JP5201537B2 - 撥水性構造及び撥水性構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、水滴の付着を防ぐ撥水機能を発揮する微細な凹凸構造を備えた撥水性構造であって、撥水性及び耐摩耗性に優れ、優れた撥水性を長期に亘って発揮することができる撥水性構造と、このような構造を備えた撥水性構造体に関するものである。
基材の表面に、微細な凹凸構造を付与することにより、光の反射防止機能や、液体、特に水の付着を防ぐ撥水機能が得られることが知られている(特許文献1参照)。
例えば、自動車や鉄道用車両、船舶、航空機などの各種ウィンドウパネルにこのような微細凹凸構造を適用することによって、ワイパーの要らないウィンドウパネルを実現し、部品数の削減や生産工数削減によるコストの削減が望まれている。また、ボディパネルに適用することによって、水浸みなどの汚れを防ぐことができるものと期待されている。
特開2005−31538号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような微細凹凸構造は、低反射、超撥水・超親水などの優れた特性を持つものの、表面摺動などの外力による構造破壊や、これによる性能劣化が実用上の問題となっている。
特に、表面をフッ化処理する場合に、撥水性の高いフッ素化合物が凹凸構造の底部まで反応せず、特に後退接触角が低いために、表面に付着した水滴がより望ましい領域へ移動する(各種ウィンドウパネルの例で示せば、下方など視界の妨げとなりにくい領域に滑り落ちる)速度が低下するという問題がある。なお、「後退接触角」とは、固体表面に接した液滴の界面が固体表面に対し後退するときの接触角をいう。(例えば、「界面化学の測定」http://www.face-kyowa.co.jp/j/interface_chemistry/measurement.html動的接触角の項等を参照。)
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、表面の拭き取り操作などによっても撥水性が容易に劣化することがなく、優れた撥水機能を長期間に亘って発揮することができ、自動車用撥水ガラスや自動車用塗膜に好適な撥水性構造を提供することにある。また、このような構造を備えた撥水性構造体、例えば、ウィンドウパネルやディスプレイ、カーフィルムなどの自動車部品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、撥水機能を発揮する微細凹凸構造の表面に、含炭素数の異なる少なくとも2種類の撥水性化合物を形成することによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の撥水性構造は、円形又は多角形の底面を有し、円形底面の径又は底面多角形に外接する円の径Dbが50μm以下である無数の錐体状突起が50μm以下のピッチPで二次元的に配置されて成る微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面に、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物又はフルオロアルキル基を有するエタノール化合物から成る第1の撥水性化合物Aと、第1の撥水性化合物Aよりも炭素数が少ないフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物から成る含炭素化合物B及び/又は三酸化アンチモンから成る第2の撥水性化合物を備えたことを特徴とする。
また、本発明の撥水性構造体は、上記撥水構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とし、本発明の自動車部品は、上記撥水構造を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、無数の錐体状突起から成り、撥水機能を発揮する微細凹凸構造の表面に、少なくとも2種類の撥水性化合物を形成したため、微細凹凸構造による撥水性能が、表面の撥水性化合物によって向上し、優れた撥水性能を長期間維持することができる。
(a)本発明に用いる基材の代表例として円錐状突起から成る微細凹凸構造を備えた基材の形状を示す斜視図である。(b)本発明に用いる基材の他の代表例として角錐状突起から成る微細凹凸構造を備えた基材の形状を示す斜視図である。 本発明の撥水性構造の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の撥水性構造やこのような構造を備えた構造体について、その製造方法や実施形態などと共に、さらに詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り、質量百分率を意味するものとする。
