JP5522339B2 - 撥水性構造及び撥水性構造体 - Google Patents
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Description
また、本発明の撥水性構造体は、上記撥水構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする。
なお、図1では、平面上に無数の突起1を所定間隔に配列した例を示したが、例えば正弦波曲線のような波状や、鋸形断面を有し、凸部と凹部が三次元的に連続するような凹凸構造を採用することも可能である。
また、ディスプレイのカバーやウインドウパネルとして用いるために、透明性を確保するには、間隔Pを400μm以下とすることが望ましい。さらに、外の景色や照明の映り込みを防止して、視認性を確保すべく反射防止機能を得るためには400nm以下とすることが望ましい。なお、ピッチPが400nmを超えると、回折光が発生し、反射率が大きくなる傾向がある。より望ましくは380nm以下であり、さらに望ましくは250nm以下である。250nm以下であれば、回折光はほとんど観測されなくなる。
また、本発明における錐体状突起1の形状としては、正確な円錐(母線が直線)や角錐(稜が直線、側面が平面)のみならず、底面から先端側に向かって断面積が順次小さくなるような形状である限り、母線が曲線である円錐状のものや、側面が曲面をなす角錐状であってもよい。
加えて、錐体状突起1の底面の中心と頂点を結ぶ直線は、必ずしも底面に対して垂直である必要もない。
これら粒子の形状についても、特に限定されることはなく、真球状、ラグビーボール状、こんぺいとう状、不定形、多孔状などが挙げられる。
例えば、無機粒子2の種類に応じて、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤を用いることによって、樹脂3と無機粒子2との結合の強度を向上させることができる。
このときのエッチング方法としては、樹脂をエッチングできる方法であれば特に限定はなく、電子線リソグラフィ、プラズマ放電、コロナ放電、真空紫外線照射、酸やアルカリ、溶剤を用いたケミカルエッチング等の方法を挙げることができる。
このときの撥水性官能基としてはパーフルオロアルキル基、パーフルオロエーテル基、ハイドロフルオロアルキル基、ハイドロフルオロエーテル基等のフッ素系官能基、ドデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンなどの炭化水素基、アルキルポリシランやこの混合物を挙げることができ、具体的な処理方法としては、例えば蒸着やスパッタなどのドライ処理、ディップやグラビアコート、ダイコートなどのウェット処理をすることができる。
特に、光の波長以下の微細凹凸を容易に成形するための方法としては、ナノインプリントが好適に用いられる。このナノインプリントによる成形方法としては、熱や活性エネルギー線のいずれを用いる方法であってもよい。
なお、本発明において、ナノインプリントとは、数nmから数10μm程度の範囲の転写を言う。
また、スタンパの材料としては、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、セラミック、プラスチック、炭素材料等、強度と要求される精度の加工性を有するものであればよく、 具体的には、Si、SiC、SiN、多結晶Si、ガラス、Ni、Cr、Cu、C、さらにはこれらを1種以上含むものを例示することができる。
このとき、微細凹凸構造を備えた撥水性構造部分と基板とは、同種の材料であっても、接合に問題がない限り異種材料であっても構わない。また、一体的に同時成形することも、接着剤などによって貼り合わせることも可能である。
市販の電子線描画装置を用いて、開口径100nm、深さ200nmの円錐状凹部が100nmの間隔に六方最密配列した金型を作製した。この金型に、球換算直径が10nmのシリカ粒子と、シラノール基を含むγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを持つ紫外線硬化性ポリメチルメタクリレート樹脂とを流し込み、基材であるポリメチルメタクリレート樹脂を押し当てた状態で紫外線を照射して固化させることで、シリカ粒子中及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン中のシラノール基同士を脱水縮合反応させ、Si−O−Si共有結合させた紫外線硬化性ポリメチルメタクリレート樹脂を得た。なお、粒子含有樹脂材料中におけるシリカ粒子の添加量を35質量%とし、紫外線硬化ポリメチルメタクリレート樹脂中におけるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン基の置換量を5質量%とした。
これによって、底面径D=100nm、高さH=200nmの円錐状微細突起1が頂点間距離P=100nmに六方最密配列されてなる微細凹凸構造を両面に備えた成形品を作製した。
