用いて反射防止膜を形成する技術が開示されている。
 また、特許文献1、2および4に記載されているように、モスアイ構造(ミクロ構造)に加えて、モスアイ構造よりも大きな凹凸構造(マクロ構造)を設けることによって、反射防止膜(反射防止表面)にアンチグレア(防眩)機能を付与することができる。アンチグレア機能を発揮する凹凸を構成する凸部の2次元的な大きさは1μm以上100μm未満である。特許文献1、2および4の開示内容の全てを参考のために本明細書に援用する。
 陽極酸化ポーラスアルミナ膜を利用することによって、モスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」という。)を容易に製造することができる。特に、特許文献2および4に記載されているように、アルミニウムの陽極酸化膜の表面をそのまま型として利用すると、製造コストを低減する効果が大きい。モスアイ構造を形成することができるモスアイ用型の表面の構造を「反転されたモスアイ構造」ということにする。
 モスアイ用型を用いた反射防止膜の製造方法としては、光硬化性樹脂を用いる方法が知られている。まず、基板上に光硬化性樹脂を付与する。続いて、離型処理を施したモスアイ用型の凹凸表面を真空中で光硬化性樹脂に押圧する。その後、光硬化性樹脂を凹凸構造中に充填する。続いて、凹凸構造中の光硬化性樹脂に紫外線を照射し、光硬化性樹脂を硬化する。その後、基板からモスアイ用型を分離することによって、モスアイ用型の凹凸構造が転写された光硬化性樹脂の硬化物層が基板の表面に形成される。光硬化性樹脂を用いた反射防止膜の製造方法は、例えば特許文献4に記載されている。
特表2001-517319号公報 特表2003-531962号公報 特開2005-156695号公報 国際公開第2006/059686号
 特許文献1、2および4に記載のアンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するための型の製造方法は、反転されたモスアイ構造を形成する工程とは別に、予めアンチグレア構造を形成するための凹凸構造を形成する工程を行う必要がある。例えば、特許文献1には、反転されたモスアイ構造を形成する工程とは別に、サンド・ブラストやガラスビートでのショット・ピーニング等の機械的手段により、アンチグレア構造を形成するための凹凸構造を形成することが記載されている。
 本発明の主な目的は、アンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するための型を簡単に製造する方法を提供することを目的とする。
 本発明の型の製造方法は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する型の製造方法であって、(a)基材上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜を用意する工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、(c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程とを包含する。
 本発明の他の型の製造方法は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する型の製造方法であって、(a)基材上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の分布が、2つの極大値を有し、大きいほうの極大値は200nm以上である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜を用意する工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、(c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程とを包含する。ここで、前記基材の形状は、例えば、平面、曲面、ロール面のいずれかであってもよい。また、前記基材の材質は、例えば、ガラス、セラミック、プラスティックなどの耐酸性を有する絶縁物であってもよい。また、前記基材は、例えば、アルミニウム材であってもよい。あるいは、例えばアルミニウムでない金属上に絶縁物を付与したものであってもよい。
 ある実施形態において、前記複数の結晶粒の粒径分布は、前記結晶粒径の平均値±50nmより広い範囲に広がっている。
 ある実施形態において、前記複数の結晶粒の結晶粒径の平均値は200nm以上5μm以下であり、前記複数の結晶粒の粒径分布の大きいほうの極大値は400nm以上である。
 ある実施形態において、前記複数の結晶粒の粒径分布の大きいほうの極大値をR1とし、小さいほうの極大値をR2とすると、前記複数の結晶粒には、粒径がR1-{(R1-R2)/2}より大きい結晶粒が5%以上含まれている。
 ある実施形態において、前記アルミニウム膜の前記表面のn点平均粗さ(Rz)は100nm以上である。
 ある実施形態の型の製造方法は、(d)前記アルミニウム膜の前記表面をさらに陽極酸化することによって、前記複数の微細な凹部を成長させる工程をさらに包含し、前記工程(c)の後に前記工程(d)および(c)をさらに行う。
 本発明の型は、表面にポーラスアルミナ層を有し、前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造と、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部とを有する。
 本発明の他の型は、表面にポーラスアルミナ層を有し、前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造と、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさの分布が、2つの極大値を有し、大きいほうの極大値が200nm以上である複数の凸部とを有する。
 ある実施形態において、前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布は、前記複数の凸部の2次元的な大きさの平均値±50nmより広い範囲に広がっている。
 ある実施形態において、前記複数の凸部の2次元的な大きさの平均値は200nm以上5μm以下であり、前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布の、大きいほうの極大値は400nm以上である。
 ある実施形態において、前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布の、大きいほうの極大値をL1とし、小さいほうの極大値をL2とすると、前記複数の凸部には、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}より大きい凸部が5%以上含まれている。