本発明の撥水性構造は、上記のように、微細凹凸構造を備え撥水性を示す基材の凹凸表面に、さらに撥水性化合物を含む被覆層を強固に形成したものであって、これらの相乗効果によって、極めて優れた撥水性能を長期に亘って発揮することができる。
図1は、本発明の撥水性構造における基材の形状例を示すものであって、本発明に用いる基材1は、例えば、図1(a)に示す円錐や、図1(b)に示す角錐など、無数の微細な錐体状突起2が二次元的に連続して配置されて成る微細凹凸構造を備えたものとすることができる。
なお、図1においては、錐体状突起2の連続方向xとyが90°をなしている場合を示したが、このような直交配置に限定される訳ではなく、xとyの連続方向が60°をなすいわゆる細密配置を採ることも可能である。
また、微細凹凸構造を構成する錐体状突起2の形状例として、円錐形及び四角錐のものを示したが、その底面形状としては、三角形や六角形など、他の多角形であっても良い。
また、本発明における錐体状突起2の形状としては、正確な円錐(母線が直線)や角錐(稜が直線、側面が平面)のみならず、底面から先端側に向かって断面積が順次小さくなるような形状である限り、母線が曲線である円錐状のものや、側面が曲面をなす角錐状であってもよい。
さらに、撥水性が多少犠牲になるものの、成形性や耐破損性を考慮して、先端部を平坦に(すなわち、錐体形状を錐台形状に)したり、丸みをつけたりすることも可能である。
加えて、錐体状突起2の底面の中心と頂点を結ぶ直線は、必ずしも底面に対して垂直である必要もない。
このように、本発明において『錐体状』とは、正確な円錐や角錐のみならず、釣り鐘形や椎の実形、半紡錘形などの変形円錐状や、曲面から成る側面を有する変形角錐状のもの、先端が平坦なもの、丸みを帯びたもの、傾斜したものをも含めた形状を意味する。
ここで、上記錐体状突起2の大きさについて説明する。
すなわち、錐体状突起2の底面は、上記のように円形又は多角形をなすものであるが、円形の場合にはその径、楕円形の場合はその長径、多角形の場合にはその多角形に外接する円の径をもって底面寸法Dbとし、この底面寸法Dbを50μm以下とする必要がある。また、隣接する錐体状突起2間のピッチ(頂部間距離)Pについても50μm以下とする必要があり、これらによって優れた撥水性と共に、透明性を確保することが可能になり、本発明の撥水構造をディスプレイのカバーやウィンドウパネルに適用することができるようになる。
このとき、外の景色や照明の映り込みを防止して、視認性を確保すべく反射防止機能を得るためには上記ピッチPを400nm以下とすることが望ましい。この場合、底面や外接円の径Dbも400nm以下となる。
ピッチPが400nmを超えると、回折光が発生し、反射率が大きくなる傾向がある。より望ましくは380nm以下であり、さらに望ましくは250nm以下である。250nm以下であれば、回折光はほとんど観測されなくなる。
すなわち、上記のような条件を満たす場合、微細凹凸構造が可視光によって認識できない大きさとなるため、光の干渉による発色がなくなり、透明材料として用いることができる。また、反射防止効果により景色の映り込みを減らすことができ、車両や船舶、航空機などのウィンドウパネルへの適用が可能になる。そして、錐体状突起2間の隙間形状が細長くなり、水滴衝突による水の浸入が抑制されることにより、水滴(雨)が全く付着しないほどの超撥水性を示すようになる。
なお、底面や外接円の径Dbや、隣接する錐体状突起2間のピッチPについては、全ての錐体状突起2が一定の値を有していることが望ましいが、一定値とする必要性は必ずしもなく、それぞれ50μm以下であれば、この範囲内で任意に変動させても差し支えはない。
また、錐体状突起2のアスペクト比を1以上とすることがさらに望ましい。アスペクト比とは、錐体状突起2の高さHを底面寸法Dbで除した値(H/Db)を意味する。
上記錐体状突起2が錐台状をなす場合には、その頂部寸法、すなわち頂部が円形の場合(円錐台状)にはその直径Dt、多角形の場合(角錐台状)には当該多角形に外接する円の直径Dtと錐体状突起間のピッチPをDt≦0.4Pの関係を満たすようにすることが望ましい(図2参照)。これによって、微細凹凸構造表面と水との接触面積を少なくして、高い静止接触角を得ることができる。
なお、錐体状突起2の頂部寸法Dtについては、ピッチPの大きさに関わりなく、30nm以下とすることがより好ましい。
このような錐体状突起2から成る微細凹凸構造を備えた基材1の材料としては、後述するような方法によって、無数の錐体状突起2から成る微細凹凸構造を成形できる材料であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリノルボルネン、シクロオレフィンコポリマー樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、さらにはこれらを2種以上ブレンドした材料を用いることが可能であって、とりわけ透明性があるものは、窓(ウインドシールド)や計器類のカバーなどに好適に用いることができる。
