JPWO2011024879A1 - ポリアリーレンスルフィドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、<工程1>230℃以上245℃未満の温度範囲での重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させ、<工程2>245℃以上280℃未満の温度範囲内での重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させる。【選択図】なし

Description

本発明は、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたポリアリーレンスルフィド、およびそれを効率よく製造する方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下PASと略す)は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。特に近年では、環境負荷低減やコスト削減の目的で成形品の小型化、軽量化が盛んに行われ、成形品形状がより複雑化している。その複雑形状の成形品に対応できる溶融流動性の高いPASが求められているが、溶融流動性が高いPASには概して低分子量成分を多く含んでいるため、溶融時の揮発性成分量が多い傾向にある。かかる揮発性成分は金型汚れや金型ベント詰まりを引き起こし生産効率が悪化するという問題を引き起こすため、溶融流動性が高く、なおかつ溶融時の揮発性成分量の少ないPASが強く求められていた。また、更なる環境負荷低減やコスト削減のため、成形サイクルの短縮化による生産性向上が求められており、より高い溶融結晶化温度を有するPASが望まれていた。本発明は、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度という、射出成形用途に強く求められてきた要素を兼ね備えたPASおよびその製造方法を見出したものである。
PASの代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)などの有機極性溶媒中で硫化ナトリウムなどのスルフィド化剤とp−ジクロロベンゼンなどのジハロゲン化芳香族化合物とを反応させる方法が知られている。PASを溶融させた時に発生する揮発性成分量を低減する方法としては、反応後に得られたPASスラリーをアセトンやNMPなどの有機溶媒で洗浄する方法が一般に知られているが、本方法では揮発性成分の主成分である低分子量物が洗浄除去されるとともにオリゴマーも除去されるため、PASを溶融させたときの流動性は低下する傾向にある。そのため、オリゴマーを特定量含み、高い溶融流動性を確保した状態で揮発性成分量を低減する検討が行われている。例えば、特許文献1では極性有機溶媒中でポリハロゲン芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させた後フラッシュ法で回収し、得られたポリマーをpH=2〜8、80〜200℃で酸処理し、得られたPPSを酸素濃度2体積%以上の雰囲気下、160〜270℃で0.2〜50時間加熱処理する方法が開示されている。一般的に、PPSを酸素雰囲気下で加熱処理(キュア)を行うと、酸化架橋による溶融粘度の上昇が生じ溶融流動性が低下することが知られているが、特許文献1では加熱処理条件を特定の条件に制御することで、高い溶融流動性と少ない揮発性成分量を両立している。しかしながら、示差走査熱量計(以下DSCと略す)を用いて溶融状態から20℃/分の条件で冷却した際のPPSの結晶化ピーク温度は240℃以下であり、射出成形に好適な高い溶融結晶化温度を有するPPSを得るには至っていない。
高い溶融結晶化温度を有するPASを得る方法としては、反応後の洗浄において酸処理することが知られており、例えば特許文献2ではNMP存在下、水硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを220℃で1.5時間、更に245℃で2時間反応させ、得られたポリマーの後処理工程において特定の条件において酸処理とアルカリ処理を組みあわせる方法が開示されている。本方法では確かに高い溶融結晶化温度を有するPASが得られるものの、DSCを用いて溶融状態から20℃/分の条件で冷却した際の結晶化ピーク温度が248℃以上であるPASを得るには至っていない。
PASの溶融結晶化温度を上げる他の方法として、特許文献3では有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物またはアルカリ金属硫化物形成性化合物とジハロ芳香族化合物を温度160〜290℃で反応させて得られた反応混合物を固液分離し、分離された固形分を有機アミド溶媒で洗浄し、分離された固形分を更に有機アミド溶媒でスラリー化し160〜290℃、10分〜30時間再反応させる方法が開示されている。また、特許文献4では有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを260℃で2時間反応させ、反応終了後のPASスラリーに、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して0.1〜48モル%の酸素を添加する方法が開示されている。これらの方法ではDSCを用いて溶融状態から10℃/分の条件で冷却した際の結晶化ピーク温度が250℃以上と、確かに高い溶融結晶化温度を有するPASを得ているものの、いずれも溶融粘度が高く、高い流動性が求められる射出成形用途には適していなかった。
特開2009−144141(請求項、実施例) 特開平8−198965(請求項、実施例) 特開平2−102228(請求項、実施例) 特開2001−172387(請求項、実施例)
本発明は、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを効率よく得ることを課題として検討した結果達成されたものである。
本発明は、かかる課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際、特定の温度条件下で特定時間反応させることで、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。
(2)前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(3)前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(4)前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(5)ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(6)前記工程1開始時の反応系内に存在するアルカリ金属水酸化物が、スルフィド化剤1モルに対し0.9モル以上1.2モル未満であることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(7)反応に使用する有機極性溶媒が、スルフィド化剤1モルに対し2.5モル以上5.5モル未満であることを特徴とする(1)〜(6)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(8)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発する揮発性成分量が1.0重量%以下であり、溶融粘度(温度300℃、剪断速度1216sec−1で測定)が2Pa・s以上100Pa・s未満であり、示差走査熱量計を用いて340℃まで昇温し、1分間保持した後に20℃/分の速度で降温した際に検出される溶融結晶化ピーク温度が248℃以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
(9)クロロホルム抽出量が1.0重量%以上であることを特徴とする(8)記載のポリアリーレンスルフィド。
本発明によれば、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを効率よく得ることができる。
