JP6442959B2 - 蛋白質吸着抑制用表面構造体、マイクロ流路、及びマイクロチップ - Google Patents

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Description

本発明は、蛋白質吸着抑制用表面構造体、マイクロ流路、及びマイクロチップに関する。
液体中の蛋白質は、基材の表面に非特異的に吸着しやすいことが知られている。このような蛋白質の非特異的吸着は、例えば、蛋白質の分析における分析結果にばらつきの原因や、例えば、薬液バッグ、輸液バッグ、医療用チューブ等における有効成分量の低下などの原因となる。
近年、化学・医療・バイオ等の分野において、μ−TAS(Micro Total Analysis System)を用いた、ゲノム解析や、化学分析等が行われている。μ−TASとは、数mm〜数cm程度の基板上に、様々なマイクロ流路と、電極等の各種デバイスが集積されたマイクロチップである。μ−TASを用いることにより、一連の化学操作を短時間に効率的に行うことができ、微量の蛋白質でも検出等が可能となる。一方、微量の蛋白質を取り扱う場合、マイクロ流路表面における蛋白質の吸着による影響を受けやすいという問題があった。このような場合、例えば、定量対象の物質の流れが妨げられ、センサの感度が低下するという問題が発生する。
基材表面への蛋白質吸着を抑制する手法としては、基材表面を薬液により化学的に処理する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、疎水性微細シリカ化合物、フルオロアルキル基若しくはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物、又はこれらの複合化合物が塗設された微細流路を備えたマイクロチップが開示されている。
また、特許文献2には、基材表面の少なくとも一部が、特定のポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニル共重合体によって親水化処理された分画装置が開示されている。
一方、特許文献3には培養する細胞よりも相当直径の小さい複数の突起物を有する培養面を有する特定の細胞培養容器が開示されている。特許文献3によれば、剥離時の細胞への損傷を防ぎ、栄養物の運搬、老廃物排出を促進し、培養効率が改善できると記載されている。
国際公開第2009/145022号パンフレット 特許第4910700号公報 特許第4918755号公報
上記のような薬液による表面処理では、マイクロチップ等の使用時に薬液が溶出して試料を汚染するとともに、経時的に蛋白質吸着抑制効果が低下するという問題があった。また、薬液による表面処理の製造工程が必要であり、製造コストや廃液処理等の問題があった。そのため、薬液を用いることなく蛋白質の吸着を抑制する手法が求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、薬液を用いることなく蛋白質吸着を抑制することが可能な蛋白質吸着抑制用表面構造体、蛋白質の吸着が抑制され、親水性液体の流動性に優れたマイクロ流路、及びマイクロチップを提供することを目的とする。
本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であり、
前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、前記線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下であり、
前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、水を滴下した地点における、前記線状凸部の延在方向の水の接触角と前記線状凸部の延在方向に対する垂直方向の水の接触角との差が5度以上であることを特徴とする。
本発明に係るマイクロ流路は、親水性液体を流すためのマイクロ流路であって、当該マイクロ流路の表面の一部が、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体であることを特徴とする。
本発明に係るマイクロ流路においては、前記蛋白質吸着抑制用表面構造体が、当該マイクロ流路の流れ方向とのなす角が45度を超える線状凸部を有する部分が、当該マイクロ流路全体の40%以下となるように配置されてなることが、親水性液体が流路内の流れ方向に沿ってより流れやすくなることから好ましい。
本発明は、前記本発明に係るマイクロ流路を備えたマイクロチップを提供する。
本発明によれば、薬液を用いることなく蛋白質吸着を抑制することが可能な蛋白質吸着抑制用表面構造体、蛋白質の吸着が抑制され、親水性液体の流動性に優れたマイクロ流路、及びマイクロチップを提供することができる。
図1は、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体の他の一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、図1に示す蛋白質吸着抑制用表面構造体10の模式的断面図の一部拡大図である。 図4(A)〜図4(E)は、線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面の具体例の模式的断面図を示す。 図5(A)〜図5(D)は、線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面の他の具体例の模式的断面図を示す。 図6は、隣接する線状凸部間隔pの説明に供する図である。 図7は、線状凸部の延在方向の水の接触角、及び線状凸部の延在方向に対して垂直な方向の水の接触角の説明に供する図である。 図8は、賦型用ロール金型20の製造工程の説明に供する図である。 図9は、バイトの刃先の線状微細凹凸形状の延在方向に対する垂直断面を一部拡大した模式的断面図である。 図10は、蛋白質吸着抑制用表面構造体の製造方法の一例を示す概略図である。 図11は、本発明に係るマイクロ流路の一例を模式的に示す、概略断面図である。 図12は、本発明に係るマイクロ流路の他の一例を模式的に示す、概略断面図である。 図13は、本発明に係るマイクロチップの一例を模式的に示す概略図である。 図14は、図13のマイクロチップにおける点線部分の一例を示す拡大図である。 図15は、図13のマイクロチップにおける点線部分の他の一例を示す拡大図である。 図16は、図16のマイクロ流路の形成方法の説明に供する図である。 図17は、実施例1で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体1の断面のSEM写真である。
以下、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体、マイクロ流路、及びマイクロチップについて順に説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
[蛋白質吸着抑制用表面構造体]
本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であることを特徴とする。
上記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体について図を参照して説明する。図1及び図2はそれぞれ、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示す蛋白質吸着抑制用表面構造体10は、複数の互いに平行な線状凸部2が共通の一方向Yに延在する線状微細凹凸形状3を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層1を備える。
本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、図1のように線状微細凹凸層1の1層からなるものであっても良いし、図2のように、基材4の一面側に線状微細凹凸層1を備えた構造であっても良い。
