JP2017132916A - 抗菌性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた抗菌性を発揮することができる抗菌性物品を提供する。【解決手段】複数の微小突起が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であることを特徴とする、抗菌性物品。【選択図】図1
Description
本発明は、抗菌性物品に関するものである。
家具、家電製品、調理用機器、医療機器等の物品及び建築物の内装用部材等においては、清潔な環境を保つために、物品表面に対する細菌等の付着、及び付着した細菌等の繁殖を防ぐことができる抗菌性の付与が求められている。
従来、各種物品に抗菌性を付与するためには、例えば光触媒材料や銀イオン等の抗菌剤が用いられている。例えば特許文献1には、室内空間のような微弱光下においても、高い防汚性と高い抗菌性及び抗ウイルス性とを両立させることを目的とした材料として、撥水性樹脂バインダーと、光触媒材料と、亜酸化銅とを含有し、前記光触媒材料と前記亜酸化銅とが複合化している撥水性光触媒組成物及びその塗膜が開示されている。
従来、各種物品に抗菌性を付与するためには、例えば光触媒材料や銀イオン等の抗菌剤が用いられている。例えば特許文献1には、室内空間のような微弱光下においても、高い防汚性と高い抗菌性及び抗ウイルス性とを両立させることを目的とした材料として、撥水性樹脂バインダーと、光触媒材料と、亜酸化銅とを含有し、前記光触媒材料と前記亜酸化銅とが複合化している撥水性光触媒組成物及びその塗膜が開示されている。
特許文献2には、バクテリア、ウイルス、細菌などを分解除去することができる材料として、光触媒活性を有するアパタイトを含む光触媒粉体を含有する組成物が開示されており、光触媒粉体は、表面がイガグリ形状であると、光触媒として機能する表面積が拡大し、微生物との接触効率がより向上すると記載されている。
特許文献3には、表層に抗菌物質を有する抗菌性ガラスであって、表層において、ガラス表面から深さ30μm以内に銀イオンの拡散層と、ガラス表面から深さ方向に厚み15μm以上の圧縮層とを有する抗菌性ガラスが開示されている。
特許文献4には、ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに、絵柄層を形成し、該絵柄層の上に抗菌剤を含有する透明又は半透明な樹脂層を形成した抗菌性化粧シートが記載されており、樹脂層にはエンボス加工によって凹凸模様を形成することができる旨が記載されている。
このように、各種物品に抗菌性を付与するためには、抗菌剤を用いることが行われている。一方で本発明者らは、抗菌性を付与するための手段として、抗菌剤を用いる方法とは別の手段を検討した結果、物品の表面を特定の微細凹凸形状とすることにより、優れた抗菌性が発揮され得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、優れた抗菌性を発揮することができる抗菌性物品を提供することを目的とする。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、優れた抗菌性を発揮することができる抗菌性物品を提供することを目的とする。
本発明に係る抗菌性物品は、複数の微小突起が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、
隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であることを特徴とする。
隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であることを特徴とする。
本発明に係る抗菌性物品は、前記微小突起の高さhの平均hAVGが0.5μm以上10μm以下であることが、抗菌性が向上する点から好ましい。
本発明に係る抗菌性物品は、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面が周期D及び高さHでうねった凹凸面であり、前記周期Dの平均DAVGが10μm以上500μm以下であり、前記高さHの平均値HAVGが10μm以上200μm以下であることが、前記微小突起の損傷を防止乃至抑制し、抗菌性物品の抗菌性能の経時劣化を抑制する点から好ましい。
本発明によれば、優れた抗菌性を発揮することができる抗菌性物品を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念である。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において樹脂組成物の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念である。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において樹脂組成物の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
本発明に係る抗菌性物品は、複数の微小突起が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であることを特徴とする。
上記本発明に係る抗菌性物品について、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る抗菌性物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される抗菌性物品10は、基材1の一面側に、微細凹凸層2を備える。微細凹凸層2の表面は、複数の微小突起3が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有する微細凹凸面2aである。
図2は、本発明に係る抗菌性物品の別の一例を模式的に示す断面図である。図2に例示される抗菌性物品10’は、微細凹凸層2が基材を有しないか又は微細凹凸層2が基材と一体となっている。
図2は、本発明に係る抗菌性物品の別の一例を模式的に示す断面図である。図2に例示される抗菌性物品10’は、微細凹凸層2が基材を有しないか又は微細凹凸層2が基材と一体となっている。
本発明者らは微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下で複数の微小突起が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を有する微細凹凸面において、細菌が付着し易く、且つ付着した細菌の滅菌率が高いことを知見した。
作用については未解明であるが、平均ピッチdAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下の微細凹凸面は、細菌を付着させてその動きを抑制し、更に、ピッチ0.5μm付近では、細菌が微小突起に突き刺さることによる滅菌効果もあることが推定される。
また、本発明に係る抗菌性物品は、微小突起間の距離が十分に大きいため、微細凹凸面を容易に形成することができ、微細凹凸面の形状が変形し難く耐久性に優れる。そのため、本発明に係る抗菌性物品は、手指や他の物品等と接触し得る用途においても優れた抗菌性を発揮することができ、抗菌性能の経時劣化が抑制される。
作用については未解明であるが、平均ピッチdAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下の微細凹凸面は、細菌を付着させてその動きを抑制し、更に、ピッチ0.5μm付近では、細菌が微小突起に突き刺さることによる滅菌効果もあることが推定される。
また、本発明に係る抗菌性物品は、微小突起間の距離が十分に大きいため、微細凹凸面を容易に形成することができ、微細凹凸面の形状が変形し難く耐久性に優れる。そのため、本発明に係る抗菌性物品は、手指や他の物品等と接触し得る用途においても優れた抗菌性を発揮することができ、抗菌性能の経時劣化が抑制される。
<微細凹凸層>
本発明に係る抗菌性物品は、複数の微小突起が配置されてなる特定の微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備える。
本発明に係る抗菌性物品は、複数の微小突起が配置されてなる特定の微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備える。
[微小突起構造体]
本発明において微小突起とは、高さが0.125μm以上の突起をいう。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する突起間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る突起付け根位置自体が場所によって異なる場合、例えば、各突起付け根位置を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうね(畝)った凹凸形状を有する場合(例えば、図4の例に示されるように、突起付け根位置の高さが微小突起の隣接突起間の谷底を連ねた包絡面33を求め、該包絡面33を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各突起の高さを算出する。
本発明において微小突起とは、高さが0.125μm以上の突起をいう。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する突起間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る突起付け根位置自体が場所によって異なる場合、例えば、各突起付け根位置を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうね(畝)った凹凸形状を有する場合(例えば、図4の例に示されるように、突起付け根位置の高さが微小突起の隣接突起間の谷底を連ねた包絡面33を求め、該包絡面33を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各突起の高さを算出する。
また、本発明において、微小突起の形状は特に限定されず、例えば、円錐、円錐台、円柱、多角錐、多角錐台、多角柱、回転放物面、回転双曲面及びこれらに類する変形形状等が挙げられる。中でも、微小突起の形状は、優れた抗菌性を発揮し得る点から、微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の底面部から頂部方向に近づくに従い連続的に漸次減少する構造、すなわち先細り形状を有していることが好ましい。複数ある微小突起は全て同一の形状を有していても或いは一部又は全部が互に異なる形状を有していてもよい。