本発明におけるPASとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(J)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
Figure 2011024879
(R1,R2は水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(K)〜式(M)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 2011024879
また、本発明におけるPASは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドエーテル、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいPASとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 2011024879
を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドエーテルが挙げられ、ポリフェニレンスルフィドが特に好ましい。
本発明でのPASの製造方法について、以下、スルフィド化剤、有機極性溶媒、ジハロゲン化芳香族化合物、重合助剤、分岐・架橋剤、分子量調整剤、重合安定剤、前工程、重合工程、ポリマー回収、生成PAS、その他の後処理、及び用途の順に詳述する。
(1)スルフィド化剤
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からスルフィド化剤を調製し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からスルフィド化剤を調製し、これを重合槽に移して用いることができる。
本発明において、スルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましく、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.9モル以上1.2モル未満、好ましくは0.95モル以上1.15モル未満、更に好ましくは0.95モル以上1.1モル未満の範囲が例示できる。この範囲にすることで、分解を引き起こすことなく、また重合副生物量の少ないPASを得ることができる。
(2)有機極性溶媒
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましく用いられる。
本発明においてPASの重合溶媒として用いる有機極性溶媒の使用量に特に制限はないが、安定した反応性および経済性の観点から、スルフィド化剤1モル当たり2.5モル以上5.5モル未満、好ましくは2.5モル以上5モル未満、より好ましくは2.5モル以上4.5モル未満の範囲が選択される。
(3)ジハロゲン化芳香族化合物
本発明で用いるジハロゲン化芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼン、および1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロゲン化芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。また、PAS共重合体を製造するために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明におけるジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、分解を抑制すると共に加工に適した粘度のPASを効率よく得る観点から、スルフィド化剤1モル当たり0.8モル以上1.5モル未満、好ましくは0.9モル以上1.1モル未満、より好ましくは0.95モル以上1.08モル未満、更に好ましくは、0.95モル以上1.05モル未満の範囲が例示できる。
(4)重合助剤
本発明においては、重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。重合助剤を用いる一つの目的はPASを所望の溶融粘度に調整するためであるが、他の目的としては揮発性成分量を低減するためである。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上同時に用いても差し障りない。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
有機カルボン酸金属塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。有機カルボン酸金属塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。有機カルボン酸金属塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。有機カルボン酸金属塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記有機カルボン酸金属塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると推定しており、安価でかつ反応系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
重合助剤として上記有機カルボン酸金属塩を用いる場合の使用量は、仕込みスルフィド化剤1モルに対し、0.01モル以上0.7モル未満の範囲が好ましく、0.02モル以上0.6モル未満の範囲がより好ましく、0.02モル以上0.55モル未満の範囲がいっそう好ましい。
重合助剤として有機カルボン酸金属塩を使用する場合、その添加時期には特に制限はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、添加の容易性からすると、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが好ましい。
重合助剤として水を用いる場合、水単独で用いることも可能であるが、有機カルボン酸金属塩を同時に用いることが好ましく、これにより重合助剤としての効果をより高めることができ、より少ない重合助剤の使用量でも短時間で所望の溶融粘度のPASを得ることができる傾向にある。この場合の重合系内の好ましい水分量の範囲は、スルフィド化剤1モルに対し0.8モル以上3モル未満であり、0.85モル以上1.8モル未満がより好ましい。水分量が多すぎると反応器内圧の上昇が大きく、高い耐圧性能を有した反応器が必要となるため、経済的にも安全性の面でも好ましくない傾向にある。重合系内の水分量を前記範囲にする段階のジハロゲン化芳香族化合物の転化率は、後述するように60モル%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であることが好ましい。
また、重合後に水を添加することも好ましい様態の一つである。重合後に水を添加した後の重合系内の水分量の好ましい範囲は、スルフィド化剤1モルに対して1〜15モルであり、1.5〜10モルがより好ましい。
(5)分岐・架橋剤、分子量調整剤
本発明では、分岐または架橋重合体を形成させるために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの分岐・架橋剤を併用することも可能である。ポリハロゲン化合物としては通常に用いられる化合物を用いることができるが、中でもポリハロゲン化芳香族化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等を挙げることができ、中でも1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが好ましい。前記、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物としては、例えばアミノ基、メルカプト基及びヒドロキシル基などの官能基を有するハロゲン化芳香族化合物を挙げることができる。具体例としては2,5−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,2’−ジアミノ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノ−2’,4−ジクロロジフェニルエーテルなどを挙げることができる。前記、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物としては、例えば2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,5−ジクロロニトロベンゼン、2−ニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジクロロ−2−ニトロピリジン、2−クロロ−3,5−ジニトロピリジンなどを挙げることができる。