図3は、図1に示す蛋白質吸着抑制用表面構造体10の模式的断面図の一部拡大図である。図3においては、線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面における模式的断面図を示している。線状微細凹凸層1の線状微細凹凸形状3において、線状凸部2は互いに平行であり、隣接する線状凸部2の間隔p、すなわち、線状凸部2の前記垂直断面における端部5から隣接する線状凸部の端部5’までの間隔pの平均値pAVGが500nm以下である。
これら線状凸部同士の間隔(ピッチ)は同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、あるいは所定の繰り返し周期を持っていてもよいが、平均値pAVGが500nm以下である必要がある。
蛋白質吸着抑制用表面構造体10がこのような線状微細凹凸形状3を有することにより、蛋白質が線状凸部2の表面に接触した場合であっても、その接触面積が小さくなり、吸着しにくくなるか、或いは、吸着した場合であっても容易に脱離するものと推測される。特に本発明の蛋白質吸着抑制部材は、蛋白質が付着した場合であっても線状凸部に沿って液体を流すことにより、当該方向に蛋白質が流れやすく除去が容易となる。また、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であることにより、蛋白質が突起間に入り込みにくくなるものと推測される。これらの結果、優れた蛋白質吸着抑制効果を発現する。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、所謂モスアイ構造といわれる微小突起が密接して配置されてなる微細凹凸形状に比べて、凸部自体の構造上の耐久性が優れることから、樹脂組成物の硬化物からなるものであっても、凸部が潰れたり、凸部の先端同士の付着が生じ難い。
また、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備えることから、後述するような、生産性の高い製造方法によって製造することが可能である。当該製造方法によれば、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体を長尺状で製造することが可能である。そのため、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体であっても、生産性高く、製造することができる。
以下、本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体の必須成分である線状微細凹凸層、及び含まれていても良い基材、その他構成について、順に説明する。
<線状微細凹凸層>
線状微細凹凸層1は、複数の互いに平行な線状凸部2が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有する。線状凸部2は、典型的には直線状凸部であるが、略一方向に延在する限り、2つの端点を有する開曲線状凸部であっても良い。複数の線状凸部は互いに平行であるが、本発明において、「平行」とは、隣接する線状凸部同士の間隔が一定であることをいい、例えば線状凸部の線が曲線を含む場合には、その曲線上の各点より法線方向へ一定の距離にあることをいう。
また、本発明において、図1のようにXY平面を仮定して「一方向」をY軸に平行な方向とした場合に、「略一方向」とは、端点の(x、y)座標と比べて、x値は増減しても良いが、y値は漸次増加する方向をいう。すなわち、線状凸部は、Y軸方向において元に戻る方向、すなわちy値が減少する方向を有していない限り、蛇行曲線等の曲線であっても良い。
線状凸部2の延在方向Yに対する垂直断面形状の具体例として、図4(A)〜図4(E)に線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面の具体例の模式的断面図を示す。線状凸部2の延在方向Yに対する垂直断面形状としては、例えば、図4(A)のような矩形状、図4(B)及び図4(C)のような三角形状、図4(D)のような放物線状、図示しないが釣鐘状、半円状、半楕円状、四角形等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。また、図4(E)のような、Z軸方向に向かって線幅が細くなっていく階段状断面をであってもよい。
なお、これらの線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面における模式的断面図においては、線状凸部が延在するY方向は、紙面奥行方向である。
また、垂直断面形状は、頂点を通るZ軸に対して対称な構造に限られず、非対称な構造であっても良い。線状凸部2の延在方向Yに対する垂直断面形状の他の具体例として、図5(A)〜図5(D)に線状微細凹凸形状の延在方向Yに対する垂直断面の他の具体例の模式的断面図を示す。例えば、図5(A)のような三角形状であっても良いし、図5(B)のような頂点を通るZ軸方向に対して片側は、三角形であるが、片側は四角形であっても良いし、図5(C)のような頂点を通るZ軸方向に対して片側は、三角形であるが、片側は半楕円状であっても良い。また、図示しないが、Z軸方向に向かって線幅が細くなっていく階段状断面を有する場合に、階段状断面の2段目以降の中心軸は、1段目の中心軸からずれていてもよい。
更に、線状凸部2の高さは、それぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、図5(D)のように、隣接する線状凸部のn個に1個など、周期的に高さが相対的に高い線状凸部を含んでいても良い。更に、図示しないが、線状凸部の延在する方向において、高さが異なっていても良い。互いに平行な方向において周期的に、高さが相対的に高い線状凸部を含む場合には、生産性高く、耐汚染性及び耐擦傷性が向上した蛋白質吸着抑制用表面構造体が得られる。
また、複数ある線状凸部は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
例えば、垂直断面形状が、Z軸方向に向かって線幅が細くなっていく構造を有している場合には、凸部の深さ方向に屈折率が連続的に変化するため、反射防止性が付与される。また、線状凸部の比表面積が大きくなるような形状である方が、線状微細凹凸表面の親水性が向上する。例えば線状凸部が同じ高さの場合には、垂直断面形状は三角形よりも四角形の方が好ましい。例えば、前記Z軸方向に向かって線幅が細くなっていく階段状断面を有する場合には、比表面積の点から親水性が向上すると共に、反射防止性等の光学機能も向上する点から好ましい。
本発明において線状凸部間隔p及び線状凸部の高さHは以下の方法により測定される。先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状を検出する。
続いて線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状において、各線状凸部の付け根位置に相当する端部を検出する。各線状凸部の端部(5a,5b)のうち同じ側の一方の端部(5a)を選択する。線状凸部の端部のうち同じ側の一方の端部5aと、隣接する線状凸部の同じ側の一方の端部5’aの距離を隣接凸部間距離、すなわち隣接する線状凸部間隔pとする(図6参照)。
線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状の拡大写真から、例えば10〜100個程度の隣接する線状凸部間隔pの値を求め、隣接する線状凸部間隔pの度数分布を検出する。隣接する線状凸部間隔pがほぼ一定である場合には、求める隣接する線状凸部間隔pの数は少なくても良いが、周期的に隣接する線状凸部間隔pが変化する場合には少なくとも5周期分、周期なしで隣接する線状凸部間隔pが変化する場合にはより多くの隣接する線状凸部間隔pを求めることが好ましい。
このようにして求めた線状凸部間隔pの度数分布から平均値pAVG及び標準偏差σを求める。また、隣接凸部間隔pの最大値を、pmax=pAVG+2σとする。
また、同様の手法を適用して線状凸部の高さHを求める。線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状の拡大写真から、各線状凸部における極大点を検出する。各線状凸部の付け根位置7を基準(高さ0)として、当該基準位置から各極大点位置の相対的な高さの差Hを取得(図3参照)してヒストグラム化する。なお、線状凸部の垂直断面形状において頂点を複数有する場合には、麓部が同一の凸部に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を極大点として、当該凸部の高さを取得して、度数分布を求める。
