JP3950933B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアリーレンスルフィドの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは反応容器内壁へのポリマーの付着を防止しつつ、適度な平均粒子径を有し粒度分布の狭いポリアリーレンスルフィドを高い生産性で製造する方法に関するものであると伴に、得られるポリアリーレンスルフィドは、重合反応後のスラリーの移送が容易となり生産性を向上させることができるばかりでなく、重合工程において充填剤を添加するため、重合反応後のポリアリーレンスルフィドと各種配合剤を押出機等にて配合するコンパウンド工程を簡略化することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと記す。)、その中でも特にポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと記す。)は、優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、難燃性、耐薬品性等を有するエンジニアリングプラスチックとして、自動車部品、電子・電気機器部品、機械部品等の各種原材料として広く用いられている。
【0003】
そのようなPASの代表的な製造方法としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)等の非プロトン性有機極性溶媒中でp−ジクロロベンゼン等のポリハロゲン化芳香族化合物と硫化ナトリウム等の金属硫化物とを反応させるという方法が一般的に知られている。しかしながら、該方法においては分子量の低いポリマーしか製造できず、そのままで成形加工を行うことが困難であるためこの低分子量ポリマーを空気中で加熱処理し酸化架橋させることにより高分子量化する方法が採られてきたが、得られたPASは高度の架橋や分岐が生成するため、成型加工性や機械的特性に劣るものであった。
【0004】
そこで、重合方法を改良することによって高分子量PASを製造する方法が提案されている。例えば特公昭52−12240号公報には重合助剤としてアルカリ金属有機酸塩の存在下、重合する方法、特開昭61−7332号公報には予備重合後、相分離剤として水を添加する方法、特開平3−258833号公報には相分離剤として特定の炭化水素溶剤を添加する方法などが提案されている。
【0005】
これらような方法による重合反応系は液−液二相分離状態(分散相:濃厚ポリマー溶液相、連続相:希薄ポリマー溶液相)で重合反応が進行することによりPASの高分子量化が達成されると伴に、分散相での合一と分散を繰り返し一定粒子径に収束し顆粒状のPASとなることが知られている。しかし、合一が支配的になった場合、粗粒化ついには大きな塊状となりポリマーの移送が困難になる、粒度分布が広がるためにハンドリング性が悪くなる、PASの回収率が低くなるために生産性が悪化するという問題を有する。
【0006】
そこで、上記のような課題を解決する方法として、特開昭63−46228号公報には、相分離剤として水を用い、重合温度パターンを制御することによりPASの凝集を防止する製造方法が提案され、特開平4−114036号公報や特開2000−290375号公報には、特殊な形状を有する撹拌翼を用いPASの粒子径を制御する方法が提案され、さらに特開平6−192424号公報には、水酸化ナトリウムの添加量を制御して反応容器内壁へのポリマーの付着を防ぐ方法も提案されている。
【0007】
一方、生成したPASは、繊維、フィルムシート等にそのまま用いられる場合もあるが、各種成形部品として各種充填剤を配合して用いる場合がほとんどである。そして、PASに各種充填剤を配合する場合には、PASと各種充填剤を押出機等によって溶融混練し配合する方法が一般的であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭63−46228号公報に提案の方法には、重合時の重合温度パターンが複雑であると伴に、後段重合に長時間を要するため生産性に劣るという課題があった。また、特開平4−114036号公報や特開2000−290375号公報に提案の方法には、特殊な形状を有する撹拌翼が必要である等の課題があった。さらに特開平6−192424号公報に提案の方法では、そのポリマー付着防止効果が十分でなかった。
【0009】
そこで、本発明は、PASを製造する際に、PASが反応容器内壁に付着するのを防止しつつ、粒度分布の狭くハンドリング性や重合スラリーの移送性に優れ、さらには重合反応後のPASと各種充填剤を押出機等にて配合するコンパウンド工程をも簡略化することが可能となる、生産性に優れるPASの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の2つの工程を経るPASの製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物とを重縮合させてPASを製造する方法において、少なくとも下記の2工程を経ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法に関するものである。
(1)アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2モルの水を存在させ、重合温度180〜260℃の条件下でポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合反応を行う工程。
(2)(1)の工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤を生成するポリアリーレンスルフィドの理論量に対し1〜70容量%、及び相分離剤を同時に添加し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程。
【0012】
以下に、その詳細について説明する。
【0013】