また、PASの分子量を調整する目的でモノハロゲン化化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することも可能である。モノハロゲン化化合物としては、モノハロゲン化ベンゼン、モノハロゲン化ナフタレン、モノハロゲン化アントラセン、ベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、モノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
(6)重合安定剤
本発明のPASの製造においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。前述した有機カルボン酸金属塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、重合反応開始前の反応系内のスルフィド化剤1モルに対して、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モルの割合で使用することが望ましい。この割合が多すぎると経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下したりする傾向にある。なお、反応時にアルカリ金属硫化物の一部が分解して、硫化水素が発生する場合には、その結果生成したアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよい。
(7)前工程
本発明のPASの製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ジハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温〜100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180℃〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
前工程が終了した段階での系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.9〜1.1モルであることが好ましい。ここで系内の水分量とは前工程で仕込まれた水分量から系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
前工程が終了した後、有機極性溶媒中で、前工程で調製した反応物とジハロゲン化芳香族化合物を接触させて重合反応を行うが、前工程と同じ反応器で後述の重合反応工程を行っても良いし、前工程と異なる反応容器に前工程で調製した反応物を移送した後に重合反応工程を行ってもよい。
(8)重合工程
本発明である、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを得るためには、特定の重合工程を経る必要がある。かかる重合工程とは、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させてPASを得る際、
<工程1>230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてPASのプレポリマーを生成させる工程、及び
<工程2>245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてPASを得る工程、
のことである。該工程を経ることにより、本発明のPASを短時間で効率よく得ることができる。
以下に工程1及び工程2について詳述する。
<工程1>本発明では、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合を行う際、230℃以上245℃未満の温度範囲において昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であることが必要である。本発明である溶融時の揮発性成分量の少ないPASを得るには、低い温度でジハロゲン化芳香族化合物の転化率を十分上げた後に工程2を行うことが好ましいが、重合温度230℃未満の反応では反応速度が遅いためジハロゲン化芳香族化合物の転化率が上がりにくく、工程2を経て得たPASの溶融粘度は低すぎ、射出成形に好適な溶融流動性が得られない傾向にある。また、230℃未満のみの反応でジハロゲン化芳香族化合物の転化率を上げるには長時間の反応を要し、生産効率上好ましくない。そのため、比較的反応速度が高い230℃以上245℃未満の温度範囲で30分以上3.5時間未満、好ましくは40分以上3.5時間未満、より好ましくは1時間以上3時間未満、更に好ましくは1.5時間以上3時間未満反応を行うのがよい。本発明では比較的反応速度が高い230℃以上245℃未満の温度範囲でジハロゲン化芳香族化合物の転化率を上げるため、230℃未満の温度範囲での重合時間を短時間にする方が生産効率上好ましく、200℃以上230℃未満の温度範囲での重合時間は2時間以内が好ましく、1時間以内がより好ましい時間として例示できる。更に、工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲内での昇降温時間を含めた重合時間(T1)は1.5時間以上4時間未満であることが好ましく、1.5時間以上3.5時間未満がより好ましく、2時間以上3.5時間以内が更に好ましい。T1が1.5時間未満の場合、後記のジハロゲン化芳香族化合物の転化率が低すぎるため、工程2において未反応のスルフィド化剤がプレポリマーの分解を引き起こし、得られたPASを加熱溶融させたときの揮発性成分が増大する傾向にある。また、T1が4時間を超えると生産効率の低下につながる。
かかる重合温度範囲内での平均昇温速度は0.1℃/分以上で行うことが望ましい。なお、前記の平均昇温速度とは、ある一定の温度t2(℃)からある一定の温度t1(℃)までの温度区間(但しt2<t1とする)を昇温するのに要した時間m(分)から、下記式
平均昇温速度(℃/分)=[t1(℃)−t2(℃)]/m(分)
で計算される平均速度である。従って、前述した平均昇温速度の範囲内であれば、必ずしも一定速度である必要はなく、定温区間があってもよいし、多段で昇温を行っても差し障り無く、本発明の本質を損なわない限りは一時的に負の昇温速度となる区間があっても良い。
なお、前記平均昇温速度は2.0℃/分以下が好ましく1.5℃/分以下がより好ましい。平均昇温速度が高すぎると反応の制御が困難になる場合があり、また昇温するために、より大きなエネルギーが必要になる傾向がある。反応初期に激しい反応が起こる場合には240℃以下である程度反応を行った後に240℃を越える温度に昇温する方法で反応を行う方が好ましい傾向にある。
本発明では、工程1終了時のジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてPASのプレポリマーを生成させることが必要であり、好ましくは75モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上になるように反応させることが望ましい。かかる転化率が低い状態で工程2に移行すると、未反応のスルフィド化剤がプレポリマーの分解を引き起こし、得られたPASを加熱溶融させたときの揮発性成分量が増大する傾向にあるとともに、溶融結晶化温度も低くなる傾向にある。また、工程1での転化率が98モル%を超えるまで反応を行うと、長い重合時間が必要となるため生産効率の低下につながると同時に、本発明である溶融流動性の高いPASが得られない。なお、ジハロゲン化芳香族化合物(以下DHAと略す)の転化率は、以下の式で算出した値である。DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕]×100%
