JP7426064B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は積層フィルムおよびその製造方法に関する。
表面が親水化されたフィルムは、湿度が高く結露しやすい環境でも、水滴の付着が抑制されるので、視認性および意匠性の低下を抑制することが可能である。そのため、表面が親水化されたフィルムは、浴室、洗面化粧台の鏡や、冷凍ショーケース、冷凍食品の包装、メガネなどに、防曇フィルムとして用いられている。
フィルムの表面を親水化する方法として、特許文献1にはコーティングによって親水性塗膜を形成する方法が提案され、また、特許文献2には表面に微小突起を作成してモスアイ(蛾の目)構造を形成する方法が提案されている。
特開2007-282625号公報 特開2014-141085号公報
しかしながら、親水性の塗膜を形成したフィルムは、ロールに巻き取った際に、巻取時の圧力によって、ブロッキングが発生することがある。ブロッキングの発生を防ぐ方法として、塗膜に粒子などを添加して、塗膜表面に凹凸を作成する方法があるが、粒子による光の散乱により、フィルムは、透明度が失われることがある。
また、フィルムにモスアイ構造を形成するには、フィルム表面に微小突起を作成するための金型が必要であり、さらに工程数が増えることにより、大きなコストが発生する。
本発明の課題は、上記問題を鑑み、親水性に優れる樹脂層を有する積層フィルムであって、耐ブロッキング性や透明性にも優れる積層フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基材フィルム面に、特定の表面性状を有する樹脂層を設けることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層を有する積層フィルムであって、
樹脂層表面は、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が2~15μmであり、
二乗平均平方根傾斜(RΔq)が5~17.3°であり、かつ、
水接触角が50°以下であることを特徴とする積層フィルム。
(2)樹脂層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01~3.0μmであることを特徴とする(1)記載の積層フィルム。
(3)基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする(1)または(2)記載の積層フィルム。
(4)上記(1)記載の積層フィルムを製造するための方法であって、
樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する工程と、塗布された液状物を発泡させる工程を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
本発明の積層フィルムの樹脂層表面は、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が15μm以下であり、樹脂層の表面積が増加するため、良好な親水性を示し、また二乗平均平方根傾斜(RΔq)が5°以上であり、樹脂層表面の凹凸が細かく急な角度のため、フィルムが巻き取られた際の接触面積が低下し、ブロッキングの発生を抑制することができ、また水接触角が50°以下であるため、適度な親水性を有し、フィルム表面での液滴による結露の発生が抑制され、高湿度下および低温度下において、結露が発生せず、さらに霜がつきにくいことにより、フィルムを通した視野や意匠性を損なうことがない。
さらに本発明の積層フィルムの樹脂層は、実質的に粒子を含まないため、良好な透明性を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを有する。
本発明の積層フィルムは、後述するように樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する工程と、塗布された液状物を発泡させる工程とを含む製造方法により、樹脂層表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を15μm以下とし、二乗平均平方根傾斜(RΔq)を5°以上とし、かつ、水接触角を50°以下とすることができる。
<基材フィルム>
本発明の積層フィルムの基材フィルムは、その種類や表面粗さは特に限定されるものではない。
本発明において、基材フィルムを構成する樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリアミド6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9Tなどのポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂などの他、これらの樹脂の混合体や共重合体などが挙げられる。
基材フィルムは、上記樹脂からなる単層体でもよく、また、例えば、ポリアミド6/MXD6ナイロン/ポリアミド6、ポリアミド6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ポリアミド6などの複層体でもよい。
基材フィルムは、機械的強度や寸法安定性を有するポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリエステルフィルムがより好ましい。
基材フィルムを構成する樹脂の固有粘度は0.55~0.80であることが好ましく、0.60~0.75であることがより好ましい。基材フィルムを構成する樹脂は、固有粘度が上記範囲未満であると、製膜時に切断が起こり易く、安定的にフィルムを生産するのが困難であり、また、得られたフィルムは強度が低いことがある。一方、樹脂の固有粘度が上記範囲を超えると、フィルムの生産工程において溶融押出時に剪断発熱が大きくなり、押出機にかかる負荷が大きくなり、生産速度を犠牲にせざるを得なかったり、フィルムの厚み制御も難しくなる等、フィルムの生産性が低下することがある。また、得られたフィルムは、熱分解やゲル化物が増加して、表面欠点や異物、表面粗大突起が増加することがある。また、あまりに固有粘度の高いものは、重合時間や重合プロセスが長く、コストを押し上げる要因となることもある。
基材フィルムを構成する樹脂の重合方法は特に限定されず、例えばポリエステルの場合であれば、エステル交換法、直接重合法等が挙げられる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Geなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒド等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合してもよい。
基材フィルムは、必要に応じ、添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ピニング剤、有機粒子、無機粒子、ブロッキング防止剤等を含有してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、熱安定剤としては、リン系化合物等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
