JP4782383B2 - ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、溶融安定性に優れ、結晶化温度が低く、白色度に優れたポリアリーレンスルフィド及びその製造方法に関する。本発明のポリアリーレンスルフィドは、繊維などの素材用途に好適である。
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」と略記)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックである。PASは、押出成形、射出成形、圧縮成形などの一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において汎用されている。
PASの代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略記)などの有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が知られている。硫黄源としては、主としてアルカリ金属硫化物が用いられている。硫黄源として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とをin situで反応させてアルカリ金属硫化物としたものを使用する方法も知られている。
硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合反応は、脱塩重縮合反応であり、反応後に多量のNaClなどの塩(即ち、アルカリ金属ハロゲン化物)が生成する。そのため、従来より、重合により得られたPASを、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物、界面活性剤を含有する水などを用いて洗浄し、NaClなどの塩を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1−5参照)。
他方、有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法が提案されている(例えば、特許文献6−11参照)。しかし、この製造方法は、重合反応を安定して実施するための条件設定が難しいことに加えて、多量のアルカリ金属水酸化物を使用するため、副反応を抑制することが困難である。
さらに、PASは、一般に、溶融安定性が悪く、しかも溶融状態からの結晶化速度が速い結晶性ポリマーであるため、溶融紡糸時に糸切れが発生したり、溶融成形後の成形品の物性が一定しないなどの問題を有している。また、PASは、溶融加工条件下で着色し易いという問題があった。
そこで、従来、アセトン/水(容量比=1:2)混合溶媒中で測定したpHが5.5〜8.8の範囲内にあるPASを用いることにより、色調安定性に優れた成形品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献12参照)。
また、結晶化速度が速く、かつ、白色度が高いPASを得るために、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とパラ−及びメタ−ジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造する方法において、特定の反応条件を採用することに加えて、反応後のPASを含むスラリーに、酸または水素塩を添加して、該スラリーのpHを7.0〜11.0となるように調整し、次いで、スラリーを濾過し、得られたケーキを非酸化性ガス雰囲気下に加熱して溶媒を除去するPASの製造方法が提案されている(例えば、特許文献13参照)。
しかし、従来のPASの製造方法では、溶融安定性と白色度に優れ、溶融状態からの結晶化速度が遅いPASを得ることができないか、極めて困難であった。
特公平6−86528号公報 特公平6−57747号公報 特開平4−139215号公報 特公平4−55445号公報 特開平10−265575号公報 特開平2−302436号公報 特開平5−271414号公報 特公平6−51792号公報 特開2001−181394号公報 特開平2−160834号公報 特公平6−51793号公報 特開平11−209617号公報 特開2002−201275号公報
本発明の課題は、溶融状態からの結晶化速度が遅く、しかも白色度に優れたポリアリーレンスルフィドとその製造方法を提供することにある。
また、本発明の課題は、上記特性に加えて、溶融安定性が顕著に改善されたポリアリーレンスルフィドとその製造方法を提供することにある。
特に、本発明の課題は、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下に重合反応させたポリアリーレンスルフィドであって、結晶化温度が低く、白色度が高く、溶融安定性に優れたポリアリーレンスルフィドとその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下に重合させるPASの製造方法において、第一に、硫黄源1モル当たり1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物が存在するように各成分の仕込み量を調整し、第二に、重合後の洗浄工程において、重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄し、その際、最終洗浄段階で、水または混合液からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御することにより、結晶化温度が低く、白色度に優れ、さらには、溶融安定性が顕著に改善されたPASの得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、下記特性(a)〜(e)
(a)温度310℃及び剪断速度1216sec−1の条件下で測定した溶融粘度が3〜2000Pa・s、
(b)水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpHが7.5〜11.5
(c)温度340℃での溶融状態から10℃/分の速度で降温させる過程で測定した結晶化温度が165〜220℃
(d)ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、室温プレスにより固化してシートを作製し、得られたシートを150℃/30分間アニーリングして結晶化シートを作製し、この結晶化シートを試料とし、測定に先立って標準白色板により校正を行った色彩色差計を用いて、標準光C、反射光測定法により、各試料について3点ずつ色調の測定を行い、その平均値を白色度(WH)としたときの白色度が70〜85
(e)310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV に対する、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV の比MV /MV が0.80〜1.0、
を有し、かつ、有機アミド溶媒中でアルカリ金属水硫化物を含む硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させて得られたポリアリーレンスルフィドであることを特徴とするポリアリーレンスルフィドが提供される。
本発明のポリアリーレンスルフィドは、下記特性(f)
f)ポリマー10gに、抽出用溶媒としてクロロホルム50mlを用いてソックスレー抽出を6時間行い、抽出終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させ、60℃で2時間の真空乾燥を行った後、フラスコ内に残った抽出物の重量を測定し、該重量と抽出に使用したポリマーの重量とに基づいて算出した低分子量成分の含有量が5.0重量%以下、
を更に有することが望ましい。
また、本発明によれば、下記(I)〜(V)の各工程:
(I)有機アミド溶媒とアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを含む混合物を加熱し、蒸留により水を系外へ排出する脱水工程、
(II)アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源1モル当たり1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物が存在するように、各成分の仕込み量を調整する仕込み工程、
(III)有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させる重合工程、
(IV)重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄し、その際、最終洗浄段階で、水または混合液からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する洗浄工程、及び、
(V)洗浄液からポリマーを分離し、乾燥し回収する回収工程であって、下記特性(a)〜(e)
(a)温度310℃及び剪断速度1216sec−1の条件下で測定した溶融粘度が3〜2000Pa・s、
(b)水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpHが7.5〜11.5
(c)温度340℃での溶融状態から10℃/分の速度で降温させる過程で測定した結晶化温度が165〜220℃
