JP6442959B2 - 蛋白質吸着抑制用表面構造体、マイクロ流路、及びマイクロチップ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、疎水性微細シリカ化合物、フルオロアルキル基若しくはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物、又はこれらの複合化合物が塗設された微細流路を備えたマイクロチップが開示されている。
また、特許文献2には、基材表面の少なくとも一部が、特定のポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニル共重合体によって親水化処理された分画装置が開示されている。
前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であり、
前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、前記線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、水を滴下した地点における、前記線状凸部の延在方向の水の接触角と前記線状凸部の延在方向に対する垂直方向の水の接触角との差が5度以上であることを特徴とする。
本発明に係るマイクロ流路においては、前記蛋白質吸着抑制用表面構造体が、当該マイクロ流路の流れ方向とのなす角が45度を超える線状凸部を有する部分が、当該マイクロ流路全体の40%以下となるように配置されてなることが、親水性液体が流路内の流れ方向に沿ってより流れやすくなることから好ましい。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であることを特徴とする。
本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、図1のように線状微細凹凸層1の1層からなるものであっても良いし、図2のように、基材4の一面側に線状微細凹凸層1を備えた構造であっても良い。
これら線状凸部同士の間隔(ピッチ)は同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、あるいは所定の繰り返し周期を持っていてもよいが、平均値pAVGが500nm以下である必要がある。
また、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備えることから、後述するような、生産性の高い製造方法によって製造することが可能である。当該製造方法によれば、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体を長尺状で製造することが可能である。そのため、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体であっても、生産性高く、製造することができる。
以下、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体の必須成分である線状微細凹凸層、及び含まれていても良い基材、その他構成について、順に説明する。
線状微細凹凸層1は、複数の互いに平行な線状凸部2が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有する。線状凸部2は、典型的には直線状凸部であるが、略一方向に延在する限り、2つの端点を有する開曲線状凸部であっても良い。複数の線状凸部は互いに平行であるが、本発明において、「平行」とは、隣接する線状凸部同士の間隔が一定であることをいい、例えば線状凸部の線が曲線を含む場合には、その曲線上の各点より法線方向へ一定の距離にあることをいう。
また、本発明において、図1のようにXY平面を仮定して「一方向」をY軸に平行な方向とした場合に、「略一方向」とは、端点の(x、y)座標と比べて、x値は増減しても良いが、y値は漸次増加する方向をいう。すなわち、線状凸部は、Y軸方向において元に戻る方向、すなわちy値が減少する方向を有していない限り、蛇行曲線等の曲線であっても良い。
なお、これらの線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面における模式的断面図においては、線状凸部が延在するY方向は、紙面奥行方向である。
更に、線状凸部2の高さは、それぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、図5(D)のように、隣接する線状凸部のn個に1個など、周期的に高さが相対的に高い線状凸部を含んでいても良い。更に、図示しないが、線状凸部の延在する方向において、高さが異なっていても良い。互いに平行な方向において周期的に、高さが相対的に高い線状凸部を含む場合には、生産性高く、耐汚染性及び耐擦傷性が向上した蛋白質吸着抑制用表面構造体が得られる。
また、複数ある線状凸部は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状の拡大写真から、例えば10〜100個程度の隣接する線状凸部間隔pの値を求め、隣接する線状凸部間隔pの度数分布を検出する。隣接する線状凸部間隔pがほぼ一定である場合には、求める隣接する線状凸部間隔pの数は少なくても良いが、周期的に隣接する線状凸部間隔pが変化する場合には少なくとも5周期分、周期なしで隣接する線状凸部間隔pが変化する場合にはより多くの隣接する線状凸部間隔pを求めることが好ましい。
このようにして求めた線状凸部間隔pの度数分布から平均値pAVG及び標準偏差σを求める。また、隣接凸部間隔pの最大値を、pmax=pAVG+2σとする。
中でも、後述する各種性能の発現が向上する点から、より好ましくは70nm以上であり、250nm以下である。
また、基材の表面に線状微細凹凸形状が設けられた線状微細凹凸層の場合には、当該厚みは基材の厚みに依存し、特に限定されない。
上記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤やその他の成分を含有するものである。なお、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