次に、基材フィルムの製造方法の一例を、ポリエステルフィルムを具体例として説明する。
まず、十分に乾燥されたポリエステル樹脂を、押出機に供給し、十分に可塑化され、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させ、その後Tダイを通じてシート状に押出す。このシートを、樹脂のガラス転移温度(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて、未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムを一軸延伸法により一軸配向させるか、もしくは二軸延伸法により二軸配向させる。二軸延伸法としては、特に限定はされないが、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法を用いることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手もしくは巾方向に、2~6倍程度の延伸倍率となるよう延伸する。
同時二軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手および巾方向にそれぞれ2~4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、未延伸フィルムに1.2倍程度までの予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、逐次二軸延伸法では、未延伸フィルムを、加熱ロールや赤外線等で加熱し、長手方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用し、樹脂のTg~Tgより40℃高い温度の範囲で、延伸倍率2.5~4.0倍とするのが好ましい。縦延伸フィルムを、続いて連続的に、巾方向に横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して、二軸配向フィルムとする。横延伸は樹脂のTgより40℃高い温度で開始し、最高温度は樹脂の融点(Tm)より(100~40)℃低い温度であることが好ましい。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上、さらには3.8倍以上とするのが好ましく、4.0倍以上とするのがより好ましい。長手方向と巾方向に延伸後、さらに、長手方向および/または巾方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることもできる。
延伸に続き、樹脂のTmより(50~10)℃低い温度で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム巾方向に1~10%の弛緩することが好ましい。熱固定処理後、フィルムをTg以下に冷却して二軸延伸フィルムを得る。
上記製造方法によって単層のフィルムが得られるが、積層フィルムを構成する基材フィルムは、2種以上の層を積層してなる多層フィルムであってもよい。
多層フィルムは、上記製造方法において、それぞれの層を構成する樹脂を別々に溶融して、複層ダイスを用いて押出し、固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法や、2種以上の樹脂を別々に溶融、押出してそれぞれフィルム化し、未延伸状態で、または延伸後に、それらを積層融着させる方法などによって製造することができる。プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させることが好ましい。
基材フィルムは、マット調であってもよく、フィルムに有機粒子や無機粒子を練りこむ方法、有機粒子や無機粒子を含有するコート剤を塗布する方法、エンボス加工を行う方法、サンドマットによる方法、それらを積層するなど公知の方法を用いて行ってもよい。本発明においては、基材フィルムからの粒子や残渣の発生が少ないことから、フィルムに有機粒子や無機粒子を練りこむ方法、有機粒子や無機粒子を含有するコート剤を塗布する方法、エンボス加工を行う方法が望ましい。
無機粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ゼオライト、カオリン、クレー、タルク、マイカ等の粒子が挙げられる。また、有機粒子としては、例えば、メラミン樹脂、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル-スチレン共重合体等の粒子が挙げられる。特に酸化ケイ素(シリカ)は粒径分布が優れ、安価なことから好適である。
基材フィルムの厚みは特に限定されないが、1~1000μmが好ましく、5~500μmがより好ましく、10~100μmがさらに好ましく、10~75μmが特に好ましい。
<樹脂層>
本発明の積層フィルムは、上記の基材フィルムの少なくとも一方の面に、樹脂層が設けられたものであり、樹脂層表面は、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が15μm以下であることが必要であり、1~13μmであることが好ましく、2~12μmであることがより好ましい。樹脂層表面は、RSmが15μmを超えると、表面積の増加が少ないため、良好な親水性を示さなくなる。一方、RSmが1μm未満であると、表面積が大きくなることで摩擦力が増大し、樹脂層表面は、滑り性が低下することがある。
本発明において、樹脂層表面は、二乗平均平方根傾斜(RΔq)が5°以上であることが必要であり、6~70°であることが好ましく、7~60°であることがより好ましい。樹脂層表面は、RΔqが5°未満であると、凹凸が細かく急な角度でないため、フィルムが巻き取られた際の接触面積が増加し、ブロッキングの発生を抑制できなくなる。一方、RΔqが80°を超えると、樹脂層表面の凸部は、脆弱になり破壊されることがある。
本発明において、樹脂層表面は、水接触角が50°以下であることが必要であり、4~48°であることが好ましく、5~45°であることがより好ましい。樹脂層表面は、水接触角が50°を超えると、液滴による結露の発生が顕著となる。一方、水接触角が4°未満であると、製品として巻き取られたフィルムのロールは、吸湿によってブロッキングすることがある。
本発明において、樹脂層表面は、算術平均粗さ(Ra)が0.01~3.0μmであることが好ましく、0.015~2.8μmであることがより好ましく、0.02~2.7μmであることがさらに好ましく、0.025~2.6μmであることがさらに好ましく、0.03~2.5μmであることがさらに好ましく、0.035~2.4μmであることが最も好ましい。樹脂層は、表面のRaが0.01~3.0μmであることにより、滑り性などの加工適正を向上することができる。