(b)上記(a)以外の場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕]×100%。
<工程2>本発明では、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合を行う際、工程1に引き続き245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてPASを得る工程を行うことが必要である。工程2の最終温度は275℃未満であることが好ましく、270℃未満がより好ましい。工程2を経ることなく工程1のみで重合を終了させる、または工程2の重合時間が極端に短いと、PASの溶融粘度が低すぎ、成形品の強度が低下する傾向にあり、射出成形に好適な溶融流動性を有するPASを得ることが出来ない。また、後記するポリマー回収工程においてフラッシュ法を用いる場合、重合物の温度が低いとフラッシュエネルギーが小さくなるため、重合溶媒の気化熱が減少し効率的にフラッシュ回収出来ないという問題も生じる。また、工程2の最終温度が280℃以上に達するとPASの溶融粘度が高くなりすぎるとともに、反応器内圧の上昇が大きくなる傾向にあり、より高い耐圧性能を有した反応器が必要となる場合があるため、経済的にも安全性の面でも好ましくない。
本発明での工程2の重合時間(T2)は、5分以上1時間未満であることが必要であり、10分以上55分未満であることが好ましく、10分以上50分未満であることがいっそう好ましい。有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物存在下で反応させると、NMPなどの有機極性溶媒とアルカリ金属水酸化物とが反応して生成するアルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートが重合反応時に副反応として寄与するが、工程2での重合時間(T2)が1時間以上であると、かかる副反応の進行が著しく、得られたPASを溶融加熱したときに副反応物由来の揮発性成分量が増大する傾向にある。また、長い重合時間は生産効率の低下やPASの溶融粘度増大を引き起こすという問題も生じる。
なお、工程2での反応は一定温度で行う一段反応、段階的に温度を上げていく多段階反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもかまわない。
本発明である、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを得るには、工程1の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)を0.5以上にすることが好ましい。かかる比が高いほど、工程1での重合時間を十分確保しジハロゲン化芳香族化合物の転化率を高めることができると同時に工程2での重合時間を短時間に抑え、高い溶融流動性と少ない揮発性成分量を確保できる。そのため、T1a/T2は0.7以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、2以上がいっそう好ましい。T1a/T2の上限は特に制限されるものではないが、好ましい溶融流動性を備えたPASを得るうえで、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
また、工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)を1.2以上にすることが好ましい。かかる比が高いほど、低い温度での重合時間を十分確保しジハロゲン化芳香族化合物の転化率を高めることができると同時に工程2での重合時間を短時間に抑え、高い溶融流動性と少ない揮発性成分量を確保できる。そのため、T1/T2は3以上がより好ましく、5以上がいっそう好ましい。T1/T2の上限は特に制限されるものではないが、好ましい溶融流動性を備えたPASを得るうえで、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
さらに、本発明のPASを得るには、工程1開始から工程2終了までの全反応時間(T1+T2)を5時間未満にすることが好ましく、4時間未満にすることが更に好ましく、3.5時間未満にすることがいっそう好ましい。重合時間の長時間化は生産効率の低下につながるとともに、溶融時の揮発性成分量の増加や溶融流動性の悪化を引き起こす傾向にある。
本発明の重合には、バッチ方式、連続方式など公知の各重合方式を採用することができる。また、重合の際における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、特に、経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素が好ましい。反応圧力については、使用した原料及び溶媒の種類や量、あるいは反応温度等に依存し一概に規定できないので、特に制限はない。
また、PASの揮発性成分量をより低減するには、全重合工程のうちの少なくとも一部を前述した重合助剤存在下で行うことが好ましい。重合助剤の添加時期に特に制限はないが、前工程の開始前、工程1開始時、工程1の途中、工程2の開始時、工程2の途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、少なくとも工程2を重合助剤存在下で行う様にするとPASの揮発性成分量をより減少することが可能である。重合助剤は、無水物、水和物、水溶液または有機極性溶媒との混合物などいかなる形態で添加してもかまわないが、添加する重合助剤が水を含む場合で、かつ、工程2開始時または工程2の途中で添加する場合は、重合助剤を添加し終えた段階における反応系内の水分量は、スルフィド化剤1モルに対し0.8モル〜3モルであり、0.85〜1.8モルがより好ましい。
(9)ポリマー回収
本発明のPASの製造においては、重合工程終了後に、重合工程で得られたPAS成分および溶剤などを含む重合反応物からPASを回収する。回収方法としては、例えばフラッシュ法、すなわち重合反応物を高温高圧(通常245℃以上、0.8MPa以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ溶媒回収と同時に重合体を粉粒状にして回収する方法や、クエンチ法、すなわち重合反応物を高温高圧の状態から徐々に冷却して反応系内のPAS成分を析出させ、かつ70℃以上、好ましくは100℃以上の状態で濾別することでPAS成分を含む固体を顆粒状にして回収する方法等が挙げられる。
本発明である高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASが得られればクエンチ法、フラッシュ法いずれかに限定されるものではないが、フラッシュ法は、溶媒回収と同時に固形物の回収が可能であること、回収時間が比較的短いこと、クエンチ法に比較して得られる回収物量が多いことなど、経済的に優れた回収方法であること、また、フラッシュ法にて得られたPASはクロロホルム抽出成分に代表されるようなオリゴマー成分を多く含むため、クエンチ法で得られたPASに比較して、溶融流動性の高いPASを簡便に得やすいことから、本発明における好ましい回収方法である。高い溶融流動性を得るのに好ましいクロロホルム抽出量としては1.0重量%以上が例示でき、より好ましくは2.0重量%以上である。
フラッシュ法の好ましい態様としては、重合工程で得られた高温高圧の重合反応物を常圧中の窒素または水蒸気などの雰囲気にノズルから噴出させる方法が例示できる。フラッシュ法では、高温高圧状態から常圧状態に重合反応物をフラッシュしたときの溶媒の気化熱を利用して効率よく溶媒回収することができるが、フラッシュさせるときの内温が低いと溶媒回収の効率が低下し生産性が悪化する。そのためフラッシュさせるときの重合系内の温度、つまり重合反応物の温度は250℃以上が好ましく255℃以上がより好ましい。常圧中にフラッシュさせるときの窒素または水蒸気などの雰囲気の温度は通常150〜250℃が選択され、重合反応物からの溶媒回収が不足する場合は、フラッシュ後に150〜250℃の窒素または水蒸気などの雰囲気下で加熱を継続しても良い。
