JP2016016646A - 結露抑制部材 - Google Patents

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【課題】優れた視認性を付与することができ、別の物品に貼り付けて用いた際の白化及び剥がれが抑制された結露抑制部材を提供する。【解決手段】透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けられた樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、前記透明基材の他方の面に設けられた粘着層とを有し、前記透明基材の透湿度が35g/m2・24h以下であり、前記微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、dAVG(微小突起の隣接突起間隔dの平均値)≦Λmin(反射防止を図る光の波長帯域の最短波長)なる関係を有し、前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が30?以下であり、前記粘着層の表面における純水の静的接触角が85?以上100?以下であることを特徴とする、結露抑制部材。【選択図】図1

Description

本発明は、結露抑制部材に関するものである。
浴室や洗面所等の湿度の高い部屋又は空間で用いられる鏡や窓等の物品においては、結露の発生による視認性の低下を防ぐため、結露の防止が求められる。また、鏡や窓のような視認性の確保が求められる物品は、反射防止性能を有することにより、視認性をより一層向上することができる。
例えば特許文献1には、透明基材の表面に、可視光線の波長より短い間隔を有するサブ波長レベルの微細な凹凸を形成することによって、所謂モスアイ(蛾の目)構造を利用して反射防止を図ると共に、水との接触角が所望の値となる透明材料を選択することによって、微細凹凸面における濡れ性を制御することができる旨が開示されている。特許文献1には、具体的には、板ガラスやアクリル樹脂板の両面に熱成形法によって微細凹凸構造を形成したものや、板ガラスに透明樹脂を塗布した上に、微細凹凸構造を形成したものを、フロントウインドウガラス、サイドウインドウ又はメーターフロントカバーとして用いた例が記載されている。
また、特許文献2には、表面に微細凹凸構造を有する防曇性透明部材であって、前記微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものが開示されている。具体的には、特許文献2には、アクリル樹脂フィルムの表面に微細凹凸構造を有する硬化樹脂膜が形成された防曇フィルムを、両面接着テープを介してガラス板に貼着した防曇性透明部材が記載されている。
特開2007−187868号公報 特開2009−271298号公報
しかしながら、従来は、結露防止性能及び反射防止性能の双方を有する部材を、結露が生じ易い環境下で別の物品に貼り付けて用いた場合、経時で白化が生じて視認性が低下したり、剥がれや浮きが生じる場合があるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた視認性を付与することができ、別の物品に貼り付けて用いた際の白化及び剥がれが抑制された結露抑制部材を提供することを目的とする。
本発明に係る結露抑制部材は、透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けられた樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、前記透明基材の他方の面に設けられた粘着層とを有し、
前記透明基材の透湿度が35g/m・24h以下であり、
前記微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、dAVG≦Λminなる関係を有し、
前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が30°以下であり、
前記粘着層の表面における純水の静的接触角が85°以上100°以下であることを特徴とする。
本発明に係る結露抑制部材は、前記粘着層の表面をガラス面に貼り付けて用いられる態様が、接着性に優れる点から好ましい。
本発明によれば、優れた視認性を付与することができ、別の物品に貼り付けて用いた際の白化及び剥がれが抑制された結露抑制部材を提供することができる。
本発明に係る結露抑制部材の一例を模式的に示す断面図である。 多峰性の微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 微細凹凸層の別の一例を模式的に示す断面図である。 微小突起の高さHの度数分布の例を示す図である。 微細凹凸層形成用原版の製造工程を示す図である。 微細凹凸層形成用原版の製造工程における陽極酸化工程とエッチング工程により作製される微小孔を模式的に示す図である。 微細凹凸層の形成方法の一例を示す概略図である。
本発明において「部材」は、「板」、「シート」、「フィルム」等を含む意味である。
また、本発明において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「直交」、「水平」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において硬化物とは固化したもののことをいう。
本発明に係る結露抑制部材は、透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けられた樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、前記透明基材の他方の面に設けられた粘着層とを有し、
前記透明基材の透湿度が35g/m・24h以下であり、
前記微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、dAVG≦Λminなる関係を有し、
前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が30°以下であり、
前記粘着層の表面における純水の静的接触角が85°以上100°以下であることを特徴とする。
上記本発明に係る結露抑制部材について図を参照して説明する。図1は、本発明に係る結露抑制部材の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される結露抑制部材10は、透明基材1と、透明基材1の一方の面に設けられた微細凹凸層2と、透明基材1の他方の面に設けられた粘着層4とを有する。
微細凹凸層2は、複数の微小突起3が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、微小突起3の隣接突起間隔d(図1参照)の平均値をdAVGとしたときに、dAVG≦Λminなる関係を有することにより、Λmin以上の波長を有する光の反射防止を図ることができる。なお、前記微細凹凸層2の微細凹凸形状側の表面を、以下単に微細凹凸面22と称する場合がある。
本発明に係る結露抑制部材は、優れた視認性を付与することができ、結露が生じ易い環境下で別の物品に貼り付けて用いた場合においても、白化及び剥がれが抑制されたものである。なお、本発明において剥がれとは、結露抑制部材を貼り付けた別の物品から、該結露抑制部材の少なくとも一部が離れて取れること、及び、結露抑制部材を貼り付けた別の物品から、該結露抑制部材の少なくとも一部が浮いて、隙間ができることを含む意味である。
従来、結露防止性能及び反射防止性能を有する部材を結露が生じ易い環境下で別の物品に貼り付けて用いた場合、当該部材を貼り付けた箇所が経時で白化して視認性が悪化する場合や、剥がれが生じる場合があった。
本発明者らは、従来の白化の原因が、基材を透過して侵入した水分により白濁が生じるためであると考え、基材の透湿度に着目した。本発明に係る結露抑制部材は、透湿度が特定の値以下の透明基材を用いることにより、白化が抑制されていると考えられる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、透湿度が特定の値以下の透明基材を用い、且つ粘着層表面における純水の静的接触角が特定の範囲内であることにより、剥がれが抑制されていると考えられる。本発明に係る結露抑制部材は、透湿度が特定の値以下の透明基材を用いていることから基材表面側からの水分の侵入を抑制することができ、且つ、粘着層表面における純水の静的接触角が、特定の値以上であることにより、粘着層が水分を吸収し難くなるため、水分が吸収されたことに起因する剥がれが抑制されると考えられる。また、粘着層表面の極性は、純水の静的接触角が大きいほど低下すると考えられるところ、本発明においては、粘着層表面の純水の静的接触角が特定の値以下であるため、極性が低すぎずに粘着性が良好であると考えられる。ここで、本発明の結露抑制部材が貼り付けられる窓や鏡等の物品の表面には、ガラス板等の極性の高い材料が多く用いられる。極性の高い材料同士は、貼り付けたときの粘着力に優れるため、本発明に係る結露抑制部材は、粘着層側の表面を窓や鏡等のガラス面を有する他の物品に貼り付けたときに中でも優れた粘着力を発揮すると考えられる。
また、本発明に係る結露抑制部材が優れた視認性を付与できるのは、白化による視認性の悪化が抑制されたことに加え、優れた結露防止性能による防曇効果が発揮されるためである。