 本発明の反射防止膜は、上記の型の表面の凹凸構造が反転された凹凸構造を有する。
 ある実施形態において、積分球反射率が0.3%未満であり、ヘイズ値が1%以上5%以下である。
 ある実施形態において、前記アルミニウム膜は、真空成膜法で形成されている。
 本発明によると、アンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するための型を簡単に製造する方法が提供される。
(a)~(d)は、本発明による実施形態の型の製造方法を説明するための模式的な断面図である。 モスアイ用型100Aを用いて反射防止膜を作製する工程を説明するための模式的な断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例1および2のアルミニウム膜の表面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例3および4のアルミニウム膜の表面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例1および2のアルミニウム膜の断面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例3および4のアルミニウム膜の断面のSEM像を示す図である。 実施例1~4のアルミニウム膜の5度正反射率を示すグラフである。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例1および2のモスアイ用型の表面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例3および4のモスアイ用型の表面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例1および2のモスアイ用型の断面のSEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例3および4のモスアイ用型の断面のSEM像を示す図である。
 以下、図面を参照して、本発明による実施形態のモスアイ用型およびその製造方法を説明するが、本発明は例示する実施形態に限定されない。
 本発明による実施形態の型の製造方法は、図1(a)~(c)に示すように、基材16上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の平均値が200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜18を用意する工程(図1(a))と、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の微細な凹部14pを有するポーラスアルミナ層14を形成する工程(図1(b))と、ポーラスアルミナ層14をエッチング液に接触させることによって、ポーラスアルミナ層14の複数の微細な凹部14pを拡大させる工程(図1(c))とを包含する。なお、本明細書において、結晶粒径とは、アルミニウム膜の法線方向から見たときの、結晶粒の2次元的な大きさを意味する。結晶粒径は、例えば、アルミニウム膜の表面のSEM像から調べることができる。
 本発明による実施形態のモスアイ用型の製造方法では、アルミニウム膜18の厚さが0.5μm以上5μm以下であり、アルミニウム膜18の表面18sには、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が存在する点に1つの特徴がある。
 本発明者は、基板(例えばガラス基板)上に薄膜堆積技術を用いて形成したアルミニウム膜を用いて、陽極酸化およびエッチングを繰り返すことによりモスアイ用型を作製する技術を開発してきた。本発明者がこれまで開発してきた技術では、アルミニウム膜の結晶粒径の平均値は180nm~190nm程度であった。
 本発明者が検討したところ、アルミニウム膜の成膜条件(例えば基板温度や基板の厚さ)を調整することにより、結晶粒径の平均値が200nm以上のアルミニウム膜を形成できることがわかった。特に、0.5μm以上の厚さのアルミニウム膜を形成するときに上記成膜条件を調整することにより、結晶粒径の平均値が200nm以上である、結晶粒径が従来よりも大きいアルミニウム膜を形成できることがわかった。
 また、本発明者の検討によると、表面に複数の結晶粒が存在するアルミニウム膜を用いて、陽極酸化およびエッチングを繰り返すことにより作製したモスアイ用型の表面には、アルミニウム膜の表面の複数の結晶粒により構成される凹凸形状に対応する複数の凸部に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状が形成されることがわかった。すなわち、結晶粒径の平均値が200nm以上5μm以下のアルミニウム膜を用いて、陽極酸化工程およびエッチング工程を繰り返すことにより作製したモスアイ用型の表面には、2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部に反転されたモスアイ構造が重畳された形状が形成されることがわかった。
 2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部に反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有するモスアイ用型を用いることにより、上述したモスアイ構造(ミクロ構造)に加えて防眩機能を発揮する凹凸構造(マクロ構造)が設けられた反射防止膜が得られる。一般に、反射防止膜の防眩機能は、ヘイズ値で評価される。近年、クリアな画像が好まれる傾向があるので、反射防止膜のヘイズ値は1%以上5%以下であることが特に好ましい。後に実験例を示すように、上記の、2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部に反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有するモスアイ用型を用いることにより、ヘイズ値が1%以上5%以下の反射防止膜を作製できることがわかった。
 また、本発明者の検討によると、アルミニウム膜として、結晶粒径の分布が2つの極大値を有し、大きいほうの極大値が200nm以上であるアルミニウム膜を用いて作製したモスアイ用型を用いることによっても、ヘイズ値が1%以上5%以下である反射防止膜を作製できることがわかった。また、結晶粒径の分布が2つの極大値を有し、大きいほうの極大値が200nm以上であるアルミニウム膜も、アルミニウム膜の厚さを0.5μm以上とし、アルミニウム膜の成膜条件を調整することにより形成できることがわかった。