かかるフラッシュ法で得られたPASには重合副生物であるアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ金属有機物などのイオン性不純物を含んでいるため、洗浄を行うことが通例である。洗浄条件としては、かかるイオン性不純物を除去するに足る条件であれば特に限定されるものではない。洗浄液としては例えば水や有機溶媒を用いて洗浄する方法が挙げられ、簡便かつ安価にPASを得る点で、水を用いた洗浄が好ましい方法として例示できる。使用する水の種類としてはイオン交換水、蒸留水が好ましく用いられる。
PASを洗浄する際の洗浄温度は50℃以上200℃以下が好ましく、150℃以上200℃以下がより好ましく、さらには180℃以上200℃以下がより好ましい。100℃以上の液体での処理の操作は、通常、所定量の液体に所定量のPASを投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、攪拌することにより行われる。洗浄は複数回行ってもよく、各洗浄での洗浄温度が異なっていても良いが、イオン性不純物の少ないPASを得るには、150℃以上の温度で少なくとも1回、好ましくは2回以上洗浄を行うのが良く、各洗浄の間にはポリマーと洗浄液を分離する濾過工程を経ることがより好ましい方法である。
本発明では洗浄時に洗浄添加剤を用いてもよく、かかる洗浄添加剤として酸、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が例示できる。酸を用いる場合、上記水に有機酸または無機酸等を添加して酸性にした水溶液中にPASを浸漬させ、加熱洗浄後の水溶液のpHが2〜8であることが好ましい。有機酸、無機酸としては、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸等が例示でき、これらに限定されるものではないが、酢酸、塩酸が好ましい。洗浄添加剤としてアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いる場合、上記水にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を添加した水溶液にPASを浸漬させる方法が例示でき、かかるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の量はPASに対し、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜0.7重量%が更に好ましい。アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩としては、上記有機酸または無機酸のカルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明である溶融流動性に優れたPASが得られる限りいずれの洗浄添加剤を用いても差し支えないが、酸で処理するとより高い溶融流動性が得られると同時に、得られたPASを550℃で灰化させたときの灰分率が低く、電気絶縁性が求められる用途に優れた性能を発揮するという特徴が発現するため、好適な方法として例示できる。電気絶縁性の観点からすると、かかる灰分率は0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましい。
洗浄添加剤は洗浄工程のいずれの段階で使用してもよいが、少量の添加剤で効率的に洗浄を行うには、フラッシュ法にて回収した固形物を水にて洗浄を数回行い、その後洗浄添加剤を添加した水溶液にPASを含浸させ、150℃以上で処理する方法が好ましい。
洗浄でのPASと洗浄液の割合は、洗浄液が多いほうが好ましいが、通常、洗浄液1リットルに対し、PAS10〜500gの浴比が好ましく選択され、50〜200gが更に好ましい。
かくして得られたPASは常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が好ましく、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良いが、溶融粘度の関係から不活性雰囲気が好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
(10)生成PAS
本発明によれば、真空下320℃×2時間加熱溶融した際の揮発性成分量が1.0重量%以下であり、溶融粘度(温度300℃、剪断速度1216sec−1で測定)が2Pa・s以上100Pa・s未満であり、かつ示差走査熱量計を用いて340℃まで昇温し、1分間保持した後に20℃/分の速度で降温した際に検出される結晶化ピーク温度が248℃以上を有するPASを得ることができる。これらをすべて満たすということは、少ない揮発性成分量、高い溶融流動性、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASが得られるということである。本発明のPASが得られることにより、生産効率の悪化につながる金型汚れや金型ベント詰まりが大幅に改善できるとともに、高い溶融流動性が求められる複雑形状化した射出成形品にも対応でき、なおかつ高い溶融結晶化温度により成形サイクルの短縮化が可能となり、従来のPASでは成し得なかった高い生産性を達成することができる。なお、複雑形状化した射出成形品には高い溶融流動性のPASが好ましいが、溶融粘度が2Pa・s未満では成形品の強度が低下する傾向にあるため、2Pa・s以上が必要である。
本発明で得られるPASの揮発性成分量は好ましくは、0.1〜0.9重量%以下であり、溶融粘度は、好ましくは2Pa・s以上60Pa・s未満であり、より好ましくは、2Pa・s以上20Pa・s未満であり、更に好ましくは2Pa・s以上10Pa・s未満である。結晶化ピーク温度は、好ましくは248℃以上260℃以下であり、さらに好ましくは248℃以上255℃未満である。
なお、上記揮発性成分量とは、PASを真空下で加熱溶融した際に揮発する成分が冷却されて液化または固化した付着性成分の量を意味しており、PASを真空封入したガラスアンプルを管状炉で加熱することにより測定されるものである。ガラスアンプルの形状としては、腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmである。具体的な測定方法としては、PASを真空封入したガラスアンプルの胴部のみを320℃の管状炉に挿入して2時間加熱することにより、管状炉によって加熱されていないアンプルの首部で揮発性ガスが冷却されて付着する。この首部を切り出して秤量した後、付着した揮発性成分をクロロホルムに溶解して除去する。次いで、この首部を乾燥してから再び秤量する。揮発性成分を除去した前後のアンプル首部の重量差より揮発性成分量を求め、測定に使用したPASの重量に対する割合で算出したものである。
また、上記溶融粘度とは、特定温度で溶融させたPASに特定の剪断速度をかけた際に検出される溶融粘度を意味するものであり、具体的には、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを設置したキャピラリレオメータを用い、300℃に設定したシリンダーにPASを投入し、5分保持した後、剪断速度1216sec−1で測定したときに検出される溶融粘度である。
更に、上記結晶化ピーク温度とは、一般に溶融結晶化温度と呼ばれているものであり、具体的には、示差走査熱量計を用い、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、(1)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド、(2)100℃まで降温、(3)再度340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド、(4)再度100℃まで降温した際、(4)にあらわれる結晶化ピーク温度である。