なお、本発明において、微小突起の頂部を形成する凸部を、適宜、「峰」と称する場合がある。
なお、本発明において、微小突起の頂部を形成する凸部を、適宜、「峰」と称する場合がある。
微細凹凸層の各微小突起は規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
微小突起が規則的に配置されている場合、その微小突起間の距離dは、微小突起の繰り返し周期Pにより規定することができ、微小突起の繰り返し周期Pを微小突起間の距離dの平均dAVGとすることができる。
一方、微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の距離dはばらつきを有することになる。このような場合、隣接する微小突起とは、後述の如く、微小突起群の極大点を母点とするボロノイ分割を行った際に2つのボロノイ領域が隣接する場合に、該隣接するボロノイ領域に含まれる微小突起同士をいい、微小突起間の距離dは、以下のように算定される。
微小突起が規則的に配置されている場合、その微小突起間の距離dは、微小突起の繰り返し周期Pにより規定することができ、微小突起の繰り返し周期Pを微小突起間の距離dの平均dAVGとすることができる。
一方、微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の距離dはばらつきを有することになる。このような場合、隣接する微小突起とは、後述の如く、微小突起群の極大点を母点とするボロノイ分割を行った際に2つのボロノイ領域が隣接する場合に、該隣接するボロノイ領域に含まれる微小突起同士をいい、微小突起間の距離dは、以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(以下、AFMと呼ぶ))又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(以下、SEMと呼ぶ))を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。なお、AFMのデータは微細凹凸層の高さの面内分布データを有し、輝度により高さの面内分布を示している。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。極大点とは、高さが、其の近傍周辺の何れの点と比べても大(極大値)となる点を意味する。なお、極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。各極大点は、輝度により高さの面内分布を示した微細凹凸層の平面視の画像データを処理することにより検出することができる。例えば、4.5×4.5画素のガウシアン特性によるローパスフィルタにより事前に画像データを処理し、これによりノイズによる極大点の誤検出を防止することができる。また、例えば8画素×8画素による最大値検出用のフィルタを順次スキャンすることにより1nm(=1画素)単位で極大点を求めることができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各三角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図3は、微細凹凸層のドロネー図の一例を模式的に示す図であり、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図である。図3に示す例では、微小突起3の各極大点3aを母点としてボロノイ分割を行い、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分3bで結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形がドロネー図となる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起の場合の数値範囲から、隣接する極大点間の距離が明らかに大きく異なることになる。この特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、前記微細構造を有しない微小突起が5〜20個程度互いに隣接する領域を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに小さい方向に外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。上述の極大点検用のフィルタの設定により、このような除外する処理を実行してもよい。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σdを求めることができる。
同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置又は基準面からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値hAVG、標準偏差σhを求める。なお、頂部が複数の峰に分裂している微細構造を有する微小突起が含まれる場合は、1つの微小突起が頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが突起高さhのヒストグラムにおいて混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
本発明に係る抗菌性物品は、上述のようにして求めた隣接突起間距離dの平均値dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であり、抗菌性がより向上する点から、0.8μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
前記微小突起の高さhの平均値hAVGは、適宜選択することができ、特に限定はされないが、抗菌性が向上する点から、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上7.5μm以下であることがより好ましい。
また、微小突起の高さhの平均hAVGと、微小突起間の距離dの平均dAVGとの比(hAVG/dAVG)は、特に限定はされないが、抗菌性及び耐擦傷性に優れる点から1.0以上2.0以下であることが好ましく、1.0以上1.5以下であることがより好ましい。
本発明において、前記微細凹凸層の厚みは、適宜調整すればよい。微細凹凸層2の厚み(図1におけるT)は、基材1の表面に前記微細凹凸形状を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下したりカールの懸念が高くなるため、微小突起の高さhの平均値hAVGよりも0μm以上10μm以下程度厚くする。好ましくは、微細凹凸層2の厚みは1μm以上20μm以下であり、1μm以上17.5μm以下であることがより好ましい。なお、微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の微小突起構造体を有する側とは反対側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
なお、本発明に係る抗菌性物品は、基材を有しないものであってもよく、また、微細凹凸層の材料と基材の材料が同じものであることにより、微細凹凸層と基材とが一体化したものであってもよい。この場合の微細凹凸層は当該基材の厚みに依存するため、特に限定されない。
なお、本発明に係る抗菌性物品は、基材を有しないものであってもよく、また、微細凹凸層の材料と基材の材料が同じものであることにより、微細凹凸層と基材とが一体化したものであってもよい。この場合の微細凹凸層は当該基材の厚みに依存するため、特に限定されない。
本発明に係る抗菌性物品においては、前記微細凹凸層が、例えば図4に示すように、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面33が、周期D及び高さHでうねった凹凸面であること、すなわち微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期を有する長周期成分であるウネリ形状を有することが好ましい。なお、該周期的なウネリ(畝リ)は、基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にウネリを有していても良い。
周期D及び高さHでうねった凹凸面に、多数の微小突起からなる微小突起群が重畳することにより、該うねった凹凸面の頂部近傍が、他物体からの外力に起因する摩耗、傷付き、変形等を、微小突起群を有する微細凹凸面に代わって犠牲的に受け止めることができると考えられる。そのため、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面が前記うねった凹凸面であることにより、微細凹凸面が有する各微小突起の損傷を防止乃至抑制し、もって、本発明の抗菌性物品の使用時に於ける抗菌性能の経時劣化を抑制することができると考えられる。
周期D及び高さHでうねった凹凸面に、多数の微小突起からなる微小突起群が重畳することにより、該うねった凹凸面の頂部近傍が、他物体からの外力に起因する摩耗、傷付き、変形等を、微小突起群を有する微細凹凸面に代わって犠牲的に受け止めることができると考えられる。そのため、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面が前記うねった凹凸面であることにより、微細凹凸面が有する各微小突起の損傷を防止乃至抑制し、もって、本発明の抗菌性物品の使用時に於ける抗菌性能の経時劣化を抑制することができると考えられる。
前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面33が、前記うねった凹凸面である場合、当該うねった凹凸面の周期Dの平均DAVGは、DAVG>dAVGを満たす。中でも前記DAVGは、前記微小突起間の距離dの平均dAVGよりも大きく且つ5μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることがより好ましい。
