JP2004219626A - 光学素子 - Google Patents
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Abstract
【構成】反射防止板10の導光板12の面には微細構造が施されており、その微細構造はシラン系モノマの重合膜の薄膜で、またはフッ素系モノマの重合膜の薄膜で、あるいはアナターゼ結晶構造を有する酸化チタンを材料とする薄膜14により覆われている。
【効果】このような材料で薄膜を形成することにより、光学素子表面の汚れの付着を防止することができる。
【選択図】 図1
【効果】このような材料で薄膜を形成することにより、光学素子表面の汚れの付着を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学素子に関し、特にたとえば、表面に微細構造を形成することによって反射防止、偏光制御、狭帯域フィルタなどの機能を持たせるようにした、光学素子に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のこの種の光学素子の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、基材の表面に形成された微細周期構造を保護膜で覆うことによって、微細周期構造を温度や湿度などの環境変化や物理的な傷から保護しようとするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−182003号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、保護膜の材料としてフッ化マグネシウム(MgF2)が用いられているため、汚れ防止機能に欠けるという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、表面に形成された微細構造に汚れが付着するのを防止することができる、光学素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、表面に光の波長より小さい微細構造が形成されかつ微細構造が薄膜によって覆われた光学素子において、薄膜をシラン系モノマの重合膜で、またはフッ素系モノマ重合膜で、あるいはアナターゼ結晶構造を有する酸化チタンを材料として形成したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
光学素子の表面には微細構造が施されており、その微細構造は薄膜により覆われている。
【0008】
シラン系やフッ素系モノマの重合膜は表面張力が小さいため、汚れが付着しにくく、仮に付着しても除去し易い。酸化チタンは有機物分解作用があるため、汚れが付着すると分解し、汚れを除去する。
【0009】
薄膜の厚みを10ナノメートル以下にすれば、この薄膜が光学素子の光学特性に影響を与えることがない。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、光学素子に施された微細構造上に、薄膜を形成することにより、光学素子表面の汚れの付着を防止することができる。
【0011】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
図1を参照して、この実施例の光学素子は反射防止板10であり、この反射防止板10は表面に微細構造が施された基板12とそれを覆う10ナノメートル以下の厚みで汚れが付着しにくいなどの機能、あるいは光触媒機能を有し、なおかつ微細構造を壊さない薄膜14とを含む。
【0013】
反射防止板10の表面には、図2に示すような四角錐状のプリズムP1,P1,…が、水平方向および垂直方向に連続して形成されている。基板12と空気の屈折率は異なるため、その境界面では光が透過する際に反射が生じる。しかし、このような微細構造を基板12上に設けることにより、屈折率が空気から基板12にかけて連続して変化するため、光の反射を抑えることができる。
【0014】
基板12の材料は、通常は、アクリルまたはポリカーボネートの透明樹脂が用いられる。しかしながら、ポリメタアクリル酸メチル,ポリアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エステルの単独もしくは共重合体,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等熱可塑性樹脂、あるいは紫外線または電子線で架橋した、多官能のウレタンアクリレート,ポリエステルアクリレート等のアクリレート、不飽和ポリエステル等透明な樹脂、透明な硝子、透明なセラミック等を用いることも可能である。
【0015】