親水性を向上する点からは、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、60度以下であることが好ましく、更に45度以下であることが好ましい。このような材料を用いて線状微細凹凸形状を形成すると、水の接触角は、平坦な硬化膜表面に比べて小さくなり、親水性になる又は親水性が強調される。線状微細凹凸形状にもよるが通常は、線状凸部の延在方向及びその垂直方向において、好ましくは40度以下、より好ましくは30度以下の水の接触角を示すようになる。
まず、透明基材上に線状微細凹凸層用の樹脂組成物を塗布して硬化させて、微細凹凸形状を有しない平坦な硬化膜を形成する。当該硬化膜は、水の接触角の再現性が取れるように(例えば標準偏差が4度以内となるように)十分に溶媒を乾燥し、必要に応じて十分に反応させて硬化したものである。例えば、電離放射線硬化性樹脂が用いられる場合、透明基材上に厚さ5μmの線状微細凹凸層用の樹脂組成物からなる塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cm2以上の積算光量となるように照射することにより十分に反応させて硬化した硬化膜を形成する。
そして、当該硬化膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置は、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、測定することができる。
また、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体の線状微細凹凸表面における接触角は、同様に測定でき、線状微細凹凸表面に水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。この際、本発明の線状微細凹凸表面における接触角は異方性を有することから、例えば、液滴を滴下した地点における線状凸部の延在方向と、線状凸部の延在方向に対して垂直方向の静的接触角を計測する。
ここで、線状凸部の延在方向Yの水の接触角は、図7(A)及び(B)に示すように、線状凸部に沿って広がる方向の接触角をいい、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)に垂直かつ線状凸部の延在方向Yに平行な面(YZ平面に平行な平面)を仮定し、当該面で水滴を切った断面における、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)と水のなす角度をいう。また、線状凸部の延在方向Yに対して垂直方向Xの水の接触角は、図7(C)及び(D)に示すように、線状凸部を垂直に横切って広がる方向の接触角をいい、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)に垂直かつ線状凸部の延在方向Yに対して垂直な方向Xに平行な面(XZ平面に平行な平面)を仮定し、当該面で水滴を切った断面における、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)と水のなす角度をいう。
また、損失正接(tanδ)を0.2以下とすることにより、拭取り時に変形した線状凸部が、弾性復元され、元の形状に戻りやすい。これにより、凸部の塑性変形や凸部先端同士の付着が抑制され、線状微細凹凸形状が有する機能を低下することなく、乾拭きで汚れを拭取ることが可能になる。中でも、tanδが0.18以下であることが好ましい。
まず、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cm2のエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
中でも、線状微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる、電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物を例にとって、具体的に説明する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
一方、硬度を高くする点からは、多官能(メタ)アクリレートのみを用いることが好ましい。
また、硬化物の線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立しやすく、優れた乾拭き取り性と防汚性を得る点からは、本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物は、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、線状微細凹凸層表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
本発明において用いられる線状微細凹凸層用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
本発明に必要に応じて用いられる基材は、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体の用途に合わせて適宜選択して用いられれば良い。基材は、透明基材に限定されるものではなく、用途に合わせて不透明基材であっても良い。
また、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体とする場合には、製造上、長尺状乃至ロール状の基材を用いることが好ましい。
また、基材と後述する線状微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材および線状微細凹凸層との双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また基材と線状微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と線状微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。