また、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面33が、前記うねった凹凸面である場合、当該うねった凹凸面の高さHの平均HAVGは、5μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましい。
前記うねった凹凸面の周期Dの平均DAVG及び高さHの平均HAVGは、それぞれ以下のようにして測定する。先ず、微細凹凸層2について、微小突起の深さ方向と平行な面で切断した図4の如き断面をAFM等の電子顕微鏡を用いて拡大画像を撮影する。拡大倍率は、うねった凹凸の凸部が3〜10個含まれるように設定する。次いで、該画像について微小突起群の谷底を連ねた包絡面33として、うねった凹凸面の断面曲線(図4の破線の如き線)を求める。該断面曲線について、隣接する2凸部間距離の平均値D’AVGを求める。又、隣接する凸部の頂部と凹部の谷底との高低差の平均値H’AVGを求める。斯くの如き断面のD’AVG及びH’AVGの測定を抗菌性物品10上の無作為に選んだ3〜10か所について行う。そして、得られた3〜10個のD’AVGの平均値を以って、うねった凹凸面の周期Dの平均値DAVGとする。又、得られた3〜10個のH’AVGの平均値を以って、うねった凹凸面の高さHの平均値HAVGとする。尚、以上の測定に於いて、実際に抗菌性物品の切断面を用いて測定することに代えて、高さの面内分布データを含むAFM測定データを基に抗菌性物品の切断面曲線を算出し、該算出した切断面曲線を基に上記と同樣にD’AVG及びH’AVGの算出(測定)を行うこともできる。
[微細凹凸層の材料]
本発明における微細凹凸層に用いられる材料としては、前記微小突起構造体を形成することができる材料であれば特に限定はされず、用途に応じて適宜選択することができ、透明材料であっても、不透明材料であってもよい。微細凹凸層の材料としては、各種樹脂組成物、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石、各種金属酸化物等の無機材料、銀、銅、鉄等の金属及びこれらの合金、並びに、これらの材料の組み合わせが挙げられる。
本発明における微細凹凸層に用いられる材料としては、前記微小突起構造体を形成することができる材料であれば特に限定はされず、用途に応じて適宜選択することができ、透明材料であっても、不透明材料であってもよい。微細凹凸層の材料としては、各種樹脂組成物、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石、各種金属酸化物等の無機材料、銀、銅、鉄等の金属及びこれらの合金、並びに、これらの材料の組み合わせが挙げられる。
前記微細凹凸層に用いられる材料としては、中でも抗菌性及び成形性の観点から、樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。樹脂組成物には、1種類の樹脂のみが含まれるものも包含される。なお、前記樹脂組成物は非反応性重合体を含有してもよい。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、メラミン系、フェノール系、ポリエステル系、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、尿素系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。
前記樹脂組成物としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が好ましい。
また、前記樹脂組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂を含有することが好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂が滅菌ガスを発生し得ることから、抗菌性を向上することができる。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、メラミン系、フェノール系、ポリエステル系、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、尿素系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。
前記樹脂組成物としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が好ましい。
また、前記樹脂組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂を含有することが好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂が滅菌ガスを発生し得ることから、抗菌性を向上することができる。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる電離放射線硬化性樹脂の中で、特に好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を例にとって、以下具体的に説明する。
微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる電離放射線硬化性樹脂の中で、特に好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を例にとって、以下具体的に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。なお本発明において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
(2)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、(メタ)アクリレート系のようなラジカル重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。又、エポキシ系のようなカチオン重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、(メタ)アクリレート系のようなラジカル重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。又、エポキシ系のようなカチオン重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
(3)帯電防止剤
本発明においては、前記電離放射線硬化性樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微細凹凸層表面に細菌を含む汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
本発明においては、前記電離放射線硬化性樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微細凹凸層表面に細菌を含む汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
(4)溶剤
本発明において電離放射線硬化性樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
本発明において電離放射線硬化性樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
(5)その他の成分
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、撥(はじ)き防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、撥(はじ)き防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
本発明の抗菌性物品の微細凹凸層2は、抗菌剤を不含有であっても、微小突起群の作用によって実用に足る抗菌性を発現するものである。但し、より一層の抗菌性能を発現せしめる為に、前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、更に抗菌剤を含有してもよい。本発明において用いられる抗菌剤としては、公知の無機系抗菌剤及び有機系抗菌剤を挙げることができ、特に限定はされない。
無機系抗菌剤としては、例えば、銀、銅、亜鉛等の金属及び金属イオン;これらの金属の少なくとも一種をリン酸塩、ケイ酸塩、溶融性ガラス、活性炭、ゼオライト等に担持させた化合物;チタン、亜鉛、マンガン、スズ、インジウム、鉄等の金属の金属酸化物等を挙げることができる。
有機系抗菌剤としては、p−アミノベンゼンスルホンアミド等のスルファ剤、ジメチルジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩、2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミド、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等を挙げることができ、具体的には特許文献5に記載される抗菌性を有する有機化合物等を挙げることができる。
なお、前記抗菌剤は、一種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
無機系抗菌剤としては、例えば、銀、銅、亜鉛等の金属及び金属イオン;これらの金属の少なくとも一種をリン酸塩、ケイ酸塩、溶融性ガラス、活性炭、ゼオライト等に担持させた化合物;チタン、亜鉛、マンガン、スズ、インジウム、鉄等の金属の金属酸化物等を挙げることができる。
有機系抗菌剤としては、p−アミノベンゼンスルホンアミド等のスルファ剤、ジメチルジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩、2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミド、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等を挙げることができ、具体的には特許文献5に記載される抗菌性を有する有機化合物等を挙げることができる。
なお、前記抗菌剤は、一種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