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層の厚みは、0.01~5.0μmであることが好ましく、0.03~3.0μmであることがより好ましく、0.05~1.0μmであることがさらに好ましい。樹脂層は、厚みが0.01μm未満であると、十分な凹凸が得られない場合があり、一方、厚みが5.0μmを超えると、ロール状に巻き取った際にブロッキングが発生しやすくなる。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層を有するものであり、積層フィルムのヘーズは、20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましく、16%以下であることがさらに好ましく、14%以下であることがさらにより好ましく、12%以下であることが最も好ましい。積層フィルムは、ヘーズが20%を超えると、印刷物の意匠性が低下することがある。
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムは、樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する工程と、塗布された液状物を発泡させる工程とを含む製造方法により得ることができる。樹脂層形成用液状物は、後述する、樹脂層を構成する成分と、溶媒と、発泡剤を含有するものである。
樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する方法としては、公知慣用の方法が挙げられ、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が挙げられる。
基材フィルム表面に均一に樹脂層形成用液状物を塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、加熱処理に供して、乾燥する。このようにすることで、均一な樹脂層を基材フィルムに密着させて形成することができる。
樹脂層表面に凹凸を形成し、表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を15μm以下とするには、塗布した樹脂層形成用液状物の乾燥初期温度を、40~160℃とすることが好ましく、60~150℃とすることがさらに好ましく、65~120℃とすることがさらに好ましい。乾燥初期温度が低すぎると、乾燥ができず、高すぎると、所定の表面粗さの樹脂層を発現することができないことがある。
さらに、エージング処理を行うことによって、樹脂層の凝集性や、基材との密着性を高めることができる。エージングは、基材フィルムへのダメージを軽減する観点からは、比較的低温で処理することが好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましく、エージング温度は、20~100℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましく、40~60℃であることがさらに好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層を基材フィルムに積層する方法は特に限定されず、例えば樹脂層形成用液状物を二軸延伸された基材フィルムに塗布、乾燥するオフラインコート法や、樹脂層形成用液状物を未延伸状態や一軸延伸状態の基材フィルムに塗布し、基材フィルムと共に、乾燥、配向延伸するインラインコート法が挙げられる。インラインコート法は、配向延伸後に熱固定処理してもよい。インラインコート法は、製造工程中の基材フィルムに液状物を塗布することにより、基材フィルム表面の配向結晶化の程度が小さい状態で樹脂層を形成することができるため、基材フィルムと樹脂層の密着力が向上する。さらに、オフラインコート法と比べると、製造工程を簡略化することができるばかりか、樹脂層を薄膜化できることによりコスト面でも有利である。なお、基材フィルムの製造方法が逐次二軸延伸法である場合、一軸方向に延伸された基材フィルムに液状物を塗布し、液状物の塗布された基材フィルムを乾燥、その後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸し、熱処理することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
<発泡剤>
樹脂層形成用液状物を構成する発泡剤としては特に制限はないが、無機系発泡剤や有機系発泡剤などが挙げられる。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩化合物類や、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、N,N′-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′-ジメチル-N,N′-ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、4,4′-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3′-ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4′-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。また、これらの発泡剤は、1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。被着体に対する接着性能の観点で、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウムが好ましく、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
樹脂層形成用液状物における発泡剤の含有量は、特に制限されないが、樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して、10~1300質量部であることが好ましく、30~1300質量部であることがより好ましく、45~1000質量部であることがさらに好ましく、100~800質量部であることが特に好ましく、100~600質量部であることが最も好ましい。発泡剤の含有量が10質量部未満であると、得られる積層フィルムは、樹脂層表面のRSmが15μm以下でなくなることがあり、1300質量部を超えると、樹脂層と基材層との密着性に劣ることがある。
<溶媒>
樹脂層形成用液状物を構成する溶媒は、形成される樹脂層に応じた最適なものを用いることができ、有機溶剤であってもよく、水性媒体であってもよい。水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-ジエタノールアミン等の有機アミン化合物、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコール等のエステル系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホン酸エステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3~100)、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH、CF(CFCHOH、CF(CFOH、CHFCFCHOH、CHF(CFCHOH、CHF(CFCHOH等のアルコール系溶剤等が挙げられる。塗布乾燥後の外観や塗布しやすさの観点から、キシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサン、シクロヘキサノンシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトンが好ましく、トルエン、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトンがより好ましい。