 また、実施例を示して後述するように、モスアイ用型の製造に用いるアルミニウム膜の結晶粒の粒径の平均値や粒径の分布を調整することにより、モスアイ用型を用いて作製される反射防止膜のヘイズ値を調整できることがわかった。
 本発明者は、上記のように、アルミニウム膜の成膜条件を調整することにより結晶粒径の平均値や分布を調整できること、およびモスアイ用型の製造に用いられるアルミニウム膜の結晶粒径の平均値や分布を調整することにより、モスアイ用型を用いて作製される反射防止膜のヘイズ値を調整できることを知見し、本発明に想到した。以下、図1(a)~(d)を参照して、本発明による実施形態のモスアイ用型の製造方法を説明する。
 まず、図1(a)に示すように、基材(ここでは、平板状のガラス基板16)上に堆積されたアルミニウム膜18を用意する。アルミニウム膜18の厚さは0.5μm以上5μm以下であり、アルミニウム膜18の表面18sには、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒18aが存在する。図1(a)に、アルミニウム膜18の表面18sに存在する結晶粒界18bを模式的に示す。厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒18aが存在するアルミニウム膜18は、後に詳述するように、例えば、真空成膜法を用いて形成することができる。
 次に、図1(b)に示すように、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の微細な凹部(細孔)14pを有するポーラスアルミナ層14を形成する。ポーラスアルミナ層14は、複数の細孔14pを有するポーラス層と、細孔14pの底部に形成されたバリア層とを有している。図1(b)に示すように、ポーラスアルミナ層14は、アルミニウム膜18の表面18sの凹凸形状に対応して形成される。すなわち、ポーラスアルミナ層14の表面は、アルミニウム膜18の複数の結晶粒18aに対応する複数の凸部を有している。また、ポーラスアルミナ層14の細孔14pは、結晶粒18aの表面および結晶粒界18bに対応する位置に形成される。すなわち、細孔14pは、複数の凸部の間および複数の凸部の表面に形成される。ポーラスアルミナ層14は、例えば、酸性の電解液中で表面18sを陽極酸化することによって形成される。ポーラスアルミナ層14を形成する工程で用いられる電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、後述する実施例1~4のように、アルミニウム膜18の表面18sを、蓚酸水溶液(濃度0.06wt%、液温5℃)を用いて、印加電圧80Vで30秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層14を形成する。陽極酸化条件(例えば、電解液の種類、印加電圧)を調整することにより、細孔間隔、細孔の深さ等を調節できる。反射防止性能の優れた反射防止膜を作製するためには、細孔14pは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満であることが好ましい。最終的に得られるモスアイ用型100Aでは、細孔14pの2次元的な大きさと細孔間隔とは同程度であるので、陽極酸化工程は、細孔間隔が50nm以上500nm未満となるような条件で行うことが好ましい。なお、複数の微細な凹部14pの、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさは、円の直径で近似的に表され得る。
 次に、図1(c)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより細孔14pの孔径を拡大する。ここで、ウェットエッチングを採用することによって、細孔14pの側面(細孔壁ともいう。)およびバリア層をほぼ等方的にエッチングすることができる。エッチング液の種類、濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、細孔14pの大きさおよび深さ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10wt%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸の水溶液やクロム燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、後述する実施例1~4のように、燐酸(濃度1mol/L、液温30℃)を用いて25分間エッチングを行うことにより、細孔14pを拡大する。
 その後、必要に応じて、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、細孔14pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くする。ここで、細孔14pの成長は、既に形成されている細孔14pの底部から始まるので、細孔14pの側面は階段状になる。
 さらにこの後、必要に応じて、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによってエッチングすることにより細孔14pの孔径をさらに拡大する。エッチング液としては、ここでも上述したエッチング液を用いることが好ましく、現実的には同じエッチング液浴を用いればよい。
 このように、陽極酸化工程およびエッチング工程を繰り返すことによって、モスアイ用型100A(図1(d))が得られる。実施例を示して後述するように、モスアイ用型100Aは、アルミニウム膜18の表面18sにポーラスアルミナ層14が形成される結果、表面に、アルミニウム膜18の複数の結晶粒18aの表面形状に対応する複数の凸部が形成されている。従って、モスアイ用型100Aの表面には、複数の凸部の間(結晶粒界に対応する部分)および複数の凸部の表面(結晶粒18aの表面に対応する部分)に、複数の微細な凹部14pが形成されている。モスアイ用型100Aがアルミニウム膜18の表面18sの凹凸形状に対応する複数の凸部の間および複数の凸部の表面に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有する理由は以下のように説明できると考えられる。