前記樹脂組成物が抗菌剤を含有する場合には、前記抗菌剤の含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。前記抗菌剤の含有量は、前記下限値以上であることにより、抗菌性を更に向上することができ、前記上限値以下であることにより、前記樹脂組成物の成形性及び分散性に優れる。
(熱硬化性樹脂組成物)
前記微細凹凸層に用いられる材料としては、機械的強度及び耐熱性に優れる点から、熱硬化性樹脂組成物を好ましく用いることもできる。熱硬化性樹脂組成物を用いて前記微細凹凸層を形成する場合は、中でも、前記微細凹凸層が、メラミン樹脂を含むメラミン樹脂層上に、(メタ)アクリレート系樹脂を含む(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された多層構造を有することが好ましい。これにより前記微細凹凸層は、メラミン樹脂層により機械的強度及び耐熱性に優れ、(メタ)アクリレート系樹脂層により指紋等の油汚れの付着が抑制される。
前記微細凹凸層に用いられる材料としては、機械的強度及び耐熱性に優れる点から、熱硬化性樹脂組成物を好ましく用いることもできる。熱硬化性樹脂組成物を用いて前記微細凹凸層を形成する場合は、中でも、前記微細凹凸層が、メラミン樹脂を含むメラミン樹脂層上に、(メタ)アクリレート系樹脂を含む(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された多層構造を有することが好ましい。これにより前記微細凹凸層は、メラミン樹脂層により機械的強度及び耐熱性に優れ、(メタ)アクリレート系樹脂層により指紋等の油汚れの付着が抑制される。
前記メラミン樹脂層及び前記(メタ)アクリレート系樹脂層は、例えば特開2012−176515号公報に記載される方法により形成することができる。
具体的には、前記メラミン樹脂層としては、メラミン樹脂含浸パターン紙及びメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙等を用いることができる。メラミン樹脂含浸パターン紙は、例えば、坪量80g/m2以上140g/m2以下程度の化粧板用化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物を70%以上160%以下の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙は、例えば、坪量20g/m2以上60g/m2以上程度のオーバーレイ原紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物を200%以上400%以下の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。なお、含浸率は、「含浸率(%)={(含浸後重量−含浸前重量)/含浸前重量}×100」により求めることができる。
具体的には、前記メラミン樹脂層としては、メラミン樹脂含浸パターン紙及びメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙等を用いることができる。メラミン樹脂含浸パターン紙は、例えば、坪量80g/m2以上140g/m2以下程度の化粧板用化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物を70%以上160%以下の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙は、例えば、坪量20g/m2以上60g/m2以上程度のオーバーレイ原紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物を200%以上400%以下の含浸率で含浸し、乾燥させて得ることができる。なお、含浸率は、「含浸率(%)={(含浸後重量−含浸前重量)/含浸前重量}×100」により求めることができる。
前記(メタ)アクリレート系樹脂層は、例えば、反応性(メタ)アクリルポリマー及び熱重合開始剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む樹脂組成物を用いて形成することができる。
前記反応性(メタ)アクリルポリマーは、反応性官能基が導入された(メタ)アクリルポリマーをいい、反応性官能基は(メタ)アクリルポリマーに直接結合していても、反応性官能基がアルキレン基、オキシアルキレン基等の基を介して(メタ)アクリルポリマーに結合していてもよい。
(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらの誘導体を単量体とし、これを重合してなるポリマーであり、単量体の単独重合体であってもよいし、また、これらの単量体の2種以上を重合させた共重合体であってもよい。更には、前記単量体と、前記以外の単量体とを含む共重合体であってもよい。また、複数の(メタ)アクリルポリマーの混合物であってもよい。
導入される反応性官能基としては、例えば、カルボン酸官能基、アミノ官能基、酸無水物官能基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル官能基及びエポキシ官能基等が挙げられる。この反応性官能基により反応性(メタ)アクリルポリマーがBステージの樹脂含浸化粧紙に含まれるメラミン樹脂と強固に接着し、メラミン樹脂層上に(メタ)アクリレート系樹脂層が形成される。
前記反応性(メタ)アクリルポリマーは、反応性官能基が導入された(メタ)アクリルポリマーをいい、反応性官能基は(メタ)アクリルポリマーに直接結合していても、反応性官能基がアルキレン基、オキシアルキレン基等の基を介して(メタ)アクリルポリマーに結合していてもよい。
(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらの誘導体を単量体とし、これを重合してなるポリマーであり、単量体の単独重合体であってもよいし、また、これらの単量体の2種以上を重合させた共重合体であってもよい。更には、前記単量体と、前記以外の単量体とを含む共重合体であってもよい。また、複数の(メタ)アクリルポリマーの混合物であってもよい。
導入される反応性官能基としては、例えば、カルボン酸官能基、アミノ官能基、酸無水物官能基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル官能基及びエポキシ官能基等が挙げられる。この反応性官能基により反応性(メタ)アクリルポリマーがBステージの樹脂含浸化粧紙に含まれるメラミン樹脂と強固に接着し、メラミン樹脂層上に(メタ)アクリレート系樹脂層が形成される。
前記熱重合開始剤としては、前記(メタ)アクリルポリマーの官能基の種類により適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
前記熱重合開始剤の含有量は、前記反応性(メタ)アクリルポリマー100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
前記熱重合開始剤の含有量は、前記反応性(メタ)アクリルポリマー100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
前記(メタ)アクリレート系樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物に、必要に応じて更に含まれるその他の成分としては、例えば、シリケート化合物、オルガノシリカゾル、並びにシロキサングラフト型ポリマー及びオルガノポリシロキサン等の撥水撥油性物質等が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂組成物に用いられる抗菌剤としては、例えば前記電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられるものと同様のものが挙げられる。また、前記熱硬化性樹脂組成物に含まれる抗菌剤の好ましい含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の場合と同様である。
シリケート化合物、オルガノシリカゾル及び撥水撥油性物質としては、具体的には特開2012−176515号公報に記載されるものが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂組成物に用いられる抗菌剤としては、例えば前記電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられるものと同様のものが挙げられる。また、前記熱硬化性樹脂組成物に含まれる抗菌剤の好ましい含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の場合と同様である。
シリケート化合物、オルガノシリカゾル及び撥水撥油性物質としては、具体的には特開2012−176515号公報に記載されるものが挙げられる。
前記メラミン樹脂層上に前記(メタ)アクリレート系樹脂層を積層する方法としては、例えば、前記メラミン樹脂含浸パターン紙又は前記メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙の表面に、前記(メタ)アクリレート系樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物を公知の塗布方法により塗布し、硬化させる方法が挙げられる。前記塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
また、前記多層構造において、前記メラミン樹脂層の厚みは、1μm以上17.5μm以下であることが好ましく、前記(メタ)アクリレート系樹脂層の厚みは、1μm以上17.5μm以下であることが好ましく、両層の合計厚みが1μm以上20μm以下となるように選択することが好ましい。
[微細凹凸層の物性]
前記微細凹凸層は、特に限定はされないが、用途に応じて、可視領域における全光線透過率が80%以上である透明微細凹凸層とすることができる。前記微細凹凸層の前記透過率が前記下限値以上であることにより、下地の意匠性の損傷を抑制することができる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