本発明で用いるアルカリ金属硫化物としては、アルカリ金属硫化物であればいかなるものでもよく、具体的には硫化リチウム,硫化ナトリウム,硫化カリウム,硫化ルビジウム,硫化セシウムなどが挙げられ、これらの中でもコストや入手の容易さなどから硫化ナトリウムが好ましい。また、これらアルカリ金属硫化物は一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよく、無水の形でも、水和物として用いてもよい。
【0014】
また、アルカリ金属硫化物としては、アルカリ金属水硫化物と塩基との反応により得られるものを用いてもよく、アルカリ金属水硫化物としては、具体的には水硫化リチウム,水硫化ナトリウム,水硫化ルビジウム,水硫化カリウム、水硫化セシウムなどが挙げられ、これらの中でもコストや入手の容易さなどから水硫化ナトリウムが好ましい。そして、これらアルカリ金属水硫化物は一種を単独で用いても二種以上を併用してもよく、無水の形でも、水性混合物として用いても良い。また、アルカリ金属水硫化物は、硫化水素と塩基との反応により得られるものを用いてもよい。塩基としては、アルカリ金属水硫化物をアルカリ金属硫化物に転化できるもの、あるいは硫化水素をアルカリ金属水硫化物に転化できるものであればいかなるものでもよく、通常、アルカリ金属水酸化物等が使用され、そのようなアルカリ金属水酸化物としては、具体的には水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどが挙げられ、これらの中でもコストや入手の容易さなどから水酸化ナトリウムが好ましく、これらは一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、アルカリ金属硫化物とアルカリ金属水硫化物と塩基とを併用することもできる。さらには、アルカリ金属硫化物及び/又はアルカリ金属水硫化物と共に、硫化水素と塩基とを併用することもできる。
【0015】
本発明で用いるポリハロゲン化芳香族化合物は、芳香族環に直接ハロゲン原子が2個以上結合したハロゲン化芳香族化合物であり、ジハロゲン化芳香族化合物がよく使用され、そのようなジハロゲン化芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン,m−ジクロロベンゼン、p−ジブロムベンゼン,o−ジブロムベンゼン,p−ジヨードベンゼン,m−ジヨードベンゼン,o−ジヨードベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン類;ジクロロトルエン,ジブロモトルエン,ジヨードトルエン,ジクロロキシレン,ジクロロエチルベンゼン,テトラメチルジクロロベンゼン,シクロヘキシルジクロロベンゼンなどのアルキル置換ジハロゲン化ベンゼン類又はシクロアルキル置換ジハロゲン化ベンゼン類;ジクロロビフェニル,ジブロモビフェニル,ジヨードビフェニル等のジハロゲン化ビフェニル類;ジクロロナフタレン,ジブロモナフタレン,ジヨードナフタレン等のジハロゲン化ナフタレン類;さらにはジクロロジフェニルサルホン、ジブロモジフェニルサルホン、ジクロロベンゾフェノン、ジブロモベンゾフェノンなどが挙げられ、これらの中でも入手が容易で、製造後のPASの耐熱性に優れることからp−ジクロロベンゼンを用いPPSとすることが好ましい。これらジハロゲン化芳香族化合物は一種を単独又は二種以上を併用してもよい。ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は特に制限はないが、前記アルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.90〜1.20モルであることが好ましく、特に高分子量PASが得られることから0.94〜1.00モルであることが好ましい。
【0016】
また、本発明で用いるポリハロゲン化芳香族化合物としては、1分子中に3個以上のハロゲン原子を有するポリハロゲン化芳香族化合物をあげることができ、そのようなポリハロゲン化芳香族化合物としては、例えばトリクロロベンゼン,トリブロモベンゼン,トリヨードベンゼン,テトラクロロベンゼン,トリクロロナフタレン等が挙げられる。そして、これら1分子中に3個以上のハロゲン原子を有するポリハロゲン化芳香族化合物は、通常、得られるPASの分子量や分岐度を調整するためにジハロゲン化芳香族化合物と併用され、一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明で用いる有機極性溶媒とは、非プロトン性有機極性化合物であることが好ましく、そのような溶媒としては、例えばアミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機硫黄化合物,環式有機リン化合物などが挙げられる。アミド化合物としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジメチル安息香酸アミドなどが挙げられる。また、前記ラクタム化合物としては、例えばカプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、N−イソプロピルカプロラクタム、N−イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプロピルカプロラクタム、N−ノルマルブチルカプロラクタム、N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類;NMP、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプロピル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリドン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノルマルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリドン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル−2−ピペリドンなどが挙げられる。