(d)ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、室温プレスにより固化してシートを作製し、得られたシートを150℃/30分間アニーリングして結晶化シートを作製し、この結晶化シートを試料とし、測定に先立って標準白色板により校正を行った色彩色差計を用いて、標準光C、反射光測定法により、各試料について3点ずつ、色調の測定を行い、その平均値を白色度(WH)としたときの白色度が70〜85
(e)310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV に対する、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV の比MV /MV が0.80〜1.0、
を有するポリマーを回収する回収工程、
を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法は、
前記(I)の脱水工程として、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物、及びアルカリ金属水硫化物1モル当たり0.95〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して反応させ、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程を採用し、
前記(II)の仕込み工程として、系内に残存する混合物に、アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源(以下、「仕込み硫黄源」という)1モル当たり、1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物と0.5〜2.0モルの水が存在するように、必要に応じて、アルカリ金属水酸化物と水を添加する仕込み工程を採用し、
前記(III)の重合工程として、混合物にジハロ芳香族化合物を添加し、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98%のプレポリマーを生成させる前段重合工程、及び前段重合工程後、仕込み硫黄源1モル当たり2.0〜10モルの水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する後段重合工程を含む重合工程を採用し、
前記(IV)の洗浄工程として、重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄し、その際、最終洗浄段階で、水または混合液からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する洗浄工程を採用する前記の製造方法が望ましい。
本発明のPASは、溶融状態からの結晶化速度が遅いので、押出成形性などの溶融成形性に優れ、しかも溶融安定性に優れているため、例えば、溶融紡糸時の糸切れが発生し難く、また、溶融成形後の成形品の物性変動が起こり難い。さらに、本発明のPASは、溶融加工時の熱変色が少ないため、白色度が高い成形品を得ることができる。
1.硫黄源
本発明では、硫黄源として、一般に、アルカリ金属水硫化物を使用する。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属水硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手できる点で、水硫化ナトリウム及び水硫化リチウムが好ましい。また、水溶液などの水性混合物(すなわち、流動性のある水との混合物)として用いることが処理操作や計量などの観点から好ましい。
アルカリ金属水硫化物の製造工程では、一般に、少量のアルカリ金属硫化物が副生する。本発明で使用するアルカリ金属水硫化物の中には、少量のアルカリ金属硫化物が含有されていてもよい。この場合、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との総モル量が、脱水工程後の仕込み硫黄源になる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物は、水溶液などの水性混合物として用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、脱水工程で脱水されるべき水分とは、水和水、水溶液の水媒体、及びアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との反応により副生する水などである。
2.ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。これらのジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジハロ芳香族化合物の仕込み量は、脱水工程後に系内に残存する硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)1モルに対し、通常0.90〜1.50モル、好ましくは0.95〜1.20モル、より好ましくは1.00〜1.09モルである。
3.分子量調節剤、分岐・架橋剤
生成PASに特定構造の末端を形成したり、あるいは重合反応や分子量を調節する等のために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併用することができる。分岐または架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することも可能である。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物として、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。
4.有機アミド溶媒
本発明では、脱水反応及び重合反応の溶媒として、非プロトン性極性有機溶媒である有機アミド溶媒を用いる。有機アミド溶媒は、高温でアルカリに対して安定なものが好ましい。有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機アミド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、N−アルキルカプロラクタム化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。本発明の重合反応に用いられる有機アミド溶媒の使用量は、硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kgの範囲である。
5.重合助剤
本発明では、重合反応を促進させ、高重合度のPASを短時間で得るために、必要に応じて各種重合助剤を用いることができる。重合助剤の具体例としては、一般にPASの重合助剤として公知の有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、リン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、有機カルボン酸金属塩が安価であるため、特に好ましい。重合助剤の使用量は、用いる化合物の種類により異なるが、仕込み硫黄源1モルに対し、一般に0.01〜10モルとなる範囲である。
6.脱水工程
重合工程の前工程として、脱水工程を配置して反応系内の水分量を調節する。脱水工程は、望ましくは不活性ガス雰囲気下、有機アミド溶媒とアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを含む混合物を加熱し、蒸留により水を系外へ排出する方法により実施する。
本発明では、脱水工程において、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物、及びアルカリ金属水硫化物1モル当たり0.95〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、アルカリ金属水硫化物の少なくとも一部をアルカリ金属水酸化物と反応させてアルカリ金属硫化物に変換すると共に、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出することが好ましい。
この工程での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が小さすぎると、脱水工程で揮散する硫黄成分(硫化水素)の量が多くなり、仕込み硫黄源量の低下による生産性の低下を招いたり、脱水後に残存する仕込み硫黄源に多硫化成分が増加することによる異常反応、生成PASの品質低下が起こり易くなる。仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質が増大したり、重合反応を安定して実施することが困難になったり、生成PASの品質が低下することがある。この工程での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりのアルカリ金属水酸化物の好ましいモル比は、0.96〜1.04である。
アルカリ金属水硫化物には、多くの場合、少量のアルカリ金属硫化物が含まれており、硫黄源の量は、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との合計量になる。アルカリ金属水硫化物は、アルカリ金属硫化物を含有していても、PASの原料としては問題はない。また、少量のアルカリ金属硫化物が混入していても、アルカリ金属水硫化物の含有量(分析値)を基準に、アルカリ金属水酸化物とのモル比を算出し、そのモル比を調整することができる。