本発明に係る結露抑制部材は、上記特定の微細凹凸形状により、反射防止性能を有しながら、当該微細凹凸形状の構造上、液体が濡れ広がり易く、広がった液体は再凝集され難く、部材に保持されるため、結露抑制効果に優れる。また、本発明に係る結露抑制部材は、微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が特定値以下であることから、特に水が濡れ広がり易い。広がった液体が再凝集され難いのは、微小突起構造体を構成する微小突起間の谷部に液体が保持されることにより、重力に従って液体が集合して液滴を形成することが抑制されることも一因になっていると考えられる。さらに、本発明に係る結露抑制部材は、微細凹凸層表面の表面積が大きく、速乾性に優れることからも、結露抑制効果に優れると考えられる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、反射防止を図る光の波長帯域を可視光とし、可視光の反射防止性能を付与することにより、視認性をさらに向上することができる。
<透明基材>
本発明に用いられる透明基材としては、透湿度が35g/m・24h以下のものであれば特に限定はされない。前記透明基材の透湿度は、経時での白化がさらに抑制される点から、30g/m・24h以下であることが好ましく、20g/m・24h以下であることがより好ましい。
なお、本発明において透湿度は、JIS Z 0208に準拠した透湿度試験方法(カップ法)により、40℃、相対湿度90%の条件下で測定され、好ましくは3個以上の透明基材の透湿度の平均値とする。
本発明に用いられる透明基材は、前記透湿度を満たすものであれば特に限定されず、例えば透明部材に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。本発明に用いられる透明基材の材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられ、中でも、透湿度が良好であり、透明性に優れ、後述する粘着層との密着性に優れ、耐水性に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明基材は、視認性の点から、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の結露抑制部材の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、30〜300μmであることが、透湿度の観点から好ましい。前記透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材と、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また透明基材と微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を透明基材と微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
<微細凹凸層>
本発明における微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有する。
前記微細凹凸層が有する微小突起の形状は、特に限定はされず、円柱状、多角柱状等の柱状であってもよいが、中でも、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有するもの、すなわち、先細りとなっている形状が、反射防止性能に優れる点から好ましい。先細りの微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。微小突起が上記先細りの形状を有することにより、微細凹凸等の深さ方向における屈折率の変化が、より均等に連続的に変化するため、反射防止性能が向上する。
また、前記微小突起群の中には、例えば図2の如き頂点を複数有する微小突起(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)が含まれていても良い。なお、図2は等高線図であり、AFMによる計測結果によるデータを部分的に選択して詳細に示したものである。図2において、数字の単位はnmであり、X座標及びY座標は、所定の基準位置からの座標値である。また、多峰性の微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起にくらべて表面積が広くなるため、多峰性の微小突起を含むことにより結露抑制効果が向上する。また、多峰性の微小突起は、単峰性の微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明においては、結露抑制効果、機械的強度及び耐擦傷性がさらに向上することから、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことが好ましい。また仮に微小突起が損傷した場合でも、その損傷箇所の面積を低減することができ、これによっても反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。
また本発明において、多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂点を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
ここで多峰性微小突起は、単に頂点を複数有するだけでなく、微小突起を先端側より平面視覚した場合に、ほぼ中央より外方に向かって形成された溝により複数の領域に分割され、この複数の領域の各領域が、それぞれ各頂点に係る峰であるように形成される。
またこの多峰性の微小突起は、対応する形状を備えた微小孔の賦型処理により作製され、このような多峰性の微小突起に係る微小孔は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにおいて、極めて近接して作製された微小孔が、エッチング処理により、一体化して作製される。これにより多峰性の微小突起は、微小突起を先端側より平面視覚した場合の周囲長が、単峰性の微小突起に比して長く形成されている。なおこれら多峰性微小突起の形状は、特開2012−037670号公報に開示の賦型処理時の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起とは異なる特徴である。
本発明においては、前記微細凹凸層2において、前記微小突起3が、隣接する前記微小突起3間の距離d(以下、「隣接突起間隔d」と称する。)の平均値dAVGが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下Λmin以下(dAVG≦Λmin)となるよう密接して配置される。
この隣接突起間隔dに係る隣接する微小突起3は、いわゆる隣り合う微小突起3であり、基材側の付け根部分である微小突起3の裾の部分が接している突起である。本発明に係る結露抑制部材では、微小突起3が密接して配置されることにより、微小突起3間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起3を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。隣接突起間隔dに係る隣接する微小突起3は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
本発明に係る結露抑制部材を、視認性の向上も目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定される。
前記微小突起群中の各微小突起3が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接突起間隔dは、微小突起配列の周期pと一致するため、dAVG=pとなる。よって、本発明に係る結露抑制部材が反射防止効果を奏し得る条件は、dAVG=p≦Λminであり、微小突起配列の周期p以上の波長を有する光に対して反射防止効果を奏することができる(例えば、特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報を参照することができる)。従って、例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を得るためには、可視光線帯域の最短波長を380nmとした場合、微小突起配列の周期を380nm以下とすればよい。
また、前記微小突起群中の各微小突起が同一の高さHを有するとき、反射防止効果を得ようとする波長のうち最長波長Λmaxの0.2倍以上であることが好ましい(H≧0.2×Λmax)。従って、例えば可視光線帯域の全波長に対して優れた反射防止効果を得ようとするためには、可視光線帯域の最長波長を780nmとした場合、H≧0.2×780nm=156nmであることが好ましい。また、特に限定されないが、H≦350nmであることが好ましい。
なお、本発明において各微小突起3の高さHとは、その頂部に存在する最高高さを有する峰(最高峰)の高さを言う。単峰性の微小突起の場合は、頂部における唯一の峰の高さが該微小突起の突起高さとなる。多峰性の微小突起の場合は、頂部に在る麓部を共有する複数の峰のうちの最高峰の高さをもって該微小突起の高さとする。
本発明において、前記微小突起群中の各微小突起3が不規則に配列されている場合は、以下のようにして隣接突起間隔dの平均値dAVGを求めることができる。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。本発明において、平面視拡大写真を用いた画像データの処理は、例えば、1μm×1μmの領域を50,000倍に拡大した平面視拡大写真を、3枚用いて平均することにより行うことができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。図3は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図である。ドロネー図とは、図3の例に示されるように、微小突起3の各極大点31を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分32で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各三角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間隔d)の度数分布を求める。なお、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接突起間隔が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接突起間隔の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間隔平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
