JP2016112804A - 反射防止物品及び美術品展示体 - Google Patents

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Abstract

【課題】アウトガスの発生が抑制され、反射防止性に優れる反射防止物品、及びアウトガスによる美術品への影響が抑制され、視認性に優れた美術展示体を提供する。【解決手段】透明基材1の少なくとも一方の面に、複数の微小突起3が密接して配置されてなる微小突起群2を備えた微細凹凸形状を表面2aに有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層2を備えた反射防止物品10。微小突起3の隣接突起間隔dの平均値dAVG≦反射防止を図る光の波長帯域の最短波長Λminであり、前記樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、前記(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%である反射防止物品10。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止物品及び美術品展示体に関するものである。
近年、フィルム形状の反射防止物品である反射防止フィルムに関して、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている(例えば特許文献1〜3)。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
このようなモスアイ構造を有する反射防止物品は、一般的に、アルミの陽極酸化とエッチングを繰り返して作成されるナノレベルの微細な穴を有する金型を用い、光硬化反応によるナノインプリントプロセスによって作成されている(例えば特許文献4)。
かかる反射防止物品には各種用途が提案されており、例えば、各種画像表示装置の情報表示部や、美術品、商品等の展示物を保護するためのショーケースの表面に配置し、日光や室内灯等の外光反射を低減して視認性を向上すること等が提案されている。
しかし、このようなモスアイ構造を有する反射防止物品は、反射防止物品を作製する際の光硬化反応時の樹脂や光重合開始剤の分解、及びトリアセチルセルロースフィルム等の透明基材に用いられる材料等に起因したアウトガスの発生が問題となっている。反射防止物品を展示物のショーケース等に用いる場合には、展示物の劣化や変質等の促進が懸念される点から、アルデヒド類や有機酸といった成分を含むアウトガスの発生が特に問題となる。
従来の反射防止物品では、アウトガスによる問題を防止するために、例えば反射防止物品を清浄な空気環境下で一定期間、例えば数ヶ月間静置してアウトガスを放出させるいわゆる枯らしを行ってから、反射防止物品を使用している。
特開昭50−70040号公報 特表2003−531962号公報 特許第4632589号公報 国際公開第2010/087139号パンフレット
しかしながら、反射防止物品にいわゆる枯らしを行う場合、反射防止物品を作製後すぐに使用することができないという問題がある。また、後述する比較例4の評価結果からわかるように、反射防止物品の枯らしを行っても、アウトガスの発生を十分に抑制することは困難である。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、アウトガスの発生が抑制され、反射防止性に優れる反射防止物品、及びアウトガスによる美術品への影響が抑制され、視認性に優れた美術展示体を提供することを目的とする。
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備えた反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
AVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、前記(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%であることを特徴とする。
本発明に係る反射防止物品は、前記樹脂組成物が、更にカルボジイミド基を有する化合物を含有することが、アウトガスの発生を更に抑制する点から好ましい。
本発明に係る反射防止物品は、前記透明基材が、ポリエステル系樹脂を含有することが、アウトガスの発生を更に抑制する点から好ましい。
本発明に係る美術品展示体は、前記本発明に係る反射防止物品と、美術品とを備え、前記反射防止物品が、前記微細凹凸形状を有する面が前記美術品側を向くように配置されてなることを特徴とする。
本発明によれば、アウトガスの発生が抑制され、反射防止性に優れる反射防止物品、及びアウトガスによる美術品への影響が抑制され、視認性に優れた美術展示体を提供することができる。
本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。 頂点を複数有する多峰性微小突起の説明に供する断面図(図2(a))、斜視図(図2(b))、平面図(図2(c))である。 複数の微小突起によって構成される凸状突起群の斜視図(図3(a))及び平面図(図3(b))である。 微細凹凸層の一例を示す模式断面図である。 本発明に係る反射防止物品の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明に係る美術展示体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る美術展示体の別の一例を模式的に示す断面図である。 不規則配置された微小突起を有する微細凹凸面の説明の用に供する、原子間力顕微鏡により求められた、本発明に係る反射防止物品の微細凹凸層の一例を示す拡大写真である。 図8の微細凹凸層の例における、微小突起の極大点を示す図である。 図8の微細凹凸層の例における、ドロネー図を示す図である。 図10のドロネー図から作成した隣接極大点間距離の度数分布のヒストグラムである。 図8の微細凹凸層の例における、微小突起高さの度数分布のヒストグラムである。 微小突起高さに関する、低高度領域、中高度領域、高高度領域についての説明の用に供する、微小突起高さの度数分布の模式的なヒストグラムである。 金型の製造工程の一例を示すフローチャートである。 図14の金型の製造工程により形成される微細穴の形成過程を示す模式図である。 図14の金型の製造工程において、深さの異なる微細穴が形成される過程の説明に供する模式図である。 小形チャンバー法によるアウトガス濃度分析におけるサンプリング方法の概略図である。 本発明に係る反射防止物品の微小突起高さHの度数分布の一例を示すヒストグラムである。 本発明に係る反射防止物品の微小突起高さHの度数分布の別の一例を示すヒストグラムである。 多峰性微小突起の一例を示す平面視拡大写真である。 微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図21の例に示される微小突起の、平面図、正面図、及び側面図である。 図21の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図23の例に示される微小突起の、平面図、正面図、及び側面図である。 図21及び図23の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図である。 図25の例に示される微小突起の、正面図、及び側面図である。
以下、本発明に係る反射防止物品、及び美術品展示体について、順に詳細に説明する。
なお、本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念である。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において樹脂組成物の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したものをいう。
[反射防止物品]
本発明に係る反射防止物品は、透明基材の少なくとも一方の面に、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備えた反射防止物品であって、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
AVG≦Λmin
なる関係を有し、
前記樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、前記(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%であることを特徴とする。
前記本発明に係る反射防止物品について図を参照して説明する。図1は、本発明に係る反射防止物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される反射防止物品10は、透明基材1の一面側に、微細凹凸形状を有する微細凹凸層2を有する。
前記微細凹凸層2の表面は、微小突起3が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸面2aであり、前記微小突起3は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起3の隣接突起間隔d(図1)の平均値をdAVGとしたときに、dAVG≦Λminなる関係を有することにより、Λmin以上の波長を有する光の反射防止を図ることができる。
本発明に係る反射防止物品は、微細凹凸層に用いられる樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、前記(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%であることにより、アウトガスの発生が抑制される。
これは、第一に、水素引き抜き型の光開始剤が、水素引き抜き反応により活性ラジカル種を発生させて、重合反応を開始させることができるため、自己開裂型の光開始剤を用いた場合とは異なり、光開始剤の分解物由来のアウトガスの発生が抑制されるためと考えられる。第二に、前記特定の(メタ)アクリレート化合物が有する(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種が、活性ラジカルによる当該(メタ)アクリレート化合物の分解反応を抑制すると推定され、微細凹凸層を形成する樹脂組成物として前記特定の(メタ)アクリレート化合物を特定量以上含有したものを用いることにより、樹脂の分解物に由来するアウトガスの発生も抑制されるためと考えられる。また、前記特定の(メタ)アクリレート化合物は成形性及び機械強度に優れるため、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の含有量が前記下限値以上であることにより、アウトガスの発生を抑制しながら、反射防止性能に優れる微細凹凸形状を微細凹凸層に容易に形成することができる。また、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の含有量が前記上限値以下であることにより、微細凹凸層に更に各種添加剤等を含有させることができるため、それにより所望の性能を付与することができる。
<微細凹凸層>
本発明に係る反射防止物品が備える微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる。
[樹脂組成物]
微細凹凸層用の樹脂組成物は、少なくとも(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
また、本発明において、微細凹凸層を形成している樹脂組成物の硬化物は、前記特定の(メタ)アクリレート化合物に由来する単量体単位を有する重合体と、前記水素引き抜き型の光開始剤の反応生成物とを含み、未反応の前記特定の(メタ)アクリレート化合物、及び未反応の前記水素引き抜き型の光開始剤を含んでいてもよい。
前記微細凹凸層用の樹脂組成物には、樹脂として、前記特定の(メタ)アクリレート化合物以外に、更にその他の樹脂を含有していてもよい。前記その他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、前記特定の(メタ)アクリレート化合物とは異なる(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、前記特定の(メタ)アクリレート化合物とは異なる(メタ)アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記微細凹凸層用の樹脂組成物は、中でも微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から、樹脂として、電離放射線硬化性の(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂は、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、光開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
以下、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物、及びその他の(メタ)アクリレート系電離放射線硬化性樹脂を含有する、本発明において好適に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物を例にとって、具体的に説明する。
(1)(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物
本発明において、単環芳香族炭化水素とは、環構造を1つのみ有する芳香族炭化水素をいう。単環芳香族炭化水素としては、例えば、四員環、五員環、六員環、七員環の芳香族炭化水素が挙げられ、中でも安定性の点から、六員環の芳香族炭化水素、すなわちベンゼン環が好適に用いられる。
また、本発明において、多環芳香族炭化水素とは、2つ以上の単環芳香族炭化水素が縮合した芳香族炭化水素をいう。多環芳香族炭化水素としては、例えば、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、クリセン環等が挙げられる。