<樹脂層構成成分>
本発明において、樹脂層は、特定の表面性状を有するため、良好な親水性を示すが、樹脂層を構成する成分を目的に応じて選択することにより、親水性に加えて、様々な機能性を付与することができる。機能性を有する樹脂層としては、例えば、離型層、易接着層、帯電防止層、バリア層、導電層などが挙げられる。本発明の積層フィルムの樹脂層は、前記機能性を付与する樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布し、塗布された液状物を発泡させることで、樹脂層表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が15μm以下という特定の表面状態にすることができる。
本発明において、樹脂層を構成する成分としては、例えば、シリコーン系化合物、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
樹脂層を構成する成分としてのシリコーン系化合物は、硬化型シリコーン樹脂として、熱付加型シリコーン、熱縮合型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンが挙げられる。
熱付加型としては、分子両末端あるいは両末端および側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
熱縮合型としては、両末端シラノール官能性ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルメトキシシロキサンとを有機錫系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
紫外線硬化型としては、アルケニル基とメルカプト基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、(メタ)アクリル基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、エポキシ基を含有するポリオルガノシロキサンにオニウム塩光開始剤を添加したものなどが例示される。
電子線硬化型としては、ラジカル重合性基含有ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
本発明では、工程および設備上の観点から、上記硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
硬化型シリコーン樹脂として熱付加型シリコーンを用いる場合、樹脂層形成用液状物は、硬化触媒を含有することが好ましい。液状物をインラインで塗布した際、基材フィルムの延伸前もしくは延伸中に、樹脂層の硬化反応が開始すると、硬化した樹脂層は、延伸により亀裂が生じ、剥離性が低下する場合がある。そのため、硬化触媒により、工程後の熱固定処理において付加重合反応が開始するように制御することが好ましい。
硬化触媒の具体例は、白金系化合物触媒であり、例えば、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とメチルビニルシロキサンとの錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物が挙げられる。これらの白金系化合物触媒の添加量は、通常、硬化型シリコーン樹脂1万質量部に対して、白金系金属として0.1~500質量部の範囲であることが好ましい。
樹脂層を構成する成分としてのアクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体のいずれでもよい。
上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
アクリル樹脂は、上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる単独重合体あるいは共重合体の他、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれ、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、ポリウレタン溶液、またはポリウレタン分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマー溶液、または他のポリマー分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
また、アクリル樹脂は、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能であり、樹脂層の透明性の低下を抑える観点から、ヒドロキシル基を含有していることが好ましい。アクリル樹脂がヒドロキシル基を含有する場合、アクリル樹脂の水酸基価は、2~100mgKOH/gであることが好ましく、5~50mgKOH/gであることがより好ましい。アクリル樹脂の水酸基価が上記範囲であると、樹脂層は、外観や透明性が良好なものとなる。
樹脂層を構成する成分としてのポリエステル樹脂は、主な構成成分が、例えば、下記の多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物であるものが好ましい。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。
これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
樹脂層を構成する成分としてのポリビニルアルコールとしては、一般的にポリビニルアルコール部位を有する化合物を指し、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブチラール化等された変成化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300~40000の範囲である。重合度が100未満の場合、塗布層の耐水性が低下する場合がある。
ポリビニルアルコールとして市販品を好適に使用でき、例えば、日本酢ビ・ポバール社「J-ポバール」の「JC-05」、「VC-10」、「ASC-05X」、「UMR-10HH」、クラレ社「クラレポバール」の「PVA-103」、「PVA-105」や「エクセバール」の「AQ4104」、「HR3010」、電気化学工業社「デンカ ポバール」の「PC-1000」、「PC-2000」などが挙げられる。
