JP2009270327A - 壁材、およびこれを具備した壁構造物 - Google Patents

壁材、およびこれを具備した壁構造物 Download PDF

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克宏 小嶋
Masa Nakamura
雅 中村
Hideko Okamoto
英子 岡本
Tetsuya Sawano
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Abstract

【課題】防汚性に優れた壁材、およびこれを具備した壁構造物を提供する。
【解決手段】表面に微細凹凸構造が形成された壁材10であって、前記微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものである、壁材10、および該壁材10を具備した、壁構造物。
【選択図】図1

Description

本発明は、壁材、およびこれを具備した壁構造物に関する。
高速道路の防音壁等の壁構造物は、通常、屋外に設置される。防音壁としては、例えば、下記のものが開示されている。
2種類以上の繊維で構成された繊維成形体の表面の少なくとも一方に、難燃剤および/または撥水剤を付着含有する布帛が貼り合わせてなる吸音用繊維成形体を用いて構成された防音壁(特許文献1)。
しかし、上述したような屋外に設置される壁構造物は、雨風に晒されたり、埃などが付着したりしやすく、汚れやすかった。特に、高速道路の防音壁は、自動車の排気ガス等によって汚れやすかった。
また、冬場などは壁構造物に水滴が付着すると、その水滴が凍って着氷することがあった。
そのため、定期的に掃除をして汚れや水滴を除去する必要があり、手間がかかりやすかった。
特開平11−302981号公報
本発明は、防汚性に優れた壁材、およびこれを具備した壁構造物を提供する。
本発明の壁材は、表面に微細凹凸構造が形成された壁材であって、前記微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであることを特徴とする。前記陽極酸化アルミナは、大面積でかつ平面上にも曲面上にも微細凹凸構造を形成できるという点で有用である。
また、本発明の壁構造物は、本発明の壁材を具備したことを特徴とする。
本発明の壁材は、疎水性または親水性を発現するので、防汚性に優れる。
本発明の壁構造物は、防汚性に優れ、汚れや水滴が付着しにくく、掃除の手間がかかりにくい。
特に、疎水性を発現する壁材を具備した壁構造物は、水滴が付着しにくいので、着氷防止性にも優れる。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<壁材>
図1は、本発明の壁材の一例を示す断面図である。壁材10は、壁材本体12と、壁材本体12に接着剤層14を介して貼着された、表面に微細凹凸構造(図示略)を有する防汚フィルム16とを有する。
(壁材本体)
壁材本体12としては、樹脂板、金属板、ガラス板、石膏ボード、コンクリート壁材、タイル、木材、吸音材を有する防音壁材等が挙げられる。樹脂板の材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。金属板の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄等が挙げられる。
(接着剤層)
接着剤層14の接着剤としては、両面接着テープ等が挙げられる。
(防汚フィルム)
防汚フィルム16は、フィルム本体18と、フィルム本体18の表面に形成された、微細凹凸構造(図示略)を有する硬化樹脂膜20とを有する。
フィルム本体18は、光を透過できるフィルムである。フィルム本体18の材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
硬化樹脂膜20は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
微細凹凸構造は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部を有し、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成される。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。硬化樹脂膜20が表面に微細凹凸構造を有することで、防汚性に優れた壁材が得られる。特に、突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることも知られている。
凸部間の平均間隔は、600nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。凸部間の平均間隔が600nm以下であれば、疎水性または親水性となり、防汚性を十分に発現できる。特に、凸部間の平均間隔が可視光の波長以下、すなわち400nm以下であれば、反射率が低く、かつ反射率の波長依存性が少ない壁材が得られる。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、25nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。凸部の高さが100nm以上であれば、防汚性に優れるたけでなく、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが400nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡観察によって50個の凸部の高さを測定し、これらの値を平均したものである。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、1.0〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、防汚性に優れるたけでなく、反射率が十分に低くなる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
硬化樹脂膜20の屈折率とフィルム本体18の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、硬化樹脂膜20とフィルム本体18との界面における反射が抑えられる。
表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂膜20の材料が疎水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90゜以上が好ましく、100゜以上がより好ましく、110゜以上が特に好ましい。水接触角が90゜以上であれば、水汚れがより付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、材料が疎水性であれば、水滴が付着しにくいため、着氷防止性も発現できる。
硬化樹脂膜20の材料が親水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25゜以下が好ましく、23゜以下がより好ましく、21゜以下が特に好ましい。水接触角が25゜以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れがより付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。
<壁材の製造方法>
壁材10は、壁材本体12と防汚フィルム16とを接着剤層14を介して貼着することにより製造される。
防汚フィルム16は、例えば、図2に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状モールド22と、ロール状モールド22の表面に沿って移動する帯状のフィルム本体18との間に、タンク24から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給する。