本発明に用いられる(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物は、1分子中に含まれる単環構造の合計数が2個以上である(メタ)アクリレート化合物である。ここで、前記(メタ)アクリレート化合物1分子中に含まれる単環構造の合計数とは、前記単環芳香族炭化水素の個数と、前記多環芳香族炭化水素を構成する各単環構造の個数の合計をいう。アウトガスの発生が更に抑制される点からは、前記(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれる単環構造の合計数が3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。一方、特に限定はされないが、前記(メタ)アクリレート化合物1子中に含まれる単環構造の合計数は、通常6個以下である。
1分子中に2つ以上の単環芳香族炭化水素を有する態様としては、1分子中に2つ以上の単環芳香族炭化水素が2価以上の連結基又は直接結合で連結された態様等が挙げられる。2価以上の連結基としては、特に限定されることはなく、直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基、エーテル基、エステル基等が挙げられる。1分子中に2つ以上の単環芳香族炭化水素を有する態様としては、中でも、アウトガスの発生を更に抑制する点から、2つ以上の単環芳香族炭化水素が、2価以上の炭化水素基及び直接結合から選ばれる少なくとも1種で連結された態様であることが好ましい。2つ以上の単環芳香族炭化水素が2価以上の連結基又は直接結合で連結された態様としては、具体的には例えば、ビフェニル、2,2−ビスフェニルプロパン、1,1−ビスフェニル−1−フェニルエタン、2,2−ビスフェニルブタン、ビスフェニルジフェニルメタン、1,1−ビスフェニルエタン、ビスフェニルメタン、1,3−ビス(2−フェニル−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−フェニル−2−プロピル)ベンゼン、5,5’−(1−メチルエチリデン)−ビス(1,1’−ビスフェニル)プロパン、1,1−ビスフェニル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビスフェニルシクロヘキサン等が挙げられる。
本発明において、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素を有し、前記(ii)多環芳香族炭化水素を有しないものであってもよいし、1分子中に前記(ii)多環芳香族炭化水素を有し、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素を有しないものであってもよいし、1分子中に前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び前記(ii)多環芳香族炭化水素の両方を有するものであってもよいし、1分子中に前記(ii)多環芳香族炭化水素と、1つのみの単環芳香族炭化水素とを有するものであってもよい。
また、本発明において、(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能(メタ)アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立する点からは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
また、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物としては、反応性の点から、アクリレート化合物であることが好ましい。
(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(EO変性)ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAPジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールBジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールBPジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールEジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールMジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールPジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールPHジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールTMCジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールZジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、特に限定はされないが、微小突起が柔軟性及び復元性に優れる点からは、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物としては、中でも、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート化合物から選ばれたものであることが好ましく、例えば、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。
前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%である。前記特定の(メタ)アクリレート化合物は、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種によって、活性ラジカルによる分解反応が抑制され、当該(メタ)アクリレート化合物に由来するアウトガスが発生しにくいため、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の含有量が前記下限値以上であることにより、本発明に係る反射防止物品はアウトガスの発生が抑制される。また、前記特定の(メタ)アクリレート化合物は、成形性及び機械強度に優れるため、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の含有量が前記下限値以上であることにより、前記樹脂組成物の成形性及び機械強度が向上し、反射防止性能に優れた微細凹凸形状を有する微細凹凸層を容易に形成することができる。また、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の含有量が前記上限値以下であることにより、前記樹脂組成物は後述する各成分を更に含有することができるため、それにより微細凹凸層に所望の性能を付与することができる。また、前記特定の(メタ)アクリレート化合物の前記含有量は、アウトガスの発生をさらに抑制する点から、65質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
なお、本発明において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
(2)その他の(メタ)アクリレート化合物
その他の(メタ)アクリレート化合物として用いられる単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の防汚性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、その他の(メタ)アクリレート化合物として用いられる多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(EO変性)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性及び復元性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
前記樹脂組成物が単官能(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、及びその他の単官能(メタ)アクリレート化合物の合計含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、及びその他の多官能(メタ)アクリレート化合物の合計含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して、10〜90質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることがより好ましい。
また、本発明においては、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記樹脂組成物の全固形分に対して、30〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
また、硬化物の微小突起が柔軟性と弾性復元性を両立しやすく、優れた拭取り性と防汚性を得る点からは、本発明に用いられる前記樹脂組成物は、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
また、本発明においては、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を含む電離放射線樹脂の合計含有量が、前記樹脂組成物の全固形分に対して50〜95質量%であることが好ましく、中でも、前記(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を含む(メタ)アクリレート化合物の合計含有量が、前記樹脂組成物の全固形分に対して50〜95質量%であることが好ましい。
(3)光開始剤
本発明において、前記樹脂組成物は、樹脂の硬化反応を開始又は促進させるために、水素引き抜き型の光開始剤を含有する。水素引き抜き型の光開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、ジベンゾスベロン類、アントラキノン類、キサントン類、チオキサントン類、ハロゲノアセトフェノン類、ジアルコキシアセトフェノン類、ヒドロキシアセトフェノン類、ハロゲノビスイミダゾール類、ハロゲノトリアジン類等が挙げられる。中でも、アウトガスの発生を抑制する効果に優れる点から、前記水素引き抜き型の光開始剤としては、ベンゾフェノン類が好ましい。
ベンゾフェノン類の水素引き抜き型の光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、4−モルフォリノベンゾフェノン、4,4’−ジフェノキベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられ、中でもベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンが好ましい。
前記水素引き抜き型の光開始剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、水素引き抜き型以外の光開始剤を含有していてもよい。水素引き抜き型以外の光開始剤としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。
前記樹脂組成物において、前記水素引き抜き型以外の光開始剤の含有量は、アウトガスの発生が低減する点から、光開始剤の合計量中の5質量%以下であることが好ましく、水素引き抜き型以外の光開始剤を含有しないことがより好ましい。
前記光開始剤の含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜5質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。前記光開始剤の含有量が、前記下限値以上であることにより、前記樹脂の硬化反応を十分に促進することができる。また、前記光開始剤の含有量が前記上限値を超えると、前記微細凹凸層が前記光開始剤により黄変するおそれがある。
(4)カルボジイミド基を有する化合物
前記樹脂組成物は、更にカルボジイミド基を有する化合物を含有することが、アウトガスの発生を更に抑制する点から好ましい。ここで、本発明においてカルボジイミド基を有する化合物とは、カルボジイミド基を含む化合物の総称を表し、1分子中にカルボジイミド基を1つのみ含むモノカルボジイミド化合物、及び1分子中にカルボジイミド基を2つ以上含むポリカルボジイミド化合物を含む。前記樹脂組成物が更にカルボジイミド基を有する化合物を含有することによりアウトガスの発生がさらに抑制されるのは、カルボジイミド基を有する化合物が、アウトガスとなり得る有機酸と反応して脱水縮合することにより、有機酸がアウトガスとして発生することが抑制され、有機酸の発生が抑制されることにより、平衡反応からアルデヒド類の酸化が進み、アルデヒド類がアウトガスとして発生することも抑制されるためと推定される。
なお、前記微細凹凸層用の樹脂組成物がカルボジイミド基を有する化合物を含有する場合、微細凹凸層を形成している樹脂組成物の硬化物には、カルボジイミド基を有する化合物、及び、カルボジイミド基を有する化合物由来の成分(例えば、有機酸との反応生成物や分解物等)のうち少なくとも一種が含まれる。
前記モノカルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N'(2−モルホリノエチル)−カルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を挙げることができる。
前記ポリカルボジイミド化合物としては、従来公知の方法により製造したものを用いることができ、特に限定はされないが、例えばジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素縮合反応により合成することができる。
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族及び脂環式のジイソシアネートを挙げることができ、具体的には例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができ、より具体的には、例えば、特公昭47−33279号公報及び特開平9−235508号公報等に記載されるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、前記ポリカルボジイミド化合物の製造方法としては、例えば、特公昭47−33279号公報及び特開平9−235508号公報に記載される方法等を用いることができる。
