JP4055491B2 - 粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアリーレンスルフィドの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、高分子量かつ粒度分布の狭いポリアリーレンスルフィドを短時間で効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
ポリアリーレンスルフィドは、その優れた耐熱性、耐薬品性を活かして電気・電子部品部材、自動車機器部材として注目を集めている。また、射出成形、押出成形等により各種成形部品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であり、耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用いられている。
【0003】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィドの代表的製造方法として、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒中で、ジハロゲン化芳香族化合物と硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物とを反応させる方法が、特公昭45−3368号に記載されている。このような方法では、溶融粘度が低く、そのままでは成形加工が困難であるため、この低粘度ポリマーを空気中で加熱酸化架橋させることにより高分子量化し、成形加工に供する方法が採られてきた。しかしながら、この高分子量化ポリマーは高度の架橋、分岐が生成するため、押出加工性に劣り、フィルム、繊維等への成形が困難であった。
【0004】
そこで、重合反応により高分子量ポリアリーレンスルフィドを合成する方法が提案されている。特公昭52−12240号公報には、重合助剤としてアルカリ金属有機酸塩の存在下、重合する方法が記載されている。また、特開昭61−7332号公報には予備重合後、相分離剤として水を添加する方法が、特開平3−258833号公報には相分離剤として特定の炭化水素溶媒を添加する方法が記載されている。
【0005】
このような手法によると、重合は液−液二相分離状態(分散相:濃ポリマー溶液相、連続相:希ポリマー溶液相)で進行し、高分子量かつ顆粒状のポリマーが得られることが知られている。重合中、分散相は合一と分散によって一定粒径に収束するが、合一が支配的になると粗粒化、塊状化を引き起こし、ポリマーの移送、排出が困難となる。このような問題点を解決するに当たり、例えば特開昭63−46228号公報には相分離剤として水を用い、後段重合において特定の重合温度プロファイルを採用することによって、ハンドリング性に優れたポリマーが得られることが記載されている。しかしながら、一旦高温に温度を保持する必要があるため多大なエネルギーを要する、粒径安定化のための後段重合に長時間要するため生産性が悪い等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、粒度分布が狭く、ハンドリング性に優れたポリアリーレンスルフィドを短時間に効率よく、高収率で製造する方法に関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、非プロトン性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン化芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、該製造を下記工程1および2により行うことを特徴とする粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(1)アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水が存在する条件下、180〜260℃の温度で、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率が90モル%以上となるまで予備重合を行う工程
(2)重合温度240℃以上の温度で相分離剤を投入し、投入後の温度を220〜235℃とした後、再度、昇温して重合温度を245℃以上とし、かつ攪拌動力が0.3kw/m3以上である攪拌条件下で重合反応を継続する工程
に関するものであり、以下にその詳細について説明する。
【0008】
本発明で用いるアルカリ金属硫化物としては、硫化ナトリウム、硫化リチウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどが挙げられる。これらのなかでコスト面、入手の容易さの面から硫化ナトリウムが好ましい。これらは一種単独で用いても二種以上混合して用いてもよい。前記アルカリ金属硫化物は水和物または水性混合物として、あるいは無水の形で用いることができる。また、系内でアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを反応させることによって得ることも可能である。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム等が挙げられる。なかでもコスト面、入手の容易さの面から水硫化ナトリウムが好ましい。これらは一種単独で用いても二種以上混合して用いてもよい。また、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。なかでもコスト面、入手の容易さの面から水酸化ナトリウムが好ましい。これらは一種単独で用いても二種以上混合して用いてもよい。