前記微細凹凸層は、特に限定はされないが、用途に応じて、可視領域における全光線透過率が80%以上である透明微細凹凸層とすることができる。前記微細凹凸層の前記透過率が前記下限値以上であることにより、下地の意匠性の損傷を抑制することができる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
<基材>
本発明に係る抗菌性物品は、支持体として基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、透明基材であっても、不透明基材であってもよく、特に限定されない。
前記透明基材の材料としては、例えば、硝子、各種透明セラミックス、樹脂等の材料を挙げることができる。
前記不透明基材の材料としては、例えば、必用に応じて顔料、染料等の着色剤を含んだ紙、布帛、木材、陶磁器、金属、石材及びこれらの2種以上を積層、混合等により複合した複合材料、並びにこれらと前記透明基材の材料との複合材料等を挙げることができる。
本発明に係る抗菌性物品を建築物の内装部材に用いられる場合には、前記基材の材料としては、中でも、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂が好ましく用いられ、メラミン樹脂が特に好ましく用いられる。
また、基材と微小突起構造体が一体となって形成される場合は、基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂や前述した微細凹凸層形成用の樹脂組成物を用いることができる。
また、本発明に係る抗菌性物品をガラス部分へ設置する場合は、前記基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を含有する樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
本発明に係る抗菌性物品は、支持体として基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、透明基材であっても、不透明基材であってもよく、特に限定されない。
前記透明基材の材料としては、例えば、硝子、各種透明セラミックス、樹脂等の材料を挙げることができる。
前記不透明基材の材料としては、例えば、必用に応じて顔料、染料等の着色剤を含んだ紙、布帛、木材、陶磁器、金属、石材及びこれらの2種以上を積層、混合等により複合した複合材料、並びにこれらと前記透明基材の材料との複合材料等を挙げることができる。
本発明に係る抗菌性物品を建築物の内装部材に用いられる場合には、前記基材の材料としては、中でも、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂が好ましく用いられ、メラミン樹脂が特に好ましく用いられる。
また、基材と微小突起構造体が一体となって形成される場合は、基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂や前述した微細凹凸層形成用の樹脂組成物を用いることができる。
また、本発明に係る抗菌性物品をガラス部分へ設置する場合は、前記基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を含有する樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
前記基材の形状は任意であるが、例えば、シート乃至フィルム、平板、曲面板、各種立体形状物等とすることができる。
基材の厚みは、用途及び形状に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、10μm以上20000μm(2cm)以下とすることができる。
基材の厚みは、用途及び形状に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、10μm以上20000μm(2cm)以下とすることができる。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
微細凹凸層が基材とは別の材料からなる場合は、基材と前記微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材として透明基材を用いる場合には、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また、基材として透明基材を用い、且つ微細凹凸層として透明微細凹凸層を用いる場合に、透明基材と透明微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
微細凹凸層が基材とは別の材料からなる場合は、基材と前記微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材として透明基材を用いる場合には、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また、基材として透明基材を用い、且つ微細凹凸層として透明微細凹凸層を用いる場合に、透明基材と透明微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
本発明に用いられる基材の可視領域における全光線透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、前記透過率が80%以上の透明基材を用いることもできるし、前記透過率が80%未満の半透明の基材又は不透明の基材を用いることもできる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
<その他の層>
本発明に係る抗菌性物品においては、微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着させてもよい。これにより、微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面に保護フィルムを仮接着した状態で、本発明に係る抗菌性物品の保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることができるため、保管、搬送等の間における微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面の損傷、汚染を防止することができる。
また、本発明に係る抗菌性物品においては、抗菌性物品の微細凹凸面とは異なる面(例えば反対側の面)に、粘着剤層と、更に剥離可能な保護フィルムとを有していても良い。
本発明に係る抗菌性物品においては、微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着させてもよい。これにより、微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面に保護フィルムを仮接着した状態で、本発明に係る抗菌性物品の保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることができるため、保管、搬送等の間における微細凹凸層の微細凹凸形状側の表面の損傷、汚染を防止することができる。
また、本発明に係る抗菌性物品においては、抗菌性物品の微細凹凸面とは異なる面(例えば反対側の面)に、粘着剤層と、更に剥離可能な保護フィルムとを有していても良い。
<抗菌性物品の特性>
本発明に係る抗菌性物品は、滅菌率が99.0%以上であることが好ましい。前記滅菌率は以下のようにして測定することができる。
本発明に係る抗菌性物品を5cm角となるように切り取った試験片を用いて、JIS Z2801(2010年版)に準拠して、各試験片の微細凹凸面に、例えば黄色ブドウ球菌、大腸菌等の細菌を有する所定菌液を0.4ml滴下し、その上をポリエチレンテレフタラートフィルムで密着するように覆い、当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、48時間培養し、培養後の生菌数を測定する。また、これとは別に、未加工試料についての48時間培養後の生菌数、及び各試験片についての試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)も同様にして測定する。生菌数は、発光測定法により測定することができ、具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算することができる。このようにして測定された生菌数を用い、滅菌率は下記式により算出することができる。
滅菌率(%)=(試験前生菌数−48時間培養後生菌数)×100/試験前生菌数
本発明に係る抗菌性物品は、滅菌率が99.0%以上であることが好ましい。前記滅菌率は以下のようにして測定することができる。
本発明に係る抗菌性物品を5cm角となるように切り取った試験片を用いて、JIS Z2801(2010年版)に準拠して、各試験片の微細凹凸面に、例えば黄色ブドウ球菌、大腸菌等の細菌を有する所定菌液を0.4ml滴下し、その上をポリエチレンテレフタラートフィルムで密着するように覆い、当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、48時間培養し、培養後の生菌数を測定する。また、これとは別に、未加工試料についての48時間培養後の生菌数、及び各試験片についての試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)も同様にして測定する。生菌数は、発光測定法により測定することができ、具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算することができる。このようにして測定された生菌数を用い、滅菌率は下記式により算出することができる。
滅菌率(%)=(試験前生菌数−48時間培養後生菌数)×100/試験前生菌数
本発明に係る抗菌性物品は、特に限定はされないが、用途に応じて、可視領域における全光線透過率を80%以上とすることができる。前記透過率が前記下限値以上であることにより、本発明に係る抗菌性物品を他の物品に貼り付けて用いる態様において、下地の意匠性の損傷を抑制することができ、また、視認性に優れるものとすることができる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
<抗菌性物品の用途>