また、前記カルボジイミド基を有する化合物としては、市販品を用いることもできる。
前記モノカルボジイミド化合物の市販品としては、例えば、和光純薬工業(株)製の各種カルボジイミド系縮合剤等を挙げることができる。
前記ポリカルボジイミド化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル(株)製のカルボジライトシリーズ等を挙げることができる。
本発明においては、中でも、ブリードアウトが抑制され、反射防止性物品の長期保存安定性に優れる点から、前記カルボジイミド基を含む化合物としては、ポリカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
前記カルボジイミド基を有する化合物の含有量は、アウトガスの発生が抑制され且つ反射防止性に優れた微細凹凸層を形成可能な点から、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましい。また、前記カルボジイミド基を有する化合物の含有量は、アウトガスの発生をさらに抑制する点から、0.5質量%以上であることがより好ましく、微細凹凸層の成形性に優れ、長期保存安定性に優れる点から、3.0質量%以下であることがより好ましい。
前記カルボジイミド基を有する化合物は、アウトガスの発生をさらに抑制する点から、カルボジイミド基を有する化合物の総量に含まれるイソシアネート基含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
(5)帯電防止剤
本発明においては、前記樹脂組成物中に帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤を含有することにより、微細凹凸層表面に汚れが付着することを抑制することができ、また、拭取り時に汚れが落ちやすい。
帯電防止剤は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。帯電防止剤の具体例としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、1級〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性化合物が好ましく、3級アミノ基を有するカチオン性化合物がより好ましく、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン等のトリアルキルアミンであることが更により好ましい。
帯電防止剤を用いる場合、当該帯電防止剤の含有量は、通常、前記樹脂組成物の全固形分に対して1〜5質量%であることが好ましい。
(6)溶剤
前記樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から溶剤を用いてもよい。溶剤を用いる場合、当該溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散可能な溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、シクロヘキサン等のアノン系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、樹脂組成物に用いられる溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤の混合溶剤でもよい。
樹脂組成物全量に対する、固形分の割合は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
(7)その他の成分
本発明において用いられる微細凹凸層用の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、光増感剤、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、濡れ性調整のための界面活性剤、安定化剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
前記微細凹凸層用の樹脂組成物は、光増感剤を含むことが、前記(メタ)アクリレート化合物の硬化反応をさらに促進する点から好ましい。前記光増感剤としては、公知のものを用いることができ、特に限定はされないが、例えば、エタノールアミン化合物、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のジアルキルアミノベンゾフェノン、ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル等の3級アミン化合物等を挙げることができる。
また、前記微細凹凸層用の樹脂組成物は、シリコーン系化合物を含むことが、微細凹凸層形成用原版からの離型性に優れる点から好ましい。ここで、シリコーン系化合物とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有し、且つ少なくとも炭素を含む有機基を有する化合物をいい、微細凹凸層の微細凹凸面に偏在し易くなる点から、シリコーンオイルが好適に用いられる。
シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
なお、前記シリコーン系化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記シリコーン系化合物の含有量は、前記樹脂組成物の全固形分に対して、0.05〜3質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。シリコーン系化合物の含有量が前記下限値以上であることにより、前記樹脂組成物の微細凹凸層形成用原版からの離型性が向上し、前記上限値以下であることにより、前記樹脂組成物の成形性が向上するため、所望の微細凹凸形状を得ることが容易になる。
[微細凹凸形状]
前記微細凹凸層は、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有する。前記微小突起の形状は、反射防止性能に優れる点から、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有していることが、好ましい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。微小突起が上記の形状を有することにより、微細凹凸等の深さ方向に屈折率が連続的に変化するため、反射防止性能が向上する。
本発明において前記微細凹凸層は、微小突起として頂点を複数有するもの(以下、「多峰性微小突起」と称する場合がある。)を更に有することが反射防止物品の耐擦傷性が向上する点から好ましい。なお、多峰性微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を「単峰性微小突起」と称する場合がある。多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、さらに、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起を損傷し難いようにすることができると考えられる。よって、本発明においては、前記微小突起群の中に多峰性の微小突起を含むことにより、機械的強度及び耐擦傷性がさらに向上する。また仮に微小突起が損傷した場合でも、その損傷箇所の面積を低減することができ、これによっても反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。更に、多峰性の微小突起の半分程度は、最高峰高さ(麓が同じ微小突起に属する最も高い峰の高さ)が突起高さの平均値HAVG以上の微小突起に生じる為、外力を先ず各峰部分が受止めて犠牲的に損傷することによって、該微小突起の峰より低い本体部分、及び該多峰性の微小突起よりも高さの低い微小突起の損耗を防ぐ。これによっても反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。
また、本発明に係る反射防止物品は、微小突起として多峰性微小突起を有することにより、拭取り性が向上する。これは、多峰性微小突起を設けた場合には、微小突起の付け根側に汚れが深くもぐり込まないことによるものと考えられる。
なお、本発明において、多峰性微小突起、単峰性微小突起に係る各頂部を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
図2は、この頂点を複数有する多峰性微小突起の説明に供する断面図(図2(a))、斜視図(図2(b))、平面図(図2(c))である。なおこの図2は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図2(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図2(b)及び図2(c)において、xy方向は、透明基材1の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。反射防止物品10において、多くの微小突起5は、透明基材1より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図2においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、1つの頂点が形成されている。一方、多峰性微小突起としては、例えば、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(5A)、頂点が3つになったもの(5B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)等が挙げられる。なお単峰性微小突起5の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性微小突起5A、5Bの形状は、概略、単峰性微小突起5の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性微小突起5A、5Bの主切断面形状は、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a+a+・・+a2n2n+・・で近似されるような形状である。
また、図20〜図26に、多峰性微小突起の一例をそれぞれ示す。
図20は、多峰性微小突起の一例を示す平面視拡大写真である。
図21は、微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図22は、図21の例に示される微小突起の、平面図(図22(a))、正面図(図22(b))、及び側面図(図22(c))である。これら図21及び図22は、等高線図である。この図21及び図22による微小突起においては、高さの大きく異なる3つの峰が合体して1つの微小突起が形成されており、ほぼ中央より外方に向かって形成された3本の放射状の溝(沢状の極小部)によりこの3つの峰に係る領域に分割されて微小突起が作製されている。なおこの図21及び図22は、AFMによる計測結果によるデータを部分的に選択して詳細に示したものである。またこの図21及び図22における数字の単位はnmである。X座標及びY座標は、所定の基準位置からの座標値である。
図23は、図21の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図24は、図23の例に示される微小突起の、平面図(図24(a))、正面図(図24(b))、及び側面図(図24(c))である。この図23及び図24の微小突起においては、ほぼ高さの等しい3つの峰が合体して1つの微小突起が作製され、該3つの峰は、頂部のほぼ中央部より外方に向かって延びた3本の放射状の溝によって区角されている。
図25は、図21及び図23の微小突起とは別の微小突起の形状の一例を示す斜視図であり、図26は、図25の例に示される微小突起の、正面図(図26(a))、及び側面図(図26(b))である。この図25及び図26の微小突起においては、横に一列に並んだ複数の微小突起が結合したかのような形状により形成され、この並び方向と、並び方向と直交する方向とでアスペクト比が異なるように作製されている。このような方向によってアスペクト比が異なる微小突起により反射防止物品は、その反射防止特性に方向性を持たせることができる。尚、此の微小突起に於いては、各峰間の溝は該並び方向と直行する方向に伸びている。
なおこのようにして観察される結果によれば、多峰性微小突起における各峰の内側においては、各峰の外側に比して表面の粗さが荒いように観察され、多峰性微小突起は、このように峰の内側と外側との粗さの相違により、賦型処理時の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起との相違を見て取ることができる。なおこれらの斜視図等において、等高線が表されていない箇所は、計測の都合上、データが得られていない箇所である。
なお、これら多峰性微小突起の特徴は、後述するような、賦型用金型の対応する形状を備えた微細穴により作製される多峰性微小突起の固有の特徴であり、特開2012−037670号公報に開示の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起によっては得ることができない特徴である。すなわち樹脂の充填不良による多峰性微小突起は、本来、単峰性微小突起として作製される微細穴に十分に樹脂が充填されないことにより作製されるものであるので、頂点間の間隔が極めて微小であり、これにより耐擦傷性を十分に向上することが困難であり、また上述したような光学特性の向上も困難である。
また、充填不良による多峰性微小突起にあっては、再現性が乏しく、これにより均一な製品を量産できない欠点もあり、これに対して、この実施形態に係る多峰性微小突起は、いわゆる金型により高い再現性を確保することができる。また、後述するように、多峰性微小突起の高さ分布について制御できるのに対し、充填不良の多峰性微小突起については、このような制御が困難である。
また、各微小突起の高さに高低差の有る微小突起群は、反射防止性能が広帯域化され、白色光のような多波長の混在する光、あるいは広帯域スペクトルを持つ光に対して、全スペクトル帯域で低反射率を実現するのに有利である。これは、かかる微小突起群によって良好な反射防止性能を発現し得る波長帯域が、隣接突起間距離dの他に、突起高さにも依存する為である。