例えば、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、線状微細凹凸層の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における蛋白質吸着抑制用表面構造体の表面の損傷、汚染を防止することができる。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、特定の材料からなる特定の線状微細凹凸表面を有することにより、高い親水性を有する。中でも、線状微細凹凸表面において、線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下、より好ましくは30度以下、更により好ましくは20度以下であるものが好ましい。
更に、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、特定の線状微細凹凸表面を有することにより、異方性を有する親水性が得られる。具体的には、線状凸部が延在する方向(図7(A)(B)参照)は、線状凸部が延在する方向に対して垂直方向(図7(C)(D)参照)に比べて濡れ広がりやすくなる。本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体を後述するマイクロ流路、及びマイクロチップ用途に用いる場合には、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、線状微細凹凸表面において、水を滴下した地点における(線状凸部の延在方向の水の接触角)と(線状凸部の延在方向に対して垂直方向の水の接触角)との差が5度以上であることが好ましく、更に8度以上であることが好ましい。一方、通常当該接触角の差は20度以下の範囲となる。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、親水性液体中に溶解乃至分散した蛋白質と接触し得る種々の基材に好適に用いることができる。具体的には、例えば、後述するマイクロ流路やマイクロチップの他、薬液バッグ、輸液バッグ、細胞培養バッグ、医療用チューブ、血管カテーテル、人工血管、ソフトコンタクトレンズ等の各種医療用具や、フラスコ、ディッシュ、プレート、遠沈管、遠心用チューブ等の各種実験器具等が挙げられる。これらの用途に本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体を用いることにより、有効成分量の低下や収量の低下を抑制したり、細胞等の性質が変化することを抑制したり、目詰まりや品質の低下を抑制することが可能となる。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、前記樹脂組成物の硬化物により、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下となる線状微細凹凸層が形成可能な方法であればよく、特に限定されない。製造効率の点から、樹脂組成物の塗膜を金型により賦型する方法が好ましい。
上記金型の製造方法は、所望の線状微細凹凸形状の反転パターンを形成可能な従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。線状微細凹凸形状として直線状の凸部を形成する場合、金型の製造方法は、中でも、バイトを用いた切削加工によって、円柱状母材の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成する工程を有する、賦型用ロール金型の製造方法を用いることが好ましい。
バイトを用いた切削加工によって、円柱状母材の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成することにより、賦型用ロール金型を製造する工程を説明する。
図8は、賦型用ロール金型20の製造工程の説明に供する図である。この製造工程において、まず、円柱状母材30を準備する。円柱状母材30としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
円柱状母材30を回転させながら、線状凹凸形状作製用のバイト31の刃先を外周面に押圧して切削するが、矢印Aにより示すように回転軸方向に、バイト31の刃先幅Sのピッチにより間欠送りして移動させることにより、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成する。
前記バイト31の刃先幅Sとしては、例えば、20〜100μm程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
なお、線状凹凸形状作製用のバイト31の作製は、従来公知の方法を適宜選択して、製造する線状微細凹凸形状に対応した形状となるように行えばよい。
本発明においては、このような賦型用ロール金型20を用いることから、任意の線状微細凹凸形状を形成し易く、更に、生産性が向上する。
前記賦型用ロール金型を使用して、線状微細凹凸層形成用の樹脂組成物に、線状微細凹凸表面を賦型する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、まず基材上に、線状微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、線状微細凹凸表面形成用層(受容層)を形成し、当該線状微細凹凸表面形成用層の表面と所望の線状微細凹凸形状を有する賦型用ロール金型とを接触させて配置し、圧力をかけることによって、当該線状微細凹凸表面形成用層の金型側表面に前記線状微細凹凸表面を形成した後、適宜該樹脂組成物を硬化させることにより線状微細凹凸層を形成し、前記賦型用ロール金型から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