樹脂層を構成する成分としてのウレタン系樹脂としては、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作製される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
上記樹脂層に用いるウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性に優れており好ましい。また、導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。かかるポリウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる塗布層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
樹脂層を構成する成分としてのポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分が、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン等の炭素数2~6のアルケンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、基材フィルムとの密着性をさらに向上させる理由から、ポリオレフィン樹脂は、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分を含有してもよい。側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1~30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1~20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、ポリエステルフィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。「(メタ)アクリル酸~」とは、「アクリル酸~またはメタクリル酸~」を意味する。
ポリオレフィン樹脂中における、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分の割合は、1~40質量%であることが好ましく、2~35質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることがさらに好ましく、6~18質量%であること特に好ましい。
さらに、ポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていてもよい。その他のモノマーとして、例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
<架橋剤>
本発明において、樹脂層形成用液状物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含むことにより、樹脂層は構成成分が架橋し、凝集力が向上する。
架橋剤の具体例としては、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は2種以上を併用してもよい。
メラミン化合物は、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
オキサゾリン化合物は、分子中に少なくともオキサゾリン基を2つ以上有するものであれば、特に限定されない。このようなオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2′-ビス(2-オキサゾリン)、2,2′-エチレン-ビス(4,4′-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2′-p-フェニレン-ビス(2-オキサゾリン)、ビス(2-オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどの2以上のオキサゾリン基を有する化合物や、2以上のオキサゾリン基を含有する重合体(以下、オキサゾリン基含有ポリマーと称する場合がある)が挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。中でも、取り扱い易さの観点から、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成することができる。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させる方法が挙げられる。その重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。また、オキサゾリン化合物には、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。
オキサゾリン化合物は市販品も好適に使用でき、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。より具体的には、水溶性タイプの「WS-500」、「WS-700」、エマルションタイプの「K-1010E」、「K-1020E」、「K-1030E」、「K-2010E」、「K-2020E」、「K-2030E」などが挙げられる。
エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
カルボジイミド系化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有するものであれば、特に限定されない。このようなカルボジイミド化合物としては、例えば、p-フェニレン-ビス(2,6-キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン-1,4-ビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)などの2以上のカルボジイミド基を有する化合物や、2以上のカルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。なかでも、取り扱い易さの観点から、ポリカルボジイミドが好ましい。ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。
カルボジイミド化合物は市販品も好適に使用でき、例えば、日清紡社製のカルボジライトシリーズなどを用いることができる。より具体的には、水溶性タイプの「SV-02」、「V-02」、「V-02-L2」、「V-04」、エマルションタイプの「E-01
」、「E-02」、有機溶液タイプの「V-01」、「V-03」、「V-07」、「V
-09」、無溶剤タイプの「V-05」が挙げられる。
イソシアネート系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオフォスフェート等のトリイソシアネート、イソシアヌレート類を有する多価イソシアネート等が挙げられる。
<濡れ調整剤>
