JP2002265604A - ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品 - Google Patents
ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品Info
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Abstract
よく短時間に製造する方法および成形品を提供する。 【解決手段】 有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在
下、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを20
0℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させてポリフ
ェニレンスルフィドを製造する方法において、全重合工
程の少なくとも1部分における重合助剤量を特定の範囲
にするとともに、重合助剤量と水分量を特定の割合に規
定する。
Description
ルフィド(以下、PPSと略記する)の製造方法および
その方法により得られた押し出し成形品に関し、さらに
詳しくは、高分子量PPSを効率よく短時間に製造する
方法および押し出し成形品に関するものである。
機械的強度、電気的特性及び寸法安定性などに優れたエ
ンジニアリングプラスチックであり、射出成形、押出成
形及び圧縮成形などの各種成形法により、各種成形品、
フィルム、シート及び繊維などに成形可能であるため、
電気・電子機器や自動車機器などの広範な分野において
幅広く用いられている。
368号公報には、N−メチル−2−ピロリドンなどの
有機アミド溶媒中で、硫化ナトリウムなどのアルカリ金
属硫化物とp−ジクロロベンゼンなどのジハロ芳香族化
合物とを反応させる方法が提案されているが、この方法
では、低分子量で溶融粘度が小さいPPSしか得ること
ができない。このような低分子量PPSは、重合後に空
気の存在下で加熱し、酸化硬化(キュアー)すれば高分
子量化することができるが、このようにして得られた硬
化PPSは、機械的物性が不十分であり、しかも線状で
はないため、シート、フィルム及び繊維などに成形加工
することが困難であった。
るために、上記の方法を改善した各種の製造方法が提案
されされている。そして、PPSの重合方法の改善手段
としては、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを反応させるに際し、各種の重合助
剤を添加する方法が代表的であり、例えば、重合助剤と
してアルカリ金属カルボン酸塩を使用する方法(特公昭
52−12240号公報)、同じく芳香族カルボン酸の
アルカリ土類金属塩を使用する方法(特開昭59−21
9332号公報)、同じくアルカリ金属ハライドを使用
する方法(米国特許第4,038,263号明細書)、
及び同じく脂肪族カルボン酸のナトリウム塩を使用する
方法(特開平1−161022号公報)などが提案され
ている。
線状で高分子量のPPSを得ることができるが、高重合
度なPPSをより短時間に得るためには、酢酸リチウム
や安息香酸ナトリウムなどの高価な重合助剤を用いて重
合を行う必要があり、また酢酸ナトリウムなどの安価な
重合助剤を単純に適用したとしても、重合時間が長くな
って経済的に不利であるという問題があった。
は、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳
香族化合物とを反応させてPPSを得る方法において、
特定の二段階重合法を採用することが提案されている。
すなわち、この方法は、前段重合工程において、仕込み
アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの
水が存在する状態で、180〜235℃の温度で反応さ
せることにより、ジハロ芳香族化合物の転化率を50〜
98モル%として低粘度のプレポリマーを生成させた
後、後段重合工程において、仕込みアルカリ金属硫化物
1モル当たり2.5〜7モルの水が存在する状態となる
ように反応系に水を添加するとともに、245〜290
℃の温度に昇温して、反応を継続する二段階重合法であ
るが、この方法では、十分に高分子量のPPSを得るた
めに、かなりの長時間の重合時間を必要とするという問
題があった。
は、アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モ
ルの水の存在下に、アルカリ金属カルボン酸塩を0.0
01〜0.20モルと比較的少量存在させて重合を行う
方法が開示されているが、この方法の主な目的は、粒状
のPPSを析出させて収率を上げることにあり、このよ
うな少量のアルカリ金属カルボン酸塩の使用量では、高
重合度のPPSを短時間で得ることは困難であった。
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
ポリフェニレンスルフィドを短時間に効率よく製造する
方法を提供することにある。
的を達成するべく鋭意研究した結果、重合助剤のみ或い
は水分量のみを増やしても高重合度のポリフェニレンス
ルフィドを効率よく短時間で得ることは難しいが、全重
合工程の低温段階においてジハロ芳香族化合物を30〜
80モル%まで反応させてプレポリマーを生成する工程
を設けるとともに、重合助剤量と水分量を特定の割合に
規定し、前記プレポリマーを高温で反応することによ
り、短時間で高重合度なPPSが得られることを見出
し、本発明に到達した。
で、重合助剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ
芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲
内で反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方
法において、前記の反応を少なくとも下記の工程1及び
2により行うことを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ドの製造方法を提供するものである。
属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上24
5℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜80モル%に
なるように反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプ
レポリマーを生成させる工程、及び 工程2:245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前
記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに
転換する工程において、系内の重合助剤量を仕込みアル
カリ金属硫化物1モル当たり0.25〜0.70モルと
することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造
方法。
の製造方法においては、有機アミド溶媒中で、重合助剤
の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物
とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方
法において、前記工程2における系内の水分量が、仕込
みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上2.