薄膜14は、プラズマ重合処理によるシラン系またはフッ素系のモノマ重合膜などの有機物膜であり、真空蒸着法やスパッタリング法などにより基板上に形成される。シラン系の材料は、フェニルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメチルシランなどである。フッ素系の材料は、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンなどである。膜厚は10ナノメートル以下であり、反射防止板10に施された微細構造の光学特性にほとんど影響を与えない。
【0016】
シラン系やフッ素系は表面エネルギーが低いため、汚れが付着しにくく、かりに付着しても除去しやすい性質を有する。よって、反射防止板10は、このような性質を持つ薄膜14を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚効果が付与される。
【0017】
また、薄膜14はアナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンでもよい。酸化チタンは従来光触媒として知られており、その強力な有機物分解機能(酸化反応)により汚れを除去する。よって、反射防止板10は、このような機能を持つ薄膜14を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚・防曇効果を付与される。
【0018】
図3は、反射防止板の表面に設けた微細構造およびその表面にコーティングした厚みが10ナノメートルの薄膜の光学特性を示したデータである。横軸に波長、縦軸に反射率を示している。表面に微細構造を設けていない基板のみの反射率Cは、微細構造を設け薄膜をコーティングしていない反射防止板の反射率Aに比べて大きい。それに対し、微細構造を設け薄膜をコーティングしている反射防止板の反射率Bは、微細構造を設け薄膜をコーティングしていない反射防止板の反射率Aに比べて、薄膜を設けた分だけ多少反射率は大きくなっているが反射防止板として実用上問題のないレベルである。よって、薄膜の厚みが10ナノメートル以下の場合、反射防止板の光学特性に影響を与えないことがわかる。
【0019】
次に、この実施例の反射防止板10の製造方法について説明する。反射防止板10は、基板12に薄膜14をコーティングすることにより形成される。
【0020】
まず、基板12の製作方法について説明する。図4(A)に示すように、基板16上にポジ型フォトレジスト18を塗布した後、電子ビームまたは二光束干渉露光などによりレジスト18に微細パターンを描画する。ついで、レジスト18の描画した部分を現像により除去すると、図4(B)に示すように表面にレジスト18の凹凸構造が形成される。その後、図4(C)を参照してわかるように、Crなどの金属を基板16およびレジスト18上に蒸着して金属層20を形成すると、金属層20はレジスト18上とレジストが除去された基板16上とに残される。そして、リフトオフによりレジスト18をすべて除去すると、金属層20のみが残り、図4(D)に示すように基板16上に金属マスク20が形成される。この金属マスク20をマスクとしてエッチングを行うと、基板16とともに金属マスク20もエッチングされる。すると、金属マスク20の径が減少していき、無くなるまでエッチングを行うと、基板16は錘形状となり、図4(F)に示すような基板16のエッチング表面に微細構造が施されたマスタ22が形成される。次に、図5(A)に示すように、マスタ22を用いて電気鋳造を行う。これにより、図5(B)に示すような金型24が作成される。
【0021】
ついで、この金型24を図6(A)に示すように、射出成形装置にセットする。そして、図6(B)に示すように、可塑化した基板材料26を金型キャビティ28内に充填し、図6(C)に示すようにキャビティ内部に圧縮力を加えると、図1に示す基板12が形成される。このような製造方法を用いることにより、高精度で低コストな透明プラスチック光学素子が製作できる。なお、ここでは、射出成形を例に挙げているが、他の成形方法を利用してもよい。
【0022】
次に、基板12上に薄膜14を形成する。つまり、図7を参照して、薄膜材料30を加熱して蒸発させ、この蒸発粒子を基板12上に沈着させて薄膜を形成する。ここでは、真空蒸着法を例に挙げているが、スパッタリング法などに代表されるPVD法、CVD法またはディップコート法やスプレイコート法などに代表されるウェットコーティング法により薄膜を形成してもよい。
【0023】
ここで、反射防止板10の表面の微細構造は円錐形状を例に挙げているが、角錘形状、格子断面が矩形凹凸形状や階段状などでもよい。
【0024】
(実施例2)