脱水工程では、水和水(結晶水)や水媒体、副生水などからなる水分を必要量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、重合反応系の共存水分量が、硫黄源1モルに対して、0.5〜2.0モルになるまで脱水することが好ましい。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、重合工程の前に水を添加して所望の水分量に調節してもよい。
これらの原料の反応槽への投入は、一般的には、常温から300℃、好ましくは常温から200℃の温度範囲内で行われる。原料の投入順序は、順不同でよく、さらには、脱水操作途中で各原料を追加投入してもかまわない。脱水工程に使用される溶媒としては、有機アミド溶媒を用いる。この溶媒は、重合工程に使用される有機アミド溶媒と同一であることが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。有機アミド溶媒の使用量は、反応槽に投入する硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg程度である。
脱水操作は、反応槽内へ原料を投入後の混合物を、通常、300℃以下、好ましくは100〜250℃の温度範囲で、通常、15分間から24時間、好ましくは30分間〜10時間、加熱して行われる。加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あるいは両者を組み合わせた方法がある。脱水工程は、バッチ式、連続式、または両方式の組み合わせ方式などにより行われる。
脱水工程を行う装置は、後続する重合工程に用いられる反応槽(反応缶)と同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。また、装置の材質は、チタンのような耐食性材料が好ましい。脱水工程では、通常、有機アミド溶媒の一部が水と同伴して反応槽外に排出される。その際、硫化水素は、ガスとして系外に排出される。
脱水工程においては、加熱処理によってアルカリ金属水酸化物と有機アミド溶媒とが反応して、アルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートを生成し、アルカリ金属水硫化物は、アルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートとのコンプレックス(錯体)を形成して、系内に存在すると推定される。一方、アルカリ金属水硫化物の一部は、水と反応して硫化水素とアルカリ金属水酸化物とを生成し、生成した硫化水素は、系外に排出される。硫化水素の系外への排出は、系内の硫黄源の減量に直結する。したがって、脱水工程での硫化水素の揮散量を測定して、系内に残存する硫黄源の量を正確に算出することが、アルカリ金属水酸化物やジハロ芳香族化合物とのモル比を調整する上で重要となる。
7.仕込み工程
本発明では、脱水工程後、系内に残存する混合物に、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物とを含む硫黄源(仕込み硫黄源)1モル当たり、1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物と0.5〜2.0モルの水が存在するように、必要に応じて、アルカリ金属水酸化物と水を添加することが好ましい。ここで、仕込み硫黄源の量は、[仕込み硫黄源]=[総仕込み硫黄モル]−[脱水後の揮散硫黄モル]の式により算出される。仕込み硫黄源の量は、「有効S」量と呼ぶことがある。
また、脱水工程で硫化水素が揮散すると、平衡反応により、アルカリ金属水酸化物が生成し、系内に残存することになる。したがって、これらの量を正確に把握して、仕込み工程でのアルカリ金属水酸化物の硫黄源に対するモル比を決定する必要がある。
硫黄源1モル当たり、アルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質を増大させたり、重合時の異常反応や分解反応を引き起こすことがある。また、生成PASの収率の低下や品質の低下を引き起こすことが多くなる。硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比は、1.00〜1.09、好ましくは1.01〜1.08、より好ましくは1.015〜1.075、特に好ましくは1.02〜1.06である。アルカリ金属水酸化物が少過剰の状態で重合反応を行うことが、重合反応を安定的に実施し、高品質のPASを得る上で好ましい。
8.重合工程
重合工程は、脱水工程終了後の混合物にジハロ芳香族化合物を仕込み、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物を加熱することにより行われる。脱水工程で用いた反応槽とは異なる重合槽を使用する場合には、重合槽に脱水工程後の混合物とジハロ芳香族化合物を投入する。脱水工程後、重合工程前には、必要に応じて、有機アミド溶媒量や共存水分量などの調整を行ってもよい。また、重合工程前または重合工程中に、重合助剤その他の添加物を混合してもよい。
脱水工程終了後に得られた混合物とジハロ芳香族化合物との混合は、通常、100〜350℃、好ましくは120〜330℃の温度範囲内で行われる。重合槽に各成分を投入する場合、投入順序は、特に制限なく、両成分を部分的に少量ずつ、あるいは一時に投入することにより行われる。
重合反応は、一般的に170〜290℃の範囲で2段階工程で行うことが好ましい。加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あるいは両方法の組み合わせが用いられる。重合反応時間は、一般に10分間〜72時間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間である。重合工程に使用される有機アミド溶媒は、重合工程中に存在する仕込み硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgである。この範囲であれば、重合反応途中でその量を変化させてもかまわない。
重合反応開始時の共存水分量は、仕込み硫黄源1モルに対して、0.5〜2.0モルの範囲内とすることが好ましい。重合反応の途中で共存水分量を増加させることが好ましい。
本発明の好ましい製造方法では、重合工程において、
(A)有機アミド溶媒と硫黄源とジハロ芳香族化合物と所定モル比のアルカリ金属水酸化物とを含有する反応混合物を、仕込み硫黄源1モルに対して0.5〜2.0モルの水の存在下に、170〜270℃に加熱して重合反応を行い、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98%でプレポリマーを生成させる前段工程;及び
(B)仕込み硫黄源1モル当たり2.0〜10モルの水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する後段重合工程;
を含む少なくとも2段階の重合工程により重合反応を行う。前段重合工程において、温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度が0.5〜30Pa・sのプレポリマーを生成させることが望ましい。
生成ポリマー中の副生食塩や不純物の含有量を低下させたり、ポリマーを粒状で回収する目的で、重合反応後期あるいは終了時に水を添加し、水分を増加させてもかまわない。重合反応方式は、バッチ式、連続式、あるいは両方式の組み合わせでもよい。バッチ式重合では、重合サイクル時間を短縮する目的のために、2つ以上の反応槽を用いる方式を用いてもかまわない。
9.後処理工程
重合工程後の後処理工程として、一般に、重合反応により生成したPASを含む反応混合液(スラリー)からPASを分離し、洗浄し、乾燥する工程がある。乾燥後に、製品としてのPASが回収される。
より具体的には、重合反応の終了後、例えば、冷却したスラリーをそのまま、あるいは水などで希釈してから、濾別し、洗浄・濾過を繰り返して乾燥することにより、PASを回収することができる。本発明の好ましい製造方法によれば、粒状ポリマーを生成させることができるため、スクリーンを用いて篩分する方法により粒状ポリマーをスラリーから分離することが、有機アミド溶媒や副生物、オリゴマーなどから容易に分離することができるため好ましい。重合反応後のスラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。
このような分離処理後のPASには、一般に、有機アミド溶媒、アルカリ金属ハロゲン化物、オリゴマー、分解生成物などが付着している。したがって、優れた物性を有するPASを得るには、生成PASを十分に洗浄して精製する必要がある。
本発明では、洗浄工程において、重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄する。本発明では、PASを十分に精製するために、洗浄回数を好ましくは3回以上、より好ましくは4回以上、特に好ましくは5回以上とすることが望ましい。洗浄回数の上限は、多くの場合10回から15回程度である。