5モル未満となるように、反応系に水を添加し、かつ水
分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分量
(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリマー
を高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換することが
好ましい。
ドの製造方法においては、有機アミド溶媒中で、重合助
剤の存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する
方法において、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり
0.01〜0.2モルのアルカリ金属水酸化物に代表さ
れる重合安定剤を含む系で反応を行うことが好ましい条
件である。
が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5モル以
上1.5モル未満の水を含有すること、前記工程1の重
合時間T1(時間)が、昇温、降温時間を含めて、20
分以上2時間未満であること、及び前記工程1の昇降温
時間を含めた重合時間T1(時間)と、前記工程2の昇
降温時間を含めた重合時間T2(時間)の比(T1/T
2)が0.1〜2.0であることが好ましい条件として
あげられる。
フェニレンスルフィド樹脂は十分に溶融粘度が高くま
た、靱性に優れることから、特に押出成形品として有用
である。
フィドの合成方法は、中低粘度のポリマーを極めて短時
間に重合し、生産性を向上させる点でも有用である。
金属硫化物、ジハロ芳香族化合物、分子量調節剤、分岐
・架橋剤、重合溶媒、重合助剤、重合安定剤、重合反
応、後処理及び生成PPSの順に詳述する。
リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジ
ウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を
好ましいものとして挙げることができる。特に好ましい
ものは、硫化ナトリウムである。これらのアルカリ金属
硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無
水物の形で用いることができる。また、アルカリ金属水
硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてi
n situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは
反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も
用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反
応系においてin situで調製されるアルカリ金属
硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカ
リ金属硫化物も用いることができる。
物の量は、脱水操作などにより反応開始前にアルカリ金
属硫化物の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量
から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとす
る。
ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロ
モベンゼンなどのジハロベンゼン、及び1−メトキシ−
2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸
などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロ芳香族化合
物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロ
ベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分にす
るジハロ芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p
−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものであ
る。また、異なる2種以上のジハロ芳香族化合物を組み
合わせて共重合体とすることも可能である。
あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モ
ノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)
を併用することができる。また、分岐または架橋重合体
を形成させるために、1,2,4−トリクロロベンゼ
ン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以
上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくとも
よい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物及びハロゲ
ン芳香族ニトロ化合物などを併用することも可能であ
る。
用する。有機アミド溶媒としては、例えば、N−メチル
−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどの
N−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラク
タムなどのカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2
−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアル
キル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機
アミド溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性
が高いために好ましく使用される。これらの中でもN−
メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)の
使用が特に好ましい。本発明における重合溶媒の使用量
は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜1
0モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ま
しい。
るために重合助剤を用いる。重合助剤の具体例として
は、一般にPPSの重合助剤として知られているアルカ
リ金属カルボン酸塩及びハロゲン化リチウムなどを挙げ
ることができる。特に好ましいものは、アルカリ金属カ
ルボン酸塩である。
(COOM)n (式中、Rは、炭素数1〜20を有する
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リ
チウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウ
ムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数
である。)で表される化合物である。アルカリ金属カル
ボン酸塩は、無水、水和物または水溶液としても用いる
ことができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例とし
ては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安
息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トル
イル酸カリウム、及びそれらの混合物などを挙げること
ができる。アルカリ金属カルボン酸塩は、有機アミド溶
媒中で、有機酸と、アルカリ金属水酸化物、炭酸アルカ
リ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ば
れる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加し
て反応させることにより形成させてもよい。上記アルカ
リ金属カルボン酸塩の中でも、安価で入手し易いことか
ら、特に酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
リ金属硫化物1モルに対し、0.25モル〜0.7モル
の範囲であり、0.30〜0.45モルの範囲がより好
ましく、0.33〜0.42モルの範囲が更に好まし
い。上記の範囲未満では、高重合度化効果が不十分であ
り、上記の範囲を越えると、それ以上の高重合度化効果
が得られないばかりか、同重合度のポリマーを得るのに
要する重合時間は逆に長くなる。
程(後記工程2)における反応系に含有されていればよ
い。したがって、その添加時期は、前段重合開始前の脱
水工程の前か、前段重合開始時から後段重合途中のいず
れかの時点、あるいはこれらの任意の組合せの時期であ