後述するように、当該基材1の成形に活性エネルギー線を用いる場合は、活性エネルギー線により重合を開始できる樹脂が用いられる。このような樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂などを例示することができ、必要に応じて、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する重合開始剤を用いることもでき、より強固に固めるためイソシアネートのような硬化剤を加えることもできる。
なお、上記基材1の材料中、もしくは基材1と下層(ベースフィルムや糊材)の密着部には、静電気によるごみやほこりの付着を防止する観点から、テトラブチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホナート(以下、TBP−TFと略記する。)やテトラブチルホスホニウム=ノナフルオロブタンスルホナート(以下、TBP−NFと略記する。)、ホスホニウム塩類のような帯電防止剤を添加しておくことが望ましい。
上記のような微細凹凸構造を備えた基材1を成形する方法としては、特に限定されるものではないが、熱プレス法(ホットエンボス法)、射出成形法などを挙げることができる。
特に、光の波長以下の微細凹凸を容易に成形するための方法としては、ナノインプリントが好適に用いられる。このナノインプリントによる成形方法としては、熱や活性エネルギー線のいずれを用いる方法であってもよい。
熱を用いる方法については、熱可塑性樹脂を加熱して、金型を押し当てることによって当該樹脂に上記のような微細凹凸を転写する方法である。また、活性エネルギー線を用いる方法は、型に活性エネルギー線により重合し硬化するポリマー又はオリゴマー、モノマーなどを入れ、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などの活性エネルギー線を照射することによって固化させる方法である。
上記の成形に用いられるスタンパとしては、上記のような微細凹凸を形成できる方法であれば、特にその製造方法に限定はなく、生産性やコストなどを考慮して適宜なものを使用することができる。
なお、本発明において、ナノインプリントとは、数nmから数10μm程度の範囲の転写を言う。
この場合のプレス装置としては、加熱・加圧機構を有するものや、光透過性スタンパの上方より活性エネルギー線を照射できる機構を有するものがパターン転写を効率良く行う上で好ましい。
上記スタンパは、転写されるべき微細なパターンを有するものであり、スタンパにパターンを形成する方法については、特に制限ななく、例えばフォトリソグラフィや電子線描画法等を所望する加工精度に応じて選択することができる。
また、スタンパの材料としては、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、セラミック、プラスチック、炭素材料等、強度と要求される精度の加工性を有するものであればよく、 具体的には、Si、SiC、SiN、多結晶Si、ガラス、Ni、Cr、Cu、C、さらにはこれらを1種以上含むものを例示することができる。
図2は、本発明の撥水性構造の一実施形態を示す断面図であって、ここでは、錐台状をなす無数の錐体状突起2から成る微細凹凸構造を有する基材1の凹凸表面上に、撥水性化合物を含む被覆層Lが形成されている。
なお、図2においては錐台状の突起2を例示したが、図1に示したような錐状の突起から成る微細凹凸構造を備えた基材1を用いることももちろん可能であり、撥水性能の観点からは、頂部平坦部のない錐状の突起による基材を用いることが望ましい。
本発明の撥水性構造において、上記被覆層Lを構成する撥水性材料としては、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物又はフルオロアルキル基を有するエタノール化合物から成る第1の撥水性化合物Aと、第1の撥水性化合物Aよりも炭素数が少ないフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物から成る含炭素化合物B及び/又は三酸化アンチモンから成る第2の撥水性化合物が含まれていることを要する。
本発明の撥水性構造においては、炭素数の多い第1の撥水性化合物Aが撥水性に優れる一方、炭素数が少ない含炭素化合物Bや無機化合物Cから成る第2の撥水性化合物は、反応性が高く、基材1における微細凹凸構造の底部表面まで反応する。したがって、被覆層L中に両者が混在することによって、撥水性化合物と基材1との密着性が向上し、表面の動摩擦係数が低下することで耐摩耗性(耐久性)と撥水性とを共に向上させることができる。