【0009】
本発明で用いるジハロゲン化芳香族化合物は、芳香核に直接ハロゲン原子が2個結合したジハロゲン化芳香族化合物であり、例えばp−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロムベンゼン、o−ジブロムベンゼン、m−ジブロムベンゼン、p−ジヨードベンゼン、o−ジヨードベンゼン、m−ジヨードベンゼン、ジクロロナフタリン、ジブロムナフタリン、ジヨードナフタリン、ジクロロビフェニル、ジブロムビフェニル、ジヨードビフェニル、ジクロロジフェニルスルホン、ジブロムジフェニルスルホン、ジヨードジフェニルスルホン、ジクロロベンゾフェノン、ジブロムベンゾフェノン、ジヨードベンゾフェノン、ジクロロジフェニルエーテル、ジブロムジフェニルエーテル、ジヨードジフェニルエーテル等が挙げられる。なかでも入手の容易さ、生成ポリアリーレンスルフィドの耐熱性の観点からp−ジクロロベンゼンが好ましい。上記ジハロゲン化芳香族化合物は、一種単独で用いても二種以上混合して用いてもよい。ジハロゲン化芳香族化合物の使用量に特に制限はないが、通常アルカリ金属硫化物1モル当たり0.90〜1.1モルの範囲であり、特に1.00〜1.05モルの範囲が高分子量ポリアリーレンスルフィドを得るのに好ましい。また、本発明におけるポリアリーレンスルフィドは上記ジハロゲン化芳香族化合物の重合体であるが、分子量を調整するためにトリクロロベンゼン、トリブロモベンゼン、トリヨードベンゼン、テトラクロロベンゼン、テトラブロムベンゼン、テトラヨードベンゼン等、少量のポリハロゲン化芳香族化合物を併用することも可能である。
【0010】
本発明で用いる非プロトン性有機溶媒は、高温で安定な有機極性溶媒が好ましい。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類、スルホラン、ジメチルスルホラン等のスルホラン類、テトラメチレンスルホキシド等のスルホキシド類、メチルフェニルケトン類、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル化ポリエチレングリコール類およびこれらの混合物が挙げられる。なかでもN−メチル−2−ピロリドンが化学的に安定かつ入手が容易な点で好ましい。
【0011】
本発明で用いる非プロトン性極性溶媒の使用量は特に制限はないが、アルカリ金属硫化物1モル当たり1〜10モル、なかでも生産性と粒径制御の面から3〜5モル、特に3〜4モルが好ましい。
【0012】
本発明において、(2)の工程の反応系において添加する相分離剤とは、非プロトン性有機溶媒中から溶解ポリアリーレンスルフィドの相分離を起こすのに好ましいものであり、例えば、水やイソオクタン、n−デカン、p−シメン、トリメトキシベンゼン、クメン、メチルサルフォン、ケロシン、n−テトラデカン等の炭化水素系溶媒、塩化リチウム等のハロゲン化リチウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩、スルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属スルホン酸塩等が挙げられ、これらを単独もしくは併用して用いてもかまわない。なかでも水、イソオクタンが好ましい。相分離剤の添加量はポリマー相が生成する量であれば特に制限はないが、使用する相分離剤によって添加量が異なる。例えば水の場合、仕込アルカリ金属硫化物1モル当たり2.1〜5モルとなるように添加することが好ましく、特に好ましくは2.5〜4モルである。また、イソオクタンのような炭化水素系溶媒を用いる場合、仕込アルカリ金属硫化物1モル当たり0.3〜4モル、特に0.5〜3モル添加することが好ましい。さらに、アルカリ金属酢酸塩、ハロゲン化リチウム、アルカリ金属スルホン酸塩の場合、仕込アルカリ金属硫化物1モル当たり0.02〜0.5モル、特に0.04〜0.2モルが好ましい。相分離剤の使用量が少なすぎると相分離剤を添加する効果が十分ではなく、反応速度が遅くなったり、高分子量化が達成されにくい。また、相分離剤の使用量が多すぎても使用量に見合った効果が得られるものではなく、製造コストが高くなり経済的ではない。
【0013】
本発明による重合は、(1)ポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを合成する予備重合工程、(2)相分離剤を添加、高分子量化を達成する後段重合工程からなり、本発明の効果が実現される限り、これらの前、後または中間に補助的な工程を附加してもよい。
【0014】
以下に本発明の重合方法について、具体的に説明する。
【0015】
(1)の工程