ロール状モールド22と、空気圧シリンダ26によってニップ圧が調整されたニップロール28との間で、フィルム本体18および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、フィルム本体18とロール状モールド22との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド22の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド22の下方に設置された活性エネルギー線照射装置30から、フィルム本体18を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、ロール状モールド22の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂膜20を形成する。
剥離ロール32により、表面に硬化樹脂膜20が形成されたフィルム本体18を剥離することによって、防汚フィルム16を得る。
活性エネルギー線照射装置30としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
(ロール状モールド)
ロール状モールド22は、表面に陽極酸化アルミナを有するモールドである。表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、大面積化が可能であり、ロール状モールドの作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、表面に複数の細孔(凹部)を有する。
表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、例えば、下記(a)〜(e)工程を経て製造できる。
(a)ロール状のアルミニウムを電解液中、定電圧下で陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)ロール状のアルミニウムを電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)前記(c)工程と(d)工程を繰り返し行う工程。
(a)工程:
図3に示すように、アルミニウム34を陽極酸化すると、細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がよりに好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
(b)工程:
図3に示すように、酸化皮膜38を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点40にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
(c)工程:
図3に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム34を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
陽極酸化は、(a)工程と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
(d)工程:
図3に示すように、細孔36の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
(e)工程:
図3に示すように、(c)工程の陽極酸化と、(d)工程の細孔径拡大処理を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔36を有する陽極酸化アルミナが形成され、表面に陽極酸化アルミナを有するモールド(ロール状モールド22)が得られる。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて製造された硬化樹脂膜20の反射率低減効果は不十分である。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化樹脂膜20との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シランカップリング剤またはフッ素含有シリコーン系シランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔36の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔36間の平均間隔は、600nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。
細孔36の深さは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。
細孔36のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、1.0〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
図3に示すような細孔36を転写して形成された硬化樹脂膜20の表面は、いわゆるモスアイ構造となる。
このように、本発明の壁材は、その表面に、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成された微細凹凸構造を有する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
表面に微細凹凸構造を有する壁材が疎水性または親水性を発現するには、例えば活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、疎水性材料または親水性材料を形成しうる組成物を用いればよい。
(疎水性材料を形成しうる組成物)
硬化樹脂膜20の微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上にするためには、疎水性材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、下記式(1)で表されるフルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。
−(CF−X ・・・(1)。
ただし、Xは、フッ素原子または水素原子を表し、nは、1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8が特に好ましい。
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレートが好ましく、下記式(2)の化合物が特に好ましい。
CH=C(R21)C(O)O−(CH−(CF−X ・・・(2)。
ただし、R21は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、mは、1〜6の整数を表し、1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、nは、1〜20の整数を表し、3〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
フッ素含有シランカップリング剤としては、フルオロアルキル基置換シランカップリング剤が好ましく、下記式(3)の化合物が特に好ましい。
(R31 SiY ・・・(3)。
は、エーテル結合またはエステル結合を1個以上含んでいてもよい炭素数1〜20のフッ素置換アルキル基を表す。Rとしては、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基、3−トリフルオロメトキシプロピル基、3−トリフルオロアセトキシプロピル基等が挙げられる。
31は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R31としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Yは、水酸基または加水分解性基を表す。
加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、R32C(O)O(ただし、R32は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等が挙げられる。
32C(O)Oとしては、CHC(O)O、CC(O)O等が挙げられる。