(5)このようにして求めた隣接突起間隔dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。本発明においては、隣接突起間隔dの最大値dmaxをdmax=dAVG+2σと定義して算出する。
前記微小突起群中の各微小突起3の高さHに高低差がある場合、微小突起の高さHの平均値HAVG及び標準偏差σは、上述の隣接突起間隔dの平均値dAVG及び標準偏差σを求める手法と同様の手法を適用して求めることができる。
まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVGを求める。突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。この場合は麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間隔に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、透明基材の表面若しくは裏面又は微細凹凸層の微細凹凸面が存在する側とは反対側の面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ透明基材の表面若しくは裏面又は微細凹凸層の微細凹凸面が存在する側とは反対側の面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起3の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば図4に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面21が、可視光線帯域の最長波長λMAXよりも大きい周期D(すなわちD>λMAXである)でうねることもある。該周期的なうねりは、透明基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは透明基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λMAXを満たす周期Dでうねった凹凸面21が多数の微小突起3からなる微細凹凸層2の微細凹凸面22に重畳することによって、当該微細凹凸面22で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱させ、反射防止性を一段と向上させることができる。
尚、係るうねりによる凹凸面21の周期Dが全面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面21について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
min=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間隔Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微細凹凸面22の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
min>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
また、結露抑制部材10の良好な平滑性を確保するために、前記周期Dでうねった凹凸面21の高低差(図4中のh)は、10nm以下であることが好ましく、1nm〜5nmの範囲内であることがより好ましい。なお、前記凹凸面21により形成される凹凸面の高低差は、例えば500nm以上離れた微小突起3の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起3の谷底部の位置は、結露抑制部材10を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
微小突起3が不規則に配置されている場合には、上述のようにして求めた隣接突起間隔dの平均値dAVGが、dAVG≦Λminを満たすことが必要であり、最大値dmax=dAVG+2σが、dmax≦Λminを満たすことが好ましい。例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためには、dAVG≦380nmとすればよく、dmax=dAVG+2σ≦380nmとすることが好ましい。可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dAVG≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦300nmであり、より更に好ましい条件は、dAVG≦200nmであり、特に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dAVG≧50nmであり、好ましくは、dAVG≧100nmとされる。
微小突起3の高さHに高低差がある場合については、突起高さHについては、十分な反射防止効果を発現する為には、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmaxとしたときに、HAVG≧0.2×Λmaxとなることが好ましく、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためにはHAVG≧0.2×780nm=156nmであることが好ましく、HAVG≧170nmとすることがより好ましい。突起の高さHAVGは、反射防止効果の点から、通常350nm以下とされる。また、突起の高さの分布は、通常50〜350nmである。
微小突起3のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)は、特に限定されないが、結露抑制効果に優れる点及び反射防止性能の観点から、0.8〜2.5であることが好ましく、更に、1.2〜2.1であることがより好ましい。
本発明において、前記微小突起群を構成する複数の微小突起は、頂点を複数有する多峰性微小突起と、頂点が1つの単峰性微小突起を含むことが、結露抑制効果、耐擦傷性及び反射防止性能が向上する点から好ましい。単峰性の微小突起と多峰性の微小突起とを混在させる場合には、広い波長帯域で低い反射率を確保することができる。
すなわち、前記微小突起群が、単峰性の微小突起のみからなり、アスペクト比が一定である場合、例えば可視光域では十分に小さな反射率を確保できる場合でも、紫外線域では可視光域に比して反射率が増大して反射防止機能が不足する恐れがある。なお微小突起のピッチを一段と小さくして紫外線域で十分な反射防止機能を確保できるように設定すると、今度は、赤外線域で反射防止機能が低下する恐れがある。これに対し、多峰性の微小突起では、隣接突起間隔dを低下させた反射防止機能を確保することができる。そのため、多峰性微小突起と単峰性微小突起とを混在させると、広い波長帯域で低い反射率を確保することができることになる。
本発明において、前記微小突起群を構成する全微小突起中における多峰性微小突起の個数の比率は、10%以上であることが好ましく、特に多峰性微小突起による耐擦傷性向上の効果を十分に奏するためには、多峰性微小突起の比率は20%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更により好ましい。また、多峰性微小突起の比率は、特に限定されないが、通常98%以下である。
また、本発明に係る結露抑制部材は、可視光域に係る入射光に対する反射防止機能を向上する点から、前記微小突起の高さHの度数分布における高さHの平均値HAVGと標準偏差をσとは、
H<HAVG−σの領域を低高度領域とし、
AVG−σ≦H≦HAVG+σの領域を中高度領域とし、
AVG+σ<Hの領域を高高度領域とした場合に、
各領域内の前記多峰性微小突起の数Nmと、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、
中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Ntと、
中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Ntとの関係を満たすことが好ましい。
上記関係を満たすことにより、本発明に係る結露抑制部材は、中高度領域の多峰性の微小突起の数(Nm)と、度数分布全体における微小突起の総数(Nt)との比(Nm/Nt)が、低高度領域や高高度領域の多峰性の微小突起の数と、度数分布全体における微小突起の総数(Nt)との比(Nm/Nt)よりも大きいので、反射防止機能の広帯域化をより具体的に図ることができる。
中でも、微小突起の高さの度数分布が、峰が1つの分布であって、前記多峰性微小突起が前記度数分布の峰の裾野部よりも峰の頂部近傍に多く分布していることが好ましい。
例えば図5に示す微小突起の高さHの度数分布の例のように、微小突起の高さの度数分布が、峰が1つの分布であって、前記微小突起の高さHの度数分布における高さHの平均値HAVGと標準偏差σとは、
H<HAVG−σの領域を低高度領域とし、