図10に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状フィルム形態の透明基材6に、未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、線状微細凹凸形状の受容層1’を形成する。なお電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ12により、微細凹凸層形成用原版である賦型用ロール金型20の周側面に透明基材6を加圧押圧し、これにより透明基材6に受容層1’を密着させると共に、賦型用ロール金型20の周側面に作製された線状微細凹凸形状の凹部に、受容層1’を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材6の表面に線状微細凹凸層1を作製する。続いて剥離ローラ13を介して賦型用ロール金型20から、硬化した線状微細凹凸層1と一体に透明基材6を剥離する。必要に応じてこの透明基材6に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して蛋白質吸着抑制用表面構造体10を作製する。これにより蛋白質吸着抑制用表面構造体10は、ロール材による長尺の透明基材6に、微細凹凸層形成用原版である賦型用ロール金型20の周側面に作製された線状微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
本発明に係るマイクロ流路は、親水性液体を流すためのマイクロ流路であって、当該マイクロ流路の表面の一部が、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体であって、当該蛋白質吸着抑制用表面構造体の線状微細凹凸層を構成している樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であることを特徴とする。
なお本発明において親水性液体とは、水及び水性溶剤から選択される1種以上の溶媒を有し、蛋白質及びその他の成分を含有してもよい液体をいう。本発明において水性溶剤とは、25℃の水100質量部中に、1気圧下で3質量部以上溶解する溶剤のことをいい、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のマイクロ流路は、表面の一部が前記本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体であるため、蛋白質を溶解乃至分散する親水性液体のマイクロ流路として好適に用いることができる。
マイクロ流路の平面形状は、特に限定されるものではなく、用途、サイズ等を考慮して、任意に設定することができる。マイクロ流路の断面(流体の流れ方向に垂直に交わる断面)形状は、例えば、四角形、台形等の多角形及びこれらの角部分が丸みを帯びた形状、円形、だ円形、ドーム形状あるいは左右非対称の不均一形等どのような形状であってもよい。マイクロ流路は、全長にわたって同じ断面形状及び大きさであってもよいが、部分的に異なる形状及び大きさであってもよい。例えば、試料を導入及び/又は排出する部分等は、完全にマイクロ流路が密閉された状態ではなく、上部の一部が開放状態になっていてもよいし、容積を測定する部分又は光学系を利用して測定を行う検出部等では、一定の断面積が維持されていればよいし、徐々に又は段階的に細く又は太くなる部分があってもよい。
図11の例に示されるマイクロ流路における基材4や、図12の例に示されるマイクロ流路における樹脂層7は疎水性を有することが好ましい。当該基材4や樹脂層7が疎水性を有することにより、親水性液体は親水性を有する線状微細凹凸形状3から、基材4乃至樹脂層7側へ流出し難く、、線状微細凹凸形状3上を流れることができる。当該基材4や樹脂層7は、更に必要に応じて、公知の撥水性処理が行われていても良い。また、図示はしないが壁面7’の表面は、蛋白質吸着抑制用表面構造体が形成されていてもよい。また、マイクロ流路の上部にカバープレート8を用いて蓋をしてもよく、当該カバープレート8のマイクロ流路に対向する面9が線状微細凹凸形状3を有していてもよい。
なお、図12においては、説明の都合上、樹脂層7とカバープレート8との間に隙間を有しているが、通常、樹脂層7とカバープレート8とは、密着させて用いるものである。
しかしながら、親水性液体の流れが一定方向でない場合、即ちマイクロ流路が蛇行している等により曲線を有している場合には、マイクロ流路の一部において、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度を超える場合がある。その場合、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度を超える部分が、流路全体の40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更により好ましい。
図15の例では、線状微細凹凸形状がマイクロ流路の曲線に合わせて、Y(a)、Y(b)、Y(c)の3つの延在方向を有している。当該図15の例では、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角の最大値が45度であるため、マイクロ流路の流れ方向における親水性液体の流動性により優れている。
また、図示はしないが、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とが平行となるように、線状微細凹凸形状をマイクロ流路の流れ方向に沿った開曲線としてもよい。
また、マイクロ流路の深さは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよく、中でも、10〜1000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。
また、マイクロ流路における線状微細凹凸形状は、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体に用いられる線状微細凹凸形状と同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。