本発明の温度範囲で重合を行った後にフラッシュ法にてPASを回収することで、クロロホルム抽出量が1.0重合%以上のPASを得ることができる。好ましくは2.0重合%以上である。かかるクロロホルム抽出量とは、90℃のクロロホルムで3時間ソックスレー抽出し、この抽出液からクロロホルムを留去した際に得られる成分の重量をポリマー重量に対する割合で算出したものである。PASのクロロホルム抽出量が1.0重量%を超えるということはPAS中にオリゴマー成分を多く含んでいることを示すものであり、これは高い溶融流動性を確保する上で好ましい態様である。クロロホルム抽出量の上限は10重量%が好ましく、さらに好ましくは5重量%である。
また、本発明で得られたPASの窒素含有量は少なくなる傾向にある。一般に、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物存在下で反応させて得られたPASは窒素を含有している。これは、NMPなどの有機極性溶媒とアルカリ金属水酸化物とが反応して生成するアルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートが重合時に副反応としてPAS末端と反応し、窒素原子を有する末端が形成されるためであるが、本発明では特定の重合条件で重合を行うことによりかかる副反応を抑制できるため、おのずと窒素含有量も減少する傾向にある。ただ、窒素含有量が著しく少ないと、PASの靭性や強度を高めるために溶融押出時に往々にして使用される各種カップリング剤との反応性が減少するという問題が生じる。そのためのPASの窒素含有量は500ppm以上1200ppm以下が好ましく、600ppm以上1100ppm以下が更に好ましい。
(11)その他の後処理
本発明において得られたPASを、揮発性成分を除去するために、或いは架橋高分子量化するために、酸素含有雰囲気下、130〜260℃の温度で処理することも可能である。
架橋高分子量化は抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行う場合、その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%未満、更には1体積%未満とすることが望ましい。減圧乾燥することも好ましい方法の一つである。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間が更に好ましい。
架橋高分子量化を目的として乾式熱処理する場合、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。処理時間は、1〜100時間が好ましく、2〜50時間がより好ましく、3〜25時間が更に好ましい。
加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
本発明により得られたPASを後記する多種多用な用途に展開する上で、意匠性は重要な要素である。高い意匠性を提供するにはPASの白色度は高い方がよく、白色度の高さを示すL値は80以上が好ましく、83以上がより好ましい。通常、PASの後処理において加熱処理を行うと、熱履歴や酸化架橋により着色する傾向にあるため、後処理を行う場合はかかる白色度を維持できる範囲内で行うのが好ましい。
(12)用途
本発明により得られたPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形用途のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができるが、特に射出成形用途に好適に適用される。その射出成形用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナー、エンジンコントロールユニットケース、エンジンドライバーユニットケース、コンデンサーケース、モーター絶縁材料、ハイブリッドカーの制御系部品ケースなどの自動車・車両関連部品、その他の各種用途が例示できる。
本発明により得られたPASを用いたPPSフィルムの製造方法としては、公知の溶融製膜方法を採用することができ、例えば、単軸または2軸の押出機中でPASを溶融後、フィルムダイより押出し冷却ドラム上で冷却してフィルムを作成する方法、あるいは、このようにして作成したフィルムをローラー式の縦延伸装置とテンターと呼ばれる横延伸装置にて縦横に延伸する二軸延伸法などにより製造することができるが、特にこれに限定されるものではない。
このようにして得られたPASフィルムは、優れた機械特性、電気特性、耐熱性を有しており、フィルムコンデンサーやチップコンデンサーの誘電体フィルム用途、離形用フィルム用途など各種用途に好適に使用することができる。
本発明により得られるPASを用いたPAS繊維の製造方法としては、公知の溶融紡糸方法を適用することができ、例えば、原料であるPASチップを単軸または2軸の押出機に供給しながら混練し、ついで押出機の先端部に設置したポリマー流線入替器、濾過層などを経て紡糸口金より押出し、冷却、延伸、熱セットを行う方法などを採用することができるが、特にこれに限定されるものではない。
このようにして得られたPASモノフィラメントあるいは短繊維は、抄紙ドライヤーキャンパス、ネットコンベヤー、バグフィルターなどの各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の方法を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、各種測定法は以下の通りである。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用いた。300℃に設定したシリンダーにサンプル約20gを投入し、5分保持した後、剪断速度1216sec−1で溶融粘度の測定を行った。
[揮発性成分量]
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにサンプル3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプル首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差を算出し、仕込みサンプル量との比率を揮発性成分量(重量%)とした。
[溶融結晶化温度]
パーキンエルマー社製DSC7を用い、サンプル約5mg、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、
(1)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(2)100℃まで降温
(3)再度340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(4)再度100℃まで降温
した際、(4)にあらわれる結晶化ピーク温度を溶融結晶化温度(Tmc)とした。
[灰分率]
予め550℃で空焼きしたルツボにサンプル5gを精秤し、550℃の電気炉に24時間入れて灰化させた。ルツボに残った灰分量を精秤し、灰化前のサンプル量との比率を灰分率(重量%)とした。
[窒素含有量]
横型反応炉を用いて最終温度900℃でサンプルを熱分解・酸化させ、生成した一酸化窒素を三菱化学アナリテック社製窒素検出器ND−100に供してポリマー中の窒素含有量を測定した。
[クロロホルム抽出量]
ポリマー5gを90℃のクロロホルム100gで3時間ソックスレー抽出し、この抽出液からクロロホルムを留去した際に得られる成分の重量をポリマー重量に対する割合で算出し、クロロホルム抽出量(重量%)とした。
[実施例1]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10.19kg(69.29モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加えた後に反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら以下の反応条件で工程1および工程2を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で108分反応を行った後、238℃〜245℃までを0.8℃/分で9分かけて昇温した。工程1の重合時間は(T1)は168分、(T1a)は130分であった。工程1終了時に反応物をサンプリングし、サンプル中に残存するp−DCB量をガスクロマトグラフにて定量した結果からp−DCBの消費率、つまり転化率を算出したところ、93%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した。工程2の重合時間(T2)は12分であった。