上記第1の撥水性化合物Aとしては、その炭素数が5〜30のものを用いることが望ましく、炭素数の少ない含炭素化合物Bとしては、炭素数が4以下のものを用いることが望ましく、これによって上記効果をより確実なものとすることができる。なお、第1の撥水性化合物Aの炭素数が30を超えると、1分子内における親水基に対する疎水基の割合が過剰となり、基材1との密着性が低下する傾向がある。
さらに、上記第1の撥水性化合物Aと含炭素化合物Bは、上記のような微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面上に、シラノール結合又はエーテル結合していることがさらに好ましい。
すなわち、シラノール結合、エーテル結合は形成しやすく、またエステル結合に比べて加水分解を受け難いため、耐磨耗性が向上し、長期に亘って優れた撥水性能を発揮することができる。
また、上記第1の撥水性化合物Aと含炭素化合物Bは、上記のような微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面上に、シリカ層を介して結合していることが望ましく、これによって、基材1と疎水性化合物との密着性と撥水性化合物の密度が増大するため、撥水性がさらに向上する。
なお、基材の凹凸表面上にシリカ層を形成するには、例えばスパッタ法、真空蒸着法、TEOS系のシラノール化合物を含有するプライマーコート剤などを基材1に塗工するなどの方法によって行うことができる。
ここで、上記被覆層Lを構成する撥水性材料の具体例について、まず、撥水性化合物Aとしては、例えば、
CH−(Si(CH−O)n−Si(CHOCH:n=1〜8
CH−(Si(CH−O)n−SiCH(OCH:n=1〜8
CH−(Si(CH−O)n−Si(OCH:n=1〜8
CH−(Si(CH−O)n−Si(OC:n=1〜6
CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHNH(CHSi(OCH:n=1〜7
(CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHN(CHSi(OCH:n=1〜7
CH−(Si(CH−O)n−Si(OH):n=2〜9
CH−(Si(CH−O)n−Si(CHCl:n=1〜8
CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHSiCHCl:n=1〜7
CH−(Si(CH−O)n−SiCl:n=2〜9
CH−(Si(CH−O)n−Si(OCOCH:n=1〜7
CH−(Si(CH−O)n−Si(NCO):n=1〜8
CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHO(CHOCONHSi(NCO):n=1〜3
Rf−(CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHNHSi(OCH:n=1〜3
(Rf−(CH−(Si(CH−O)n−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHN(CHSi(OCH:n=1〜2などのシラノール化合物において、上記化合物のHの一部がFであるフルオロシラノール化合物、フルオロエタノールなどを用いることが可能である。
また、含炭素化合物Bとしては、例えば、CH−Si(OCH、CH−(Si(CH−O)−Si(OH)、CH−(Si(CH−O)−SiClなどのシラノール化合物において、上記化合物のHの一部がFであるフルオロシラノール化合物、フルオロエタノールなどを用いることが可能である。
上記のような撥水性化合物を含む被覆層Lを基材1上に形成するための被覆処理方法としては、基材1に形成された微細凹凸構造を被覆材料によって埋めてしまうことのない方法であれば特に限定されることはない。例えば、LB法、PVD法、CVD法、自己組織化法、スパッタ法、単分子を溶剤で希釈したものを塗布する方法などを挙げることができる。
上記被覆層Lの厚さとしては、その効果を有効なものとするために、1〜10nm程度とすることが望ましい。また、被覆層L中に含まれる第1の撥水性化合物A及び含炭素化合物Bと無機化合物Cから選択される第2の撥水性化合物の含有量としては、それぞれ40〜90%、10〜60%(ごく微量含まれ得る不純物を除く)とすることが望ましい。
本発明の撥水性構造体は、上記した撥水性構造を基板の少なくとも一方の面に備えたものであるが、光の入射面と透過光の出射面との両面に形成することがより好ましい。