マイクロ流路の製造方法は、特に限定されない。図11の例に示されるマイクロ流路の製造方法としては、例えば、疎水性の基材4上に、公知の方法により所望の部分のみに線状微細凹凸層を形成することによりマイクロ流路を製造する方法や、前述した賦型用ロール金型を用いた方法により基材の全面に線状微細凹凸層を形成した後、公知のエッチング法等によりパターニングして、マイクロ流路を製造する方法が挙げられる。また、図12の例に示されるような、壁面を有するマイクロ流路の製造方法としては、例えば、前述した賦型用ロール金型を用いた方法により基材の全面に線状微細凹凸層を形成した後、公知の方法によりパターン上に疎水性の樹脂層を形成する方法などが挙げられる。
また、図15の例に示されるように、流れ方向に応じて延在方向が異なるマイクロ流路の製造方法としては、延在方向が異なる線状凸部を有する複数の金型を連結して一つの枚様な金型とし、当該金型により図16に示されるような線状微細凹凸形状3が複数の部分構造を有する線状微細凹凸層を形成した後、上記と同様にしてマイクロ流路を製造する方法などが挙げられる。
本発明に係るマイクロチップは、前記本発明に係るマイクロ流路を備えることを特徴とする。本発明に係るマイクロチップについて図を参照して説明する。図13は、本発明に係るマイクロチップの一例を模式的に示す概略図である。図13の例によれば、基材4にマイクロ流路40が形成されており、流路の一部に貯留部15が形成されている。図示はしないが、基材4上にカバープレートを有していてもよく、当該カバープレートの貯留部に対応する部分が、開口部を形成していてもよい。
なお、本発明のマイクロチップにおいて、マイクロ流路20、貯留部15やその他の構成は、マイクロチップの目的に応じて適宜形成されるものであり、図13の例に示された構成に限られるものではない。例えば、マイクロ流路の端部又は途中には、試料の導入口、排出口及び/又は液溜等が形成されていたり、遠心分離部、計量部、混合反応部、光学的または電気的測定部等が、それら自体又はそれらを連結させるマイクロ流路として一連構造で形成されていてもよい。
また、種々の二次元及び/又は三次元形状直線的なあるいは屈曲又は湾曲したパターンを有するマイクロ流路等を有する第1基板と、第一基板と同一又は異なるパターンを有する第2基板とが、熱圧着や接着剤などによって張り合わされたものであってもよい。
このようなマイクロチップは、医療、食品、創薬等の種々の分野において、DNA、酵素、タンパク質、ウィルス、細胞などの種々の生体物質(主に液体の状態)を、分析、検出、反応、測定等するための基板として利用されるものであり、例えば、臨床分析チップ、環境分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、たんぱく質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップ等と種々の呼び名で提供されている全てのチップを包含する。
幅1300mm、直径298mmで表面に銅めっきを施した鉄製の円柱状母材を準備した。一方で、刃先幅30μmの表面に、線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が図8のような矩形状の線状凹凸部(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが150nm、線状凸部幅の平均幅75nm、線状凹部の平均幅75nm、線状凸部の高さHAVGが70nm)を有する切削用バイトを準備した。
円柱状母材を回転させながら、前記切削用バイトの刃先を外周面に押圧して切削し、バイト31の刃先幅30μmのピッチで間欠送りして回転軸方向に移動させることにより、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成し、賦型用ロール金型1を作製した。
切削用バイトとして、刃先幅30μmの表面に、線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が図8のような矩形状の線状凹凸部(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが200nm、線状凸部幅の平均幅100nm、線状凹部の平均幅100nm、線状凸部の高さHAVGが100nm)を有する切削用バイトを準備した以外は、製造例1と同様にして、賦型用ロール金型2を作製した。
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート 65質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
図10に示す方法により、蛋白質吸着抑制用表面構造体1を製造した。
賦型用ロール金型20として、製造例1の賦型用ロール金型1を用い、透明基材6として、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡社製)を用いた。また、ダイ11により帯状フィルム形態の透明基材6に、硬化後の線状微細凹凸層の厚さが20μmとなるように、製造例3で得られた線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを塗布した。透明基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを硬化させた。その後、賦型用ロール金型より剥離し、実施例1の蛋白質吸着抑制用表面構造体1を得た。線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が矩形状の線状微細凹凸表面(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが150nm、線状凸部幅の平均幅75nm、線状凹部の平均幅75nm、線状凸部の高さHAVGが70nm)が得られた。
実施例1で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体1の断面のSEM写真を図17に示す。
実施例1において、賦型用ロール金型20として、製造例1の賦型用ロール金型1の代わりに、製造例2で得られた賦型用ロール金型2を用いた以外は、実施例1と同様にして蛋白質吸着抑制用表面構造体2を得た。線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が矩形状の線状微細凹凸表面(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが200nm、線状凸部幅の平均幅100nm、線状凹部の平均幅100nm、線状凸部の高さHAVGが100nm)が得られた。