本発明での(1)の工程は、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水を含む重合系で、180〜260℃の温度条件下、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率が90モル%以上となるまで予備重合を行う工程である。実施に際しては、まず非プロトン性有機溶媒に、望ましくは不活性ガス雰囲気下に常温〜180℃の温度範囲で、アルカリ金属硫化物およびジハロゲン化芳香族化合物を加えて、所定の温度に昇温して反応させる。ここで、アルカリ金属硫化物中の含有水量が所定量に達しない場合には、必要量を添加する。多すぎる場合には、ジハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、非プロトン性有機溶媒中、アルカリ金属硫化物を180〜210℃まで昇温しながら水の不必要量を系外に留出させる。重合系の共存水量はアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの範囲にある。特に1.0〜1.6モルの範囲が高分子量のポリマーを得るために好ましい。共存水量が0.5モル未満では、生成ポリアリーレンスルフィドの分解等が起こりやすくなるため好ましくない。また、共存水量が2.0モルを越えると重合速度が著しく低下したり、分解が起こりやすくなるため好ましくない。
【0016】
この(1)の工程は180〜260℃で行われるが、なかでも180〜250℃が好ましい。重合温度が180℃未満では反応速度が小さく、260℃を越えると生成ポリアリーレンスルフィドが分解しやすくなり、生成ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度が極めて低くなる。
【0017】
(1)の工程の終了時点において、系内のジハロゲン化芳香族化合物の転化率は90モル%以上である。転化率が90モル%未満では、工程(2)における後段重合の際に分解等の望ましくない反応が起こりやすく、収率が低下する等の弊害を生ずるため好ましくない。
【0018】
ジハロゲン化芳香族化合物(DH)の転化率は、以下の式で算出する。DH残存量は、通常ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(イ)ジハロゲン化芳香族化合物(DH)をアルカリ金属硫化物よりモル比で過剰に添加した場合
転化率=(DH仕込量−DH残存量)/(DH仕込量−DH過剰量)×100
(ロ)(イ)以外の場合
転化率=(DH仕込量−DH残存量)/(DH仕込量)×100
(2)の工程
本発明の(2)の工程では、相分離剤を240℃以上の温度で添加し、添加後の温度を220〜235℃とし、再度昇温して245℃以上とし、かつ攪拌動力が0.3kw/m3以上である攪拌条件下で重合反応を継続することが必要である。相分離剤を240℃未満で添加すると温度の低下が著しく、その後の昇温に長時間要し、生産性の低下を招く。
【0019】
(2)の工程において、相分離剤の添加により少なからず温度は低下するが、このときの温度が235℃以上では、その後の重合工程において短時間で粒度分布の狭いポリアリーレンスルフィドを得ることが困難となる。また、内温が220℃未満では、粒度分布の狭いポリアリーレンスルフィドを得ることは困難であるとともに昇温に長時間要し、生産性の低下を招くため好ましくない。相分離剤添加後の温度は、その添加速度や外温の温度制御によりコントロールすることができ、温度が一旦220〜235℃の範囲内に入ればよいが、220〜235℃の範囲内で一定時間保持後、昇温しても構わない。
【0020】
(2)の工程において、相分離剤添加後の温度を220〜235℃の範囲とした後、再度245℃以上に昇温し、反応を継続して高分子量化および顆粒状化を図る。この際、重合温度は245℃以上であれば特に制限はないが、250〜260℃の温度範囲が好ましい。重合温度245℃未満では高分子量ポリアリーレンスルフィドが得られにくく、重合温度260℃以上では生成ポリアリーレンスルフィドが分解する恐れがあり好ましくない。この際、重合時間に特に制限はないが、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜3時間である。重合時間が短い場合、低分子量体しか得られず、逆に長すぎると生成ポリアリーレンスルフィドが分解する恐れがあり好ましくない。
【0021】
(2)の工程における攪拌動力は、本工程で示す最大値のことであり、0.3kw/m3以上である。なかでも攪拌動力0.4〜2kw/m3、特に0.5〜1kw/m3が好ましい。攪拌動力が0.3kw/m3未満であるとポリマー相が反応器壁面、特に反応器下部に堆積し、塊状となるため好ましくない。
【0022】
(1)の予備重合工程から(2)の後段重合工程への切り替えは、予備重合工程で得られたスラリーを別の反応器に移して後段重合工程に合うように行ってもよいし、同一の反応器内で行ってもよい。
【0023】
本発明の重合反応により、通常1Pa・s以上、好ましくは20〜300Pa・s、場合によってはそれ以上の溶融粘度(315℃、せん断速度=200(秒)-1で測定)を有する高分子量ポリアリーレンスルフィドを得ることができる。
【0024】
本発明の重合方法における後処理は、常法によって行うことができる。例えば、後段重合終了後、冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水や有機溶媒で希釈し、ろ別後、水洗ろ過を繰り返し、乾燥することによりポリアリーレンスルフィドを得ることができる。生成物スラリーは、高温状態のままでろ過してもよい。また、重合溶媒と同じ有機溶媒や他の有機溶媒および/または高温水で洗浄してもよい。さらに、ポリアリーレンスルフィドを酸で処理することも可能である。