ればよい。
止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合
安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない
副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオ
フェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加により
チオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定
剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ
金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ
土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかで
も、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リ
チウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述の
アルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用する
ので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重
合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し
て、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.020
〜0.15モル、より好ましくは0.03〜0.10モ
ルの割合で使用する。この割合が少ないと安定化効果が
不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であった
り、ポリマー収率が低下する傾向となる。重合安定剤の
添加時期は、前段重合開始前の脱水工程の前か、前段重
合開始時から後段重合途中のいずれかの時点、あるいは
これらの任意の組合わせの時期であればよい。好ましく
は脱水工程の前あるいは前段重合開始時である。なお、
脱水操作時にアルカリ金属硫化物の一部が分解して、硫
化水素が発生する場合には、その結果生成したアルカリ
金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを
反応させてPPSを製造する際に、前記の反応を少なく
とも下記の工程1及び2により行うことを特徴とする
が、さらに脱水処理その他の前処理工程や後処理工程な
どの付加的な工程があってもよい。
属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上24
5℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜80モル%に
なるように反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプ
レポリマーを生成させる工程、及び 工程2:系内の重合助剤量を仕込みアルカリ金属硫化物
1モル当たり0.25〜0.70モルとし、245℃以
上290℃未満の温度範囲内で、前記プレポリマーを高
分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程 上記の工程1を開始するに際しては、望ましくは不活性
ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜2
20℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物を加える。この段階で重合助
剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不
同であってもよく、同時であってもさしつかえない。ア
ルカリ金属硫化物は、通常、水和物の形で使用される
が、その含有水量が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当
たり0.5モルより少ない場合には、必要量の水を添加
して補充することが好ましい。アルカリ金属硫化物の含
有水量が多すぎる場合には、ジハロ芳香族化合物を添加
する前に、有機アミド溶媒とアルカリ金属硫化物を含む
混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去する必要があ
る(脱水工程)。なお、この操作により水を除去し過ぎ
た場合には、不足分を添加して補充するのが通常であ
る。
カリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系
においてin situで調製されるアルカリ金属硫化
物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金
属硫化物も用いることができる。この方法に特に制限は
ないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150
℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機ア
ミド溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化
物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以
上、好ましくは180〜250℃まで昇温し、水分を留
去させる方法が挙げられる(脱水工程)。この段階で重
合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するた
めにトルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり通常、0.5〜
1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルの範囲であ
る。上記工程1の共存水量をこのような比較的少ない範
囲に規定することにより、より短時間で高重合度のPP
Sを得ることができる。
5℃未満であり、平均反応温度が220℃以上240℃
以下であることが望ましい。
みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.25〜0.70
モルとする事が重要である。前記重合助剤量のより好適
な範囲は、0.30〜0.45モルであり、0.33〜
0.42モルが更に好ましい。上記の範囲未満では、高
重合度化効果が不十分であり、上記の範囲を越えると、
それ以上の高重合度化効果が得られないばかりか、重合
時間にとっては逆効果となる。
程(後記工程2)における反応系に含有されていればよ
い。したがって、その添加時期は、前段重合開始前の脱
水工程の前か、前段重合開始時から後段重合途中の間、
あるいはこれらの任意の組合せの時期であればよい。
込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上
2.5モル未満となるように水分を添加する事が望まし
い。水分の添加時期は、上記工程の開始時点、中間時
点、終期のいずれであっても良いが、上記工程2の所要
時間の半分より前に添加を開始することが好ましい。水
分量が上記の範囲未満であると、高重合度化効果が減退
し、一方上記の範囲を超えると、重合時間が逆に長くな
るばかりか、重合釜内の圧力が大きく、重合容器のより
高い耐圧性能を有した重合釜が必要となるため、経済的
にも安全性の面でも好ましくない。
在する水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/
水分量(モル)]を0.1〜0.7とする事が好まし
い。このモル比が上記の範囲未満であっても、上記の範
囲を超える場合であっても、充分な高重合度PPSを短
時間で得ることが困難となる。上記モル比のより好適な
範囲は0.25〜0.45である。
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0モル以上
2.5モル未満になるように、反応系に水を添加し、か
つ水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水分
量(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリマ
ーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換すること
が、高重合度のPPSを短時間で得る上で好ましい。
0℃未満であり、平均反応温度が250℃以上280℃
以下であることが望ましい。上記の範囲を越える反応温
度では、反応系内が分解傾向となる場合があるため好ま
しくない。
込量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通
常0.01〜0.2モル、好ましくは0.06から0.