実施例1において、賦型用ロール金型1の代わりに、表面に凹凸を有しない円柱状母材を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に微細凹凸形状を有しない平坦な比較部材1を得た。
<樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角の測定>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを乾燥後の膜厚が厚さ5μmとなるように塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cm2の積算光量となるように照射して硬化させて、微細凹凸形状を有しない硬化膜を形成した。当該硬化膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を計測した。
上記樹脂組成物Aの平坦な硬化膜表面における水の接触角は54.9度であった。
実施例1、2で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体1及び2の線状微細凹凸層側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を測定した。その結果、蛋白質吸着抑制用表面構造体1の線状凸部の延在方向における水の接触角は16.6度であり、線状凸部の延在方向に垂直な方向における水の接触角は33.2度であった。また、蛋白質吸着抑制用表面構造体2における線状凸部の延在方向における水の接触角は13.8度であり、線状凸部の延在方向に垂直な方向における水の接触角は23.9度であった。いずれも、平坦な硬化膜表面における接触角よりも更に親水性が強調されていることが確認できた。蛋白質吸着抑制用表面構造体2が、蛋白質吸着抑制用表面構造体1より小さな接触角になったのは、線状凸部の高さがより高い(線状凹部の深さがより深い)ことに起因すると推定された。
一方、比較部材1の樹脂組成物Aの硬化膜表面の水の接触角は54.9度であった。
各実施例で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体と比較構造体とをそれぞれ、HRP標識抗ウサギIgG抗体(PBSに溶解 濃度1μg/ml;ROCKLAND社製)に1時間浸漬した後、当該構造体を0.05%Tween20(和光純薬工業社製)含有リン酸バッファー(PBS)に1分間浸漬を3回繰り返すことにより洗浄して未吸着の抗体(蛋白質)を十分に除去した。次いで、空気を吹き付けて乾燥し、得られた構造体にそれぞれテトラメチルベンジジン(TMB)溶液(TMBW−0100−01;BioFX Laboratories社製)1mLを滴下して、TMBを発色反応させた。5分後に、構造体にそれぞれと1mlの0.5規定硫酸を滴下して、反応を停止させた。得られた発色TMB液について、それぞれプレートリーダー(SpectraMax Me2;Molecular Device社製)を用いて450nmの吸光度を測定した。比較例1の吸光度を1として規格化した値を、表1に示す。
表1の結果から、実施例1及び2の蛋白質吸着抑制用表面構造体が、蛋白質の吸着抑制効果に優れていることが明らかとのなった。また、実施例1及び2の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、親水性に異方性を有するため、マイクロ流路やマイクロチップ用途に適した構造体であることが明らかとなった。
1’ 受容層
2 線状凸部
3 線状微細凹凸形状
3(a)、3(b)、3(c) 部分線状微細凹凸形状
4 基材
5、5’ 凸部の端部
5a、5’a 凸部の一方の端部
5b、5’b 凸部の他方の端部
6 透明基材
7 樹脂層
7’ 壁面
8 カバープレート
9 カバープレートのマイクロ流路に対向する面
10 蛋白質吸着抑制用表面構造体
11 ダイ
12 押圧ローラ
13 剥離ローラ
15 貯留部
20 賦型用ロール金型
30 円柱状母材
31 バイト
40 マイクロ流路
50 マイクロチップ
X,Y,Z 線状凸部の延在方向をYとした場合のXYZ座標軸
Y(a)、Y(b)、Y(c) 線状凸部の延在方向
Claims (5)
- 複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であり、
前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、前記線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、水を滴下した地点における、前記線状凸部の延在方向の水の接触角と前記線状凸部の延在方向に対する垂直方向の水の接触角との差が5度以上である、蛋白質吸着抑制用表面構造体。 - 前記樹脂組成物は、(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物であり、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量が前記樹脂組成物の全固形分に対して70〜99質量%であり、全(メタ)アクリレートに対する前記アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量が80〜100質量%である、請求項1に記載の蛋白質吸着抑制用表面構造体。
- 親水性液体を流すためのマイクロ流路であって、当該マイクロ流路の表面の少なくとも一部が、請求項1又は2に記載の蛋白質吸着抑制用表面構造体である、マイクロ流路。
- 前記蛋白質吸着抑制用表面構造体が、当該マイクロ流路の流れ方向とのなす角が45度を超える線状凸部を有する部分が、当該マイクロ流路全体の40%以下となるように配置されてなる、請求項3に記載のマイクロ流路。
- 請求項3又は4に記載のマイクロ流路を備えた、マイクロチップ。
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