【0025】
本発明の方法により、平均粒径75〜2000μmで、粒度分布の狭い粒状ポリアリーレンスルフィドを高収率で得ることができる。ここでいう粒度分布は、篩目開きが2.0mm、1.4mm、1.0mm、0.71mm、0.5mm、0.356mm、0.25mm、0.18mm、0.15mm、0.106mmの篩により分級した際、粒子径の対数が正規分布に従うと仮定し、得られる幾何標準偏差のことである。
【0026】
本発明において、粒度分布は1.8未満、好ましくは1.6未満、さらに好ましくは1.5未満である。このような粒度分布の狭い粒状ポリアリーレンスルフィドは、計量等の各種取り扱いや成形加工が容易であり、各種成形加工に供することができる。射出成形のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維、パイプ等に成形することができる。また、本発明により得られるポリアリーレンスルフィドは、単独またはガラス繊維等の補強用充填剤、マイカ、タルク、シリカ等の公知の無機充填剤、顔料、難燃剤、安定化剤および他のポリマーを配合して用いてもよい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
なお、溶融粘度は高化式フローテスターを用いて315℃で測定し、せん断速度=200(秒)-1のときの値を求めた。また、攪拌動力は攪拌モーターの消費電力値を測定することにより算出した。
【0029】
実施例1
アンカー型攪拌翼を備えた15Lオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3232g(32.65mol)、47%水硫化ナトリウム水溶液1682g(14.12mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液1142g(13.70mol)を仕込み、窒素ガスで置換後、約2時間かけて100rpmで攪拌しながら200℃まで昇温し、水1360g、NMP6.4g、0.35モルの硫化水素を留出させた。生成硫化ナトリウムは13.77モルであり、系中の水の量は生成硫化ナトリウム1モル当たり1.48モルであった。
【0030】
上記脱水工程の後、170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(DCB)2118g(14.41モル)、NMP1783gを加えたところ、内温は140℃に低下した。その後、225℃に昇温して3時間重合し、さらに250℃で2時間重合した。別途同じ手順で予備重合を行ない、得られたスラリーをサンプリングし、残存DCB量をガスクロマトグラフによって測定した。そして、前記(イ)式に従って転化率を求めたところ97.2%であり、生成プレポリマーの溶融粘度は7.5Pa・sであった。
【0031】
予備重合終了後、イソオクタン2093g(18.36モル)を250℃で圧入した(イソオクタン/硫化ナトリウム=1.33モル比)。イソオクタンの圧入と同時に、熱媒温度を制御することにより内温を234℃とした。その後、回転数を200rpm(攪拌動力1.0kw/m3)に上げ、再度250℃まで昇温し、3時間重合した。後段重合終了後、反応混合物を室温まで冷却し、75μmの篩によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄後、乾燥した。得られたポリマーの収率は90%、溶融粘度は127Pa・sであった。また、このポリマーの平均粒子径は520μm、幾何標準偏差は1.3であり、粒度分布の狭いポリマーであった。
【0032】
実施例2
実施例1において、イソオクタン添加後の内温を225℃に制御した以外は実施例1と同様の方法で重合、後処理を行った。得られたポリマーの収率は89%、溶融粘度は130Pa・s、平均粒子径450μm、幾何標準偏差は1.3と粒度分布の狭いポリマーであった。
【0033】
実施例3
実施例1において、水451g(25.1モル)を圧入し(水/硫化ナトリウム=3.3)、熱媒温度の制御により内温を232℃とした以外は実施例1と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの収率は88%、溶融粘度は75Pa・s、平均粒子径450μm、幾何標準偏差は1.4と粒度分布の狭いポリマーであった。
【0034】
実施例4
実施例1において、水451g(25.1モル)を圧入し(水/硫化ナトリウム=3.3)、熱媒温度の制御により内温を222℃とした以外は実施例1と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの収率は88%、溶融粘度は72Pa・s、平均粒子径420μm、幾何標準偏差は1.4と粒度分布の狭いポリマーであった。
【0035】
比較例1
実施例1において、イソオクタン添加後の内温を240℃とした以外は実施例1と同様の方法で重合、後処理を行った。得られたポリマーの収率は83%、溶融粘度は135Pa・s、平均粒子径560μm、幾何標準偏差は2.0と粒度分布の広いポリマーであった。
【0036】
比較例2
実施例3において、水添加後の内温を242℃とした以外は実施例3と同様の方法で重合、後処理を行った。得られたポリマーの収率は82%、溶融粘度は86Pa・s、平均粒子径620μm、幾何標準偏差は2.0と粒度分布の広いポリマーであった。