なお、図6に示されるように、隣接する線状凸部間隔pにおいて、各線状凸部の幅w、すなわち各線状凸部の端部(5aと5b)間の距離は、隣接する線状凸部間隔pと同じであっても良いし、異なっていても良い。また、隣接する線状凸部間隔pにおいて各線状凸部の幅wの占める割合は特に限定されないが、耐久性の点から、w/pは0.3〜1であることが好ましい。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGは500nm以下であるが、製造上の点から、当該pAVGは10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。中でも、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGは、後述する各種性能の発現が向上する点から、好ましくは100nm以上であり、250nm以下である。pAVGが500nm以下であれば、蛋白質が線状凸部間に入り込みにくくなって蛋白質吸着抑制効果に優れている。また、pAVGが500nm以下であれば、線状微細凹凸表面に起因して、線状凸部の延在方向の親水性が強調されることにより、親水性液体の流動性に異方性が生じ、当該延在方向の親水性液体の流動性が向上するという効果を発現する。
また、線状凸部の高さHの平均である、線状凸部平均高さHAVGは、好ましくは500nm以下であり、製造上の点から10nm以上であり、中でも50nm以上が好ましい。
中でも、後述する各種性能の発現が向上する点から、より好ましくは70nm以上であり、250nm以下である。
線状凸部のアスペクト比(線状凸部平均高さHAVG/隣接する線状凸部平均間隔pAVG)が0.4〜5.0であることが好ましく、更に、0.5〜2.5であることが好ましく、更に、0.5〜2.1であることがより好ましい。アスペクト比が小さすぎると親水性が発現し難く、大きすぎると機械強度や生産性が低下する。
線状微細凹凸層の厚みは、適宜調整すればよい。例えば基材の一面側に線状微細凹凸層を備えた態様の場合には、線状微細凹凸層の厚みは、基材表面に線状微細凹凸形状を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下したりカールの懸念が高くなるため、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがより好ましい。この場合の線状微細凹凸層の厚みTは、線状微細凹凸層の基材との界面から、最も高い線状凸部の頂部までの厚みをいう。
また、基材の表面に線状微細凹凸形状が設けられた線状微細凹凸層の場合には、当該厚みは基材の厚みに依存し、特に限定されない。
本発明において線状微細凹凸層は、樹脂組成物の硬化物からなる。なお、本発明において硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
上記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤やその他の成分を含有するものである。なお、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であることが好ましい。このような材料を用いて線状微細凹凸形状を形成すると、水の接触角は、平坦な硬化膜表面に比べて小さくなり、親水性になる又は親水性が強調される。特に当該親水性は、線状凸部の延在方向に強調される。そのため、線状微細凹凸表面に起因して、特に線状凸部の延在方向の親水性が高くなって当該延在方向の親水性液体の流動性が向上して、親水性液体の流動性に異方性が生じる。そのため、一定方向に親水性液体を流すためのマイクロ流路用途に好適に用いることができる。
親水性を向上する点からは、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における水の接触角が、60度以下であることが好ましく、更に45度以下であることが好ましい。このような材料を用いて線状微細凹凸形状を形成すると、水の接触角は、平坦な硬化膜表面に比べて小さくなり、親水性になる又は親水性が強調される。線状微細凹凸形状にもよるが通常は、線状凸部の延在方向及びその垂直方向において、好ましくは40度以下、より好ましくは30度以下の水の接触角を示すようになる。
本発明において、樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角は、以下のように測定される。
まず、透明基材上に線状微細凹凸層用の樹脂組成物を塗布して硬化させて、微細凹凸形状を有しない平坦な硬化膜を形成する。当該硬化膜は、水の接触角の再現性が取れるように(例えば標準偏差が4度以内となるように)十分に溶媒を乾燥し、必要に応じて十分に反応させて硬化したものである。例えば、電離放射線硬化性樹脂が用いられる場合、透明基材上に厚さ5μmの線状微細凹凸層用の樹脂組成物からなる塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cm以上の積算光量となるように照射することにより十分に反応させて硬化した硬化膜を形成する。
そして、当該硬化膜側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置は、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、測定することができる。
また、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体の線状微細凹凸表面における接触角は、同様に測定でき、線状微細凹凸表面に水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。この際、本発明の線状微細凹凸表面における接触角は異方性を有することから、例えば、液滴を滴下した地点における線状凸部の延在方向と、線状凸部の延在方向に対して垂直方向の静的接触角を計測する。
ここで、線状凸部の延在方向Yの水の接触角は、図7(A)及び(B)に示すように、線状凸部に沿って広がる方向の接触角をいい、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)に垂直かつ線状凸部の延在方向Yに平行な面(YZ平面に平行な平面)を仮定し、当該面で水滴を切った断面における、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)と水のなす角度をいう。また、線状凸部の延在方向Yに対して垂直方向Xの水の接触角は、図7(C)及び(D)に示すように、線状凸部を垂直に横切って広がる方向の接触角をいい、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)に垂直かつ線状凸部の延在方向Yに対して垂直な方向Xに平行な面(XZ平面に平行な平面)を仮定し、当該面で水滴を切った断面における、線状微細凹凸表面(XY平面に平行な平面)と水のなす角度をいう。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも線状微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられる。なお、電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって反応を経て硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
汚れ拭き取り性の点からは、中でも、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(損失正接:tanδ(=E”/E’))が0.2以下であることが、線状微細凹凸形状が拭取る程度の圧力で変形し、且つ、優れた弾性復元性を備える点から好ましい。E’を300MPa以下とすることにより、拭取り時の圧力によって線状微細凹凸形状が変形し、凹凸間の隙間に入り込んだ汚れを、乾拭きで除去することが可能となる。