上記反射防止機能に加え、光学素子の表面構造の形状を図9に示すような矩形にするとこの光学素子は位相板として作用する。図8を参照して、位相板の一例である1/4波長板32を示す。直線偏光の入射光34が波長板32を透過すると、1/4波長板32で位相差が生じ円偏光36になる。
【0025】
図9を参照して、このような位相板32は基板38と薄膜40を含む。基板38と薄膜40の材料や機能については実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0026】
位相板32の表面には、図10に示すようなピッチp、高さdの矩形の1次元周期構造が形成されている。光の波長より小さなピッチをもつ位相板32は、回折は生じず複屈折が生じる。この回折格子のP偏光の屈折率をnp、S偏光の屈折率をnsとする。波長λの光が位相板32通過する場合、2つの光の間に位相差(2π/λ)(np−ns)dが生じる。
【0027】
V方向とH方向の偏光の屈折率は、ピッチpに対する凸部の幅wで定義されるデューティー比(w/p)または深さdを適当に設定することにより、変化させることができる。よって、入射光に任意の位相差を生じさせることができる。
【0028】
位相板32は、実施例1と同様にフッ素系やシラン系重合膜、酸化チタンの薄膜40を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚・防曇効果を付与される。
【0029】
次に、表面に微細構造を持つ位相板32の製造方法について説明する。位相板32は、基板38に薄膜40をコーティングすることにより形成される。
【0030】
基板38の製作方法について説明する。図11(A)に示すように、基板42上にポジ型フォトレジスト18を塗布し、その上に電子ビームまたは二光束干渉露光などにより微細パターンを描画する。そのレジスト18の描画した部分を現像により除去すると、図11(B)に示すレジストパターンが形成される。次にレジストパターン上からエッチングすると、図11(C)に示すような基板42の表面に微細構造が形成される。最後に、リフトオフにより不要なレジスト18をすべて除去し、図11(D)に見られるマスタ44が完成する。これ以降の金型成形(図12(A)〜図12(B))、射出成形(図13(A)〜図13(C))、薄膜成形(図14)は実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0031】
ここでは、1/4波長板を例に挙げたが、1/2波長板など他の位相板でもよい。
【0032】
(実施例3)
また、上記位相板は格子の構造を工夫することにより、偏光ビームスプリッタ48としても作用する。図15を参照して、異なる偏光の光が重なった入射光50は偏光ビームスプリッタ48を透過すると、それぞれ分離された透過光52になる。
【0033】
位相板で説明した通り、微細回折格子のP偏光とS偏光の屈折率は異なる。また、Bragg反射条件を満足する光は選択的に反射される。したがって、P偏光またはS偏光の一方の光をBraggの反射条件に合うように設計すると、その一方の偏光の光のみが反射し、もう一方は透過する。よって、偏光ビームスプリッタ48により偏光の異なる光を分離することができる。
【0034】
このような微細回折格子を有する偏光ビームスプリッタ48は、位相板32と同様に図9に示す基板38と薄膜40を含む。基板38と薄膜40の材料や機能については実施例1と同様であるため、説明は省略する。また、製造方法については、実施例2と同様であるため、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す反射防止板の断面図である。
【図2】図1実施例の微細表面構造を示す斜視図である。
【図3】反射防止板の表面に設けた微細構造とその表面にコーティングした薄膜との光学特性を示したデータである。
【図4】図1実施例における基板のマスタの製造方法である。
【図5】図1実施例における基板の金型の製造方法である。
【図6】図1実施例の射出成形による基板の製造方法である。
【図7】図1実施例の薄膜の形成方法である。
【図8】この発明の一実施例を示す位相板の斜視図である。
【図9】図8と図15実施例の位相板と偏光ビームスプリッタの断面図である。
【図10】図9実施例の微細表面構造を示す斜視図である。
【図11】図9実施例における基板のマスタの製造方法である。
【図12】図9実施例における基板の金型の製造方法である。
【図13】図9実施例の射出成形による基板の製造方法である。
【図14】図9実施例の薄膜の形成方法である。
【図15】この発明の一実施例を示す偏光ビームスプリッタの斜視図である。
【符号の説明】
10…反射防止板
12…基板
14…薄膜
32…位相板
38…基板
40…薄膜
48…偏光ビームスプリッタ