前記尿素化合物としては、例えばテトラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素などが挙げられる。前記有機硫黄化合物としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、1−メチル−1−オキソスルホラン、1−エチル−1−オキソスルホラン、1−フェニル−1−オキソスルホランなどが挙げられる。前記環式有機リン化合物としては、例えば1−メチル−1−オキソホスホラン、1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラン、1−フェニル−1−オキソホスホランなどが挙げられる。これらの有機極性溶媒は一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも入手が容易で、PAS製造時の化学的安定性に優れ容易に比較的高分子量のPASを製造することが可能となることからNMPが好ましい。有機極性溶媒の使用量に特に制限はなく、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し1〜20モルで用いることができ、生産性に優れ、粒径の制御が容易となることから3〜10モルであることが特に好ましい。
【0018】
本発明で用いる相分離剤とは、重合反応系においてPASの製造溶媒である有機極性溶媒中でPASを濃厚ポリマー溶液と希薄ポリマー溶液に相分離できるものであればいかなるものでもよく、例えば水、炭化水素系溶媒、酢酸塩、スルホン酸塩、ハロゲン化リチウムなどが挙げられる。そして、炭化水素系溶媒としては、例えばイソオクタン、n−デカン、p−シメン、トリメトキシベンゼン、クメン、メチルサルフォン、ケロシン、n−テトラデカン等が挙げられる。酢酸塩としては、例えば酢酸リチウム、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属酢酸塩等が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えばスルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属スルホン酸塩などが挙げられる。ハロゲン化リチウムとしては、例えば塩化リチウム,フッ化リチウム等が挙げられる。これらの中でもより効果的に相分離剤としての効果を発現し、容易に高分子量を有するPASが得られることからイソオクタン、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、ハロゲン化リチウム、水が好ましい。これら相分離剤は一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0019】
そして、相分離剤の使用量としては、重合反応系にPASの濃厚ポリマー溶液相が生成する量であれば特に制限はなく、例えば相分離剤として水を用いる場合、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し2〜7モルであり、好ましくは2.1〜5モルである。また、イソオクタンのような炭化水素系溶媒を用いる場合、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し0.2〜6モルであり、好ましくは0.3〜4モルである。さらに、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、ハロゲン化リチウム、アルカリ金属スルホン酸塩を用いる場合、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し0.01〜3モルであり、好ましくは0.02〜0.5モルである。
【0020】
本発明で用いる充填剤とは、重合反応に用いる有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤であればいかなるものでもよく、例えば粉粒状、板状、繊維状の充填剤であり、粉粒状充填剤としては、粉粒状であればいかなるものでもよく、例えばガラスビーズ、シリカ、石英粉末、ガラス粉、硅酸カルシウム、カオリン、タルク、クレーなどの硅酸塩;酸化鉄、酸化チタンなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの様な金属の炭酸塩;硫酸バリウムなどの金属の硫酸塩;その他カーボンブラック、各種金属粉末等が挙げられる。板状充填剤としては、例えばガラスフレーク、マイカ、各種の金属箔等が挙げられる。繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、さらにステレンス、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などが挙げられる。これらの充填剤は一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、これらの充填剤は、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理又は収束処理を施したものであってもよい。ここで、充填剤が有機極性溶媒に可溶又は重合系に可溶である場合、反応器内壁へのポリマーの付着防止が達成できない。
【0021】
本発明における充填剤の使用量としては、本発明の製造方法により生成するPASの理論量に対し1〜70容量%であり、より好ましくは10〜60容量%である。ここで、充填剤が70容量%を越える場合、重合反応系内において充填剤が沈降するために本発明の目的を達成することができない。一方、充填剤が1容量%未満である場合、反応容器内壁へのポリマーの付着がおこりやすく本発明の目的を達成することができない。ここで、生成するPASの理論量とは原料であるアルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物から重縮合反応により重合転化率100%として得られるPASの理論質量と得られるPASの密度から算出されたものである。
【0022】