AVG−σ≦H≦HAVG+σの領域を中高度領域とし、
AVG+σ<Hの領域を高高度領域とした場合に、
各領域内の前記多峰性微小突起の数Nmと、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、
中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Ntと、
中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Ntとの関係を満たす場合には、反射防止機能の広帯域化をより具体的に図ることができる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、微小突起が上記のような高さHの度数分布を有する構成であることにより、高さが高い微小突起に分布する多峰性の微小突起の比率が小さく、単峰性の微小突起の比率が多いので、他の物体が微小突起に摩擦接触したとしても、高さの高い単峰性の微小突起が先に接触することになり、結露抑制効果及び反射防止性能を向上させる多峰性の微小突起に接触するのを抑制することができ、効率良く多峰性の微小突起の耐擦傷性を向上することができ、優れた結露抑制効果及び反射防止性能を維持できる。
また、本発明においては、前記微細凹凸層の表面、すなわち微細凹凸面における純水の静的接触角が30°以下である。前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角は、結露抑制効果が向上する点から、25°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましく、10°以下であることが更により好ましい。
本発明において、微細凹凸面における純水の静的接触角は、以下のように測定される。
まず、本発明に係る結露抑制部材を、微細凹凸面側を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に水平に貼り付ける。次いで、接触角を測定しようとする溶剤(純水)1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置は、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、測定することができる。
微細凹凸層の厚み(図1におけるT)は、適宜調整すればよいが、1μm〜30μmであることが好ましく、3μm〜10μmであることがより好ましい。なお、本発明において微細凹凸層2の厚みTは、当該微細凹凸層2の微細凹凸面側とは反対側の面から、最も高い微小突起3の頂部までの厚みで定義される。
(微細凹凸層用樹脂組成物)
本発明における微細凹凸層は、樹脂組成物の硬化物からなる。樹脂組成物は、特に限定されず、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。樹脂組成物には、1種類の樹脂のみが含まれるものも包含される。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられる。なお、電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
中でも、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)が300MPa以下であり、且つ、当該樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である場合には、微細凹凸形状が拭取る程度の圧力で変形し、且つ、優れた弾性復元性を備え、防汚性、耐久性の点から好ましい。
E’を300MPa以下とすることにより、拭取り時の圧力によって微細凹凸形状が変形し、凹凸間の隙間に入り込んだ汚れを除去することが可能となる。中でも貯蔵弾性率(E’)が、1〜250MPaであることが好ましく、1〜100MPaであることがより好ましい。
また、損失正接を0.2以下とすることにより、拭取り時に変形した微小突起が、弾性復元され、元の形状に戻りやすい。これにより、微小突起の塑性変形や微小突起先端同士の付着が抑制され、微細凹凸形状が有する機能を低下することなく、汚れを拭取ることが可能になる。中でも、tanδが0.18以下であることが好ましい。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより十分に硬化させて、基材及び微細凹凸形状を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
本発明の結露抑制部材は、前記樹脂組成物が親水性であることにより結露抑制効果が向上する点から、前記樹脂組成物としては、平坦な硬化膜表面における純水の静的接触角が90°未満であるものを選択して用いることが好ましい。親水性を向上する点からは、前記樹脂組成物の硬化物は、平坦な硬化膜表面における純水の静的接触角が、60°以下であることが好ましく、更に50°以下であることが好ましい。
このような親水性の樹脂組成物を用いて微細凹凸層を形成すると、微細凹凸面における純水の静的接触角は、平坦な硬化膜表面に比べて小さくなり、親水性になる又は親水性が強調される。
なお、本発明において、樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における純水の静的接触角は、上述した微細凹凸面における純水の静的接触角と同様にして測定することができる。樹脂組成物の平坦な硬化膜は、透明基材上に微細凹凸層用の樹脂組成物を塗布し、硬化させることにより得ることができる。当該硬化膜は、純水の静的接触角の再現性が取れるように(例えば標準偏差が4°以内となるように)十分に溶媒を乾燥し、必要に応じて十分に反応させて硬化したものとする。例えば、電離放射線硬化性樹脂が用いられる場合、透明基材上に厚さ5μmの微細凹凸層用の樹脂組成物からなる塗膜を形成し、紫外線を940mJ/cm以上の積算光量となるように照射することにより十分に反応させて硬化した硬化膜を形成する。
前記樹脂組成物としては、結露抑制部材の用途に合わせて、適宜、好ましい親水性及びその他の物性が得られるように選択される。
微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる電離放射線硬化性樹脂の中で、特に好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物を例にとって、以下具体的に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物が上記貯蔵弾性率(E’)とtanδを満たしやすく、微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
一方、硬度を高くする点からは、多官能(メタ)アクリレートのみを用いることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の防汚性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性及び復元性に優れ、且つ微細凹凸表面の親水性が向上する点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜99.2質量%であることが好ましく、15〜99.1質量%であることがより好ましい。
親水性を高くするために、本発明において好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートが含まれる組成物である。中でも、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、70〜99質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましい。また、当該アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量は、使用される全(メタ)アクリレート化合物中に80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。
また、硬化物の微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立しやすく、優れた拭取り性と防汚性を得る点からは、本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物は、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
(2)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
(3)帯電防止剤
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微細凹凸層表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。なお本発明において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
(4)溶剤
本発明において樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
(5)その他の成分
本発明において用いられる微細凹凸層用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
前記微細凹凸層を形成する方法は、微細凹凸形状を表面に有する微細凹凸層を形成する従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。