a、b、cは、a+b+c=4であり、かつa≧1、c≧1を満たす整数を表し、a=1、b=0、c=3が好ましい。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C〜C11)オキシ]−1−アルキル(C〜C)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C〜C)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C〜C13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(C〜C12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有脂肪族一級、二級または三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体が好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、下記式(4)で表される基が好ましい。
−(OR41− ・・・(4)。
ただし、R41は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、pは、2以上の整数を表す。R41としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)基は、同一のオキシアルキレン単位(OR41)からなるものであってもよく、2種以上のオキシアルキレン単位(OR41)からなるものであってもよい。2種以上のオキシアルキレン単位(OR41)の配列は、ブロックであってもよく、ランダムであってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、X−22−1602(信越化学工業社製)等のシリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(親水性材料を形成しうる組成物)
硬化樹脂膜20の微細凹凸構造の表面の水接触角を25°以下にするためには、親水性材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、少なくとも親水性モノマーを含む組成物を用いるのが好ましい。また、耐擦傷性や耐水性付与の観点からは、架橋可能な多官能モノマーを含むのがより好ましい。なお、親水性モノマーと架橋可能な多官能モノマーは、同一(すなわち、親水性多官能モノマー)であってもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その他のモノマーを含んでいてもよい。また、下記の重合性化合物を含む組成物を用いることがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの10〜50質量%、
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの30〜80質量%、
単官能モノマーの0〜20質量%の合計100質量%からなる重合性化合物。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合は、10〜50質量%が好ましく、耐水性、耐薬品性の点から、20〜50質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が10質量%以上であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が50質量%以下であれば、表面に小さな亀裂が入りにくく、外観不良となりにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合は、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が30質量%以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が80質量%以下であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、基材への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーの割合は、0〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。単官能モノマーを用いることにより、基材と硬化樹脂との密着性が向上する。単官能モノマーの割合が20質量%以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートまたは2官能以上の親水性(メタ)アクリレートが不足することなく、防汚性または耐擦傷性が十分に発現する。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に0〜35質量部配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
(その他)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上述した疎水性材料または親水性材料を形成しうる組成物に用いた化合物以外の重合性化合物および重合開始剤を含有してもよい。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(5)の化合物が挙げられる。
51 Si(OR52 ・・・(5)。
ただし、R51、R52は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(6)の化合物が挙げられる。
61O[Si(OR63)(OR64)O]62 ・・・(6)。
ただし、R61〜R64は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤等の添加剤;微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
本発明の壁材は、高速道路の防音壁用壁材に特に好適であるが、他にも高速鉄道の防音壁用壁材や、ビル等の建築物用壁材にも適している。また、壁材本体が、ガラスやアクリル系樹脂等の光を透過できる透明な材料から形成されていれば、水族館の水槽用壁材等にも好適に用いることができる。
以上説明した壁材10にあっては、表面に複数の凸部を有する微細凹凸構造を有し、かつ、微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであるため、疎水性または親水性を発現しやすく、防汚性に優れる。
特に、表面が疎水性材料から形成されていれば、超撥水性が得られ、水汚れが付着しにくくなり十分な防汚性が発揮される。また、水滴が付着しにくいため、着氷防止性も発現できる。
また、表面が親水性材料から形成されていれば、超親水性が得られ、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。
なお、本発明の壁材は、図示例の壁材10に限定はされない。例えば、微細凹凸構造は、壁材10においては、防汚フィルム16の硬化樹脂膜20の表面に形成されているが、硬化樹脂膜20を設けることなくフィルム本体18の表面に直接形成されていてもよく、防汚フィルム16を貼着することなく壁材本体12の表面に直接形成されていてもよい。ただし、ロール状モールド22を用いて効率よく微細凹凸構造を形成できる点、および微細凹凸構造が破損した際に防汚フィルム16を貼りなおすことができる点から、防汚フィルム16の硬化樹脂膜20の表面に微細凹凸構造が形成されていることが好ましい。
また、例えば壁材を後述する高速道路の防音壁などに用いる場合は、微細凹凸構造が形成された側の表面の反対側の表面にも、同様の微細凹凸構造を形成させてもよい。
<壁構造物>
本発明の壁構造物は、本発明の壁材を具備する。
図4は、本発明の壁構造物、具体的には高速道路等の防音壁の一例を示す斜視図である。この例の防音壁50は、本発明の壁材10と、該壁材10を支える支柱52とを備える。壁材10は、微細凹凸構造が形成された側の表面が、自動車が走行する側を向くように配置する。