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学素子に関し、特にたとえば、表面に微細構造を形成することによって反射防止、偏光制御、狭帯域フィルタなどの機能を持たせるようにした、光学素子に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のこの種の光学素子の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、基材の表面に形成された微細周期構造を保護膜で覆うことによって、微細周期構造を温度や湿度などの環境変化や物理的な傷から保護しようとするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−182003号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、保護膜の材料としてフッ化マグネシウム(MgF2)が用いられているため、汚れ防止機能に欠けるという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、表面に形成された微細構造に汚れが付着するのを防止することができる、光学素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、表面に光の波長より小さい微細構造が形成されかつ微細構造が薄膜によって覆われた光学素子において、薄膜をシラン系モノマの重合膜で、またはフッ素系モノマ重合膜で、あるいはアナターゼ結晶構造を有する酸化チタンを材料として形成したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
光学素子の表面には微細構造が施されており、その微細構造は薄膜により覆われている。
【0008】
シラン系やフッ素系モノマの重合膜は表面張力が小さいため、汚れが付着しにくく、仮に付着しても除去し易い。酸化チタンは有機物分解作用があるため、汚れが付着すると分解し、汚れを除去する。
【0009】
薄膜の厚みを10ナノメートル以下にすれば、この薄膜が光学素子の光学特性に影響を与えることがない。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、光学素子に施された微細構造上に、薄膜を形成することにより、光学素子表面の汚れの付着を防止することができる。
【0011】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
図1を参照して、この実施例の光学素子は反射防止板10であり、この反射防止板10は表面に微細構造が施された基板12とそれを覆う10ナノメートル以下の厚みで汚れが付着しにくいなどの機能、あるいは光触媒機能を有し、なおかつ微細構造を壊さない薄膜14とを含む。
【0013】
反射防止板10の表面には、図2に示すような四角錐状のプリズムP1,P1,…が、水平方向および垂直方向に連続して形成されている。基板12と空気の屈折率は異なるため、その境界面では光が透過する際に反射が生じる。しかし、このような微細構造を基板12上に設けることにより、屈折率が空気から基板12にかけて連続して変化するため、光の反射を抑えることができる。
【0014】
基板12の材料は、通常は、アクリルまたはポリカーボネートの透明樹脂が用いられる。しかしながら、ポリメタアクリル酸メチル,ポリアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エステルの単独もしくは共重合体,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等熱可塑性樹脂、あるいは紫外線または電子線で架橋した、多官能のウレタンアクリレート,ポリエステルアクリレート等のアクリレート、不飽和ポリエステル等透明な樹脂、透明な硝子、透明なセラミック等を用いることも可能である。
【0015】
薄膜14は、プラズマ重合処理によるシラン系またはフッ素系のモノマ重合膜などの有機物膜であり、真空蒸着法やスパッタリング法などにより基板上に形成される。シラン系の材料は、フェニルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメチルシランなどである。フッ素系の材料は、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンなどである。膜厚は10ナノメートル以下であり、反射防止板10に施された微細構造の光学特性にほとんど影響を与えない。
【0016】
シラン系やフッ素系は表面エネルギーが低いため、汚れが付着しにくく、かりに付着しても除去しやすい性質を有する。よって、反射防止板10は、このような性質を持つ薄膜14を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚効果が付与される。