また、多峰性微小突起が混在する場合には、単峰性微小突起のみによる場合に比して反射防止の性能を向上することができるのは、図2に示すような多峰性微小突起5A、5B等は、隣接突起間距離が同じ場合であっても、また突起高さが同じ場合であっても、単峰性微小突起と比べて、より光の反射率が低減するからであり、多峰性微小突起5A、5B等は、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性微小突起よりも、頂部近傍における有効屈折率の高さ方向の変化率が小さくなる為である。
なお多峰性微小突起は、前記効果を発揮する点からは、表面に存在する全微小突起中における多峰性微小突起の個数の比率は10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上85%以下であることがより好ましく、30%以上80%以下とすることが更により好ましい。
また、前記微細凹凸層を構成する微小突起群は、少なくともその一部が、頂部微小突起と、該頂部微小突起の周囲に隣接して形成されており該頂部微小突起よりも高さが低い複数の周辺微小突起とからなる一群の微小突起の集合(本発明において「凸状突起群」と称する。)を構成していても良い。当該微小突起の集合を有することにより、反射防止性能が向上し、微小突起の強度も向上する。
図3に、複数の微小突起によって構成される凸状突起群の斜視図(図3(a))及び平面図(図3(b))を示す。図3に示す凸状突起群24は、相対的に高さの高い頂部微小突起3Cと、その周囲に隣接して配置された相対的に高さの低い複数の周辺微小突起3Dからなる。尚、図3(a)及び図3(b)は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、xy方向は、基材の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。
なお、本発明において、前記頂部微小突起は、前記周辺微小突起よりも相対的に高さが高く、高さの差が10nm以上のものをいい、当該高さの差は、20nm以上であることが好ましい。また、前記高さの差は、微細凹凸層表面のざらつき感を抑える観点から、50nm以下であることが好ましい。
前記微細凹凸層においては、特に限定されないが、反射防止性能がさらに向上する点から、凸状突起群の周辺に配置される微小突起が、頂部微小突起から離れるに連れて、順次高さが低くなっていくように配置されていることが好ましい。
前記微細凹凸層表面に存在する全微小突起中における前記凸状突起群を構成する微小突起の個数の比率は、特に限定されないが、前記効果を発揮する点からは、10%以上90%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以上85%以下、更に好ましくは50%以上80%以下である。
なお、前記凸状突起群には、前記周辺微小突起にのみ隣接し、且つ前記頂部微小突起よりも高さが低い微小突起は含まれない。また、凸状突起群同士が隣接して形成される場合において、周辺微小突起が互いに隣接する凸状突起群に共有される場合がある。
前記凸状突起群を構成する微小突起の個数の比率は、例えば、前記微細凹凸層の表面をSEM等により観察し、画像解析により存在を確認できた微小突起の個数のうち、凸状突起群を構成する微小突起の個数の割合を算出することにより、求めることができる。
微細凹凸層の各微小突起は規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。微小突起が不規則に配置されている場合の隣接突起間距離及び突起高さの測定や定義、並びにこれらの設計指針について、図8〜図12を用いて説明する。図8は、微小突起を有する微細凹凸面の説明の用に供する、原子間力顕微鏡により求められた、本発明に係る反射防止物品の微細凹凸層の一例を示す拡大写真である。微小突起が規則的に配置されている場合、その微小突起間隔dは、突起の繰り返し周期Pにより規定することができる。一方、図8の例に示されるように微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間隔dはばらつきを有することになる。このような場合、微小突起間隔dは、以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(以下、AFMと呼ぶ))又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(以下、SEMと呼ぶ))を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。なお、AFMのデータは微細凹凸層の高さの面内分布データを有し、図8の写真は輝度により高さの面内分布を示している。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。極大点とは、高さが、其の近傍周辺の何れの点と比べても大(極大値)となる点を意味する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。図9は、図8の微細凹凸層の例における、微小突起の極大点を示す図である。図9において黒点により示す個所がそれぞれ各突起の極大点である。各極大点は、図8の画像データを処理することにより検出することができる。なおこの処理では4.5×4.5画素のガウシアン特性によるローパスフィルタにより事前に画像データを処理し、これによりノイズによる極大点の誤検出を防止した。また8画素×8画素による最大値検出用のフィルタを順次スキャンすることにより1nm(=1画素)単位で極大点を求めた。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図10は、図8の微細凹凸層の例における、ドロネー図を示す図である。ドロネー図は、ボロノイ図(Voronoi diagram)と双対の関係に有る。またボロノイ分割とは、各隣接母点間を結ぶ線分(ドロネー線)の垂直2等分線同士によって画成される閉多角形の集合体からなる網状図形で平面を分割することを言う。ボロノイ分割により得られる網状図形がボロノイ図であり、各閉領域がボロノイ領域である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。図11は、図10のドロネー図から作成した隣接極大点間距離の度数分布のヒストグラムである。なお、図9の5Bに示されるように、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している多峰性微小突起に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない単峰性微小突起の場合の数値範囲から、隣接する極大点間の距離が明らかに大きく異なることになる。この特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば図8に示すような微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性微小突起を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに小さい方向に外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図11の例では、隣接極大点間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図11は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。因みに上述の極大点検用のフィルタの設定により、このような除外する処理を実行してもよい。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求める。本発明においては、隣接突起間距離dの最大値dmaxをdmax=dAVG+2σと定義して算出する。図11の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなる。これにより隣接突起間距離dの最大値dmax=234nmと算出される。
同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。なお多峰性微小突起が含まれる場合は、1つの微小突起が頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが突起高さHのヒストグラムにおいて混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
図12は、図8の微細凹凸層の例における、微小突起の高さHの度数分布のヒストグラムである。図12の例では、微小突起の付け根位置を基準(高さ0)とする。図12の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmとなる。これによりこの例では、突起の高さは平均値HAVG=178nmとなる。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合(例えば、図4の例に示されるように、谷底の高さが微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でウネリを有する場合)等は、(1)先ず、微細凹凸層の透明基材側の面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ微細凹凸層30の透明基材側の面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起32の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば図4に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λMAX以上の周期D(すなわちD>λMAXである)でうねることもある。該周期的なうねりは、透明基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは透明基材の表裏面に平行な平面(図4におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λMAXを満たす周期Dでうねった凹凸面33が多数の微小突起32からなる微細凹凸層30の表面31に重畳することによって、当該微細凹凸層表面31で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱させ、反射防止性を一段と向上させることができる。
尚、係るうねりによる凹凸面33の周期Dが全面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面33について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
min=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微細凹凸層30の表面31の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
min>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜500μm、好ましくは10〜100μmとされる。
また、反射防止物品10の良好な平滑性を確保する場合には、前記周期Dでうねった凹凸面33の高低差(図4中のh)は、10nm以下であることが好ましく、1nm〜5nmの範囲内であることがより好ましい。一方、うねりの幾何光学的散乱を積極的に反射防止に利用する場合には、前記周期Dでうねった凹凸面33の高低差は、0.78μm以上であることが好ましく、1μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。なお、前記凹凸面33により形成される凹凸面の高低差は、例えば500nm以上離れた微小突起32の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起32の谷底部の位置は、反射防止物品10を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
前記微小突起群中の各微小突起が同一の高さHを有し、当該微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接突起間隔dは、微小突起配列の周期pと一致するため、dAVG=pとなる。よって、反射防止効果を奏し得る条件は、dAVG=p≦Λminであり、微小突起配列の周期p以上の波長を有する光に対して反射防止効果を奏することができる(例えば、特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報を参照することができる)。従って、例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を得るためには、可視光線帯域の最短波長を380nmとした場合、微小突起配列の周期を380nm以下とすればよい。また、微小突起の高さHは、反射防止効果を得ようとする波長のうち最長波長Λmaxの0.2倍以上であることが好ましい(H≧0.2×Λmax)。従って、例えば可視光線帯域の全波長に対して優れた反射防止効果を得ようとするためには、可視光線帯域の最長波長を780nmとした場合、H≧0.2×780nm=156nmであることが好ましい。
突起が不規則に配置されている場合には、上述のようにして求めた隣接突起間距離dの平均値dAVGが、dAVG≦Λminを満たすことが必要であり、最大値dmax=dAVG+2σが、dmax≦Λminを満たすことが好ましい。微小突起の高さHの平均値HAVGが、HAVG≧0.2×Λmaxを満たすことが好ましい。例えば、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためには、dAVG≦380nmとすればよく、dmax=dAVG+2σ≦380nmとすることが好ましい。可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dAVG≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦300nmであり、より更に好ましい条件は、dAVG≦200nmであり、特に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dAVG≧50nmであり、好ましくは、dAVG≧100nmとされる。また突起高さHについては、十分な反射防止効果を発現する為には、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、HAVG≧0.2×Λmaxとなることが好ましく、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得るためにはHAVG≧0.2×780nm=156nmであることが好ましく、HAVG≧170nmとすることがより好ましい。突起の高さHAVGは、反射防止効果の点から、通常350nm以下とされる。また、突起の高さの分布は、通常50〜350nmである。