 図1(b)を参照して説明したように、最初の陽極酸化工程において、結晶粒18aの表面および結晶粒界18bに対応する位置に細孔14pが形成される。従って、最初の陽極酸化後のポーラスアルミナ層14の表面(図1(b))は、アルミニウム膜18の表面の結晶粒18a(図1(a))に対応する複数の凸部に複数の細孔14pで構成される凹凸形状が重畳された形状を有する。その後のエッチングでは、最初の陽極酸化で形成された細孔14pが拡大される。さらにその後の陽極酸化では、既に形成されている細孔14pの底部から細孔の成長が始まる。従って、陽極酸化およびエッチングを繰り返して得られるモスアイ用型100A(図1(d))には、アルミニウム膜18の表面18sの結晶粒に対応する複数の凸部で構成される凹凸構造に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状が形成されることとなる。
 なお、最初の陽極酸化工程において、結晶粒18aの表面および結晶粒界18bに対応する位置に細孔14pが形成された理由は以下のように説明できると考えられる。本発明者の検討によると、アルミニウム基材の表面を陽極酸化することによりポーラスアルミナ層を形成する場合、アルミニウム基材の表面に凹部が存在すると、初期の段階においてまず、表面の凹部に電界が集中することにより、凹部から優先的に細孔の成長が進行することがわかった。従って、本発明による実施形態の製造方法の陽極酸化工程では、初期の段階において、まず、結晶粒界18bに電界が集中することにより結晶粒界18bで優先的に細孔が成長したと考えられる。その後、結晶粒の表面においても、その表面の微細な凹凸等に起因して、局所的に電界集中が生じることにより、細孔14pの成長が進行したと考えられる。こうして、結晶粒18aの表面および結晶粒界18bに対応する位置に細孔14pが形成されたと考えられる。
 結晶粒18aの表面において、細孔14pが形成される位置は、印加電圧の大きさによりほぼ決まると考えられる。一般に、ポーラスアルミナ層の細孔間隔は陽極酸化の印加電圧の大きさに比例することが知られている。従って、結晶粒18aの表面では、細孔14pが互いに印加電圧で決まる距離を隔てた位置に形成されると考えられる。例えば、結晶粒界18bにおける細孔が形成された位置から、印加電圧で決まる距離を隔てた位置に、細孔が形成されると考えられる。
 例えば、後述する実施例3では、印加電圧80Vで決まる細孔間隔は概ね200nm前後であるので、概ね200nm前後の間隔を隔てて、結晶粒界に対応する位置および結晶粒の表面の上に細孔が形成された(図11(a))。
 なお、印加電圧で決まる細孔間隔が結晶粒径と同程度以上となる大きさの電圧が印加されたときは、結晶粒18aの表面の上には細孔14pが形成されにくくなると考えられる。結晶粒界18bに細孔14pが形成された後、結晶粒18aの表面の、結晶粒界18bの細孔14pが形成された位置から印加電圧で決まる距離だけ隔てた位置での局所的な電界集中は生じ難いと考えられるからである。例えば、後述する実施例1では、印加電圧80Vで決まる細孔間隔は概ね200nm前後であり、結晶粒径の平均値が200nm程度であったので、細孔の多くは結晶粒界に沿って形成されたと考えられる。
 モスアイ用型100Aは、2次元的な大きさが200nm以上5μm以下である凹凸構造に反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有するので、モスアイ用型100Aを用いて反射防止膜を作製すると、モスアイ用型100Aの表面の2次元的な大きさが200nm以上5μm以下である凹凸構造が反転された形状が形成される。この形状は、後に実施例を示して説明するように、アンチグレア機能を発揮し得る。すなわち、モスアイ用型100Aを用いることにより、アンチグレア機能を発揮し得る反射防止膜を作製できる。上述したように、例えば、上記特許文献1、2および4に記載のアンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するための型の製造方法においては、反転されたモスアイ構造を形成する工程とは別に、アンチグレア構造を形成するための凹凸構造を形成する工程を行う必要がある。本発明による実施形態のモスアイ用型の製造方法によれば、アルミニウム膜を堆積する工程においてアンチグレア構造を形成するための凹凸構造が形成されたアルミニウム膜を用いるので、アンチグレア構造を形成するための凹凸構造を形成する工程を別に行うことなく、アンチグレア構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜を製造するためのモスアイ用型を簡単に製造することができる。
 なお、反射防止性能の優れた反射防止膜を作製するためには、細孔14pは、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満であることが好ましい。細孔14pの形状や大きさは、陽極酸化の条件、回数および/またはエッチングの条件や回数等を調節することによって、調整することができる。
 上述したように、モスアイ用型100Aでは、細孔14pの2次元的な大きさと細孔間隔とは同程度である。一般に、細孔間隔は印加電圧の大きさにほぼ比例するので、2次元的な大きさが50nm以上500nm未満である細孔を形成するには、細孔間隔が50nm以上500nm未満の細孔が形成される電圧を印加すればよい。
 次に、アルミニウム膜18の形成方法について説明する。本発明者は、0.5μm以上の厚さのアルミニウム膜を形成するときに成膜条件を調整することにより、結晶粒径の平均値が200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜を形成できることがわかった。なお、アルミニウム膜の厚さは、生産性の観点から、5μm以下であることが好ましい。後に実験例を示して説明するように、結晶粒径の平均値が200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜は、例えば、スパッタリング法や電子線蒸着法を用いて作製することができる。
 例えば、後述する実施例1のように、厚さが200nmのアルミニウム層をスパッタリング法で形成する工程を5回行うことにより、複数の結晶粒の結晶粒径の平均値が200nmであるアルミニウム膜を作製することができる。また、実施例3のように、厚さが420nmのアルミニウム層をスパッタリング法で形成する工程を10回行うことにより、複数の結晶粒の結晶粒径の平均値が700nmであるアルミニウム膜を作製することができる。
 このように、アルミニウム膜の成膜条件や膜厚を調整することにより、結晶粒径の平均値を制御できる。また、アルミニウム膜の厚さ以外に、例えば、基板の温度や基板の厚さを調整することにより、結晶粒径の平均値を調整することができる。
 上記では、平板状のガラス基板16上に形成されたアルミニウム膜18を用いる例を説明したが、アルミニウム膜が形成される基材の表面形状は、例えば、曲面やロール面であってもよい。また、基材の材質は、例えば、セラミック、プラスティックなどの耐酸性を有する絶縁物であってもよい。また、例えば、アルミニウムのバルク材を基材として用いることもできる。また、例えば、アルミニウム以外の金属のバルク材の上に絶縁物を付与したものを基材として用いることもできる。