また、損失正接(tanδ)を0.2以下とすることにより、拭取り時に変形した線状凸部が、弾性復元され、元の形状に戻りやすい。これにより、凸部の塑性変形や凸部先端同士の付着が抑制され、線状微細凹凸形状が有する機能を低下することなく、乾拭きで汚れを拭取ることが可能になる。中でも、tanδが0.18以下であることが好ましい。
一方で、耐久性の点からは、前記貯蔵弾性率(E’)が200MPa以上である樹脂組成物を用いて形成された線状微細凹凸層は、復元性が高く、乾拭き時において潰れや先端同士の付着がより抑制される点から好ましい。当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率の上限は特に限定されないが、線状凸部の柔軟性の点から、1200MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましい。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
線状微細凹凸層用の樹脂組成物としては、蛋白質吸着抑制用表面構造体の用途に合わせて、適宜、好ましい親水性及びその他の物性が得られるように、選択される。
中でも、線状微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる、電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物を例にとって、具体的に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
一方、硬度を高くする点からは、多官能(メタ)アクリレートのみを用いることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の防汚性が向上し、線状凸部が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、線状凸部が柔軟性及び復元性に優れ、且つ線状微細凹凸表面の親水性が向上し、蛋白質の吸着が抑制される点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜99.2質量%であることが好ましく、15〜99.1質量%であることがより好ましい。
親水性を高くするために、本発明において好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートが含まれる組成物である。中でも、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、70〜99質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましい。また、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、使用される全(メタ)アクリレート化合物中に80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。
また、硬化物の線状凸部が柔軟性と弾性復元性を両立しやすく、優れた乾拭き取り性と防汚性を得る点からは、本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物は、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
(2)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
(3)帯電防止剤
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、線状微細凹凸層表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のもの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。
(4)溶剤
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体的としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。なお本発明において固形分とは、樹脂組成物中の溶剤以外のすべての成分を表す。
(5)その他の成分
本発明において用いられる線状微細凹凸層用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
<基材>
本発明に必要に応じて用いられる基材は、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体の用途に合わせて適宜選択して用いられれば良い。基材は、透明基材に限定されるものではなく、用途に合わせて不透明基材であっても良い。
本発明に用いられる透明基材は、蛋白質吸着抑制用表面構造体に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
また、不透明基材に用いられる材料の具体例としては、例えば、各種の金属、不透明のガラス、樹脂材料に無機顔料、発泡剤を混合した不透明樹脂等が挙げられ、その他、樹脂基材に無機スパッタ膜、特に金属スパッタ膜を形成した基材等が挙げられる。
基材の形状は、通常フィルム状、シート状、板状、ロッド状、所定形状に成形された成形体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、大面積の蛋白質吸着抑制用表面構造体とする場合には、製造上、長尺状乃至ロール状の基材を用いることが好ましい。
前記基材の厚みは、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体の用途や形状に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmである。前記基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、基材と後述する線状微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材および線状微細凹凸層との双方に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また基材と線状微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と線状微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
<その他の構成>
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。
例えば、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、線状微細凹凸層の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における蛋白質吸着抑制用表面構造体の表面の損傷、汚染を防止することができる。
また、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、線状微細凹凸形状を有しない面に接着剤層を形成し、更に当該接着剤層の表面に離型フィルムを剥離可能に積層してなる接着加工品とすることもできる。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用できる。基材、接着剤層、及びその他任意の層はそれぞれ1層に限定されることなく、使用用途、条件により、適宜2層以上を選定可能である。
<蛋白質吸着抑制用表面構造体の物性>
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、特定の材料からなる特定の線状微細凹凸表面を有することにより、高い親水性を有する。中でも、線状微細凹凸表面において、線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下、より好ましくは30度以下、更により好ましくは20度以下であるものが好ましい。