15モルの範囲であることが高分子量PPSを得るため
に望ましい。この使用量が少なすぎると、望ましくない
副反応を抑制できなくなり、十分な高重合度のPPSを
得るのが困難となる。また多すぎると、経済的に不利益
であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
用量(仕込み量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル
当たり、通常0.9〜2.0モル、好ましくは0.95
〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.3モル、更
に好ましくは1.01〜1.10モルの範囲であること
が、高分子量のPPSを得るのために望ましい。この使
用割合が0.9モル未満または2.0モル超過の場合に
は、加工に適した高粘度(高重合度)のPPSを得るこ
とが困難となるので好ましくない。
時点は、系内のジハロ芳香族化合物の転化率が30〜8
0モル%に達した時点であることが好ましい。転化率が
30モル%未満では、工程2における後段重合の際に、
分解などの望ましくない反応が起こり易くなる。また、
転化率が80モル%以上では、反応時間が長くなるため
経済的に好ましくない。
Aと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。
DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって
求めることができる。
硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合 転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モ
ル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モ
ル)〕 (b)上記(a)以外の場合 転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モ
ル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕 本発明において、上記工程1の重合時間としては、20
分以上〜2時間未満の範囲が好ましく、60分〜110
分の範囲がより好ましい。反応時間が上記の範囲未満で
は、十分な高重合度化が困難な場合が多く、上記の範囲
を越える時間をかけても、それにより得られる高重合度
化効果が小さくなり、経済的に不利となる。
0〜220分の範囲が好ましく、100分〜180分の
範囲がより好ましい。反応時間が上記の範囲未満では、
十分な高重合度化が困難な場合が多く、上記の範囲を越
える時間をかけても、それにより得られる高重合度化効
果が小さくなり、経済的に不利となる。
応時間が1〜10時間の範囲、特に4〜8時間の範囲
で、最も重合度と経済性に優れたPPSを得ることがで
きる。ここで、全重合反応時間とは、モノマー原料投入
後、昇温、定温、降温過程を含めて、重合系が200℃
〜290℃の範囲にある全時間を示す。
温時間および工程2に移行する際の245℃に到達する
までを含めた重合時間T1(時間)と工程2において工
程1から工程2に移行する際の245℃到達以降の昇温
時間および重合終了後の降温時間を含めた重合時間T2
(時間)の比を、T1/T2=0.1〜2.0の範囲、
より好ましくはT1/T2=0.4〜1.5の範囲に、
更に好ましくはT1/T2=0.5〜0.8の範囲に制
御することによって、高重合度のPPSをより短時間で
得ることができる。
よって行なうことができる。例えば、重合反応の終了
後、重合溶媒をフラッシュ法により揮散除去してから、
水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、また、冷却
した生成物スラリーをそのまま、あるいは水などで稀釈
してから濾別し、水洗濾過を繰り返して乾燥することに
より、PPSを得ることができる。生成物スラリーは、
高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。また、上
記濾別・篩分後、PPSを重合溶媒と同じ有機アミド溶
媒やケトン類、アルコール類などの有機溶媒及び高温水
で洗浄処理してもよい。PPSを酢酸、塩酸などの酸や
塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
の、より好ましくは80g/10分以下の高分子量のP
PSを短時間で収率よく得ることができる。本発明の方
法により得られるPPSは、直鎖状に高分子量化されて
いるので、射出成形品のみならず、押出成形により、シ
ート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成
形することができる。
独でも使用することができるが、所望により各種無機充
填剤、繊維状充填剤及び各種合成樹脂などを配合して用
いてもよい。
いてさらに具体的に説明する。なお、物性の測定は以下
の方法に準じて行なった。
PPSに転化したと仮定した重量(理論量)を基準とし
た。硫化ナトリウムがジハロ芳香族化合物よりも過剰に
仕込まれた場合は、すべてPPSに転化することはあり
得ない場合もあるが、その場合でも一応硫化ナトリウム
の量を基準として考えることとする。
直径2.095mmのオリフィス、サンプル量7g、サ
ンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷
重5000g)を用い、315.5℃の条件で測定を行
ない、ポリマーのメルトフローレートを比較した。
に、47%水硫化ナトリウム118g(1.00モ
ル)、96%水酸化ナトリウム42.9g(1.03モ
ル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)163g
(1.65モル)、酢酸ナトリウム32.8g(0.4
モル)、及びイオン交換水150gを仕込み、常圧で窒
素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱
し、水212gおよびNMP4gを留出したのち、反応
容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物
1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に
消費された水分を含めて1.05モルであった。また、
硫化水素の飛散量は2モル%であった。 (工程1)次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)
147g(1.00モル)、NMP131g(1.31
モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240
rpmで撹拌しながら、200℃から235℃まで0.