市販の電子線描画装置を用いて、開口径300nm、深さ500nmの円錐状凹部が300nmの間隔に六方最密配列した金型を作製した。この金型に、シリカ粒子の添加量を30質量%としたこと以外は、上記実施例と同様にして、シリカ粒子をSi−O−Si共有結合させた紫外線硬化性ポリメチルメタクリレート樹脂を得た。
これにより、底面径D=300nm、高さH=500nmの円錐状微細突起1が頂点間距離P=300nmに六方最密配列されてなる微細凹凸構造を両面に備えた成形品を作製した。
そして、このようにして得られた撥水性構造体について、上記実施例と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
上記実施例2と同様の金型を用いて、シリカ粒子の添加量を60質量%としたこと以外は、上記実施例と同様にして、シリカ粒子をSi−O−Si共有結合させた紫外線硬化性ポリメチルメタクリレート樹脂を得た。これによって、底面径D=300nm、高さH=500nmの円錐状微細突起1が頂点間距離P=300nmに六方最密配列されてなる微細凹凸構造を両面に備えた成形品を作製した。
そして、このようにして得られた撥水性構造体について、上記実施例と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
市販の電子線描画装置を用いて、開口径200nm、深さ500nmの円錐状凹部が200nmの間隔に六方最密配列した金型を作製した。この金型に、シリカ粒子の添加量を20質量%としたこと以外は、上記実施例と同様にして、シリカ粒子をSi−O−Si共有結合させた紫外線硬化性ポリメチルメタクリレート樹脂を得た。これにより、底面径D=200nm、高さH=500nmの円錐状微細突起1が頂点間距離P=200nmに六方最密配列されてなる微細凹凸構造を両面に備えた成形品を作製した。
そして、このようにして得られた撥水性構造体について、上記実施例と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
上記実施例1と同様の金型を用いて、シリカ粒子を含有しない紫外線硬化アクリル樹脂を流し込み、基材であるアクリルを押し当てた状態で紫外線を照射することによって、底面径D=100nm、高さH=200nmの円錐状微細突起1が頂点間距離P=100nmに六方最密配列されてなる微細凹凸構造を両面に備えた成形品を得た。
そして、このようにして得られた構造体について、同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(1)水付着性
上記各実施例及び比較例によって得られた各構造体について、まず、トラバース式摩耗試験機を用い、キャンバス布(JIS L 3102)から成る摩擦布によって、荷重9.8kPa、ストローク長100mm、摩擦速度30往復/分の条件のもとに、200回往復払拭作動させた。
そして、このような乾拭き試験後、JIS L 1092に規定された方法に基づき、スプレーテスタ(東洋精器製)を用いて、以下の基準によって撥水度を5段階評価した。
1:表面全体に濡れ広がるもの
2:水滴が球状を保持することなく、表面に濡れ広がるもの
3:表面に球状の水滴が付着するもの
4:表面に微小な球状の水滴がわずかに付着するもの
5:表面に水滴が付着しないもの
上記の乾拭き試験及び撥水性評価試験を終えた後の各構造体について、各構造体の払拭表面を目視にて観察し、傷付きがない場合を「○」、傷付きが認められたものを「×」とした。
2 無機粒子
3 樹脂
Claims (7)
- 突起底面径が100〜300nm、突起高さが200〜500nm、突起ピッチが100〜300nmである微細凹凸構造を備え、当該微細凹凸が樹脂と、該樹脂の主鎖又は側鎖と表面が化学的に結合した球換算直径が10〜20nmである無機粒子から成り、樹脂から露出した無機粒子の表面には撥水性官能基が結合させてあることを特徴とする撥水性構造。
- 上記微細凹凸が無数の錐体状突起から成ることを特徴とする請求項1に記載の撥水性構造。
- 上記樹脂が紫外線硬化性ポリメチルメタクリレートで、上記無機粒子がシリカ粒子であり、両者の上記化学的結合がSi−O−Si共有結合であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水性構造。
- 上記無機粒子の添加量が質量比で20〜60%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の撥水性構造。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の撥水性構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする撥水性構造体。
- 透明材料から構成されていることを特徴とする請求項5に記載の撥水性構造体。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の撥水性構造を備えていることを特徴とする自動車部品。
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