工程2終了後、直ちにオートクレーブの底栓弁を開放し、内容物を撹拌機付き装置にフラッシュさせ、重合時に使用したNMPの95%以上が揮発除去されるまで230℃の撹拌機付き装置内で1.5時間乾固し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
得られた回収物およびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、75℃で15分洗浄した後、フィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを75℃のイオン交換水で15分洗浄、濾過する操作を3回行った後、ケークおよびイオン交換水74リットル、酢酸0.4kgを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温した。その後、オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することで、乾燥PPSを得た。
[実施例2]
工程1での238℃の定温状態で128分反応を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。T1は188分、T1aは150分であった。p−DCBの転化率は94.5%であった。
[実施例3]
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で83分反応を行った後、238℃から245℃までを0.8℃/分で9分かけて昇温した。T1は143分、T1aは105分であった。p−DCBの転化率は90%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した後、255℃の定温状態で25分反応を行った。T2は37分であった。
[実施例4]
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で89分反応を行った後、238℃から245℃までを0.8℃/分で9分かけて昇温した。T1は149分、T1aは111分であった。p−DCBの転化率は91%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から270℃までを0.8℃/分で31分かけて昇温した。T2は31分であった。
[実施例5]
96%水酸化ナトリウムを2.80kg(67.20モル)としたこと以外は実施例2と同様の操作を行った。工程1終了時のp−DCBの転化率は94.5%であった。
[実施例6]
脱水工程終了後、オートクレーブを200℃まで冷却し、p−DCBと共に投入するNMP量を12.84kg(129.50モル)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。工程1終了時のp−DCBの転化率は94%であった。
[実施例7]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.29kg(3.5モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
脱水工程後の重合、フラッシュ、洗浄、乾燥について実施例2と同様に行った。工程1終了時のp−DCBの反応率は94%であった。
[実施例8]
脱水工程終了後、オートクレーブを200℃まで冷却し、NMPと共に投入するp−DCB量を10.49kg(71.34モル)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。工程1終了時のp−DCBの転化率は93.5%であった。
[比較例1]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10.39kg(70.66モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加えた後に反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら以下の反応条件で工程1および工程2を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から245℃までを0.6℃/分で25分かけて昇温した。T1は63分、T1aは25分であった。p−DCBの転化率は65%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から276℃までを0.6℃/分で52分かけて昇温し、その後276℃の定温状態で65分反応を行った。T2は117分であった。
工程2終了後のフラッシュ、洗浄、乾燥は実施例1と同様に行った。
[比較例2]
以下の反応条件で工程1を行い、工程1終了後に工程2を行わずにフラッシュ操作を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。フラッシュ後、重合時に使用したNMPの95%以上が揮発除去されるまで230℃の撹拌機付き装置内で3時間乾固し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で129分反応を行った。T1は180分、T1aは142分であった。p−DCBの転化率は93.5%であった。
[比較例3]
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
<工程1>200℃から220℃までを0.8℃/分で25分かけて昇温した。220℃の定温状態で131分反応を行った後、220℃から245℃までを0.8℃/分で31分かけて昇温した。T1は168分、T1aは19分であった。p−DCBの転化率は88.5%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した。T2は12分であった。
[比較例4]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.1モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10.19kg(69.29モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加えた後に反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら以下の反応条件で工程1および工程2を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で83分反応を行った後、238℃から245℃までを9分かけて昇温した。T1は143分、T1aは105分であった。p−DCBの転化率は88%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した後、255℃の定温状態で165分反応を行った。T2は177分であった。
工程2終了後の洗浄、乾燥は実施例1と同様に行った。
[比較例5]
以下の反応条件で工程2を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した後、260℃の定温状態で60分反応を行った。T2は72分であった。
得られたPASの溶融粘度、揮発性成分量、溶融結晶化温度(Tmc)、ならびにその他測定結果を表1に示す。実施例1〜8からわかるように、工程1と工程2を特定の条件下で反応させることにより、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを得ることができる。
Figure 2011024879