【0017】
また、薄膜14はアナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンでもよい。酸化チタンは従来光触媒として知られており、その強力な有機物分解機能(酸化反応)により汚れを除去する。よって、反射防止板10は、このような機能を持つ薄膜14を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚・防曇効果を付与される。
【0018】
図3は、反射防止板の表面に設けた微細構造およびその表面にコーティングした厚みが10ナノメートルの薄膜の光学特性を示したデータである。横軸に波長、縦軸に反射率を示している。表面に微細構造を設けていない基板のみの反射率Cは、微細構造を設け薄膜をコーティングしていない反射防止板の反射率Aに比べて大きい。それに対し、微細構造を設け薄膜をコーティングしている反射防止板の反射率Bは、微細構造を設け薄膜をコーティングしていない反射防止板の反射率Aに比べて、薄膜を設けた分だけ多少反射率は大きくなっているが反射防止板として実用上問題のないレベルである。よって、薄膜の厚みが10ナノメートル以下の場合、反射防止板の光学特性に影響を与えないことがわかる。
【0019】
次に、この実施例の反射防止板10の製造方法について説明する。反射防止板10は、基板12に薄膜14をコーティングすることにより形成される。
【0020】
まず、基板12の製作方法について説明する。図4(A)に示すように、基板16上にポジ型フォトレジスト18を塗布した後、電子ビームまたは二光束干渉露光などによりレジスト18に微細パターンを描画する。ついで、レジスト18の描画した部分を現像により除去すると、図4(B)に示すように表面にレジスト18の凹凸構造が形成される。その後、図4(C)を参照してわかるように、Crなどの金属を基板16およびレジスト18上に蒸着して金属層20を形成すると、金属層20はレジスト18上とレジストが除去された基板16上とに残される。そして、リフトオフによりレジスト18をすべて除去すると、金属層20のみが残り、図4(D)に示すように基板16上に金属マスク20が形成される。この金属マスク20をマスクとしてエッチングを行うと、基板16とともに金属マスク20もエッチングされる。すると、金属マスク20の径が減少していき、無くなるまでエッチングを行うと、基板16は錘形状となり、図4(F)に示すような基板16のエッチング表面に微細構造が施されたマスタ22が形成される。次に、図5(A)に示すように、マスタ22を用いて電気鋳造を行う。これにより、図5(B)に示すような金型24が作成される。
【0021】
ついで、この金型24を図6(A)に示すように、射出成形装置にセットする。そして、図6(B)に示すように、可塑化した基板材料26を金型キャビティ28内に充填し、図6(C)に示すようにキャビティ内部に圧縮力を加えると、図1に示す基板12が形成される。このような製造方法を用いることにより、高精度で低コストな透明プラスチック光学素子が製作できる。なお、ここでは、射出成形を例に挙げているが、他の成形方法を利用してもよい。
【0022】
次に、基板12上に薄膜14を形成する。つまり、図7を参照して、薄膜材料30を加熱して蒸発させ、この蒸発粒子を基板12上に沈着させて薄膜を形成する。ここでは、真空蒸着法を例に挙げているが、スパッタリング法などに代表されるPVD法、CVD法またはディップコート法やスプレイコート法などに代表されるウェットコーティング法により薄膜を形成してもよい。
【0023】
ここで、反射防止板10の表面の微細構造は円錐形状を例に挙げているが、角錘形状、格子断面が矩形凹凸形状や階段状などでもよい。
【0024】
(実施例2)
上記反射防止機能に加え、光学素子の表面構造の形状を図9に示すような矩形にするとこの光学素子は位相板として作用する。図8を参照して、位相板の一例である1/4波長板32を示す。直線偏光の入射光34が波長板32を透過すると、1/4波長板32で位相差が生じ円偏光36になる。
【0025】
図9を参照して、このような位相板32は基板38と薄膜40を含む。基板38と薄膜40の材料や機能については実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0026】
位相板32の表面には、図10に示すようなピッチp、高さdの矩形の1次元周期構造が形成されている。光の波長より小さなピッチをもつ位相板32は、回折は生じず複屈折が生じる。この回折格子のP偏光の屈折率をnp、S偏光の屈折率をnsとする。波長λの光が位相板32通過する場合、2つの光の間に位相差(2π/λ)(np−ns)dが生じる。