更に、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、特定の線状微細凹凸表面を有することにより、異方性を有する親水性が得られる。具体的には、線状凸部が延在する方向(図7(A)(B)参照)は、線状凸部が延在する方向に対して垂直方向(図7(C)(D)参照)に比べて濡れ広がりやすくなる。本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体を後述するマイクロ流路、及びマイクロチップ用途に用いる場合には、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、線状微細凹凸表面において、水を滴下した地点における(線状凸部の延在方向の水の接触角)と(線状凸部の延在方向に対して垂直方向の水の接触角)との差が5度以上であることが好ましく、更に8度以上であることが好ましい。一方、通常当該接触角の差は20度以下の範囲となる。
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、用途により、透明性の高い部材とすることが好ましい。すなわち、下地の意匠性を損傷しない点から、蛋白質吸着抑制用表面構造体の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、更に90%以上であることが好ましく、より更に92%以上であることが好ましい。なおここで、蛋白質吸着抑制用表面構造体の全光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
<蛋白質吸着抑制用表面構造体の用途>
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、親水性液体中に溶解乃至分散した蛋白質と接触し得る種々の基材に好適に用いることができる。具体的には、例えば、後述するマイクロ流路やマイクロチップの他、薬液バッグ、輸液バッグ、細胞培養バッグ、医療用チューブ、血管カテーテル、人工血管、ソフトコンタクトレンズ等の各種医療用具や、フラスコ、ディッシュ、プレート、遠沈管、遠心用チューブ等の各種実験器具等が挙げられる。これらの用途に本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体を用いることにより、有効成分量の低下や収量の低下を抑制したり、細胞等の性質が変化することを抑制したり、目詰まりや品質の低下を抑制することが可能となる。
[蛋白質吸着抑制用表面構造体の製造方法]
本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、前記樹脂組成物の硬化物により、複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下となる線状微細凹凸層が形成可能な方法であればよく、特に限定されない。製造効率の点から、樹脂組成物の塗膜を金型により賦型する方法が好ましい。
上記金型の製造方法は、所望の線状微細凹凸形状の反転パターンを形成可能な従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。線状微細凹凸形状として直線状の凸部を形成する場合、金型の製造方法は、中でも、バイトを用いた切削加工によって、円柱状母材の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成する工程を有する、賦型用ロール金型の製造方法を用いることが好ましい。
<賦型用ロール金型を製造する工程>
バイトを用いた切削加工によって、円柱状母材の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成することにより、賦型用ロール金型を製造する工程を説明する。
図8は、賦型用ロール金型20の製造工程の説明に供する図である。この製造工程において、まず、円柱状母材30を準備する。円柱状母材30としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
金属製の円柱状母材の材質としては、ニッケル、クロム、ステンレス、鉄、アルミ、銅もしくはそれらの合金を用いることが出来るが、再使用しやすいように前記金属製の円柱状母材の表面に前記材料による金属めっきを施した円柱状母材を用いても良い。円柱状母材としては、中空すなわち円筒状であっても良い。また、初めに、切削工程により円柱状母材30の外周面を平滑化する工程を有していても良い。この場合、円柱状母材30を回転させながら、平滑化用のバイトの刃先を外周面に押圧して、矢印Aにより示すように、回転軸方向に移動させることにより、円柱状母材の外周面を平滑化する。必要に応じてバフ研磨や電解研磨等の研磨工程を追加してもよい。また、転写する際に線状微細凹凸樹脂が円柱状母材から剥離しやすいように円柱状母材表面に剥離シリコーン、フッ素系樹脂もしくはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティング、蒸着、もしくはそれらを組み合わせた離型処理を行っても良い。
続いて、線状凹凸形状作製用のバイト31を用いた切削加工によって、円柱状母材30の外周面に、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成する。ここで、線状凹凸形状作製用のバイト31の刃先の形状は、適宜、製造する線状微細凹凸形状に対応した形状とする。図9に、バイトの刃先の線状微細凹凸形状の延在方向に対する垂直断面を一部拡大した模式的断面図を示す。例えば図4(A)のような矩形の線状凸部を形成する場合には、バイト31の刃先を図9に示すような当該線状凸部の相補的な矩形の形状とする。また、線状凸部の形状や高さが、互いに平行な線状凸部間で周期的に変化する場合には、バイト31の刃先幅Sが、少なくとも繰返し周期の幅を含むことが好ましい。
円柱状母材30を回転させながら、線状凹凸形状作製用のバイト31の刃先を外周面に押圧して切削するが、矢印Aにより示すように回転軸方向に、バイト31の刃先幅Sのピッチにより間欠送りして移動させることにより、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成する。
前記バイト31の刃先幅Sとしては、例えば、20〜100μm程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
また、例えば、線状凸部の延在方向において周期的に高さが異なる場合など、一回の切削工程により、製造する線状微細凹凸形状に相補的な形状を作成できない場合には、更に別の線状凹凸形状作製用のバイトを用いて複数回の切削工程を有していても良い。以上のようにして、賦型用ロール金型20を製造することができる。
なお、線状凹凸形状作製用のバイト31の作製は、従来公知の方法を適宜選択して、製造する線状微細凹凸形状に対応した形状となるように行えばよい。
本発明においては、このような賦型用ロール金型20を用いることから、任意の線状微細凹凸形状を形成し易く、更に、生産性が向上する。
また、その他の金型の製造方法として、延在方向が異なる線状凸部を有する複数の金型を連結して一つの枚様な金型とする方法や、延在方向が異なる線状凸部を有する複数のソフトモールドを円柱状母材に貼り合わせて1つのロール金型とする方法が挙げられる。このようにして得られた金型により形成された蛋白質吸着抑制用表面構造体は、図16に示されるように、線状微細凹凸形状3が複数の部分構造(例えば、図16の3(a)、3(b)及び3(c))を有するものとなる。
<線状微細凹凸表面を形成する工程>
前記賦型用ロール金型を使用して、線状微細凹凸層形成用の樹脂組成物に、線状微細凹凸表面を賦型する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、まず基材上に、線状微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、線状微細凹凸表面形成用層(受容層)を形成し、当該線状微細凹凸表面形成用層の表面と所望の線状微細凹凸形状を有する賦型用ロール金型とを接触させて配置し、圧力をかけることによって、当該線状微細凹凸表面形成用層の金型側表面に前記線状微細凹凸表面を形成した後、適宜該樹脂組成物を硬化させることにより線状微細凹凸層を形成し、前記賦型用ロール金型から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