例えば、まず透明基材上に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸層形成用原版の凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦型した後、該樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層を形成し、前記微細凹凸層形成用原版から剥離する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。なお、微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微細凹凸層の微細凹凸面の形状に対応する形状である。
前記微細凹凸層形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は他の層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
また、前記微細凹凸層形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、前記微細凹凸層形成用原版は、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
すなわち、図6に示すように、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理する。
微細な凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微小孔が密に作製される。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微小孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成され、すなわち、当該微細凹凸の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微細凹凸を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微細凹凸の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微細凹凸形状が形成される。
多峰性の微小突起を含む微小突起群を有する微細凹凸層形成用の原版においては、特に限定されないが、例えば、以下の第1〜第5の工程を有する方法により、深さの分布が制御された微小孔を形成することができ、微小突起の高さHの度数分布における高さHの平均値HAVGと標準偏差をσとが、
H<HAVG−σの領域を低高度領域とし、
AVG−σ≦H≦HAVG+σの領域を中高度領域とし、
AVG+σ<Hの領域を高高度領域とした場合に、
各領域内の前記多峰性微小突起の数Nmと、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、
中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Ntと、
中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Ntとの関係を満たすような、微細凹凸面を作製するための微細凹凸形状を微細凹凸層形成用原版に形成することができる。
上述したように、微細凹凸層形成用原版に形成される微小孔は、陽極酸化処理及びエッチング処理の交互の繰り返しによって形成されるが、この繰り返しの陽極酸化処理における印加電圧を変えることによって、微小孔の深さ(微小突起の高さ分布)を制御することができる。ここで、陽極酸化処理における印加電圧と、形成される微小孔の間隔(ピッチ)とは、比例する関係にあるため、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにおいて、陽極酸化処理の印加電圧を変えることにより、深さ方向に掘り進める時間が相違する微小孔を混在させてその比率を制御することができる。
また、このように陽極酸化処理における印加電圧を変える場合にあっては、太さの太い微小孔の底面に、複数の微小孔を作成して多峰性の微小突起に係る微小孔とすることができる。この太さの太い微小孔の高さの制御等により、多峰性の微小突起についても、高さ分布を制御することができる。
図7は、このような高さの分布の制御の説明に供する模式図であり、微細凹凸層形成用原版の製造工程における陽極酸化工程とエッチング工程とにより作製される微小孔を示す図である。
上述したように、陽極酸化処理における印加電圧と、微小孔のピッチとの関係は比例関係であるが、実際上、処理に供するアルミニウムの粒界等により微小孔のピッチにはばらつきが生じる。しかし、図7においては、このばらつきが存在しないものとして、微小孔が規則正しい配列により作製されるものとして説明する。なお、図7(a)〜図7(e)において、左側の図は、微小孔が形成されるロール版の表面の拡大図を示し、右側の図は、左側の図におけるa−a断面図を示す。
(第1の工程)
図7(a)に示すように、まず、微細凹凸層形成用原版の表面のアルミニウム層に、電圧V1を印加して陽極酸化工程A1を実行した後に、エッチング工程E1を実行し、微小孔f1を形成する。ここで、陽極酸化工程A1は、アルミニウムのフラット面に後続する陽極酸化処理のきっかけを作製するものである。なお、この場合、エッチング工程を適宜省略してもよい。
(第2の工程)
次に、電圧V1よりも高い電圧V2(V2>V1)を印加して陽極酸化工程A2を実行した後に、エッチング工程E2を実行する。これにより、陽極酸化工程A2では、図7(b)に示すように、先の陽極酸化工程A1により形成された微小孔f1のうち、陽極酸化工程A2に対応する間隔の微小孔f1を更に掘り下げる。
本実施形態では、陽極酸化工程A2によって、先の陽極酸化工程A1で形成された微小孔f1を二つ置きに掘り進める処理が行われる。従って、微細凹凸層形成用原版の表面には、二つ置きに広くかつ深く掘り下げられた微小孔f2が形成され、ロール版の表面には、微小孔f1と微小孔f2とが混在する状態となる。
(第3の工程)
続いて、電圧V2よりも高い電圧V3(V3>V2)を印加して陽極酸化工程A3を実行した後に、エッチング工程E3を実行する。この工程では、ピッチの異なる微小孔を作製する。具体的には、印加する電圧を、電圧V2から電圧V3へ徐々に上昇させ、この印加電圧の上昇を離散的(段階的)に実行すると、微小突起の高さ分布(微小孔の深さ分布)を離散的に作製することができ、この印加電圧の上昇を連続的に実行すると、微小突起の高さ分布を正規分布に設定することができる。そのため、本実施形態では、陽極酸化工程A3における印加電圧の印加時間、エッチング工程の処理時間を上述の第1の工程、第2の工程よりも長く設定することにより、図7(c)に示すように、最初の陽極酸化工程A1において形成された微小孔f1が二つ、一つに纏まるように広くかつ深く掘り進められ、また、その一つに纏められた微小孔f3の底面が略平坦に形成される(平坦微小孔形成工程)。ここで、略平坦とは、微小孔の底面が平坦な状態だけでなく、その底面が大きい曲率半径で湾曲している状態をも含む状態をいう。
(第4の工程)
続いて、電圧V3よりも高い電圧V4(V4>V3)を印加して陽極酸化工程A4を実行した後に、エッチング工程E4を実行する。この工程では、目的とする突起間間隔によるピッチにより微小孔を作成する。この陽極酸化工程A4においても、印加電圧は、電圧V3から電圧V4へ徐々に上昇させる。これにより、上記第3の工程により掘り進められた微小孔f3の一部が更に掘り進められ、その結果、図7(d)に示すように、微小孔f4となり、この微小孔f4が高さの高い単峰性の微小突起を形成する。
(第5の工程)
続いて、印加電圧を上記第1の工程における電圧V1に変更して陽極酸化工程A5を実行した後に、エッチング工程E5を実行する。この工程では、陽極酸化工程A3において形成された微小孔f3であって、第4の工程の陽極酸化工程A4の影響を受けていない微小孔f3の底面に、図7(e)に示すように、微小孔を複数個形成し、多峰性の微小突起に対応する微小孔f5を形成する(多峰性微小突起用微小孔形成工程)。ここで、印加する電圧V1の大きさを調整することによって、微小孔f5の底面に形成される微小孔の数を増減したり、その微小孔の間隔を調整したりすることができる。
以上より、微細凹凸層形成用原版の表面には、高さの異なる微小突起を形成する微小孔f1、f2、f4や、多峰性の微小突起を形成する微小孔f5が形成される。
ここで、この一連の工程では、第1の工程及び第2の工程により作製された深さの異なる微小孔f1、f2を、第3の工程で掘り進めて底面の略平坦な微小孔f3を作製し、第4の工程において、この微小孔f3を掘り進めて単峰性の微小突起に係る微小孔f4を作製し、また、第5の工程において、この微小孔f3の底面を加工して多峰性の微小突起に係る微小孔f5を作製している。ここで、第1の工程から第4の工程に係る陽極酸化工程の印加時間、処理時間、エッチング工程の処理時間等を制御して、各工程で作製される微小孔の深さを制御することにより、微小突起の高さの分布や、多峰性の微小突起の高さの分布を制御することができる。なお、上述の第1の工程〜第5の工程は、必要に応じて回数を省略したり、繰り返したり、工程を一体化したりすることができる。