本発明の製造方法は、有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物とを重縮合させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、少なくとも以下の2工程を経るものである。
【0023】
(1)の工程は、アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2モルの水を存在させ、重合温度180〜260℃の条件下でポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合反応を行う工程である。
【0024】
(2)の工程は、(1)の工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤を生成するポリアリーレンスルフィドの理論量に対し1〜70容量%、及び相分離剤を添加し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程である。
【0025】
さらに本発明においては、本発明の効果が実現される限り、上記2工程の前後又は中間に補助的な工程を附加してもよい。
【0026】
以下に、本発明の製造方法について具体的に説明する。
【0027】
本発明でいう(1)の工程とは、PASプレポリマーを製造する予備重合工程であり、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水を含む重合反応系で、重合温度180〜260℃の条件下、ポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合を行う工程である。通常、有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水を含む重合系で180〜260℃の温度条件下で反応させる。
【0028】
ここで、重合反応系の水の量をアルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モルの範囲にする方法としては、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り0.5モルに達しない場合、必要量の水を添加すればよい。一方、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り2モルを越える場合、不必要量の水を系外に留出させればよい。そして、重合反応系内の含有水量はアルカリ金属硫化物1モル当たり1.0〜1.6モルの範囲であることが特に好ましい。ここで、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り0.5モル未満である場合、予備重合中のPASプレポリマーの分解等が発生しやすくなる。一方、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り2.0モルを越える場合、重合速度が著しく低下したり、予備重合中のPASプレポリマーの分解が発生しやすくなる。
【0029】
該(1)工程の重合温度としては180〜260℃であり、さらに180〜250℃であることが好ましい。ここで、重合温度が180℃未満である場合、重合反応系の反応速度が小さくなり、ポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率を90モル%以上とするのに長時間を有する。一方、重合温度が260℃を越える場合、予備重合中のPASプレポリマーの分解が発生しやすくなる。
【0030】
該(1)工程のおけるポリハロゲン化芳香族化合物のPASプレポリマーへの重合転化率は90モル%以上、特に後述する(2)工程における重合時間の短縮化がはかれることから98モル%を超えることが好ましい。重合転化率が90モル%未満である場合、後述する(2)工程における重合の際、PAS分解等の望ましくない反応が起こり易く、収率が低下する等の弊害を生ずるため好ましくない。本発明でいうポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率とは、原材料であるポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの転化率を示すものであり、以下に示す式により算出する事ができる。
【0031】
(イ)ポリハロゲン化芳香族化合物(PHと記す。)をアルカリ金属硫化物よりモル比で過剰に添加した場合は、以下の式により算出を行った。
転化率(%)=(PH仕込量−PH残存量)/(PH仕込量−PH過剰量)×100
(ロ)ポリハロゲン化芳香族化合物(PHと記す。)をアルカリ金属硫化物よりモル比で少なく添加した場合は、以下の式により算出を行った。
転化率(%)=(PH仕込量−PH残存量)/(PH仕込量)×100
本発明でいう(2)の工程は、上述の(1)工程で得られたPASプレポリマーの高分子量化及び顆粒化を達成すると伴に、得られたPASに充填剤を配合する工程であり、(1)の工程の後、生成PASに対し1〜70容量%に相当する充填剤及び相分離剤を添加し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程である。
【0032】
該(2)工程における重合温度は240〜270℃であり、245〜265℃であることが特に好ましい。ここで、重合温度が240℃未満である場合、高分子量のPASが得られにくくなる。一方、重合温度が270℃を越える場合、PASの分解が発生する恐れがある。また、(2)工程における重合時間は特に制限はなく、その中でもPASの高分子量化が達成でき、分解の発生をおさえられることから0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。
【0033】
該(2)工程における相分離剤の添加時期として特に制限はなく、本発明の目的が達成されるものであればいかなる時期でもよく、その中でもより効率的に高分子量のPASを製造できることから、(2)工程に入ると同時に相分離剤を存在させることが好ましい。
【0034】