親水性有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒でも、プロトン性有機溶媒でもよい。非プロトン性有機溶媒としては、アセトンなどのケトン系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;などが挙げられる。プロトン性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒が挙げられる。これらの親水性有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの親水性有機溶媒の中でも、オリゴマーや分解生成物などの不純物(低分子量成分)の除去効果に優れている点でアセトンが好ましい。アセトンは、経済性や安全性の観点からも好ましい。
親水性有機溶媒は、オリゴマーや分解生成物などの低分子量の有機不純物の除去効果に優れている。水と親水性有機溶媒との混合液は、低分子量の有機不純物に加えて、NaClなどの副生アルカリ金属ハロゲン化物の除去効果に優れている。水は、アルカリ金属ハロゲン化物、有機アミド溶媒、洗浄に用いた親水性有機溶媒の除去効果に優れている。
そのため、洗浄工程では、親水性有機溶媒または混合液(水と親水性有機溶媒との混合液)による洗浄と水洗とを併せて実施することが好ましい。洗浄工程の最初の段階では、親水性有機溶媒または混合液による洗浄を行い、その後に水洗を行うことがより好ましい。混合液における水と親水性有機溶媒との混合比は任意であり、例えば、重量比1:99〜99:1の範囲の任意の混合比から適宜選択することができる。ただし、親水性有機溶媒による洗浄を行うことなく、混合液による洗浄と水洗とを組み合わせて実施する場合には、混合液として、水の割合が好ましくは1〜60重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の混合液を用いることが、オリゴマーや分解生成物などの有機不純物の除去効率を高める上で好ましい。
洗浄液による洗浄は、一般に、PASと洗浄液とを混合し、攪拌することにより実施する。各洗浄回での洗浄液の使用量は、ポリマー量に対して通常1〜15倍容量、好ましくは2〜10倍容量、より好ましくは3〜8倍容量である。洗浄時間は、通常1〜120分間、好ましくは3〜100分間、より好ましくは5〜60分間である。洗浄後、スクリーンや遠心分離機などを用いて洗浄液を分離する。スクリーンを用いて濾過を行うと、含液率が通常30〜70重量%、多くの場合40〜60重量%程度のウエットケーキが得られる。遠心分離機を用いて、含液率の低いウエットケーキとしてもよい。
このような洗浄液による洗浄と濾過の後、次の洗浄回の洗浄を行う。洗浄は、一般に、常温(15〜30℃)で行うが、洗浄液が液体状態である限り、それより低い温度または高い温度で行うこともできる。例えば、水の洗浄力を高めるために、洗浄液として高温水を用いることが好ましいことがある。洗浄工程では、生成PASを酸処理(酸洗浄)したり、塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
本発明の製造方法では、このような繰り返し洗浄による最終洗浄段階(すなわち、最終回の洗浄)で、PASを水または混合液(すなわち、水と親水性有機溶媒との混合液)からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する。この最終洗浄段階では、洗浄液として水または水の割合が高い混合液(例えば、水の含有量が60〜99重量%の混合液)を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
最終洗浄段階とは、繰り返し洗浄における最終回の洗浄を意味し、その洗浄回での洗浄後には、PASを乾燥して製品として回収する。洗浄後の洗浄液のpHとは、PASと洗浄液とを混合し、攪拌して洗浄を行った後、該洗浄液について測定したpHを意味する。有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させて得られたPASは、残留アルカリ金属水酸化物などのアルカリ性化合物が洗浄液中に溶出するため、洗浄液として水を用いても、洗浄後の洗浄液のpHがアルカリ性を呈することがある。
最終洗浄段階で、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する方法としては、例えば、(i)酸または塩基性化合物を添加した洗浄液を用いる方法、(ii)洗浄回数を調整する方法、(iii)ポリマーに対する洗浄液の量を調整する方法、及び(iv)これらの方法を組み合わせた方法などがある。
最終洗浄段階で、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御することにより、水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpH(「レジンpH」という)が7.0〜12.0のPASを回収する。このレジンpHの測定法は、実施例で詳述する。洗浄工程でPASのレジンpHを7.0〜12.0の範囲内とすることにより、結晶化温度が低く、白色度が高く、さらには、溶融安定性に優れたPASを得ることができる。最終洗浄段階で、洗浄後の洗浄液のpHが高すぎると、レジンpHも高くなり、白色度が低くなり、溶融安定性も低下する。最終洗浄段階で、洗浄後の洗浄液のpHが低すぎると、レジンpHも低くなり、結晶化温度が高く、白色度が低く、溶融安定性も不十分なPASしか得られない。最終洗浄段階における洗浄後の洗浄液のpHは、8.0〜11.0であり、好ましくは8.5〜10.7である。
洗浄工程では、クロロホルムを用いたソックスレー抽出により抽出される低分子量成分の含有量が好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以下になるまで洗浄を繰り返すことが望ましい。洗浄が不十分であると、低分子量成分の含有量が多くなり、PASの物性が低下したり、用途が制限されたりする。
洗浄後、スクリーンを用いた濾過などにより、洗浄液からPASを分離する。洗浄液から分離した湿潤状態のPAS(ウエットケーキ)は、常圧下または減圧下に加熱乾燥して洗浄液を除去する。このようにして、乾燥したPASを回収する。
10.PAS
本発明のPASは、構造式[−Ar−S−](式中、Arは、アリーレン基である。)で表わされるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明のPASは、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリマーである。アリーレン基としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基などが好ましい。
本発明の製造方法によれば、本件明細書中で規定する測定法(実施例に記載)により測定したとき、下記の諸特性を有するPASを得ることができる。
本発明のPASは、温度310℃及び剪断速度1216sec−1の条件下で測定した溶融粘度が1〜3000Pa・s、好ましくは3〜2000Pa・s、より好ましくは10〜1500Pa・s、特に好ましくは15〜1200Pa・sである。本発明では、3〜2000Pa・sである。PASの溶融粘度は、分子量の指標とすることができる。PASの溶融粘度が低すぎると、機械物性が不十分となり、高すぎると、溶融流動性が低下し、成型加工性が低下する。
本発明のPASは、水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpH(レジンpH)が7.0〜12.0、好ましくは7.0〜11.5、より好ましくは7.5〜11.5である。本発明では、7.5〜11.5である。本発明のPASは、そのレジンpHをこの範囲内となるように洗浄条件等を制御することにより、白色度、結晶化温度、溶融安定性を好ましい範囲とすることができる。
本発明のPASは、温度340℃での溶融状態から10℃/分の速度で降温させる過程で測定した結晶化温度(「溶融結晶化温度」ともいう)が220℃以下、好ましくは210℃以下である。結晶化温度は、多くの場合、205℃以下、さらには、200℃以下にすることができる。結晶化温度の下限は、好ましくは165℃程度である。本発明では、結晶化温度は、165〜220℃である。本発明のPASは、結晶化温度が低いため、溶融状態からの結晶化速度が遅い。PASの結晶化速度を遅くすることにより、押出成形性などの溶融成形性を向上させることができる。
本発明のPASは、その溶融成形品の白色度が70以上である。白色度の上限は、通常、85または80程度である。本発明では、白色度は、70〜85である。PASの白色度が大きいと、色調に優れた成形品を得ることができることに加えて、PAS成形品を任意の色に調色することが容易となる。PASの白色度が低すぎると、成形品の色調が褐色になったり、色ムラが生じたりする。また、PASの白色度が低すぎると、着色剤を用いても、所望の色に着色することが困難になる。
本発明のPASは、310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度値MVに対する、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度値MVの比MV/MVが、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上である。多くの場合、この比MV/MVを0.90以上、さらには、0.95以上にすることができる。この比MV/MVの上限は、好ましくは1.0である。本発明では、0.80〜1.0である。