このとき、微細凹凸構造を備えた基材部分と基板とは、同種の材料であっても、接合に問題がない限り異種材料であっても構わない。また、基板と基材を一体化すること、すなわち、基板に直接微細凹凸構造を形成したり、基材と同じ屈折率で成形が容易な材料を塗布して薄膜を作り、そこに上記の錐体状突起を転写したりすることも可能である。
本発明の撥水性構造体においては、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明材料を用い、構造体全体を透明なものとすることが望ましく、これによって当該構造体の窓材(ウィンドウパネル)などへの適用が可能になる。なお、基板部分についてはガラスを用いることも可能である。
また、自動車やバイクのメーターパネル、携帯電話、電子手帳などのモバイル機器、看板、時計など、雨などの水や、油汚れにさらされる可能性があるような表示装置に使用することができる。
表示装置の形式としては特に限定されず、例えば、アナログメーターのように機械的な表示と照明を組み合わせた方式、デジタルメーターやモニターのように液晶やLED、ELなどのバックライトや発光面を用いた方式、モバイル機器のように反射方式の液晶を用いることもある。
上記したような撥水性構造体は、光に曝される場所に用いられることが多いことから、光による劣化を防止するために、材料に紫外線吸収剤や酸化防止剤、ラジカル補足剤などを添加しておくことが望ましい。
また、樹脂の劣化による黄変を補うためのブルーイング剤や蛍光発色顔料を用いることもできる。
本発明の自動車部品は、本発明の上記撥水性構造を備えたものであるから、耐久性に富み、優れた撥水性能を長期に亘って発揮することから、上記のような自動車用メータカバーやウインドシールドに適用することができ、ワイパーの不要なウインドシールドを実現することも可能になる。
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
(実施例1)
市販の電子線描画装置を用いて、開口径100nm、深さ200nmの円錐状凹部が100nmの間隔に六方最密配列した金型を作製した。この金型に紫外線硬化アクリル樹脂を流し込み、基板としてのPET樹脂を押し当てた状態で紫外線を照射することにより、底面径Db=100nm、高さH=200nmの円錐状突起2(錐体状突起)が頂点間距離P=100nmに六方最密配列された撥水性微細凹凸構造を片面に備えた基材1を得た。
次に、この基材1の凹凸表面にスパッタ法によってシリカ層を5nmの厚さに形成した。
さらに上記シリカ層の上に、CF−(CF(CH−Si(OCH(第1の撥水性化合物A)/CF−Si(OCH(第2の撥水性化合物)をそれぞれ90%/10%の配合比で含む被覆層Lをスパッタリングによって5nmの厚さに成膜し、本例の撥水性構造体を得た。
このようにして得られた撥水性構造体について、下記の要領によって、静止接触角、耐乾拭性及び耐摩耗性について評価し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
第2の撥水性化合物として三酸化アンチモンを使用したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、本例の撥水性構造体を得た。
そして、このようにして得られた撥水性構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(実施例3)
第2の撥水性化合物として三酸化アンチモンとCF−Si(OCHとをそれぞれ50%(被覆層L中においてはそれぞれ5%)の配合比で使用したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、本例の撥水性構造体を得た。
そして、得られた撥水性構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(実施例4)
第1の撥水性化合物Aとして、CF−(CF(CH−OHを使用したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、本例の撥水性構造体を得た。
そして、このようにして得られた撥水性構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(比較例1)
CF−(CF(CH−Si(OCHのみから成る被覆層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、本比較例の撥水性構造体を得た。
そして、このようにして得られた構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(比較例2)
CF−Si(OCHのみから成る被覆層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、本比較例の撥水性構造体を得た。