また、該(2)工程における充填剤の添加時期としては、PASの反応装置内壁への付着防止を効率的に行うことを可能とし、充填剤の添加を効率的に行えることから相分離剤の添加と同時に行う。また、充填剤の添加方法としては、そのまま固形分として重合反応系に添加してもよいし、該(2)工程における相分離剤が液体である場合は、相分離剤に充填剤を予め分散させたスラリーとして添加する事が好ましい。該充填剤の添加は、全量を短時間に一括して仕込んでもよいし、2回以上に分割して仕込んでもよい。
【0035】
本発明に於ける(1)の工程から(2)工程への切り替えは、(1)の工程で得られた重合スラリーを別の反応容器に移して(2)工程を行ってもよく、また、同一の反応容器内で(1)の工程を行った後、(2)工程を行ってもよい。さらに、(1)の工程から得られた重合体スラリーよりPASプレポリマーを単離した後、該PASプレポリマーと有機極性溶媒を混合した後、(2)工程を行ってもよい。また、その際単離されたPASプレポリマーは有機極性溶媒又は水等で洗浄されたものであってもよい。
【0036】
本発明の製造方法により得られるPASの回収方法としては特に制限はなく常法によって行うことができ、例えば(2)工程の後、得られた重合スラリーをそのまま、あるいは水や有機溶媒で希釈し、ろ別後、水洗ろ過を繰り返し、乾燥することによりPASを回収する方法、重合スラリーを高温状態のままろ過し、ろ別後、水洗ろ過を繰り返し、乾燥することによりPASを回収する方法等を挙げることができる。また、得られたPASはさらに重合溶媒と同じ有機溶媒、他の有機溶媒、高温水でさらに洗浄・精製してもよいし、酸等で処理することも可能である。
【0037】
また、本発明により得られるPASは充填剤を含有するものでありそのまま用いる事も可能であるし、さらに必要に応じて上述の充填剤、公知の顔料、難燃剤、安定化剤、他のポリマー等とを配合してもよい。
【0038】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
以下に実施例により得られたPASの評価・測定方法を示す。
【0040】
〜溶融粘度の測定〜
ダイス(L/D=2/0.5)を装着した高化式フローテスター(島津製作所製、商品名フローテスターCFT−500形)を用い、試料を315℃で5分間保持した後、315℃、剪断速度=200(秒)-1のときの溶融粘度を求めた。
【0041】
〜平均粒子径及び粒度分布の測定〜
得られたPAS粉体50gを、メッシュサイズが3.5メッシュ、4.7メッシュ、6.5メッシュ、8.6メッシュ、12メッシュ、16メッシュ、22メッシュ、30メッシュ、42メッシュ、60メッシュ、83メッシュ、100メッシュ、140メッシュの標準篩を装着した振とう機(田中化学機械製、商品名ロータップフルイ振とう機RD−2)を用いて15分間振とうし、140メッシュ篩下の留分及び3.5メッシュ篩上の留分以外の篩上留分を用いて、下記式(1)に示す対数正規分布式に従って最小二乗法で近似したときのm(最頻度粒子径)を平均粒子径と呼び、σ(幾何標準偏差)を粒度分布と呼ぶ。ここで、f(x)は各篩上留分の重量を投入量(50g)で割った重量百分率であり、xはあるメッシュサイズの篩と、このメッシュサイズより1つ小さなメッシュサイズの篩との、平均の目開きの値である。
【0042】
【数1】
実施例1
アンカー型攪拌翼を備えた15lオートクレーブに、NMP3232g(32.65mol)、2.9水塩硫化ナトリウム1823g(14.12mol)、水酸化ナトリウム19.2g(0.480mol)を仕込み、窒素ガスで置換後、100rpmで攪拌し脱水を行いながら2時間かけて200℃まで昇温し、水333g、硫化水素0.35モルを留出させた。その際、系中の水の量は硫化ナトリウム1モル当たり、1.53であった。
【0043】
その後、170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(以下、DCBと記す。)2140g(14.56モル)、NMP1783gを加えたところ、内温は140℃に低下した。その後、225℃に昇温して3時間重合し、さらに250℃で2時間重合した後に室温まで冷却し、PPSプレポリマースラリー(P−1)を得た。この際のDCBのPPSへの重合転化率は98.2%であった。
【0044】
次にアンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、PPSプレポリマースラリー(P−1)1028g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.70モル)、水62.7g(3.48モル)、ガラス繊維(セントラル硝子製、商品名EFDE50−01;比重2.6、平均長50μm)48.3g(PPSの理論量に対して10容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて250℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は470μm、粒度分布は1.4であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内はきわめて清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0045】
実施例2