前記比MV/MVは、大きいほど(1.0に近いほど)、PASの溶融安定性が良好であることを示す。PASの溶融安定性が悪いと、成形条件の僅かの変動でも溶融粘度が変動するため、安定した溶融成形が困難になることが多い。例えば、PASの溶融安定性が悪いと、溶融紡糸時に糸切れが発生し易くなる。また、PASの溶融安定性が悪いと、溶融加工後の成形品の物性変動を引き起こすことがある。本発明のPASは、溶融安定性に優れているため、このような欠点が解消されている。
本発明のPASは、クロロホルムを用いたソックスレー抽出により抽出される低分子量成分の含有量が、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以下である。PASに含まれる低分子量成分の含有量は、少ないほど好ましいが、その下限は、通常1.0重量%または1.5重量%程度である。低分子量成分の含有量が多すぎると、PASの溶融安定性が低下したり、成形品の物性が低下する。
本発明のPASは、溶融安定性に優れ、結晶化温度が低く、白色度に優れているため、繊維などの素材用途に好適である。本発明のPASは、押出成形、射出成形、圧縮成形などにより、各種成形品に成形することができる。PASとしては、PPSが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性等の測定方法は、次のとおりである。
(1)収率:
ポリマーの収率は、脱水工程後の反応缶中に存在する有効硫黄成分の全てがポリマーに転換したと仮定したときのポリマー重量(理論量)を基準値とし、この基準値に対する実際に回収したポリマー重量の割合(重量%)を算出した。
(2)溶融粘度:
乾燥ポリマー約20gを用いて、東洋精機製キャピログラフ1−Cにより溶融粘度を測定した。この際、キャピラリーは、1mmφ×10mmLのフラットダイを使用し、設定温度は、310℃とした。ポリマー試料を装置に導入し、5分間保持した後、剪断速度1216sec−1での溶融粘度を測定した。
(3)溶融安定性:
前記の溶融粘度の測定法に従って、
310℃でのポリマー試料の加熱時間を5分間と30分間としたこと以外は、前記の溶融粘度の測定法に従って、ポリマーの溶融粘度を測定し、その比を算出した。すなわち、ポリマー試料を310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec−1で溶融粘度(MV)を測定した。同じポリマー試料について、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec−1で溶融粘度(MV)を測定した。そして、これらの測定値に基づいて、比(MV/MV)を求めた。この比は、溶融粘度の保持率とも呼ばれ、大きいほど、ポリマーの溶融安定性が高いことを示す。
(4)低分子量成分の定量(ソックスレー抽出):
ポリマー約10gに、抽出用溶媒としてクロロホルム50mlを用いてソックスレー抽出を行った。抽出時間は、6時間とした。抽出終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させ、60℃で2時間の真空乾燥を行った後、フラスコ内に残った抽出物の重量を測定し、該重量と抽出に使用したポリマーの重量とに基づいて、ポリマー中に含まれていた低分子量成分の含有率を算出した。
(5)白色度(WH):
ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、室温プレスにより固化してシートを作製した。得られたシートを150℃/30分間アニーリングして結晶化シートを作製した。この結晶化シートを試料とし、MINOLTA製「色彩色差計CR−200」を用いて、標準光C、反射光測定法により色調の測定を行った。測定に先立ち、標準白色板により校正を行った。各試料について3点ずつ測定を行い、その平均値を算出した。色調は、白色度(WH)で示した。
(6)結晶化温度(Tmc):
ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、急冷して非晶シートを作製した。この非晶シートから約10mgを測定試料として採取し、Perkin−Elmer製「示差走査熱量計DSC7」を用いて降温条件下での結晶化温度(Tmc)を測定した。より具体的には、試料を窒素ガス雰囲気中(20ml/分)、340℃まで昇温し、その温度で1分間保持した後、10℃/分の速度で降温する条件で結晶化温度を測定した。
(7)レジンpH:
室温(約20℃)にて、ポリマー試料約6g、アセトン15ml、及び精製水〔関東化学(株)製〕30mlを三角フラスコに入れ、振とう機を用いて30分振とうした後、分液ロートで濾過した。その上澄み液のpHをpHメーターで測定した。
[実施例1]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値63.44重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1951g〔硫黄分(S)として22.08モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が61.86重量%(21.53モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.55モル含まれることになる。〕、74.78重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1151g(NaOH分として21.52モル)をN−メチル−ピロリドン(以下、「NMP」と略記)6701gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、1.00(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.97(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水893.2gとNMP852.8gを留出させた。この際、0.4モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後、缶内の硫黄源(「有効S」)量は、21.68モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して1.79モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、21.68モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(以下「pDCB」と略記)3267g〔pDCB/有効S=1.025(モル/モル)〕、NMP2284g、及び水114g〔缶内の合計水量/有効S=1.50(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内NaOH/有効S=1.054(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH16.12gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.78モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約92%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水441.5gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.63(モル/モル)〕、255℃に昇温して4.0時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、室温付近まで冷却した反応混合物を2154.3gサンプリングし、100メッシュのスクリーンを使用して篩分し、ウエット状態(含水率60重量%)の粒状ポリマーを回収した。ウエット状態の粒状ポリマーに、1528gのアセトンと80gのイオン交換水を加えて、30分間攪拌洗浄した。このときの洗浄液の量は、理論ポリマー回収量に対して5倍量であり、また、洗浄液の含水率は、5重量%である。以上の洗浄を2回実施した後、1608gのイオン交換水による攪拌洗浄を5回行った。このイオン交換水による洗浄は、各20分間行った。最後のイオン交換水洗浄が終了後、濾過前に洗浄液にpHメーターを投入し、5分後のpHを測定したところ、10.7であった。
以上の各洗浄において、洗浄液の液温を室温として洗浄を行った。攪拌力は、浮遊限界以上とした。洗浄後のポリマー分の篩分は、100メッシュのスクリーンを用いた濾過により行った。濾過後のウエットケーキの含液率は、40〜60重量%であった。