図10に、線状微細凹凸層形成用の樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、賦型用ロール金型20を用いた場合に、透明基材上に線状微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図10に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状フィルム形態の透明基材6に、未硬化で液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、線状微細凹凸形状の受容層1’を形成する。なお電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ12により、微細凹凸層形成用原版である賦型用ロール金型20の周側面に透明基材6を加圧押圧し、これにより透明基材6に受容層1’を密着させると共に、賦型用ロール金型20の周側面に作製された線状微細凹凸形状の凹部に、受容層1’を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材6の表面に線状微細凹凸層1を作製する。続いて剥離ローラ13を介して賦型用ロール金型20から、硬化した線状微細凹凸層1と一体に透明基材6を剥離する。必要に応じてこの透明基材6に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して蛋白質吸着抑制用表面構造体10を作製する。これにより蛋白質吸着抑制用表面構造体10は、ロール材による長尺の透明基材6に、微細凹凸層形成用原版である賦型用ロール金型20の周側面に作製された線状微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の蛋白質吸着抑制用表面構造体の製造方法においては、賦型用ロール金型20を使用した賦型処理により蛋白質吸着抑制用表面構造体を生産する場合について述べたが、本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体は当該方法に限られず製造されても良い。例えば、蛋白質吸着抑制用表面構造体の形状に係る基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦型用金型を使用した枚葉の処理により蛋白質吸着抑制用表面構造体を作成する場合等、賦型処理に係る工程、蛋白質吸着抑制用表面構造体形成用原版は、蛋白質吸着抑制用表面構造体の形状に係る基材の形状に応じて適宜変更することができる。
[マイクロ流路]
本発明に係るマイクロ流路は、親水性液体を流すためのマイクロ流路であって、当該マイクロ流路の表面の一部が、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体であって、当該蛋白質吸着抑制用表面構造体の線状微細凹凸層を構成している樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であることを特徴とする。
なお本発明において親水性液体とは、水及び水性溶剤から選択される1種以上の溶媒を有し、蛋白質及びその他の成分を含有してもよい液体をいう。本発明において水性溶剤とは、25℃の水100質量部中に、1気圧下で3質量部以上溶解する溶剤のことをいい、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のマイクロ流路は、表面の一部が前記本発明の蛋白質吸着抑制用表面構造体であるため、蛋白質を溶解乃至分散する親水性液体のマイクロ流路として好適に用いることができる。
本発明のマイクロ流路は、親水性液体の通過が可能であるように、二次元及び/又は三次元的に所望の形状に形成された流路である。
マイクロ流路の平面形状は、特に限定されるものではなく、用途、サイズ等を考慮して、任意に設定することができる。マイクロ流路の断面(流体の流れ方向に垂直に交わる断面)形状は、例えば、四角形、台形等の多角形及びこれらの角部分が丸みを帯びた形状、円形、だ円形、ドーム形状あるいは左右非対称の不均一形等どのような形状であってもよい。マイクロ流路は、全長にわたって同じ断面形状及び大きさであってもよいが、部分的に異なる形状及び大きさであってもよい。例えば、試料を導入及び/又は排出する部分等は、完全にマイクロ流路が密閉された状態ではなく、上部の一部が開放状態になっていてもよいし、容積を測定する部分又は光学系を利用して測定を行う検出部等では、一定の断面積が維持されていればよいし、徐々に又は段階的に細く又は太くなる部分があってもよい。
本発明のマイクロ流路について図を参照して説明する。図11及び図12は、本発明に係るマイクロ流路の一例を模式的に示す、概略断面図である。図11の例では、基材4の表面の少なくとも一部に、上記特定の線状微細凹凸層を有している。図12に示されるように、流路を区切るため、樹脂層7等により壁面7’を有していてもよい。
図11の例に示されるマイクロ流路における基材4や、図12の例に示されるマイクロ流路における樹脂層7は疎水性を有することが好ましい。当該基材4や樹脂層7が疎水性を有することにより、親水性液体は親水性を有する線状微細凹凸形状3から、基材4乃至樹脂層7側へ流出し難く、、線状微細凹凸形状3上を流れることができる。当該基材4や樹脂層7は、更に必要に応じて、公知の撥水性処理が行われていても良い。また、図示はしないが壁面7’の表面は、蛋白質吸着抑制用表面構造体が形成されていてもよい。また、マイクロ流路の上部にカバープレート8を用いて蓋をしてもよく、当該カバープレート8のマイクロ流路に対向する面9が線状微細凹凸形状3を有していてもよい。
なお、図12においては、説明の都合上、樹脂層7とカバープレート8との間に隙間を有しているが、通常、樹脂層7とカバープレート8とは、密着させて用いるものである。
本発明のマイクロ流路において、線状微細凹凸層は、平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下である樹脂組成物の硬化膜からなるものであるため、線状微細凹凸層はその形状と相俟って親水性に優れている。その結果、本発明のマイクロ流路は、流路内での蛋白質の吸着が抑制されるとともに、親水性液体が流路内全体にぬれ広がり、親水性液体が流路内を流れやすくなる。特に構造上より親水性が高くなる線状凸部の延在方向はより濡れ広がりやすく、且つ構造上も親水性液体が流れやすいという効果を有する。
前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体は、上述の通り線状微細凹凸形状の延在方向が、より親水性が高く親水性液体が流れやすい傾向にある。そのため、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度以下であるように線状微細凹凸形状を配置することが、親水性液体が流路内の流れ方向に沿ってより流れやすくなることから好ましい。中でも、親水性液体の流れ方向への流動性の点から、当該なす角が30度以下であることがより好ましく、0度(平行又は略平行)であることが更により好ましい。
しかしながら、親水性液体の流れが一定方向でない場合、即ちマイクロ流路が蛇行している等により曲線を有している場合には、マイクロ流路の一部において、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度を超える場合がある。その場合、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度を超える部分が、流路全体の40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更により好ましい。