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が0〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。
(2)前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(3)前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(4)前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする(3)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(5)ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(6)前記工程1開始時の反応系内に存在するアルカリ金属水酸化物が、スルフィド化剤1モルに対し0.9モル以上1.2モル未満であることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(7)反応に使用する有機極性溶媒が、スルフィド化剤1モルに対し2.5モル以上5.5モル未満であることを特徴とする(1)〜(6)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(8)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発する揮発性成分量が1.0重量%以下であり、溶融粘度(温度300℃、剪断速度1216sec−1で測定)が2Pa・s以上100Pa・s未満であり、示差走査熱量計を用いて340℃まで昇温し、1分間保持した後に20℃/分の速度で降温した際に検出される溶融結晶化ピーク温度が248℃以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
(9)クロロホルム抽出量が1.0重量%以上であることを特徴とする(8)記載のポリアリーレンスルフィド。
(8)重合工程
本発明である、高い溶融流動性、少ない揮発性成分量、高い溶融結晶化温度を兼ね備えたPASを得るためには、特定の重合工程を経る必要がある。かかる重合工程とは、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させてPASを得る際、
<工程1>230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が0〜98モル%になるように反応させてPASのプレポリマーを生成させる工程、及び
<工程2>245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてPASを得る工程、
のことである。該工程を経ることにより、本発明のPASを短時間で効率よく得ることができる。
本発明では、工程1終了時のジハロゲン化芳香族化合物の転化率が0〜98モル%になるように反応させてPASのプレポリマーを生成させることが必要であり、好ましくは90モル%以上になるように反応させることが望ましい。かかる転化率が低い状態で工程2に移行すると、未反応のスルフィド化剤がプレポリマーの分解を引き起こし、得られたPASを加熱溶融させたときの揮発性成分量が増大する傾向にあるとともに、溶融結晶化温度も低くなる傾向にある。また、工程1での転化率が98モル%を超えるまで反応を行うと、長い重合時間が必要となるため生産効率の低下につながると同時に、本発明である溶融流動性の高いPASが得られない。なお、ジハロゲン化芳香族化合物(以下DHAと略す)の転化率は、以下の式で算出した値である。DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕]×100%
(b)上記(a)以外の場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕]×100%。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とし、工程1開始から工程2終了までの全反応時間が5時間未満であるポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が80〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間
(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。
(2)前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(3)前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(4)前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする(3)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(5)ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(6)前記工程1開始時の反応系内に存在するアルカリ金属水酸化物が、スルフィド化剤1モルに対し0.9モル以上1.2モル未満であることを特徴とする(1)〜(5)いず
れか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(7)反応に使用する有機極性溶媒が、スルフィド化剤1モルに対し2.5モル以上5.5モル未満であることを特徴とする(1)〜(6)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(8)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発する揮発性成分量が1.0重量%以下であり、溶融粘度(温度300℃、剪断速度1216sec−1で測定)が2Pa・s以上100Pa・s未満であり、示差走査熱量計を用いて340℃まで昇温し、1分間保持した後に20℃/分の速度で降温した際に検出される溶融結晶化ピーク温度が248℃以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
(9)クロロホルム抽出量が1.0重量%以上であることを特徴とする(8)記載のポリアリーレンスルフィド。

Claims (9)

  1. 有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
    工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
    工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。
  2. 前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  6. 前記工程1開始時の反応系内に存在するアルカリ金属水酸化物が、スルフィド化剤1モルに対し0.9モル以上1.2モル未満であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  7. 反応に使用する有機極性溶媒が、スルフィド化剤1モルに対し2.5モル以上5.5モル未満であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  8. 真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発する揮発性成分量が1.0重量%以下であり、溶融粘度(温度300℃、剪断速度1216sec−1で測定)が2Pa・s以上100Pa・s未満であり、示差走査熱量計を用いて340℃まで昇温し、1分間保持した後に20℃/分の速度で降温した際に検出される溶融結晶化ピーク温度が248℃以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
  9. クロロホルム抽出量が1.0重量%以上であることを特徴とする請求項8記載のポリアリーレンスルフィド。
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