 次に、図2を参照して、本発明による実施形態の反射防止膜の製造方法を説明する。
 まず、図2に示すように、モスアイ用型100Aを用意する。
 次に、被加工物42の表面と、モスアイ用型100Aとの間に、紫外線硬化樹脂32を付与した状態で、モスアイ用型100Aを介して紫外線硬化樹脂32に紫外線(UV)を照射することによって紫外線硬化樹脂32を硬化する。紫外線硬化樹脂32は、被加工物42の表面に付与しておいてもよいし、モスアイ用型100Aの型面(モスアイ構造を有する面)に付与しておいてもよい。紫外線硬化樹脂としては、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。
 その後、被加工物42からモスアイ用型100Aを分離することによって、モスアイ用型100Aの凹凸構造(複数の凸部により構成される凹凸構造に、反転されたモスアイ構造が重畳された構造)が転写された紫外線硬化性樹脂32の硬化物層が被加工物42の表面に形成される。こうして、2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部により構成される凹凸構造が反転された凹凸構造にモスアイ構造が重畳された反射防止膜が得られる。すなわち、2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下であるアンチグレア機能を発揮する凹凸構造に、モスアイ構造が重畳された反射防止膜が得られる。
 モスアイ用型100Aを用いて作製された反射防止膜は、アンチグレア機能を発揮する凹凸構造の2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下であることにより、以下の利点がある。
 本発明者の検討によると、表示パネルの観察者側に配置する部材の観察者側表面の凹凸形状のサイズが、画素サイズの50~200%であるときは、画素ごとにレンズが形成されているような状態となることにより、画素によって明暗が視認されるので、観察者が違和感を覚えることがあることがわかった。表面の凹凸の大きさを画素サイズより十分小さくすることができれば、この問題は回避できると考えられる。現在一般に用いられている液晶表示パネルの画素サイズは概ね50μm~700μmである。本発明による実施形態のモスアイ用型100Aを用いて作製された反射防止膜の表面の凹凸構造の2次元的な大きさの平均値は、200nm以上5μm以下であるので、画素サイズより十分小さい。従って、モスアイ用型100Aを用いて作製された反射防止膜は、観察者が、上記の違和感を覚えることを抑制できる。
 上記では、結晶粒径の平均値が200nm以上5μm以下であるアルミニウム膜18を用いたが、アルミニウム膜として、結晶粒径の分布が2つの極大値を有するアルミニウム膜を用いてもよい。すなわち、結晶粒径が比較的小さい複数の結晶粒と結晶粒径が比較的大きい複数の結晶粒とが存在するアルミニウム膜を用いてもよい。結晶粒径の分布が2つの極大値を有するアルミニウム膜を用いて作製されるモスアイ用型は、上述したのと同様のメカニズムにより、2次元的な大きさの分布が2つの極大値を有する複数の凸部により構成される凹凸構造に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有する。実施例を示して後述するように、この型を用いて、図2を参照して説明した方法により作製した反射防止膜は、結晶粒径の分布の極大値が1つであるアルミニウム膜を用いて作製されたモスアイ用型を用いて作製した場合に比べ、ヘイズ値を高くすることができる。
 結晶粒径の分布が2つの極大値を有するアルミニウム膜は、以下のように作製できる。例えば、後述する実施例4のように、電子線蒸着法により、連続して1μm形成することにより、結晶粒の粒径分布が150nmおよび200nmの2つの極大値を有するアルミニウム膜を作製できる。また、実施例2のように、厚さが420nmのアルミニウム層をスパッタリング法で形成する工程を3回行うことにより、結晶粒の粒径分布が、200nmおよび400nmの2つの極大値を有するアルミニウム膜を作製できる。このように、アルミニウム膜の成膜条件や膜厚を調整することにより、結晶粒径の分布を制御できる。また、アルミニウム膜の厚さ以外に、例えば、基板の温度や基板の厚さを調整することにより、結晶粒径の分布を調整することができる。
 アルミニウム膜の結晶粒の粒径分布が2つの極大値を有し、大きいほうの極大値をR1とし、小さいほうの極大値をR2とすると、粒径がR1-{(R1-R2)/2}より大きい結晶粒が5%以上含まれているアルミニウム膜を用いて作製されたモスアイ用型は、2次元的な大きさの分布が2つの極大値を有し、大きいほうの極大値をL1とし、小さいほうの極大値をL2とすると、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}より大きい凸部が5%以上含まれている複数の凸部に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有する。2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}より大きい凸部が5%以上含まれている複数の凸部に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有するモスアイ用型により、ヘイズ値が1%以上5%以下の反射防止膜を作製できる。
 例えば、後述する実施例2のアルミニウム膜は、R1=400nm、R2=200nmであり、粒径がR1-{(R1-R2)/2}=300nmより大きい結晶粒が、5.96%含まれている。また、実施例4のアルミニウム膜は、R1=200nmでありR2=150nmであり、粒径がR1-{(R1-R2)/2}=175nmより大きい結晶粒が、7.59%含まれている。実施例2および実施例4のモスアイ用型により、ヘイズ値がそれぞれ、1.7%および1.3%の反射防止膜を作製できる。
 アルミニウム膜の結晶粒の粒径分布の広がりによっても、反射防止膜のヘイズ値が変わり得る。結晶粒の粒径分布が広い範囲に広がっているアルミニウム膜を用いて作製されたモスアイ用型を用いることにより、ヘイズ値の観点から好ましい反射防止膜を作製することができる。後述する実施例2、3および4のように、粒径分布が、例えば、結晶粒径の平均値の±50nmより広い範囲に広がっているアルミニウム膜を用いて作製されたモスアイ用型により、ヘイズ値が1%以上の反射防止膜が得られる。
 以下に、実施例を示し、本発明による実施形態の型および型の製造方法をより詳細に説明する。
(実施例1~4)
 実施例1~4は、アルミニウム膜の厚さおよび/または表面の結晶粒の粒径の分布が互いに異なる。