【0037】
比較例3
実施例3において、水添加後の内温を210℃とした以外は実施例3と同様の方法で重合、後処理を行った。得られたポリマーの収率は79%、溶融粘度は56Pa・s、平均粒子径370μm、幾何標準偏差は1.8と粒度分布の広いポリマーであった。
【0038】
実施例5
フルゾーン型攪拌翼(神鋼パンテック(株)製)を備えた30Lオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)9270g(93.64mol)、47%水硫化ナトリウム水溶液4826g(40.5mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液3274g(39.29mol)を仕込み、窒素ガスで置換後、約2時間かけて120rpmで攪拌しながら200℃まで昇温し、水4011g、NMP48.7g、0.73モルの硫化水素を留出させた。生成硫化ナトリウムは39.77モルであり、系中の水の量は生成硫化ナトリウム1モル当たり1.33モルであった。
【0039】
上記脱水工程の後、170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(DCB)2118g(14.41モル)、NMP1783gを加えたところ、内温は140℃に低下した。その後、225℃に昇温して1時間重合し、さらに250℃で2時間重合した。別途同じ手順で予備重合を行ない、得られたスラリーをサンプリングし、残存DCB量をガスクロマトグラフによって測定した。そして、前記(イ)式に従って転化率を求めたところ96.1%であり、生成プレポリマーの溶融粘度は10.6Pa・sであった。
【0040】
予備重合終了後、水1420g(78.89モル)を250℃で圧入した(水/硫化ナトリウム=3.31モル比)。水の圧入と同時に、熱媒温度を制御することにより内温を230℃とした。その後、回転数を220rpm(攪拌動力0.8kw/m3)に上げ、再度255℃まで昇温し、3時間重合した。後段重合終了後、反応混合物を室温まで冷却し、75μmの篩によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄後、乾燥した。得られたポリマーの収率は88%、溶融粘度は86Pa・sであった。また、このポリマーの平均粒子径は430μm、幾何標準偏差は1.4であり、粒度分布の狭いポリマーであった。
【0041】
比較例4
実施例5において、水添加後の内温を240℃に制御した以外は実施例5と同様の方法で重合、後処理を行った。得られたポリマーの収率は83%、溶融粘度は91Pa・s、平均粒子径530μm、幾何標準偏差は1.9と粒度分布の広いポリマーであった。
【0042】
比較例5
実施例5において、水添加後の内温を230℃に制御し、回転数120rpm(攪拌動力0.2kw/m3)とした以外は実施例5と同様の方法で重合を行った。その結果、反応器底部、攪拌翼下部にポリマーが凝集した状態となった。他の粒状物を実施例5と同様にして回収した結果、収率52%、溶融粘度は81Pa・s、平均粒子径1200μm、幾何標準偏差は2.0と粒度分布の広いポリマーであった。
【0043】
全ての結果を表1にまとめた。また、実施例5および比較例4の粒度分布曲線を図−1に示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004055491
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明により粒度分布が狭く、ハンドリング性に優れたポリアリーレンスルフィドを短時間に効率よく、高収率で製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例5および比較例4の粒度分布曲線を示したグラフである。

Claims (2)

  1. 非プロトン性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン化芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、該製造を下記工程1および2により行うことを特徴とする粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
    (1)アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水が存在する条件下、180〜260℃の温度で、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率が90モル%以上となるまで予備重合を行う工程
    (2)重合温度240℃以上の温度で相分離剤を投入し、投入後の温度を220〜235℃とした後、再度、昇温して重合温度を245℃以上とし、かつ攪拌動力が0.3kw/m3以上である攪拌条件下で重合反応を継続する工程
  2. 請求項1に記載の相分離剤が、水および/またはイソオクタンであることを特徴とする粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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