こうして得られた洗浄ポリマーを、乾燥機により105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、92%であり、溶融粘度は、160Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[実施例2]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値63.44重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1950g〔硫黄分(S)として22.07モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が61.86重量%(21.52モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.55モル含まれることになる。〕、74.78重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1119g(NaOH分として20.92モル)をNMP6700gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。脱水前のNaOH/NaSHは、0.97(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.95(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水889.3gとNMP833.0gを留出させた。この際、0.4モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.67モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して1.81モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、21.67モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、pDCB3265g〔pDCB/有効S=1.025(モル/モル)〕、NMP2260g、及び水118g〔缶内の合計水量/有効S=1.50(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内のNaOH/有効S=1.020(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH9.53gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.80モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約92%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水441.2gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.63(モル/モル)〕、255℃に昇温して4.0時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、9.9であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、93%であり、溶融粘度は、141Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[実施例3]
実施例1と全く同じ操作で脱水工程から重合工程を実施した。後処理工程を以下の方法により行った。
後処理工程
反応終了後、イオン交換水による洗浄回数を7回としたこと以外は実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、9.7であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、92%であり、溶融粘度は、145Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[実施例4]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値62.39重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1802g〔硫黄分(S)として20.06モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が59.42重量%(19.11モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.95モル含まれることになる。〕、74.08重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1045g(NaOH分として19.35モル)をNMP6702gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。脱水前のNaOH/NaSHは、1.01(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.96(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水824.3gとNMP829.7gを留出させた。この際、0.38モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、19.68モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して1.91モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、19.68モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、pDCB2951g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2000g、及び水97g〔缶内の合計水量/有効S=1.50(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内NaOH/有効S=1.054(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH2.72gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.76モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で1時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約92%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水461.0gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.82(モル/モル)〕、260℃に昇温して5.0時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、10.0であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、92%であり、溶融粘度は、230Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[実施例5]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値62.12重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1804g〔硫黄分(S)として19.99モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が59.5重量%(19.15モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.84モル含まれることになる。〕、73.95重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1030.6g(NaOH分として19.05モル)をNMP6005gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。脱水前のNaOH/NaSHは、0.99(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.95(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水840.3gとNMP787.2gを留出させた。この際、0.4モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、19.59モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して2.01モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、19.59モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、pDCB2923g〔pDCB/有効S=1.015(モル/モル)〕、NMP3597.6g、及び水176g〔缶内の合計水量/有効S=1.70(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内NaOH/有効S=1.054(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH13.9gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.80モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で4.5時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約93%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水607gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=3.45(モル/モル)〕、255℃に昇温して2.0時間反応させた後、30分かけて245℃に降温して11.5時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、9.5であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、85%であり、溶融粘度は、450Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[実施例6]