 実施例1~4では、まず、鏡面が得られる程度に十分に平滑化したガラス基板(360mm×460mm、厚さ2.8mm)を用いてアルミニウム膜を形成した。実施例1~3のアルミニウム膜はスパッタリング法を用いて形成した。実施例4のアルミニウム膜は、電子線蒸着法を用いて形成した。
 アルミニウム膜の表面SEM像から、結晶粒径を測定し、結晶粒径の平均値を求めた。なお、結晶粒径として、結晶粒の、アルミニウム膜の表面SEM像における表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさを測定した。また、アルミニウム膜の結晶粒の粒径分布を調べた。また、セイコーインスツル社製の多機能型ユニットSPA-400の原子間力顕微鏡(AFM)およびプローブステーションSPI3800Nを用いて、AFM測定によりアルミニウム膜の表面のn点平均粗さRzを求めた。実施例1、2および4については、十点平均粗さRz(n=10)を調べた。ここで、十点平均粗さRzとは、JIS-B0601:1994の十点平均粗さRzのことである。また、実施例3については、n点平均粗さ(n=6)を調べた。
 アルミニウム膜の光散乱性を調べるために、実施例1~4のアルミニウム膜の表面の5度正反射率を測定した。アルミニウム膜の表面の法線方向から5°傾いた方向から光を入射させ、その正反射方向に出射した光の強度を、日本分光社製の紫外可視分光光度計V-560および絶対反射率測定装置ARV-474を用いて測定した。測定波長範囲は380~780nmであった。
 また、アルミニウム膜を用いて、図1(a)~(d)を参照して説明した製造工程を行った。陽極酸化条件は、処理液:蓚酸(濃度0.06wt%)、温度:5℃、電圧:80V、処理時間:30secとした。エッチング条件は、処理液:燐酸(濃度1mol/L)、処理温度:30℃、処理時間:25minとした。陽極酸化工程とエッチング工程とを交互に、5回(陽極酸化を5回、エッチングを4回)行った。
 得られたモスアイ用型を用いて、図2を参照して説明した方法により、反射防止膜を作製した。被加工物42として、アクリル系ハードコート処理を施したTACフィルムを用いた。TACフィルムの表面と、フッ素系離型剤を付与した型との間に、紫外線硬化樹脂32としてアクリル系紫外線硬化樹脂を付与した状態で、型を介して紫外線を照射した。紫外線硬化樹脂32が十分固まった後に、TACフィルムからモスアイ用型100Aを分離した。
 また、反射防止膜の積分球反射率およびヘイズ値を測定した。積分球反射率はミノルタ社製の分光測色計CM-2002を用いて測定した。拡散光を入射させ、極角8°の方向から受光した。積分球反射率は、測定した積分球反射率の、標準白色板の積分球反射率を100としたときの相対的な値とした。また、ヘイズ値は、日本電色社製の積分球式濁度計NDH-2000を用いて測定した。投光は平行光とした。直進透過光と拡散透過光との和を全光線透過光とし、全光線透過光に対する拡散透過光の比をヘイズ値とした。
 以下、まず実施例1~4のアルミニウム膜の形成方法を説明する。
 実施例1では、スパッタリング法により、アルミニウム層を厚さ方向に200nm堆積した段階で中断し、ある時間を経過した後に、堆積を再開するという工程を5回繰り返すことにより、総厚1μmのアルミニウム膜を作製した。アルミニウム膜を連続して堆積することにより作製すると、アルミニウム膜の内部にボイド(空隙)が形成されることがある。内部にボイドが含まれているアルミニウム膜をエッチングすると、ボイドが存在する部分はアルミニウムの膜質が異なるので、ボイドが存在する部分では、溶解速度が比較的速くなることに起因してポーラスアルミナ層の細孔より2次元的な大きさが大きい孔が形成されてしまうことがある。従って、実施例1では、複数回に分けてアルミニウム膜を作製した。
 実施例2では、スパッタリング法により、アルミニウム層を厚さ方向に420nm堆積した段階で中断し、ある時間を経過した後に堆積を再開するという工程を3回繰り返すことにより総厚1.26μmのアルミニウム膜を作製した。
 実施例3では、スパッタリング法により、アルミニウム層を厚さ方向に420nm堆積した段階で中断し、ある時間が経過した後に、堆積を再開する工程を10回繰り返すことにより総厚4.2μmのアルミニウム膜を作製した。
 実施例4では、アルミニウム膜は、電子線蒸着法により、厚さが1μmとなるまで連続して堆積することにより作製した。
 実施例1、2、3および4のアルミニウム膜の表面のSEM像を、それぞれ、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示す。また、表1に、実施例1、2、3および4のアルミニウム膜の膜厚、結晶粒径の最大値、最小値、および平均値を示す。なお、実施例1および3のアルミニウム膜の結晶粒の粒径分布は極大値が1つであったのに対し、実施例2および4のアルミニウム膜の結晶粒の粒径分布は2つの極大値を有していた。表1には、実施例2および4については、粒径分布の2つの極大値も示す。
 実施例1のアルミニウム膜の表面の結晶粒径(表面SEM像から求められる結晶粒径)の最大値は250nmであり、最小値は150nmであった。また、結晶粒径の平均値は、200nmであった。結晶粒径の平均値は、SEM像(図3(a))の範囲内にある結晶粒の結晶粒径を測定し、その平均値とした。
 図3(b)に示すように、実施例2のアルミニウム膜の表面には、実施例1のアルミニウム膜に比べ、サイズが大きい結晶粒が形成されている。結晶粒の大きさ(結晶粒径)の最大値は600nmであり、最小値は150nmであった。また、結晶粒径の平均値は215nmであった。また、結晶粒径の分布は、2つの極大値を有し、大きいほうの極大値R1は400nmであり、小さいほうの極大値R2は200nmであった。粒径がR1-{(R1-R2)/2}=300nmより大きい結晶粒の数密度は、1.9個/μm2であった。複数の結晶粒には、粒径が300nmより大きい結晶粒が、5.96%含まれていた。
 図4(a)に示すように、実施例3のアルミニウム膜の表面の結晶粒は、実施例1および実施例2のアルミニウム膜に比べ大きかった。結晶粒径の最大値は1200nmであり、最小値は200nmであった。また、結晶粒径の平均値は700nmであった。
 実施例4のアルミニウム膜(図4(b))の表面の結晶粒の粒径の最大値は240nmであり、最小値は100nmであった。また、結晶粒径の平均値は160nmであった。また、結晶粒径の分布は2つの極大値を有しており、大きいほうの極大値は200nmであり、小さいほうの極大値は150nmであった。粒径がR1-{(R1-R2)/2}=175nmより大きい結晶粒の数密度は、4.3個/μm2であった。複数の結晶粒には、粒径が175nmより大きい結晶粒が、7.59%含まれていた。