8℃/分の速度で昇温し、235℃で35分保持した。
その後次の条件で昇温し、工程2に移行した。 (工程2)すなわち、0.8℃/分の速度で270℃ま
で昇温し、90分保持した。270℃到達10分経過後
に水14.4g(0.8モル)を15分かけて系内に注
入した。なお、系内の水分量は、重合工程で副生する水
分を含めて仕込みアルカリ金属硫化物1モルあたり1.
8モルであった。270℃で90分経過後、200℃ま
で1.0℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急
冷した。 (回収工程)内容物を取り出し、0.5リットルのNM
Pで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で
濾別し、得られた粒子を1リットルの温水で数回洗浄、
濾別し、PPSポリマー粒子を得た。これを、80℃で
熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。
0g/10分であり、収率は92%であった。
℃で35分反応した後、0.8℃/分の速度で245℃
まで昇温した時点で重合系を急冷した。その重合内容物
中のp−DCBをガスクロマトグラフ法で測定したとこ
ろ、転化率60%であった。これらの結果を表1に示
す。 [実施例2]270℃に到達してから10分経過後に注
水する水分量を0モル(なお、系内水分量は、重合工程
で副生する水分を含めると1.0モルである)としたこ
と以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。
結果を表1に示す。
重合度化には優れていることがわかる。 [比較例1]酢酸ナトリウム量を0.20モルとした以
外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果
を表1に示す。 [比較例2]酢酸ナトリウム量を0.80モルとした以
外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果
を表1に示す。 [実施例3]270℃での反応時間を60分とした以外
は、実施例1と同様に重合、回収操作を行った。結果を
表1に示す。
十分高重合度なポリマーを効率よく得られることがわか
る。 [実施例4]235℃での保持時間を35分から20分
に短縮し、270℃での保持時間を90分から105分
に延長した以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を
行った。結果を表1に示す。 [実施例5]235℃での保持時間を35分から50分
に延長し、270℃での保持時間を90分から75分に
短縮した以外は、実施例1と同様に重合、回収操作を行
った。結果を表1に示す。
べて重合度が低下傾向にあり、全重合時間が同一であっ
ても、工程1と工程2の重合時間比を調整することが、
より高重合度のPPSを得る上で重要であることがわか
る。 [実施例6]96%水酸化ナトリウムの仕込量を40.
8g(0.98モル)とした以外は実施例1と同様に重
合、回収操作を行った。結果を表1に示す。
される重合安定剤の多い方が、高重合度化に優れている
ことがわかる。
高分子量のPPSを効率よく短時間に製造することがで
きる。したがって、本発明の高分子量PPSの製造方法
は、工業的規模でのPPSを安全かつ経済的に製造する
方法として好適である。
Claims (7)
- 【請求項1】 有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下
に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを20
0℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させてポリフ
ェニレンスルフィドを製造する方法において、前記の反
応を少なくとも下記の工程1及び2により行うことを特
徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。 工程1:有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを、200℃以上245℃未満の温
度範囲内で、転化率が30〜80モル%になるように反
応させて、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを
生成させる工程、及び 工程2:245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前
記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに
転換する工程において、系内の重合助剤量を仕込みアル
カリ金属硫化物1モル当たり0.25〜0.70モルと
することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造
方法。 - 【請求項2】 前記工程2において、仕込みアルカリ金
属硫化物1モル当たり1.0モル以上2.5モル未満の
水が存在する状態となるように、反応系に水を添加し、
かつ水分と重合助剤のモル比[重合助剤量(モル)/水
分量(モル)]を0.1〜0.7として、前記プレポリ
マーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換するこ
とを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンスルフ
ィドの製造方法。 - 【請求項3】 有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下
に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応
させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法におい
て、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.01〜
0.2モルの重合安定剤を含む系で反応を行うことを特
徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のポリ
フェニレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項4】 前記工程1における有機アミド溶媒中の
水分量が、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.
5以上モル1.5モル未満であることを特徴とする請求
項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフ
ィドの製造方法。 - 【請求項5】 前記工程1の重合時間T1(時間)が、
昇温、降温時間を含めて、20分以上2時間未満である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
ポリフェニレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項6】 前記工程1の昇温、降温時間を含めた重
合時間T1(時間)と、前記工程2の昇温、降温時間を
含めた重合時間T2(時間)の比(T1/T2)が0.
1〜2.0であることを特徴とする請求項1〜5のいず
れか1項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方
法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の製造法に
より得られたポリフェニレンスルフィドを押出成形して
なる押出成形品。
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