そして、このようにして得られた構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(比較例3)
微細凹凸構造のない平板状の基材を用い、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって平板上に被覆層を形成し、本比較例の撥水性構造体を得た。
そして、このようにして得られた構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
〔性能評価方法〕
(1)静止接触角
接触角計(CA−A型:協和界面化学製)を使用し、室温下で6μlの水滴を針先につくり、これを測定試料の表面に触れさせて液滴をつくった。このときに生ずる液滴と面との角度を測定し、三点プロット(θ/2法)で5点測定し、これらの値の平均値を静止接触角とした。
(2)耐乾拭性
上記各実施例及び比較例によって得られた各構造体について、トラバース式摩耗試験機を用い、キャンバス布(JIS L 3102)から成る摩擦布によって、荷重9.8kPa、ストローク長100mm、摩擦速度30往復/分の条件のもとに、200回往復払拭作動させた。そして、目視観察によって、傷付きがない場合を「○」、傷付きが認められた場合を「×」として示した。
(3)耐摩耗性
上記した耐乾拭性試験を実施した後、JIS L 1092に規定された方法に基づき、スプレーテスタ(東洋精器製)を用いて、以下の基準によって撥水度を5段階評価した。
1:表面全体に濡れ広がるもの
2:水滴が球状を保持することなく、表面に濡れ広がるもの
3:表面に球状の水滴が付着するもの
4:表面に微小な球状の水滴がわずかに付着するもの
5:表面に水滴が付着しないもの
Figure 0005201537
表1に示すように、本発明の実施例1〜4による撥水性構造体においては、撥水性(静止接触角が大きい)、耐乾拭性、耐摩耗性共に極めて良好であった。
これに対して、撥水性化合物を1種のみ含有する被覆層を備えた比較例や、微細凹凸構造のない平板上に撥水性被覆層を形成した比較例においては、上記性能のいずれかが優れていても、他の性能面で劣ることが確認された。
1 基材
2 錐体状突起

Claims (8)

  1. 円形又は多角形の底面を有し、円形底面の径又は底面多角形に外接する円の径Dbが50μm以下である無数の錐体状突起が50μm以下のピッチPで二次元的に配置されて成る微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面に、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物又はフルオロアルキル基を有するエタノール化合物から成る第1の撥水性化合物Aと、第1の撥水性化合物Aよりも炭素数が少ないフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物から成る含炭素化合物B及び/又は三酸化アンチモンから成る第2の撥水性化合物を備えたことを特徴とする撥水性構造。
  2. 上記錐体状突起の頂部が円形又は多角形の頂面をなし、円形頂面の径又は頂面多角形に外接する円の径Dtと、錐体状突起間のピッチPとが、Dt≦0.4Pの関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の撥水性構造。
  3. 上記第1の撥水性化合物Aの炭素数が5〜30であって、上記含炭素化合物Bの炭素数が4以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水性構造。
  4. 第1の撥水性化合物A及び含炭素化合物Bは、上記基材の凹凸表面にシラノール結合又はエーテル結合していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載の撥水性構造。
  5. 第1の撥水性化合物A及び含炭素化合物Bは、上記基材の凹凸表面にシリカ層を介して結合していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載の撥水性構造。
  6. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の撥水性構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする撥水性構造体。
  7. 透明材料から構成されていることを特徴とする請求項に記載の撥水性構造体。
  8. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の撥水性構造を備えていることを特徴とする自動車部品。
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