 このように、実施例2および実施例4のアルミニウム膜の表面の複数の結晶粒には、粒径がR1-{(R1-R2)/2}より大きい結晶粒が5%以上含まれていた。
 また、表1からわかるように、実施例2、3および4のアルミニウム膜の結晶粒の粒径分布は、結晶粒径の平均値±50nmより広い範囲に広がっていた。
 図5(a)、図5(b)、図6(a)および図6(b)に、実施例1、2、3および4のアルミニウム膜の断面のSEM像をそれぞれ示す。実施例3(図6(a))のアルミニウム膜の表面の凹凸形状は、実施例1(図5(a))、実施例2(図5(b))および実施例4(図6(b))に比べ、起伏が激しかった。
 実施例1、2および4のアルミニウム膜の十点平均粗さは、それぞれ、40.29nm、121.6nmおよび104.8nmであった。また、実施例3のアルミニウム膜の表面のn点平均粗さ(n=6)は、230.6nmであった。表1に、実施例1、2、3および4のアルミニウム膜の表面のn点平均粗さを示す。実施例3、2、4、1の順にn点平均粗さRzが大きかった。すなわち、実施例1~4のn点平均粗さについて、実施例3>実施例2>実施例4>実施例1という関係が成立した。従って、実施例3、2、4、1の順に、複数の結晶粒により構成される凹凸構造の厚さ方向の大きさが大きいという傾向があった。また、実施例2、3および4においては、n点平均粗さRzが100nm以上であった。
 反射防止膜の防眩性には、上記のように、表面の凹凸構造の2次元的な大きさ以外に、厚さ方向の大きさも影響すると考えられる。従って、モスアイ用型を用いて作製された反射防止膜の防眩性には、モスアイ用型の表面に存在する、複数の結晶粒に対応した複数の凸部の厚さ方向の大きさも影響すると考えられる。すなわち、型の作製に用いるアルミニウム膜の結晶粒により構成される凹凸構造の厚さ方向の大きさにより反射防止膜の防眩性が変わり得る。後述するように、実施例1に比べ実施例2、3および4の反射防止膜のヘイズ値が高かった(1%以上)のは、実施例2、3および4のアルミニウム膜の表面の、結晶粒により構成される凹凸構造の厚さ方向の大きさが大きかったことも影響していると考えられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 図7に実施例1、2、3および4のアルミニウム膜の測定波長に対する反射率(5度正反射率)を、それぞれ太実線、破線、細実線および一点鎖線で示す。図7に示すように、全ての波長領域において、実施例3、2、4、1の順に反射率が低かった。すなわち、全ての波長領域において、実施例1~4の反射率について、実施例3<実施例2<実施例4<実施例1という関係が成立した。法線方向から5°傾いた方向から入射させた光の反射光の、正反射方向の強度を測定したときは、散乱性が高いアルミニウム膜ほど反射率が低くなると考えられる。従って、図7の結果から、実施例3、2、4、1の順に散乱性が高かったと考えられる。すなわち、散乱性について、実施例3>実施例2>実施例4>実施例1という関係が成立したと考えられる。また、結晶粒径の平均値が大きいほど、反射率は高くなる傾向があった。
 次に、実施例1~4のモスアイ用型を説明する。
 実施例1、2、3および4のモスアイ用型の表面のSEM像を、それぞれ、図8(a)、図8(b)、図9(a)、および図9(b)に示す。実施例1のモスアイ用型(図8(a))には、ほぼ全面に均一に細孔が形成された。一方、実施例2のモスアイ用型(図8(b))および実施例3のモスアイ用型(図9(a))の表面には、細孔が形成されない部分が存在し、実施例1に比べ、細孔の分布は不均一であった。また、実施例4のモスアイ用型(図9(b))の表面には、細孔の分布が不均一な部分が存在した(例えば、図9(b)の中央付近)。
 また、実施例1~4のモスアイ用型は、アルミニウム膜の表面の凹凸形状に対応する凹凸形状に反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有していた。図10(a)、図10(b)、図11(a)および図11(b)に、実施例1、2、3および4のモスアイ用型の断面のSEM像をそれぞれ示す。特に実施例3のモスアイ用型(図11(a))の表面には、2次元的な大きさが1μm前後の凹凸構造に反転されたモスアイ構造が重畳された形状が形成されていることがわかる。このことから、アルミニウム膜の結晶粒に対応する複数の凸部の間および複数の凸部の表面に細孔が形成されたことが確かめられた。すなわち、アルミニウム膜の結晶粒界に対応する位置および結晶粒の表面の上に細孔が形成されたことが確かめられた。
 実施例2のモスアイ用型は、2次元的な大きさの分布が2つの極大値(200nmおよび400nm)を有する複数の凸部に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有していた。また、複数の凸部の2次元的な大きさの分布の、大きいほうの極大値をL1とし、小さいほうの極大値をL2とすると、複数の凸部には、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}=300nmより大きい凸部が6%程度含まれていた。実施例4のモスアイ用型は、2次元的な大きさの分布が2つの極大値(150nmおよび200nm)を有する複数の凸部に、反転されたモスアイ構造が重畳された形状を有していた。また、複数の凸部には、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}=175nmより大きい凸部が7.6%程度含まれていた。このように、実施例2および4のモスアイ用型の表面の複数の凸部には、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}より大きい凸部が5%以上含まれていた。
 次に、実施例1~4の反射防止膜の積分球反射率およびヘイズ値を説明する(表2)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示すように、いずれの実施例の反射防止膜も、反射率を1.0%以下とすることができた。ヘイズ値は、防眩性と相関があり、ヘイズ値が高いほど通過する光が散乱されるので、防眩性が高くなる。実施例1~4の反射防止膜は、積分球反射率が1.0%以下、ヘイズ値が0.7%以上と、優れた反射防止機能および防眩機能を有する。特に実施例2および4は、積分球反射率が0.3%以下、ヘイズ値が1%以上5%以下と、反射率もヘイズ値もいずれも特に好ましい範囲にある反射防止膜が得られた。
 モスアイ用型の作製に用いたアルミニウム膜の結晶粒の粒径分布の極大値が1つであった、実施例1と実施例3とを比較すると、結晶粒径の平均値が大きかったアルミニウム膜を用いた実施例3のほうが、反射防止膜のヘイズ値を大きくすることができた。また、実施例1と実施例4とを比較すると、モスアイ用型の作製に用いたアルミニウム膜の結晶粒径の平均値は同程度であったが、粒径分布が2つの極大値を有する実施例4のほうが反射防止膜のヘイズ値を高くすることができた。