図8に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸層形成用原版としてロール金型を用いた場合に、透明基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図8に示す方法では、樹脂供給工程において、帯状フィルム形態の透明基材1の一面側に、ダイ11により微細凹凸層用樹脂組成物を塗布し、微小突起形状の受容層2’を形成する。なお微細凹凸層用樹脂組成物の塗布方法については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ13により、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に透明基材1を加圧押圧し、これにより透明基材1に受容層2’を密着させると共に、ロール金型12の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層2’を構成する微細凹凸層用樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により微細凹凸層用樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材の表面に微細凹凸層2を作製する。続いて剥離ローラ14を介してロール金型12から、硬化した微細凹凸層2と一体に透明基材1を剥離することにより、透明基材1と微細凹凸層2を有する積層体を作製する。これにより、ロール材による長尺の透明基材1に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型12の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、前記積層体が効率良く大量生産される。透明基材1の微細凹凸層2とは反対側の面に、後述する粘着層を作製した後、必要に応じて所望の大きさに切断して本発明の結露抑制部材を作製することができる。
なお、上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状の結露抑制部材を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、結露抑制部材の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による微細凹凸層形成用原版を使用した賦型処理等により、枚葉状の結露抑制部材を作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸層形成用原版は、結露抑制部材の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
<粘着層>
本発明に係る結露抑制部材が有する粘着層は、表面における純水の静的接触角が85°以上100°以下である。本発明に係る結露抑制部材は、透湿度が特定の値以下の前記透明基材を用い、且つ粘着層表面における純水の静的接触角が、前記下限値以上であることにより、別の物品に貼り付けた際の白化及び剥がれが抑制され、粘着層表面における純水の静的接触角が前記上限値以下であることにより、優れた粘着力を有する。また、前記静的接触角の範囲内であれば、前記粘着層をガラス面に貼り付けても十分な密着性を確保できる。中でも、前記粘着層表面における純水の静的接触角が、85°〜87°の範囲内であると、ガラス面への密着性に特に優れ、89°〜100°の範囲内であると、樹脂面への密着性に優れる。粘着層表面における純水の静的接触角は、例えば、粘着層に含まれる粘着剤の種類によって調整することができる。なお、粘着層表面における純水の静的接触角は、上述した微細凹凸面における純水の静的接触角と同様にして測定することができる。
前記粘着層としては、表面における純水の静的接触角が前記特定の範囲内であれば特に限定はされず、例えば透明部材に用いられる公知の粘着層の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。
前記粘着層に含まれる粘着剤としては、例えば、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤等を挙げることができ、中でも、粘着性、透明性及び耐水性に優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
前記アクリル系粘着剤としては、例えば、粘着性を与える主単量体と、接着性改良等のために用いられる他の単量体とを共重合させた共重合体を挙げることができる。前記主単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル及びアクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸ベンジル等が挙げられる。前記他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等のコモノマー成分、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、N−ビニルモルフォリン、N−アリルモルフォリン、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン等の官能基含有モノマー成分等が挙げられる。
前記アクリル系粘着剤としては、中でも、アクリル酸メチル及びメタクリル酸ブチルから選ばれる少なくとも一種を単量体成分として含むことが好ましく、アクリル酸メチル及びメタクリル酸ブチルを単量体成分として含むことがより好ましい。
前記粘着層は、前記粘着剤に加えて、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、エポキシ系、イソシアネート系等の架橋剤、金属キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光重合開始剤、剥離剤等を挙げることができる。
前記粘着層の厚さは、用途に応じて適宜調整され、特に限定されないが、通常、5μm〜300μmの範囲内であり、中でも10μm〜100μmの範囲内、特に15μm〜50μmの範囲内であることが、本発明に係る結露抑制部材を別の物品に貼り付けて用いた際の白化及び剥がれが抑制されやすい点から好ましい。
粘着層の形成方法としては、例えば、透明基材上に粘着層形成用材料を塗布する方法、透明基材上に粘着層を転写する方法、粘着層形成用材料と透明基材形成用材料とを溶融共押出しして成形する方法、粘着層形成用材料を、例えば押出し等によりフィルム状に成形した後に透明基材に貼着する方法などが挙げられる。中でも、粘着層を平滑性良く形成できることから、透明基材上に粘着層形成用材料を塗布する方法、粘着層形成用材料をフィルム状に成形した後に透明基材に貼着する方法が好ましく用いられる。
前記塗布方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
粘着層形成用材料をフィルム状に成形した後に透明基材に貼着する方法としては、具体的には、2層の剥離フィルム間に粘着層が設けられた層構成を有する粘着シートを準備し、一方の面の剥離フィルムを除去して粘着層を透明基材に貼着した後、必要に応じてもう一方の面の剥離フィルムを除去する方法が挙げられる。なお、粘着シートとしては、市販のものを用いることができる。
<その他の構成>
本発明の結露抑制部材は、本発明の効果を損なわない範囲において、更にその他の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、低反射層、紫外線吸収層(UVA層)、放熱層(熱伝導層)等が挙げられる。
また、本発明の結露抑制部材は、微細凹凸層及び/又は粘着層の表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。これにより、保管、搬送等の間における結露抑制部材の表面の損傷、汚染を防止することができる。
<結露抑制部材の物性>
本発明に係る結露抑制部材の全光線透過率は、用途により、85%以上であることが好ましく、更に90%以上であることが好ましく、より更に92%以上であることが好ましい。全光線透過率が前記下限値以上であることにより、結露抑制部材の透明性が向上するため、下地の意匠性を損傷しない点、又は視認性に優れる点において好ましい。
なおここで、結露抑制部材の全光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に係る結露抑制部材のヘイズ値は、用途により、3%以下であることが好ましく、更に1%以下であることが好ましい。ヘイズ値が前記上限値以下であることにより、結露抑制部材の透明性が向上するため、下地の意匠性を損傷しない点、又は視認性に優れる点において好ましい。
なおここで、結露抑制部材のヘイズ値は、JIS K−7136により測定することができる。
また、本発明の結露抑制部材は、用途により、反射Y値が4%以下である部材とすることが好ましい。ここで、反射Y値とは、分光光度計(島津製作所製 MPC3100)にて、5°正反射率を380〜780nmまでの波長範囲で測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフト(MPC3100内蔵)で算出される、視感反射率を示す。
具体的に、本発明の結露抑制部材は、反射Y値が、2.5%以下となることが好ましい。
<結露抑制部材の用途>
本発明に係る結露抑制部材は、特に限定はされないが、例えば、結露によって視界を悪化させやすい鏡、窓、窓のサッシ、車のサイドミラー等に貼り付けて用いることができる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、反射防止性能を有するため、例えば、店舗のショーウィンドウや、美術館の展示物の展示窓;時計等、各種計測機器の表示窓表面;道路標識や、ポスター等の各種印刷物;自動車、航空機等の乗り物や、各種建築物の窓等の前面又は両面に貼り付けて、結露を抑制するとともに、視認性を向上することができる。また、眼鏡、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の各種光学機器や、各種照明機器の窓材等に貼り付けて用いることもできる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、視認性に優れるため、上記各種物品の表面に貼り付けても、意匠性を害することなく好適に使用することができる。