樹脂層形成用液状物は、親水性向上のため、濡れ調整剤を含有することが好ましい。濡れ調整剤としては、特に限定されないが、親水性有機化合物としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、水酸基含有ビニル単量体成分と酸基含有ビニル単量体成分とからなる共重合体またはその部分もしくは完全中和物、スルホン酸基含有樹脂、ワックス類、シリコーン化合物、フッ素系化合物、アセチレングリコール化合物、ポリオキシエチレン化合物などが挙げられる。
濡れ調整剤の含有量は、樹脂層形成用液状物の樹脂成分の固形分100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~15質量部であることがより好ましく、1.0~15質量部であることが最も好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、具体的には、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム等の炭素原子数6~24のアルキル鎖を有するカルボン酸の金属塩またはアンモニウム塩;オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等の炭素原子数6~24のアルキル鎖を有するスルホン酸の金属塩またはアンモニウム塩;炭素原子数6~24のアルキル鎖を有するリン酸エステルの金属塩またはアンモニウム塩;炭素原子数6~24のアルキル鎖を有するホウ酸エステルの金属塩またはアンモニウム塩;パーフルオロデカン酸ナトリウム、パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウム等のフッ素系アニオン性界面活性剤;ポリジメチルシロキサン基とカルボン酸金属塩等に陰イオン性基を有するシリコン系アニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中では、特に炭素原子数6~10のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩等の炭素原子数12~18のアルキル鎖を有するアンモニウム塩;ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩等のエステル結合を有するアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン、N-アルキルプロピレンアミン、N-アルキルポリエチレンポリアミン等の炭素原子数12~18のアルキル鎖を有するアミン誘導体等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル等の炭素原子数7~18のアルキル鎖を有するポリオキシエチレン系化合物;エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル等の炭素原子数9~17のアルキル鎖を有する多価アルコール系化合物等が挙げられる。
水酸基含有ビニル単量体成分と酸基含有ビニル単量体成分とからなる共重合体としては、具体的には、ビニルアルコール単位と(メタ)アクリル酸単位を有する重合体、ビニルアルコール誘導体単位と(メタ)アクリル酸単位を有する重合体、ヒドロキシアクリレート単位と(メタ)アクリル酸単位を有する重合体等が挙げられる。また、その共重合体の部分もしくは完全中和物としては、具体的には、前記の重合体酸基のメチルエステル、エチルエステル等の重合体等が挙げられる。
ワックス類としては、数平均分子量が10,000以下の、植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、石油化学ワックス等が挙げられる。ワックスの具体例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ベリーワックス、ホホバワックス、シアバター、蜜蝋、セラックワックス、ラノリンワックス、鯨蝋、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ポリエチレンワックス合成ポリプロピレンワックス、合成エチレン-酢酸ビニル共重合体ワックス等が挙げられる。
シリコーン化合物としては、特に限定されないがポリシロキサン系化合物を用いることができる。
フッ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、フッ素変性ポリマーなどが挙げられる。
<添加剤>
樹脂層形成用液状物は、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、発泡助剤などを含有してもよい。
帯電防止剤としては、アンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の高分子化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物が挙げられる。これらはフィルムに帯電防止性を付与するために用いられる。これらの中でもイオン導電性の高分子化合物が好ましく、アンモニウム基含有化合物が特に好ましい。π共役系導電性高分子、たとえばポリチオフェンやポリアニリン含有の塗布液から形成される塗布層は一般に強く着色するため、透明性が求められる光学用途には好適でない場合がある。またπ共役系導電性高分子塗料はイオン導電性塗料に比べ一般に高価になるため、製造コストの観点からもイオン導電性の帯電防止剤が好適に用いられる。
発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができる。より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられ、高級脂肪酸金属塩が好ましく用いられる。
さらに、樹脂層には、その目的および用途によって、得られる積層フィルムの物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤、滑剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤、粘着剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
<用途>
本発明の積層フィルムは、親水性や透明性に優れることから、浴室、洗面化粧台の鏡や、冷凍ショーケース、メガネなどに、防曇フィルムとして、また、結露が発生しやすい環境において表面での結露の発生を抑制することから低温保存での保存及び展示がされる冷凍食品などの包材として好適である。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。積層フィルムの特性は下記の方法で測定した。
(1)樹脂層厚さ
接触式膜厚計により積層フィルムの厚さを測定し、積層フィルムの厚さから、基材フィルムの厚さを減じて、樹脂層の厚さを求めた。
(2)樹脂層表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)、二乗平均平方根傾斜(RΔq)、算術平均粗さRa
三次元測定レーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS4100)を用い測定した。λc、λs、λfのいずれも無しの設定で、観察面内で3点測定し、平均値を算出した。