 実施例2、3および4の反射防止膜のヘイズ値を特に高くすることができた(1%以上)のは、モスアイ用型の作製に用いたアルミニウム膜の複数の結晶粒の粒径分布が粒径の平均値±50nmより広い範囲に広がっていることの影響によると考えられる。なお、実施例2、3および4の反射防止膜のヘイズ値が特に高かったことには、アルミニウム膜の表面のn点平均粗さRzが実施例2、3および4で特に大きかった(100nm以上)ことも影響していると考えられる。
 また、図7を参照して説明したように、実施例1~4のアルミニウム膜の反射率から、実施例1~4のアルミニウム膜の散乱性は、実施例3、2、4、1の順に高かったと考えられる。実施例1~4のモスアイ用型を用いて作製された反射防止膜のヘイズ値は、上記のように、実施例3、2、4、1の順に高く、アルミニウム膜の散乱性が高いほど、モスアイ用型を用いて作製された反射防止膜のヘイズ値が高くなった。
 このように、モスアイ用型の作製に用いるアルミニウム膜の結晶粒径の平均値や粒径分布を調整することにより、モスアイ用型により得られる反射防止膜のヘイズ値を調整することができた。
 本発明による型は、モスアイ構造を有する表面の形成、例えば反射防止膜の形成に広く用いることが出来る。
  14 ポーラスアルミナ層
  14p 細孔
  16 基材
  18 アルミニウム膜
  18a 結晶粒
  18b 結晶粒界
  18s アルミニウム膜の表面
  100A モスアイ用型

Claims (14)

  1.  表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する型の製造方法であって、
     (a)基材上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の平均値が、200nm以上5μm以下である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜を用意する工程と、
     (b)前記工程(a)の後に、前記アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、
     (c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程と
    を包含する、型の製造方法。
  2.  表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造を表面に有する型の製造方法であって、
     (a)基材上に堆積されており、厚さが0.5μm以上5μm以下であり、結晶粒径の分布が、2つの極大値を有し、大きいほうの極大値は200nm以上である複数の結晶粒が表面に存在するアルミニウム膜を用意する工程と、
     (b)前記工程(a)の後に、前記アルミニウム膜の表面を陽極酸化することによって、複数の微細な凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する工程と、
     (c)前記工程(b)の後に、前記ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、前記ポーラスアルミナ層の前記複数の微細な凹部を拡大させる工程と
    を包含する、型の製造方法。
  3.  前記複数の結晶粒の粒径分布は、前記結晶粒径の平均値±50nmより広い範囲に広がっている、請求項1または2に記載の型の製造方法。
  4.  前記複数の結晶粒の結晶粒径の平均値は200nm以上5μm以下であり、
     前記複数の結晶粒の粒径分布の大きいほうの極大値は400nm以上である、請求項2または3に記載の型の製造方法。
  5.  前記複数の結晶粒の粒径分布の大きいほうの極大値をR1とし、小さいほうの極大値をR2とすると、
     前記複数の結晶粒には、粒径がR1-{(R1-R2)/2}より大きい結晶粒が5%以上含まれている、請求項2から4のいずれかに記載の型の製造方法。
  6.  前記アルミニウム膜の前記表面のn点平均粗さ(Rz)は100nm以上である、請求項2から5のいずれかに記載の型の製造方法。
  7.  (d)前記アルミニウム膜の前記表面をさらに陽極酸化することによって、前記複数の微細な凹部を成長させる工程をさらに包含し、
     前記工程(c)の後に前記工程(d)および(c)をさらに行う、請求項1から6のいずれかに記載の型の製造方法。
  8.  表面にポーラスアルミナ層を有し、
     前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造と、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさの平均値が200nm以上5μm以下である複数の凸部とを有する、型。
  9.  表面にポーラスアルミナ層を有し、
     前記ポーラスアルミナ層は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが50nm以上500nm未満の複数の凹部を有する、反転されたモスアイ構造と、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさの分布が、2つの極大値を有し、大きいほうの極大値が200nm以上である複数の凸部とを有する、型。
  10.  前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布は、前記複数の凸部の2次元的な大きさの平均値±50nmより広い範囲に広がっている、請求項8または9に記載の型。
  11.  前記複数の凸部の2次元的な大きさの平均値は200nm以上5μm以下であり、
     前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布の、大きいほうの極大値は400nm以上である、請求項9または10に記載の型。
  12.  前記複数の凸部の2次元的な大きさの分布の、大きいほうの極大値をL1とし、小さいほうの極大値をL2とすると、
     前記複数の凸部には、2次元的な大きさがL1-{(L1-L2)/2}より大きい凸部が5%以上含まれている、請求項9から11のいずれかに記載の型。
  13.  請求項8から12のいずれかに記載の型の表面の凹凸構造が反転された凹凸構造を有する、反射防止膜。
  14.  積分球反射率が0.3%未満であり、ヘイズ値が1%以上5%以下である、請求項13に記載の反射防止膜。
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