本発明に係る抗菌性物品は、抗菌性の付与が求められるあらゆる用途に用いることができ、特に限定されない。本発明に係る抗菌性物品が抗菌性を発揮し得る用途としては、例えば、テーブル、棚、机等の家具;冷蔵庫、洗濯機、電話機、掃除機等の家電製品;電子レンジ、炊飯器等の調理用機器;医療機器等の医療設備;エアコン、空気清浄機等の空調機器;学校設備の事務用機器及びその他の電子機器等の各種物品に用いられる部材を挙げることができる。本発明に係る抗菌性物品は、前記各種物品において、例えば、表面材、天板、抗菌フィルター、電子表示部やタッチパネル等の表示画面の保護フィルム等として用いることができる。
また、本発明に係る抗菌性物品の用途としては、扉、壁、床、天井等の建築物の内装用部材、及び外壁、屋根等の建築物の外装用部材、建築物及び乗り物等の窓ガラス、並びに食品、医療品等に用いられる包装材等を挙げることもできる。
なお、本発明に係る抗菌性物品は前記用途において、部材そのものとして用いることもできるし、後から貼り付ける態様において用いることもできる。
本発明に係る抗菌性物品は、抗菌性の付与が求められるあらゆる用途に用いることができ、特に限定されない。本発明に係る抗菌性物品が抗菌性を発揮し得る用途としては、例えば、テーブル、棚、机等の家具;冷蔵庫、洗濯機、電話機、掃除機等の家電製品;電子レンジ、炊飯器等の調理用機器;医療機器等の医療設備;エアコン、空気清浄機等の空調機器;学校設備の事務用機器及びその他の電子機器等の各種物品に用いられる部材を挙げることができる。本発明に係る抗菌性物品は、前記各種物品において、例えば、表面材、天板、抗菌フィルター、電子表示部やタッチパネル等の表示画面の保護フィルム等として用いることができる。
また、本発明に係る抗菌性物品の用途としては、扉、壁、床、天井等の建築物の内装用部材、及び外壁、屋根等の建築物の外装用部材、建築物及び乗り物等の窓ガラス、並びに食品、医療品等に用いられる包装材等を挙げることもできる。
なお、本発明に係る抗菌性物品は前記用途において、部材そのものとして用いることもできるし、後から貼り付ける態様において用いることもできる。
本発明に係る抗菌性物品は、微細凹凸面の形状が変形し難く耐久性に優れるため、手指や他の物品等と接触し得る用途において特に好適に用いることができる。そのため、本発明に係る抗菌性物品は、中でも、建築物の内装用部材、棚や机等の家具の天板及び側板、手すり等に好適に用いられる。
また、本発明に係る抗菌性部材を前記包装材に用いる場合は、前記包装材の内側面及び外側面のいずれか一面又は両面を、抗菌性を発揮し得る前記微細凹凸面とすることができる。包装材の用途に応じて構成は適宜選択されれば良く、特に限定されるものではないが、前記包装材の内側面を前記微細凹凸面とする場合は、安全性の観点から当該微細凹凸面を有する微細凹凸層が、抗菌剤を含まないことが好ましい。
<抗菌性物品の製造方法>
本発明に係る抗菌性物品の製造方法は、上述した本発明に係る抗菌性物品を作製することができる方法であれば特に限定はされず、前記微細凹凸層の材料に応じて適宜選択される。前記微細凹凸層の材料として樹脂組成物を用いる場合には、例えば、透明基材上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、前記樹脂組成物の塗膜に、所望の微小突起構造体の形状を反転した凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、透明基材上に微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を形成する方法が挙げられる。また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該凹凸形状を賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、微細凹凸層となる部材を形成した後、当該部材と透明基材とを接着する方法を挙げることもできる。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
本発明に係る抗菌性物品の製造方法は、上述した本発明に係る抗菌性物品を作製することができる方法であれば特に限定はされず、前記微細凹凸層の材料に応じて適宜選択される。前記微細凹凸層の材料として樹脂組成物を用いる場合には、例えば、透明基材上に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、前記樹脂組成物の塗膜に、所望の微小突起構造体の形状を反転した凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の該凹凸形状を賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、透明基材上に微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を形成する方法が挙げられる。また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面に微細凹凸層用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該凹凸形状を賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、微細凹凸層となる部材を形成した後、当該部材と透明基材とを接着する方法を挙げることもできる。
なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体が備える微小突起群の形状に対応する形状である。
また、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微小突起構造体形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、微小突起構造体が備える微小突起群の形状を反転した微細凹凸形状を形成することができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、フォトリソグラフィ、電解重合、電気メッキ、無電解堆積、蒸着、コンタクト印刷、エッチング、転写パターン形成、マイクロインプリンティング、陽極酸化、サンドブラスト等が挙げられる。中でも、微小突起構造体形成用原版の形成が容易な点から、フォトリソグラフィ、電気メッキ、エッチング、サンドブラストが好ましい。電気メッキによる方法としては、具体的には例えば、クロム等の金属マットメッキ処理等を挙げることができる。
前記微小突起構造体形成用原版の材料としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製、樹脂製、セラミックス製等のものが挙げられる。尚、本発明においては、微小突起構造体形成用原版のことを、金属製、非金属製何れの場合も、金型と呼称する場合がある。
前記微小突起構造体形成用原版としては、耐変形性および耐摩耗性に優れている点からは、金属製であることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版としては、耐変形性および耐摩耗性に優れている点からは、金属製であることが好ましい。
また、前記微小突起構造体形成用原版の微細凹凸形状を有する面に用いられる材料としては、例えば、フォトリソグラフィ法により前記微細凹凸形状を形成する場合には光硬化性樹脂組成物が好ましく、電気メッキにより前記微細凹凸形状を形成する場合には金属が好ましく、エッチングにより前記微細凹凸形状を形成する場合には金属又は樹脂組成物が好ましい。陽極酸化により前記微細凹凸形状を形成する場合には、前記微小突起構造体形成用原版に用いられる前記材料としては、アルミニウムが好ましい。
前記微細凹凸層が有する各微小突起の谷底を連ねた包絡面が、前記うねった凹凸面を呈する場合は、例えば、前記微小突起構造体形成用原版として、うねった凹凸面の凹凸形状に対応する凹凸形状を形成した後、該凹凸形状を有する表面に、微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を形成したものを用いる。具体的には例えば、微小突起構造体形成用原版の母材の表面に、直接或いは必要に応じて適宜の中間層を形成した後、微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を形成するための表面層を積層する。その後、該表面層にサンドブラスト又はマット(つや消し)メッキによって、うねった凹凸面の凹凸形状に対応する凹凸形状を形成する。その後、該凹凸形状を有する面に微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を、電気メッキ等の前記に記載した方法により形成する。なお、前記表面層としては、特に限定はされないが、微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を例えばクロムメッキ処理により形成する場合は、銅メッキ層、ニッケルメッキ層、銅−ニッケルメッキ層等を用いることができる。
或いは、うねった凹凸を形成するために必要な径を有する粗大球状粒子を凹凸が埋没しない程度に少量のバインダーを介して支持体に密着配置して固着させ、前記粗大球状粒子上に、微小突起構造体を形成するための微細粒子を必要に応じて樹脂バインダー等を用いて配置して重畳させて基準原版を形成し、当該基準原版を用いて、流動状態の樹脂組成物又は金属を用いて型取りを行い、微小突起構造体形成用原版を形成しても良い。前記粗大球状粒子としては、例えばアクリルビーズ等の樹脂ビーズが好適に用いられ、前記微細粒子としては、例えばコロイダルシリカ等が用いられる。
或いは、うねった凹凸を形成するために必要な径を有する粗大球状粒子を凹凸が埋没しない程度に少量のバインダーを介して支持体に密着配置して固着させ、前記粗大球状粒子上に、微小突起構造体を形成するための微細粒子を必要に応じて樹脂バインダー等を用いて配置して重畳させて基準原版を形成し、当該基準原版を用いて、流動状態の樹脂組成物又は金属を用いて型取りを行い、微小突起構造体形成用原版を形成しても良い。前記粗大球状粒子としては、例えばアクリルビーズ等の樹脂ビーズが好適に用いられ、前記微細粒子としては、例えばコロイダルシリカ等が用いられる。