図14及び図15は、後述する図13のマイクロチップの一例における点線部分(A)の一例を示す拡大図である。図14の例は、線状微細凹凸形状の延在方向Yが一定の場合の例である。図14の例では、マイクロ流路40の曲線部分の一部で、マイクロ流路の流れ方向と線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角が45度を超える部分がある。しかしながら、図13のマイクロチップに形成されたマイクロ流路40は、なす角45度を超える部分が流路全体の40%以下であるため、親水性液体の流動性に優れている。
図15の例では、線状微細凹凸形状がマイクロ流路の曲線に合わせて、Y(a)、Y(b)、Y(c)の3つの延在方向を有している。当該図15の例では、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とのなす角の最大値が45度であるため、マイクロ流路の流れ方向における親水性液体の流動性により優れている。
また、図示はしないが、マイクロ流路の流れ方向と、線状微細凹凸形状の延在方向とが平行となるように、線状微細凹凸形状をマイクロ流路の流れ方向に沿った開曲線としてもよい。
マイクロ流路の幅は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよく、中でも、1〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、50〜300μmであること更により好ましい。
また、マイクロ流路の深さは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよく、中でも、10〜1000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。
マイクロ流路用基材、及びカバープレートは、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体に用いられる基材と同様のものを用いることができる。
また、マイクロ流路における線状微細凹凸形状は、前記本発明に係る蛋白質吸着抑制用表面構造体に用いられる線状微細凹凸形状と同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。
<マイクロ流路の製造方法>
マイクロ流路の製造方法は、特に限定されない。図11の例に示されるマイクロ流路の製造方法としては、例えば、疎水性の基材4上に、公知の方法により所望の部分のみに線状微細凹凸層を形成することによりマイクロ流路を製造する方法や、前述した賦型用ロール金型を用いた方法により基材の全面に線状微細凹凸層を形成した後、公知のエッチング法等によりパターニングして、マイクロ流路を製造する方法が挙げられる。また、図12の例に示されるような、壁面を有するマイクロ流路の製造方法としては、例えば、前述した賦型用ロール金型を用いた方法により基材の全面に線状微細凹凸層を形成した後、公知の方法によりパターン上に疎水性の樹脂層を形成する方法などが挙げられる。
また、図15の例に示されるように、流れ方向に応じて延在方向が異なるマイクロ流路の製造方法としては、延在方向が異なる線状凸部を有する複数の金型を連結して一つの枚様な金型とし、当該金型により図16に示されるような線状微細凹凸形状3が複数の部分構造を有する線状微細凹凸層を形成した後、上記と同様にしてマイクロ流路を製造する方法などが挙げられる。
[マイクロチップ]
本発明に係るマイクロチップは、前記本発明に係るマイクロ流路を備えることを特徴とする。本発明に係るマイクロチップについて図を参照して説明する。図13は、本発明に係るマイクロチップの一例を模式的に示す概略図である。図13の例によれば、基材4にマイクロ流路40が形成されており、流路の一部に貯留部15が形成されている。図示はしないが、基材4上にカバープレートを有していてもよく、当該カバープレートの貯留部に対応する部分が、開口部を形成していてもよい。
なお、本発明のマイクロチップにおいて、マイクロ流路20、貯留部15やその他の構成は、マイクロチップの目的に応じて適宜形成されるものであり、図13の例に示された構成に限られるものではない。例えば、マイクロ流路の端部又は途中には、試料の導入口、排出口及び/又は液溜等が形成されていたり、遠心分離部、計量部、混合反応部、光学的または電気的測定部等が、それら自体又はそれらを連結させるマイクロ流路として一連構造で形成されていてもよい。
また、種々の二次元及び/又は三次元形状直線的なあるいは屈曲又は湾曲したパターンを有するマイクロ流路等を有する第1基板と、第一基板と同一又は異なるパターンを有する第2基板とが、熱圧着や接着剤などによって張り合わされたものであってもよい。
本発明のマイクロチップは、前記本発明に係るマイクロ流路を備えることにより、蛋白質の吸着が抑制されるとともに、流路内を流れる液体の流速が安定するため、蛋白質を溶解乃至分散した液体を高精度で操作することができ、蛋白質の測定等の精度が向上する。
このようなマイクロチップは、医療、食品、創薬等の種々の分野において、DNA、酵素、タンパク質、ウィルス、細胞などの種々の生体物質(主に液体の状態)を、分析、検出、反応、測定等するための基板として利用されるものであり、例えば、臨床分析チップ、環境分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、たんぱく質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップ等と種々の呼び名で提供されている全てのチップを包含する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例1 賦型用ロール金型1の作製)
幅1300mm、直径298mmで表面に銅めっきを施した鉄製の円柱状母材を準備した。一方で、刃先幅30μmの表面に、線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が図8のような矩形状の線状凹凸部(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが150nm、線状凸部幅の平均幅75nm、線状凹部の平均幅75nm、線状凸部の高さHAVGが70nm)を有する切削用バイトを準備した。
円柱状母材を回転させながら、前記切削用バイトの刃先を外周面に押圧して切削し、バイト31の刃先幅30μmのピッチで間欠送りして回転軸方向に移動させることにより、円周方向に沿って並列した複数の溝を順次形成し、賦型用ロール金型1を作製した。
(製造例2 賦型用ロール金型2の作製)
切削用バイトとして、刃先幅30μmの表面に、線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が図8のような矩形状の線状凹凸部(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが200nm、線状凸部幅の平均幅100nm、線状凹部の平均幅100nm、線状凸部の高さHAVGが100nm)を有する切削用バイトを準備した以外は、製造例1と同様にして、賦型用ロール金型2を作製した。
(製造例3 線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aの調製)
以下の各成分を混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを調製した。
<樹脂組成物Aの組成>
・エチレンオキサイド変性(EO変性)ビスフェノールAジアクリレート 65質量部
・EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量部
・ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
(実施例1)
図10に示す方法により、蛋白質吸着抑制用表面構造体1を製造した。