実施例2と全く同じ操作で脱水工程から重合工程を実施した。ただし、後処理工程を以下の方法により行った。
後処理工程
反応終了後、イオン交換水による洗浄回数を8回としたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、8.9であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、92%であり、溶融粘度は、123Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[比較例1]
実施例1と全く同じ操作で脱水工程から重合工程を実施した。ただし、後処理工程を以下の方法により行った。
後処理工程
最後のイオン交換水による洗浄時に、約3gのNaOH(純度97%)を洗浄液に添加したこと以外は実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最終洗浄後の洗浄液のpHは、12.5であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、92%であり、溶融粘度は、155Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[比較例2]
実施例1と全く同じ操作で脱水工程から重合工程を実施した。ただし、後処理工程を以下の方法により行った。
後処理工程
反応終了後、室温付近まで冷却した反応混合物を707gサンプリングし、100メッシュのスクリーンを使用して篩分し、ウエット状態(含水率60重量%)の粒状ポリマーを回収した。ウエット状態の粒状ポリマーに、502gのアセトンと26gのイオン交換水を加えて、30分間攪拌洗浄した。このときの洗浄液の量は、理論ポリマー回収量に対して5倍量であり、また、洗浄液の含水率は、5重量%である。以上の洗浄を2回実施した後、528gのイオン交換水による20分間の攪拌洗浄を3回行った。
その後、470gのイオン交換水に1.88gの酢酸を添加して調製した0.3%酢酸水によって30分間攪拌洗浄し、さらに470gのイオン交換水による20分間洗浄を4回行って、洗浄ポリマーを得た。最後のイオン交換水洗浄が終了後、濾過する前に洗浄液のpHを測定したところ3.8であった。
以上の各洗浄において、洗浄液の液温を室温として洗浄を行った。攪拌力は、浮遊限界以上とした。洗浄後のポリマー分の篩分は、100メッシュのスクリーンを用いた濾過により行った。濾過後のウエットケーキの含液率は、40〜60重量%であった。
こうして得られた洗浄ポリマーを、乾燥機により105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、93%であり、溶融粘度は、81Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[比較例3]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値63.44重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1950g〔硫黄分(S)として22.07モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が61.86重量%(21.52モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.55モル含まれることになる。〕、74.78重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1178g(NaOH分として22.02モル)をNMP6700gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。脱水前のNaOH/NaSHは、1.02(モル/モル)となり、NaOH/Sは、1.00(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水901.0gとNMP833.3gを留出させた。この際、0.39モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.68モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して1.76モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、21.68モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、pDCB3266g〔pDCB/有効S=1.025(モル/モル)〕、NMP2262g、及び水115g〔缶内の合計水量/有効S=1.50(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内NaOH/有効S=1.100(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH35.6gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.78モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約92%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水441.3gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.63(モル/モル)〕、255℃に昇温して4.0時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、11.8であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、85%であり、溶融粘度は、171Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
[比較例4]
1.脱水工程
ヨードメトリー法による分析値62.12重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1790.7g〔硫黄分(S)として19.84モルになる。中和滴定法によるNaSH分析値が59.5重量%(19.01モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.83モル含まれることになる。〕、73.95重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1028.7g(NaOH分として19.02モル)をNMP6001gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。脱水前のNaOH/NaSHは、1.00(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.96(モル/モル)となる。
窒素ガスで置換後、2.5時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水830.8gとNMP782gを留出させた。この際、0.39モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、19.45モルとなった。HS揮散分は、この工程での仕込みSに対して1.98モル%に相当した。
2.仕込み工程
上記脱水工程の後、19.45モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、pDCB2902g〔pDCB/有効S=1.015(モル/モル)〕、NMP3533.7g、及び水170g〔缶内の合計水量/有効S=1.70(モル/モル)〕を加え、さらに、反応缶内NaOH/有効S=1.100(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH45.8gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.79モル)が含まれている。
3.重合工程
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で4.5時間反応させた(前段重合工程:pDCBの転化率=約93%)。その後、攪拌機の撹拌数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水603gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=3.45(モル/モル)〕、255℃に昇温して2.0時間反応させた後、30分かけて245℃に降温して11.5時間反応させた(後段重合工程)。
4.後処理工程