図8に示される反射防止物品の一形態を上述の例により説明するとdAVG=158nm≦Λmax=780nmとなり、dAVG≦Λmaxの条件を満足して十分に反射防止効果を奏し得ることが判る。また可視光線帯域の最短波長λminが380nmであることから、可視光線の全波長帯域において反射防止効果を発現する十分条件dAVG≦λminも満たすことが判る。また平均突起高さHAVG=178nmであって、平均突起高さHAVG≧0.2×λmax=156nmを満たすことから(可視光波長帯域の最長波長λmax=780nmとして)、十分な反射防止効果を実現するための突起の高さに関する条件も満足していることが判る。なお標準偏差σ=30nmであることから、HAVG−σ=148nm<0.2×λmax=156nmとの関係式が成立することから、統計学上、全突起の50%以上、84%以下が、突起の高さに係る条件(178nm以上)の条件を満足していることが判る。
図8の例に示される実施形態のように、単峰性微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合には、アスペクト比の異なる単峰性微小突起を混在させた場合と同様に、広い波長帯域で低い反射率を確保することができる点で好ましい。
尚、アスペクト比とは、微小突起の高さHを谷底に於ける径W(幅乃至太さと言う事も出来る)で除した比、H/Wとして定義される。ここで、谷底に於ける径とは、微小突起の谷底近傍の形状が円柱であれば、該円柱の(底面の)直径と一致する。微小突起の谷底近傍形状が円柱では無く、谷底を連ねた仮想的平面と微小突起とが交差して得られる底面の径の大きさが面内方向によって異なる場合は、その最大値を該微小突起の径とする。例えば、微小突起の底面形状が楕円の場合は、径は其の長径となる。又、微小突起の底面形状が多角形の場合は、径はその最大の対角線長となる。各微小突起のアスペクト比H/Wの平均値(H/W)aveは、設計上は実質、平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVGとみなすことができる。
本発明に係る反射防止物品は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより賦型用金型を作製し、この賦型用金型を使用した賦型処理により作製することができる。ここで、陽極酸化処理により微細穴を作製する場合、特開2003−43203号公報等で既に知られている様に、隣接微細穴間距離(一定値で分布の無い場合はピッチに相当)と深さとは比例する関係になる。そのため、作製される単峰性微小突起は、付け根部分の幅と高さとの比であるアスペクト比がほぼ一定に保持される。
反射防止物品の反射防止機能は、微小突起間隔だけでなく、アスペクト比にも依存し、アスペクト比が一定である場合、例えば可視光域では十分に小さな反射率を確保できる場合でも、紫外線域ではdAVGがΛminに近付く為、可視光域に比して反射率が増大して反射防止機能が不足する。なお隣接突起間距離を一段と小さくして紫外線域で十分な反射防止機能を確保できるように設定すると、今度は、HAVGがΛmaxに近付く為、赤外線域で反射防止機能が低下することになる。
しかしながら多峰性微小突起を含む微小突起群では、同一微小突起の頂部近傍に存在する峰間距離が隣接突起間距離(通常100〜200nm程度)よりも小さい(通常10〜50nm程度)。斯かる峰間距離の寄与によって、同一隣接突起間距離の単峰性微小突起のみからなる微小突起群に比べて、実効的な隣接突起間間隔を低下させた反射防止機能を確保することができ、これにより多峰性微小突起と単峰性微小突起との混在により広い波長帯域で低い反射率を確保することができる。なお可視光域を中心にした広い波長帯域で十分に小さな反射率を確保する場合、可視光域に係る波長480〜660nm帯域の光に対する反射防止性能に寄与する隣接突起間間隔、即ち、d≦400nm、好ましくはd≦300nmとなる微小突起において、多峰性微小突起と単峰性微小突起とを混在させることが好ましい。
反射防止物品において形成される多峰性微小突起は、上述の可視光域に係る入射光に対する反射防止機能及び耐擦傷性を向上させるために、以下の条件を満たすようにして形成されることが好ましい。
図13は、微小突起高さに関する、低高度領域、中高度領域、高高度領域についての説明の用に供する、微小突起高さの度数分布の模式的なヒストグラムである。図13に示すように、微小突起の高さHの度数分布における高さの平均値をHAVEとし、標準偏差をσとし、H<HAVE−σの領域を微小突起の低高度領域とし、HAVE−σ≦H≦HAVE+σの領域を中高度領域とし、HAVE+σ<Hの領域を高高度領域とした場合に、各領域内の多峰性微小突起の数Nmと、度数分布全体における多峰性微小突起及び単峰性微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(a)、(b)の関係を満たすことが好ましい。
(a)中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Nt
(b)中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Nt
上記関係を満たすことにより、可視光域に係る入射光に対する反射率を低減することができ、反射防止物品の反射防止機能の広帯域化をより具体的に図ることができ、更に微細凹凸面の耐擦傷性を向上することができる。
図18に、本発明に係る反射防止物品の微小突起高さHの度数分布の一例のヒストグラムを示す。図18に示す例においては、微小突起の高さの平均値がHAVE=145.7nmであり、その標準偏差がσ=22.1nmである。
ここで、微小突起の高さHの度数分布において、低高度領域は、H<HAVE−σ=123.6nmとなり、中高度領域は、HAVE−σ=123.6nm≦H≦HAVE+σ=167.8nmとなり、高高度領域は、H>HAVE+σ=167.8nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntは、263個であり、その中で、中高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、23個であるので、中高度領域のNm/Ntは、0.087となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、2個であるので、低高度領域のNm/Ntは、0.008となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、5個であるので、高高度領域のNm/Ntは、0.019となる。
従って、図18に示す例の反射防止物品は、上述の(a)、(b)の関係、すなわち、
(a)中高度領域のNm/Nt=0.087>低高度領域のNm/Nt=0.008
(b)中高度領域のNm/Nt=0.087>高高度領域のNm/Nt=0.019
を満足する。
更に本発明の反射防止物品においては、前記微小突起の高さHの度数分布が2つの分布による双峰性であり、2つの分布の境界となる高さをhsとし、hs未満の分布における前記微小突起の高さHの平均値をm1とし、
H<m1−σ1の領域を低高度領域とし、
m1−σ1≦H≦m1+σ1の領域を中高度領域とし、
m1+σ1<H<hsの領域を高高度領域とした場合に、
hs未満の分布における各領域内の前記多峰性微小突起の数Nm1と、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(c)、(d)の関係を満たし、
(c)中高度領域のNm1/Nt>低高度領域のNm1/Nt
(d)中高度領域のNm1/Nt>高高度領域のNm1/Nt
且つ、hs以上の分布における前記微小突起の高さhの平均値をm2とし、標準偏差をσ2とし、
hs<H<m2−σ2の領域を低高度領域とし、
m2−σ2≦H≦m2+σ2の領域を中高度領域とし、
m2+σ2<Hの領域を高高度領域とした場合に、
hs以上の分布における各領域内の前記多峰性微小突起の数Nm2と、前記度数分布全体における前記微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(e)、(f)の関係を満たすことがより好ましい。
(e)中高度領域のNm2/Nt>低高度領域のNm2/Nt
(f)中高度領域のNm2/Nt>高高度領域のNm2/Nt
上記関係を満たすことにより、可視光域に係る入射光に対する反射率をより低減することができ、反射防止物品の反射防止機能の広帯域化を更により具体的に図ることができ、微細凹凸面の耐擦傷性を更に向上することができる。
図19に、本発明に係る反射防止物品の微小突起高さHの度数分布の一例のヒストグラムを示す。なお図19においては、微小突起の高さHをhと、平均突起高さをHAVGをmと、標準偏差をσをσとそれぞれ記載する。図19に示す例においては、高さの高い側と低い側とに分布のピークを有する、微小突起の高さ分布が離散的、すなわち、双峰性を持つ分布を示しており、各分布の峰に対応して多峰性微小突起の分布が形成される。図19に示す例においては、度数分布全体の微小突起の高さの平均値がm=195.7nmであり、標準偏差がσ=57.2nmである。
また、図19に示す例においては、微小突起の高さhの度数分布において、低高度領域は、h<m−σ=138.5nmとなり、中高度領域は、m−σ=138.5nm≦h≦m+σ=252.9nmとなり、高高度領域は、h>m+σ=252.9nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntは、131個である。また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、21個であるので、中高度領域のNm/Ntは、0.160となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、3個であるので、低高度領域のNm/Ntは、0.023となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nmは、0個であるので、高高度領域のNm/Ntは、0となる。
従って、図19に示す例においては、上述の(a)、(b)の関係、すなわち、
(a)中高度領域のNm/Nt=0.160>低高度領域のNm/Nt=0.023
(b)中高度領域のNm/Nt=0.160>高高度領域のNm/Nt=0
を満足する。
また、図19に示す微小突起の高さhの度数分布は、上述したように、双峰性、すなわち2つの分布の峰が存在する。各峰間の境界となる高さをhsとしたとき、hs未満(高さが低い側)の分布における微小突起の高さhの平均値がm1=52.9nmであり、標準偏差がσ1=24.8nmである。各分布の境界は、度数分布の高さのデータを統計的に処理することによってhs=100nmと求められる。
そのため、hs未満の分布の低高度領域は、h<m1−σ1=28.1nmとなり、中高度領域は、m1−σ1=28.1nm≦h≦m1+σ1=77.7nmとなり、高高度領域は、m1+σ1=77.7nm<h<hs=100nmとなる。
また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、2個であるので、中高度領域のNm1/Ntは、0.015となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、0個であるので、低高度領域のNm1/Ntは、0となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nm1は、0個であるので、高高度領域のNm1/Ntは、0となる。
従って、図19に示す例の反射防止物品は、hs未満の分布において、上記(c)、(d)の関係、すなわち、
(c) 中高度領域のNm1/Nt=0.015>低高度領域のNm1/Nt=0
(d) 中高度領域のNm1/Nt=0.015>高高度領域のNm1/Nt=0
の関係を満たす。
また、hs以上(高さが高い側)の分布の微小突起については、高さhの平均値がm2=209.2nmであり、標準偏差がσ2=39.4nmである。
そのため、hs以上の分布の低高度領域は、hs=100nm≦h<m2−σ2=169.9nmとなり、中高度領域は、m2−σ2=169.9nm≦h≦m2+σ2=248.7nmとなり、高高度領域は、m+σ=248.7nm<hとなる。
また、中高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、19個であるので、中高度領域のNm2/Ntは、0.145となる。低高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、3個であるので、低高度領域のNm2/Ntは、0.023となる。高高度領域の多峰性微小突起の数Nm2は、0個であるので、高高度領域のNm2/Ntは、0となる。
従って、図19に示す例の反射防止物品は、hs以上の分布においても、上記(e)、(f)の関係、すなわち、
(e) 中高度領域のNm2/Nt=0.145>低高度領域のNm2/Nt=0.023
(f) 中高度領域のNm2/Nt=0.145>高高度領域のNm2/Nt=0
の関係を満たす。
微小突起のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間隔dAVG)は0.8〜5.0とすることができ、中でも、反射防止性能の観点から、0.8〜2.5であることが好ましく、更に、1.0〜2.1であることがより好ましい。
本発明において、前記微細凹凸層の厚みは、適宜調整すればよい。微細凹凸層2の厚み(図1におけるT)は、透明基材1の表面に前記微細凹凸形状を形成可能な最低限の厚みにて各種性能を発現可能である。しかしながら後述の賦型プロセスでの生産性を考慮すると、厚みが薄い場合は異物による外観欠陥が発生しやすく、厚みが厚いと賦型速度が低下したりカールの懸念が高くなるため、2μm〜30μmであることが好ましく、3μm〜10μmであることがより好ましい。なお、微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の透明基材側の界面から、最も高さの高い微小突起の頂部の高さまでの基材平面に対する垂線方向の距離を意味する。