また、本発明に係る結露抑制部材は、微細凹凸面において着雪及び着氷を抑制することができるため、着雪着氷防止部材としても用いることができる。
本発明に係る結露抑制部材は、微細凹凸面の粉体付着抑制効果も期待できる。前記微細凹凸面においては、例えば、無機系粉体、各種ポリマー等の有機系粉体の付着を抑制することができ、中でも、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含む粉体の付着を好適に抑制することができる。金属酸化物を含む粉体の具体例としては、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイシャドウ等の化粧品や、パウダーブラスト剤、チョークなどが挙げられる。
更に、微細凹凸面上に透明導電層を備えている、あるいは微細凹凸層自体が透明導電層である場合には、本発明の結露抑制部材は、透明導電フィルムとして、タッチパネルや、効果的に結露を検知したり汚れが付着しにくいセンサー等に用いることができる。
或いは、微細凹凸面に、可視光透過性の金属薄膜を備えている場合には、本発明の結露抑制部材は、透過率異方性部材として用いることができ、例えば視野角制御フィルムとして用いることができる。また触媒機能を持った金属薄膜の場合はその触媒活性を増加させることができる。
本発明に係る結露抑制部材は、中でも、接着性に優れる点から、粘着層表面を、ガラス面を有する物品の当該ガラス面に貼り付けて用いることが好ましい。ガラス面を有し、本発明に係る結露抑制部材を好適に貼り付けることができる物品としては、例えば、窓、鏡、ショーケース、扉等が挙げられる。
また、本発明に係る結露抑制部材を透明部材に貼り付けて用いる場合は、特に限定はされないが、反射防止性能を向上するために、該透明部材を介して対向するように、2つ以上の結露抑制部材の粘着層表面を透明部材に貼り付けて用いてもよい。具体的には例えば、窓ガラスの両面に本発明に係る結露抑制部材を貼り付けることにより、窓ガラスの一方の面にのみ貼り付けたときと比べて、反射防止性能を向上することができる。また、これにより、該窓ガラスの両面において、結露抑制効果を発揮することができる。
(微細凹凸層形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて160秒間、陽極酸化工程A1を実施した。次に、濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液で35℃の条件で900秒間エッチング工程E1を行い、第1の工程とした。次に、第2の工程として、印加電圧45V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化工程A2を実施した後、濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液で35℃の条件で700秒間エッチング工程E2を行った。続いて、第3の工程として、印加電圧50V、20℃の条件にて90秒間、陽極酸化工程A3を実施した後、濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液で35℃の条件で600秒間エッチング工程E3を行った。続いて、第4の工程として、印加電圧55V、20℃の条件にて60秒間、陽極酸化工程A4を実施した後、濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液で35℃の条件で300秒間エッチング工程E4を行った。続いて、第5の工程として、印加電圧60V、20℃の条件にて60秒間、陽極酸化工程A5を実施した後、濃度1.8mol/L(18wt%)のリン酸水溶液で35℃の条件で300秒間エッチング工程E5を行った。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸層形成用原版を得た。
(微細凹凸層用樹脂組成物の調製)
下記成分を各々混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層用樹脂組成物を調製した。
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ルシリンTPO、BASF社製) 3質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
[実施例1]
透明基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)を用い、当該透明基材にウレタンアクリレート(東亜合成社製、商品名M−1100)とメタクリル酸メチルを含有したプライマー層用組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗布した。
微細凹凸層用樹脂組成物を、微細凹凸層形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが5μmとなるように塗布、充填し、その上に、前記透明基材のプライマー層側の面を、斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して、プライマー層用組成物及び微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、微細凹凸層を形成した。当該微細凹凸層の微細凹凸形状は、微小突起の平均高さHAVGが250nmの先細り形状の微小突起が、隣接突起間隔の平均dAVGが170nmで密に配置されてなるものであり、単峰性微小突起と多峰性微小突起とが混在するものであった。
形成した微細凹凸層の微細凹凸面1μm×1μmの領域における微小突起の高さHの度数分布を作成した。該度数分布は、微細凹凸面1μm×1μmの領域を50,000倍に拡大したSEMによる平面視拡大写真を3枚用い、3枚の写真から求めた平均値により作成した。
微小突起の高さの平均値HAVGが250nmであり、その標準偏差σが10nmであったため、微小突起の高さHの度数分布において、低高度領域は、H<HAVG−σ=240nmとなり、中高度領域は、HAVG−σ=240nm≦H≦HAVG+σ=260nmとなり、高高度領域は、H>HAVG+σ=260nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntは、49個であった。また、中高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは5個であったので、中高度領域のNm/Ntは、0.10となった。低高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは2個であったので、低高度領域のNm/Ntは、0.04となった。高高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは4個であったので、高高度領域のNm/Ntは、0.08となった。
次いで、透明基材の微細凹凸層とは反対側の面に、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)を貼着することにより、粘着層を形成した。
[実施例2]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(DIC(株)製、ZB7012W)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の結露抑制部材を得た。
[実施例3]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(パナック(株)製、PDS−1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の結露抑制部材を得た。
[実施例4]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(大王製紙(株)製、EW1501R−D1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の結露抑制部材を得た。
[実施例5]
実施例1において、PETフィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)に代えて、PETフィルム(東レ(株)製、U48、厚さ100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の結露抑制部材を得た。
[実施例6]
実施例1において、PETフィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)に代えて、PETフィルム(東洋紡(株)製、TA017、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の結露抑制部材を得た。
[実施例7]
実施例1において、微細凹凸層形成用原版として、綜研化学社製のFleFimo(登録商標)ARP80−350/350から転写されたレプリカ版を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の結露抑制部材を得た。微細凹凸層の微細凹凸形状は、微小突起の平均高さHAVGが300nmの先細り形状の微小突起が、隣接突起間隔の平均dAVGが350nmで密に配置されてなるものであり、単峰性微小突起のみからなるものであった。
[比較例1]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(日東電工(株)製、LA−50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の部材を得た。