(3)水接触角
自動接触角計(KRUSS社、DSA30)を用いて、2μLの水液滴を滴下し、滴下後2秒後の接触角をEllipse(Tangent-1)法で自動算出した。
(4)耐結露性
容器に湯を入れ、発生した湯気の上に樹脂層が湯気に触れるように2秒保持し、そのフィルム越しに蛍光灯の曇り具合を観察し、下記の基準で耐結露性を評価した。
◎:フィルムに曇りがない。
○:フィルムに曇りがあるが、蛍光灯は鮮明に見える。
△:フィルムに曇りがあり、蛍光灯がぼやけて見える。
×:フィルムが曇って蛍光灯を認識できない。
(5)耐ブロッキング性
積層フィルムを2枚切出し、それらの基材フィルム面と樹脂層面を接触させ、10cm四方に1kgの荷重をかけ、24時間以上静置した。その後、重ねたフィルムを剥がす際の状況から、下記の基準で耐ブロッキング性を評価した。
◎:フィルムを剥がす際に、抵抗が無く、音もしない。
○:フィルムを剥がす際に、抵抗はあるが、音はしない。
△:フィルムを剥がす際に、抵抗があり、音がする。
×:フィルムを剥がすのに大きな抵抗があり、剥がすのが困難である。
(6)ヘーズ
濁度計(日本電色工業社製、分球式濁度計NDH-300A)により、拡散透過率と全光線透過率を測定し、ヘーズを算出した。
樹脂層形成用液状物を構成する原料として、以下のものを使用した。
(1)樹脂成分
・共重合ポリエステル樹脂水性分散体(ユニチカ社製、エリーテルKT-8904、固形分濃度:30%)
・ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製、VC-10、重合度:1,000、固形分濃度:8質量%)
(2)架橋剤
・オキソザリン化合物水溶液(日本触媒社製、エポクロスWS-700、固形分:25%)
(3)発泡剤
・F-1:炭酸水素ナトリウム(関東化学社製)
・F-2:炭酸水素アンモニウム(関東化学社製)
(4)濡れ調整剤
・D-1:シリコーン系表面調整剤(信越化学工業社製、シルフェイスSAG503A、固形分濃度:94%)
・D-2:ポリエチレンワックス(東邦化学工業社製、ハイテックE-6500、固形分濃度:35%)
(5)粒子
・Z-1:アクリル微粒子(日本触媒社製、エポスターMX100W)
・Z-2:コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスMP-1040)
基材フィルムとして、以下のものを使用した。
・S-1:ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、PETフィルム、エンブレットS-38)
実施例1
共重合ポリエステル樹脂水性分散体と、オキソザリン化合物水溶液と、発泡剤F1と、濡れ調整剤D-1を、各成分の固形分質量比が100/2/100/10となるように混合して、樹脂層形成用液状物を得た。
得られた液状物を、マイヤーバーを用いて、基材フィルムS-1の表面に塗布した後、150℃で60秒乾燥し、基材フィルム上に厚さ0.2μmの樹脂層を有する積層フィルムを得た。
実施例2、4~5、7~10、比較例1~10
樹脂成分の種類、架橋剤の質量部、発泡剤の種類と質量部、濡れ調整剤の種類、粒子の種類と質量部を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例3
ポリエチレンテレフタレート(重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)に、シリカ粒子(粒子径2.3μm)を0.08質量%添加したポリエチレンテレフタレートAを押出機Iに、また粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートBを押出機IIに、それぞれ投入し、280℃で溶融後、それぞれの溶融体をTダイの出口に至る前で層状に合流積層させた。層の厚み比(I/II)が4/6となり、総厚みが600μmとなるよう調整してTダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸の複層ポリエステルフィルムを得た。
この未延伸フィルムをロール式縦延伸機で85℃の条件下、3.5倍に延伸して縦延伸フィルムを得た。
次いで、実施例1で得た樹脂層形成用液状物を、縦延伸フィルムの、押出機IIからのフィルム層の表面に、グラビアロールで5g/mとなるように塗布したのち、横延伸テンター内で、100℃の条件下、横4.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を3%として、240℃で3秒間の熱処理を施して、複層ポリエステルフィルムからなる基材フィルムの片面に厚さ0.10μmの樹脂層が設けられた厚さ38μmの積層フィルムを得た。
実施例6
樹脂層形成用液状物を実施例4で得たものに変更した以外は、実施例3と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例、比較例で得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0007426064000001
実施例1~10の積層フィルムは、樹脂層表面の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が15μm以下であり、二乗平均平方根傾斜(RΔq)が5°以上であり、水接触角が50°以下であるため、耐結露性、耐ブロッキング性に優れるとともに、透明性が良好であった。
一方、比較例1~2、5~10の積層フィルムは、樹脂層表面のRSmおよびRΔqが本発明で規定する範囲を満たさないため、耐結露性が低下し、耐ブロッキング性に劣っていた。比較例3、4の積層フィルムは、樹脂層が粒子を含有すると、耐ブロッキング性がわずかに改良したが、ヘーズが高くなった。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層を有する積層フィルムであって、
    樹脂層表面は、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が2~15μmであり、
    二乗平均平方根傾斜(RΔq)が5~17.3°であり、かつ、
    水接触角が50°以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 樹脂層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01~3.0μmであることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 請求項1記載の積層フィルムを製造するための方法であって、
    樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する工程と、塗布された液状物を発泡させる工程を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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