<透明基材>
本発明に係る反射防止物品は、支持体として透明基材を含む。本発明に用いられる透明基材は、反射防止物品に用いられる公知の透明基材の中から用途に応じて適宜選択して用いることができる。透明基材に用いられる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
中でも、アウトガスの発生が低減される点から、前記透明基材は、主成分としてポリエステル系樹脂を含むものであることが好ましく、前記ポリエステル系樹脂としては中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。なおここで、主成分とは、基材全体の50質量%以上を占める成分のことをいう。また、前記透明基材は、ポリエステル系樹脂を基材全体の80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更により好ましい。前記ポリエステル系樹脂としては中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明基材は、視認性の点から、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の反射防止物品の用途に応じて適宜設定することができ、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよく、特に限定されないが、通常10〜5000μmである。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と微細凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材と、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微細凹凸層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また透明基材と微細凹凸層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を透明基材と微細凹凸層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
本発明に係る反射防止物品の反射率は、特に限定はされないが、0.15%以下であることが好ましく、0.10%以下であることがより好ましい。
本発明において反射防止物品の光の反射率は、黒アクリル板に粘着剤を介して、測定対象となる反射防止性物品の透明基材側を貼合し、紫外可視分光光度計(例えば日本分光社製の商品名「V−7100」等)を用いて、JIS Z8701−1999に準拠して、2度視野(D65光源)により、反射防止物品表面への5°正反射率を測定することにより、求めることができる。
また、本発明に係る反射防止物品の可視光領域における透過率は、視認性の点から、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
[反射防止物品の製造方法]
本発明の反射防止物品は、透明基材上に樹脂組成物を用いて微細凹凸層を形成すればよく、従来公知の方法の中から適宜選択して形成することができる。
本発明に係る反射防止物品の製造方法は、例えば、前記透明基材上に、前記微細凹凸層用の樹脂組成物を塗布し、微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦型した後、前記樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸層を形成し、前記微細凹凸層形成用原版から剥離する方法等が挙げられる。
前記微細凹凸層形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製、セラミックス製等であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。尚、金属製、非金属製何れの場合も、以降、金型と呼称する。
前記微細凹凸層形成用原版の微細凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸層形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は他の層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に微細凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。アルミニウム純度は、通常、99重量%以上の物が用いられる。
また、前記微細凹凸層形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール(中空円筒又は中実円柱)状であっても良いが、前記微細凹凸層形成用原版は、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
前記微細凹凸層形成用原版に微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細穴を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細穴の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細穴の穴径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。即ち、図14に示すように、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理し、ロール金型を作製する。
微細凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な穴をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
このようにして、前記微細凹凸層形成用原版は、深さ方向に徐々に穴径が小さくなる多数の微細穴が密に作製される。当該微細凹凸層形成用原版を用いて製造される微細凹凸層には、前記微細穴に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細凹凸が形成され、すなわち、当該微細凹凸の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微細凹凸を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微細凹凸の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微細凹凸形状が形成される。
(微小突起を形成する微細穴の形成過程)
次に、多峰性微小突起を形成し、また、微小突起の高さの分布が制御された微細な穴が形成される方法について説明する。上述したように、賦型用金型(ロール版)に形成される微細穴は、陽極酸化処理及びエッチング処理の交互の繰り返しによって形成されるが、この繰り返しの陽極酸化処理における印加電圧を可変することによって、微細穴の深さ(微小突起の高さ分布)を制御することができる。ここで、陽極酸化処理における印加電圧と、形成される微細穴の間隔(ピッチ)とは、比例する関係にあるため、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにおいて、陽極酸化処理の印加電圧を可変すれば、深さ方向に掘り進める時間が相違する微細穴を混在させてその比率を制御することができる。
また、このように陽極酸化処理における印加電圧を可変する場合にあっては、太さ(径)の太い微細穴の底面に、複数の微細穴を作成して多峰性微小突起に係る微細穴とすることができる。この太さの太い微細穴の高さの制御等により、多峰性微小突起についても、高さ分布を制御することができる。
図15は、図14の金型の製造工程により形成される微細穴の形成過程を示す模式図であって、高さ分布の制御の説明に供する模式図である。
上述したように、陽極酸化処理における印加電圧と、微細穴のピッチとの関係は比例関係であるが、実際上、処理に供するアルミニウムの粒界等により微細穴のピッチにはばらつきが生じる。しかし、図15においては、このばらつきが存在しないものとして、微細穴が規則正しい配列により作製されるものとして説明する。なお、図15(a)〜図15(e)において、左側の図は、ロール金型の表面の拡大図を示し、右側の図は、左側の図におけるa−a断面図を示す。
(第1の工程)
図15(a)に示すように、まず、賦型用金型の表面のアルミニウム層に、電圧V1を印加して陽極酸化工程A1を実行した後に、エッチング工程E1を実行し、微細穴f1を形成する。ここで、陽極酸化工程A1は、アルミニウムのフラット面に後続する陽極酸化処理のきっかけを作製するものである。なお、この場合、エッチング工程を適宜省略してもよい。
(第2の工程)
次に、電圧V1よりも高い電圧V2(V2>V1)を印加して陽極酸化工程A2を実行した後に、エッチング工程E2を実行する。これにより、陽極酸化工程A2では、図15(b)に示すように、先の陽極酸化工程A1により形成された微細穴f1のうち、陽極酸化工程A2に対応する間隔の微細穴f1を更に掘り下げる。
本実施形態では、陽極酸化工程A2によって、先の陽極酸化工程A1で形成された微細穴f1を二つ置きに掘り進める処理が行われる。従って、賦型用金型の表面には、二つ置きに広くかつ深く掘り下げられた微細穴f2が形成され、ロール版の表面には、微細穴f1と微細穴f2とが混在する状態となる。
(第3の工程)
続いて、電圧V2よりも高い電圧V3(V3>V2)を印加して陽極酸化工程A3を実行した後に、エッチング工程E3を実行する。この工程では、ピッチの異なる微細穴を作製する。具体的には、印加する電圧を、電圧V2から電圧V3へ徐々に上昇させ、この印加電圧の上昇を離散的(段階的)に実行すると、微小突起の高さ分布(微細穴の深さ分布)を離散的に作製することができ、この印加電圧の上昇を連続的に実行すると、微小突起の高さ分布を正規分布に設定することができる。そのため、本実施形態では、陽極酸化工程A3における印加電圧の印加時間、エッチング工程の処理時間を上述の第1の工程、第2の工程よりも長く設定することにより、図15(c)に示すように、最初の陽極酸化工程A1において形成された微細穴f1が二つ、一つに纏まるように広くかつ深く掘り進められ、また、その一つに纏められた微細穴f3の底面が略平坦に形成される(平坦微細穴形成工程)。ここで、略平坦とは、微細穴の底面が平坦な状態だけでなく、その底面が大きい曲率半径で湾曲している状態をも含む状態をいう。
(第4の工程)
続いて、電圧V3よりも高い電圧V4(V4>V3)を印加して陽極酸化工程A4を実行した後に、エッチング工程E4を実行する。この工程では、目的とする突起間間隔によるピッチにより微細穴を作成する。この陽極酸化工程A4においても、印加電圧は、電圧V3から電圧V4へ徐々に上昇させる。これにより、上記第3の工程により掘り進められた微細穴f3の一部が更に掘り進められ、その結果、図15(d)に示すように、微細穴f4となり、この微細穴f4が高さの高い単峰性微小突起を形成する。
(第5の工程)
続いて、印加電圧を上記第1の工程における電圧V1に変更して陽極酸化工程A5を実行した後に、エッチング工程E5を実行する。この工程では、陽極酸化工程A3において形成された微細穴f3であって、第4の工程の陽極酸化工程A4の影響を受けていない微細穴f3の底面に、図15(e)に示すように、微細穴を複数個形成し、多峰性微小突起に対応する微細穴f5を形成する(多峰突起用微細穴形成工程)。ここで、印加する電圧V1の大きさを調整することによって、微細穴f5の底面に形成される微細穴の数を増減したり、その微細穴の間隔を調整したりすることができる。
以上より、賦型用金型の表面には、高さの異なる微小突起を形成する微細穴f1、f2、f4や、多峰性微小突起を形成する微細穴f5が形成される。
ここで、この一連の工程では、第1の工程及び第2の工程により作製された深さの異なる微細穴f1、f2を、第3の工程で掘り進めて底面の略平坦な微細穴f3を作製し、第4の工程において、この微細穴f3を掘り進めて単峰性微小突起に係る微細穴f4を作製し、また、第5の工程において、この微細穴f3の底面を加工して多峰性微小突起に係る微細穴f5を作製している。ここで、第1の工程から第4の工程に係る陽極酸化工程の印加時間、処理時間、エッチング工程の処理時間等を制御して、各工程で作製される微細穴の深さを制御することにより、微小突起の高さの分布や、多峰性微小突起の高さの分布を制御することができる。なお、上述の第1の工程〜第5の工程は、必要に応じて回数を省略したり、繰り返したり、工程を一体化したりすることができる。
図16は、図14の金型の製造工程において、微小突起の高さ分布の制御に係る深さの異なる微細穴が形成される過程の説明に供する模式図である。
(第1の工程)
ここで図16(a)に示すように、第1の工程において、先ず、賦型用金型の表面のアルミニウム層に、電圧V1を印加して陽極酸化工程A1を実行した後に、エッチング工程E1を実行し、微細な穴f1を形成する。ここで、陽極酸化工程A1は、アルミニウムのフラット面に後続する陽極酸化処理のきっかけを作製するものである。なお、この場合、エッチング工程を適宜省略してもよい。
(第2の工程)
次に、電圧V1よりも高い電圧V2(V2>V1)を印加して陽極酸化工程A2を実行した後に、エッチング工程E2を実行する。これにより、陽極酸化工程A2では、図16(b)に示すように、先の陽極酸化工程A1により形成された微細な穴f1のうち、陽極酸化工程A2に対応する間隔の微細な穴f1を更に掘り下げる。
ここで印加電圧V2をV2=2×V1に設定すると、陽極酸化工程A2によって、先の陽極酸化工程A1で形成された微細な穴f1を一つ置きに掘り進める処理が行われる。従って、賦型用金型の表面には、一つ置きに広くかつ深く掘り下げられた微細な穴f2が形成され、成形型の表面には、微細な穴f1と微細な穴f2とが混在する状態となる。
(第3の工程)