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−1)714g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.15モル)、イソオクタン174g(1.53モル)、ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ製、商品名EGB−731;比重2.6、平均径30μm)37.2g(PPSの理論量に対して20容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行った。得られたPPSの平均粒子径は420μm、粒度分布は1.4であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内はきわめて清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−1)732g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.18モル)、イソオクタン179g(1.57モル)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行った。得られたPPSの平均粒子径は390μm、粒度分布は1.5であり、粒度分布の狭いポリマーであったが、オートクレーブ内は汚染されていた。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0047】
比較例2
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−1)982g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.63モル)、水60g(3.33モル)、ガラスフレーク(日本板硝子製、商品名REF−015;比重2.6、平均径15μm)178g(PPSの理論量に対して30容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら100分かけて280℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行った。得られたPPSは粗大粒子であり、平均粒子径及び粒度分布は測定不可能であった。またオートクレーブ内は汚染されていた。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0048】
比較例3
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−1)951g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.57モル)、水58.1g(3.2モル)、ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ製、商品名EGB−731;比重2.6、平均径30μm)268.5g(PPSの理論量に対して40容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を600rpm(翼先端速度2.3m/s)で攪拌しながら80分かけて230℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行った。得られたPPSは微粉であり、平均粒子径及び粒度分布は測定不可能であった。またオートクレーブ内はきわめて清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0049】
比較例4
アンカー型攪拌翼を備えた15lオートクレーブに、NMP3232g(32.65mol)、2.9水塩硫化ナトリウム1823g(14.12mol)、水酸化ナトリウム17.2g(0.430mol)を仕込み、窒素ガスで置換後、100rpmで攪拌し脱水を行いながら2時間かけて200℃まで昇温し、水437g、硫化水素0.50モルを留出させた。その際、系中の水の量は硫化ナトリウム1モル当たり、1.16であった。
【0050】
その後、170℃まで冷却し、DCB2035g(13.84モル)を加えたところ、内温は140℃に低下した。その後、235℃に昇温して3時間重合した後に室温まで冷却し、PPSプレポリマースラリー(P−2)を得た。この際のDCBのPPSへの重合転化率は88.1%であった。このPPSプレポリマースラリー(P−2)の一部を多量の水で何度も洗浄し乾燥したPPSの溶融粘度は測定不能(0.5Pa・s以下)であった。
【0051】
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、得られたPPSプレポリマースラリー(P−2)1008g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位1.63モル)、水60.0g(3.33モル)、ガラス繊維(日本電気硝子製、商品名ECS03T−717G;比重2.6、平均長3000μm)37.2g(PPSの理論量に対して20容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した。PPSは集塊しており、分解臭がした。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0052】
実施例3
実施例1で得られたPPSプレポリマースラリー(P−1)4kgを水8kgに再沈させた後、ろ紙によりろ別し固形分をさらに水洗浄し、乾燥して清浄化PPSプレポリマー(P−3)を得た。この清浄化PPSプレポリマー(P−3)の溶融粘度は9.2Pa・sであった。
【0053】
そして、アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、得られた清浄化PPSプレポリマー(P−3)126g(比重1.33、PPSの繰り返し単位1.16モル)、NMP428g(4.31モル)、水27.1g(1.50モル)、イソオクタン177g(1.55モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液9.6g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返し単位=0.1モル比)、炭酸カルシウム(白石工業製、商品名ホワイトンP−50;比重2.75、平均径10μm)208g(PPSの理論量に対して39.7容量%に相当。)