【0027】
V方向とH方向の偏光の屈折率は、ピッチpに対する凸部の幅wで定義されるデューティー比(w/p)または深さdを適当に設定することにより、変化させることができる。よって、入射光に任意の位相差を生じさせることができる。
【0028】
位相板32は、実施例1と同様にフッ素系やシラン系重合膜、酸化チタンの薄膜40を表面に形成されることにより、微細構造表面が保護されるとともに防汚・防曇効果を付与される。
【0029】
次に、表面に微細構造を持つ位相板32の製造方法について説明する。位相板32は、基板38に薄膜40をコーティングすることにより形成される。
【0030】
基板38の製作方法について説明する。図11(A)に示すように、基板42上にポジ型フォトレジスト18を塗布し、その上に電子ビームまたは二光束干渉露光などにより微細パターンを描画する。そのレジスト18の描画した部分を現像により除去すると、図11(B)に示すレジストパターンが形成される。次にレジストパターン上からエッチングすると、図11(C)に示すような基板42の表面に微細構造が形成される。最後に、リフトオフにより不要なレジスト18をすべて除去し、図11(D)に見られるマスタ44が完成する。これ以降の金型成形(図12(A)〜図12(B))、射出成形(図13(A)〜図13(C))、薄膜成形(図14)は実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0031】
ここでは、1/4波長板を例に挙げたが、1/2波長板など他の位相板でもよい。
【0032】
(実施例3)
また、上記位相板は格子の構造を工夫することにより、偏光ビームスプリッタ48としても作用する。図15を参照して、異なる偏光の光が重なった入射光50は偏光ビームスプリッタ48を透過すると、それぞれ分離された透過光52になる。
【0033】
位相板で説明した通り、微細回折格子のP偏光とS偏光の屈折率は異なる。また、Bragg反射条件を満足する光は選択的に反射される。したがって、P偏光またはS偏光の一方の光をBraggの反射条件に合うように設計すると、その一方の偏光の光のみが反射し、もう一方は透過する。よって、偏光ビームスプリッタ48により偏光の異なる光を分離することができる。
【0034】
このような微細回折格子を有する偏光ビームスプリッタ48は、位相板32と同様に図9に示す基板38と薄膜40を含む。基板38と薄膜40の材料や機能については実施例1と同様であるため、説明は省略する。また、製造方法については、実施例2と同様であるため、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す反射防止板の断面図である。
【図2】図1実施例の微細表面構造を示す斜視図である。
【図3】反射防止板の表面に設けた微細構造とその表面にコーティングした薄膜との光学特性を示したデータである。
【図4】図1実施例における基板のマスタの製造方法である。
【図5】図1実施例における基板の金型の製造方法である。
【図6】図1実施例の射出成形による基板の製造方法である。
【図7】図1実施例の薄膜の形成方法である。
【図8】この発明の一実施例を示す位相板の斜視図である。
【図9】図8と図15実施例の位相板と偏光ビームスプリッタの断面図である。
【図10】図9実施例の微細表面構造を示す斜視図である。
【図11】図9実施例における基板のマスタの製造方法である。
【図12】図9実施例における基板の金型の製造方法である。
【図13】図9実施例の射出成形による基板の製造方法である。
【図14】図9実施例の薄膜の形成方法である。
【図15】この発明の一実施例を示す偏光ビームスプリッタの斜視図である。
【符号の説明】
10…反射防止板
12…基板
14…薄膜
32…位相板
38…基板
40…薄膜
48…偏光ビームスプリッタ
Claims (4)
- 表面に光の波長より小さい微細構造が形成されかつ前記微細構造が薄膜によって覆われた光学素子において、
前記薄膜をシラン系モノマの重合膜で形成したことを特徴とする、光学素子。 - 表面に光の波長より小さい微細構造が形成されかつ前記微細構造が薄膜によって覆われた光学素子において、
前記薄膜をフッ素系モノマの重合膜で形成したことを特徴とする、光学素子。 - 表面に光の波長より小さい微細構造が形成されかつ前記微細構造が薄膜によって覆われた光学素子において、
前記薄膜をアナターゼ結晶構造の酸化チタンを材料として形成したことを特徴とする、光学素子。 - 前記薄膜は10ナノメートル以下の厚みを有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の光学素子。
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