[比較例2]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート((株)巴川製紙所製、MI61UV0455)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の部材を得た。
[比較例3]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、アクリル系粘着剤を含有する粘着シート(リンテック(株)製、TA−606−GA)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の部材を得た。
[比較例4]
実施例1において、アクリル系粘着剤(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)に代えて、ゲル系粘着剤を含有する粘着シート(積水化学(株)製、テクノゲルG−CR)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の部材を得た。
[比較例5]
実施例1において、粘着シート(ビッグテクノス(株)製、Z−6263)の貼着に代えて、シリコーン系粘着剤(東レ・ダウコーニング(株)製、品番SD 4570 PSA)を透明基材の微細凹凸層とは反対側の面に塗布し、100℃で3分乾燥させることで粘着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の部材を得た。
[比較例6]
実施例1において、PETフィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)に代えて、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム(株)製、TD60UL、厚さ60μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の部材を得た。
[比較例7]
実施例1において、PETフィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)に代えて、TACフィルム(富士フィルム(株)製、TD80UL、厚さ80μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の部材を得た。
[比較例8]
実施例1において、PETフィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)に代えて、アクリルフィルム(日東電工(株)製、NX−40NB、厚さ40μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8の部材を得た。
[評価]
(透明基材の透湿度の測定)
各実施例及び各比較例で用いた透明基材について、以下の方法により透湿度を測定した。
JIS Z 0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に従い、透湿カップに塩化カルシウム(無水)を充填し、透湿面積が28.26cmとなるように、透明基材で密閉した。40℃、相対湿度90%の条件下で24時間放置した前後の塩化カルシウムの質量変化から、透明基材を通過する水蒸気の質量を求め、透湿度を算出した。なお、各透明基材3個について透湿度の測定を行い、その平均値を当該透明基材の透湿度とした。測定結果を表1に示す。
<接触角の測定>
(微細凹凸層用樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における純水の静的接触角)
PETフィルム上に前記微細凹凸層形成用樹脂組成物を塗布して硬化させて、微細凹凸形状を有しない塗膜を形成した。当該塗膜側表面を上面にして、粘着層つきの黒アクリル板に貼り付けたものの上に、純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の純水の静的接触角を計測した。なお、測定装置は協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、θ/2法に従って静的接触角を測定した。
前記微細凹凸層形成用樹脂組成物の平坦な硬化膜表面における純水の静的接触角は48°であった。
(微細凹凸面及び粘着層側表面における純水の静的接触角)
各実施例で得られた結露抑制部材及び各比較例で得られた部材の微細凹凸面及び粘着層側の面の両面について、測定対象となる面を上面にして黒アクリル板に貼り付け、上記の微細凹凸層用樹脂組成物の平坦な硬化膜表面と同様にして、純水の静的接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
(白化の観察)
各実施例で得られた結露抑制部材及び各比較例で得られた部材の粘着層側の面をガラス板の表面に貼合して得られたサンプルを、23℃の純水中に浸漬した。浸漬してから3時間後及び24時間後に取り出し、蛍光灯下での白化を観察し、下記評価基準に基づいて白化を評価した。評価結果を表1に示す。
(白化の評価基準)
A:24時間後も白濁せず、散乱光が見られなかった。
B:3時間後には白濁せず、散乱光が見られなかったが、24時間後には白濁し、散乱光が見られた。
C:3時間後には白濁し、散乱光が見られた。
(剥がれの観察)
各実施例で得られた結露抑制部材及び各比較例で得られた部材の粘着層側の面をガラス板の表面に貼合して得られたサンプルを、23℃の純水中に浸漬した。浸漬してから100時間後に取り出し、下記評価基準に基づいて剥がれを評価した。評価結果を表1に示す。
(剥がれの評価基準)
A:端部の剥がれが見られなかった。
B:端部の剥がれが見られた。
<耐擦傷性評価>
各実施例で得られた結露抑制部材及び各比較例で得られた部材に対して、耐スチールウール性評価を行うことにより、各部材の耐擦傷性について評価を行った。
すなわち、まず、先端径がφ11.3mmである耐スチールウール性評価用治具に、スチールウール#0000(ボンスターポンド製)を取り付け、次に、部材の評価面(微細凹凸面)が上側を向くようにガラス板にサンプルを置き、エアーが入らないよう注意しながら、その四辺のテープ留めを行った。重量が100gとなるように調整した上記耐スチールウール性治具を用いて、走査速度が20〜30mm/secで、同一箇所を10往復するよう横方向にスライドさせながら、サンプル表面を擦った。評価したサンプル面とは反対側に黒テープを貼り付け、三波長管を用いて、サンプル表面の擦られたキズ本数を観察し、カウントし、下記評価基準により部材の耐擦傷性を評価した。評価結果を表1に示す。
A:キズなし
B:キズ1〜2本
C:キズ3〜9本
D:キズ10本以上
(結果のまとめ)
各実施例で得られた結露抑制部材は、透明基材の透湿度が35g/m・24h以下であり、隣接突起間隔dの平均値dAVGがdAVG≦Λminなる関係を有し、前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が30°以下であり、前記粘着層の表面における純水の静的接触角が85°以上100°以下である、本発明に係る結露抑制部材であったため、別の物品に貼り付けて用いた際の白化及び剥がれが抑制され、耐擦傷性にも優れ、反射防止性能も良好であり、視認性に優れていた。
また、各実施例で得られた結露抑制部材は、微細凹凸面が複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を有し、微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGが、可視光領域の最短波長(380nm)以下であったため、可視光の反射防止性能を有していた。また、実施例1〜6で得られた結露抑制部材は、単峰性微小突起と多峰性微小突起とが混在した微小突起群を備えるものであったため、単峰性微小突起のみからなる微小突起群を備えた実施例7の結露抑制部材に比べて、耐擦傷性に優れていた。
一方で、比較例1〜5で得られた部材は、粘着層の表面における純水の静的接触角が85°未満又は100°超過であったため、ガラス板に貼り付けてから所定時間経過後に剥がれが発生した。なお、比較例4で得られた部材においては、純水中に浸漬している間に、粘着剤が溶出してしまった。
比較例6〜8で得られた部材は、透明基材の透湿度が35g/m・24h超過であったため、ガラス板に貼り付けてから所定時間経過後に白化が生じた。
1 透明基材
2 微細凹凸層
2’ 受容層
21 各微小突起間の谷底を連ねた包絡面(周期Dでうねった凹凸面)
22 微細凹凸面
3 微小突起
4 粘着層
10 結露抑制部材
11 ダイ
12 ロール金型
13 押圧ローラ
14 剥離ローラ

Claims (2)

  1. 透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けられた樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層と、前記透明基材の他方の面に設けられた粘着層とを有し、
    前記透明基材の透湿度が35g/m・24h以下であり、
    前記微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、前記微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、dAVG≦Λminなる関係を有し、
    前記微細凹凸層の表面における純水の静的接触角が30°以下であり、
    前記粘着層の表面における純水の静的接触角が85°以上100°以下であることを特徴とする、結露抑制部材。
  2. 前記粘着層の表面をガラス面に貼り付けて用いられる、請求項1に記載の結露抑制部材。
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