また、前記微小突起構造体形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール(中空円筒又は中実円柱)状であっても良いが、抗菌性物品がロール状に巻き取ることが可能な材料からなる場合には、前記微小突起構造体形成用原版は、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して、前記微細凹凸形状の形成方法に応じて適宜選択された材料からなる表面層に、当該微細凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して、前記微細凹凸形状の形成方法に応じて適宜選択された材料からなる表面層に、当該微細凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図5に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、微小突起構造体形成用原版としてロール金型を用いた場合に、透明基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図5に示す方法では、樹脂供給工程において、帯状フィルム形態の透明基材45に、ダイ41により微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、微小突起形状を受容する受容層46を形成する。樹脂組成物の塗布方法については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材を加圧押圧し、これにより透明基材に受容層46を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層46を構成する樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材表面に微細凹凸層を作製する。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した微細凹凸層と一体に透明基材を剥離する。必要に応じてこの透明基材上に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断して抗菌性物品10が得られる。このように、ロール材による長尺の透明基材45上の樹脂組成物の硬化物に、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型することにより、本発明に係る抗菌性物品を効率良く大量生産することができる。
図5に示す方法では、樹脂供給工程において、帯状フィルム形態の透明基材45に、ダイ41により微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、微小突起形状を受容する受容層46を形成する。樹脂組成物の塗布方法については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材を加圧押圧し、これにより透明基材に受容層46を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層46を構成する樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材表面に微細凹凸層を作製する。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した微細凹凸層と一体に透明基材を剥離する。必要に応じてこの透明基材上に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断して抗菌性物品10が得られる。このように、ロール材による長尺の透明基材45上の樹脂組成物の硬化物に、微小突起構造体形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型することにより、本発明に係る抗菌性物品を効率良く大量生産することができる。
上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状の抗菌性物品を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、抗菌性物品の形状に係る基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦型用金型を使用した枚葉の処理により抗菌性物品を作製する場合等、賦型処理に係る工程及び微小突起構造体形成用原版を、抗菌性物品の形状に係る基材の形状に応じて適宜変更することができる。
また、本発明に係る抗菌性物品は、微細凹凸層を基材とは別に作製した後、微細凹凸層と基材とを公知の方法により接着してもよい。前記接着方法としては、例えば、ドライラミネート、ウェットラミネート、ホットメルトラミネート等が挙げられ、中でも微小突起構造体の形状維持の観点で取扱いが容易な点から、ドライラミネートが好ましい。
また、本発明に係る抗菌性物品は、微細凹凸層を基材とは別に作製した後、微細凹凸層と基材とを公知の方法により接着してもよい。前記接着方法としては、例えば、ドライラミネート、ウェットラミネート、ホットメルトラミネート等が挙げられ、中でも微小突起構造体の形状維持の観点で取扱いが容易な点から、ドライラミネートが好ましい。
また、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として前記熱硬化性樹脂組成物を用いた場合の本発明に係る抗菌性物品を製造する方法としては、例えば、前記メラミン樹脂層上に前記(メタ)アクリレート系樹脂層を積層した積層体を作製した後、当該積層体の前記(メタ)アクリレート系樹脂層側の表面に前記微小突起構造体を賦型により形成し、前記微小突起構造体が形成された積層体の前記メラミン樹脂層側の面を公知の接着方法により基材に接着する方法等が挙げられる。
前記積層体の(メタ)アクリレート系樹脂層側の表面に、前記微小突起構造体を賦型により作製する方法としては、例えば、メラミン樹脂含浸パターン紙又はメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙の表面に、前記(メタ)アクリレート系樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物を塗布し、当該塗布面に微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を押圧し、熱圧成形した後、前記微小突起構造体形成用原版を除去する方法が挙げられる。このとき使用される微小突起構造体形成用原版としては、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用いた場合に使用することができる微小突起構造体形成用原版と同様のものが挙げられる。
また、前記熱圧成形の条件は、使用する樹脂組成物に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、例えば、加熱温度110℃以上180℃以下、加圧条件5MPa以上10MPa以下とすることができる。
なお、前記積層体は、前記(メタ)アクリレート系樹脂層側に、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物をクラフト紙に含浸、乾燥させて得られるフェノール樹脂含浸コア紙等のコア材層を更に有するものであってもよい。
また、前記熱圧成形の条件は、使用する樹脂組成物に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、例えば、加熱温度110℃以上180℃以下、加圧条件5MPa以上10MPa以下とすることができる。
なお、前記積層体は、前記(メタ)アクリレート系樹脂層側に、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂組成物をクラフト紙に含浸、乾燥させて得られるフェノール樹脂含浸コア紙等のコア材層を更に有するものであってもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(微小突起構造体形成用原版の作製)
表面に銅メッキ処理が施された円筒形の母材の表面に、サンドブラストにてうねった凹凸面に対応する凹凸形状を形成し、その後、該凹凸形状を有する面にクロムマットメッキ処理を施すことにより、微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を形成した。
表面に銅メッキ処理が施された円筒形の母材の表面に、サンドブラストにてうねった凹凸面に対応する凹凸形状を形成し、その後、該凹凸形状を有する面にクロムマットメッキ処理を施すことにより、微小突起構造体に対応する微細凹凸形状を形成した。
[実施例1]
厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材として用い、当該基材の一方の面に、ウレタンアクリレートプレポリマー樹脂を含有する紫外線硬化製樹脂組成物を、硬化後の厚みが15μmとなるようにダイコートにて塗布して塗膜を形成した。
その後、当該塗膜に前記で得られた微小突起構造体形成用原版の微細凹凸形状を有する面を貼り合せ、紫外線を照射し、塗膜を硬化させた後、当該微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、基材上に微小突起構造体を有する微細凹凸層が形成された抗菌性物品を得た。得られた抗菌性物品が有する微小突起構造体は、微小突起間の距離の平均dAVGが1.2μmであり、微小突起の平均高さhAVGが2.2μmであった。
厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材として用い、当該基材の一方の面に、ウレタンアクリレートプレポリマー樹脂を含有する紫外線硬化製樹脂組成物を、硬化後の厚みが15μmとなるようにダイコートにて塗布して塗膜を形成した。
その後、当該塗膜に前記で得られた微小突起構造体形成用原版の微細凹凸形状を有する面を貼り合せ、紫外線を照射し、塗膜を硬化させた後、当該微小突起構造体形成用原版を剥離することにより、基材上に微小突起構造体を有する微細凹凸層が形成された抗菌性物品を得た。得られた抗菌性物品が有する微小突起構造体は、微小突起間の距離の平均dAVGが1.2μmであり、微小突起の平均高さhAVGが2.2μmであった。