続いて、電圧V1と電圧V2の間の電圧V3(V2>V3>V1)を印加して陽極酸化工程A3を実行した後に、エッチング工程E3を実行する。この工程では、ピッチの異なる微細な穴を作製する。具体的には、印加する電圧を、電圧V3として、縦横に面内に配列した微細な穴f2の間に存在する図示の如くの特定の微細な穴f1を一つ置きに広く且つ深く掘り下げる。ここで印加電圧V3をV3=(V1)1/2に設定すると、陽極酸化工程A3における印加電圧の印加時間、エッチング工程の処理時間を上述の第1の工程よりも長く設定することにより、図16(c)に示すように、最初の陽極酸化工程A1において形成された微細な穴f1のうち、4個の微細な穴f2で囲まれる最小の四角形の中心に位置する微細な穴f1が選択的に深く掘り下げられる。且つ同時に、第2の陽極酸化工程A2形成された微細な穴f2のうちで図16(c)で図示される位置関係に有る一部のものが更に掘り下げられ、微細な穴f3となる。
その結果、図16(c)に示すように、微細な穴f1(これが最も高さの低い微小突起に対応する穴となる)の周囲をf1よりも深い微細な穴f2及びf3(それぞれ中程度及び高程度の高さの微小突起に対応する穴となる)によって周囲を包囲された穴群が面内に配列した表面構造を有する成形型が得られる。
このように複数回の陽極酸化処理における印加電圧の切り替えにより掘り進める微細穴が異なることにより、微細穴の深さを大きく異ならせることができ、これにより意図する分布により微小突起の高さを制御することができる。
図5に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸層形成用原版としてロール金型を用いた場合に、透明基材上に微細凹凸層を形成する方法の一例を示す。
図5に示す方法では、樹脂供給工程において、帯状フィルム形態の透明基材45に、ダイ41により微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、微小突起形状を受容する受容層46を形成する。樹脂組成物の塗布方法については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、微細凹凸層形成用原版であるロール金型42の周側面に透明基材を加圧押圧し、これにより透明基材に受容層46を密着させると共に、ロール金型42の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層46を構成する樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材表面に微細凹凸層を作製する。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した微細凹凸層と一体に透明基材を剥離する。必要に応じてこの透明基材に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止物品10が得られる。これにより反射防止物品は、ロール材による長尺の透明基材45に、微細凹凸層形成用原版であるロール金型42の周側面に作製された微細凹凸形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状の反射防止物品を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦型用金型を使用した枚葉の処理により反射防止物品を作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸層形成用原版は、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
<反射防止物品の用途>
本発明の反射防止物品は、後述する美術品展示体用途のほか、種々の用途に適用することができる。本発明の反射防止物品は、各用途において、反射防止物品に起因するアウトガスの発生を抑制しながら、光反射を防止して視認性を向上することができる。そのため、本発明の反射防止物品は、アウトガスの発生が問題となりやすい用途に特に好適に用いられる。本発明の反射防止物品の用途としては、具体的には、例えば、店舗のショウウインドウや商品展示箱、美術館の展示物の展示窓や展示箱等に特に適しており、使用する透明板の裏面(商品又は展示物側面)或いは裏面及び表面(外界側)の両面に配置するようにしても良い。なおこの場合、反射防止物品に起因するアウトガスの発生を抑制して、商品や美術品等の展示物に対するアウトガスの影響を抑制しながら、該硝子板表面の光反射防止による商品、美術品等の顧客や観客に対する視認性を向上することができる。
本発明の反射防止物品は、またさらに、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物の操縦室(運転室、操舵室)の窓の室内側、室外側、あるいはその両側の表面に配置して窓における室内外光を反射防止して、操縦者(運転者、操舵者)の外界視認性を向上する用途;防犯等の監視、銃砲の照準、天体観測等に用いる暗視装置のレンズないしは窓材表面に配置して、夜間、暗闇での視認性を向上する用途;住宅、店舗、事務所、学校、病院等の建築物の窓、扉、間仕切、壁面等を構成する透明基板(窓硝子等)の表面(室内側、室外側、あいはその両側)の表面に配置して、外界の視認性、あるいは採光効率を向上する用途;温室、農業用ビニールハウスの透明シート、ないしは透明板(窓材)の表面に配置して、太陽光の採光効率を向上する用途;太陽電池表面に配置して、太陽光の利用効率(発電効率)を向上する用途;画像表示パネルの画面上に間隙を介して設置されるタッチパネル、各種の窓材、各種光学フィルタ等による表面側部材の裏面(画像表示パネル側)に配置して、画像表示パネルと表面側部材との間の光の干渉によるニュートンリング等の干渉縞の発生の防止、画像表示パネルの出光面と表面側部材の入光面側との間の多重反射によるゴースト像の防止、さらには画面から出光されてこれら表面側部材に入光する画像光について、反射損失の低減をする用途;眼鏡、望遠鏡、写真機、ビデオカメラ、銃砲の照準鏡(狙撃用スコープ)、双眼鏡、潜望鏡等の各種光学機器に用いるレンズ又はプリズムの表面に配置して、レンズ又はプリズム表面の光反射防止による視認性を向上する用途;書籍の印刷部(文字、写真、図等)表面に配置する場合にも適用して、文字等の表面の光反射を防止し、文字等の視認性向上する用途;看板、ポスター、其の他各種店頭、街頭、外壁等における各種表示(道案内、地図、或いは禁煙、入口、非常口、立入禁止等)の表面に配置して、これらの視認性を向上する用途;白熱電球、発光ダイオード、蛍光燈、水銀燈、EL(電場発光)等を用いた照明器具の窓材(場合によっては、拡散板、集光レンズ、光学フィルタ等も兼ねる)の入光面側に配置するようにして、窓材入光面の光反射を防止し、光源光の反射損失を低減し、光利用効率を向上する用途;時計、其の他各種計測機器の表示窓表面(表示観察者側)に配置して、これら表示窓表面の光反射を防止し、視認性を向上する用途等に用いることもできる。本発明の反射防止物品は、このように各用途において視認性を向上し、且つ、反射防止物品に起因するアウトガスの発生を抑制するため、反射防止物品周囲の環境へのアウトガスによる影響を抑制する。
[美術品展示体]
本発明に係る美術品展示体は、前記本発明に係る反射防止物品と、美術品とを備え、前記反射防止物品が、前記微細凹凸形状を有する面が前記美術品側を向くように配置されてなることを特徴とする。
本発明に係る美術品展示体は、前記本発明に係る反射防止物品を、微細凹凸層の微細凹凸面が美術品側を向くように配置して備える。本発明に係る反射防止物品は、上述したように、アウトガスの発生を抑制し、且つ反射防止性に優れるため、本発明に係る美術品展示体は、美術品へのアウトガスによる影響を抑制しながら、視認性に優れる。
図6及び図7は、本発明に係る美術展示体の一例を模式的に示す断面図である。図6に示す美術品展示体50は、本発明に係る反射防止物品10と美術品51とを備え、反射防止物品10の微細凹凸面2aが美術品51側を向くように配置されている。図7に示す美術品展示体50は、本発明に係る反射防止物品10を2つと、美術品51とを備え、2つのうちの一方の反射防止物品10は、微細凹凸面2aが美術品51側を向くように配置され、2つのうちもう一方の反射防止物品10は、微細凹凸面2aが美術品51側とは反対側を向くように配置されている。
本発明に係る美術品展示体は、図6及び図7に示す美術品展示体50のように、美術品51を収納するための収納体52を備えていても良い。また、本発明に係る美術品展示体は、例えば図6に示す美術品展示体50のように、透明保護板53を備えていても良いし、例えば図7に示すように、本発明に係る反射防止物品10が、美術品の透明保護板として機能するものであっても良い。
また、本発明に係る美術品展示体は、図6に示すように、本発明に係る反射防止物品を1つのみ備えるものであってもよいし、図7に示すように、本発明に係る反射防止物品を2つ備えるものであってもよいし、図示はしないが、本発明に係る反射防止物品を3つ以上備えるものであってもよい。また、図示はしないが、本発明に係る美術品展示体は、透明保護板の両面に、本発明に係る反射防止物品を備えるものであってもよい。中でも、アウトガスによる美術品への影響が抑制され、視認性を更に向上する点からは、例えば図7に示すように、微細凹凸面2aが美術品51側を向くように配置された反射防止物品10と、微細凹凸面2aが美術品51側とは反対側、すなわち外光の入射側を向くように配置された反射防止物品10を備えることが、アウトガスによる美術品への影響が抑制され、且つ視認性が更に向上する点から好ましい。
本発明に係る美術品展示体が、2つ以上の反射防止物品を備える場合、少なくとも1つの反射防止物品が、本発明に係る反射防止物品であり且つ微細凹凸面2aが美術品51側を向くように配置されてなるものであればよく、その他の反射防止物品としては、本発明に係る反射防止物品を用いてもよいし、本発明に係る反射防止物品とは異なる従来の反射防止物品を用いてもよい。
本発明に係る美術品展示体に用いられる美術品としては、特に限定はされないが、例えば、絵画、書道、彫刻、工芸、写真等が挙げられる。中でも、アウトガスによる影響が比較的大きい絵画を美術品として備える場合に、本発明に係る美術品展示体は好適に用いられる。
本発明に係る美術品展示体に用いられる収納体52としては、美術品の収納体として従来用いられているものを用いることができ、特に限定はされないが、例えば、額縁、筐体、枠体等が挙げられる。
前記収納体の材料としては、特に限定はされず、ガラス、樹脂、金属、木材等が挙げられる。
本発明に係る美術品展示体に用いられる透明保護板53としては、特に限定はされないが、例えば、本発明に係る反射防止物品に用いられる透明基材と同じものを挙げることができる。
本発明に係る美術品展示体は、密閉性が高く、発生したアウトガスが当該美術品展示体内から放出され難いものにおいて、特に好適に用いられる。
本発明に係る美術品展示体は、美術品の劣化を抑制する効果に優れる点から、その内部において、ガス検知管による有機酸の濃度分析により測定される有機酸濃度が20volppb以下であることが好ましい。なお、ガス検知管による有機酸の濃度分析により測定される有機酸濃度は、具体的には、北川式ガス検知管(光明理化学工業(株)製,美術館博物館用有機酸、No.910)を用いて、デシケータ(37.2L)内に試料負荷率3.3(m/m)となるようにサンプルをセットし、吸引流量0.2L/分、60分間吸引の条件下において、測定された値とする。試料負荷率とは、単位容積内(m)あたりに単位面積フィルム表面から拡散したアウトガス濃度を求める際の負荷率(m/m)をいう。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(微細凹凸層形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて160秒間、陽極酸化工程A1を実施した。次に、濃度1.8mol/L(18質量%)のリン酸水溶液で35℃の条件で900秒間エッチング工程E1を行い、第1の工程とした。次に、第2の工程として、印加電圧45V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化工程A2を実施した後、濃度1.8mol/L(18質量%)のリン酸水溶液で35℃の条件で700秒間エッチング工程E2を行った。続いて、第3の工程として、印加電圧50V、20℃の条件にて90秒間、陽極酸化工程A3を実施した後、濃度1.8mol/L(18質量%)のリン酸水溶液で35℃の条件で600秒間エッチング工程E3を行った。続いて、第4の工程として、印加電圧55V、20℃の条件にて60秒間、陽極酸化工程A4を実施した後、濃度1.8mol/L(18質量%)のリン酸水溶液で35℃の条件で300秒間エッチング工程E4を行った。続いて、第5の工程として、印加電圧60V、20℃の条件にて60秒間、陽極酸化工程A5を実施した後、濃度1.8mol/L(18質量%)のリン酸水溶液で35℃の条件で300秒間エッチング工程E5を行った。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸層形成用原版を得た。
(微細凹凸層用樹脂組成物A〜F及び比較微細凹凸層用樹脂組成物G〜Iの調製)
下記成分を各々混合し、希釈溶剤として、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用いて、固形分45質量%の微細凹凸層用樹脂組成物A〜F及び比較微細凹凸層用樹脂組成物G〜Iを調製した。
<微細凹凸層用樹脂組成物A>
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学工業(株)製) 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ベンゾフェノン) 2質量%
光増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<微細凹凸層用樹脂組成物B>
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ベンゾフェノン) 2質量%
光増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<微細凹凸層用樹脂組成物C>
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(4−メチルベンゾフェノン) 2質量%
光増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<微細凹凸層用樹脂組成物D>
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(4−フェニルベンゾフェノン) 2質量%