、カーボンブラック(三菱化学製、商品名MA100;比重2.24、平均径0.02μm)1.3g(PPSの理論量に対して0.3容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は580μm、粒度分布は1.5であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内は清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−3)122g(比重1.33、PPSの繰り返し単位1.13モル)、NMP414g(4.18モル)、水26.2g(1.46モル)、イソオクタン171g(1.50モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液9.3g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返し単位=0.1モル比)、ガラスフレーク(日本板硝子製、商品名REF−015;比重2.6、平均径15μm)288g(PPSの理論量に対して50容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を600rpm(翼先端速度2.3m/s)で攪拌しながら90分かけて245℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は520μm、粒度分布は1.4であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内は清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0055】
実施例5
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−3)201g(比重1.33、PPSの繰り返し単位1.86モル)、NMP659g(6.65モル)、水110g(6.13モル)、ガラスビーズ(ユニオン製、商品名UB−1820S;比重2.6、平均径820μm)52.7g(PPSの理論量に対して10容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて250℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は950μm、粒度分布は1.5であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内は清浄であった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0056】
比較例5
アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−3)203g(比重1.33、PPSの繰り返し単位1.88モル)、NMP667g(6.73モル)、水104g(5.75モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液15.6g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返し単位=0.1モル比)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は280μm、粒度分布は1.6であり、粒度分布の狭いポリマーであったが、オートクレーブ内は汚染されていた。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【発明の効果】
本発明により、反応容器内壁へのポリマーの付着を防止しつつ、生産性が高く粒度分布の狭いポリアリーレンスルフィドを得ることが可能となる。
Claims (4)
- 有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物とを重縮合させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、少なくとも下記の2工程を経ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(1)アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2モルの水を存在させ、重合温度180〜260℃の条件下でポリハロゲン化芳香族化合物のポリアリーレンスルフィドへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合反応を行う工程。
(2)(1)の工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤を生成するポリアリーレンスルフィドの理論量に対し1〜70容量%、及び相分離剤を同時に添加し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程。 - 相分離剤が、水、イソオクタン、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩及びハロゲン化リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の相分離剤であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 充填剤が、有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の粉粒状充填剤、板状充填剤及び繊維状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の充填剤であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 充填剤が、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ガラスフレーク及びガラス繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の充填剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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