賦型用ロール金型20として、製造例1の賦型用ロール金型1を用い、透明基材6として、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡社製)を用いた。また、ダイ11により帯状フィルム形態の透明基材6に、硬化後の線状微細凹凸層の厚さが20μmとなるように、製造例3で得られた線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを塗布した。透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを硬化させた。その後、賦型用ロール金型より剥離し、実施例1の蛋白質吸着抑制用表面構造体1を得た。線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が矩形状の線状微細凹凸表面(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが150nm、線状凸部幅の平均幅75nm、線状凹部の平均幅75nm、線状凸部の高さHAVGが70nm)が得られた。
実施例1で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体1の断面のSEM写真を図17に示す。
(実施例2)
実施例1において、賦型用ロール金型20として、製造例1の賦型用ロール金型1の代わりに、製造例2で得られた賦型用ロール金型2を用いた以外は、実施例1と同様にして蛋白質吸着抑制用表面構造体2を得た。線状凸部の延在方向Yに対する垂直断面形状が矩形状の線状微細凹凸表面(隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが200nm、線状凸部幅の平均幅100nm、線状凹部の平均幅100nm、線状凸部の高さHAVGが100nm)が得られた。
(比較例1)
実施例1において、賦型用ロール金型1の代わりに、表面に凹凸を有しない円柱状母材を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に微細凹凸形状を有しない平坦な比較部材1を得た。
[評価]
<樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における接触角の測定>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に線状微細凹凸層形成用樹脂組成物Aを乾燥後の膜厚が厚さ5μmとなるように塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cmの積算光量となるように照射して硬化させて、微細凹凸形状を有しない硬化膜を形成した。当該硬化膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を計測した。
上記樹脂組成物Aの平坦な硬化膜表面における水の接触角は54.9度であった。
<蛋白質吸着抑制用表面構造体1及び2、並びに比較部材1における水の接触角の測定>
実施例1、2で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体1及び2の線状微細凹凸層側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の水の接触角を測定した。その結果、蛋白質吸着抑制用表面構造体1の線状凸部の延在方向における水の接触角は16.6度であり、線状凸部の延在方向に垂直な方向における水の接触角は33.2度であった。また、蛋白質吸着抑制用表面構造体2における線状凸部の延在方向における水の接触角は13.8度であり、線状凸部の延在方向に垂直な方向における水の接触角は23.9度であった。いずれも、平坦な硬化膜表面における接触角よりも更に親水性が強調されていることが確認できた。蛋白質吸着抑制用表面構造体2が、蛋白質吸着抑制用表面構造体1より小さな接触角になったのは、線状凸部の高さがより高い(線状凹部の深さがより深い)ことに起因すると推定された。
一方、比較部材1の樹脂組成物Aの硬化膜表面の水の接触角は54.9度であった。
<蛋白質吸着抑制評価>
各実施例で得られた蛋白質吸着抑制用表面構造体と比較構造体とをそれぞれ、HRP標識抗ウサギIgG抗体(PBSに溶解 濃度1μg/ml;ROCKLAND社製)に1時間浸漬した後、当該構造体を0.05%Tween20(和光純薬工業社製)含有リン酸バッファー(PBS)に1分間浸漬を3回繰り返すことにより洗浄して未吸着の抗体(蛋白質)を十分に除去した。次いで、空気を吹き付けて乾燥し、得られた構造体にそれぞれテトラメチルベンジジン(TMB)溶液(TMBW−0100−01;BioFX Laboratories社製)1mLを滴下して、TMBを発色反応させた。5分後に、構造体にそれぞれと1mlの0.5規定硫酸を滴下して、反応を停止させた。得られた発色TMB液について、それぞれプレートリーダー(SpectraMax Me2;Molecular Device社製)を用いて450nmの吸光度を測定した。比較例1の吸光度を1として規格化した値を、表1に示す。
[結果のまとめ]
表1の結果から、実施例1及び2の蛋白質吸着抑制用表面構造体が、蛋白質の吸着抑制効果に優れていることが明らかとのなった。また、実施例1及び2の蛋白質吸着抑制用表面構造体は、親水性に異方性を有するため、マイクロ流路やマイクロチップ用途に適した構造体であることが明らかとなった。
1 線状微細凹凸層
1’ 受容層
2 線状凸部
3 線状微細凹凸形状
3(a)、3(b)、3(c) 部分線状微細凹凸形状
4 基材
5、5’ 凸部の端部
5a、5’a 凸部の一方の端部
5b、5’b 凸部の他方の端部
6 透明基材
7 樹脂層
7’ 壁面
8 カバープレート
9 カバープレートのマイクロ流路に対向する面
10 蛋白質吸着抑制用表面構造体
11 ダイ
12 押圧ローラ
13 剥離ローラ
15 貯留部
20 賦型用ロール金型
30 円柱状母材
31 バイト
40 マイクロ流路
50 マイクロチップ
X,Y,Z 線状凸部の延在方向をYとした場合のXYZ座標軸
Y(a)、Y(b)、Y(c) 線状凸部の延在方向

Claims (5)

  1. 複数の互いに平行な線状凸部が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状を表面に有し、且つ樹脂組成物の硬化物からなる線状微細凹凸層を備え、
    前記線状微細凹凸形状において、隣接する線状凸部間隔pの平均値pAVGが500nm以下であり、
    前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物を平坦な硬化膜としたときに、当該平坦な硬化膜表面における水の接触角が70度以下であり、
    前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、前記線状凸部の延在方向及びその垂直方向における水の接触角が40度以下であり、
    前記線状微細凹凸層の前記線状微細凹凸形状を有する表面において、水を滴下した地点における、前記線状凸部の延在方向の水の接触角と前記線状凸部の延在方向に対する垂直方向の水の接触角との差が5度以上である、蛋白質吸着抑制用表面構造体。
  2. 前記樹脂組成物は、(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物であり、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量が前記樹脂組成物の全固形分に対して70〜99質量%であり、全(メタ)アクリレートに対する前記アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量が80〜100質量%である、請求項1に記載の蛋白質吸着抑制用表面構造体。
  3. 親水性液体を流すためのマイクロ流路であって、当該マイクロ流路の表面の少なくとも一部が、請求項1又は2に記載の蛋白質吸着抑制用表面構造体である、マイクロ流路。
  4. 前記蛋白質吸着抑制用表面構造体が、当該マイクロ流路の流れ方向とのなす角が45度を超える線状凸部を有する部分が、当該マイクロ流路全体の40%以下となるように配置されてなる、請求項3に記載のマイクロ流路。
  5. 請求項3又は4に記載のマイクロ流路を備えた、マイクロチップ。
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