また、実施例1で得られた抗菌性物品の微細凹凸層の表面を無作為に5箇所選び、該5箇所に於いて該微細凹凸層の法線方向と平行な面で切断した試料について、電子顕微鏡を用いて拡大画像を撮影した。該画像について微小突起群の谷底を連ねた包絡面を求め、これをうねった凹凸面の断面曲線とした。該断面曲線について、隣接する2凸部間距離の平均値D’AVGを求めた。又、隣接する凸部の頂部と凹部の谷底との高低差の平均値H’AVGを測定した。斯くの如き断面のD’AVGの抗菌性物品10上で無作為に選んだn数5点の平均値を、うねった凹凸面の周期Dの平均DAVGとした。又、H’AVGの測定値のn数5点の平均値を、うねった凹凸面の高さHの平均HAVGとした。その結果、DAVGは200μmであり、HAVGは12μmであった。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
PETフィルム(東洋紡(株)製、型番:A4100)を比較例1の比較物品とした。
PETフィルム(東洋紡(株)製、型番:A4100)を比較例1の比較物品とした。
[比較例2]
実施例1において、樹脂組成物の塗膜に微小突起構造体形成用原版を貼り合せる工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の比較物品を得た。得られた比較物品の表面は、微小突起構造体を有さず、平坦面であった。
実施例1において、樹脂組成物の塗膜に微小突起構造体形成用原版を貼り合せる工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の比較物品を得た。得られた比較物品の表面は、微小突起構造体を有さず、平坦面であった。
[評価]
<抗菌性評価>
各実施例で得られた抗菌性物品及び各比較例で得られた比較物品を、5cm角となるように切り取り試験片を得た。JIS Z2801(2010年版)に準拠して、各実施例の各試験片の微細凹凸面、比較例1においては一方の面、比較例2においては樹脂組成物を塗布、硬化させた面にそれぞれ黄色ブドウ球菌を有する所定菌液を0.4ml滴下し、その上をポリエチレンテレフタラートフィルムで密着するように覆った。当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、48時間培養し、培養後の生菌数を測定した。さらに、各物品について、試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)も測定した。なお、生菌数は、発光測定法により測定した。具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算した。各測定値から、下記式により算出した抗菌活性値を表1に示す。
抗菌活性値=log(未加工試料の培養後生菌数)−log(抗菌性物品又は比較物品の培養後生菌数)
なお、未加工試料の生菌数は、比較例1の比較物品(東洋紡(株)製、A4100のPETフィルム)における培養後の生菌数とした。
抗菌活性値の対数値が2.0以上であれば、抗菌効果があるものとして判断される。
また、黄色ブドウ球菌の滅菌率を下記式により算出した。算出結果を表1に示す。
滅菌率(%)=(試験前生菌数−48時間培養後生菌数)×100/試験前生菌数
さらに、上記と同様にして、黄色ブドウ球菌に代えて大腸菌を用い、抗菌活性値及び滅菌率を求めた。結果を表1に示す。
<抗菌性評価>
各実施例で得られた抗菌性物品及び各比較例で得られた比較物品を、5cm角となるように切り取り試験片を得た。JIS Z2801(2010年版)に準拠して、各実施例の各試験片の微細凹凸面、比較例1においては一方の面、比較例2においては樹脂組成物を塗布、硬化させた面にそれぞれ黄色ブドウ球菌を有する所定菌液を0.4ml滴下し、その上をポリエチレンテレフタラートフィルムで密着するように覆った。当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、48時間培養し、培養後の生菌数を測定した。さらに、各物品について、試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)も測定した。なお、生菌数は、発光測定法により測定した。具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算した。各測定値から、下記式により算出した抗菌活性値を表1に示す。
抗菌活性値=log(未加工試料の培養後生菌数)−log(抗菌性物品又は比較物品の培養後生菌数)
なお、未加工試料の生菌数は、比較例1の比較物品(東洋紡(株)製、A4100のPETフィルム)における培養後の生菌数とした。
抗菌活性値の対数値が2.0以上であれば、抗菌効果があるものとして判断される。
また、黄色ブドウ球菌の滅菌率を下記式により算出した。算出結果を表1に示す。
滅菌率(%)=(試験前生菌数−48時間培養後生菌数)×100/試験前生菌数
さらに、上記と同様にして、黄色ブドウ球菌に代えて大腸菌を用い、抗菌活性値及び滅菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1で得られた抗菌性物品は、隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備えたものであったため、抗菌活性値も高く、抗菌性に優れていた。
それに対して、比較例1、2で得られた比較物品は、微小突起構造体を有さず、表面が平坦な物品であったため、抗菌性に劣っていた。なお、比較例1で得られた比較物品は、抗菌性評価において、48時間培養後には菌が増殖し、試験片全面に菌からなる多数のコロニーが容易に目視で観察された。
それに対して、比較例1、2で得られた比較物品は、微小突起構造体を有さず、表面が平坦な物品であったため、抗菌性に劣っていた。なお、比較例1で得られた比較物品は、抗菌性評価において、48時間培養後には菌が増殖し、試験片全面に菌からなる多数のコロニーが容易に目視で観察された。
1 基材
2 微細凹凸層
2a 微細凹凸面
3 微小突起
10、10’ 抗菌性物品
30 微細凹凸層
31 微細凹凸面
32 微小突起
33 微小突起間の谷底を連ねた包絡面
41 ダイ
42 ロール金型(原版)
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 透明基材
46 受容層
2 微細凹凸層
2a 微細凹凸面
3 微小突起
10、10’ 抗菌性物品
30 微細凹凸層
31 微細凹凸面
32 微小突起
33 微小突起間の谷底を連ねた包絡面
41 ダイ
42 ロール金型(原版)
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 透明基材
46 受容層
Claims (3)
- 複数の微小突起が配置されてなる微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、
隣接する前記微小突起間の距離dの平均dAVGが0.5μm超過且つ5.0μm以下であることを特徴とする、抗菌性物品。 - 前記微小突起の高さhの平均hAVGが0.5μm以上10μm以下である、請求項1に記載の抗菌性物品。
- 前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面が周期D及び高さHでうねった凹凸面であり、前記周期Dの平均DAVGが10μm以上500μm以下であり、前記高さHの平均HAVGが10μm以上200μm以下である、請求項1又は2に記載の抗菌性物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016014418A JP2017132916A (ja) | 2016-01-28 | 2016-01-28 | 抗菌性物品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016014418A JP2017132916A (ja) | 2016-01-28 | 2016-01-28 | 抗菌性物品 |
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JP2016014418A Pending JP2017132916A (ja) | 2016-01-28 | 2016-01-28 | 抗菌性物品 |
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JP (1) | JP2017132916A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020067500A1 (ja) | 2018-09-28 | 2020-04-02 | 株式会社三菱ケミカルホールディングス | 抗菌材、積層体、抗菌性積層体、医療用部材、抗菌材の製造方法、抗菌性積層体の製造方法及び抗菌方法 |
WO2021066107A1 (ja) | 2019-10-04 | 2021-04-08 | 株式会社クレハ | 抗菌性成形体およびその製造方法 |
WO2021161816A1 (ja) | 2020-02-12 | 2021-08-19 | 株式会社クレハ | 抗菌性成形体およびその製造方法 |
JP7097486B1 (ja) | 2021-09-07 | 2022-07-07 | ジオマテック株式会社 | 抗ウイルス性微細構造を備える物品及び抗ウイルス性微細構造の転写方法 |
-
2016
- 2016-01-28 JP JP2016014418A patent/JP2017132916A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021066107A1 (ja) | 2019-10-04 | 2021-04-08 | 株式会社クレハ | 抗菌性成形体およびその製造方法 |
KR20220066081A (ko) | 2019-10-04 | 2022-05-23 | 가부시끼가이샤 구레하 | 항균성 성형체 및 이의 제조 방법 |
WO2021161816A1 (ja) | 2020-02-12 | 2021-08-19 | 株式会社クレハ | 抗菌性成形体およびその製造方法 |
JP7097486B1 (ja) | 2021-09-07 | 2022-07-07 | ジオマテック株式会社 | 抗ウイルス性微細構造を備える物品及び抗ウイルス性微細構造の転写方法 |
JP2023038822A (ja) * | 2021-09-07 | 2023-03-17 | ジオマテック株式会社 | 抗ウイルス性微細構造を備える物品及び抗ウイルス性微細構造の転写方法 |
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