防音壁50は、防汚性に優れた本発明の壁材を具備するので、汚れ(特に自動車の排気ガスが原因となる汚れ)が付着しにくい。
本発明の壁構造物は、高速道路の防音壁に特に好適であるが、他にも、高速鉄道の防音壁や、ビル等の建築物にも適している。また、壁構造物に備わる壁材の壁材本体が、ガラスやアクリル系樹脂等の光を透過できる透明な材料から形成されていれば、水族館の水槽等にも好適である。
なお、コンクリートなどの壁に、本発明の壁材を貼付したものを壁構造物として使用してもよい。
以上説明した本発明の壁構造物にあっては、本発明の壁材を具備しているので、防汚性に優れる。特に、表面が疎水性材料から形成された壁材を用いれば、水滴が付着しにくくなるので、着氷防止性にも優れる。従って、従来のものに比べて掃除の手間が軽減される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(陽極酸化アルミナの細孔)
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(硬化樹脂膜の凸部)
硬化樹脂膜の破断面にプラチナを10分間蒸着し、陽極酸化アルミナと同様に断面を観察し、凸部の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(親水性試験)
各サンプルに指紋を付着させた後、水道水を十分染込ませた後に水滴が滴り落ちなくなる程度まで絞ったトレシー(東レ社製)で拭き取った際の外観を、以下に示す基準にて評価した。
○:汚れが目視ではわからない。
△:目視で若干の指紋が確認される。
×:指紋がのび広がるだけで、ほとんど拭き取られない。
(疎水性試験)
垂直に立てかけた各サンプルに霧吹きにて水を吹き付け、表面の撥水具合を、以下に示す基準にて評価した。
○:ほとんど水滴が残っていない。
△:若干の水滴が残っている。
×:多くの水滴が残っている、またはサンプル表面が水で濡れている。
(水接触角)
接触角測定装置(Kruss社製、DSA10−Mk2)を用い、硬化樹脂膜の微細凹凸構造の表面に、1.6μLの水を滴下した後、滴下の10秒後から1秒間隔で水接触角を10点測定し、平均値を求めた。さらに、水を滴下する位置を変えて同様の操作を3回行い、計4回の平均値をさらに平均した。
〔ロール状モールドの製造〕
純度99.99%のアルミニウムからなるロールを、過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨した。
(a)工程:
該ロールについて、0.5Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で6時間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたロールを、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
該ロールについて、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたロールを、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、平均間隔:100nm、深さ:240nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状モールドaを得た。
ロール状モールドaを、オプツールDSX(ダイキン化成品販売社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、酸化皮膜表面のフッ素化処理を行った。
〔活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製〕
表1、表2に示す割合で各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物A、Bを調製した。
Figure 2009270327
表中の略号は下記の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM400)、
M260:ポリエチレングリコールジアクリレートn=13〜14(東亞合成社製、アロニックスM260)、
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、
Ir184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184)。
Figure 2009270327
表中の略号は下記の通りである。
TAS:トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル、
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
X−22−1602:ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製)、
Ir184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184)。
〔フィルムの製造〕
メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、1,3−ブタジエンおよびメタクリル酸アリルを重合してなるゴム含有多段重合体の75質量部、およびアクリル樹脂(三菱レイヨン社製、BR80)の25質量部をあらかじめ溶融押し出しした後、製膜して、厚さ200μmのアクリル樹脂フィルムを得た。
〔実施例1〕
図2に示す製造装置を用いて、防汚フィルムを製造した。
ロール状モールド22としては、前記ロール状モールドaを用いた。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを用いた。
フィルム本体18としては、前記アクリル樹脂フィルムを用いた。
フィルム本体18側から、積算光量3200mJ/cmの紫外線を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの塗膜に照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化を行った。
得られた防汚フィルムについて、凸部間の平均間隔、凸部の高さを測定した。結果を表3に示す。
得られた防汚フィルムを、両面接着テープ(日東電工社製、CS9621)を介して、厚さ2mmのガラス板に貼着し、壁材を得た。壁材について、親水性試験および水接触角の測定を行った。結果を表3に示す。
〔実施例2〕
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚フィルムおよび壁材を得た。防汚フィルムについて、凸部間の平均間隔、凸部の高さを測定した。結果を表3に示す。また、壁材について、疎水性試験および水接触角の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2009270327
本発明の壁材は、防汚性に優れ、掃除の手間を軽減できるので有用である。
本発明の壁材の一例を示す断面図である。 本発明の壁材に用いる防汚フィルムの製造装置の一例を示す構成図である。 表面に陽極酸化アルミナを有するモールドの製造工程を示す断面図である。 本発明の壁構造物の一例を示す斜視図である。
符号の説明
10 壁材
50 壁構造物

Claims (2)

  1. 表面に微細凹凸構造が形成された壁材であって、
    前記微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものである、壁材。
  2. 請求項1に記載の壁材を具備した、壁構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016203039A (ja) * 2015-04-16 2016-12-08 日東電工株式会社 防汚テープの製造方法
WO2022154258A1 (ko) * 2021-01-12 2022-07-21 주식회사 조인트리 광합성 미세조류 기반 벽면 설치형 공기정화시스템

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