反応終了後、実施例1と同様な方法でポリマーの洗浄を実施して、精製ポリマーを得た。このとき、最後のイオン交換水洗浄後の洗浄液のpHは、10.2であった。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、80%であり、溶融粘度は、470Pa・sであった。色調、溶融安定性、結晶化温度、及び低分子量成分の含有量のデータを表1に示した。
Figure 0004782383
表1の結果から明らかなように、本発明のPAS(実施例1〜5)は、レジンpHが7.0〜12.0の範囲内にあり、白色度が大きく、溶融安定性に優れ、結晶化温度が低いことが分かる。
これに対して、最終洗浄段階での洗浄液のpHが高すぎると、白色度や溶融安定性が低下する(比較例1)。最終洗浄段階での洗浄液のpHが低すぎると、溶融安定性が低下し、結晶化温度が高くなる(比較例2)。PASの重合条件が本発明の範囲外となると、最終洗浄段階での洗浄液のpHを変えても、白色度や溶融安定性に優れたPASを得ることが困難である(比較例3〜4)。
本発明のPASは、そのままで、あるいは酸化架橋させた後、単独で、もしくは所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂を配合して、種々の射出成形品やシート、フィルム、繊維、パイプ等の押出成形品に成形することができる。本発明のPASは、結晶化速度が遅く、溶融安定性に優れているため、繊維(ファイバー)などの押出成形品の製造に特に適している。

Claims (7)

  1. 下記特性(a)〜(e)
    (a)温度310℃及び剪断速度1216sec−1の条件下で測定した溶融粘度が3〜2000Pa・s、
    (b)水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpHが7.5〜11.5
    (c)温度340℃での溶融状態から10℃/分の速度で降温させる過程で測定した結晶化温度が165〜220℃
    (d)ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、室温プレスにより固化してシートを作製し、得られたシートを150℃/30分間アニーリングして結晶化シートを作製し、この結晶化シートを試料とし、測定に先立って標準白色板により校正を行った色彩色差計を用いて、標準光C、反射光測定法により、各試料について3点ずつ色調の測定を行い、その平均値を白色度(WH)としたときの白色度が70〜85
    (e)310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV に対する、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV の比MV /MV が0.80〜1.0、
    を有し、かつ、有機アミド溶媒中でアルカリ金属水硫化物を含む硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させて得られたポリアリーレンスルフィドであることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
  2. 下記特性(f):
    (f)ポリマー10gに、抽出用溶媒としてクロロホルム50mlを用いてソックスレー抽出を6時間行い、抽出終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させ、60℃で2時間の真空乾燥を行った後、フラスコ内に残った抽出物の重量を測定し、該重量と抽出に使用したポリマーの重量とに基づいて算出した低分子量成分の含有量が5.0重量%以下、
    を更に有する請求項1記載のポリアリーレンスルフィド。
  3. 下記(I)〜(V)の各工程:
    (I)有機アミド溶媒とアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを含む混合物を加熱し、蒸留により水を系外へ排出する脱水工程、
    (II)アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源1モル当たり1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物が存在するように、各成分の仕込み量を調整する仕込み工程、
    (III)有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で重合させる重合工程、
    (IV)重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄し、その際、最終洗浄段階で、水または混合液からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する洗浄工程、及び、
    (V)洗浄液からポリマーを分離し、乾燥し回収する回収工程であって、下記特性(a)〜(e)
    (a)温度310℃及び剪断速度1216sec−1の条件下で測定した溶融粘度が3〜2000Pa・s、
    (b)水/アセトン(容量比=2:1)混合溶媒中で測定したpHが7.5〜11.5
    (c)温度340℃での溶融状態から10℃/分の速度で降温させる過程で測定した結晶化温度が165〜220℃
    (d)ポリマーを320℃/10分間のホットプレスで加熱溶融後、室温プレスにより固化してシートを作製し、得られたシートを150℃/30分間アニーリングして結晶化シートを作製し、この結晶化シートを試料とし、測定に先立って標準白色板により校正を行った色彩色差計を用いて、標準光C、反射光測定法により、各試料について3点ずつ、色調の測定を行い、その平均値を白色度(WH)としたときの白色度が70〜85
    (e)310℃で5分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV に対する、310℃で30分間保持した後、剪断速度1216sec −1 で測定した溶融粘度値MV の比MV /MV が0.80〜1.0、
    を有するポリマーを回収する回収工程、
    を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 前記(I)の脱水工程として、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物、及びアルカリ金属水硫化物1モル当たり0.95〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して反応させ、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程を採用し、
    前記(II)の仕込み工程として、系内に残存する混合物に、アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源(以下、「仕込み硫黄源」という)1モル当たり、1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物と0.5〜2.0モルの水が存在するように、必要に応じて、アルカリ金属水酸化物と水を添加する仕込み工程を採用し、
    前記(III)の重合工程として、混合物にジハロ芳香族化合物を添加し、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98%のプレポリマーを生成させる前段重合工程、及び前段重合工程後、仕込み硫黄源1モル当たり2.0〜10モルの水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する後段重合工程を含む重合工程を採用し、
    前記(IV)の洗浄工程として、重合工程で生成したポリマーを水、親水性有機溶媒またはこれらの混合液からなる洗浄液で2回以上繰り返して洗浄し、その際、最終洗浄段階で、水または混合液からなる洗浄液を用いて洗浄し、かつ、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように洗浄条件を制御する洗浄工程を採用する請求項記載の製造方法。
  5. 前記(IV)の洗浄工程において、最終洗浄段階で、洗浄後の洗浄液のpHが8.0〜11.0の範囲内となるように
    (i)酸または塩基性化合物を添加した洗浄液を用いる方法、
    (ii)洗浄回数を調整する方法、
    (iii)ポリマーに対する洗浄液の量を調整する方法、または
    (iv)これらの方法を組み合わせた方法、
    により、洗浄条件を制御する請求項または記載の製造方法。
  6. 前記(IV)の洗浄工程において、最終洗浄段階で、水からなる洗浄液を用いる請求項乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記(IV)の洗浄工程において、ポリマー10gに、抽出用溶媒としてクロロホルム50mlを用いてソックスレー抽出を6時間行い、抽出終了後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させ、60℃で2時間の真空乾燥を行った後、フラスコ内に残った抽出物の重量を測定し、該重量と抽出に使用したポリマーの重量とに基づいて算出した低分子量成分の含有量が5.0重量%以下になるまで、ポリマーの洗浄を繰り返し行う請求項乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
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