増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<微細凹凸層用樹脂組成物E>
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 75質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 10質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(4−フェニルベンゾフェノン) 2質量%
増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<微細凹凸層用樹脂組成物F>
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学工業(株)製) 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ベンゾフェノン) 2質量%
光増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 1質量%
カルボジライトV−03(日清紡ケミカル(株)製、ポリカルボジイミド化合物) 1質量%
<比較微細凹凸層用樹脂組成物G>
EO変性ビスフェノールAジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ルシリンTPO、BASF社製) 3質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<比較微細凹凸層用樹脂組成物H>
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ルシリンTPO、BASF社製) 3質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
<比較微細凹凸層用樹脂組成物I>
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 35質量%
トリデシルアクリレート 5質量%
ドデシルアクリレート 5質量%
光開始剤(ベンゾフェノン) 2質量%
増感剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン) 1質量%
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製) 2質量%
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、U40、厚さ75μm)にウレタンアクリレート(東亜合成社製、商品名M−1100)とメタクリル酸メチルを含有したプライマー層用組成物を、硬化後の厚さが1μmとなるように塗布した。
微細凹凸層用樹脂組成物Aを、微細凹凸層形成用原版の微細凹凸面が覆われ、硬化後の微細凹凸層の厚さが3μmとなるように塗布、充填し、その上に、前記透明基材のプライマー層側の面を、斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して、プライマー層用組成物及び微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させた。その後、原版より剥離し、微細凹凸層を形成することにより、実施例1の反射防止物品を得た。当該微細凹凸層の微細凹凸形状は、微小突起の平均高さHAVGが250nmの先細り形状の微小突起が、隣接突起間隔の平均dAVGが170nmで密に配置されてなるものであり、単峰性微小突起と多峰性微小突起とが混在するものであった。
[実施例2]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層用樹脂組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の反射防止物品を得た。
[実施例3]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層用樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の反射防止物品を得た。
[実施例4]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層用樹脂組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の反射防止物品を得た。
[実施例5]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層用樹脂組成物Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の反射防止物品を得た。
[実施例6]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、微細凹凸層用樹脂組成物Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の反射防止物品を得た。
[比較例1]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、比較微細凹凸層用樹脂組成物Gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の反射防止物品を得た。
[比較例2]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、比較微細凹凸層用樹脂組成物Hを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の反射防止物品を得た。
[比較例3]
実施例1において、微細凹凸層用樹脂組成物Aに代えて、比較微細凹凸層用樹脂組成物Iを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の反射防止物品を得た。
[比較例4]
比較例1で得られた反射防止物品を1カ月間、自然放置(23℃、50%RH)したものを、比較例4の反射防止物品とした。
[評価]
1.小形チャンバー法(JISA1901)によるアウトガス濃度分析
実施例1及び実施例6並びに比較例1及び比較例4で得られた反射防止物品について、それぞれ0.210m×0.243mの大きさに切断したものを試験体として、小形チャンバー法(JISA1901)によるアウトガス濃度分析により、以下の方法で、アルデヒド類並びに有機酸及びアンモニアの濃度を測定した。
測定は、温度28℃、相対湿度50%RH、換気回数0.5回/hの条件下において行い、評価面積1.53m、試料負荷率76.5m/mとし、容積20Lのステンレス製チャンバーを用いて、試験体30枚について測定した。測定結果を表1に示す。本実施例における試料負荷率は、下記式により求めた。
試料負荷率(m/m)=(0.210m×0.243m)×30/0.020(m
(アルデヒド類の測定)
試験体30枚を容積20Lのステンレス製チャンバーに設置し、上記条件のもと高純度空気を通気させ、1日後の試料から発生したアルデヒド類をDNPH(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン)カートリッジに捕集した。DNPHカートリッジはアセトニトリルで溶出を行い、アルデヒド類の濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)で測定した。サンプリング方法の概略図を図17に示す。
(有機酸、アンモニアの測定)
試験体30枚を容積20Lのステンレス製チャンバーに設置し、上記条件のもと高純度空気を通気させ、1日後の試料から発生したガスを、吸収液を充填したインピンジャーに捕集した。サンプリング後の吸収液に捕集された有機酸及びアンモニアの濃度はイオンクロマトグラフ(IC)で測定した。サンプリング方法の概略図を図17に示す。
(分析値算出方法)
前記で測定したアウトガス中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸及びアンモニアについて、気中濃度(volppb)を以下の式により算出した。
気中濃度(volppb)=(気中濃度(g/m)×((273+サンプリング時温度(℃))/273)×22.4)/分子量
なお、気中濃度(g/m)は、以下の式により算出した。
・アルデヒド類:
気中濃度(g/m)=液中濃度(g/mL)×溶出量(mL)/捕集量(m
・有機酸、アンモニア:
気中濃度(g/m)=吸収液中の目的成分濃度(g/mL)× 吸収液量(mL)/捕集量(m
各成分の気中濃度の定量には標品を用いた。なお、定量下限値はホルムアルデヒド1.1volppb、アセトアルデヒド0.71volppb、ギ酸6volppb、酢酸5volppb、アンモニア14volppbとした。表1において、定量下限値未満の成分については「<定量下限値」と示した。
また、IC測定で検出されたギ酸イオン(HCOO)をギ酸、酢酸イオン(CHCOO)を酢酸、アンモニウムイオン(NH4+)をアンモニアに換算し、算出した。
2.ガス検知管による有機酸の濃度分析
各実施例及び各比較例で得られた反射防止物品について、前記小形チャンバー法よりも簡易に測定可能な以下の方法により有機酸濃度を測定した。なお、当該方法は、前記小形チャンバー法と相関がよく、信頼できることが、例えば、佐野千絵、外2名、「展示ケース内有機酸の低減対策の評価法」、保存科学、東京文化財研究所、平成25年度、第53号、p.33〜43に記載されている。
ガス検知管による有機酸の濃度分析では、北川式ガス検知管(光明理化学工業(株)製、美術館博物館用有機酸、No.910)を用いて、デシケータ(37.2L)内に試料負荷率3.3(m/m)となるように反射防止物品をセットし、有機酸濃度を測定した。吸引流量0.2L/分、60分間吸引とし、定量下限値は10volppbとした。測定結果を表2に示す。なお、定量下限値未満の場合は「<定量下限値」と示した。
3.反射率の測定
各実施例及び比較例で得られた反射防止物品の裏面(基材側の面)に、黒色テープを貼り付け、紫外可視分光光度計(日本分光社製、商品名「V−7100」)を用いて、JIS Z8701−1999に準拠して2度視野(D65光源)により、反射防止物品表面への5°正反射率を測定した。測定結果を表2に示す。
(結果のまとめ)
実施例1〜6で得られた反射防止物品は、本発明で特定する微細凹凸形状を表面に有し、当該微細凹凸形状を有する微細凹凸層が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を特定量含有し、さらに水素引き抜き型の光開始剤を含有する樹脂組成物の硬化物からなるものであったため、アウトガスの発生が抑制され、反射防止性に優れていた。
一方で、比較例1で得られた反射防止物品は、微細凹凸層に用いられた樹脂組成物が、水素引き抜き型の光開始剤に代えて、自己開裂型の光開始剤を含有するものであったため、アウトガスの発生を抑制する効果に劣っていた。
比較例2で得られた反射防止物品は、微細凹凸層に用いられた樹脂組成物が、水素引き抜き型の光開始剤に代えて、自己開裂型の光開始剤を含有し、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を含有しないものであったため、アウトガスの発生を抑制する効果に劣っていた。
比較例3で得られた反射防止物品は、微細凹凸層に用いられた樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物を含有しないものであったため、アウトガスの発生を抑制する効果に劣っていた。
比較例4で得られた反射防止物品は、比較例1で得られた反射防止物品にいわゆる枯らしを行ったものであるため、比較例1で得られた反射防止物品と比べると、アウトガスの発生は抑制されていたものの、微細凹凸層に用いられた樹脂組成物が、水素引き抜き型の光開始剤に代えて、自己開裂型の光開始剤を含有するものであったため、実施例1〜6に比べると、アウトガスの発生を抑制する効果に劣っていた。
1 透明基材
2 微細凹凸層
2a 微細凹凸面
3 微小突起
3C 頂部微小突起
3D 周辺微小突起
5、5A、5B 微小突起
10 反射防止物品
24 凸状突起群
30 微細凹凸層
31 微細凹凸層表面
32 微小突起
33 うねりによる凹凸面
41 ダイ
42 ロール金型(原版)
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
45 透明基材
46 受容層
50 美術品展示体
51 美術品
52 収納体
53 透明保護板
g 溝

Claims (4)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、複数の微小突起が密接して配置されてなる微小突起群を備えた微細凹凸形状を表面に有し、樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸層を備えた反射防止物品であって、
    前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの平均値をdAVGとしたときに、
    AVG≦Λmin
    なる関係を有し、
    前記樹脂組成物が、(i)2つ以上の単環芳香族炭化水素及び(ii)多環芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する(メタ)アクリレート化合物と、水素引き抜き型の光開始剤とを含有し、前記(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、前記樹脂組成物に含まれる全固形分に対して50〜90質量%であることを特徴とする、反射防止物品。
  2. 前記樹脂組成物が、更にカルボジイミド基を有する化合物を含有する、請求項1に記載の反射防止物品。
  3. 前記透明基材が、ポリエステル系樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の反射防止物品。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載される反射防止物品と、美術品とを備え、
    前記反射防止物品が、前記微細凹凸形状を有する面が前記美術品側を向くように配置された、美術品展示体。
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